以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は、距離測定装置1の高さ方向である。
図1は、距離測定装置1の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、距離測定装置1は、円柱状の固定部10と、固定部10に回転可能に配置された回転部20とを備える。回転部20は、径の異なる2つの支持部材21、22を備えている。支持部材21の上面に支持部材22が設置されて、回転部20が構成される。支持部材22の側面に開口22aが設けられている。開口22aから測距領域に向かってレーザ光(以下、「投射光」という)が投射され、測距領域で反射されたレーザ光(以下、「反射光」という)が開口22aから内部に取り込まれる。
回転部20は、Z軸に平行、且つ、回転部20の中心を貫く回転中心軸R10を中心に回転する。回転部20の回転に伴い、開口22aから投射される投射光の光軸が回転中心軸R10を中心に回転する。これに伴い、測距領域(投射光の走査位置)も回転する。後述のように、距離測定装置1は、測距領域に投射光を投射したタイミングと、測距領域からの反射光を受光したタイミングとの間の時間差(タイムオブフライト)に基づいて、測距領域に存在する物体までの距離を計測する。上記のように回転部20が回転中心軸R10の周りに1回転することにより、距離測定装置1は、周囲360°の範囲に存在する物体までの距離を計測できる。
図2は、距離測定装置1の構成を示す断面図である。
図2には、図1に示した距離測定装置1を、X−Z平面に平行な平面により、Y軸方向の中央位置で切断したときの断面図が示されている。図2では、光源31から出射され、測距領域へと向かう投射光が破線で示され、測距領域からの反射光が一点鎖線で示されている。
図2に示すように、固定部10は、円柱状の支持ベース11と、複数のコイル12と、ヨーク13と、カバー14と、を備えている。支持ベース11は、たとえば樹脂で形成されている。支持ベース11の下面が、円形皿状のカバー14で塞がれる。
支持部材21は、円筒状のベアリング24を介して、支持ベース11に設置されている。ベアリング24は、内筒24aと外筒24bとの間に複数のベアリングボール24cが周方向に並ぶように配置された構成である。支持部材21には、Z軸負方向に突出する円筒形状の筒部21aが形成され、支持ベース11には、Z軸正方向に突出する円筒形状の筒部11aが形成されている。筒部11aの外径は、ベアリング24の内筒24aの内径より僅かに大きく、筒部21aの内径は、ベアリング24の外筒24bの外径より僅かに小さい。筒部11aと筒部21aとの間に、ベアリング24が嵌め込まれて、支持部材21が、回転中心軸R10について回転可能に、支持ベース11に支持されている。
支持ベース11には、筒部11aの外側に、円筒状の壁部11bが形成されている。壁部11bの中心軸は、回転中心軸R10に整合する。壁部11bの外周にヨーク13が嵌め込まれている。ヨーク13は、リング状の基部から放射状に突出する複数の突出部13aを備える。周方向における突出部13aの間隔は一定である。各突出部13aに、それぞれ、コイル12が巻回されて装着されている。
支持部材21の外周部には、周方向に連続する段差部21bが形成されている。この段差部21bに、複数の磁石23が周方向に隙間なく設置されている。隣り合う磁石23は、内側の極性が互いに相違している。
これら磁石23は、ヨーク13の突出部13aに対向する。したがって、コイル12に対する電流制御により、回転部20が回転中心軸R10について回転駆動される。コイル12、ヨーク13およびベアリング24は、回転部20とともにミラー34を回転中心軸R10について回転させる駆動部を構成する。
距離測定装置1は、光学系の構成として、光源31と、コリメータレンズ32と、ホルダ33と、ミラー34と、集光レンズ35と、光学ユニット36と、フィルタ37と、光検出器38と、を備えている。光源31は、コリメータレンズ32とともにホルダ33に保持されている。光源31と、コリメータレンズ32と、ミラー34とは、投射光を測距領域に投射する投射光学系を構成する。
光源31は、たとえば半導体レーザであり、レーザ光(投射光)を出射する。光源31は、支持ベース11側から図示しない配線を通して電流駆動され発光する。光源31の出射光軸は、Z軸に平行である。光源31から出射された投射光は、コリメータレンズ32によって平行光化される。平行光化された投射光は、集光レンズ35の上方に配置されたミラー34に入射する。光源31とコリメータレンズ32は、ホルダ33に保持された状態で、集光レンズ35に設置される。集光レンズ35の中央に上下に貫通する円形の孔が形成され、この孔に円柱状のホルダ33が嵌め込まれて設置されている。
ミラー34は、片面に反射面34aを有する反射ミラーである。反射面34aの中心位置は、回転中心軸R10に略整合している。反射面34aは、Z軸方向に見た場合に略正方形の形状を有する。ミラー34は、回転中心軸R10に対して反射面34aが45°傾くように、回転部20の支持部材22に設置されている。
コリメータレンズ32を介してミラー34に入射した投射光は、ミラー34によって、回転中心軸R10に垂直な方向に反射される。その後、投射光は、開口22aを通って、測距領域へと投射される。
測距領域に物体が存在する場合、開口22aから測距領域に投射された投射光は、物体で反射されて、再び、開口22aへと向かう。こうして物体によって反射された投射光(反射光)は、開口22aから取り込まれ、ミラー34に導かれる。その後、反射光は、ミラー34によってZ軸負方向に反射される。ミラー34で反射された反射光は、集光レンズ35により収束作用を受ける。集光レンズ35の光軸は、回転中心軸R10に整合する。
その後、反射光は、光学ユニット36、支持ベース11に形成された孔11c、およびフィルタ37を介して、光検出器38に集光される。光学ユニット36は、透明シート110と反射部材120を備える。透明シート110は、集光レンズ35と光検出器38との間に配置され、反射部材120は、透明シート110と光検出器38との間に配置される。光学ユニット36の構成については、追って図3(a)、(b)を参照して説明する。フィルタ37は、光源31から出射されるレーザ光(投射光)の波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光を遮光するよう構成されている。
光検出器38は、集光レンズ35により集光された反射光を受光面38aで受光し、受光光量に応じた検出信号を出力する。光検出器38は、たとえば、PINフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードにより構成される。光検出器38からの検出信号は、図示しない回路基板に配置された回路部に出力される。
なお、本実施形態では、集光レンズ35に光源31およびコリメータレンズ32が設置される構成のため、開口22aを介して取り込まれた反射光の一部は、ホルダ33によって遮光され、光検出器38へと集光されない。たとえば、図2において集光レンズ35の中央付近に一点鎖線で示した範囲の反射光は、その大部分が、ホルダ33によって遮光される。
図3(a)は、Z軸負方向に見た場合の光学ユニット36の構成を模式的に示す上面図であり、図3(b)は、Z軸正方向に見た場合の光学ユニット36の構成を模式的に示す下面図である。図3(c)は、図3(a)、(b)に示す光学ユニット36のA−A’断面をY軸負方向に見た場合の光学ユニット36の構成を模式的に示す断面図である。A−A’断面は、中心C10(図3(a)、(b)参照)を通るX−Z平面に平行な断面である。
図3(c)に示すように、光学ユニット36は、透明シート110と反射部材120を備える。透明シート110は、透明シート110の出射面112の外縁部分が反射部材120の上面121bに装着されることにより、反射部材120に一体化されている。
図3(a)、(c)に示すように、透明シート110は、Z軸方向に見て中心C10を中心とする円形状の薄板状のシートである。中心C10は、透明シート110の中心位置であり、且つ、反射部材120の開口122aの中心位置である。透明シート110は、たとえば、アクリルにより構成される。透明シート110は、反射光の大部分が透過するように高い透過率(たとえば、98%)を有する。なお、透明シート110は、高い透過率の材料からなっていればよく、ポリカーボネート、ガラス、透明な樹脂などにより構成されてもよい。
透明シート110のZ軸正側の面は、反射光が入射する入射面111であり、透明シート110のZ軸負側の面は、反射光が出射される出射面112である。入射面111および出射面112には、それぞれ、反射率を高めるための光学薄膜111a、112aが配置されている。光学薄膜111a、112aは、たとえば、誘電体材料の蒸着により配置される。なお、光学薄膜111a、112aは、別途形成された後、透明シート110に貼付されてもよい。
図3(b)、(c)に示すように、反射部材120は、側面部121と底面部122とが一体的に形成された筒状の部材である。反射部材120は、たとえば、アルミニウムにより構成される。なお、反射部材120は、ステンレスやプラスチックなどにより構成されてもよい。
側面部121は、円筒の側面形状を有する。側面部121のZ軸正側の端部には、開口121aと上面121bが形成されている。開口121aは円形状を有しており、側面部121の内部は、開口121aを介してZ軸正側に開放されている。上面121bは、開口121aの外側において、中心C10を中心とする円周方向の全周に亘って形成されている。上面121bは、X−Y平面に平行な平面である。
底面部122は、側面部121のZ軸負側の端部に形成されており、X−Y平面に平行な平板形状を有する。底面部122の中央には、Z軸方向に底面部122を貫通する開口122aが形成されている。開口122aは、円形状を有しており、開口122aの直径は、底面部122の外径よりも小さい。回転中心軸R10が中心C10を通るように、光学ユニット36が支持ベース11(図2参照)に設置される。これにより、開口122aの中心C10は、集光レンズ35の光軸に整合する。
底面部122の上面(Z軸正側の面)において、開口122aの周囲には反射面122bが形成される。反射部材120がアルミニウムにより構成されることにより、反射面122bは、光を反射する反射面となる。なお、反射面122bは、反射部材120の成形後に、底面部122の上面に反射膜がコーティングされることにより形成されてもよく、底面部122の上面に対して鏡面仕上げが施されることにより形成されてもよい。また、底面部122の上面に別途設置されたミラーにより、反射面122bが形成されてもよい。
図4(a)、(b)は、比較例の場合に測距領域の物体によって反射された反射光の光束を模式的に示す図であり、図5(a)、(b)は、実施形態の場合に測距領域の物体によって反射された光の光束を模式的に示す図である。図4(a)〜図5(b)は、回転中心軸R10(図2参照)を通るX−Z平面で各部を切断した切断面を示している。図4(a)〜図5(b)では、便宜上、光源31、コリメータレンズ32、ミラー34、およびフィルタ37の図示が省略されている。
図4(a)、(b)に示すように、比較例の構成では、図5(a)、(b)に示す実施形態の構成と比較して、光学ユニット36(透明シート110と反射部材120)が省略されている。
距離測定装置1の開口22a(図2参照)に取り込まれる光量は、測距対象の物体が距離測定装置1から遠い位置にある場合に小さくなる。すなわち、開口22aに取り込まれる光量は、物体までの距離の2乗に反比例する。したがって、図4(a)の比較例に示すように、距離測定装置1から最も遠い位置にある測距対象の物体からの反射光が集光レンズ35によって受光面38aに収束される位置に、光検出器38が配置される。すなわち、集光レンズ35は、測定対象の距離範囲のうち最遠距離からの反射光を受光面38aに集光させる焦点距離を有するように構成される。こうすると、遠い位置にある物体からの微弱な反射光を良好に受光できる。
しかしながら、図4(a)に示すように、最遠距離に基づいて光検出器38が配置されると、図4(b)に示すように、測距対象の物体が近い位置にある場合に、集光レンズ35によって集光される反射光が、受光面38aから外れてしまう。すなわち、測定対象の距離範囲のうち最近距離から遠方の所定の距離範囲において反射された反射光が、受光面38aにおいて受光されなくなる。したがって、比較例の場合、遠い位置にある物体からの光を適正に受光できるものの、近い位置にある物体からの光を適正に受光できない。
これに対して、本実施形態では、図5(a)、(b)に示すように、集光レンズ35と光検出器38との間に光学ユニット36(透明シート110と反射部材120)が配置されている。本実施形態においても、比較例と同様、集光レンズ35は、測定対象の距離範囲のうち最遠距離からの反射光を、受光面38aに集光させる焦点距離を有するように構成される。また、集光レンズ35によって収束された最遠距離からの反射光のほぼ全てが、透明シート110を介して、反射部材120の開口122aを通過するよう、光学ユニット36の各部の大きさや位置が設定される。
さらに、図5(b)に示すように、測定対象の距離範囲のうち最近距離から遠方の所定の距離範囲において反射され集光レンズ35によって収束された反射光の少なくとも一部が、反射部材120の反射面122bによって反射され、透明シート110によって反射され、最終的に受光面38aに導かれるよう、反射部材120の各部の大きさや位置が設定される。
具体的には、透明シート110と反射面122bとの距離は、反射部材120の高さ(側面部121のZ軸方向における長さ)によって規定される。したがって、反射面122bで反射された反射光が、透明シート110で反射されて光検出器38に適切に導かれるように、反射部材120の高さが調整される。また、開口122a以外の底面部122の上面によって、反射面122bが構成される。ここで、開口122aの径方向における底面部122の幅(換言すると、開口122aの径)によって、近距離範囲からの反射光が反射面122bで反射される光量が決まる。したがって、反射面122bで反射された反射光が、透明シート110で反射されて光検出器38に適切に導かれるように、底面部122の幅が調整される。
なお、底面部122の幅が広すぎ、開口122aの径が小さすぎると、遠距離範囲からの反射光が反射面122bで遮られ、開口122aを通過する反射光の光量が低下する。このため、底面部122の幅および開口122aの径は、近距離からの反射光のみならず、遠距離範囲からの反射光も、適正に光検出器38に導くことが可能な大きさに設定される必要がある。
この他、光学ユニット36のZ軸方向の位置も、透明シート110と反射面122bとの距離、および底面部122の幅(開口122aの径)との関係から、近距離からの反射光と、遠距離範囲からの反射光とを、適正に光検出器38に導くことが可能な位置に調整される。
本実施形態において、測距対象の物体が最遠距離にある場合、図5(a)に示すように、集光レンズ35によって収束された反射光は、透明シート110の入射面111から入射して透明シート110を透過し、反射部材120の開口122aを通過して、受光面38aに集光される。このとき、透明シート110を通過した反射光は、反射面122bにほぼ掛からない。
本実施形態において、測距対象の物体が最近距離から所定範囲にある場合、図5(b)に示すように、集光レンズ35によって収束された反射光の内側部分(中心C10(図3(a)、(b)参照)に近い部分)は、図4(b)と同様、開口122aを通過した後、光検出器38から外れた位置を通る。他方、集光レンズ35によって収束された反射光の外側部分は、反射面122bに入射して反射面122bによって反射される。反射面122bによって反射された反射光の一部は、さらに透明シート110によって反射され、受光面38aに集光される。
より詳細には、反射面122bによって反射された反射光の一部は、透明シート110の出射面112によって反射されて受光面38aに導かれる。また、反射面122bによって反射された反射光のうち、透明シート110の出射面112を透過した反射光の一部は、透明シート110の入射面111によって反射されて受光面38aに導かれる。
このように、実施形態の場合は、開口122aを通過した反射光と反射面122bおよび透明シート110によって反射された反射光とが、相補的に受光面38aに導かれるため、物体の距離にかかわらず、反射光を受光面38aへと導くことができる。
次に、発明者が行った反射光の光線に関するシミュレーションについて説明する。
図6は、本シミュレーションにおいて設定した各部のサイズを示す図である。
本シミュレーションでは、集光レンズ35の中心に配置された光源31から、Z軸正方向に波長905nmの光を出射させた。光源31から出射された時点でのビームスポットBSの直径φ1を4mmとした。Z軸正方向に出射された光を、集光レンズ35から所定の距離に配置したX−Y平面に平行な物体面Rによって反射させ、物体面Rからの反射光を、集光レンズ35に対してZ軸負方向に入射させた。
集光レンズ35の外形(Z軸負側の光学面の直径)φ2を25mmとした。集光レンズ35の中央部分を通る反射光を遮光するためのホルダ33の直径φ3を7.5mmとした。集光レンズ35の焦点距離を30mmとした。集光レンズ35を、ポリカーボネートにより形成した。受光面38aを、集光レンズ35の焦点距離の位置に配置した。
透明シート110をアクリルにより構成した。透明シート110のZ軸方向における長さ(厚み)d1を1mmとした。本シミュレーションでは、光学薄膜111a、112a(図3(c)参照)を省略した。透明シート110と空気との屈折率差により生じる表面反射の比率(表面反射率)を、入射面111および出射面112の何れにおいても4%とした。
反射部材120をアルミニウムにより構成した。反射部材120を、底面部122(図3(c)参照)のみにより構成した。反射部材120のZ軸方向における長さ(厚み)d2を0.4mmとした。開口122aの直径φ4を1.8mmとした。透明シート110と反射部材120との間隙d3を2.6mmとした。反射部材120と光検出器38との間隙d4を1.5mmとした。集光レンズ35のZ軸負側の面と透明シート110との軸上距離d5を20mmとした。光検出器38の受光面38aの直径φ5を0.5mmとした。
この条件の下、発明者は、物体面RをZ軸方向に移動させて、受光面38aから物体面Rまでの距離を100mm〜4000mmまたは130mm〜4000mmの間で変化させて、光線のシミュレーションを行った。具体的には、測定対象の距離範囲を、比較例の場合130mm〜4000mmとし、実施形態の場合100mm〜4000mmとした。最近距離を、比較例の場合130mmとし、実施形態の場合100mmとした。比較例および実施形態の最遠距離を4000mmとした。
このシミュレーションでは、物体面Rまでの距離が4000mm(最遠距離)の場合に、反射光のほぼ全てが透明シート110を透過し、反射部材120の開口122aを通過した。また、物体面Rまでの距離が4000mm(最遠距離)の場合に、集光レンズ35を透過した反射光が、集光レンズ35の収束作用により光検出器38の受光面38aに収束するよう光検出器38を配置した。そして、物体面Rまでの距離を変化させて、受光面38aで受光される反射光の受光光量を算出した。
図7(a)、(b)は、それぞれ、比較例において物体面Rが遠距離(4000mm)および近距離(150mm)にある場合の反射光の光線を示す図である。図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態において物体面Rが遠距離(4000mm)および近距離(150mm)にある場合の反射光の光線を示す図である。図7(a)〜図8(b)は、集光レンズ35の光軸を通るX−Z平面で各部を切断した切断面をY軸負方向に見た側面図である。
図7(a)および図8(a)に示すように、物体面Rまでの距離が4000mmのとき、比較例および実施形態の何れの場合も、集光レンズ35によって収束された反射光は、受光面38aに集光された。
図7(b)に示すように、比較例において、物体面Rまでの距離が150mmのとき、集光レンズ35によって収束された反射光のほぼ全てが、受光面38aには集光しなかった。一方、図8(b)に示すように、実施形態において、物体面Rまでの距離が150mmのとき、集光レンズ35によって収束された反射光のうち、開口122aの周囲近傍の反射光は、反射面122bによって反射された後、さらに透明シート110によって反射されて、受光面38aに集光された。
なお、図8(b)では、便宜上、反射面122bで反射された反射光のうち、透明シート110の出射面112で反射される光線のみが図示されている。しかし、実際は、透明シート110に厚みがあるため、反射面122bで反射された反射光の一部は、上記のように、透明シート110の出射面112を透過した後、入射面111で反射されて、受光面38aに導かれる。したがって、反射面122bで反射されて光検出器38に導かれる反射光には、この光線の成分も含まれる。
図9は、比較例および実施形態に係るシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は、受光面38aから物体面Rまでの距離(mm)であり、縦軸は、距離4000mmにおける受光面38aの受光光量を1とした場合の受光光量(任意単位)である。図9において、ノイズや光検出器38の検出感度等の影響なく適正に測定を行うことが可能な受光光量は1以上である。
比較例の場合、物体面Rまでの距離が300mm以下になると、急激に受光光量が減少し、受光光量が1を下回った。これに対し、実施形態の場合、図8(b)に示したように、近距離からの反射光が反射面122bおよび透明シート110によって受光面38aに導かれることにより、物体面Rまでの距離が300mm以下になっても、受光光量は高いレベルで維持された。このように、実施形態では、物体までの距離が短い場合でも受光光量の減少を抑制できることを確認できた。
なお、比較例および実施形態の何れの場合も、物体面Rまでの距離が1000mm〜4000mmの間において、物体面Rまでの距離が長くなるにつれて受光光量が減少した。ここで、上述したように、物体面Rまでの距離が4000mmの場合に、反射光が受光面38aに収束するよう光検出器38が配置されている。これにより、物体面Rまでの距離が1000mm〜4000mmの場合には、反射光がほぼ漏れなく受光面38aに導かれる。しかしながら、物体面Rまでの距離が1000mm〜4000mmの場合には、集光レンズ35に入射する反射光自体が微弱になるため、比較例および実施形態の何れの場合も受光光量が減少する。
以上のように、実施形態では、透明シート110を介して開口122aを通過する反射光の受光光量が大きく低下する距離範囲(上記シミュレーションの場合、距離が300mm以下の範囲)において、反射面122bおよび透明シート110で反射された反射光が光検出器38に導かれるよう、透明シート110および反射部材120が設定される。これにより、測距可能な距離範囲を広げることができる。
なお、反射面122bおよび透明シート110によって受光光量が補われる距離範囲は、図9に示した距離範囲(100〜300mm)に限られるものではなく、たとえば、図9において、さらに、300mm以上の所定の距離範囲においても、反射面122bおよび透明シート110で反射された反射光が、光検出器38に導かれてもよい。
すなわち、光検出器38の受光光量が、ノイズや光検出器38の検出感度等の影響なく適正に測定を行うことが可能な所定光量(上記シミュレーションの場合、受光光量が1)以上となるように、透明シート110および反射部材120が設定されればよい。具体的には、受光光量が上記所定光量以上となるように、透明シート110の厚みd1、透明シート110と反射部材120との間隙d3、開口122aの直径φ4、および透明シート110の表面反射率が設定されればよい。このほか、集光レンズ35の焦点距離、集光レンズ35と透明シート110との軸上距離d5、および反射部材120と光検出器38との間隙d4なども適宜設定されてもよい。
図10は、距離測定装置1の回路部の構成を示す図である。
距離測定装置1は、回路部の構成として、コントローラ101と、レーザ駆動回路102と、回転駆動回路103と、信号処理回路104と、を備える。
コントローラ101は、CPU等の演算処理回路とメモリとを備え、所定の制御プログラムに従って各部を制御する。レーザ駆動回路102は、コントローラ101からの制御に応じて、光源31を駆動する。回転駆動回路103は、コントローラ101からの制御に応じて、コイル12に電流を導通させる。たとえば、コントローラ101は、回転部20が所定の回転速度で回転するように、回転駆動回路103を制御する。これに応じて、回転駆動回路103からコイル12に導通させる電流の強度とタイミングが調節される。
信号処理回路104は、光検出器38から入力される検出信号に対し、増幅およびノイズ除去の処理を施して、コントローラ101に出力する。通信インタフェース105は、距離測定装置1が設置される機器との間で通信を行うためのインタフェースである。
測距動作において、コントローラ101は、回転駆動回路103を制御して回転部20とともにミラー34を回転させつつ、レーザ駆動回路102を制御して、所定のタイミングごとに、所定パルスのレーザ光を光源31から出力させる。コントローラ101は、信号処理回路104から入力される光検出器38の検出信号に基づいて、各出射タイミングにおいて出射されたレーザ光パルスの受光タイミングを検出する。そして、コントローラ101は、レーザ光の出射タイミングと受光タイミングとの間の時間差(タイムオブフライト)に基づいて、各出射タイミングにおいて測距領域に存在した物体までの距離を計測する。
コントローラ101は、こうして算出した距離のデータを、随時、通信インタフェース105を介して、距離測定装置1が設置された機器に送信する。機器側では、受信した距離データに基づき、周囲360°に存在する物体までの距離が取得され、所定の制御が実行される。
<実施形態の効果>
以上、実施形態によれば、以下の効果が奏される。
図5(b)に示したように、所定距離より近い距離範囲の物体から反射された反射光は、その少なくとも一部が、反射部材120の反射面122bで反射された後、透明シート110で反射されて、光検出器38に導かれる。これにより、近距離範囲からの反射光の受光光量を高めることができる。また、図5(a)に示したように、遠距離範囲からの反射光は、反射部材120の開口122aを通過して光検出器38に集光される。したがって、遠距離範囲からの反射光の受光光量も高く維持できる。よって、測定対象の距離範囲において、物体からの反射光をより適正に光検出器38に導くことができる。
反射部材120の開口122aは、円形であり、開口122aの中心C10が、集光レンズ35の光軸に整合している。この構成によれば、所定距離より近い距離範囲の物体から反射された反射光の外周部分を、全周に亘って反射面122bに入射させて、光検出器38へと導くことができる。これにより、光検出器38に導かれる当該反射光の光量を高めることができる。また、遠距離の物体からの反射光は、開口122aを通って、光検出器38へと導かれる。よって、遠距離からの物体からの反射光を光検出器38で円滑に受光できる。
透明シート110の入射面111および出射面112の少なくとも一方に、反射率を高めるための光学薄膜が配置されている。具体的には、入射面111および出射面112に、それぞれ、光学薄膜111a、112aが配置されている。これにより、反射面122bで反射された反射光を、光学薄膜によって、より効率良く光検出器38に導くことができる。よって、光検出器38により受光される近距離範囲からの反射光の光量を高めることができる。
たとえば、透明シート110の入射面111および出射面112の反射率を4%、透明シート110の入射面111および出射面112に光学薄膜を設けた場合の入射面111および出射面112の反射率を6%とすると、光学薄膜を設けた場合の透明シート110を透過する反射光の比率は、(100%−6%)^2=88.4%となる。反射面122bで反射された後、透明シート110で反射される反射光の比率は、88.4%×(100%−(100%−6%)^2)=10.3%となる。一方、この場合に光学薄膜が設けられないと、透明シート110を透過する反射光の比率は、(100%−4%)^2=92.2%となる。反射面122bで反射された後、透明シート110で反射される反射光の比率は、92.2%×(100%−(100%−4%)^2)=7.2%となる。このように、光学薄膜を設けることにより、反射面122bおよび透明シート110で反射され光検出器38へと導かれる反射光の光量を高めることができる。
反射部材120は、上面121bが開口121aにより開放された筒状の部材からなっており、反射部材120の底面部122(底面)に開口122aが形成されている。透明シート110は、反射部材120の上面121bに装着されて、反射部材120に一体化されている。この構成によれば、透明シート110と反射部材120とが一体化されているため、これらの部材を光学系に配置する際に、透明シート110と反射部材120(反射面122b)との位置調整を行う必要がない。よって、透明シート110と反射部材120とを光学系に容易に配置できる。
図2に示したように、レーザ光(投射光)を出射する光源31は、集光レンズ35の中央に埋め込まれて設置されている。このように、光源31が集光レンズ35の中央に埋め込まれると、反射光が光源31によって遮られるため、集光レンズ35に向かう反射光のうち、集光レンズ35の外周領域に入射した反射光のみが光検出器38に集光されることになる。したがって、この構成では、上記比較例のように透明シート110および反射部材120が配置されていない場合、物体の遠近によっては反射光の集光領域が光検出器38から外れてしまうことが起こり得る。これに対し、実施形態の距離測定装置1によれば、上記のように透明シート110および反射部材120が配置されるため、このように光源31が集光レンズ35に埋め込まれていても、物体の遠近にかかわらず反射光を光検出器38に導くことができる。
<変更例>
距離測定装置1の構成は、上記実施形態に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、反射部材120は、上面121bが開口121aにより開放された円筒形状であったが、これに限らず、上面121bが開口121aにより開放された角筒形状であってもよい。たとえば、反射部材120は、四角筒形状であり、図11(a)に示すように、Z軸方向に見て正方形であってもよい。このように反射部材120の形状が変更される場合、透明シート110の形状も、反射部材120の上面121bの外形に合わせて変更される。
また、上記実施形態では、側面部121と底面部122とが一体的に形成された反射部材120の上面121bに、透明シート110を装着することにより、透明シート110と反射部材120とが一体化された。しかしながら、透明シート110と反射部材120とを一体化する構成は、これに限らない。たとえば、反射部材120が開口122aを有する板状の部材である場合、透明シート110と反射部材120との間にリング状または上下面が開放された筒状の部材を介在させて、透明シート110と反射部材120とを一体化させてもよい。
また、上記実施形態において、透明シート110と反射部材120は、必ずしも一体化されていなくてもよく、光学系に個別に配置されてもよい。たとえば、透明シート110と反射部材120は、個別に支持ベース11(図2参照)に設置されてもよい。ただし、透明シート110と反射部材120とを個別に支持ベース11に設置させる場合、透明シート110と反射部材120との位置調整を別途行う必要がある。したがって、位置調整の手間を省くためには、上記実施形態のように、透明シート110と反射部材120とが一体化されるのが好ましい。
また、上記実施形態では、反射部材120の底面部122に設けられた開口122aは、円形であったが、これに限らず、他の形状であってもよい。
たとえば、開口122aは、図11(b)〜(d)に示す形状であってもよい。図11(b)〜(d)に示す変更例では、開口122aは、それぞれ、正方形、円の外周に切欠き122cが付与された形、および、径の異なる半円が合わせられた形である。図11(b)〜(d)の何れの変更例においても、測距対象の物体が最遠距離にある場合に、集光レンズ35によって収束された反射光の領域(図11(b)〜(d)の破線の領域)が開口122a内に収まるように、開口122aの大きさが設定される。これらの場合、上記実施形態に比べて、開口122aの面積が広がるため、遠距離範囲からの反射光をより確実に光検出器38の受光面38aへと導くことができる。
また、実施形態と比較して開口122aが大きくなると、近距離の物体からの反射光のうち反射面122bによって反射される反射光の光量が減少するため、受光面38aに導かれる反射光の光量が減少する。したがって、近距離範囲からの反射光の光量が大きすぎる場合には、開口122aの形状や大きさを変更することによって、光検出器38に導かれる近距離範囲からの反射光の光量を所望の光量に設定できる。
また、上記実施形態では、反射部材120の反射面122bは、X−Y平面に平行な面であったが、これに限らず、反射面122bおよび透明シート110で反射される反射光と、開口122aを通過する反射光とが相補的に光検出器38に導かれれば、反射面122bは他の形状であってもよい。たとえば、反射面122bは、回転中心軸R10から離れるに従って、回転中心軸R10に平行な一方向に変位するように傾斜していてもよい。
たとえば、図12(a)に示すように、反射面122bは、X−Y平面に対して鋭角の所定の角度を有する平面であってもよい。図12(a)の変更例では、反射面122bは円錐の側面に整合する。また、図12(b)に示すように、反射面122bは、曲面であってもよい。反射面122bが曲面により構成される場合、回転中心軸R10を含む平面による断面において、反射面122bは、たとえば、円弧形状、楕円形状、放物線形状であってもよい。
また、反射面122bで反射された反射光のうち、透明シート110の出射面112で反射された反射光と透明シート110の入射面111で反射された反射光の両方が、適正に光検出器38へと導かれるように、透明シート110の厚みが設定されてもよい。
図13(a)、(b)は、透明シート110が所定の厚みを有する場合に、それぞれ、最遠距離からの反射光の光束および最近距離から所定の範囲において反射された反射光の光束を模式的に示す図である。図13(a)、(b)に示す変更例には、外縁付近における反射光の光束が、破線で示されている。
図13(a)に示すように、最遠距離からの反射光は、開口122aの内側を通り、光検出器38上の一点に対して集光する。一方、図13(b)に示すように、最近距離から所定の範囲において反射された反射光の一部は、反射部材120の反射面122bおよび透明シート110の出射面112により反射される。このとき、反射面122bで反射された反射光のうち、出射面112で反射された反射光と、出射面112を透過した後、入射面111で反射された反射光の両方が、光検出器38へと導かれるように、透明シート110の厚みが設定される。
この構成によれば、出射面112で反射された反射光と入射面111で反射された反射光の両方を、適正に光検出器38に導くことができる。よって、光検出器38により受光される近距離範囲からの反射光の光量を高めることができる。透明シート110の厚みは、近距離範囲からの反射光の受光光量を適切に高め得る値に最適化されればよい。
また、上記実施形態では、透明シート110の入射面111および出射面112の両方に光学薄膜が配置されたが、これに限らず、入射面111および出射面112の何れか一方に光学薄膜が配置されてもよく、入射面111および出射面112の何れにも光学薄膜が配置されなくてもよい。ただし、光学薄膜が配置されない場合、反射面122bで反射された反射光のうち、出射面112または入射面111で反射され光検出器38へと導かれる反射光の光量が、上記実施形態と比較して減少する。したがって、光検出器38へ導かれる反射光の光量を高めたい場合には、上記実施形態のように、入射面111および出射面112の両方に光学薄膜が配置されるのが好ましい。なお、光学薄膜は、透明シート110の内部に層構造として設けられてもよい。
また、上記実施形態において、透明シート110には、反射面122bからの反射光を光検出器38に集光させるレンズ作用が付与されてもよい。
また、上記実施形態では、光源31とコリメータレンズ32は、集光レンズ35の中央に埋め込まれるようにして設置されたが、これに限らず、他の方法により、光源31およびコリメータレンズ32が配置されてもよい。たとえば、光源31とコリメータレンズ32は、図14(a)〜(c)に示す変更例のように配置されてもよく、図15(a)、(b)に示す変更例のように配置されてもよい。
図14(a)〜(c)は、光源31が集光レンズ40のX軸正側に配置される変更例の構成を示す図である。図14(a)は、この変更例に係る距離測定装置1の構成を模式的に示す側面透視図であり、図14(b)は、この変更例に係る集光レンズ40の構成を示す斜視図であり、図14(c)は、この変更例に係る鏡筒50の構成を示す斜視図である。
図14(a)に示すように、この変更例では、上記実施形態と比較して、集光レンズ35に代えて集光レンズ40が設置されている。図14(b)に示すように、集光レンズ40は、側縁から中心まで延びる切欠き41を備える。言い換えれば、切欠き41は、集光レンズ40のX軸正側の外周部分から、回転中心軸R10に整合する光軸まで延びている。また、この変更例の切欠き41は、Z軸方向に集光レンズ40を貫通している。
集光レンズ40の中心位置に、レーザ光(投射光)を集光レンズ40の光軸方向に反射させるミラー39が配置される。レーザ光(投射光)は、集光レンズ40の側方から切欠き41に沿って入射してミラー39によって集光レンズ40の光軸に平行な方向(Z軸正方向)に反射される。ここでは、鏡筒50を用いて、光源31、コリメータレンズ32およびミラー39が配置される。図14(a)に示すように、切欠き41に、鏡筒50が嵌め込まれる。
図14(c)に示すように、鏡筒50は、X軸方向に延びた筒部51と、Z軸方向に延びた筒部52とが一体的に形成された部材である。筒部52の中心軸は、回転中心軸R10および集光レンズ40の光軸に整合する。コリメータレンズ32は、筒部51の内部の中央付近に設置されており、光源31は、筒部51のX軸正側端部の開口51aに設置される。ミラー39は、筒部51と筒部52の接合部分の内部に設置される。光源31、コリメータレンズ32およびミラー39が設置された鏡筒50が、集光レンズ40の切欠き41に嵌め込まれると、図14(a)に示すように、光源31、コリメータレンズ32およびミラー39がX軸方向に並び、ミラー39が集光レンズ40の中心位置に位置付けられる。
図14(a)に示すように、光源31から出射されたレーザ光(投射光)は、集光レンズ40の側方から切欠き41に沿って入射して、ミラー39によって集光レンズ40の光軸方向に反射される。具体的には、光源31からX軸負方向に出射された投射光は、鏡筒50内を通って、コリメータレンズ32によって平行光化された後、ミラー39によりZ軸正方向へと反射され、筒部52のZ軸正側端部の開口52aからZ軸正方向に出射される。
開口52aから出射された投射光は、回転中心軸R10を中心に回転するミラー34によって回転中心軸R10に垂直な方向に反射され、距離測定装置1に設けられた光学窓1aを透過して測距領域に投射される。測距領域の物体からの反射光は、光学窓1aを介して、距離測定装置1内に取り込まれ、ミラー34によりZ軸負方向に反射される。ミラー34によって反射された反射光は、集光レンズ40により集光され、上記実施形態と同様、光学ユニット36とフィルタ37を介して光検出器38へと導かれる。
この変更例においても、上記実施形態と同様、光学ユニット36(透明シート110と反射部材120)が設けられている。これにより、測定対象の距離範囲のうち遠距離からの反射光を光検出器38に集光させるとともに、測定対象の距離範囲のうち近距離からの反射光も、光検出器38へと導くことができる。
また、この変更例によれば、光源31および光源31を駆動するための駆動回路を集光レンズ40に組み込む必要がないため、光源31および光源31の駆動回路を、上記実施形態と比較して、光検出器38および光検出器38が設置された回路基板から遠ざけることができる。また、上記実施形態と異なり、集光レンズ35の真下に光源31に繋がる接続配線を配置する必要がない。これにより、光検出器38の検出信号に重畳するノイズを低減させることができる。
また、この変更例によれば、光源31から出射されたレーザ光(投射光)の光路を覆う鏡筒50のみが集光レンズ40の内部に配置されるため、集光レンズ40の開口面積の減少を抑えることができる。これにより、光検出器38へと導かれる反射光の光量を高めることができる。また、コリメータレンズ32と光源31を間隔が広くなるように配置できるため、コリメータレンズ32の焦点距離を長く設定できる。これにより、光学倍率を適正に設定して光検出器38の受光面38aにおけるビームスポットを小さくできるため、測距領域の物体からの反射光を効率よく光検出器38に導くことができる。
図14(a)〜(c)に示した変更例では、鏡筒50は、集光レンズ40をZ軸方向に貫通する切欠き41により保持されたが、これに限らず、集光レンズ40の光軸からX軸正方向に延び、且つ、Z軸正方向に開放された凹状の切欠きにより保持されてもよい。
また、図14(a)〜(c)の構成では、鏡筒50の開口51aに光源31が設置されたが、光源31は、必ずしも、鏡筒50の開口51aに設置されなくともよい。たとえば、光源31とミラー39とがX軸方向に向き合うように、光源31が鏡筒50の外側に配置されてもよく、あるいは、光源31から出射されたレーザ光が、別のミラーで反射されて、切欠き41に沿ってミラー39へと向かう構成であってもよい。また、ミラー39は、必ずしも、鏡筒50と別部材でなくてもよく、たとえば、鏡筒50の筒部51と筒部52との接続部分に平面状の傾斜面を設け、この傾斜面を鏡面仕上げすることで、ミラー39が構成されてもよい。
図15(a)、(b)は、光源31とコリメータレンズ32が回転中心軸R10のX軸負側に配置される変更例の構成を示す図である。図15(a)は、この変更例に係る距離測定装置1の構成を模式的に示す側面透視図であり、図15(b)は、この変更例に係るミラー62の拡大側面図である。
図15(a)に示すように、この変更例では、光源31と光検出器38が、X軸方向に並ぶように基板に設置されている。また、集光レンズ35のZ軸負側において、固定部10にミラー61、62が設置されている。コリメータレンズ32は、光源31とミラー61との間に設置されている。光学ユニット36は、ミラー62とフィルタ37との間に設置されている。ミラー61は、全反射ミラーである。図15(b)に示すように、ミラー62は、透明部材62aと反射膜62bを備える。反射膜62bは、透明部材62aのZ軸正側の面の中央に設けられている。反射膜62b以外の領域には、反射膜が形成されていない。
この変更例では、光源31から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ32により平行光となり、ミラー61によりX軸正方向に反射される。ミラー61により反射されたレーザ光は、反射膜62bに入射する。その後、レーザ光は、反射膜62bによりZ軸正方向に反射され、集光レンズ35を通って、ミラー34により測距領域へと反射される。
測距領域の物体からの反射光は、ミラー34によりZ軸負方向に反射され、集光レンズ35により集光される。集光レンズ35により集光された反射光は、大半が、ミラー62の透明部材62aを透過する。ミラー62を透過した反射光は、上記実施形態と同様、光学ユニット36とフィルタ37を介して光検出器38へと導かれる。
この変更例においても、上記実施形態と同様、光学ユニット36(透明シート110と反射部材120)が設けられている。これにより、測定対象の距離範囲のうち遠距離からの反射光を光検出器38に集光させるとともに、測定対象の距離範囲のうち近距離からの反射光も、光検出器38へと導くことができる。
図15(a)、(b)に示した変更例において、光源31とコリメータレンズ32が、回転部20側に配置されてもよい。ただし、この場合は、固定部10側から回転部20側へと電力を供給するための構成が必要となる。よって、簡素な構成により安定的に光源31を駆動するためには、上記実施形態のように、固定部10側に光源31を配置するのが好ましいと言える。
なお、距離測定機能がなく光検出器38からの信号により投射方向に物体が存在するか否かの検出機能のみを備えた装置に本発明に係る構造を適用することも可能である。この場合も、物体までの距離にかかわらず、反射光を光検出器38に導くことができるため、物体の有無を適正に検出することができる。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。