JP2021165416A - 軟磁性合金粉末、その製造方法、及び圧粉磁心 - Google Patents

軟磁性合金粉末、その製造方法、及び圧粉磁心 Download PDF

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【課題】熱処理において、粉末粒子を形成する合金に添加される添加元素の金属間化合物の形成と、Fe系の酸化皮膜の形成とを抑制し、該添加元素からなる酸化皮膜を表層に有する複合粒子からなる軟磁性金属粉末の製造方法の提供。【解決手段】表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末の製造方法である。Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上の添加元素を添加されたFe−X系合金(X:Si、Ni及びCoのうちから選択される1種以上)からなる合金粉末を不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気で800〜1150℃の温度T1に加熱し保持して拡散熱処理した後に、温度T1を温度T2にしてこの温度で保持するとともに酸化雰囲気として添加元素の酸化物からなる絶縁膜を形成させることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末、その製造方法、及び圧粉磁心に関する。
車載リアクトルやインダクタに使用される圧粉磁心において、Fe系合金からなる軟磁性合金粉末をバインダとともに成形し、該バインダが粉末粒子間を絶縁膜として絶縁し、渦電流損失を低減させ得ることが知られている。一方で、成形時に高い圧力を負荷すると、バインダの絶縁膜が破壊され、所望の電磁特性を得られなくなる。そこで、粉末粒子の表層部にバインダとは別に、薄膜の高電気抵抗層(絶縁膜)を与えた複合粒子からなる軟磁性金属粉末とすることが考慮される。簡便には、大気熱処理で粉末粒子の表層部に酸化被膜を形成させるが、このとき、Feの酸化物が形成されると絶縁性を低下させてしまう。
例えば、特許文献1では、Feを主成分とし、Si等のFeよりも酸化反応性の高い易酸化性元素、例えば、Si、Ti、Al、Crを含有する合金からなる軟磁性合金粉末を用いて、粉末粒子の表層部で該易酸化性元素を選択的に酸化反応させて高電気抵抗層を形成する軟磁性合金粉末の製造方法を開示している。詳細には、Fe系アトマイズ合金の粉末をNiClとZnClの水溶液に浸して金属イオンを吸着させ、次いで、空気中で酸化してフェライト化反応させて、粉末粒子の表面に軟磁性のNi−Znフェライト薄膜を形成する。さらに、窒素雰囲気中でAlのスパッタリングを行って、Ni−Znフェライト薄膜上にAlNを主成分とする絶縁膜を形成するとしている。圧粉磁心は、絶縁膜を与えられた複合粒子からなる軟磁性金属粉末にB粉末を添加付与して成形材料とし、所定形状に加圧成形した後、ホットプレス法により加圧しながら1000℃で焼結するとしている。
また、特許文献2では、粉末粒子の表層部に4層からなる酸化被膜を与えた粉末粒子からなる磁性粉体を開示している。ここでは、FeSiCr、FeZrCr、FeSiAl、FeSiTi、FeZrAl、FeZrTiなどの粉末粒子を、Si、Zr、Tiのいずれかからなる元素Lを含む酸化被膜で覆い、更に、Si、Zr、Ti以外であってFeより酸化し易いCrやAlのいずれかの元素Mを含む酸化被膜で覆う。その上に、非晶質であり、元素Lを含む酸化被膜で覆って、更に、Feを含む酸化被膜で覆うとしている。元素Mを含む酸化被膜は成形過程の熱処理で形成し得るとしている。その上で、上記したような合金を用いることで、磁性粉末粒子の表面に酸化被膜を安定的に形成し、低温度で熱処理を行っても絶縁性を高くできるとしている。
特開2005−154791号公報 特開2018−011043号公報
熱処理によって、粉末粒子を形成する合金に含まれる酸化し易い元素により、該粉末粒子の表層に絶縁性の酸化被膜を与えることができる。一方、熱処理における粉末粒子内部から表層への酸化し易い元素の拡散が十分でないと、表層にFe系酸化物を形成し、絶縁性を低下させてしまう。また、粉末粒子内部に金属間化合物を形成し、磁性特性を低下させてしまう。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱処理において、粉末粒子を形成する合金に含まれる酸化し易い元素の金属間化合物の形成と、Fe系の酸化皮膜の形成とを抑制し、この酸化し易い元素からなる酸化皮膜を表層に有する複合粒子からなる軟磁性金属粉末、その製造方法、及び圧粉磁心を提供することにある。
本発明による製造方法は、表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末の製造方法であって、Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上の添加元素を添加されたFe−X系合金(X:Si、Ni及びCoのうちから選択される1種以上)からなる合金粉末を不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気で800〜1150℃の温度T1に加熱し保持して拡散熱処理した後に、前記温度T1を温度T2にしてこの温度で保持するとともに酸化雰囲気として前記添加元素の酸化物からなる前記絶縁膜を形成させることを特徴とする。
かかる特徴によれば、Fe酸化物を抑制し添加元素の酸化物からなる絶縁膜を軟磁性合金粒子の表層部に均一に形成でき、渦電流損失を低減できるのである。
上記した発明において、前記添加元素の添加量は前記Fe−X系合金に対する温度T1及び温度T2における固溶限の範囲内であることを特徴としてもよい。また、前記添加元素は、Ti、V及びZrのうちから選択される1種であって、質量%で、Ti:0.05〜4.3%、V:0.05〜10.0%、又はZr:0.05〜0.6%で添加されることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、添加元素の金属間化合物を内部に含まず、ヒステリシス損失を抑制した軟磁性合金粉末を得ることができるのである。
また、本発明による軟磁性合金粉末は、表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末であって、Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上の添加元素を添加されたFe−X系合金(X:Si、Ni及びCoのうちから選択される1種以上)からなる合金粉末を熱処理することによって、前記添加元素の酸化物からなる前記絶縁膜を形成させたことを特徴とする。
かかる特徴によれば、添加元素の金属間化合物の形成と、Fe系の酸化皮膜の形成とを抑制し、該添加元素からなる絶縁膜を表層に与えられた軟磁性合金粒子からなることで、渦電流損失及びヒステリシス損失における電磁特性に優れるのである。
上記した発明において、前記添加元素を含む金属間化合物の最大直径が100nm以下であることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、渦電流損失及びヒステリシス損失における電磁特性に優れるのである。
また、本発明による圧粉磁心は、上記した軟磁性合金粉末をバインダとともに圧粉してなることを特徴とする。かかる特徴によれば、圧粉磁心として、渦電流損失及びヒステリシス損失における電磁特性に優れるのである。
本発明による軟磁性合金粉末の製造方法の一例を示すフロー図である。 製造試験の軟磁性合金粉末の製造条件の一覧表である。 製造試験における軟磁性金属合金粉末及び圧粉磁心の特性の一覧表である。 製造試験における軟磁性合金粉末の粒子の断面顕微鏡写真である。 製造試験における軟磁性合金粉末の粒子の断面顕微鏡写真である。
本発明による1つの実施例としての軟磁性合金粉末の製造方法について図1に沿って説明する。
図1に示すように、まず、合金粉末を製造する(S1:合金粉末製造工程)。ここでは、Fe−X系合金に添加元素を添加した合金を母合金として用いる。ここで、XはSi、Ni及びCoのうちから選択される1種以上の元素とされる。また、添加元素はFeよりも酸化し易い元素であって、Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上とされる。また、合金粉末の製造には、例えば、公知のアトマイズ法を用いることができる。本実施例においては、後述するように表層部に絶縁膜を形成させるので、絶縁膜を粒子の全周に亘って均一に形成させることを容易とするよう、また、体積当たりの表面積を小さくするよう、合金粉末の粒子を球形とすることが好ましい。そのため、ガスアトマイズ法を用いることが好ましい。また、得られた合金粉末については必要に応じて篩によって分級することも好ましい。
続いて、上記で得られた合金粉末に対し、拡散熱処理を行う(S2:拡散熱処理工程)。ここでは、合金粉末を不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気で800〜1150℃の範囲で選択された温度T1まで加熱し保持する。保持時間としては、0.5〜5時間とすることが好ましい。また、不活性ガスとしてはN2やArを使用し得る。減圧雰囲気とする場合、圧力を100Pa以下とすることが好ましい。これによって、粉末粒子の内部において成分偏析を解消し、後述する絶縁膜形成処理工程において添加元素の粉末粒子の表面への移動を容易にさせ得る。ここで、温度T1の範囲としては粉末粒子内部で元素を十分拡散し得るとともに粉末粒子同士の凝集を防止する観点から定められた。
次いで、絶縁膜形成処理を行う(S3:絶縁膜形成処理工程)。ここでは、拡散熱処理工程の温度T1から、750〜1100℃の範囲で選択された温度T2に温度を変化させるとともに熱処理炉内に空気又は酸素をパージして酸化雰囲気とした上で保持する。必要とされる絶縁膜の厚さにもよるが、保持時間としては10分〜3時間とすることが好ましい。これによって紛末粒子の表面で添加元素を酸化させて、粉末粒子の表層部に絶縁膜を形成させる。添加元素は、粉体粒子の表面で酸化することで表面近傍での濃度を低下させ、内部との濃度勾配によって表面に向けた駆動力を得て拡散する。つまり、添加元素は拡散によって表面に向けて移動しながら粉体粒子表面で酸化物を形成してゆく。なお、拡散熱処理から絶縁膜形成処理の間(温度T1から温度T2に変化させる間)においては、温度を低下させ過ぎると添加元素による金属間化合物を粉体粒子の内部に形成させてしまうので、これを防止するよう一定以上の温度を維持する。これによって、添加元素による酸化物を粉体粒子表面で効率良く生成させることができる。
以上のような製造方法により、表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末を得ることができる。特に、Fe系の酸化皮膜の生成を抑制しつつ、Fe−X系合金に添加した添加元素による酸化皮膜を絶縁膜として良好に形成できる。
ところで、添加元素であるTi、V又はZrは、Feよりも酸化しやすいために、絶縁膜形成処理では粉末粒子の内部を拡散して移動しつつ表面で優先的に酸化する。ところが、粉末粒子内部で添加元素の成分偏析を生じていると、これらの添加元素の十分な拡散速度を得られない。つまり、絶縁膜形成処理において、添加元素を表面に十分供給できずに、Fe系の酸化皮膜を生成してしまうことがある。一方、本実施例では拡散熱処理によって添加元素の成分偏析を解消し、絶縁膜形成処理において添加元素の十分な拡散速度を得て、Fe系の酸化皮膜の形成を抑制しつつ添加元素による酸化皮膜を良好に形成できる。特に、添加元素であるTi、V及びZrは、Al、Cr、Sに比べて成分偏析を生じやすいが、拡散熱処理を行うことでより均一な絶縁膜を形成させることができる。
ここで、添加元素の含有量は温度T1及び温度T2におけるFe−X系合金における固溶限の範囲内とすることが好ましい。これによって、添加元素による金属間化合物の粉末粒子内部での生成を抑制し、ヒステリシス損失の低減に寄与する。つまり、添加元素の含有量には好ましい範囲として上限値がある。
一方で、添加元素の含有量は、得られる軟磁性合金粉末の粒子に備えられる絶縁膜の厚さを20nm程度以上とできる範囲内であることが好ましい。これによって軟磁性合金粉末の粒子は高い絶縁性を得られる。つまり、添加元素の含有量には好ましい範囲として下限値がある。
以上に基づくと、添加元素は、Ti、V及びZrのうちから選択される1種であって、質量%で、Ti:0.05〜4.3%、V:0.05〜10.0%、又はZr:0.05〜0.6%として添加されていることが好ましい。これは、20nm程度以上の厚さの絶縁膜を形成するのに必要な添加元素の含有量を実験から見出した値を下限値としたものである。また、最も高い絶縁膜形成処理温度を1100℃と想定し、その時のFe−X系合金中への添加元素の固溶量を含有量の上限値としたものである。また、Vについては、圧粉磁心において必要とされる磁束密度を得るために10.0質量%以下の含有量とされることが好ましい。
なお、上記した製造方法によって得た軟磁性合金粉末を無機又は有機バインダと混合させて加圧成形することで、圧粉磁心を得ることも出来る。このような軟磁性金属粉末は、粉末粒子の1つ1つが絶縁膜としての酸化皮膜で覆われているため、得られる圧粉磁心の渦電流損失を低くできる。
[製造試験]
次に、Fe-Si系合金を用いて軟磁性金属粉末及びその圧粉磁心を実際に製造し、評価した結果について、図2乃至図5を用いて説明する。
(1)軟磁性合金粉末及び圧粉磁心の製造
図2に示すように、各成分組成の合金を用意し、ガスアトマイズ法により合金粉末を得た。添加元素としてはTi又はVを使用した。得られた合金粉末については、目開き45μmの篩を用いてこれを通過したものに分級した。そして、同図に示す各条件で拡散熱処理及び絶縁膜形成処理を行い、軟磁性合金粉末を製造した。なお、比較例7については拡散熱処理を行わずに絶縁膜形成処理のみを行った。この製造した軟磁性合金粉末に無機バインダを添加し、混合分散させて金型に充填した後、外径φ39mm、内径φ3mm、厚さ5mmのリング形状に圧縮成形して成形体を得た。さらに、この成形体を750℃で30分間保持することで圧粉磁心を得た。なお、各成分組成のFe−Si合金について、各熱処理における温度での添加元素の固溶限も併せて示した。
(2)磁気特性の測定
得られた圧粉磁心の渦電流損失及びヒステリシス損失を測定した。ここでは、まず、圧粉磁心の1次側に150ターンの巻き線、2次側に20ターンの巻線をそれぞれ与えて、岩通計測株式会社製のB−Hアナライザ(SY−8258)を用いて、磁束密度0.1T、周波数30kHzの条件で鉄損を測定した。この鉄損からそれぞれ下記のように求めたヒステリシス損失を減じて渦電流損失を算出した。
ヒステリシス損失は、上記したと同様のB−Hアナライザにより磁束密度を固定し、周波数を変化させながら各周波数での鉄損を測定して算出した。すなわち、各周波数での鉄損の測定値を該周波数で除算し、周波数に対してグラフを作成する。周波数0kHzまで外挿した切片の値をヒステリシス損失係数とする。更に、ヒステリシス損失係数に周波数を乗じて各周波数でのヒステリシス損失を算出した。
(3)評価
製造した軟磁性金属粉末の被膜形成及び粒子内部析出物について、走査型電子顕微鏡による粉末粒子の断面観察(倍率2000倍の反射電子像を用いた。)により評価した。評価項目「皮膜形成」においては、厚さ20nm以上の均一な酸化皮膜を形成した場合に良好(〇)と評価し、それ以外を不良(×)と評価した。「内部析出物」については、粉体粒子内部に粒径100nm超の析出物を観察できた場合に「有」、観察できなかった場合に「無」と評価した。また、磁束密度を0.1T、周波数を30kHzとして、渦電流損失及びヒステリシス損失は、それぞれ、閾値150kW/m以下、及び、500kW/m以下の場合を良好(〇)とし、閾値よりも大きい場合を不良(×)として評価した。
(4)試験結果
図3に示すように、実施例1乃至9については、皮膜形成、渦電流損失、ヒステリシス損失はいずれも良好であり、粉末粒子の内部に金属間化合物などによる析出物は観察されなかった。
一方、比較例1については、粉末粒子に絶縁膜としての酸化被膜が形成されず、圧粉磁心の渦電流損失及びヒステリシス損失が不良であった。拡散熱処理を750℃と低い温度で行ったため、粉末粒子内部の添加元素の偏析が充分に解消されず、絶縁膜形成処理工程において表面に酸化被膜が充分に形成されなかったものと考えられる。また、添加元素の含有量は固溶限以下としているため粉末粒子内部の析出物は観察されなかったが、ヒステリシス損で不良との評価であったのは、十分に拡散されなかった添加元素を粉末粒子内部に残存させたためと考えられる。
比較例2及び3については、粉末粒子の内部に析出物が確認され圧粉磁心のヒステリシス損失が不良であった。添加元素としてTiを固溶限以上含有させたため金属間化合物を粉末粒子の内部に析出させてしまったと考えられる。
図4を併せて参照すると、(a)実施例3では粉末粒子内部に析出物は観察されなかった。これに対して、(b)比較例2では多数の析出物1が観察された。Tiの含有量を、拡散熱処理温度、皮膜形成処理温度の両者における固溶限よりも少なくすることで析出物の生成を抑制できることが確認された。
比較例4及び5については、粉末粒子の被膜形成が不良となり、圧粉磁心の渦電流損失及びヒステリシス損失も不良であった。これは、拡散熱処理を大気下で行ったことで、拡散熱処理中に粉末粒子の表面から粒内へ向けた表面近傍でFe系酸化物を大量に生成してしまったためと考えられる。固溶限を超える多くの添加元素を含有させたにも関わらず、かかる添加元素による均一な皮膜を形成させることができなかった。このため、軟磁性金属粉末としての絶縁が不良となり、粉末粒子内部においては導電性を低下させ、圧粉磁心の渦電流損失及びヒステリシス損失も低くできなかったと考えられる。
図5を併せて参照すると、(a)比較例5では、粉末粒子の表面全域にFe系酸化物2が観察され、添加元素による酸化皮膜が充分形成されなかったことが判った。一方、(b)実施例3では粉末粒子の表面に均一に酸化皮膜が形成されていることが判った。特に(c)実施例3のTiマッピングによると、粉末粒子の表面に形成されていた酸化皮膜が添加元素であるTiによる絶縁皮膜であることが確認された。
比較例6については、粉末の被膜形成が不良であり、圧粉磁心の渦電流損失も不良であった。また、粉末粒子内部に析出物が確認され圧粉磁心のヒステリシス損失も不良であった。拡散熱処理を1150℃の高温で行ったため、粉末粒子同士が凝集してしまった結果であると考えられる。
比較例7については、粉末の被膜形成が不良であり、圧粉磁心の渦電流損失も不良であった。また、粉末粒子内部に析出物が確認され圧粉磁心のヒステリシス損失も不良であった。拡散熱処理を行っていないため、添加元素であるTiの偏析が残存し、皮膜形成処理において添加元素による酸化皮膜を十分形成できなかったものと考えられる。また、粉末粒子の内部に確認された析出物は添加元素による金属間化合物であると考えられる。
以上、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
S1 合金粉末製造工程
S2 拡散熱処理工程
S3 絶縁膜形成処理工程


Claims (6)

  1. 表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末の製造方法であって、
    Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上の添加元素を添加されたFe−X系合金(X:Si、Ni及びCoのうちから選択される1種以上)からなる合金粉末を不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気で800〜1150℃の温度T1に加熱し保持して拡散熱処理した後に、温度T1を温度T2にしてこの温度で保持するとともに酸化雰囲気として前記添加元素の酸化物からなる前記絶縁膜を形成させることを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
  2. 前記添加元素の添加量は前記Fe−X系合金に対する温度T1及び温度T2における固溶限の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性合金粉末の製造方法。
  3. 前記添加元素は、Ti、V及びZrのうちから選択される1種であって、質量%で、Ti:0.05〜4.3%、V:0.05〜10.0%、又はZr:0.05〜0.6%で添加されることを特徴とする請求項2記載の軟磁性金属粉末の製造方法。
  4. 表層部に絶縁膜を与えられたFe系軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉末であって、
    Ti、V及びZrのうちから選択される1種以上の添加元素を添加されたFe−X系合金(X:Si、Ni及びCoのうちから選択される1種以上)からなる合金粉末を熱処理することによって、前記添加元素の酸化物からなる前記絶縁膜を形成させたことを特徴とする軟磁性合金粉末。
  5. 前記添加元素を含む金属間化合物の最大直径が100nm以下であることを特徴とする請求項4記載の軟磁性合金粉末。
  6. 請求項4又は5に記載の軟磁性合金粉末をバインダとともに圧粉してなることを特徴とする圧粉磁心。

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