JP2021169193A - 蒸着フィルムおよびそれを用いた積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の石油由来のポリエチレン系樹脂を原料とする従来の蒸着フィルムと同等の優れたガスバリア性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性を発現しつつ、植物由来のポリエチレン系樹脂に置き換えることにより、目標とするレベル以上のバイオマス度を達成可能で、それによって環境負荷の低減に貢献可能な蒸着フィルムと、それを用いた積層体を提供する。【解決手段】植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有したポリオレフィンフィルムの少なくとも片面に、蒸着層を有する蒸着フィルム、およびそれを用いた積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、従来の石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する蒸着フィルムと同等に蒸着層との密着力が強く、ガスバリア性に優れ、さらに低温ヒートシール性と耐ブロッキング性にも優れるとともに、植物由来のバイオマスポリエチレン系樹脂を用いることによりバイオマス度の高い、蒸着フィルムとそれを用いた積層体に関する。
従来から、プラスチックフイルムに金属を蒸着した金属蒸着フィルム、特にアルミニウム蒸着フィルムはその優れた特性すなわち装飾性、ガスバリア性及び光線遮断性などを活用し包装用途を中心に広範囲に使用されている。特に無延伸ポリプロピレンフィルムは、低温ヒートシールが可能で、かつ耐熱性、作業性に優れたアルミニウム蒸着フィルムが得られるため、食品包装材料として優れている。
近年、環境負荷低減を目的として、植物由来の樹脂(以下、バイオマス樹脂ということもある)を原料の少なくとも一部として使用する技術が注目されつつあり、樹脂メーカーからは各種のバイオマス樹脂原料が供給開始されつつある。植物由来のバイオマス樹脂は、大気中の二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であるから、それらを燃やしても大気中の二酸化炭素は増大せず、いわゆるカーボンニュートラル化が可能となって、環境負荷の低減が可能になると考えられている。このことから、バイオマス樹脂の使用は、地球温暖化防止、化石燃料資源の節約等に資することが期待されており、原料、製品中に含まれる植物由来の成分の全体量に対する割合(重量%)をバイオマス度として公式に認証し、シンボルマークとともに表示することを許可する制度も始まっている。
そこで、特許文献1および特許文献2では、従来の化石燃料から得られたポリエチレンを、植物由来のバイオマス原料に置き換えた植物由来ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物およびフィルムの提案がされている。
また、世界的に海洋プラスチックごみの増加を背景として使用後のプラスチック製包装材料のリサイクル化の流れを推進していくことが求められており、上記構成体において包装体ごとリサイクル可能とするための単一素材(モノマテリアル)系構成として、二軸延伸ポリプロピレン/無延伸ポリプロピレン系シーラントフィルムの積層体とすることが求められている。
特開2012−251006号公報 特開2016−28161号公報
本発明の課題は、従来の石油由来のポリエチレン系樹脂を原料として含有する従来の蒸着フィルムと同等の優れたガスバリア性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性を発現しつつ、上述した植物由来の成分の使用により期待されている、植物由来のポリエチレン系樹脂に置き換えることにより、目標とするレベル以上のバイオマス度を達成可能で、それによって環境負荷の低減に貢献可能な蒸着フィルムと、それを用いた積層体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を特徴とするものである。
(1)植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有したポリオレフィンフィルムの少なくとも片面に、蒸着層を有する蒸着フィルム。
(2)前記ポリオレフィンフィルムが、プロピレン・ランダム共重合体に、植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有した樹脂組成物からなる、(1)に記載の蒸着フィルム。
(3)前記プロピレン・ランダム共重合体が、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体またはそれらの混合物である、(2)に記載の蒸着フィルム。
(4)前記植物由来のポリエチレンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(5)前記ポリオレフィンフィルムと前記蒸着層の間に、アンカー処理層を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(6)前記蒸着層が第1の蒸着層および第2の蒸着層を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(7)第1の蒸着層が無機化合物であり、第2の蒸着層が金属蒸着層である、(6)に記載の蒸着フィルム。
(8)無機化合物が、酸化アルミニウムであり、金属蒸着層が、アルミニウム蒸着層である、(7)に記載の蒸着フィルム。
(9)非蒸着層面同士を重ねて120℃でヒートシールした時のヒートシール強度が3N/15mm以上である、(1)〜(8)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(10)前記ポリオレフィンフィルムのバイオマス度が5%以上である、(1)〜(9)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(11)23℃、湿度0%での酸素透過率が50cc/m・day以下である、(1)〜(10)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(12)他基材層に、(1)〜(11)のいずれかに記載の蒸着フィルムがその蒸着層が前記他基材層側になるように積層された積層体。
(13)前記他基材層が、立体規則性90〜98%のポリプロピレン樹脂を用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルムである、(12)に記載の積層体。
上記のような本発明に係る植物由来のポリエチレンを含有する蒸着フィルムにおいては、従来の石油由来のポリエチレン系樹脂を原料として含有する蒸着フィルムとは、性能的にはたとえ同等であっても、石油由来の原料では殆ど存在しない放射性炭素(C14)の濃度を加速器質量分析により測定することで、物として区別できる。
このように、本発明に係る蒸着フィルムによれば、石油由来のポリエチレン系樹脂を原料として含有する従来の蒸着フィルムと同等の優れたガスバリア性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性を発現でき、全体として目標とするレベル以上のバイオマス度を達成することができる。また、本発明に係る蒸着フィルムを用いた積層体によれば、実際に使用される製品として、目標とするレベル以上のバイオマス度を達成可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
以下に、本発明の蒸着フィルムおよびそれを用いた積層体について、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の蒸着フィルムは、植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有したポリオレフィンフィルムの少なくとも片面に、蒸着層を有するものである。
本発明において、植物由来のポリエチレンとは、バイオマス由来のポリエチレンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法から得られるものであれば特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。例えば、バイオマス由来のエチレンの製造方法として、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることができ、植物原料は特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来のポリエチレンの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
上記ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度や分岐の違いにより適宜選択することができる。上記ポリエチレンは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とは、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4―メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン等との共重合体であり、一般的に知られている方法によって製造されているものが使用できる。
本発明において好適に使用される、上記の植物由来のポリエチレンとしては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンポリエチレン等が挙げられる。
上記バイオマス度とは、全組成中の植物由来の原料の比率(重量%)を表す指標であり、植物由来の原料中には一定濃度で含まれ、石油由来の原料中には殆ど存在しない放射性炭素(C14)の濃度を加速器質量分析により測定することで、バイオマス度(%)を算出することができる。しかし、近年は、実際の製品を加速器質量分析しないでも、原料メーカーから各植物由来の原料の最小バイオマス度の値が提供されているので、これら原料メーカーから提供される各植物由来の原料の各最小バイオマス度と、各植物由来の原料の配合量とに基づいて、全組成中の植物由来の原料の比率(%)であるバイオマス度を略正確に算出することができる。
本発明の蒸着フィルムにおいては、上記のポリオレフィンフィルムの樹脂組成物は、植物由来のポリエチレンを樹脂組成物全体に対して5重量%以上含んでなるものである。樹脂組成物中の植物由来のポリエチレンの濃度が5重量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂フィルムを実現できる。
上記ポリオレフィンフィルムのバイオマス度は5%以上、好ましくは10%以上であることが、後述する他基材との積層体としたときに、高いバイオマス度を維持することができて好ましい。
上記のポリオレフィンフィルムの樹脂組成物は、バイオマス由来のポリエチレンの濃度が、上記範囲内であれば異なるバイオマス度の異なるポリエチレンを2種以上含むものであってもよい。
上記樹脂組成物は、植物由来のポリエチレンと、他のポリオレフィンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。
上記ポリオレフィンは、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体またはそれらの混合物であることが好ましい。
また、上記樹脂組成物には、フィルムの強度や剛性を向上させるものや、品質安定化とコストダウンの面で、本発明のフィルムを製造する過程で生じた厚さ調整中のフィルムやスリット屑を粉砕したフレーク又は、再生ペレットを混合することができる。
本発明のポリオレフィンの樹脂組成物の密度は0.900〜0.960g/cmの範囲が好ましい。密度が0.900g/cm未満では耐ブロッキング性が低下し、0.960g/cmより高い場合は蒸着層の密着力が低下することがある。また、上記ポリオレフィンは、メタロセン系触媒により製造されるものを用いた方がヒートシール強度の観点から好ましい。
上記樹脂組成物のメルトフローレート(以下MFRと称すことがある。単位はg/10分)としては、キャスト成形性やフィッシュアイの発生懸念、及びヒートシール強度からMFRは1〜20g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは、2〜10g/10分の範囲である。MFRが1g/10分未満では溶融粘度が高すぎてメルトフラクチュアーによる流れムラが発生し易くなり、製膜時に安定して口金から押出しするのが難しく、MFRが20g/10分を越えると低温ヒートシール性が悪化することがある。
上記ポリオレフィンフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、造核剤等を含むことができる。これらの添加剤は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系として、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(BHT)、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(“イルガノックス”1076、“Sumilizer”BP−76)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(“イルガノックス”1010、“Sumilizer”BP−101)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(“イルガノックス”3114、Mark AO−20)等、また、ホスファイト系(リン系)酸化防止剤として、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(“Irgafos” 168、Mark 2112)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−4’−ビフェニレン−ジホスホナイト(“Sandstab”P−EPQ)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(“Ultranox”626,Mark PEP−24G)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(Mark PEP−8)等が挙げられる。中でもこれらのヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を合わせ持つ6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(“Sumilizer”GP)、及び、アクリル酸2[1−2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル]エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル(“Sumilizer”GS)が好ましい。特に、この両者の併用は、フィルム製膜に際し、特に樹脂の分解抑制に効果を発揮し、ヒートシール性と耐ブロッキング性の両立に大きく寄与することから好ましい。
尚、酸化防止剤の添加量としては、用いる酸化防止剤の種類にもよるが、0.05〜0.3重量%の範囲で適宜設定すればよい。
また、中和剤としては、ハイドロタルサイト類化合物、水酸化カルシウムなどがフィルム製膜時の発煙低下に好ましい。
上記耐ブロッキング剤としては、無機粒子または有機粒子を300〜5000ppm添加すると、本発明の複合フィルムを長尺に巻き取るときに、皺やエアー抜け不良による欠点が減少するので好ましい。無機粒子または有機粒子の含有量が300ppm以下では耐ブロッキング性付与効果がみられないことがあり、5000ppmを超えるとヒートシール力が低下することがある。
上記無機粒子としては、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられ、有機粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子等が挙げられる。それらの平均粒径は1〜5μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が1μm未満では添加効果がみられないことがあり、5μmを超えるとヒートシール力が低下することがある。
本発明のポリオレフィンフィルムの溶融製膜法としては、インフレーション法、ダイ法、カレンダー法などがあり、特にダイ法を好ましく採用できる。例えば、一軸または二軸の溶融押出機でペレットまたはパウダーを必要量溶融混練したのち、得られた混練物をフィルターで濾過して、フラットダイ(例えばTダイ)または環状のダイからフィルム状に押し出すことによって製造できる。また、本発明のフィルムは、上記のような単層または2積層構成でもよく、両層間に他の中間層を介在させた3層以上の積層構成とすることも可能である。積層構成のフィルムの積層の方法は、特に限定されないが、それぞれ別々の押出機を用いて溶融押出し、ピノールやフィードブロック法などのパイプ複合、共押出多層ダイ法などの方法で積層する方法が一般的である。上記樹脂組成物を溶融押出機から押出す溶融ポリマーの温度は通常200〜300℃が適用できるが、ポリマーの分解を防ぎ良好な品質のフィルムを得るためには、220〜260℃が好ましい。Tダイから押出す場合は、押出されたフィルムは20〜65℃の一定温度に設定した冷却ロールに接触させて、冷却・固化させた後巻き取る。環状ダイから押出す場合は、一般にインフレーション法と呼ばれる方法でバブルを形成し、これを冷却・固化させた後、巻き取る。
このようにして得られた本発明のポリオレフィンフィルムの厚さは15〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。
本発明におけるアンカー処理層とは、本発明のポリオレフィンフィルムと蒸着層の密着強度を高めるために、本発明のポリオレフィンフィルムに表面処理を行った層のことをいう。アンカー処理方法としては、特に限定されないが、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理、イオン処理、スパッタリング処理、サンドブラスト処理、アンカーコート等の樹脂による表面改質処理などが挙げられる。化学的に反応性の官能基などをフィルム表面に形成する方法、アンカーコート等の樹脂に粒子状物を添加、スパッタリング処理、サンドブラス処理などで、フィルム表面を粗面化して、アンカー効果のある表面凹凸を物理的に表面に形成する方法が挙げられるが、どちらか一方の方法でもよいし、いずれの方法の組み合わせで行ってもよい。
アンカー処理する方法は、本発明のフィルムの製膜時にインラインで実施してもよいし、製膜後にオフラインで実施してもよい。また、アンカー処理のみを実施してもよいし、アンカー処理を行ってから連続して、他の易接着層を形成してもよい。
本発明における蒸着層とは、金属蒸着層または、無機化合物層の少なくとも一つの層および少なくとも一つのそれらの混合層のことをいう。2つ以上の層を積層する場合は、積層する順番は、特に限定されない。金属蒸着層の金属としては、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、錫、白金、金などが挙げられるが、原料の取り扱いのしやすさ、コストの観点から、アルミニウムが好ましい。
本発明では、ポリオレフィンフィルムの片面に金属蒸着層を設けた蒸着フィルムとすることによって、ガスバリア性と遮光性を付与する。
上記の遮光性とは、日本工業規格(JIS K−7361)記載の方法で測定した全光線透過率が、5%以下である機能のことをいう。さらに好ましくは、全光線透過率が3%以下である。
上記金属蒸着層の厚さは20nm以上100nm未満が好ましく、さらに好ましくは22nm以上80nm未満である。金属アルミニウム層の厚さが20nm未満ではガスバリア性と遮光性が低下し、実用に耐えない状態になる。金属アルミニウム層の厚さが100nm以上では遮光性には問題ないが、金属アルミニウム層が厚くなることで、本発明のポリオレフィンが金属蒸着層形成時の熱により熱負けしやすくなり、ガスバリア性能が低下することがある。
また、上記無機化合物としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、錫、白金、金の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられるが、本発明の蒸着層を無機酸化物として、本発明のポリオレフィンフィルム上に設けることによって、内容物を視認でき、かつ、ガスバリア性を付与することができる。無機酸化物としては、特に限定さないが、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素および酸化アルミニウムを含有する亜鉛酸化物あるいは亜鉛硫化物、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウムの共存相からなる層、硫化亜鉛と二酸化ケイ素、硫化亜鉛と二酸化ケイ素の共存相からなる層、ダイヤモンドライクカーボンまたはこれらの混合物などが挙げられるが、コストの観点から、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムが好ましい、さらに好ましくは、酸化アルミニウム、酸化珪素である。無機酸化物層の厚さは5nm以上100nm未満が好ましく、さらに好ましくは7nm以上80nm未満である。無機酸化物の厚さが、5nm未満ではガスバリア性が低下し、実用に耐えない状態になる。無機酸化物層の厚さが100nm以上では実使用時に無機酸化物層の割れが生じガスバリア性能が低下することがある。
蒸着層の厚さは、観察対象となるフィルムをマイクロサンプリング法でサンプリング後、収束イオンビーム加工装置を用いて薄膜化を行った後、保護のため、炭素およびタングステン保護膜を形成し、このサンプルを電界放出形透過電子顕微鏡で観察することによって確認することができる。
本発明の蒸着層は、第1の蒸着層および第2の蒸着層を有することが好ましい。第1の蒸着層が無機化合物層であり、第2の蒸着層が金属蒸着層であることが好ましい。第1の蒸着層を無機化合物層、第2の蒸着層を金属蒸着層とすることにより、本発明のポリオレフィンフィルムに対する密着性が向上し、剥がれの発生が抑制される。第1の蒸着層、第2の蒸着層は、上述の金属蒸着層の金属、無機化合物の少なくとも1つ、あるいは、それらの混合物が挙げられるが、原材料の取り扱い、製造のしやすさ、コストの点から、無機化合物が、酸化アルミニウムであり、金属蒸着層が、アルミニウムであることが好ましい。無機化合物層、金属蒸着層の厚さは、上述の範囲であることが好ましい。また、前記酸化アルミニウムは、第1の蒸着層内にアルミニウム元素と酸素元素が含まれていればよいが、第1の蒸着層内の酸素原子濃度の最大値が、5〜60atm%であることが好ましい。第1の蒸着層内の酸素原子濃度の最大値は、X線光電子分光法やオージェ電子分光法によって得られたアルミニウムおよび酸素のスパッタ深さにおける組成分布(いわゆるデプスプロファイル)から算出することができる。例えば、第1の蒸着層が、酸化アルミニウムからなる層、第2の蒸着層がアルミニウムからなる層である場合、X線光電子分光測定器(Physical Electronics社製Quantera XPS/ESCA)でArイオンを用いて1.0keVでエッチング処理しながら、深さ方向組成分析評価を行い、第2の蒸着層表層側から、アルミニウム、酸素の組成(原子%)のデプスプロファイルを得て、第1の蒸着層内の酸素原子濃度の最大値を求めることができる。
蒸着層を形成する方法は、特に制限されるものではないが、蒸着機にて、1.3×10−2Pa以上の高真空度で金属を直接加熱して蒸発させ、金属層を本発明のフィルムの表面に形成する方法、加熱蒸発した金属を酸素ガスとの反応により無機酸化物層を形成する反応性蒸着法、酸素ガス雰囲気下でのイオンプレーティング法、目的とする素材をターゲットとして用いたスパッタリング法、スパッタリング中にスパッタリング粒子と酸素ガスと反応させる反応性スパッタリング法、化学気相蒸着法などの公知の方法が使用できる。また、金属蒸着層または、無機酸化物層を二つ以上の層を積層する場合、金属蒸着層、無機酸化物層の混合層を形成する場合は、上述の金属蒸着層形成前に、インラインで無機酸化物層を形成してもよいし、金属蒸着層形成後にインラインで無機酸化物層を形成後、巻き取ってもよい。また、金属蒸着層を形成後、一旦巻き取り、無機酸化物層を金属蒸着層上に形成してもよいし、無機酸化物層を形成後、一旦巻き取り、金属蒸着層を形成してもよい。例えば、第1の蒸着層を酸化アルミニウム、第2の蒸着層をアルミニウムとして形成する場合は、上述の高真空度で、アルミニウムを蒸発させ、本発明のポリオレフィンフィルムを巻きだした後、本発明のポリオレフィンフィルムの表面に蒸発したアルミニウム蒸気が付着する箇所付近に酸素ガスを導入し、第1の蒸着層である酸化アルミニウムを形成後、巻き取ることなく連続して、アルミニウム蒸気を第1の蒸着層上に積層し、第2の蒸着層であるアルミニウム蒸着層を形成する方法が、コストの観点から好ましい。
本発明のガスバリア性とは、酸素ガス、水蒸気、窒素ガス、二酸化炭素ガスに対するバリア性のことをいうが、好ましくは、酸素ガスバリア性である。
酸素ガスのバリア性は、日本工業会規格(JIS K−7126)記載の方法で、測定することができ、本発明での酸素ガスバリア性は、温度23℃、相対湿度0%での酸素透過率のことをいい、酸素透過率は、50cc/m・day・atm以下が好ましく、さらに好ましくは、30cc/m・day・atm以下である。
次に、本発明の蒸着フィルムの蒸着層面上に他基材層を積層した積層体とすることにより、さらに機能性を向上させることができる。これら積層体の積層構造は、包装袋の要求特性(例えば包装する食品の品質保持期間を満たすためのガスバリア性能、内容物の重量に対応できるサイズ・耐衝撃性、内容物の視認性など)に応じて適宜選択される。
本発明における他基材層とは、用途により機械強度、耐熱性、耐光性などの特性を考慮する限り特に限定されないが、代表的な例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン2,6−ナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、6ナイロン、12ナイロンなどのポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどの単独重合体または共重合体からなる無延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムあるいは、紙基材、これらのフィルムを接着剤などでラミネートしたフィルムラミネート体、上記樹脂フィルムと紙基材を接着剤などでラミネートした紙ラミネート体などが挙げられる。
中でも特に世界的に海洋プラスチックごみの増加を背景として使用後のプラスチック製包装材料のリサイクル化の要求が強くなっており、上記他基材との積層体において、包装体ごとリサイクル可能とするための単一素材(モノマテリアル)系構成として、二軸延伸ポリプロピレンと本発明の蒸着フィルムの積層体とすることで同一素材での回収が可能となり、環境負荷低減の観点で好ましい。
上記二軸延伸ポリプロピレンは、プロピレンのメチル基が一方向に規則的に並ぶ割合を示す、立体規則性が90〜98%の範囲のポリプロピレン樹脂からなることが好ましい。立体規則性が90%未満ではフィルムの剛性が低下して、上記複合フィルムとの積層体としたときに張力によってフィルムが伸びてシワが入りやすくなり、製袋品の高速充填時性や、蒸着層の性能が落ちる場合がある。立体規則性が98%を超えると、結晶性が高くなりフィルムの表面粗さが大きくなって、蒸着層の密着性が低下する場合がある。
上記他基材層と本発明の蒸着フィルムをラミネートする方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ウエットラミネート法、溶剤を使用しないノンソルベントラミネート法、押出樹脂による押出サンドラミネート法等の公知の方法を挙げることができる。
上述の他基材層と本発明の蒸着フィルムを積層した積層体は、包装袋、包装容器として好適に用いることができる。包装袋、包装容器としては、例えば、ガゼット袋、スタンディングパウチ、ブリックタイプ、フラットタイプなどが挙げられ、各種の食品、飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品等の種々の物品を充填包装することができるものである。
次に、本発明の蒸着フィルムの製造法の一例を説明する
単層の場合は、1台の押出機から、植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有したポリオレフィンの樹脂組成物を温度220〜270℃で溶融して、口金よりフィルム状に押出し、30〜80℃の冷却ロールでキャスト冷却固化してフィルムとする。この時口金のリップの間隙と冷却固化したフィルムの厚さ比(リップ間隙/フィルム厚さ=ドラフト比)を20〜50とすることが好ましい。このドラフト比とすることにより長手方向に溶融配向させるのがフィルムの強度が高くなり好ましい。次に、このキャストフィルムの片面に、アンカー処理の一例として、窒素と炭酸ガスの混合気体(炭酸ガスの体積比0.5〜50%)の雰囲気下で20〜60W・分/mのコロナ放電処理を施して巻き取り、本発明のポリオレフィンフィルムを得る。次に、上記ポリオレフィンフィルムを真空蒸着装置にセットし、1.3×10−2Pa以上の真空度で上記フィルムのアンカー処理面にアルミニウムを30nmの膜厚で金属蒸着を施して、金属蒸着フィルムを得ることができる。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の蒸着フィルムの実施例1〜13および比較例1〜13には下記のポリオレフィン系樹脂を使用した。
(1)r−EPC:石油由来のエチレン・プロピレンランダム共重合体(融点141℃、エチレン含有量4モル%、密度0.900g/cm、MFR7g/10分)。
(2)r−EPBC1:石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(融点145℃、エチレン含有量2モル%、ブテン含有量5モル%、密度0.900g/cm、MFR7g/10分)。
(3)r−EPBC2:石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(融点127℃、エチレン含有量4モル%、ブテン含有量8モル%、密度0.900g/cm、MFR7g/10分)。
(4)HDPE:石油由来の高密度ポリエチレン(融点1334℃、密度0.952g/cm、MFR1.5g/10分)。
(5)LDPE:石油由来の低密度ポリエチレン(融点106℃、密度0.919g/cm、MFR7g/10分)。
(6)LLDPE:石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(融点124℃、α−オレフィン:ブテン、密度0.940g/cm、MFR5g/10分)。
(7)Bio−HDPE:植物由来のバイオマス高密度ポリエチレン(ブラスケム社製/SGM9450F、バイオマス度:96%、融点131℃、密度0.952g/cm、MFR9.3g/10分)。
(8)Bio−LDPE:植物由来のバイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム社製/SBC818、バイオマス度:95%、融点105℃、密度0.918g/cm、MF8.1g/10分)。
(9)Bio−LLDPE:植物由来のバイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(ブラスケム社製/SLH218、α−オレフィン:ブテン、バイオマス度:87%、融点125℃、密度0.916g/cm、MFR2.3g/10分)。
本発明の詳細な説明および実施例中の各評価項目の測定値は、下記の方法で測定した、各実施例、比較例における各サンプルの特性を表1〜表3に示す。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K−7210−1999に準拠し、ポリプロピレン系樹脂は温度230℃、ポリエチレン系樹脂は温度190℃で、それぞれ荷重21.18Nにて測定した。
(2)密度
JIS K−7112−1999に基づき、密度勾配管による測定方法で測定した。
(3)融点(Tm)
株式会社島津製作所製の示差走査熱量測定装置DSC(DSC−60A)を使用し、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で250℃まで昇温して5分間保持した後に、10℃/分の冷却速度で10℃まで冷却し、再度10℃/分の速度で昇温していった際に、再度の昇温において、樹脂の融解に伴う吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とした。
(4)製膜安定性
本発明のフィルムの製膜工程において、工程ロールへのフィルムの粘着や、フィルムのシワやカールなどの外観等を見て下記の評価をした。
○:製膜工程での工程ロールへの粘着がなく良好な製膜性、およびフィルムにシワや汚れなどが無く、カールも小さくて良好な外観である。
×:製膜工程での工程ロールへの粘着があり安定製膜性に劣り、またフィルムにシワや汚れがあり、またフィルムのカールの大きく外観が劣る、のいずれか一つ以上あるもの。
(5)フィルム厚さ
ダイヤルゲージ式厚さ計(JIS B−7509:1974、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの長手方向及び幅方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値とした。
(6)各層の厚さ
フィルムの断面をミクロトームにて切り出し、その断面についてデジタルマイクロスコープVHX−100形(株式会社キーエンス製)を用いて1000倍に拡大観察して撮影した断面写真を用いて、各層の厚さ方向の距離を計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚さを求めた。尚、各層の厚さを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真計5枚を使用し、それらの平均値として算出した。
(7)低温ヒートシール性
三井化学(株)製ポリエーテルウレタン系ドライラミネート用接着剤“タケラック”(登録商標)A969Vタイプ30重量部、三井化学(株)製ドライラミネート用硬化剤“タケラック”(登録商標)A10タイプ10重量部及び酢酸エチル100重量部を量り取り、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。次に20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学(株)製U−0)をコロナ処理面上にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して2μmの厚さの接着剤層を形成した。次に、該接着剤層に、上記ポリオレフィンフィルムの蒸着層面が接着剤層と向かい合うように重ね、富士テック(株)製“ラミパッカー”(登録商標)LPA330を用いて、ヒートロールを40℃に加熱して貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間保管して、積層体を得た。
次に、上記積層体のフィルムのポリオレフィンフィルムの非蒸着層面同士を重ねて、平板ヒートシーラーを使用して、シール温度120℃、片面加熱、シール圧力0.1MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを、オリエンテック社製“テンシロン”を使用して300mm/分の引張速度でヒートシール強度を測定した。このとき、ヒートシール強度が3N/15mm以上であるものを、低温ヒートシール性が良好と評価した。
(8)耐ブロッキング性
幅30mmで長さ100mmの蒸着前のポリオレフィンフィルムサンプルを準備し、ポリオレフィンフィルムの表裏を30mm×40mmの範囲で重ね合わせて、500g/12cmの荷重をかけ、40℃のオーブン内で24時間加熱処理した後、23℃、湿度65%RHの雰囲気下に30分以上放置した後、オリエンテック社製テンシロンを使用して300mm/分の引張速度で剪断剥離力を測定した。本測定法で剪断剥離力が10N/12cm以下であれば耐ブロッキング性が「○」とし、11〜14N/12cmの範囲を「△」、15N/12cm以上を「×」とした。△以下のものが実用上好ましい。
(9)ガスバリア性能
蒸着フィルムのガスバリア性能として、ポリオレフィンフィルムの片面上にアルミニウムを蒸着したフィルムを、温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(OXTRAN 2/20)を使用して、JIS K7126(2000年版)に記載のB法(等圧法)に基づいて酸素透過率を測定した。サンプルはフィルム幅方向に両端部および中央部の3カ所から採取し、3つの測定値の平均値を各実施例、比較例における酸素透過率の値とした。酸素透過率の値が50cc/m・24hr・atm以下をガスバリア性能良好とした。
(10)遮光性(光線透過率)
全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH7000)を使用して測定した。全光線透過率が5%以下を遮光性良好とした。
(11)蒸着膜密着性の評価
三井化学(株)製ポリエーテルウレタン系ドライラミネート用接着剤“タケラック”(登録商標)A969Vタイプ30重量部、三井化学(株)製ドライラミネート用硬化剤“タケラック”(登録商標)A10タイプ10重量部及び酢酸エチル100重量部を量り取り、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調製した。
次に他基材として、25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製“トレファン”(登録商標)YT42)のコロナ処理面に、バーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して2μmの厚さの接着剤層を形成した。
次に、上記接着剤層に蒸着フィルムの蒸着面が接着剤層と向かい合うように重ね、富士テック(株)製“ラミパッカー”(登録商標)LPA330を用いて、ヒートロールを40℃に加熱して貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間保管して、積層体を得た。次に該積層フィルムを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、(株)エー・アンド・デイ製引張り試験機(RTG−1210タイプ)を使用して蒸着フィルムと2軸延伸ポリプロピレンフィルム間を界面として、Tピール法により引張り速度300mm/minで剥離し、強度を測定した。得られた値を密着強度(N/15mm)とした。密着強度が3N/15mm以上を極めて強い(◎)、1N/15mm以上、3N/15mm未満を強い(〇)、1N/15mm未満を弱い(×)とした。
(12)バイオマス度
バイオマス度とは、全組成中の植物由来の原料の比率(重量%)を表す指標であり、植物由来の原料中には一定濃度で含まれ、石油由来の原料中には殆ど存在しない放射性炭素(C14)の濃度を加速器質量分析により測定することで、バイオマス度(%)を算出することができる。しかし、近年は、実際の製品を加速器質量分析しないでも、原料メーカーから各植物由来の原料の最小バイオマス度の値が提供されているので、これら原料メーカーから提供される各植物由来の原料の各最小バイオマス度と、各植物由来の原料の配合量とに基づいて、全組成中の植物由来の原料の比率(%)であるバイオマス度を略正確に算出することができる。本願では後者の方法によってバイオマス度を算出した。
(13)蒸着層の厚さ
透過型電子顕微鏡での観察方法は、観察対象となるフィルムをマイクロサンプリング法でサンプリング後、収束イオンビーム加工装置((株)日立製作所製 FB−2000)を用いて薄膜化を行った。その後、保護のため、炭素およびタングステン保護膜を形成した。このサンプルを電界放出形透過電子顕微鏡((株)日立製作所製 HF−2200、以下TEMと称する)で観察した。
比較例1
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)88重量部と、上記石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を12重量部と、酸化防止剤(チバガイギー社製”イルガノックス”1010)0.125重量部、アンチブロッキング剤として平均粒子径3μmのシリカ微粒子0.3重量部を混合した樹脂組成物を、240℃に加熱された押出機に供給して溶融し、240℃に加熱された口金から押出して、ドラフト比25で、50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化した。続いて47℃に加熱された金属鏡面ロールにて、0.05秒熱処理し、フィルムの片面に26W・分/mでコロナ放電処理して巻取り、厚さ20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。
次に、通常のロール・ツー・ロ−ル型の蒸着機にて、1.3×10−3Paの真空度でアルミニウムを蒸発させ、上記フィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が7cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例1
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)88重量部と、植物由来のポリエチレンとして上記バイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を12重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は10.4%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例1と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。
次に、比較例1と同様にして上記フィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が9cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例1と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例2
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)90重量部と、石油由来の高密度密度ポリエチレン(HDPE)を10重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が5cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例2
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)90重量部と、植物由来のポリエチレンとして上記バイオマス高密度ポリエチレン(Bio−HDPE)を10重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は9.6%であり、従来の石油由来の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた比較例2と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が8cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例2と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例3
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)88重量部と、石油由来の低密度密度ポリエチレン(LDPE)を12重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が6cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例3
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)88重量部と、植物由来のポリエチレンとして上記バイオマス低密度ポリエチレン(Bio−LDPE)を12重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は11.4%であり、従来の石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた比較例3と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が9cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例3と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例4
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が13cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例4
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記バイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は87%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例4と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が15cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例4と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例5
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来の高密度ポリエチレン(HDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が10cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例5
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記バイオマス高密度ポリエチレン(Bio−HDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は96%であり、従来の石油由来の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた比較例5と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が13cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例5と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例6
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が11cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例6
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記バイオマス低密度ポリエチレン(Bio−LDPE)を100重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は96%であり、従来の石油由来の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた比較例6と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が15cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、上記比較例6と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例7
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部と、上記石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が10cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例7
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部と、植物由来のポリエチレンとして上記バイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は43.5%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例7と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が12cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、比較例7と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例8
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部と、上記石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が9cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例8
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部と、植物由来のポリエチレンとして上記バイオマス低密度ポリエチレン(Bio−LDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は47.5%であり、従来の石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた比較例8と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例1と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が12cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、比較例8と同様にガスバリア性、遮光性が良好であった。
比較例9
2層積層フィルムのベース層樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部に、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50重量部、酸化防止剤(チバガイギー製”イルガノックス”1010)0.125重量部、アンチブロッキング剤として平均粒子径3μmのシリカ微粒子0.3重量部を混合した樹脂組成を、240℃に加熱された1台の押出機に供給して溶融し、ヒートシール層の樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC2)100重量部、酸化防止剤(チバガイギー製”イルガノックス”1010)0.125重量部、耐ブロッキング剤として平均粒子径3μmのシリカ微粒子0.2重量部を混合した樹脂組成物を、もう1台の240℃に加熱された押出機に供給して溶融し、240℃に加熱された2層積層用のマルチマニホールド口金内で積層して押出し、ドラフト比25で、50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化した。続いて47℃に加熱された金属鏡面ロールにて、0.05秒熱処理し、ベース層面に26W・分/mでコロナ放電処理して巻取り、ベース層(A)の厚さ20μm、ヒートシール層の厚さ5μm、全厚さ25μmの共押出し2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られた2層積層ポリオレフィンフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。
次に、通常のロール・ツー・ロ−ル型の蒸着機にて、1.3×10−3Paの真空度で
アルミニウムを蒸発させ、酸素を導入しながらアルミニウム蒸着層を上記2層積層ポリオレフィンフィルムのベース層のコロナ放電処理面上に40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。上記蒸着フィルムの酸素透過率を測定し、23℃、湿度0%での酸素透過率が10
cc/m2・day・atmで、ガスバリア性が良好だった。
実施例9
2層積層フィルムのベース層樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)50重量部に、植物由来のバイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例9と同様にして2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は32.6%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例9と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例9と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が12cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、比較例9と同様にガスバリア性が良好であった。
比較例10
比較例9において、2層積層フィルムのヒートシール層の樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC2)50重量部に、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例9と同様にして2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られた2層積層ポリオレフィンフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例10と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が10cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例10
比較例10において、2層積層フィルムのヒートシール層の樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC2)50重量部に、植物由来のバイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例10と同様にして2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られた2層積層ポリオレフィンフィルムのバイオマス度は43.5%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例10と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例10と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が12cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、比較例10と同様にガスバリア性が良好であった。
比較例11
2層積層フィルムのベース層樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)100重量部とし、ヒートシール層の樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC2)50重量部と、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例10と同様にして2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られた2層積層ポリオレフィンフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例10と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が7cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、ガスバリア性、遮光性が良好であった。
実施例11
2層積層フィルムのベース層樹脂組成として、上記石油由来のプロピレン・ランダム共重合体(r−EPC)100重量部とし、ヒートシール層の樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC2)50重量部と、植物由来のバイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例11と同様にして2層積層のポリオレフィンフィルムを得た。得られた2層積層ポリオレフィンフィルムのバイオマス度は10.9%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例11と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例11と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上にアルミニウム層を40nm形成させ、蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が9cc/m・day・atm、全光線透過率0.1%であり、比較例11と同様にガスバリア性が良好であった。
比較例12
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC1)50重量部と、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また比較例1と同様に上記フィルム片面にコロナ放電処理を行い、次に、ロール・ツー・ロ−ル型の蒸着機にて、1.3×10−2Paの真空度でアルミニウムを蒸発させ、酸素を導入しながら酸化アルミニウム蒸着層を上記フィルムのベース層(A)面上に10nm形成させ、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が45cc/m・day・atmで、酸化アルミニウム蒸着層の密着力が高く、ガスバリア性が良好であった。
実施例12
ポリオレフィンフィルムの樹脂組成として、上記石油由来のエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(r−EPBC1)50重量部と、植物由来のバイオマス直鎖状低密度ポリエチレン(Bio−LLDPE)を50重量部とした以外は、比較例1と同様にしてポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのバイオマス度は43.5%であり、従来の石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた比較例12と同様に製膜性が良好で、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に優れていた。また、比較例12と同様にして、上記フィルム上に表面処理を行い、続けて比較例12と同様にしてフィルムのコロナ放電処理面上に酸化アルミニウム層を10nm形成させ、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が48cc/m・day・atmで、比較例12と同様に酸化アルミニウム蒸着層の密着力が高く、ガスバリア性が良好であった。
比較例13
比較例12のフィルムを用いて、ロール・ツー・ロ−ル型の蒸着機にて、1.3×10−2Paの真空度でアルミニウムを蒸発させ、ポリオレフィンフィルムのコロナ放電処理面にアルミニウム蒸気が付着する付近に酸素ガスを導入して、10nmの膜厚で第1の蒸着層である酸化アルミニウムを形成し、連続して、第2の蒸着層として30nmの膜厚で第2の蒸着層であるアルミニウムを形成した以外は、比較例12と同じ方法で蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が13cc/m・day・atmで、蒸着層の密着力が高く、ガスバリア性が良好であった。
実施例13
実施例12のフィルムを用いて、ロール・ツー・ロ−ル型の蒸着機にて、1.3×10−2Paの真空度でアルミニウムを蒸発させ、ポリオレフィンフィルムのコロナ放電処理面にアルミニウム蒸気が付着する付近に酸素ガスを導入して、10nmの膜厚で第1の蒸着層である酸化アルミニウムを形成し、連続して、第2の蒸着層として30nmの膜厚で第2の蒸着層であるアルミニウムを形成した以外は、実施例12と同じ方法で蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは、23℃、湿度0%での酸素透過率が15cc/m・day・atmで、蒸着層の密着力が高く、ガスバリア性が良好であった。
Figure 2021169193
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本発明の植物由来のバイオマスポリエチレンを用いた蒸着フィルムおよびそれを用いた積層体は、環境負荷の低減に貢献可能な包装袋、包装容器として好適に用いることができる。包装袋、包装容器としては、例えば、ガゼット袋、スタンディングパウチ、ブリックタイプ、フラットタイプなどが挙げられ、各種の食品、飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品等の種々の物品を充填包装することができるものである。

Claims (13)

  1. 植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有したポリオレフィンフィルムの少なくとも片面に、蒸着層を有する蒸着フィルム。
  2. 前記ポリオレフィンフィルムが、プロピレン・ランダム共重合体に、植物由来のポリエチレンを5重量%以上含有した樹脂組成物からなる、請求項1に記載の蒸着フィルム。
  3. 前記プロピレン・ランダム共重合体が、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体またはそれらの混合物である、請求項2に記載の蒸着フィルム。
  4. 前記植物由来のポリエチレンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  5. 前記ポリオレフィンフィルムと前記蒸着層の間に、アンカー処理層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  6. 前記蒸着層が第1の蒸着層および第2の蒸着層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  7. 第1の蒸着層が無機化合物であり、第2の蒸着層が金属蒸着層である、請求項6に記載の蒸着フィルム。
  8. 無機化合物が、酸化アルミニウムであり、金属蒸着層が、アルミニウム蒸着層である、請求項7に記載の蒸着フィルム。
  9. 非蒸着層面同士を重ねて120℃でヒートシールした時のヒートシール強度が3N/15mm以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  10. 前記ポリオレフィンフィルムのバイオマス度が5%以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  11. 23℃、湿度0%での酸素透過率が50cc/m・day以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  12. 他基材層に、請求項1〜11のいずれかに記載の蒸着フィルムの蒸着層が前記他基材層側になるように積層された積層体。
  13. 前記他基材層が、立体規則性90〜98%のポリプロピレン樹脂を用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルムである、請求項12に記載の積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023106270A1 (ja) * 2021-12-10 2023-06-15 凸版印刷株式会社 バリアフィルム、包装材料、包装容器及び包装製品
WO2024058167A1 (ja) * 2022-09-13 2024-03-21 東洋紡株式会社 包装材料

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