JP2004330012A - ホウ素吸着剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、水中への溶解物の溶出し易さ、水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着沈殿物スラッジの多さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、多段大型装置の操作の複雑さの全ての欠点を同時に解決し得るホウ素吸着剤を提供すること。
【解決手段】高分子樹脂と高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の希土類元素水酸化物とを含有してなるホウ素吸着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】高分子樹脂と高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の希土類元素水酸化物とを含有してなるホウ素吸着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中のホウ素の吸着剤として使用可能な希土類元素水酸化物と高分子樹脂とを含有するホウ素吸着剤、その製造方法及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素は自然界に広く分布しており、海水や火山地帯の地下水、温泉水等にも含まれることがある。そして、工場製造工程からの排水、ごみ焼却場洗煙排水、地熱発電排水等の排水に含有される場合もある。
【0003】
最近、公共用水域および地下水の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目として、ホウ素およびフッ素が追加された。ホウ素は、植物の成育にとって必須の元素であるが、過剰に存在すると植物の成長に悪影響を及ぼすことがわかってきている。さらに、人体に対しても、必ずしも明確でないが、低濃度でさえも継続摂取した場合に生殖機能の低下等の健康障害を引き起す可能性が指摘されており、このため既に国内でもWHO世界保健機構の条例により0.5〜2mg/L以下という厳しい排水中許容濃度を制定しているところもある。
【0004】
また、半導体製造の分野では、半導体デバイスの高集積度化に伴い、製造工程で用いられる生産機械やガス,薬品等と共に、純水も大幅な高純度化が要求され、超純水、場合により超々純水とも称される場合などの極めて高純度な用水も要求されている。
上記のような用水中のホウ素含有排水を処理する方法としては、ホウ素固定剤にホウ素を固定した不溶性沈殿として除去する方法、ホウ素選択性キレート樹脂等の吸着剤により吸着させる方法、逆浸透膜により処理する方法等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法はいずれも問題点がある。
例えば、不溶性沈殿としてホウ素を除去する方法には、ホウ素固定剤に硫酸アルミニウムや消石灰等を用いることが多いがこれらのホウ素固定剤はホウ素除去効率が悪く、ホウ素濃度を低く抑えるためには凝集剤添加量を増加させる必要があり、そのため大量のスラッジが発生する問題がある。ホウ素固定剤にジルコニウムを用いる方法もあるが、上記のホウ素固定剤同様の問題が生じている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、イオン交換樹脂を用いたホウ素除去方法の中には、ホウ素選択性キレート樹脂(ローム・アンド・ハース社製登録商標アンバーライト IRA−743、三菱化学社製登録商標ダイヤイオン CRB02)を合成樹脂のポリスチレン担体に混合させてホウ素を除去する方法がある。この方法では、担体ポリスチレンが疎水性であるため、水中に溶存しているホウ素は担体内部まで拡散しにくく、吸着容量が小さい、吸着速度が遅い等の欠点がある。加えてアニオン交換樹脂やキレート系樹脂はホウ素の水中濃度が5ppm以下の場合にはホウ素選択性や吸着性が短時間で低下し、また樹脂の耐熱性が低く70℃といった高温で使用できない問題がある。
【0007】
また、弱塩基性イオン交換基としてN―グルカミン交換基及びその遊離塩基形、あるいは、強塩基性イオン交換基を塩形に調製して半導体製造用の純度の高い純水、超純水のホウ素を除去する方法も検討されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法であっても樹脂が水に溶け出し、全有機炭素(TOC)濃度の上昇があり、かつ、ホウ素選択性や吸着性が短時間で低下し、樹脂の耐熱性が低く高温で使用できない問題がある。
また、逆浸透膜法による水中のホウ素を除去する方法では該膜のホウ素化合物に対する除去率が低いため、排水規制値以下にするためには多段の装置を必要とし、操作が複雑過大になる等の欠点がある。
【0008】
さらに、希土類元素の含水酸化物をそのまま粉体で使用したり親水性高分子材料に含有させたホウ素吸着剤(例えば、特許文献3、4参照)、ジルコニウム化合物(例えば特許文献5参照)も検討されているが、微量のホウ素除去さらには被処理用水中の有機物の除去まで達成しようとすると希土類元素の含水酸化物を親水性高分子材料に含有させたホウ素吸着剤では、親水性樹脂が溶出したり、希土類元素の含水酸化物へのホウ素の吸着性が充分でなく、ホウ素を効率的に除去することができない。一方の含水酸化ジルコニウムを高分子材料に含有したものであってもジルコニウム化合物へのホウ素の吸着能が低くホウ素の除去能力は不十分である。
即ち、耐熱性が高く、劣化しにくく、微量ホウ素も除去可能なホウ素吸着剤はこれまで存在していないのである。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−277563号公報
【特許文献2】
特開平8−238478号公報
【特許文献3】
特公平3−22238号公報
【特許文献4】
特公昭63−24431号公報等
【特許文献5】
特開2002−38038号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水中への溶解物の溶出し易さ、水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着沈殿物スラッジの多さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、多段大型装置の操作の複雑さの全ての欠点を同時に解決することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を鋭意研究し、樹脂に希土類元素水酸化物を多量に含有させること、さらには樹脂含有該元素を含水状態にすることが更に本発明の課題を解決する上で極めて好ましいことを見出して、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は下記(1)〜(5)に係わる。
(1)高分子樹脂と高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の希土類元素水酸化物とを含有してなるホウ素吸着剤、
(2)該高分子樹脂が、フッ素系樹脂又はポリビニル系樹脂であることを特徴とする(1)に記載のホウ素吸着剤、
(3)該希土類元素水酸化物の、平均2次粒子径が1〜6μmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のホウ素吸着剤、
(4)該希土類元素水酸化物が、該水酸化物100重量部当たり水分1〜30重量部含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれか1つに記載のホウ素吸着剤、
(5)希土類元素水酸化物100重量部に対して水分含量を1〜30重量部に調整した、平均2次粒子径0.2〜25μmを有する希土類元素水酸化物を、親水性のない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する有機溶媒に混合し、もしくは親水性のない高分子樹脂を溶解した有機溶媒容液と混合し、分散液を調製し、次いで該分散液から平均粒径0.2mm〜5.0mmの粒子に造粒するホウ素吸着剤の製造方法に関する。
【0013】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のホウ素吸着剤は、高分子樹脂と希土類元素水酸化物とを含有する混合物である。
その混合物には希土類元素水酸化物を高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の割合で含有している。この希土類元素含有重量が600重量部より少ないとホウ素吸着量が充分でない。一方、上限は、吸着剤の吸着能の観点から基本的には制限はなく、希土類元素水酸化物の量が多ければ多いほど良い。しかし、ホウ素吸着剤の耐久性の観点から5000重量部以下が好ましく、より好ましくは1000重量部、更に好ましくは800重量部である。
【0014】
本発明のホウ素吸着剤の形状はどのような形でも構わないが、使用態様から充填性のよい球状が好ましい。また、本発明のホウ素吸着剤は内部を被処理水が通過出来る形の成型体、例えば多孔体や網状であることも好ましい。
尚、本発明のホウ素吸着剤がほぼ均一な丸い粒状体であれば、平均粒径0.2mm〜5.0mmが好ましく用いられる。より好ましい粒径は、0.5mm〜2mmである。粒径0.2mm未満では充填密度が高くなって被処理水の通水抵抗が高くなり処理能力が低下し、逆に、5.0mmを超えると、ホウ素を含有する被処理水とホウ素吸着剤の単位時間当たりの接触面積が低下し処理能力が低下する。
【0015】
本発明のホウ素吸着剤に用いる高分子樹脂は、アニオン交換樹脂やキレート系樹脂よりも耐熱性があって水に溶出しない耐水性を持つ有機高分子重合体樹脂またはこれら樹脂の誘導体であることが好ましい。
例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂といったフッ素系樹脂、ポリビニル系樹脂、またアルギン酸塩といった天然高分子及びこれらの誘導体を挙げることができる。
【0016】
これらのなかでも、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン6フッ化プロピレン共重合樹脂は、希土類元素水酸化物を高濃度に含有させ易く、耐水性、耐薬品性に優れ好ましい樹脂といえる。
尚、本発明に用いる有機高分子樹脂の数平均分子量は500以上好ましくは2000以上あれば良い。
【0017】
本発明では水溶性親水性樹脂は溶出する点で好ましくなく、また、高温度では溶出が更に大きくなり耐熱性も無いため好ましくない。
本発明のホウ素吸着剤に用いることができる希土類元素水酸化物とは、1991年元素の周期表による3(3A)族の希土類元素であって、スカンジウムSc、イットリウムY、ランタノイド元素、ランタンLa、セリウムCe、プラセオジムPr、ネオジムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユウロピウムEu、カドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLuの水酸化物である。なかでも本発明の目的に合致して好ましい元素はCeであり4価のCeが好ましい。これら希土類元素水酸化物の混合体も有用である。中でもCeにYを5重量%以下含むものが好ましい。
【0018】
この本発明の希土類元素水酸化物は水を含有することを特徴とする。含水量は、希土類元素水酸化物(乾燥物)100重量部に対して水1〜30重量部、好ましくは5〜15重量部であること好ましい。本発明のホウ素吸着剤は上記のごとく特定量の水を希土類元素水酸化物が含有する為に有機高分子樹脂100重量部に対して600重量部以上の希土類元素水酸化物含有量を達成できたものである。そして、本発明のホウ素吸着剤によってはじめて、ホウ素吸着能も従来の2〜4倍の驚くべき吸着能を得る事ができたのである。本発明の吸着剤は、飽和吸着量(平衡吸着量)が図4に示すごとく従来技術で達し得なかった吸着量を示す。
【0019】
本発明のホウ素吸着剤が前記特定量の水分を含有する希土類元素水酸化物によってのみ製造することができる理由は定かでないが、特定の含水量とすることにより希土類元素水酸化物の流動性がよくなり樹脂との適当な混合が行われることと、水が2次凝集している希土類元素水酸化物を適度の粒径にする作用と、その2次粒子の空隙を作って適度のホウ素含有水との接触を可能にすること、及び水酸化物が酸化物に戻ることを防止し結果としてホウ素吸着能が高まっているものと推定される。
尚、本発明のホウ素吸着剤の含水量を測定する方法はホウ素吸着剤を構成する樹脂を樹脂溶解剤で除き、残った含水希土類元素水酸化物を800℃の高温に1時間放置してその蒸発分を含水希土類元素水酸化物で除した値を含水率で表現する。
【0020】
本発明で用いる希土類元素水酸化物は、その2次粒子が、平均粒径0.01〜0.1μmの1次粒子の凝集体であり、該2次粒子の平均粒径は0.2〜25μmが良く0・5〜10.0μmが好ましい。0.2μm未満では樹脂混合で包まれてホウ素含有水との接触が不足することがあり、25μmを超えると樹脂との混合が良くないことがある。
【0021】
次に、本発明のホウ素吸着剤の製造条件について説明する。
本件のホウ素吸着剤に用いる希土類元素水酸化物は、その水分含有量を希土類元素水酸化物(乾燥物)100重量部に対して1〜30重量部に調整する。希土類元素水酸化物は、塩化希土類化合物を溶媒抽出等の操作を実施した後、過酸化水素などの酸化剤を添加して酸化し、中和して水酸化物として、これを精製したものを純水で洗浄してケーキ状にしたもの、または市販の水酸化物のケーキ状のもので構わない。ケーキ状の希土類元素水酸化物は水を過剰に含んでいるので、本発明の特定の水分量にするために通常の加熱装置を用いて50〜70℃の低温で処理して希土類元素水酸化物に対して1〜30重量部の水分量に調整する。
【0022】
上記のようにして得られた特定量の水分を含有する希土類元素水酸化物は、引き続き高分子樹脂と混合して本発明のホウ素吸着剤が得られる。
混合は特定量の水分を含む希土類元素水酸化物に対して、6倍以上の重量の高分子樹脂を溶媒に溶解させた溶液を添加して分散体とすることで行い、得られた分散体は通常の造粒機を用いて平均粒子径が0.2mm〜5.0mm、水分量が希土類元素水酸化物に対して1〜30重量部の本発明のホウ素吸着剤を得ることができる。なお、前記分散体を調製する際には、高分子樹脂を有機溶媒にあらかじめ溶解させずに、希土類元素水酸化物とともに有機溶媒に混合してもよい。
尚、上記溶媒は高分子樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明のホウ素吸着剤を説明する。
尚、本発明のホウ素吸着剤の処理能力は、ホウ素吸着剤を所定の容器内に充填し、所定の濃度のホウ素含有水である被処理用水をホウ素吸着剤の容量に対して1〜400倍体積を通水した際の通水後の被処理用水中のホウ素濃度で表す。
尚、ホウ素吸着剤の容量当たり何倍体積の水を流したかを本発明では通水倍率とあらわす。例えば、1Lのホウ素吸着剤で通水倍率200というと、水を200L流したことを言う。
また、以下の実施例中SVとは、空塔速度(スペースヴェロシテイ)であり、吸着剤当たりの通水量であり、吸着剤1L当たりの水の通水速度のことである。例えば時間当たり吸着剤の20倍の速度であれば、20L/Hrで通水したことを言う。
飽和吸着量とは、特定濃度のホウ素溶液で吸着剤にそのホウ素を吸着させた場合の最大どれだけ吸着出来るかを示す値で、ホウ素濃度により変わる。
【0024】
【実施例1、比較例1】
水道水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)濃度20.17mg/Lにした液を作製しPH8.5を確認した。以下これを水道水ホウ素含有液という。また、純水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)濃度20.72mg/Lにした液を作製しPH8.5を確認した。以下これを純水ホウ素含有液という。別に、水酸化セリウムを70℃低温乾燥機で水分率20重量%にして含水酸化セリウム粉末を得た。この粉末とフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレン共重合樹脂とを溶媒N―メチル−2−ピロリドンに混合、分散させて分散液を得た。次いでこの分散液を造粒機で造粒し、水洗して、樹脂100重量部に対して水酸化セリウム700重量部の割合になる丸みのある平均粒径0.70mmの粒子を得た。以下この粒子をREAD−Bという。
【0025】
このREAD−Bとは別に、比較例として市販品のホウ素選択性キレート樹脂(三菱化学社製登録商標)ダイヤイオン CRB02(コンデショニング;硫酸浸漬、苛性ソーダ中和)と特許文献4(特公昭63−24431号公報)の実施例27の記載に基づき作製した吸着剤A(ポリアクリルニトリル樹脂を用いて造粒したものであって、樹脂100重量部に対して水酸化セリウム400重量部に相当するもの)を用意した。
【0026】
先の水道水ホウ素含有液と純水ホウ素含有液とをそれぞれ、この粒子READ−Bを15ml及びCRB02を15ml及び吸着剤Aを15ml各々カラム塔に充填して空塔速度(カラムスペースベロシテイー;SV)が20の条件で、通水倍率(充填粒子容量当たりの通水容量の倍率)を変化させて実験し、通水させた該液中のホウ素濃度(mg/L)(処理液ホウ素濃度)と全有機炭素(以下、TOCと称する)とを測定した。TOCの測定分析装置は島津製作所製TOC−VCSH型装置を使用し、サンプル採取法は通水倍率200倍時点の純水ホウ素含有液で採取し、TOCの数値は通水液の純水ホウ素含有液の差から求めた。その結果は図1と表1に示す。
【0027】
表1から本発明吸着剤は、比較例1との比較でも明らかに水中への溶解物の溶出し易さを防止(実施例1では0ppb)でき飲料用、超純水用に問題がなく、図1からは水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、を解決していることが分かる。また、多段大型装置の必要もないのでその操作の複雑さもなく、粉体で沈殿させることがないので吸着沈殿物スラッジの多さの問題もなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
【実施例2、比較例2】
水道水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)B濃度200mg/Lにした液を作製し、Na2SO4を8,000mg/L濃度含有させPH9.0の液を作製した。この作製液1Lづつに、実施例1で製作した含水酸化セリウムのホウ素吸着剤READ−B、市販品前記CRB02を加えて70時間撹拌した。撹拌を終えた液の液相B濃度(mg/L)とホウ素吸着量(g/g−CeO2)との関係をみた。なお、測定は、ホウ素吸着剤の使用量を変えて行った。結果は図2に示される通り、該READ−Bは、市販品樹脂CRB02に比べあらゆる液相B濃度(mg/L)において全域でホウ素吸着量(g/g−CeO2)が高いことが分かった。
【0030】
【実施例3、比較例3】
実施例1、比較例1とは、純水ホウ素含有液を(初期)B濃度を極めて高い203.0mg/L(H3B03)にし、その他のイオンのSO4を5,000mg/L、CLを10,000mg/L、S206を300mg/L、Mgを300mg/Lに含有する他は、全て同様に操作した。その結果を図3に示す。
図3から判明するようにB吸着を阻害するイオンの存在下でも本発明の吸着剤はBをしっかり吸着し市販樹脂より極めて優れた水中ホウ素の吸着性の良さ、吸着速度の早さ、吸着性の短時間経時低下も無い性能を示すことが分かった。
【0031】
【実施例4】
実施例1のREAD−Bを、(初期)B濃度(mg/L(H3B03))を15mg/LでPHを8.5に調整した純水ホウ素含有液の1Lに加えて72Hr間撹拌した。なお、測定は、ホウ素吸着剤の使用量を変えて行った。その結果を図4に示す。本発明の吸着剤が、低濃度から高濃度まで有効に吸着していることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、水中への溶解物の溶出し易さ、水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着沈殿物スラッジの多さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、多段大型装置の操作の複雑さの全ての欠点を同時に解決することが出来る。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のホウ素吸着性能を示す図であり通水倍率と処理液ホウ素濃度(mg/L)の関係図である(実施例1、比較例1)。
【図2】図2は、ホウ素吸着量(g/g−CeO2)と液相B濃度(mg/L)との関係図である(実施例2、比較例2)。
【図3】図3は、本発明のホウ素以外のイオン存在下の通水倍率と処理液ホウ素濃度の関係図である(実施例3、比較例3)。
【図4】図4は、液相ホウ素濃度(mg/L)と吸着量(g/L)の関係図である(実施例4)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中のホウ素の吸着剤として使用可能な希土類元素水酸化物と高分子樹脂とを含有するホウ素吸着剤、その製造方法及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素は自然界に広く分布しており、海水や火山地帯の地下水、温泉水等にも含まれることがある。そして、工場製造工程からの排水、ごみ焼却場洗煙排水、地熱発電排水等の排水に含有される場合もある。
【0003】
最近、公共用水域および地下水の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目として、ホウ素およびフッ素が追加された。ホウ素は、植物の成育にとって必須の元素であるが、過剰に存在すると植物の成長に悪影響を及ぼすことがわかってきている。さらに、人体に対しても、必ずしも明確でないが、低濃度でさえも継続摂取した場合に生殖機能の低下等の健康障害を引き起す可能性が指摘されており、このため既に国内でもWHO世界保健機構の条例により0.5〜2mg/L以下という厳しい排水中許容濃度を制定しているところもある。
【0004】
また、半導体製造の分野では、半導体デバイスの高集積度化に伴い、製造工程で用いられる生産機械やガス,薬品等と共に、純水も大幅な高純度化が要求され、超純水、場合により超々純水とも称される場合などの極めて高純度な用水も要求されている。
上記のような用水中のホウ素含有排水を処理する方法としては、ホウ素固定剤にホウ素を固定した不溶性沈殿として除去する方法、ホウ素選択性キレート樹脂等の吸着剤により吸着させる方法、逆浸透膜により処理する方法等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法はいずれも問題点がある。
例えば、不溶性沈殿としてホウ素を除去する方法には、ホウ素固定剤に硫酸アルミニウムや消石灰等を用いることが多いがこれらのホウ素固定剤はホウ素除去効率が悪く、ホウ素濃度を低く抑えるためには凝集剤添加量を増加させる必要があり、そのため大量のスラッジが発生する問題がある。ホウ素固定剤にジルコニウムを用いる方法もあるが、上記のホウ素固定剤同様の問題が生じている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、イオン交換樹脂を用いたホウ素除去方法の中には、ホウ素選択性キレート樹脂(ローム・アンド・ハース社製登録商標アンバーライト IRA−743、三菱化学社製登録商標ダイヤイオン CRB02)を合成樹脂のポリスチレン担体に混合させてホウ素を除去する方法がある。この方法では、担体ポリスチレンが疎水性であるため、水中に溶存しているホウ素は担体内部まで拡散しにくく、吸着容量が小さい、吸着速度が遅い等の欠点がある。加えてアニオン交換樹脂やキレート系樹脂はホウ素の水中濃度が5ppm以下の場合にはホウ素選択性や吸着性が短時間で低下し、また樹脂の耐熱性が低く70℃といった高温で使用できない問題がある。
【0007】
また、弱塩基性イオン交換基としてN―グルカミン交換基及びその遊離塩基形、あるいは、強塩基性イオン交換基を塩形に調製して半導体製造用の純度の高い純水、超純水のホウ素を除去する方法も検討されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法であっても樹脂が水に溶け出し、全有機炭素(TOC)濃度の上昇があり、かつ、ホウ素選択性や吸着性が短時間で低下し、樹脂の耐熱性が低く高温で使用できない問題がある。
また、逆浸透膜法による水中のホウ素を除去する方法では該膜のホウ素化合物に対する除去率が低いため、排水規制値以下にするためには多段の装置を必要とし、操作が複雑過大になる等の欠点がある。
【0008】
さらに、希土類元素の含水酸化物をそのまま粉体で使用したり親水性高分子材料に含有させたホウ素吸着剤(例えば、特許文献3、4参照)、ジルコニウム化合物(例えば特許文献5参照)も検討されているが、微量のホウ素除去さらには被処理用水中の有機物の除去まで達成しようとすると希土類元素の含水酸化物を親水性高分子材料に含有させたホウ素吸着剤では、親水性樹脂が溶出したり、希土類元素の含水酸化物へのホウ素の吸着性が充分でなく、ホウ素を効率的に除去することができない。一方の含水酸化ジルコニウムを高分子材料に含有したものであってもジルコニウム化合物へのホウ素の吸着能が低くホウ素の除去能力は不十分である。
即ち、耐熱性が高く、劣化しにくく、微量ホウ素も除去可能なホウ素吸着剤はこれまで存在していないのである。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−277563号公報
【特許文献2】
特開平8−238478号公報
【特許文献3】
特公平3−22238号公報
【特許文献4】
特公昭63−24431号公報等
【特許文献5】
特開2002−38038号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水中への溶解物の溶出し易さ、水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着沈殿物スラッジの多さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、多段大型装置の操作の複雑さの全ての欠点を同時に解決することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を鋭意研究し、樹脂に希土類元素水酸化物を多量に含有させること、さらには樹脂含有該元素を含水状態にすることが更に本発明の課題を解決する上で極めて好ましいことを見出して、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は下記(1)〜(5)に係わる。
(1)高分子樹脂と高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の希土類元素水酸化物とを含有してなるホウ素吸着剤、
(2)該高分子樹脂が、フッ素系樹脂又はポリビニル系樹脂であることを特徴とする(1)に記載のホウ素吸着剤、
(3)該希土類元素水酸化物の、平均2次粒子径が1〜6μmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のホウ素吸着剤、
(4)該希土類元素水酸化物が、該水酸化物100重量部当たり水分1〜30重量部含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれか1つに記載のホウ素吸着剤、
(5)希土類元素水酸化物100重量部に対して水分含量を1〜30重量部に調整した、平均2次粒子径0.2〜25μmを有する希土類元素水酸化物を、親水性のない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する有機溶媒に混合し、もしくは親水性のない高分子樹脂を溶解した有機溶媒容液と混合し、分散液を調製し、次いで該分散液から平均粒径0.2mm〜5.0mmの粒子に造粒するホウ素吸着剤の製造方法に関する。
【0013】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のホウ素吸着剤は、高分子樹脂と希土類元素水酸化物とを含有する混合物である。
その混合物には希土類元素水酸化物を高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の割合で含有している。この希土類元素含有重量が600重量部より少ないとホウ素吸着量が充分でない。一方、上限は、吸着剤の吸着能の観点から基本的には制限はなく、希土類元素水酸化物の量が多ければ多いほど良い。しかし、ホウ素吸着剤の耐久性の観点から5000重量部以下が好ましく、より好ましくは1000重量部、更に好ましくは800重量部である。
【0014】
本発明のホウ素吸着剤の形状はどのような形でも構わないが、使用態様から充填性のよい球状が好ましい。また、本発明のホウ素吸着剤は内部を被処理水が通過出来る形の成型体、例えば多孔体や網状であることも好ましい。
尚、本発明のホウ素吸着剤がほぼ均一な丸い粒状体であれば、平均粒径0.2mm〜5.0mmが好ましく用いられる。より好ましい粒径は、0.5mm〜2mmである。粒径0.2mm未満では充填密度が高くなって被処理水の通水抵抗が高くなり処理能力が低下し、逆に、5.0mmを超えると、ホウ素を含有する被処理水とホウ素吸着剤の単位時間当たりの接触面積が低下し処理能力が低下する。
【0015】
本発明のホウ素吸着剤に用いる高分子樹脂は、アニオン交換樹脂やキレート系樹脂よりも耐熱性があって水に溶出しない耐水性を持つ有機高分子重合体樹脂またはこれら樹脂の誘導体であることが好ましい。
例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂といったフッ素系樹脂、ポリビニル系樹脂、またアルギン酸塩といった天然高分子及びこれらの誘導体を挙げることができる。
【0016】
これらのなかでも、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン6フッ化プロピレン共重合樹脂は、希土類元素水酸化物を高濃度に含有させ易く、耐水性、耐薬品性に優れ好ましい樹脂といえる。
尚、本発明に用いる有機高分子樹脂の数平均分子量は500以上好ましくは2000以上あれば良い。
【0017】
本発明では水溶性親水性樹脂は溶出する点で好ましくなく、また、高温度では溶出が更に大きくなり耐熱性も無いため好ましくない。
本発明のホウ素吸着剤に用いることができる希土類元素水酸化物とは、1991年元素の周期表による3(3A)族の希土類元素であって、スカンジウムSc、イットリウムY、ランタノイド元素、ランタンLa、セリウムCe、プラセオジムPr、ネオジムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユウロピウムEu、カドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLuの水酸化物である。なかでも本発明の目的に合致して好ましい元素はCeであり4価のCeが好ましい。これら希土類元素水酸化物の混合体も有用である。中でもCeにYを5重量%以下含むものが好ましい。
【0018】
この本発明の希土類元素水酸化物は水を含有することを特徴とする。含水量は、希土類元素水酸化物(乾燥物)100重量部に対して水1〜30重量部、好ましくは5〜15重量部であること好ましい。本発明のホウ素吸着剤は上記のごとく特定量の水を希土類元素水酸化物が含有する為に有機高分子樹脂100重量部に対して600重量部以上の希土類元素水酸化物含有量を達成できたものである。そして、本発明のホウ素吸着剤によってはじめて、ホウ素吸着能も従来の2〜4倍の驚くべき吸着能を得る事ができたのである。本発明の吸着剤は、飽和吸着量(平衡吸着量)が図4に示すごとく従来技術で達し得なかった吸着量を示す。
【0019】
本発明のホウ素吸着剤が前記特定量の水分を含有する希土類元素水酸化物によってのみ製造することができる理由は定かでないが、特定の含水量とすることにより希土類元素水酸化物の流動性がよくなり樹脂との適当な混合が行われることと、水が2次凝集している希土類元素水酸化物を適度の粒径にする作用と、その2次粒子の空隙を作って適度のホウ素含有水との接触を可能にすること、及び水酸化物が酸化物に戻ることを防止し結果としてホウ素吸着能が高まっているものと推定される。
尚、本発明のホウ素吸着剤の含水量を測定する方法はホウ素吸着剤を構成する樹脂を樹脂溶解剤で除き、残った含水希土類元素水酸化物を800℃の高温に1時間放置してその蒸発分を含水希土類元素水酸化物で除した値を含水率で表現する。
【0020】
本発明で用いる希土類元素水酸化物は、その2次粒子が、平均粒径0.01〜0.1μmの1次粒子の凝集体であり、該2次粒子の平均粒径は0.2〜25μmが良く0・5〜10.0μmが好ましい。0.2μm未満では樹脂混合で包まれてホウ素含有水との接触が不足することがあり、25μmを超えると樹脂との混合が良くないことがある。
【0021】
次に、本発明のホウ素吸着剤の製造条件について説明する。
本件のホウ素吸着剤に用いる希土類元素水酸化物は、その水分含有量を希土類元素水酸化物(乾燥物)100重量部に対して1〜30重量部に調整する。希土類元素水酸化物は、塩化希土類化合物を溶媒抽出等の操作を実施した後、過酸化水素などの酸化剤を添加して酸化し、中和して水酸化物として、これを精製したものを純水で洗浄してケーキ状にしたもの、または市販の水酸化物のケーキ状のもので構わない。ケーキ状の希土類元素水酸化物は水を過剰に含んでいるので、本発明の特定の水分量にするために通常の加熱装置を用いて50〜70℃の低温で処理して希土類元素水酸化物に対して1〜30重量部の水分量に調整する。
【0022】
上記のようにして得られた特定量の水分を含有する希土類元素水酸化物は、引き続き高分子樹脂と混合して本発明のホウ素吸着剤が得られる。
混合は特定量の水分を含む希土類元素水酸化物に対して、6倍以上の重量の高分子樹脂を溶媒に溶解させた溶液を添加して分散体とすることで行い、得られた分散体は通常の造粒機を用いて平均粒子径が0.2mm〜5.0mm、水分量が希土類元素水酸化物に対して1〜30重量部の本発明のホウ素吸着剤を得ることができる。なお、前記分散体を調製する際には、高分子樹脂を有機溶媒にあらかじめ溶解させずに、希土類元素水酸化物とともに有機溶媒に混合してもよい。
尚、上記溶媒は高分子樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明のホウ素吸着剤を説明する。
尚、本発明のホウ素吸着剤の処理能力は、ホウ素吸着剤を所定の容器内に充填し、所定の濃度のホウ素含有水である被処理用水をホウ素吸着剤の容量に対して1〜400倍体積を通水した際の通水後の被処理用水中のホウ素濃度で表す。
尚、ホウ素吸着剤の容量当たり何倍体積の水を流したかを本発明では通水倍率とあらわす。例えば、1Lのホウ素吸着剤で通水倍率200というと、水を200L流したことを言う。
また、以下の実施例中SVとは、空塔速度(スペースヴェロシテイ)であり、吸着剤当たりの通水量であり、吸着剤1L当たりの水の通水速度のことである。例えば時間当たり吸着剤の20倍の速度であれば、20L/Hrで通水したことを言う。
飽和吸着量とは、特定濃度のホウ素溶液で吸着剤にそのホウ素を吸着させた場合の最大どれだけ吸着出来るかを示す値で、ホウ素濃度により変わる。
【0024】
【実施例1、比較例1】
水道水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)濃度20.17mg/Lにした液を作製しPH8.5を確認した。以下これを水道水ホウ素含有液という。また、純水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)濃度20.72mg/Lにした液を作製しPH8.5を確認した。以下これを純水ホウ素含有液という。別に、水酸化セリウムを70℃低温乾燥機で水分率20重量%にして含水酸化セリウム粉末を得た。この粉末とフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレン共重合樹脂とを溶媒N―メチル−2−ピロリドンに混合、分散させて分散液を得た。次いでこの分散液を造粒機で造粒し、水洗して、樹脂100重量部に対して水酸化セリウム700重量部の割合になる丸みのある平均粒径0.70mmの粒子を得た。以下この粒子をREAD−Bという。
【0025】
このREAD−Bとは別に、比較例として市販品のホウ素選択性キレート樹脂(三菱化学社製登録商標)ダイヤイオン CRB02(コンデショニング;硫酸浸漬、苛性ソーダ中和)と特許文献4(特公昭63−24431号公報)の実施例27の記載に基づき作製した吸着剤A(ポリアクリルニトリル樹脂を用いて造粒したものであって、樹脂100重量部に対して水酸化セリウム400重量部に相当するもの)を用意した。
【0026】
先の水道水ホウ素含有液と純水ホウ素含有液とをそれぞれ、この粒子READ−Bを15ml及びCRB02を15ml及び吸着剤Aを15ml各々カラム塔に充填して空塔速度(カラムスペースベロシテイー;SV)が20の条件で、通水倍率(充填粒子容量当たりの通水容量の倍率)を変化させて実験し、通水させた該液中のホウ素濃度(mg/L)(処理液ホウ素濃度)と全有機炭素(以下、TOCと称する)とを測定した。TOCの測定分析装置は島津製作所製TOC−VCSH型装置を使用し、サンプル採取法は通水倍率200倍時点の純水ホウ素含有液で採取し、TOCの数値は通水液の純水ホウ素含有液の差から求めた。その結果は図1と表1に示す。
【0027】
表1から本発明吸着剤は、比較例1との比較でも明らかに水中への溶解物の溶出し易さを防止(実施例1では0ppb)でき飲料用、超純水用に問題がなく、図1からは水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、を解決していることが分かる。また、多段大型装置の必要もないのでその操作の複雑さもなく、粉体で沈殿させることがないので吸着沈殿物スラッジの多さの問題もなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
【実施例2、比較例2】
水道水にH3BO3試薬1級を溶解して(初期)B濃度200mg/Lにした液を作製し、Na2SO4を8,000mg/L濃度含有させPH9.0の液を作製した。この作製液1Lづつに、実施例1で製作した含水酸化セリウムのホウ素吸着剤READ−B、市販品前記CRB02を加えて70時間撹拌した。撹拌を終えた液の液相B濃度(mg/L)とホウ素吸着量(g/g−CeO2)との関係をみた。なお、測定は、ホウ素吸着剤の使用量を変えて行った。結果は図2に示される通り、該READ−Bは、市販品樹脂CRB02に比べあらゆる液相B濃度(mg/L)において全域でホウ素吸着量(g/g−CeO2)が高いことが分かった。
【0030】
【実施例3、比較例3】
実施例1、比較例1とは、純水ホウ素含有液を(初期)B濃度を極めて高い203.0mg/L(H3B03)にし、その他のイオンのSO4を5,000mg/L、CLを10,000mg/L、S206を300mg/L、Mgを300mg/Lに含有する他は、全て同様に操作した。その結果を図3に示す。
図3から判明するようにB吸着を阻害するイオンの存在下でも本発明の吸着剤はBをしっかり吸着し市販樹脂より極めて優れた水中ホウ素の吸着性の良さ、吸着速度の早さ、吸着性の短時間経時低下も無い性能を示すことが分かった。
【0031】
【実施例4】
実施例1のREAD−Bを、(初期)B濃度(mg/L(H3B03))を15mg/LでPHを8.5に調整した純水ホウ素含有液の1Lに加えて72Hr間撹拌した。なお、測定は、ホウ素吸着剤の使用量を変えて行った。その結果を図4に示す。本発明の吸着剤が、低濃度から高濃度まで有効に吸着していることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、水中への溶解物の溶出し易さ、水中ホウ素の吸着性の悪さ、吸着沈殿物スラッジの多さ、吸着速度の遅さ、吸着性の短時間経時低下、耐熱性の低さ、多段大型装置の操作の複雑さの全ての欠点を同時に解決することが出来る。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のホウ素吸着性能を示す図であり通水倍率と処理液ホウ素濃度(mg/L)の関係図である(実施例1、比較例1)。
【図2】図2は、ホウ素吸着量(g/g−CeO2)と液相B濃度(mg/L)との関係図である(実施例2、比較例2)。
【図3】図3は、本発明のホウ素以外のイオン存在下の通水倍率と処理液ホウ素濃度の関係図である(実施例3、比較例3)。
【図4】図4は、液相ホウ素濃度(mg/L)と吸着量(g/L)の関係図である(実施例4)。
Claims (5)
- 高分子樹脂と高分子樹脂100重量部当たり600重量部以上の希土類元素水酸化物とを含有してなるホウ素吸着剤。
- 該高分子樹脂が、フッ素系樹脂又はポリビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素吸着剤。
- 該希土類元素水酸化物の、平均2次粒子径が1〜6μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のホウ素吸着剤。
- 該希土類元素水酸化物が、該水酸化物100重量部当たり水分1〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載のホウ素吸着剤。
- 希土類元素水酸化物100重量部に対して水分含量を1〜30重量部に調整した、平均2次粒子径0.2〜25μmを有する希土類元素水酸化物を、親水性のない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する有機溶媒に混合し、もしくは親水性のない高分子樹脂を溶解した有機溶媒容液と混合し、分散液を調製し、次いで該分散液から平均粒径0.2mm〜5.0mmの粒子に造粒するホウ素吸着剤の製造方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081111 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090312 |