JP2021168254A - 膜電極接合体の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線を用いて、膜電極接合体における異物を精度良く検出すること。【解決手段】膜電極接合体の検査方法であって、膜電極接合体に、第1光軸を有する第1X線と、第1光軸と交差する第2光軸を有する第2X線とを照射し、膜電極接合体のX線透過像を撮像する撮像工程と、X線透過像の各単位領域における輝度のうち、最低輝度を取得する取得工程と、異物の平面サイズと最低輝度との予め定められた相関関係を用いて、取得工程において取得された最低輝度に応じて、異物の平面サイズを決定する決定工程と、を備える検査方法。【選択図】図8
Description
本開示は、膜電極接合体の検査方法に関する。
従来、電池の製造工程において、X線を検査対象物に照射し、透過X線の強度を検出することにより、検査対象物に金属異物があるか否かの検査が行われている(例えば、特許文献1)。
ところで、燃料電池における膜電極接合体の製造工程においても、膜電極接合体に鉄などの異物が混入する場合がある。そこで、X線を用いて、精度良く異物を検出することができる技術が要請されていた。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、膜電極接合体の検査方法が提供される。この膜電極接合体の検査方法は、前記膜電極接合体に、第1光軸を有する第1X線と、前記第1光軸と交差する第2光軸を有する第2X線とを照射し、前記膜電極接合体のX線透過像を撮像する撮像工程と、前記X線透過像の各単位領域における輝度のうち、最低輝度を取得する取得工程と、異物の平面サイズと前記最低輝度との予め定められた相関関係を用いて、前記取得工程において取得された前記最低輝度に応じて、前記異物の平面サイズを決定する決定工程と、を備える。この形態によれば、第2光軸は、第1光軸と交差するため、異物により回折された第2X線は、異物により回折された第1X線よりも、X線透過像の中央付近まで届く。これにより、異物の平面サイズが大きい場合にも、平面サイズと、最低輝度との間に相関関係を生じさせることができる。よって、異物の平面サイズと、最低輝度との予め定められた相関関係に基づいて、検出される最低輝度に応じて、精度良く異物を検出することができる。
A.実施形態:
A1.検査システムの構成
図1は、膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)50の検査に用いる検査システム100の概略構成を示す図である。膜電極接合体50は、固体高分子形燃料電池などに用いられる部材である。膜電極接合体50は、例えば、電解質膜の両面に2つの触媒電極層が配置された構造を有している。電解質膜は、例えば、フッ素系スルホン酸ポリマなどにより形成された固体高分子膜である。触媒電極層は、例えば、白金等の触媒粒子を担持した触媒担持カーボンと電解質樹脂とにより構成される。燃料電池を構成する燃料電池セルは、例えば、膜電極接合体50の一方あるいは両方の面にガス拡散層が配置された膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode and Gas Diffusion Layer Assembly)が、一対のセパレータにより挟持された構造を有している。詳しくは、膜電極ガス拡散層接合体は、周囲が樹脂製のフレーム部材に固定された状態で、セパレータに挟持されている。ガス拡散層は、例えば、カーボンペーパーやカーボン不織布等によって構成されている。製造工程において、膜電極接合体50に、鉄粒子などの異物が混入する場合がある。鉄粒子が膜電極接合体50に混入すると、膜化学劣化により、燃料電池の耐久性能が低下するおそれがある。そこで、検査システム100を用いて、膜電極接合体50に異物が含まれるか否かが検査される。本実施形態では、検査システム100における検査は、膜電極接合体50を対象として実施される。なお、検査システム100における検査は、周囲を樹脂製のフレーム部材により固定された膜電極ガス拡散層接合体を対象として実施されてもよい。
A1.検査システムの構成
図1は、膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)50の検査に用いる検査システム100の概略構成を示す図である。膜電極接合体50は、固体高分子形燃料電池などに用いられる部材である。膜電極接合体50は、例えば、電解質膜の両面に2つの触媒電極層が配置された構造を有している。電解質膜は、例えば、フッ素系スルホン酸ポリマなどにより形成された固体高分子膜である。触媒電極層は、例えば、白金等の触媒粒子を担持した触媒担持カーボンと電解質樹脂とにより構成される。燃料電池を構成する燃料電池セルは、例えば、膜電極接合体50の一方あるいは両方の面にガス拡散層が配置された膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode and Gas Diffusion Layer Assembly)が、一対のセパレータにより挟持された構造を有している。詳しくは、膜電極ガス拡散層接合体は、周囲が樹脂製のフレーム部材に固定された状態で、セパレータに挟持されている。ガス拡散層は、例えば、カーボンペーパーやカーボン不織布等によって構成されている。製造工程において、膜電極接合体50に、鉄粒子などの異物が混入する場合がある。鉄粒子が膜電極接合体50に混入すると、膜化学劣化により、燃料電池の耐久性能が低下するおそれがある。そこで、検査システム100を用いて、膜電極接合体50に異物が含まれるか否かが検査される。本実施形態では、検査システム100における検査は、膜電極接合体50を対象として実施される。なお、検査システム100における検査は、周囲を樹脂製のフレーム部材により固定された膜電極ガス拡散層接合体を対象として実施されてもよい。
検査システム100は、X線源10と、検出カメラ20と、ステージ30と、制御装置40とを備える。検出カメラ20は、X線源10の上方に配置されている。X線源10と、検出カメラ20との間に、ステージ30の移動経路が設けられている。膜電極接合体50は、ステージ30に載置される。以下の説明において、膜電極接合体50の厚み方向をZ軸方向とし、ステージ30の移動方向をY軸方向とし、Y軸方向およびZ軸方向に直交する方向をX軸方向とする。本実施形態において、Z軸方向は、上下方向である。
ステージ30は、例えば、リニアアクチュエータ、またはベルトコンベアなどによって、Y軸方向に移動する。ステージ30の移動速度は、例えば、40mm/秒以上である。ステージ30は、膜電極接合体50をステージ30上に固定するための図示しない真空吸着装置を備えている。ステージ30には、X線を通過させるための開口部60が設けられている。
X線源10は、検出カメラ20に向けてX線を照射する。X線源10は、複数のX線管球12(図2参照)を有しており、複数の方向からX線を照射する。X線管球としては、例えば、水冷式X線管球を用いることができ、例えば、管電圧は15〜50kV、管電流は0.1〜35mAとすることができる。X線源10から照射されるX線は、X線源10と検出カメラ20との間を通過するステージ30上の膜電極接合体50に照射される。なお、複数のステージ30を、X線源10上方を順次通過させることにより、膜電極接合体50に対する検査が連続的に行われても良い。
検出カメラ20は、受光面22(図2参照)を下方に向けて配置されている。検出カメラ20は、膜電極接合体50のX線透過像を撮像する。検出カメラ20の画素分解能は、例えば、10〜30μm/画素である。また、検出カメラ20の輝度分解能は、例えば、8〜232bit階調である。検出カメラ20としては、CCD(Charged-coupled devices)方式、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)方式などのリニアイメージセンサあるいはエリアイメージセンサを用いることができる。あるいは、検出カメラ20として、TDI(Time Delay Integration)センサを用いてもよい。
制御装置40は、CPU41およびメモリ42などを備えるコンピュータなどにより構成されており、X線源10、検出カメラ20およびステージ30を制御する。制御装置40は、検出カメラ20により検出される膜電極接合体50のX線透過像を用いて、膜電極接合体50に含まれる異物の平面サイズを決定する。ここで、平面サイズとは、膜電極接合体50の面方向における大きさを指し、具体的には、例えば、異物が受光面22に投影された形状の面積、または、最長部分の長さなどにより規定されるサイズである。メモリ42には、後述する平面サイズ決定処理のプログラムなどが記憶されている。
A2.X線源の構成
図2は、X線源10の構造を説明する模式図である。X線源10は、5つのX線管球12を有し、5つのX線管球12は、X線管球取付部14に取り付けられている。X線管球取付部14は、膜電極接合体50の膜面と略平行な中央部14aと、2つの端部14bとを有する。端部14bは、平板状であり、端に向かうほど検出カメラ20の受光面22に近づくように、中央部14aに対して、傾斜している。中央部14aと端部14bとのなす角度は、90度よりも大きく、180度よりも小さい。X線管球12は、中央部14aに1つ、2つの端部14bの各々に2つ配置されている。X線管球12は、X線管球取付部14における、取り付けられている部分の面と略垂直な方向へX線を照射する。便宜上、中央部14aに取り付けられているX線管球12をX線管球12aと称し、端部14bに取り付けられているX線管球12をX軸負方向から順に、X線管球12b,12d,12e,12cと称する。以下の説明において、複数のX線管球12a〜12eを区別することなく用いる場合には、X線管球12と記載する。なお、図2では、X線管球12は、X軸方向に沿って配列されて描かれているが、Y軸方向に沿って、X線管球12が配列されても良い。また、X線管球は、X軸方向にY軸方向およびX軸方向の両方向、すなわち、XY平面にX線管球12が配列されていても良い。
図2は、X線源10の構造を説明する模式図である。X線源10は、5つのX線管球12を有し、5つのX線管球12は、X線管球取付部14に取り付けられている。X線管球取付部14は、膜電極接合体50の膜面と略平行な中央部14aと、2つの端部14bとを有する。端部14bは、平板状であり、端に向かうほど検出カメラ20の受光面22に近づくように、中央部14aに対して、傾斜している。中央部14aと端部14bとのなす角度は、90度よりも大きく、180度よりも小さい。X線管球12は、中央部14aに1つ、2つの端部14bの各々に2つ配置されている。X線管球12は、X線管球取付部14における、取り付けられている部分の面と略垂直な方向へX線を照射する。便宜上、中央部14aに取り付けられているX線管球12をX線管球12aと称し、端部14bに取り付けられているX線管球12をX軸負方向から順に、X線管球12b,12d,12e,12cと称する。以下の説明において、複数のX線管球12a〜12eを区別することなく用いる場合には、X線管球12と記載する。なお、図2では、X線管球12は、X軸方向に沿って配列されて描かれているが、Y軸方向に沿って、X線管球12が配列されても良い。また、X線管球は、X軸方向にY軸方向およびX軸方向の両方向、すなわち、XY平面にX線管球12が配列されていても良い。
図3は、X線源10から照射されるX線と、膜電極接合体50と、検出カメラ20の受光面22との位置関係を説明する図である。簡単のため、図3では、複数のX線管球12のうち、中央部14aに取り付けられているX線管球12aから照射されるX線と、端部14bに取り付けられているX線管球12b,12cから照射されるX線とを描き、X線管球12d,12eから照射されるX線については、図示を省略している。X線焦点16a〜16cは、それぞれ、X線管球12a〜12cから照射されるX線の焦点である。一点鎖線で示す光軸18a〜18cは、それぞれ、X線管球12a〜12cから照射されるX線の光軸である。以下の説明において、複数の光軸18a〜18cを区別することなく用いる場合には、光軸18と記載する。X線焦点16a〜16cについても同様とする。X線管球12から照射されるX線は、光軸18を軸として、X線焦点16からコーン状に広がって、膜電極接合体50に照射される。図3におけるX線焦点16を基点とする破線は、X線の照射範囲を示している。X線は、ステージ30の開口部60を通じて膜電極接合体50に照射されるため、受光面22には、X線焦点16を基点とする実線で示す範囲のX線が入射する。X線管球12b,12cは、それぞれの光軸18b,18cがX線管球12aの光軸18aと交わるように取り付けられている。さらに、X線管球12a〜12cの各々は、照射するX線の受光面22における入射範囲が、互いに一部が重なるように、取り付けられている。図示が省略されているX線管球12d,12eについても、同様に、各々の光軸18は光軸18aと交わり、一部の入射範囲が互いに重なるように取り付けられている。これにより、互いに異なる複数の方向から、膜電極接合体50にX線を照射することができる。なお、光軸18aは、第1光軸の一例であり、光軸18b,18cおよびX線管球12d,12eの光軸は、第2光軸の一例である。また、光軸18aを有するX線を第1X線とも呼び、光軸18b,18cを有するX線およびX線管球12d,12eから照射されるX線を第2X線とも呼ぶ。本実施形態において、光軸18bと、光軸18cとは、光軸18aに対して線対称である。光軸18b,18cの各々と光軸18aとのなす角は、0度より大きく90度より小さい。
A3.検査の概要
図4〜図6は、膜電極接合体50に鉄成分を含む異物(以下、単に「異物」と呼ぶ。)が含まれる場合における、受光面22に入射されるX線と、X線透過像を構成する画素24の輝度との関係を説明する図である。異物が膜電極接合体50に含まれる場合、異物のX線吸収率は高いため、X線透過像において、異物が投影される範囲の輝度は低下する。ここで、発明者らは、異物の縁でX線の回り込みが発生し、回折されたX線が、X線透過像の輝度に影響を与えることを見出した。さらに、発明者らは、この現象を利用して、X線透過像の輝度により、異物の平面サイズを検出できることを見出した。図4〜図6のX線焦点16を基点とする実線は、異物を透過するX線の照射範囲を示している。異物の縁を基点とする破線は、異物の縁で回折されたX線の照射範囲を示している。回折されたX線は、回り込みにより、異物により減衰されたX線の入射範囲に入射するため、回折されたX線が入射される範囲のX線透過像は、輝度の低下が緩和される。
図4〜図6は、膜電極接合体50に鉄成分を含む異物(以下、単に「異物」と呼ぶ。)が含まれる場合における、受光面22に入射されるX線と、X線透過像を構成する画素24の輝度との関係を説明する図である。異物が膜電極接合体50に含まれる場合、異物のX線吸収率は高いため、X線透過像において、異物が投影される範囲の輝度は低下する。ここで、発明者らは、異物の縁でX線の回り込みが発生し、回折されたX線が、X線透過像の輝度に影響を与えることを見出した。さらに、発明者らは、この現象を利用して、X線透過像の輝度により、異物の平面サイズを検出できることを見出した。図4〜図6のX線焦点16を基点とする実線は、異物を透過するX線の照射範囲を示している。異物の縁を基点とする破線は、異物の縁で回折されたX線の照射範囲を示している。回折されたX線は、回り込みにより、異物により減衰されたX線の入射範囲に入射するため、回折されたX線が入射される範囲のX線透過像は、輝度の低下が緩和される。
図4〜図6に示されている異物は、大きさが互いに異なり、図4、図5、図6の順に大きい。図4に示すように、異物の平面サイズが小さいほど、破線で示す回折されたX線同士が重畳される範囲は広いため、輝度の低下はより緩和される。図5に示すように、異物の平面サイズが図4よりも大きくなると、回折されたX線同士が重畳される範囲は狭くなる。図6に示すように、異物の平面サイズがさらに大きくなると、回折されたX線同士が重畳されなくなる。図6に示すよりも異物の平面サイズが大きい範囲では、減衰されたX線の入射範囲の中央付近に、回折されたX線が入射しなくなり、異物が大きくなるにつれ、回折されたX線が入射しなくなる範囲は広がっていく。異物の平面サイズが大きくなるにつれ、ステップ状ではなく、連続的に輝度は変化する。この現象により、異物の平面サイズが図6に示す平面サイズよりも小さい範囲では、X線透過像の画素24のうち、X線透過像の中央位置に対応する最低輝度を有する画素(以下、「最低輝度画素」と称する。)の輝度低下量は、平面サイズが大きくなるにつれ、大きくなる。ここで、輝度低下量とは、輝度検出範囲の最大値から最低輝度画素の輝度を減算した値であり、輝度低下量が大きいほど最低輝度画素の輝度は低いことを示す。なお、図4〜図6では、画素24のハッチングの密度により、画素24の輝度が表現されている。
図7は、異物を模した鉄製の円柱状のサンプルの直径サイズと、最低輝度画素における輝度低下量との関係を示す図である。図7の横軸は、サンプルの直径である。縦軸は、輝度低下量であり、階調で示される値である。輝度の分解能は、1024階調である。図7の実施例は、本実施形態における検査システム100を用いて測定した結果であり、比較例は、X線管球12が1つとされたX線源を用いて測定された結果である。実施例および比較例のいずれも、厚さ20μm、直径サイズが、80μm、100μm、110μm、150μm、300μmであるサンプルをそれぞれ30回繰り返し測定された結果であり、測定値の平均値が示されている。サンプルは、円形の面が膜電極接合体50の膜面と平行にされた状態で測定されている。実施例にて示されるように、直径80μm以上300μm以下の範囲において、輝度低下量は、直径が大きくなるほど、線形的に増加する。後述する平面サイズ決定処理では、図7に示される、平面サイズと輝度低下量との相関関係に基づいて、平面サイズが決定される。
ところで、X線源10には、X線透過像における最低輝度画素の輝度低下量から異物の平面サイズを推定可能な平面サイズの上限値を上げるための工夫が施されている。この工夫とは、X線源10が、複数のX線管球12を備え、異物に対して、複数の方向からX線が照射される点である。この構成によれば、一方向からX線が照射される構成よりも、回折されるX線をより広い範囲に入射させることができる。
図7の比較例は、X線管球12が1つとされたX線源を用いて測定された結果である。X線管球12が1つの構成では、例えば、図4〜図6において、X線焦点16aとするX線のみが異物に照射されることになる。この構成の場合、回折されるX線は、一方向のX線からしか発生しないため、回折されるX線が受光面22に入射する範囲は限られる。上記のように、異物の平面サイズが大きいほど、回折されたX線が入射しなくなる範囲は広くなるため、平面サイズが所定のサイズを超えると、最低輝度画素の輝度低下量が平面サイズの増加に対して変化しなくなる。図7の比較例では、異物の直径が150μmを超えると、最低輝度画素の輝度低下量が直径の増加に対して変化しなくなっている。X線管球12が1つの構成では、回折されるX線が受光面22に入射する範囲は限られるため、異物の直径が150μm程度で、最低輝度画素の輝度低下量が直径の増加に対して変化しなくなってしまう。一方、本実施形態である図7の実施例では、150μm以上の範囲においても、最低輝度画素の輝度低下量が異物の直径に対して変化している。異物に対して、複数の方向からX線が照射される構成においては、一方向のX線に基づく回折されたX線に加え、異なる方向から照射されるX線に基づく回折されたX線が受光面22に入射する。光軸18b,18cは、光軸18aと交わるため、X線管球12b,12cから照射され、異物により回折されたX線は、X線管球12aから照射され、異物で回折されたX線の入射範囲よりも、X線透過像の中央近くに入射する。このため、直径が150μm以上の範囲においても、異物の直径と、最低輝度画素の輝度低下量との間に相関関係を生じさせることができる。このように、本実施形態によれば、回折されたX線の受光面22における入射範囲を、X線管球12が1つの構成よりも広げることができ、最低輝度画素の輝度低下量から推定可能な平面サイズの上限値を上げることができる。
なお、上記の「推定可能な平面サイズの上限値」とは、異物により減衰されたX線の入射範囲内に、回折されたX線が入射しない部分が生じる程度に大きい平面サイズであり、X線源10および検出カメラ20のサイズと、X線源10、膜電極接合体50、および受光面22の互いの相対距離と、X線管球12b〜12e各々の光軸の光軸18aに対する角度などと、により定まる値である。本実施形態では、少なくとも推定可能な平面サイズの上限値が、300μmよりも大きくなるように、X線源10、膜電極接合体50、および受光面22の互いの相対距離と、X線管球12b〜12e各々の光軸の光軸18aに対する角度などとが調整されている。なお、X線管球12b〜12e各々の光軸の光軸18aに対する角度は、「推定可能な平面サイズの上限値」を上げるほど、大きくすると良い。
膜電極接合体50に含まれる異物は、円柱状に限られない。とはいえ、例えば、平面サイズが、異物の受光面22における投影形状の面積により規定される場合、投影形状の面積が大きいほど、最低輝度画素の輝度低下量は大きくなる。異物の形状によらず、異物の平面サイズが大きいほど、最低輝度画素の輝度低下量は増加する相関関係は生じるため、検出された輝度低下量から平面サイズを推定することができる。
ちなみに、X線管球12が1つの構成において、異物のX線透過像を測長すれば、異物の平面サイズを推定することはできる。ただし、この方法では、推定される異物の平面サイズの精度は、検出カメラ20の画素サイズに依存してしまうという課題がある。この点、本実施形態では、平面サイズと輝度低下量との相関関係に基づき、平面サイズを決定することができるため、画素24のサイズにかかわらず、異物の平面サイズを精度良く検出することができる。また、X線透過像を測長する方法では、例えば画像処理に時間を要する場合がある。この点、本実施形態では、輝度を用いて、平面サイズを決定するため、迅速に異物の平面サイズを決定することができる。
A4.検査の詳細
図8は、平面サイズ決定処理のフローチャートである。平面サイズ決定処理の実行により、膜電極接合体50の検査方法が実現される。CPU41は、検査開始指示を受け付けると、平面サイズ決定処理を開始する。CPU41は、X線源10からステージ30上の膜電極接合体50にX線を照射させ、検出カメラ20にX線透過像を撮像させる(ステップS10)。CPU41は、X線透過像の各単位領域としての各画素における輝度のうち、最低輝度を取得する(ステップS20)。CPU41は、メモリ42に予め記憶している、平面サイズとしての直径と検出カメラ20の輝度検出範囲の最大輝度から最低輝度を減算した輝度低下量との相関関係を参照し、取得した最低輝度に対応する直径を異物の平面サイズと決定し(ステップS30)、平面サイズ決定処理を終了する。なお、直径と輝度低下量との相関関係は、予め実験などにより決定されており、例えば、数式あるいはマップなどとして記憶される。ステップS10は撮像工程とも呼び、ステップS20は取得工程とも呼び、ステップS30は決定工程とも呼ぶ。
図8は、平面サイズ決定処理のフローチャートである。平面サイズ決定処理の実行により、膜電極接合体50の検査方法が実現される。CPU41は、検査開始指示を受け付けると、平面サイズ決定処理を開始する。CPU41は、X線源10からステージ30上の膜電極接合体50にX線を照射させ、検出カメラ20にX線透過像を撮像させる(ステップS10)。CPU41は、X線透過像の各単位領域としての各画素における輝度のうち、最低輝度を取得する(ステップS20)。CPU41は、メモリ42に予め記憶している、平面サイズとしての直径と検出カメラ20の輝度検出範囲の最大輝度から最低輝度を減算した輝度低下量との相関関係を参照し、取得した最低輝度に対応する直径を異物の平面サイズと決定し(ステップS30)、平面サイズ決定処理を終了する。なお、直径と輝度低下量との相関関係は、予め実験などにより決定されており、例えば、数式あるいはマップなどとして記憶される。ステップS10は撮像工程とも呼び、ステップS20は取得工程とも呼び、ステップS30は決定工程とも呼ぶ。
以上説明した実施形態によれば、次の効果を奏する。第2光軸としての光軸18b,18cおよびX線管球12d,12eの光軸は、第1光軸としての光軸18aと交差する。互いに異なる複数の方向から膜電極接合体50にX線が照射される。このため、異物により回折された、光軸18b,18cなどを有する第2X線は、異物により回折された、光軸18aを有する第1X線よりも、X線透過像の中央近くまで入射する。これにより、異物の平面サイズが150μmを超える場合にも、異物の平面サイズと、X線透過像の各画素のうち、最低輝度を有する最低輝度画素の輝度低下量との間に相関関係を生じさせることができる。よって、異物の平面サイズと、最低輝度画素の輝度低下量との相関関係に基づいて、異物の平面サイズを決定することができる。
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、X線管球取付部14は、中央部14aと、平板状の端部14bとを有する。これに対し、X線管球取付部14の端部が曲面を有する形状でもよい。あるいは、X線管球取付部14が円弧状の形状でもよく、4つ以上の平面で構成された形状でもよい。また、X線管球12の個数は、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。また、上記実施形態では、X線管球12は、X線管球取付部14における、取り付けられている部分の面と略垂直な方向へX線を照射する。これに対して、照射されるX線の方向は、X線管球12が取り付けられている部分の面に対して、90度より小さくても、大きくてもよい。X線管球取付部14の形状、およびX線管球12の取り付け態様にかかわらず、複数のX線の各々が、検出カメラ20の受光面22に対して、互いに異なる入射角度で入射する構成であればよい。
(B1)上記実施形態では、X線管球取付部14は、中央部14aと、平板状の端部14bとを有する。これに対し、X線管球取付部14の端部が曲面を有する形状でもよい。あるいは、X線管球取付部14が円弧状の形状でもよく、4つ以上の平面で構成された形状でもよい。また、X線管球12の個数は、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。また、上記実施形態では、X線管球12は、X線管球取付部14における、取り付けられている部分の面と略垂直な方向へX線を照射する。これに対して、照射されるX線の方向は、X線管球12が取り付けられている部分の面に対して、90度より小さくても、大きくてもよい。X線管球取付部14の形状、およびX線管球12の取り付け態様にかかわらず、複数のX線の各々が、検出カメラ20の受光面22に対して、互いに異なる入射角度で入射する構成であればよい。
(B2)上記実施形態では、各単位領域として、各画素24における輝度に基づき異物の平面サイズが決定される。単位領域は、1つの画素24に限定されず、例えば、複数の画素24でもよい。単位領域を複数の画素24とする場合、複数の画素24の輝度の平均値、または合計値に基づき、平面サイズが決定されてもよい。
(B3)上記実施形態では、異物の直径と輝度低下量との相関関係を用いて、異物の平面サイズを決定している。これに対し、輝度低下量ではなく、最低輝度画素の輝度と異物の直径との相関関係を用いて、平面サイズを決定してもよい。この場合、異物の直径が大きくなるほど、最低輝度画素の輝度が低下する相関関係となる。
(B4)上記実施形態では、異物の平面サイズが決定され、平面サイズ決定処理は終了する。平面サイズ決定処理終了後、決定された平面サイズが予め定められた検査閾値よりも大きい場合には、検査不合格と判定する処理が行われてもよい。これにより、検査閾値よりも大きい異物が含まれる膜電極接合体50を選別することができる。
(B5)上記実施形態では、膜電極接合体50に含まれる異物として、鉄製の異物が想定されている。異物の材料は鉄に限定されず、X線吸収率の高い材料の異物に対して、本願を適用することができる。
(B6)上記実施形態では、複数のX線管球12により、複数の方向からX線が照射されている。これに対して、例えば、X線用の多層膜ミラーを用いるなどして、X線の光路を変更することにより、1つのX線源10を用いて、複数の方向から膜電極接合体50にX線を照射する構成としても良い。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…X線源、12,12a〜12e…X線管球、14…X線管球取付部、14a…中央部、14b…端部、16,16a,16b,16c…X線焦点、18,18a,18b,18c…光軸、20…検出カメラ、22…受光面、24…画素、30…ステージ、40…制御装置、41…CPU、42…メモリ、50…膜電極接合体、60…開口部、100…検査システム
Claims (1)
- 膜電極接合体の検査方法であって、
前記膜電極接合体に、第1光軸を有する第1X線と、前記第1光軸と交差する第2光軸を有する第2X線とを照射し、前記膜電極接合体のX線透過像を撮像する撮像工程と、
前記X線透過像の各単位領域における輝度のうち、最低輝度を取得する取得工程と、
異物の平面サイズと前記最低輝度との予め定められた相関関係を用いて、前記取得工程において取得された前記最低輝度に応じて、前記異物の平面サイズを決定する決定工程と、を備える検査方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020071043A JP2021168254A (ja) | 2020-04-10 | 2020-04-10 | 膜電極接合体の検査方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021168254A true JP2021168254A (ja) | 2021-10-21 |
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ID=78079683
Family Applications (1)
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JP2020071043A Pending JP2021168254A (ja) | 2020-04-10 | 2020-04-10 | 膜電極接合体の検査方法 |
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JP (1) | JP2021168254A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115655175A (zh) * | 2022-08-30 | 2023-01-31 | 广州超音速自动化科技股份有限公司 | 一种膜电极ccd检测机 |
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2020
- 2020-04-10 JP JP2020071043A patent/JP2021168254A/ja active Pending
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