JP2021165331A - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属石鹸存在下でも、架橋特性及びゴム弾性に優れたニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。好ましくは、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂にオレフィン系やスチレン系の共重合ゴムをブレンドした組成物は、熱可塑性エラストマーとして、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨等の分野で広く用いられている。斯かる熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みや耐油性は、分散相である共重合ゴムの架橋密度に大きく依存しており、これらの特性を向上させるためには、架橋密度を高くする必要がある。
近年では、熱可塑性エラストマーの架橋密度を向上させる方法として、ニトリルオキシド化合物を架橋剤として用いることが提案されている(特許文献1)。
近年では、熱可塑性エラストマーの架橋密度を向上させる方法として、ニトリルオキシド化合物を架橋剤として用いることが提案されている(特許文献1)。
ニトリルオキシド化合物を架橋剤として用いることは、熱可塑性エラストマーの架橋密度を向上させる方法として有効である。しかしながら、熱可塑性エラストマー中に、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸をブロッキング防止剤として用いている材料が含まれる場合、金属石鹸がニトリルオキシド化合物を失活させ、架橋反応を阻害する傾向にあることがわかった。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、金属石鹸存在下でも架橋特性及びゴム弾性に優れたニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、金属石鹸存在下でも架橋特性及びゴム弾性に優れたニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン、二重結合を有するポリマー、ニトリルオキシド化合物、金属石鹸及びエポキシ化合物を含む混合物を動的架橋してなる熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。
[2] 前記混合物が、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含有する、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が下記一般式[I]で表される化合物であり、融点が25〜300℃であり、ニトリルオキシド当量が1.0〜4.5mmol/gである、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(式[I]において、
sは1〜4の整数であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基であり、
Xは2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R3)−であり、
R3は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
Aはs価の有機基である。)
[4] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
R1及びR2が、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である、[3]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが炭素数2〜10のアルキレン基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
Aが、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基又は1−メチル−1,3−プロピレン基である、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが、下記一般式[II]で表される基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−(R4−O)m−R5−(O−R4)m− ・・・[II]
(式[II]において、
mは0又は1であり、
R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
R5は、下記一般式[III]で表される基又は下記一般式[IV]で表される基である。)
(式[III]において、
R6〜R9は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R6とR7が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R8とR9が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。)
(式[IV]において、
R10〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、
nは0又は1であり、
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)2−であり、
R18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。)
[8] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[II]において、
mが1であり、
R5が式[IV]で表される基であり、
式[IV]において、
nが1であり、
Yが−C(R18)(R19)−である、[7]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[9] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが1であり、
Aが、下記一般式[V]で表される基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(式[V]において、
Raは、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、
Rbは、極性官能基である。)
[10] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[V]において、
Rbが、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)又はヘテロ環である、[9]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[11] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、下記一般式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[12] 前記金属石鹸(D)が炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩である、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[13] 前記金属石鹸(D)がステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[14] 前記金属石鹸(D)が、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[15] 前記エポキシ化合物(E)の重量平均分子量(Mw)が6,000以下である、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[16] 前記エポキシ化合物(E)がビスフェノールA型エポキシ化合物である、[1]〜[15]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[17] [前記ポリオレフィン(A)の配合量]/[前記二重結合を有するポリマー(B)の配合量]で表される質量比が、5/95〜45/55である、[1]〜[16]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[18] 前記ニトリルオキシド化合物(C)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.05〜10.0質量部である、[1]〜[17]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[19] 前記金属石鹸(D)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.001〜5.0質量部である、[1]〜[18]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[20] 前記エポキシ化合物(E)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.01〜30.0質量部である、[1]〜[19]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[21] 前記炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して1〜350質量部である、[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[22] 前記混合物を動的熱処理することを特徴とする、[1]〜[21]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
[23] [1]〜[21]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
[2] 前記混合物が、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含有する、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が下記一般式[I]で表される化合物であり、融点が25〜300℃であり、ニトリルオキシド当量が1.0〜4.5mmol/gである、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
sは1〜4の整数であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基であり、
Xは2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R3)−であり、
R3は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
Aはs価の有機基である。)
[4] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
R1及びR2が、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である、[3]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが炭素数2〜10のアルキレン基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
Aが、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基又は1−メチル−1,3−プロピレン基である、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが、下記一般式[II]で表される基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−(R4−O)m−R5−(O−R4)m− ・・・[II]
(式[II]において、
mは0又は1であり、
R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
R5は、下記一般式[III]で表される基又は下記一般式[IV]で表される基である。)
R6〜R9は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R6とR7が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R8とR9が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。)
R10〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、
nは0又は1であり、
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)2−であり、
R18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。)
[8] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[II]において、
mが1であり、
R5が式[IV]で表される基であり、
式[IV]において、
nが1であり、
Yが−C(R18)(R19)−である、[7]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[9] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが1であり、
Aが、下記一般式[V]で表される基である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Raは、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、
Rbは、極性官能基である。)
[10] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[V]において、
Rbが、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)又はヘテロ環である、[9]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[11] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、下記一般式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物である、[3]又は[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[13] 前記金属石鹸(D)がステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[14] 前記金属石鹸(D)が、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[15] 前記エポキシ化合物(E)の重量平均分子量(Mw)が6,000以下である、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[16] 前記エポキシ化合物(E)がビスフェノールA型エポキシ化合物である、[1]〜[15]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[17] [前記ポリオレフィン(A)の配合量]/[前記二重結合を有するポリマー(B)の配合量]で表される質量比が、5/95〜45/55である、[1]〜[16]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[18] 前記ニトリルオキシド化合物(C)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.05〜10.0質量部である、[1]〜[17]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[19] 前記金属石鹸(D)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.001〜5.0質量部である、[1]〜[18]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[20] 前記エポキシ化合物(E)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.01〜30.0質量部である、[1]〜[19]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[21] 前記炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して1〜350質量部である、[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[22] 前記混合物を動的熱処理することを特徴とする、[1]〜[21]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
[23] [1]〜[21]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
本発明によれば、金属石鹸存在化でも架橋特性及びゴム弾性に優れたニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。尚、本発明において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
≪熱可塑性エラストマー組成物≫
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋されて得られる熱可塑性エラストマーを含む。前記混合物は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む。熱可塑性エラストマーは、二重結合を有するポリマー(B)とニトリルオキシド化合物(C)が反応することにより架橋して得られると考えられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋されて得られる熱可塑性エラストマーを含む。前記混合物は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む。熱可塑性エラストマーは、二重結合を有するポリマー(B)とニトリルオキシド化合物(C)が反応することにより架橋して得られると考えられる。
[ポリオレフィン(A)]
ポリオレフィン(A)は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等の二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
ポリオレフィン(A)としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点からポリプロピレン系樹脂(以下、「ポリプロピレン系樹脂(A1)」ともいう)が好ましい。
ポリオレフィン(A)は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等の二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
ポリオレフィン(A)としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点からポリプロピレン系樹脂(以下、「ポリプロピレン系樹脂(A1)」ともいう)が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)とは、全単量体単位に対するプロピレン単位の含有率が50質量%以上のポリオレフィン樹脂である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、ポリプロピレン系樹脂(A1)は成形性に寄与する。
ポリプロピレン系樹脂(A1)としては、その種類は特に制限されず、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のいずれも使用することができる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)がプロピレンランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する単量体としては、エチレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンを例示することができる。また、ポリプロピレン系樹脂(A1)がプロピレンブロック共重合体である場合、多段階で重合して得られるプロピレンブロック共重合体が挙げられ、より具体的には、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。プロピレン単位の含有率が上記下限値以上であることにより、耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。一方、ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率の上限については特に制限されず、通常100質量%である。尚、ポリプロピレン系樹脂(A1)のプロピレン単位の含有率は、赤外分光法により求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)の230℃、荷重21.2Nでのメルトフローレート(MFR)は通常0.05g/10分以上であり、流動性の観点から好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上である。一方、ポリプロピレン系樹脂(A1)のMFRは通常100g/10分以下であり、成形性の観点から、好ましくは70g/10分以下であり、より好ましくは50g/10分以下であり、特に易破断性の観点から、更に好ましくは30g/10分以下である。
ポリプロピレン系樹脂(A1)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法が挙げられる。この多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせて製造してもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂(A1)は市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系樹脂としては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。
入手可能な市販品としては、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
入手可能な市販品としては、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
ポリオレフィン(A)は、1種のみを用いてもよく、プロピレン単位の含有率や含まれる単量体単位の種類、物性等の異なるものの2種以上を用いてもよい。
[二重結合を有するポリマー(B)]
二重結合を有するポリマー(B)とは、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーである。尚、ポリオレフィン(A)のうち、二重結合を有するものは、二重結合を有するポリマー(B)に分類するものとする。ここで、二重結合とは、炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−酸素二重結合等が挙げられるが、なかでも炭素−炭素二重結合が好ましい。
二重結合を有するポリマー(B)としては、ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のうち、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーが挙げられる。なかでも、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィン(A)との相溶性及びゴム弾性の観点からエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)」ともいう)がより好ましい。
二重結合を有するポリマー(B)とは、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーである。尚、ポリオレフィン(A)のうち、二重結合を有するものは、二重結合を有するポリマー(B)に分類するものとする。ここで、二重結合とは、炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−酸素二重結合等が挙げられるが、なかでも炭素−炭素二重結合が好ましい。
二重結合を有するポリマー(B)としては、ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のうち、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーが挙げられる。なかでも、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィン(A)との相溶性及びゴム弾性の観点からエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)」ともいう)がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、一方、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。エチレン単位の含有率が上記範囲であると適度な柔軟性を与えるために好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位としては、プロピレン単位、1−ブテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ペンテン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ヘキセン単位、1−ヘプテン単位、1−オクテン単位、1−デセン単位等が挙げられる。これらの中でもプロピレン単位、1−ブテン単位、1−ヘキセン単位が好ましい。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)には、これらのα−オレフィン単位の1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、一方、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下である。α−オレフィン単位の含有率が上記範囲であると適度な柔軟性を与えるために好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位としては、ジシクロペンタジエン単位、1,4−ヘキサジエン単位、シクロオクタジエン単位、メチレンノルボルネン単位、エチリデンノルボルネン単位、ビニリデンノルボルネン単位等が挙げられる。これらの中でもエチリデンノルボルネン単位及び/又はビニリデンノルボルネン単位が含まれているとエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)に適度な架橋構造を与えることができるために好ましい。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)には、これらの非共役ジエン単位の1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、一方、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。非共役ジエン単位の含有率が上記下限値以上であると熱可塑性エラストマー組成物の架橋度を高める観点から好ましく、また、上記上限値以下であると成形性の観点から好ましい。
尚、実施例では非共役ジエン単位の含有率を、エチリデンノルボルネン単位の含有率と表現している。非共役ジエン単位の含有率と、エチリデンノルボルネン単位の含有率は、同じ数値である。
尚、実施例では非共役ジエン単位の含有率を、エチリデンノルボルネン単位の含有率と表現している。非共役ジエン単位の含有率と、エチリデンノルボルネン単位の含有率は、同じ数値である。
尚、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における各構成単位の含有率は赤外分光法により求めることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)によるポリプロピレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300,000以上であり、より好ましくは350,000以上であり、更に好ましくは400,000以上である。また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のMwは、好ましくは1,000,000以下であり、より好ましくは900,000以下であり、更に好ましくは800,000以下である。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のMwが上記上限値以下であると外観の観点から好ましく、上記下限値以上であるとブリードアウト防止の観点から好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のGPC法の測定条件は以下の通りである。
機器 :Waters 150C
カラム :Shodex AD806MS×3 (8.0mm内径×300mm長さ)
検出器 :IR(分散型、3.42μm)
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
温度 :140℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
較正試料:多分散標準ポリエチレン
較正法 :Mark−Houwink式を用いてポリプロピレン換算
機器 :Waters 150C
カラム :Shodex AD806MS×3 (8.0mm内径×300mm長さ)
検出器 :IR(分散型、3.42μm)
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
温度 :140℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
較正試料:多分散標準ポリエチレン
較正法 :Mark−Houwink式を用いてポリプロピレン換算
二重結合を有するポリマー(B)は1種のみを用いてもよく、含まれる単量体単位やその含有率、物性等の異なる2種以上を用いてもよい。
[ニトリルオキシド化合物(C)]
ニトリルオキシド化合物(C)は、分子内に少なくとも1つのニトリルオキシド基を有する化合物である。
ニトリルオキシド化合物(C)には脂肪族ニトリルオキシド化合物と芳香族ニトリルオキシド化合物がある。
脂肪族ニトリルオキシド化合物としては、ニトリルオキシド基が二量化及び異性化しにくい点から、一般式[I]で表される化合物が好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)は、分子内に少なくとも1つのニトリルオキシド基を有する化合物である。
ニトリルオキシド化合物(C)には脂肪族ニトリルオキシド化合物と芳香族ニトリルオキシド化合物がある。
脂肪族ニトリルオキシド化合物としては、ニトリルオキシド基が二量化及び異性化しにくい点から、一般式[I]で表される化合物が好ましい。
sは、1〜4の整数である。sとしては、高分子間反応を抑制する観点から、1〜3の整数が好ましく、2〜3がより好ましく、2が更に好ましい。
R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基である。炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基としては、t−ブチル基、イソブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
R1及びR2としては、ニトリルオキシド基が二量化しにくい点から、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基が好ましい。置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、4−クロロフェニル基等が挙げられ、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
R1及びR2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1及びR2は、分子の対称性が高くなり、ニトリルオキシド化合物が固体化しやすく、室温での保存安定性に優れる点から、同じであることが好ましい。
R1及びR2としては、ニトリルオキシド基が二量化しにくい点から、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基が好ましい。置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、4−クロロフェニル基等が挙げられ、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
R1及びR2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1及びR2は、分子の対称性が高くなり、ニトリルオキシド化合物が固体化しやすく、室温での保存安定性に優れる点から、同じであることが好ましい。
Xは、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R3)−である。
Xとしては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易である点から、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R3)−が好ましく、2価の炭化水素基、−O−又は−S−がより好ましく、2価の炭化水素基又は−O−が更に好ましい。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜3のアルキレン基、炭素数6〜8のアリーレン基、これらの組み合わせが挙げられる。
R3は、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R3としては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易である点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
Xとしては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易である点から、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R3)−が好ましく、2価の炭化水素基、−O−又は−S−がより好ましく、2価の炭化水素基又は−O−が更に好ましい。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜3のアルキレン基、炭素数6〜8のアリーレン基、これらの組み合わせが挙げられる。
R3は、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R3としては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易である点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
Aは、s価の有機基である。有機基は、炭素原子を必須とし、必要に応じて水素原子、酸素原子、塩素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する。有機基としては、炭化水素基(アルキレン基、アリーレン基等)、炭化水素基と各種結合(−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)2−等)との組み合わせ、炭化水素基と極性官能基(ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等)との組み合わせ、炭化水素基と各種結合と極性官能基との組み合わせ等が挙げられる。なかでも炭素数2〜10のアルキレン基が好ましい。具体的には、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。(i)におけるAとしては、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1,4−シクロへキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が好ましく、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が好ましい。
脂肪族ニトリルオキシド化合物としては、ニトリルオキシド化合物の融点が高くなりやすく、室温での保存安定性に優れる点から、下記の(i)〜(iii)のニトリルオキシド化合物が好ましい。
(i)一般式[I]において、sが2であり、Aが炭素数2〜10のアルキレン基であるニトリルオキシド化合物。
(ii)一般式[I]において、sが2であり、Aが後述する一般式[II]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(iii)一般式[I]において、sが1であり、Aが後述する一般式[V]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(i)一般式[I]において、sが2であり、Aが炭素数2〜10のアルキレン基であるニトリルオキシド化合物。
(ii)一般式[I]において、sが2であり、Aが後述する一般式[II]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(iii)一般式[I]において、sが1であり、Aが後述する一般式[V]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(i)のように対称性が高く、炭素鎖が短いアルキレン基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(ii)のように対称性が高く、剛直なアリーレン基を有する一般式[II]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(iii)のように鎖長が短いアルキレン基又は剛直なアリーレン基を有する一般式[V]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(ii)のように対称性が高く、剛直なアリーレン基を有する一般式[II]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(iii)のように鎖長が短いアルキレン基又は剛直なアリーレン基を有する一般式[V]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(i)におけるAは、炭素数2〜10のアルキレン基である。(i)におけるAとしては、ニトリルオキシド化合物を固体化させ、ポリオレフィンに近い融点を発現させる点から炭素数3〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜6のアルキレン基がより好ましい。
(i)におけるAとしては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。(i)におけるAとしては、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1,4−シクロへキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が好ましく、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基がより好ましい。
(i)におけるAとしては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。(i)におけるAとしては、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1,4−シクロへキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が好ましく、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基がより好ましい。
(ii)におけるAは、一般式[II]で表される基である。
−(R4−O)m−R5−(O−R4)m− ・・・[II]
−(R4−O)m−R5−(O−R4)m− ・・・[II]
mは、0又は1である。mは、ニトリルオキシド化合物の製造のしやすさの点からは1が好ましく、ニトリルオキシド化合物の融点の点からは0が好ましい。
R4は、炭素数2〜4のアルキレン基である。R4としては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基等が挙げられる。R4としては、炭素数が小さいほどニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる点から、1,2−エチレン基が好ましい。
R4は、炭素数2〜4のアルキレン基である。R4としては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基等が挙げられる。R4としては、炭素数が小さいほどニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる点から、1,2−エチレン基が好ましい。
R5は、一般式[III]で表される基又は一般式[IV]で表される基である。R5としては、一般式[IV]で表される基が好ましい。
R6〜R9は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R6とR7が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R8とR9が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R6〜R9としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基、塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましい。
R10〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R10〜R17としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基、塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましい。
nは0又は1である。架橋時の立体障害を防ぐためには1が好ましい。
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)2−である。Yとしては、溶融混練時にポリオレフィンへの溶解性が高くなる点から、−C(R18)(R19)−がより好ましい。
R18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。R18とR19が連結した例としては、1,1−シクロへキシレン基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R18及びR19としては、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)2−である。Yとしては、溶融混練時にポリオレフィンへの溶解性が高くなる点から、−C(R18)(R19)−がより好ましい。
R18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。R18とR19が連結した例としては、1,1−シクロへキシレン基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R18及びR19としては、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
(iii)におけるAは、一般式[V]で表される基である。
Raは、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基である。炭素数1〜5のアルキレン基としては、1,1−メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基等が挙げられる。炭素数6〜10のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。Raとしては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、フェニレン基が好ましい。アルキレン基の場合、炭素鎖が短いほどニトリルオキシド化合物の融点が高くなりやすい。
Rbは、極性官能基である。極性官能基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、エーテル基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)、ヘテロ環等が挙げられる。ヘテロ環は、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する環状置換基である。ヘテロ環としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、カルバゾリル基、イミダゾリドニル基等が挙げられる。ヘテロ環は、置換基を有していてもよい。Rbとしては、フィラーや他の樹脂との反応性が高いという点から、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヘテロ環が好ましい。
ニトリルオキシド化合物の融点は、25〜300℃が好ましく、40〜280℃がより好ましく、60〜260℃が更に好ましく、80〜240℃が特に好ましい。ニトリルオキシド化合物の融点が前記範囲の下限値以上であれば、室温での運動性が低下するため、室温での保存安定性が向上する。ニトリルオキシド化合物の融点が前記範囲の上限値以下であれば、溶融反応中にニトリルオキシド化合物が融解しやすくなり、反応性が高くなる。
ニトリルオキシド化合物の融点を25℃以上とするためには、例えば、Aに対称性の高い構造を加えて分子構造の対称性を高めたり、Aに剛直性の高い基や短鎖の基を導入したりする。本明細書において融点とは、融点測定装置を用いて試料を1℃/分の条件で昇温し、固体がすべて融解した時点の温度のことである。
ニトリルオキシド化合物の融点を25℃以上とするためには、例えば、Aに対称性の高い構造を加えて分子構造の対称性を高めたり、Aに剛直性の高い基や短鎖の基を導入したりする。本明細書において融点とは、融点測定装置を用いて試料を1℃/分の条件で昇温し、固体がすべて融解した時点の温度のことである。
本発明のニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量は、下記式から求めることができる。
ニトリルオキシド当量[mmol/g]=1000×(分子内のニトリルオキシド基の数/ニトリルオキシド化合物の分子量)
本発明のニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量は、1.0〜4.5mmol/gが好ましく、1.2〜4.4mmol/gがより好ましく、1.5〜4.3mmol/gが更に好ましい。ニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量が前記範囲の下限値以上であれば、質量当たりの官能基量が多くなる。また、ニトリルオキシド化合物の分子量が低く抑えられるため、特に高分子との反応では相溶性や粘度比の問題が発生しにくい。そのため、ニトリルオキシド化合物の反応性が高くなる。ニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量が前記範囲の上限値以下であれば、分子量運動が抑制され、分子間二量化の副反応が抑制される。
ニトリルオキシド当量[mmol/g]=1000×(分子内のニトリルオキシド基の数/ニトリルオキシド化合物の分子量)
本発明のニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量は、1.0〜4.5mmol/gが好ましく、1.2〜4.4mmol/gがより好ましく、1.5〜4.3mmol/gが更に好ましい。ニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量が前記範囲の下限値以上であれば、質量当たりの官能基量が多くなる。また、ニトリルオキシド化合物の分子量が低く抑えられるため、特に高分子との反応では相溶性や粘度比の問題が発生しにくい。そのため、ニトリルオキシド化合物の反応性が高くなる。ニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド当量が前記範囲の上限値以下であれば、分子量運動が抑制され、分子間二量化の副反応が抑制される。
芳香族ニトリルオキシド化合物としては、例えば、一般式[VI]で表される化合物、一般式[VII]で表される化合物が挙げられる。
式[VI]において、R31〜R36のうちいずれか1つ以上はニトリルオキシド基である。それ以外のR31〜R36は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基である。隣接する2つの置換基はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
式[VII]において、R41〜R45のうちいずれか1つ以上はニトリルオキシド基である。それ以外のR41〜R45は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基である。隣接する2つの置換基はそれぞれ結合して環を形成してもよい。R46は、芳香環同士を繋ぐスペーサーであり、炭素数1〜20の2価以上の有機基又は酸素原子である。rは2以上の整数である。
式[VII]において、R41〜R45のうちいずれか1つ以上はニトリルオキシド基である。それ以外のR41〜R45は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基である。隣接する2つの置換基はそれぞれ結合して環を形成してもよい。R46は、芳香環同士を繋ぐスペーサーであり、炭素数1〜20の2価以上の有機基又は酸素原子である。rは2以上の整数である。
ニトリルオキシド化合物(C)としては、なかでも、下記一般式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物C−1であることがより好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[金属石鹸(D)]
本発明で用いる二重結合を有するポリマー(B)のブロッキング防止剤としては、金属石鹸(D)が好ましい。二重結合を有するポリマー(B)と金属石鹸(D)をブレンドすることで、二重結合を有するポリマー(B)の表面に金属石鹸(D)が付着し、二重結合を有するポリマー(B)同士のブロッキングを防ぐのに効果的であると考えられる。これにより、本熱可塑性エラストマー組成物の製造における作業性及び原料供給安定性を得ることができる。
本発明で用いる二重結合を有するポリマー(B)のブロッキング防止剤としては、金属石鹸(D)が好ましい。二重結合を有するポリマー(B)と金属石鹸(D)をブレンドすることで、二重結合を有するポリマー(B)の表面に金属石鹸(D)が付着し、二重結合を有するポリマー(B)同士のブロッキングを防ぐのに効果的であると考えられる。これにより、本熱可塑性エラストマー組成物の製造における作業性及び原料供給安定性を得ることができる。
本発明で用いる金属石鹸(D)としては、炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩が好ましい。炭素数は15〜20が好ましい。脂肪酸は直鎖又は分岐鎖であってもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸であってもよい。炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩に用いる脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが、ブロッキング防止性の観点から好ましい。金属塩に含まれる金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及びバリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
金属石鹸(D)は、ブロッキング防止特性に優れることから、ステアリン酸カルシウムであることが好ましい。
炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
金属石鹸(D)は、ブロッキング防止特性に優れることから、ステアリン酸カルシウムであることが好ましい。
[エポキシ化合物(E)]
本発明で用いるエポキシ化合物(E)のMwは6,000以下が好ましく、3,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。Mwが6,000以下であれば、軟化温度が高すぎることがなく、製造時に均一分散させることが容易である。
Mw6,000以下という比較的分子量が小さいエポキシ化合物を用いることで、その良分散性により、金属石鹸(D)存在化でも、ニトリルオキシド化合物(C)による二重結合を有するポリマー(B)の架橋反応を有効に進めることができる。
エポキシ化合物(E)のMwの下限は、300以上であることが好ましい。
尚、エポキシ化合物(E)のMwは、GPCを用いて、ポリスチレン標準による換算値として求めた値である。
本発明で用いるエポキシ化合物(E)のMwは6,000以下が好ましく、3,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。Mwが6,000以下であれば、軟化温度が高すぎることがなく、製造時に均一分散させることが容易である。
Mw6,000以下という比較的分子量が小さいエポキシ化合物を用いることで、その良分散性により、金属石鹸(D)存在化でも、ニトリルオキシド化合物(C)による二重結合を有するポリマー(B)の架橋反応を有効に進めることができる。
エポキシ化合物(E)のMwの下限は、300以上であることが好ましい。
尚、エポキシ化合物(E)のMwは、GPCを用いて、ポリスチレン標準による換算値として求めた値である。
エポキシ化合物(E)としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型等のグリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物等の他、線状脂肪族系エポキシ化合物、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ化合物(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特にビスフェノールA型エポキシ化合物を用いることが好ましい。
エポキシ化合物(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特にビスフェノールA型エポキシ化合物を用いることが好ましい。
エポキシ化合物(E)のエポキシ当量は、100〜1,000g/eqであることが好ましい。
[炭化水素系ゴム用軟化剤(F)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法には、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性を向上させるために、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法には、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性を向上させるために、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いることが好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。
これらの中でも、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
尚、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
尚、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の40℃における動粘度は、20センチストークス(cSt)以上であることが好ましく、50cSt以上であることがより好ましい。また、800cSt以下であることが好ましく、600cSt以下であることがより好ましい。
尚、動粘度はJIS K2283の方法で測定できる。
尚、動粘度はJIS K2283の方法で測定できる。
また、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の引火点(COC法)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。尚、引火点はJIS K2265の方法で測定できる。
尚、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合、ポリオレフィン(A)と二重結合を有するポリマー(B)とを混合する前に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)と二重結合を有するポリマー(B)とを予め混合して油展ゴムとして用いてもよい。
油展ゴムを製造する方法(油展方法)としては公知の方法を用いることができる。油展方法としては、例えば、ミキシングロールやバンバリーミキサーを用い、二重結合を有するポリマー(B)と炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を機械的に混練して油展する方法、二重結合を有するポリマー(B)に所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法、クラム状の二重結合を有するポリマー(B)と炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の混合物をヘンシェルミキサー等で撹拌して含浸させる方法が挙げられる。
油展ゴムは市販品として入手することが可能である。例えば、JSR社製JSR EPR、三井化学社製三井EPT(登録商標)、住友化学社製エスプレン(登録商標)、LANXESS社製Keltan(登録商標)、KUMHO POLYCHEM社製KEP(登録商標)、DOW社製NODEL(登録商標)から該当品を選択して使用することができる。
[原料の使用量]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の原料使用量について以下に説明する。
二重結合を有するポリマー(B)の使用量は、ポリオレフィン(A)と二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量%に対し、柔軟性の観点から55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。また、成形加工性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。具体的には、55〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましく、65〜85質量%が更に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の原料使用量について以下に説明する。
二重結合を有するポリマー(B)の使用量は、ポリオレフィン(A)と二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量%に対し、柔軟性の観点から55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。また、成形加工性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。具体的には、55〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましく、65〜85質量%が更に好ましい。
[ポリオレフィン(A)の配合量]/[二重結合を有するポリマー(B)の配合量]で表される質量比は、架橋特性及びゴム弾性の観点から、5/95〜45/55が好ましく、10/90〜40/60がより好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の使用量は、二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対し、柔軟性の観点から、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましく、30質量部以上が特に好ましい。一方、製造安定性の観点から、350質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。具体的には、1〜350質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましく、20〜300質量部が更に好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)の使用量は、二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対し、架橋反応を十分に進行させるために、0.05質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。一方、架橋反応を制御する観点から、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、6質量部以下が更に好ましい。具体的には、0.05〜10質量部が好ましく、0.2〜8質量部がより好ましく、0.2〜6質量部が更に好ましい。
金属石鹸(D)の使用量は、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、ブロッキング防止の観点から0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。また、ブリードアウトの観点から、5.0質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましい。具体的には、0.001〜5.0質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.01〜1.5質量部が更に好ましい。
エポキシ化合物(E)の使用量は、二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対し、架橋の観点から0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。また、ブリードアウトの観点から、30.0質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。具体的には、0.01〜30.0質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が更に好ましい。
エポキシ化合物(E)の配合量が上記範囲内であれば、ブリードアウト等の外観不良や機械的物性低下等を抑えつつ、金属石鹸存在化でもニトリルオキシド化合物による動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物に、優れた架橋特性及びゴム弾性を付与することができる。
エポキシ化合物(E)の配合量が上記範囲内であれば、ブリードアウト等の外観不良や機械的物性低下等を抑えつつ、金属石鹸存在化でもニトリルオキシド化合物による動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物に、優れた架橋特性及びゴム弾性を付与することができる。
[その他の成分]
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)、エポキシ化合物(E)、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を使用することができる。
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)、エポキシ化合物(E)、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を使用することができる。
その他の成分としては例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂やエラストマー、ニトリルオキシド化合物(C)以外の架橋剤、金属石鹸(D)以外の界面活性剤が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の総質量に対する各成分の合計含有量は、100質量%を超えない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の総質量に対する各成分の合計含有量は、100質量%を超えない。
充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。充填剤を用いる場合、混合物の合計100質量部に対して通常0.1〜50質量部で用いられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合には、混合物の合計100質量部に対して通常0.01〜3.0質量部の範囲で用いられる。
ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリオレフィン樹脂(但し、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)に該当するものを除く。)が挙げられる。
また、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、及びニトリルオキシド化合物(C)を含む混合物が架橋されて得られるエラストマー以外のエラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリブタジエンが挙げられる。
また、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、及びニトリルオキシド化合物(C)を含む混合物が架橋されて得られるエラストマー以外のエラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリブタジエンが挙げられる。
金属石鹸(D)以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(ただし金属石鹸(D)以外のもの)、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。
その他の成分は、以下の動的熱処理前に原料混合物に混合して用いてもよく、動的熱処理後の熱可塑性エラストマー組成物に混合してもよい。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、金属石鹸(D)、エポキシ化合物(E)及び必要に応じて、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含む混合物を、ニトリルオキシド化合物(C)の存在下で動的熱処理して動的架橋させ、熱可塑性エラストマーを得ることを含む。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、金属石鹸(D)、エポキシ化合物(E)及び必要に応じて、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含む混合物を、ニトリルオキシド化合物(C)の存在下で動的熱処理して動的架橋させ、熱可塑性エラストマーを得ることを含む。
本発明において「動的熱処理」とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行なうのが好ましく、そのための混合混練装置としては、例えば、非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機が用いられる。これらの中でも二軸押出機を用いることが好ましい。
二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行なう方法が挙げられる。
二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行なう方法が挙げられる。
動的熱処理を行なう際の温度は、通常160〜280℃、好ましくは165〜250℃、より好ましくは170〜220℃である。また、動的熱処理を行なう時間は通常0.1〜30分である。
[物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物はデュロA硬度の値が30〜95であることが好ましく、30〜90がより好ましく、35〜90が更に好ましい。デュロA硬度の測定方法は後掲の実施例に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物はデュロA硬度の値が30〜95であることが好ましく、30〜90がより好ましく、35〜90が更に好ましい。デュロA硬度の測定方法は後掲の実施例に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率が80〜100であることが好ましく、85〜100であることがより好ましい。ゲル分率の測定方法は後掲の実施例に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K6262に準拠して試験温度70℃、試験時間22時間、25%圧縮の条件で測定した圧縮永久歪みが、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましい。圧縮永久歪みが上記上限値以下であると、ゴム弾性がより優れる。
[成形品・用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形の各種成形方法により、成形品とすることができ、これらの中でも射出成形、押出成形が好適である。
また、これらの成形を行なった後に積層成形、熱成形等の二次加工を行なった成形品とすることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形の各種成形方法により、成形品とすることができ、これらの中でも射出成形、押出成形が好適である。
また、これらの成形を行なった後に積層成形、熱成形等の二次加工を行なった成形品とすることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法は自動車分野(シール、クッション、ブーツ等)、建築分野(ガスケット、パッキン等)、その他各種の雑貨分野、例えば、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、その他雑貨の広汎な分野で用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
尚、以下の記載において、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
以下の実施例で使用した原材料及び評価方法は次のとおりである。
≪原料≫
<成分(A)>
・ポリプロピレン系樹脂A−1:
日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP MA3Q
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=10g/10分
<成分(A)>
・ポリプロピレン系樹脂A−1:
日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP MA3Q
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=10g/10分
・ポリプロピレン系樹脂A−2:
日本ポリプロ株式会社製 WAYMAX MFX3
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=8.8g/10分
日本ポリプロ株式会社製 WAYMAX MFX3
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=8.8g/10分
<成分(B)>
・エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1 100部及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1 100部からなる混合物(油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体):
KUMHO POLYCHME社製 KEP902NP
密度:0.868g/cm3
エチレン単位の含有率:66.5%
ムーニー粘度ML1+4(125℃):50
エチリデンノルボルネン単位の含有率:4.5%
ここで、密度、エチレン単位の含有率、エチリデンノルボルネン単位の含有率はB−1の値であり、ムーニー粘度はF−1で希釈後の値である。
・エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1 100部及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1 100部からなる混合物(油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体):
KUMHO POLYCHME社製 KEP902NP
密度:0.868g/cm3
エチレン単位の含有率:66.5%
ムーニー粘度ML1+4(125℃):50
エチリデンノルボルネン単位の含有率:4.5%
ここで、密度、エチレン単位の含有率、エチリデンノルボルネン単位の含有率はB−1の値であり、ムーニー粘度はF−1で希釈後の値である。
・エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−2 100部及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−2 40部及び金属石鹸D−1 0.26部からなる混合物(油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体):
三井化学社製 三井EPT3072EPM
密度:0.868g/cm3
エチレン単位の含有率:64%
ムーニー粘度ML1+4(125℃):51
エチリデンノルボルネン単位の含有率:5.4%
ここで、密度、エチレン単位の含有率、エチリデンノルボルネン単位の含有率はB−2の値であり、ムーニー粘度はF−2で希釈後の値である。
三井化学社製 三井EPT3072EPM
密度:0.868g/cm3
エチレン単位の含有率:64%
ムーニー粘度ML1+4(125℃):51
エチリデンノルボルネン単位の含有率:5.4%
ここで、密度、エチレン単位の含有率、エチリデンノルボルネン単位の含有率はB−2の値であり、ムーニー粘度はF−2で希釈後の値である。
<成分(C)>
・ニトリルオキシド化合物C−1:
・ニトリルオキシド化合物C−1:
ニトリルオキシド化合物C−1の合成方法
1,6−ヘキサンジオールの14.17g(120mmol)を脱水THFの120mLに溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、窒素ガス雰囲気下で水素化ナトリウムの16g(400mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。この液に、1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンの60g(266mmol)を加え、20℃で16時間撹拌した。
溶液を0℃に冷却した後、2mol/Lの塩化水素水溶液でpHが6〜7になるまで中和した。中和後の液について、ジクロロメタンを用いて抽出を行なった。ジクロロメタン溶液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を濃縮し、精製した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄することで、白色固体の化合物C−01を50g得た(収率70%)。
化合物C−01のNMRスペクトル:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.36−7.24(m,20H),
5.34(s,4H),3.35(t,4H),1.74−1.61(m,4H),
1.47−1.32(m,4H)ppm.
溶液を0℃に冷却した後、2mol/Lの塩化水素水溶液でpHが6〜7になるまで中和した。中和後の液について、ジクロロメタンを用いて抽出を行なった。ジクロロメタン溶液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を濃縮し、精製した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄することで、白色固体の化合物C−01を50g得た(収率70%)。
化合物C−01のNMRスペクトル:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.36−7.24(m,20H),
5.34(s,4H),3.35(t,4H),1.74−1.61(m,4H),
1.47−1.32(m,4H)ppm.
化合物C−01の25g(44.0mmol)を脱水ジクロロメタンの750mLに溶解した。この溶液に、4−クロロフェニルイソシアネートの22.5mL(176mmol)、トリエチルアミンの26.90g(266mmol)、モレキュラーシーブス4Aの50gを投入し、窒素ガス下、20℃で16時間撹拌した。
溶液を濾過し、濾液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酸性シリカゲル、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル1/0,3/1)で精製することで、白色固体のニトリルオキシド化合物C−1を7.87g得た(収率34%)。
ニトリルオキシド化合物C−1のNMRスペクトル:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.44−7.30(m,20H),
3.45(t,4H),1.69(m4H),1.41(m,4H)ppm.
分子量:533
融点:95℃
ニトリルオキシド当量:3.75mmol/g
融点は、融点測定装置(Stuart Scientific社製、SMP3)を用いてニトリルオキシド化合物を1℃/分の条件で昇温し、固体がすべて融解した時点での温度で求めた。
溶液を濾過し、濾液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酸性シリカゲル、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル1/0,3/1)で精製することで、白色固体のニトリルオキシド化合物C−1を7.87g得た(収率34%)。
ニトリルオキシド化合物C−1のNMRスペクトル:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.44−7.30(m,20H),
3.45(t,4H),1.69(m4H),1.41(m,4H)ppm.
分子量:533
融点:95℃
ニトリルオキシド当量:3.75mmol/g
融点は、融点測定装置(Stuart Scientific社製、SMP3)を用いてニトリルオキシド化合物を1℃/分の条件で昇温し、固体がすべて融解した時点での温度で求めた。
<成分(D)>
・金属石鹸D−1:
ステアリン酸カルシウム (日東化成工業(株)製)
・金属石鹸D−1:
ステアリン酸カルシウム (日東化成工業(株)製)
<成分(E)>
・エポキシ化合物E−1:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂/三菱ケミカル(株)製 jER(登録商標)828(エポキシ当量:184〜194g/eq、Mw:370)
・エポキシ化合物E−1:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂/三菱ケミカル(株)製 jER(登録商標)828(エポキシ当量:184〜194g/eq、Mw:370)
<成分(F)>
・炭化水素系ゴム用軟化剤F−1:
パラフィン系オイル
・炭化水素系ゴム用軟化剤F−1:
パラフィン系オイル
・炭化水素系ゴム用軟化剤F−2:
パラフィン系オイル
パラフィン系オイル
<酸化防止剤>
・ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
・ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
≪評価方法≫
<デュロA硬度(1)>
ラボプラストミル及び油圧プレス機により得られた熱可塑性エラストマー組成物シートを用い、JIS K6253に準拠して、デュロA硬度(15秒後値)を測定した。
<デュロA硬度(1)>
ラボプラストミル及び油圧プレス機により得られた熱可塑性エラストマー組成物シートを用い、JIS K6253に準拠して、デュロA硬度(15秒後値)を測定した。
<ゲル分率(2)>
予め質量を測定した60メッシュの金網中に、得られた熱可塑性エラストマー組成物を量り入れ、ソックスレー抽出器の中に入れ、還流が12分/回になるように温度調節をしながら4時間キシレンで抽出した。抽出後の金網を冷却した後、80℃の真空乾燥機内で4時間乾燥させ、金網の質量を測定した。キシレン抽出前試料に対するキシレン抽出残分の質量百分率を、二重結合を有するポリマー(B)の含有量で換算し、熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率として評価した。
熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率は大きい程架橋反応が進行していることを意味する。
予め質量を測定した60メッシュの金網中に、得られた熱可塑性エラストマー組成物を量り入れ、ソックスレー抽出器の中に入れ、還流が12分/回になるように温度調節をしながら4時間キシレンで抽出した。抽出後の金網を冷却した後、80℃の真空乾燥機内で4時間乾燥させ、金網の質量を測定した。キシレン抽出前試料に対するキシレン抽出残分の質量百分率を、二重結合を有するポリマー(B)の含有量で換算し、熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率として評価した。
熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率は大きい程架橋反応が進行していることを意味する。
<圧縮永久歪み(3)>
JIS K6262の規格に準拠した方法で70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
JIS K6262の規格に準拠した方法で70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂A−1 15部とエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1の混合物 80部(B−1:40部、F−1:40部)、金属石鹸D−1 0.5部、エポキシ化合物E−1 0.15部と、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂A−2 5部、ニトリルオキシド化合物C−1 1部を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、金属プレス板及び横100mm、縦100mm、厚み2mmのシート用スペーサーを用いて、油圧加熱プレス機(東洋精機社製 油圧加熱プレス機 型番 A−591901104)にて、温度180℃、圧力150kg/cm2にて3分間熱プレスを行ない、油圧冷却プレス機(東洋精機社製 油圧加熱プレス機 型番 A−591901105)にて水冷、圧力150kg/cm2、3分間冷却することにより、2mm厚の熱可塑性エラストマー組成物シートを得た。
得られたシートについて、前記(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂A−1 15部とエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1の混合物 80部(B−1:40部、F−1:40部)、金属石鹸D−1 0.5部、エポキシ化合物E−1 0.15部と、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂A−2 5部、ニトリルオキシド化合物C−1 1部を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、金属プレス板及び横100mm、縦100mm、厚み2mmのシート用スペーサーを用いて、油圧加熱プレス機(東洋精機社製 油圧加熱プレス機 型番 A−591901104)にて、温度180℃、圧力150kg/cm2にて3分間熱プレスを行ない、油圧冷却プレス機(東洋精機社製 油圧加熱プレス機 型番 A−591901105)にて水冷、圧力150kg/cm2、3分間冷却することにより、2mm厚の熱可塑性エラストマー組成物シートを得た。
得られたシートについて、前記(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
表1に示す配合割合(部)となるように、A−1、成分(B)と成分(F)の混合物、D−1、E−1、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2、C−1を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
表1に示す配合割合(部)となるように、A−1、成分(B)と成分(F)の混合物、D−1、E−1、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2、C−1を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1及び2]
表1に示す配合割合(部)となるように、A−1、成分(B)と成分(F)の混合物、D−1、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2、C−1を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
表1に示す配合割合(部)となるように、A−1、成分(B)と成分(F)の混合物、D−1、酸化防止剤 0.1部を配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2、C−1を加え180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
[評価結果]
表1より、本発明に該当する実施例1〜5は架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が優れることがわかった。
比較例1及び2は金属石鹸によってニトリルオキシド化合物が失活されたため、架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が劣ることがわかった。
表1より、本発明に該当する実施例1〜5は架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が優れることがわかった。
比較例1及び2は金属石鹸によってニトリルオキシド化合物が失活されたため、架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が劣ることがわかった。
本発明のポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋されて得られる熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形品は、架橋特性及びゴム弾性に優れ、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨等に有用である。
Claims (23)
- ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びエポキシ化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記混合物が、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含有する、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
R1及びR2が、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である、請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが炭素数2〜10のアルキレン基である、請求項3又は4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
Aが、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基又は1−メチル−1,3−プロピレン基である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが2であり、
Aが、下記一般式[II]で表される基である、請求項3又は4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−(R4−O)m−R5−(O−R4)m− ・・・[II]
(式[II]において、
mは0又は1であり、
R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
R5は、下記一般式[III]で表される基又は下記一般式[IV]で表される基である。)
R6〜R9は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R6とR7が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R8とR9が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。)
R10〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、
nは0又は1であり、
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)2−であり、
R18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。) - 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[II]において、
mが1であり、
R5が式[IV]で表される基であり、
式[IV]において、
nが1であり、
Yが−C(R18)(R19)−である、請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[V]において、
Rbが、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)又はヘテロ環である、請求項9に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記金属石鹸(D)が炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記金属石鹸(D)がステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記金属石鹸(D)が、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記エポキシ化合物(E)の重量平均分子量(Mw)が6,000以下である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記エポキシ化合物(E)がビスフェノールA型エポキシ化合物である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- [前記ポリオレフィン(A)の配合量]/[前記二重結合を有するポリマー(B)の配合量]で表される質量比が、5/95〜45/55である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記ニトリルオキシド化合物(C)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.05〜10.0質量部である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記金属石鹸(D)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.001〜5.0質量部である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記エポキシ化合物(E)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して0.01〜30.0質量部である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の割合が、前記二重結合を有するポリマー(B)100質量部に対して1〜350質量部である、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記混合物を動的熱処理することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 請求項1〜21のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
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