JP2020190495A - 距離測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】物体からの反射光を光検出器の受光面上により小さく絞ることができ、これにより測距性能を高めることが可能な距離測定装置を提供する。【解決手段】距離測定装置1は、投射方向を回転中心軸R10について回転させつつレーザ光を投射する投光部と、投射方向に存在する物体によって反射されたレーザ光の反射光を受光する受光部と、反射光を透過させて受光部へと進行させる側壁部41aと、を備える。側壁部41aは、回転中心軸R10を中心とする周方向に沿って延び、且つ、回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ凹面41bを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、レーザ光を用いて物体との距離を測定する距離測定装置に関する。
従来、レーザ光を用いて物体との距離を測定する距離測定装置が、種々の機器に搭載されている。レーザ光を用いた距離の測定方式として、たとえば、レーザ光を出射してからその反射光を受光するまでの時間差(タイムオブフライト)に基づいて物体までの距離を測定する方式や、三角測量法を利用した方式等が知られている。
以下の特許文献1には、レーザ投光部とレーザ受光部が上下に重ねられた構成の距離測定装置が記載されている。この距離測定装置では、レーザ投光部とレーザ受光部が、同一方向を向く状態で、同一の回転軸について同時に回転される。これにより、レーザ投光部におけるレーザ光の投射方向が回転軸について回転し、当該レーザ光が物体によって反射された反射光が、レーザ受光部によって受光される。レーザ受光部は、受光素子(光検出器)と、受光素子の受光面上に反射光を集光させる受光レンズとを備える。
この距離測定装置では、レーザ投光部とレーザ受光部が1つの筐体に収容されている。筐体には、レーザ投光部から投射されるレーザ光および物体により反射された反射光をそれぞれ通過させるための開口が設けられている。これら開口に、透光性のレンズカバーが設置される。レンズカバーとして、平板状のレンズカバーの他、外側に凸の曲面形状のレンズカバーが挙げられている。
曲面形状のレンズカバーが用いられる場合、レンズカバーの曲率の影響によって水平方向のボケが形成され、受光素子に受光されるレーザ光に減衰が生じることが記載されている。これに対し、受光素子と受光レンズとの間の相対的な配置と、受光レンズの焦点距離と、曲面形状のレンズカバーの曲率とに基づいて、レンズカバーの厚みを定めることにより、受光素子に導かれる反射光の強度を高め得ることが記載されている。
特許第5621165号公報
上記特許文献1の構成では、曲面形状のレンズカバーによって水平方向のレンズ作用が生じる。そして、このレンズ作用と、受光レンズによる全周方向のレンズ作用とによって、受光素子に向かう反射光に非点収差が生じる。この場合、反射光は、非点収差に基づく最小錯乱円の状態が最も収束した状態となる。上記特許文献1の構成では、この最小錯乱円の位置に受光素子の受光面が位置付けられるように、受光素子と受光レンズとの間の相対的な配置、受光レンズの焦点距離、曲面形状のレンズカバーの曲率、および、レンズカバーの厚みが調整されるものと想定される。
ここで、最小錯乱円は、反射光を焦点スポットに収束させた場合に比べて大きく広がる。このため、上記特許文献1の構成では、受光素子の受光面をある程度広く設定する必要がある。しかしながら、受光面を広げると、受光面に対する外光(物体からの反射光以外の光)の混入が増大し、反射光の検出精度が低下する。このため、距離測定装置における測距性能が劣化するとの問題が生じる。
かかる課題に鑑み、本発明は、物体からの反射光を光検出器の受光面上により小さく絞ることができ、これにより測距性能を高めることが可能な距離測定装置を提供することを目的とする。
本発明の主たる態様に係る距離測定装置は、投射方向を回転軸について回転させつつレーザ光を投射する投光部と、前記投射方向に存在する物体によって反射された前記レーザ光の反射光を受光する受光部と、前記反射光を透過させて前記受光部へと進行させる光学窓と、を備える。ここで、前記光学窓は、前記回転軸を中心とする周方向に沿って延び、且つ、前記回転軸に垂直な方向に凹んだ凹面を有する。
本態様に係る距離測定装置によれば、光学窓が周方向に沿って延びるため、光学窓は、回転軸に垂直な平面において曲率を有する。また、光学窓は、回転軸に垂直な方向に凹んだ凹面を有するため、この凹面により、回転軸に平行な平面において曲率を有する。このように、光学窓が2つの曲率を有するため、反射光は、光学窓を通過する際に、これら2つの曲率によって、2方向のレンズ作用を受ける。したがって、凹面の曲率を調整することにより、光学窓を透過する反射光に非点収差が導入されることを抑制できる。こうして、非点収差が抑制された反射光が受光部に導かれることにより、受光部において、反射光を、焦点スポット程度のサイズにまで小さく集光できる。これにより、光検出器の受光面を顕著に小さくでき、検出信号に対する外光の影響を抑制できる。よって、距離測定装置の測距性能を高めることができる。
以上のとおり、本発明によれば、物体からの反射光を光検出器の受光面上により小さく絞ることができ、これにより測距性能を高めることが可能な距離測定装置を提供できる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施形態に係る、カバーが外された状態の距離測定装置の構成を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る、カバーが装着された状態の距離測定装置の構成を示す斜視図である。 図3は、実施形態に係る距離測定装置の構成を示す断面図である。 図4(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、遮光部材の構成を示す斜視図である。 図5(a)、(b)は、それぞれ、比較例および実施形態に係る、受光光学系の概要を模式的に示す斜視図である。 図6(a)〜(c)は、比較例に係る、反射光の収束を模式的に示す図である。図6(d)〜(f)は、実施形態に係る、反射光の収束を模式的に示す図である。 図7は、比較例に係る、光検出器におけるビームスポットのシミュレーション結果を示す図である。 図8は、実施形態に係る、光検出器におけるビームスポットのシミュレーション結果を示す図である。 図9(a)、(b)は、変更例に係る、カバーおよび反射面をZ軸負方向に見た場合の模式的な内部透視図である。図9(c)、(d)は、変更例に係る、カバー、集光レンズ、および光検出器をY軸負方向に見た場合の模式的な内部透視図である。 図10(a)〜(d)は、変更例に係る、カバー、集光レンズ、および光検出器をY軸負方向に見た場合の模式的な内部透視図である。 図11は、変更例に係る距離測定装置の構成を示す断面図である。 図12(a)は、変更例に係る、距離測定装置の構成を模式的に示す側面透視図である。図12(b)は、変更例に係る、ミラーの拡大側面図である。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は、距離測定装置1の高さ方向である。
本実施形態では、距離測定装置1の周囲全周に亘って距離測定が行われる。すなわち、レーザ光の投射方向は、全周360°の範囲に亘って回転する。レーザ光は、カバー40の側壁部41aを透過して測距領域に投射される。また、投射されたレーザ光が測距領域の物体により反射された反射光は、カバー40の側壁部41aを透過して受光される。本実施形態では、カバー40の側壁部41aが、「光学窓」に対応する。
図1は、カバー40が外された状態の距離測定装置1(本体1a)の構成を示す斜視図であり、図2は、本体1aにカバー40が装着された状態の距離測定装置1の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、距離測定装置1の本体1aは、円柱状の固定部10と、固定部10に回転可能に配置された回転部20とを備える。回転部20は、径の異なる2つの支持部材21、22を備えている。支持部材21の上面に支持部材22が設置されて、回転部20が構成される。支持部材22の側面に開口22aが設けられている。開口22aから、筒状の遮光部材30がX軸に平行に突出している。遮光部材30のX軸正側の端部(出口)から測距領域に向かってレーザ光(投射光)が投射される。遮光部材30は、レーザ光の出口(X軸正側の端部)が回転中心軸R10から離れる方向を向くように回転部20に配置されている。ここでは、遮光部材30が回転中心軸R10から放射状に延びている。測距領域で反射されたレーザ光の反射光は、開口22aから遮光部材30の周囲を通って内部に取り込まれる。
回転部20は、Z軸に平行、且つ、回転部20の中心を貫く回転中心軸R10を中心に回転する。回転部20の回転に伴い、遮光部材30が回転中心軸R10を中心に回転する。これにより、遮光部材30から投射されるレーザ光の光軸が回転中心軸R10を中心に回転する。これに伴い、測距領域(レーザ光の走査位置)も回転する。
距離測定装置1は、測距領域にレーザ光を投射したタイミングと、測距領域からレーザ光の反射光を受光したタイミングとの間の時間差(タイムオブフライト)に基づいて、測距領域に存在する物体までの距離を計測する。上記のように回転部20が回転中心軸R10の周りに1回転することにより、距離測定装置1は、周囲360度の略全範囲に存在する物体までの距離を計測できる。
図2を参照して、カバー40が、本体1a(図1参照)の上面に設置される。具体的には、回転部20の上方および側方を覆うカバー40が、固定部10に設置される。カバー40は、レーザ光を透過する材料によって構成される。カバー40は、たとえば、ポリカーボネートにより構成される。カバー40は、有底円筒状の胴部41と、胴部41からZ軸負方向に突出した6つの鍔部42とを備える。6つの鍔部42は、胴部41の周方向に等間隔で設けられている。各鍔部42は、固定部10側に形成された凹部10aに嵌まる。また、各鍔部42に設けられた抜き孔42aが、凹部10aに形成された突片10bに係合する。これにより、カバー40が固定部10に固定される。
図1の遮光部材30から出射されたレーザ光は、胴部41の側壁部41aを透過して測距領域に投射される。また、測距領域に存在する物体によって反射されたレーザ光の反射光は、胴部41の側壁部41aを透過して、図1の開口22aに取り込まれる。側壁部41aは、回転中心軸R10を中心とする円の円周方向に沿って形成されており、回転中心軸R10を中心軸とする円筒状の胴部41の側面部分に相当する。本実施形態では、カバー40全体がレーザ光を透過する材料で構成されるため、側壁部41a全体が、ミラー54からのレーザ光を透過させて測距領域へと進行させるとともに、反射光を透過させてミラー54へと進行させる光学窓を形成する。
また、側壁部41aの内側面および外側面には、回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ凹面41bが形成されている。なお、凹面41bの凹み度合いは僅かであるため、肉眼視においてはほぼ凹みがないように観察されるが、図2および図3以降においては、凹面41bの形成を容易に確認できるように、便宜上、凹面41bの凹み度合いがやや大きく記載されている。
図3は、距離測定装置1の構成を示す断面図である。
図3には、図2に示した距離測定装置1を、X−Z平面に平行な平面により、Y軸方向の中央位置で切断したときの断面図が示されている。図3では、光源51から出射され、測距領域へと向かうレーザ光(投射光)が破線で示され、測距領域から反射された反射光が一点鎖線で示されている。
図3に示すように、固定部10は、円柱状の支持ベース11と、複数のコイル12と、ヨーク13と、底板14と、を備えている。支持ベース11は、たとえば樹脂で形成されている。支持ベース11の下面が、円形皿状の底板14で塞がれる。
支持部材21は、円筒状のベアリング24を介して、支持ベース11に設置されている。ベアリング24は、内筒24aと外筒24bとの間に複数のベアリングボール24cが周方向に並ぶように配置された構成である。支持部材21には、Z軸負方向に突出する円筒形状の筒部21aが形成され、支持ベース11には、Z軸正方向に突出する円筒形状の筒部11aが形成されている。筒部11aの外径は、ベアリング24の内筒24aの内径より僅かに大きく、筒部21aの内径は、ベアリング24の外筒24bの外径より僅かに小さい。筒部11aと筒部21aとの間に、ベアリング24が嵌め込まれて、支持部材21が、回転中心軸R10について回転可能に、支持ベース11に支持されている。
支持ベース11には、筒部11aの外側に、円筒状の壁部11bが形成されている。壁部11bの中心軸は、回転中心軸R10に整合する。壁部11bの外周にヨーク13が嵌め込まれている。ヨーク13は、リング状の基部から放射状に突出する複数の突出部13aを備える。周方向における突出部13aの間隔は一定である。各突出部13aに、それぞれ、コイル12が巻回されて装着されている。
支持部材21の外周部には、周方向に連続する段差部21bが形成されている。この段差部21bに、複数の磁石23が周方向に隙間なく設置されている。隣り合う磁石23は、内側の極性が互いに相違している。これら磁石23は、ヨーク13の突出部13aに対向する。したがって、コイル12に対する電流制御により、回転部20が回転中心軸R10について回転駆動される。コイル12、ヨーク13およびベアリング24は、回転部20とともにミラー54を回転中心軸R10について回転させる駆動部を構成する。
なお、回転部20の回転位置は、図示しない位置検出手段によって検出される。たとえば、回転中心軸R10を中心とする周方向に沿って支持部材21に形成されたスリットの位置が、フォトカプラで検出される。これにより、回転部20の回転位置が検出される。
距離測定装置1は、光学系の構成として、光源51と、コリメータレンズ52と、ホルダ53と、ミラー54と、集光レンズ55と、フィルタ56と、光検出器57と、を備えている。光源51は、コリメータレンズ52とともにホルダ53に保持されている。
光源51は、所定波長のレーザ光を出射する。光源51は、たとえば半導体レーザである。光源51の出射光軸は、Z軸に平行である。コリメータレンズ52は、光源51から出射されたレーザ光を略平行光に収束させる。コリメータレンズ52は、たとえば、非球面レンズによって構成される。略平行光に収束されたレーザ光は、集光レンズ55の上方に配置されたミラー54に入射する。
ホルダ53は、光源51とコリメータレンズ52を保持し、集光レンズ55の中央に上下に貫通するように形成された開口に嵌め込まれた状態で設置されている。光源51とコリメータレンズ52は、ホルダ53の各収容部に、略隙間無く嵌め込まれて設置される。
ミラー54は、片面に反射面54aを有する反射ミラーである。反射面54aの中心位置は、回転中心軸R10に略整合している。反射面54aは、Z軸方向に見た場合に略正方形の形状を有する。ミラー54は、反射面54aと回転中心軸R10との角度が45°となるように、回転部20の支持部材22に設置されている。
コリメータレンズ52を介してミラー54に入射したレーザ光は、ミラー54によって、回転中心軸R10に垂直な方向に反射される。その後、レーザ光は、開口22aを通って、測距領域へと投射される。
なお、本実施形態では、光源51から出射されたレーザ光の光路の周囲を覆う筒状の遮光部材30が、回転部20の支持部材22に設置されている。
図4(a)、(b)は、それぞれ、遮光部材30の構成を示す斜視図である。図4(a)は、遮光部材30をZ軸正側から見たときの斜視図であり、図4(a)は、遮光部材30をZ軸負側から見たときの斜視図である。
遮光部材30は、樹脂等の不透明な材料から構成されている。遮光部材30は、円筒状の筒部31と、筒部31のX軸負側の下面に形成された台座部32とを備える。筒部31のX軸正側の端縁は、筒部31の中心軸A10に垂直な端面33となっている。筒部31のX軸負側の端縁は、X−Z平面内に法線ベクトルを持つ傾斜面34となっている。筒部31には、端面33から傾斜面34に貫通する円形の貫通孔35が形成されている。これにより、端面33に開口33aが形成され、傾斜面34に開口34aが形成されている。貫通孔35の中心軸は、筒部31の中心軸A10に一致する。
台座部32は、X−Y平面に平行な下面36を備える。台座部32には、下面36からZ軸正方向に延びる円形の孔37が形成されている。これにより、下面36に開口36aが形成されている。孔37は、筒部31の貫通孔35に繋がっている。
図3に戻り、遮光部材30は、台座部32の下面36が略隙間なくホルダ53の上面に対向し、且つ、傾斜面34に形成された開口34aがミラー54の反射面54aで塞がれるようにして、支持部材22に設置される。図3に示すように、遮光部材30の傾斜面34は、ミラー54と同じ傾き角となっている。すなわち、傾斜面34は、ミラー54の傾きに沿っている。
コリメータレンズ52を透過したレーザ光は、遮光部材30の開口36aから遮光部材30の内部に進入し、遮光部材30の孔37を通ってミラー54に入射する。その後、レーザ光は、ミラー54でX軸正方向に反射され、遮光部材30の貫通孔35を通って、端面33の開口33aからX軸正方向に出射される。遮光部材30の開口36aは、遮光部材30に対するレーザ光の入口であり、遮光部材30の開口33aは、遮光部材30に対するレーザ光の出口である。開口33aから出射されたレーザ光は、カバー40の側面を透過して、測距領域に投射される。
測距領域に物体が存在する場合、開口33aから測距領域に投射されたレーザ光は、物体で反射される。物体によって反射されたレーザ光(反射光)は、カバー40の側壁部41aの内側面および外側面にそれぞれ形成された凹面41bを透過し、開口22aへと向かう。開口22aへ向かう反射光のうち、遮光部材30の外側を通る反射光が、開口22aから取り込まれ、ミラー54に導かれる。その後、反射光は、ミラー54によってZ軸負方向に反射される。ミラー54で反射された反射光は、集光レンズ55により収束作用を受ける。集光レンズ55は、全周において一様な収束パワーを有する。
その後、反射光は、支持ベース11に形成された孔11cを介してフィルタ56に入射する。こうして、反射光は、フィルタ56を介して、光検出器57に収束される。フィルタ56は、光源51から出射されるレーザ光の波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光を遮光するよう構成されている。光検出器57は、受光光量に応じた検出信号を出力する。光検出器57は、たとえば、アバランシェフォトダイオードである。光検出器57からの検出信号は、図示しない回路基板に配置された回路部に出力される。
実施形態において、光源51と、コリメータレンズ52と、ミラー54と、回転部20とともにミラー54を回転中心軸R10について回転させる駆動部とにより、投光部が構成される。投光部は、光源51からレーザ光を出射させ、且つ、ミラー54を回転中心軸R10について回転させることにより、レーザ光の投射方向を回転させつつ、距離測定装置1の周囲の測距領域にレーザ光を投射する。また、実施形態において、ミラー54と、集光レンズ55と、光検出器57とにより、受光部が構成される。この構成により、受光部は、投射方向に存在する物体によって反射されたレーザ光の反射光を受光する。実施形態において、投光部および受光部は、回転中心軸R10に対して傾いて配置されたミラー54を共有している。また、実施形態では、投光部および受光部が、本体1a(図1参照)に設置されている。
ここで、2つの凹面41bは、側壁部41aにおいて回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ形状であるため、側壁部41aを透過する反射光をZ軸方向に発散させる。これにより、平行光として側壁部41aに入射する反射光は、2つの凹面41bによって僅かに広がった状態で開口22aへと向かう。そして、開口22aから取り込まれた反射光は、集光レンズ55により集光され、光検出器57の受光面57a(図5(b)参照)において収束される。
次に、図5(a)〜図6(f)を参照して、測距領域の物体で反射され側壁部41aに入射した反射光が、どのように光検出器57に導かれるかを説明する。
図5(a)、(b)は、それぞれ、比較例および実施形態に係る受光光学系の概要を模式的に示す斜視図である。図5(a)、(b)では、便宜上、反射光が入射する側壁部41aの一部と、ミラー54と、集光レンズ55と、光検出器57とが示されており、集光レンズ55の中央部にも、一様にレンズ面が形成されている。
図5(a)に示す比較例では、側壁部41aの内側面および外側面に凹面41bが形成されておらず、側壁部41aの内側面および外側面は、回転中心軸R10の方向において平坦になっている。
比較例において、図5(a)に示すように側壁部41aに対してX軸負方向に反射光が入射すると、反射光は、側壁部41aによって第1発散方向に発散作用を受ける。第1発散方向は、回転中心軸R10を中心とする周方向(回転中心軸R10に垂直な平面の面内方向)であり、この場合の第1発散方向は、Y軸方向である。第1発散方向に発散した反射光は、ミラー54により反射され、集光レンズ55に入射する。そして、反射光は、集光レンズ55により、X軸方向およびY軸方向に等しい収束作用を受ける。集光レンズ55を透過した反射光には、第1発散方向の発散作用により、非点収差が生じる。
ここで、光検出器57は、たとえば、受光面57aが集光レンズ55の焦点距離の位置に位置付けられるように配置される。この場合、第1発散方向に垂直な方向の反射光は、側壁部41aにより発散されないため、受光面57aにおいてX軸方向に収束する。これに対し、第1発散方向の反射光は、側壁部41aによって第1発散方向に発散されるため、受光面57aにおいて第1発散方向に対応する方向(Y軸方向)に広がりを有する。
このように、反射光は、受光面57aにおいて第1発散方向に対応する方向に延びた形状となるため、比較例の場合は、光検出器57の受光面57aを大きく構成する必要がある。たとえば、比較例の受光面57aは、1mm〜1.5mm四方の大きさに設定される。したがって、比較例の受光面57aに、外光(物体からの反射光以外の光)の混入が増大し、反射光の検出精度が低下してしまう。
なお、光検出器57を、図5(a)の状態からZ軸負方向に移動させて、受光面57aにおける反射光を、X軸方向とY軸方向の長さがほぼ等しい最小錯乱円の形状とすることもできる。しかしながら、この場合も、受光面57aにおける反射光がある程度大きくなるため、受光面57aをある程度大きく構成する必要がある。
一方、図5(b)に示す実施形態では、側壁部41aの内側面および外側面に凹面41bが形成されている。したがって、図5(b)に示すように側壁部41aに対してX軸負方向に反射光が入射すると、反射光は、側壁部41aによって、第1発散方向だけでなく、第2発散方向にも発散作用を受ける。第2発散方向は、回転中心軸R10に平行な方向であり、この場合の第2発散方向は、Z軸方向である。実施形態では、第1発散方向における発散作用と、第2発散方向における発散作用とが実質的に等しくなるよう、周方向における側壁部41a(凹面41b)の曲率に基づいて、Z軸に平行な方向における側壁部41a(凹面41b)の曲率が設定される。
第1発散方向および第2発散方向に等しい発散作用を受けた反射光は、ミラー54により反射され、集光レンズ55に入射する。そして、反射光は、集光レンズ55により、全周に亘って等しい収束作用を受ける。集光レンズ55の収束パワーは、反射光に付与される第1発散方向および第2発散方向の発散作用よりも大きく設定される。上記のように、反射光は、側壁部41aにより第1発散方向および第2発散方向において実質的に等しい発散作用を受けるため、集光レンズ55により全周方向に収束作用を受けると、1つの焦点に収束する。すなわち、凹面41bにより付与された第2発散方向の発散作用により、集光レンズ55を透過した後の反射光には、非点収差が生じない。
ここで、光検出器57は、受光面57aが反射光の焦点位置に位置付けられるように配置される。これにより、実施形態の場合は、受光面57aにおけるビームスポットを略焦点の大きさまで小さく絞ることが可能となる。
したがって、実施形態の場合は、光検出器57の受光面57aを小さく構成することができる。たとえば、実施形態の受光面57aは、0.2mm〜0.5mm四方の大きさに設定可能である。これにより、検出信号に対する外光の影響を抑制できる。
図6(a)〜(c)は、比較例に係る反射光の収束を模式的に示す図であり、図6(d)〜(f)は、実施形態に係る反射光の収束を模式的に示す図である。図6(a)、(d)は、カバー40および反射面54aをZ軸負方向に見た場合の模式的な内部透視図である。図6(b)、(e)は、カバー40、集光レンズ55、および光検出器57をY軸負方向に見た場合の模式的な内部透視図である。図6(c)、(f)は、光検出器57の受光面57aにおける反射光の照射領域(ビームスポット)を示す模式図である。
比較例の場合、図6(a)、(b)に示すように、測距領域から側壁部41aに入射した反射光は、第1発散方向にのみ発散作用を受ける。このため、図6(c)に示すように、反射光は、受光面57aにおいて、第1発散方向に対応する方向に垂直な方向(X軸方向)には絞られるものの、第1発散方向に対応する方向(Y軸方向)に広がる。このように、比較例の場合、ビームスポットは、受光面57aにおいて細長い形状となってしまう。ビームスポットは、ミラー54の反射面54aの回転に応じて、受光面57a上を回転する。このため、受光面57aは、ビームスッポットの全ての回転位置において一様にビームスポットを受光できる大きさおよび形状に設定される。
これに対し、実施形態の場合、図6(d)、(e)に示すように、測距領域から側壁部41aに入射した反射光は、第1発散方向および第2発散方向に同程度の発散作用を受ける。なお、側方から見た場合の凹面41bの形状は円弧に相当する。すなわち、側方から見た場合、内側面の凹面41bの曲率中心は、内側面の凹面41bの上端と下端を結ぶ線分の垂直二等分線上にあり、外側面の凹面41bの曲率中心は、外側面の凹面41bの上端と下端を結ぶ線分の垂直二等分線上にある。実施形態では、側壁部41aの内側面および外側面に形成される凹面41bの曲率中心は、ミラー54で反射され側壁部41aへと向かうレーザ光の光軸上に位置付けられている。
反射光が第1発散方向および第2発散方向に同程度の発散作用を受け、その後、集光レンズ55により集光されると、図6(f)に示すように、反射光は、受光面57aにおいて、第1発散方向に対応する方向(Y軸方向)および第2発散方向に対応する方向(X軸方向)に同程度絞られる。こうして、実施形態の場合、ビームスポットは、受光面57aにおいて焦点スポット程度のサイズにまで小さくなる。
実施形態では、ビームスポットが略真円にフォーカスされるため、ミラー54の反射面54aが回転しても、受光面57a上におけるビームスポットの集光領域は略変化しない。このため、受光面57aは、反射光の焦点のサイズよりやや広い形状まで小さくされ得る。
なお、実施形態では、集光レンズ55の収束パワーを調節することによって、Z軸方向における光検出器57の位置を調節できる。距離測定装置1の形状をZ軸方向にコンパクトにするためには、集光レンズ55の収束パワーをある程度大きく設定すればよい。
次に、図7、8を参照して、発明者らが行った光検出器57におけるビームスポットのシミュレーションについて説明する。
図7は、図5(a)に示した比較例の構成において、側壁部41aの厚みと側壁部41aの曲率とを変化させた場合の受光面57aにおけるビームスポットの形状を示す図である。このシミュレーションでは、以下の(1)〜(7)に示すように条件を設定した。
(1)反射光の波長:905nm
(2)反射光の発光点の位置:回転中心軸R10から2m
(3)凹面41bの曲率中心:側壁部41aに入射する反射光の光軸上
(4)集光レンズ55の開口径:15mm
(5)集光レンズ55の焦点距離:20mm
(6)カバー40の材質:ポリカーボネート
(7)光検出器57の位置:受光面57aにおいて反射光が側壁部41aに入射する方向に最も絞られる位置
発明者らは、上記(1)〜(7)の条件下で、比較例に係る側壁部41aの厚みtを1、2、3mm、周方向における側壁部41aの曲率半径Rを40、30、20mmに変化させた。図7において9つの画像中の白い部分は、光検出器57の受光面57a(縦および横1.5mm)におけるビームスポットである。
図7に示すように、比較例の場合、側壁部41aの厚みtが小さく、側壁部41aの曲率半径Rが大きい場合、側壁部41aによる第1発散方向の発散作用が小さいため、左上の画像に示すように、ビームスポットはある程度小さく絞られる。しかしながら、側壁部41aの厚みtが大きく、側壁部41aの曲率半径Rが小さい場合、側壁部41aによる第1発散方向の発散作用が大きくなるため、たとえば右下の画像に示すように、ビームスポットは横方向に延びた形状となる。
図8は、図5(b)に示した実施形態の構成において、側壁部41aの厚みと側壁部41aの曲率とを変化させた場合の受光面57aにおけるビームスポットの形状を示す図である。このシミュレーションでは、上記(1)〜(7)と同様の条件を設定した。
発明者らは、上記(1)〜(7)の条件下で、図7の場合と同様に側壁部41aの厚みtと、側壁部41aの曲率半径Rを変化させた。また、発明者らは、側壁部41aの内側面および外側面に形成された凹面41bの曲率半径rを、厚みtと曲率半径Rの各条件下で、4581mm、2534mm、2211mm、1421mm、1206mm、1061mm、765mm、490mm、300mmに変化させた。側壁部41aによる第1発散方向の発散作用が大きくなるにつれて、第2発散方向の発散作用が大きくなるよう、曲率半径rの値を小さく設定した。
図8に示すように、実施形態の場合、側壁部41aの厚みtが大きく側壁部41aの曲率半径Rが小さい場合、側壁部41aによる第1発散方向の発散作用が大きくなるが、凹面41bの曲率半径rも小さくなるため、側壁部41aによる第2発散方向の発散作用も大きくなる。したがって、側壁部41aの厚みtと側壁部41aの曲率半径Rがどのように変化しても、ビームスポットは略焦点程度まで収束されたサイズとなる。
なお、厚みtが1mmで曲率半径Rが40mmの条件下では、比較例および実施形態の両方の場合で、ビームスポットは小さなサイズとなる。しかしながら、実施形態の場合、凹面41bの曲率半径rによって第2発散方向の発散作用が生じるため、比較例に比べて、ビームスポットは明瞭に絞られた状態となっている。
<実施形態の効果>
以上、実施形態によれば、以下の効果が奏される。
側壁部41aが周方向に沿って延びるため、側壁部41aは、回転中心軸R10に垂直な平面において曲率を有する。また、側壁部41aは、回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ凹面41bを有するため、この凹面41bにより、回転中心軸R10に平行な平面において曲率を有する。このように、側壁部41aが2つの曲率を有するため、反射光は、側壁部41aを通過する際に、これら2つの曲率によって、第1発散方向と第2発散方向の2方向のレンズ作用(発散作用)を受ける。したがって、凹面41bの曲率を調整することにより、側壁部41aを透過する反射光に非点収差が導入されることを抑制できる。こうして、非点収差が抑制された反射光が光検出器57に導かれることにより、光検出器57の受光面57aにおいて、反射光を、焦点スポット程度のサイズにまで小さく集光できる。これにより、光検出器57の受光面57aを顕著に小さくでき、検出信号に対する外光の影響を抑制できる。よって、距離測定装置1の測距性能を高めることができる。
カバー40は、本体1a(図1参照)の上面を覆っているため、本体1a(図1参照)の上面を保護できる。カバー40の径が小さい場合、あるいは、カバー40の厚みが大きい場合は、回転中心軸R10に垂直な平面の面内方向における側壁部41aのレンズ作用が大きくなり、側壁部41aを透過する反射光に大きな非点収差が導入される。しかし、これらの場合も、図8を示して説明したように、凹面41bの曲率を調整することにより、非点収差を抑制できる。このため、カバー40の径を小さくして距離測定装置1の形状を小さくでき、また、カバー40の厚みを大きくして本体1aの上面の保護を強化できる。
側壁部41aの内側面および外側面には、それぞれ凹面41bが形成されている。これにより、各凹面41bによって第2発散方向の発散作用を反射光に付与でき、第2発散方向における発散作用を付与できるレンジを広げることができる。したがって、たとえば、側壁部41aにおける周方向の曲率が大きく、あるいは、側壁部41aの厚みが大きいために、側壁部41aによる第1発散方向の発散作用が大きい場合においても、各凹面41bにより、第1発散方向と同様の発散作用を、第2発散方向にも生じさせることができる。これにより、受光面57a上において、反射光を小さなサイズに収束させることができる。
測距領域にレーザ光を投射するための光学系(投光部)と、測距領域からの反射光を受光するための光学系(受光部)が、回転中心軸R10に対して傾いて配置されたミラー54を共有している。このように、投光部と受光部とがミラー54を共有することにより、距離測定装置1の構成を簡素化できる。
また、集光レンズ55の中央に、光源51とコリメータレンズ52とが収容されている。これにより、光源51から出射されるレーザ光と、物体から反射され光検出器57に向かうレーザ光の反射光とを分岐させるための光学素子が不要となる。このため、この光学素子で反射したレーザ光に起因する内部迷光を抑制でき、光検出器57に対する内部迷光の混入を低減できる。よって、距離測定装置1の測距性能を高めることができる。
集光レンズ55の光軸が回転中心軸R10に一致するように、集光レンズ55が距離測定装置1内に設置されている。これにより、光源51から出射されたレーザ光の光路を回転中心軸R10に沿うように折り曲げてミラー54に向かわせる構成が不要となる。よって、距離測定装置1の構成を簡素化できる。
光源51から出射されたレーザ光の光路の周囲を覆う筒状の遮光部材30が配置され、遮光部材30の外側を通る反射光が集光レンズ55により光検出器57の受光面57aに集光される。このように、遮光部材30が配置されることにより、レーザ光の光路から装置内部にレーザ光が漏れ出ることが防がれる。これにより、内部迷光が光検出器57に到達することをより確実に抑止できる。よって、距離測定装置1の測距性能を高めることができる。
<変更例>
距離測定装置1の構成は、上記実施形態に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、図6(d)に示したように、カバー40の側壁部41aの全周が、レーザ光および反射光を透過するための光学窓を構成したが、光学窓は、必ずしも、全周にわたって設けられる必要はない。
たとえば、図9(a)に示すように、距離測定を行う範囲が角度θ(<360°)に限定されている場合は、側壁部41aのうち角度θの範囲にのみレーザ光および反射光を透過する光学窓61が設けられればよい。この場合、光学窓61が設けられない側壁部41aは、レーザ光を透過しない樹脂等により構成されてもよい。また、光学窓61の内側面および外側面には、上記実施形態と同様に、回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ凹面41bが設けられる。これにより、上記実施形態と同様、光学窓61に入射する反射光を、光検出器57の受光面57aにおいて小さなビームスポットに集光させることができる。
また、距離測定を行う範囲が角度θに限定されている場合、図9(b)に示すように、角度θの範囲以外の側壁部41aもレーザ光を透過可能な材料で構成されてもよい。この場合、図9(b)に示すように、光学窓61を構成する角度θの範囲のみに凹面41bが設けられてもよい。
また、上記実施形態では、側壁部41aのZ軸方向の全範囲に凹面41bが形成されたが、これに限らず、側壁部41aのうち、集光レンズ55に取り込まれる反射光が通る範囲にのみ凹面41bが形成されてもよい。たとえば、図9(c)に示すように、側壁部41aのうち、Z軸方向の所定範囲にのみ凹面41bが設けられてもよい。この場合、側壁部41aのうち、凹面41bが形成された範囲が、光学窓62を構成する。凹面41bが設けられない範囲の側壁部41aは、レーザ光を透過しない樹脂等により構成されてもよい。この構成によっても、上記実施形態と同様、光学窓62に入射する反射光を、凹面41bの光学作用により、光検出器57の受光面57aにおいて小さなビームスポットに集光させることができる。
なお、図9(c)の構成において、図9(d)に示すように、光学窓62以外のカバー40の部分も、レーザ光を透過するように構成されてもよい。
また、上記実施形態では、側壁部41aの内側面および外側面の両方に凹面41bが形成されたが、側壁部41aの内側面および外側面の何れか一方に凹面41bが形成されてもよい。たとえば、図10(a)に示すように、側壁部41aの内側面にのみ凹面41bが形成されてもよく、図10(b)に示すように、側壁部41aの外側面にのみ凹面41bが形成されてもよい。
なお、上記実施形態のように、側壁部41aの内側面および外側面の両方に凹面41bが形成される場合、各凹面41bによってレンズ作用が生じるため、凹面41bによる非点収差の抑制作用をより効果的に発揮させることができる。また、図10(b)に示すように外側面にのみ凹面41bが設けられる場合、カバー40の内側面にはZ軸方向に凹凸がないため、カバー40の成型時に、カバー40の内部から型を抜きやすくなる。したがって、図10(b)の場合、カバー40を容易に成型することができる。
また、上記実施形態では、側壁部41aは、回転中心軸R10に平行な方向(Z軸方向)に延びていたが、これに限らず、図10(c)に示すように、側壁部41aは、回転中心軸R10に対してやや傾いていてもよい。図10(c)では、側壁部41aの円筒形状において、上端の径が下端の径よりも小さくなっている。回転中心軸R10に対する側壁部41aの傾きは、たとえば5°程度に設定される。
なお、2つの凹面41bの曲率中心は、上記実施形態と同様、ミラー54の反射面54aで折り曲げられた後の集光レンズ55の光軸(X軸に平行な光軸)上に設定されることが好ましい。ただし、図10(c)に示す構成において、側壁部41aの傾き角が小さい場合は、2つの凹面41bの曲率中心がこの光軸からややずれても、光検出器57の受光面57aに集光される反射光のビームスポットには、大きな歪みが生じない。このため、たとえば、側壁部41aの内側の凹面41bの曲率中心が、上記光軸に対してZ軸負側にずれた位置に設定されもよく、また、側壁部41aの外側の凹面41bの曲率中心が、上記光軸に対してZ軸正側にずれた位置に設定されもよい。
このように側壁部41aが傾いている場合、カバー40の成形時に、カバー40の内部から型を抜きやすくなる。よって、カバー40を容易に成型することができる。
また、上記実施形態では、側壁部41aの内側面および外側面のいずれにも凹面41bが形成されが、内側面および外側面のいずれか一方が凸面であってもよい。たとえば、図10(d)に示すように、内側面に凹面41bが形成され、外側面に凸面41cが形成されてもよい。ただし、この場合は、凹面による発散作用が、凸面による収束作用を上回る必要がある。これにより、側壁部41aに入射した反射光は、上記実施形態と同様、第2発散方向(Z軸方向)に発散作用を受けるため、光検出器57の受光面57aにおけるビームスポットを小さく絞ることができる。
また、上記実施形態では、図3に示したように、支持部材22の開口22aから取り込まれた反射光の大部分を反射できるように、ミラー54の大きさが設定された。しかしながら、これに限らず、図11に示すように、ミラー54のX軸方向の幅が短くなり、反射光が細長い形状で集光レンズ55に入射するよう距離測定装置1が構成されてもよい。図11の構成によれば、図3に示した実施形態の構成に比べて、光検出器57に導かれる反射光の光量が減少するものの、距離測定装置1の高さを低くすることができる。この場合も、凹面41bによって反射光に第2発散方向の発散作用が付与されるため、上記実施形態と同様、光検出器57の受光面57aにおける反射光のビームスポットを小さく絞ることができる。
また、光学系の構成は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、適宜変更され得る。たとえば、光源51とコリメータレンズ52が集光レンズ55に埋め込まれていなくてもよく、光源51から出射されるレーザ光の光路と、測距領域で反射され光検出器57に入射するレーザ光の反射光の光路とを光学素子で分岐させる光学系であってもよい。
図12(a)、(b)は、光源51とコリメータレンズ52が回転中心軸R10のX軸負側に配置される場合の構成を示す図である。図12(a)は、この変更例に係る距離測定装置1の構成を模式的に示す側面透視図であり、図12(b)は、この変更例に係るミラー72の拡大側面図である。
図12(a)に示すように、この変更例では、光源51と光検出器57が、X軸方向に並ぶように基板に設置されている。また、集光レンズ55のZ軸負側において、ミラー71、72が設置されている。コリメータレンズ52は、光源51とミラー71との間に設置されている。ミラー71は、全反射ミラーである。図12(b)に示すように、ミラー72は、透明部材72aと反射膜72bを備える。反射膜72bは、透明部材72aのZ軸正側の面の中央に設けられている。反射膜72b以外の領域には、反射膜が形成されていない。
この変更例では、光源51から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ52により平行光となり、ミラー71によりX軸正方向に反射される。ミラー71により反射されたレーザ光は、反射膜72bに入射する。その後、レーザ光は、反射膜72bによりZ軸正方向に反射され、集光レンズ55を通って、ミラー54により測距領域へと反射される。
また、この変更例では、距離測定装置1の構成部品を収容する円筒状の筐体80が設けられている。筐体80の側壁部81には、周方向の所定の角度範囲に開口81aが設けられている。開口81aには、ミラー54から測距領域へ向かうレーザ光と、測距領域の物体で反射された反射光とを透過する光学窓82が設置されている。光学窓82は、円筒形状を有しており、光学窓82の内側面と外側面には、回転中心軸R10を中心とする周方向に沿って伸び、且つ、回転中心軸R10に垂直な方向に凹んだ凹面82aが形成されている。ミラー54は、回転部20により、回転中心軸R10について回転される。
測距領域の物体からの反射光は、光学窓82によって、上記実施形態と同様、第1発散方向および第2発散方向に同程度の発散作用を受ける。光学窓82を透過した反射光は、ミラー54によりZ軸負方向に反射され、集光レンズ55により集光される。集光レンズ55により集光された反射光は、大半が、ミラー72の透明部材72aを透過する。ミラー72を透過した反射光は、光検出器57へと導かれる。
この変更例においても、上記実施形態と同様、反射光は第1発散方向と第2発散方向に同程度の発散作用を受けるため、集光レンズ55により反射光を光検出器57の受光面57aにおいて小さく絞ることができる。
また、上記実施形態では、投光部と受光部がミラー54を共有したが、これに限らず、光源51から出射されたレーザ光を測距領域へと反射するミラーと、測距領域からの反射光を光検出器57へと反射するミラーとが別々に設けられ、各ミラーが同期して駆動されてもよい。
また、上記実施形態では、固定部10と回転部20にそれぞれコイル12と磁石23を配置して回転部20を駆動させたが、回転部20が他の駆動機構によって駆動されてもよい。たとえば、回転部20の外周面に、全周に亘ってギアが設けられ、このギアにモータの駆動軸に設置されたギアが噛み合うように駆動機構が構成されてもよい。
また、回転部20を回転可能に支持する構成も、上記実施形態の構成に限られるものではない。また、レーザ光(投射光)の投射方向は、必ずしも、回転中心軸R10に垂直な方向でなくてもよく、回転中心軸R10に垂直な方向に対して所定角度傾いていてもよい。コイル12の配置数や、磁石23の配置数も、適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、光源51から出射されたレーザ光が装置内部に漏れ出ないようにするために遮光部材30が用いられたが、装置内部に漏れ出るレーザ光が問題とならない場合には、遮光部材30は省略されてもよい。
また、距離測定機能がなく光検出器57からの信号により投射方向に物体が存在するか否かの検出機能のみを備えた装置に本発明に係る構造を適用することも可能である。この場合も、反射光を光検出器57の受光面57aにおいて小さく絞ることができるため、物体の有無を適正に検出することができる。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 距離測定装置
10 … 固定部(本体)
20 … 回転部(投光部)
30 … 遮光部材
40 … カバー
41a … 側壁部(光学窓)
41b … 凹面
54 … ミラー
51 … 光源(レーザ光源、投光部)
52 … コリメータレンズ(投光部)
55 … 集光レンズ(受光部)
57 … 光検出器(受光部)
57a … 受光面
61、62 … 光学窓
82 … 光学窓
82a … 凹面
R10 … 回転軸中心軸(回転軸)

Claims (7)

  1. 投射方向を回転軸について回転させつつレーザ光を投射する投光部と、
    前記投射方向に存在する物体によって反射された前記レーザ光の反射光を受光する受光部と、
    前記反射光を透過させて前記受光部へと進行させる光学窓と、を備え、
    前記光学窓は、前記回転軸を中心とする周方向に沿って延び、且つ、前記回転軸に垂直な方向に凹んだ凹面を有する、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  2. 請求項1に記載の距離測定装置において、
    前記投光部および前記受光部が設置された本体と、
    前記本体の上面を覆う円筒状のカバーと、を備え、
    前記光学窓は、前記カバーの側壁部に設けられている、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  3. 請求項2に記載の距離測定装置において、
    前記凹面は、前記側壁部の内側面および外側面の少なくとも一方に形成されている、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一項に記載の距離測定装置において、
    前記投光部と前記受光部は、前記回転軸に対して傾いて配置されたミラーを共有し、
    前記投光部は、前記ミラーを前記回転軸について回転させることにより前記レーザ光の前記投射方向を回転させる、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  5. 請求項4に記載の距離測定装置において、
    前記投光部は、前記レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を平行光化するコリメータレンズと、を備え、
    前記受光部は、前記反射光を受光する光検出器と、前記反射光を前記光検出器の受光面に集光する集光レンズと、を備え、
    前記集光レンズの中央に前記レーザ光源と前記コリメータレンズが収容されている、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  6. 請求項5に記載の距離測定装置において、
    前記集光レンズの光軸が前記回転軸に一致するように前記集光レンズが設置されている、
    ことを特徴とする距離測定装置。
  7. 請求項5または6に記載の距離測定装置において、
    前記レーザ光源から出射された前記レーザ光の光路に配置され前記光路の周囲を覆う筒状の遮光部材を備え、
    前記集光レンズは、前記遮光部材の外側を通る前記反射光を前記光検出器の受光面に集光する、
    ことを特徴とする距離測定装置。
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