JP2021165058A - 表皮材及びその製造方法 - Google Patents

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裕介 尾林
Yusuke Obayashi
徹雄 林田
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Abstract

【課題】皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定することにある。【解決手段】意匠面をなす皮革10と、皮革10の裏側に配置される面状の弾性材11とを接着して固定する表皮材の製造方法において、弾性材11の少なくとも一部を意匠面側が凹むように曲げて凹曲部(9b)を形成する賦形工程の後に、皮革10と弾性材11とを接着して固定する接着工程を行うに際して、皮革10と弾性材11の間に付与されている非加熱硬化性の接着剤13Aを、意図的な加熱を行うことなく硬化させる。【選択図】図5

Description

本発明は、意匠面をなす皮革と、皮革の裏側に配置される弾性材と、皮革と弾性材を接着して固定している接着層とを備えた表皮材及びその製造方法に関する。
この種の皮革を備えた表皮材は、優れた外観と感触を合わせ持つため、各種の部材の外装材として使用され、とりわけ乗物用シートなどの乗物内装品に好適に使用されている。例えば特許文献1に開示の車両用シートの表皮材は、牛皮などの天然皮革と、本発明の弾性材に相当する面状のワディングとが積層された状態で接着固定されている。
ここで公知技術では、シートの立体形状に沿うように表皮材を配設する関係から、表皮材にその意匠面側が凹んでいる凹み箇所が生じることがある。そして表皮材の凹み箇所では、ワディングの表裏の周長差が原因となって、意匠面をなす皮革にシワが生じることが懸念される。すなわち表皮材の凹み箇所では、ワディングの皮革側の内周部分が縮むとともに、ワディングの裏側の外周部分が伸びた状態となる。そしてワディングが縮む際に生じる応力が原因となって、皮革の網状層から銀面層が浮き上がる(銀面浮きの状態となる)ことで、皮革に銀面シワが生じやすい状態となってしまう。そこで公知技術では、ワディングを予め凹ませた形で賦形しておき、この賦形されたワディングに皮革を加熱しながらプレスして接着している。こうすることで皮革を、ワディングが縮む際の応力を極力作用させることなく、適切な状態でワディングに接着することができる。
特開2016−120844号公報
ところで公知技術では、凹み箇所の設けられたワディング(凹曲部の設けられた弾性材)に皮革を接着する際に加熱を要するのであるが、このような加熱は皮革にとって必ずしも良い影響を与えるものではない。例えば加熱によって皮革が変質したり、皮革内に接着剤が過度に含浸したりすることで、皮革本来の外観や感触が損なわれてしまうおそれがある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の表皮材の製造方法では、意匠面をなす皮革と、皮革の裏側に配置される面状の弾性材とを接着して固定する。そして本発明では、表皮材の少なくとも一部を意匠面が凹むように曲げて凹曲部を形成するのであるが、この種の構成では、皮革本来の性能(外観や感触など)を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定することが望まれる。
そこで本発明の製造方法では、弾性材の少なくとも一部を意匠面側が凹むように曲げて凹曲部を形成する賦形工程の後に、皮革と弾性材とを接着して固定する接着工程を行う。そして接着工程の際に、皮革と弾性材の間に付与されている非加熱硬化性の接着剤を、意図的な加熱を行うことなく硬化させることとした。本発明では、賦形工程と接着工程をこの順で行い、皮革とは無関係に凹曲部を形成しておくことで、皮革をより適切な状態で弾性材に接着することができる。そして本発明の接着工程では、意図的な加熱をすることなく接着剤を硬化させて接着層を形成するため、加熱が原因となる皮革の性能変化を極力回避することが可能となる。
第2発明の表皮材の製造方法は、第1発明の表皮材の製造方法において、賦形工程において、皮革よりも肉厚な弾性材の部分に凹曲部を形成する。本発明では、表皮材の優れた性能を確保する観点から相対的に肉厚な弾性材を用いるのであるが、このような場合には皮革への影響も大きくなることが予想される。そこで本発明では、賦形工程と接着工程をこの順で行うことにより、弾性材が肉厚であったとしても、皮革本来の性能を極力維持しつつ弾性材に接着することが可能となる。
第3発明の表皮材は、意匠面をなす皮革と、皮革の裏側を覆うように配置される面状の弾性材と、皮革と弾性材を接着して固定している接着層とを備えている。そして弾性材の少なくとも一部には、意匠面側が凹むように弾性材が曲げられてなる凹曲部が形成されている。また皮革は、凹曲部を有した状態で賦形された弾性材に、非加熱型硬化性の接着層を介して後付けされて固定されている。本発明では、非加熱型硬化性の接着層を用いて、適切な形に賦形された弾性材に皮革を後付けしておくことにより、皮革本来の性能を極力維持しつつ弾性材に接着しておくことができる。
本発明に係る第1発明によれば、皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定することができる。また第2発明によれば、表皮材の性能向上を図るとともに、皮革本来の性能を極力維持しつつ弾性材に接着することができる。そして第3発明によれば、皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定しておくことができる。
乗物用シートの斜視図である。 図1のII−II線断面に相当するシートバックの断面図である。 図2に示すシートカバー部分を模式的に示す概略断面図である。 賦形工程の際の各部材の概略斜視図である。 接着工程の際の各部材を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1〜図3には、便宜上、乗物用シートの上下方向と前後方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。また図4及び図5では、各部材が型部材にセットされた状態を基準として、これらの上下方向と前後方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。
図1に示す乗物用シート2は、乗物室内に設置された乗物内装品であり、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4の後部にシートバック6(詳細後述)の下部が起倒可能に連結されている。またシートバック6の上部にはヘッドレスト8が設けられ、シーバック6の後面には図2に示すバックボードBBが配設されている。
[シートバック]
図1及び図2に示すシートバック6は、乗員の背凭れとなる正面視で概ね矩形の部材であり、シートフレーム6Fにて支持されたシートパッド6Pを、シートカバー6S(詳細後述)で被覆することで形成されている。ここでシートフレーム6Fは、典型的に正面視で略矩形又はアーチ状の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。またシートパッド6Pは、シートバック6の外形形状をなす部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m〜60kg/m)などの発泡樹脂で形成できる。そしてシートパッド6Pの着座面には、着座部6aと、左右一対の土手部(右側の土手部6b,左側の土手部6c)とが形成されている。着座部6aは、通常走行時に乗員の着座が可能な部位であり、シート幅方向となる左右方向の中央で上下方向に延びている。また一対の土手部6b,6cは、着座部6aの左右で相対的に前方に向けて山なりに盛り上がっている部位であり、概ね左右対称となるように形成されている。そしてシートパッド6Pの着座面は、着座部6aが概ね平坦とされているが、この着座部6aから各土手部6b,6cにかけての部分は、後方に向けて凹むような凹曲面形状を備えている(図2では、便宜上、シートパッドの凹曲面形状となっている部分に符号(CA)を付す)。
[シートカバー(表皮材)]
そして図1〜図3に示すシートカバー6Sは、本発明の表皮材に相当する部材であり、シートバック6の意匠面を構成している。このシートカバー6Sは、優れた外観と感触を確保する観点から、図2及び図3に示すように皮革10と弾性材11(これらの詳細は後述)を接着固定することで形成されている。そして本実施形態では、シートの仕上がり性等を考慮して、図2及び図3に示すシートパッド6Pに沿うようにシートカバー6Sを配設するのであるが、このとき意匠面となる皮革10の性能を確保してシワ等が生じないよう配慮すべきである。例えばシートカバー6Sでは、シートパッド6Pの凹曲面形状の部分(CA)に沿うように湾曲した凹曲部9b等が設けられているが、この凹曲部9b等では、弾性材11との関係から皮革10にシワ(銀面シワ)が生じやすい箇所といえる。そこで本実施形態では、後述する構成及び製法によって、皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部9b等の設けられた弾性材11に皮革10を接着して固定することとした。以下、シートカバー6Sの各構成及び製法について詳述する。
ここでシートカバー6Sは、図1に示す複数の表皮ピース(6Sa〜6Sc、6Sx)を縫合して形成でき、各表皮ピースの基本構成は概ね同一である(図1では、特定の表皮ピースに特定の符号6Sa〜6Scを付し、その他の表皮ピースに共通の符号6Sxを付す)。例えば本実施形態では、左右の各土手部6b,6cを覆う表皮ピース(右表皮ピース6Sb,左表皮ピース6Sc)が、着座部6aを覆う中央表皮ピース6Saの右側と左側に分かれて設けられている。これら右表皮ピース6Sbと左表皮ピース6Scは、それぞれシートパッド6Pの着座部6aから対応する土手部6b,6cにかけての凹曲面形状の部分を覆う表皮ピースである。そして右表皮ピース6Sbには、図2を参照して、意匠面が凹むように曲がっている右凹曲部9bが設けられており、この右凹曲部9bが、着座部6aから右側の土手部6bにかけての凹曲面形状の部分(CA)を覆っている。また図1に示す左表皮ピース6Scにも、意匠面が凹むように曲がっている左凹曲部9cが設けられており、この左凹曲部9cが、着座部6aから左側の土手部6cにかけての凹曲面形状の部分(符号省略)を覆っている。
[皮革]
そして本実施形態では、図1に示す右表皮ピース6Sbと左表皮ピース6Scが、左右対称となっている以外は概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、右表皮ピース6Sbを一例にその各構成を詳述する。図2及び図3に示す右表皮ピース6Sbでは、その意匠面を構成する皮革10が、シートの最も外側(各図の前側)に配置されている。この種の皮革10として、天然皮革と合成皮革の少なくとも一つを用いることができ、本実施形態では、銀面層と網状層を備えて意匠性に優れる天然皮革を使用している。なお天然皮革の種類は特に限定しないが、牛革、馬革、豚革、鹿革、羊革、山羊革、カンガルー革等の動物系の皮革を例示できる。また合成皮革は、皮革調の外観を備えた樹脂層(銀面層に相当)と、この樹脂層の裏側に一体化された布帛層(網状層に相当)とを有する皮革である。
[弾性材]
また図1及び図2に示す右表皮ピース6Sbでは、皮革10の裏側に弾性材11が配置されており、さらに弾性材11の裏側には、不織布やフエルト製の裏基布12を必要に応じて取付けることができる。この弾性材11は、弾性的に伸縮可能な面状の部材であり、皮革10に比して弾性に優れた素材で形成することが望ましい。この種の弾性材11の素材として、軟質ウレタンフォーム(スラブウレタン,モールドウレタン)やそれに類する発泡樹脂を例示でき、曲げやすさや柔らかさを考慮するとシートパッド6Pよりも柔軟であることが望ましい。そして図3に示す弾性材11では、その全体において概ね同一の厚み寸法T1を有している。この弾性材11の全体の厚み寸法T1は、シートカバー6Sに付与すべき性能(弾性や柔軟性等)に応じて適宜設定可能であり、典型的には皮革10の厚み寸法T2よりも大きくなることが多い。例えばスラブウレタン製の弾性材11を用いる場合、弾性材11の厚み寸法T1を、皮革10の厚み寸法T2の1.5〜5の範囲に設定することで、シートカバー6Sに所望の性能を付与することができる。なお弾性材11(及び皮革)の厚み寸法の測定手法として、任意の箇所で測定した5点より平均値を算出する手法を例示できる。
[接着層]
そして図2及び図3に示す右表皮ピース6Sbでは、皮革10と弾性材11の間に、これらを接着固定している接着層13が設けられている。この接着層13は、適度な接着強度を備えて皮革10と弾性材11を固定している層であり、非加熱型硬化性の接着剤で形成することができる。この種の非加熱型硬化性の接着剤として、湿気硬化型や紫外線硬化型等のホットメルト接着剤、常温硬化型のシリコン接着剤、ブチルゴム系接着剤等を使用でき、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでもウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、接着力が強く耐久性に優れるため、非加熱型硬化性の接着剤として好適に使用することができる。すなわちウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤では、ポリウレタンプレポリマーが固化することで接着性が発現し、未硬化のイソシアネート末端が空気中の水分と反応し架橋構造を形成することでより強固な接着性を発現する。なお硬化前の非加熱型硬化性の接着剤は、液状(ゲルやゾル状を含む)又は固体状のいずれの状態であってもよい。また接着剤の付与方法は、その状態に応じて選定され、刷毛、スプレー、ロールコータなどの各種の方法を適宜採用できる。
[シートカバー(表皮材)の製造方法]
図1に示すシートカバー6Sは、後述する賦形工程と接着工程を行うことで製造することができる。ここで各表皮ピースの製法は概ね同様であることから、以下に、図2及び図3に示す右表皮ピース6Sbを一例にその製造方法を説明する。そして右表皮ピース6Sbの製造に際しては、所定の形状に整えられた皮革10と弾性材11又はその原反を用意しておくことが望ましい。なお以下の説明では、皮革10と弾性材11(又はこれらの原反)の形を、説明の便宜上、上方視で長方形状となるように整えている。なお図3に示す裏基布12は、各工程に先立って弾性材11に取付けられているが、特定の工程の後や全工程終了後に弾性材11に取付けることもできる。
[賦形工程]
図4に示す賦形工程では、右表皮ピース6Sbの弾性材11の少なくとも一部を、意匠面側が凹むように曲げて右凹曲部9bを形成する。ここで右凹曲部9bの形成手法は特に限定しないが、本実施形態では、図4に示す型部材20を用いて、弾性材11に右凹曲部9bを形成してその形を維持(保形)している。ここで型部材20は、上方視で概ね矩形をなす部材であり、その上面には、右表皮ピース6Sbの弾性材11と左表皮ピース6Scの弾性材(符号省略)を上方視でX字をなすように載置することができる。
また型部材20の上面の左側は、概ね平坦な載置面21となっており、この載置面21には、概ね円柱形状の位置決め凸部21Aが複数設けられている(図4では、便宜上、各位置決め凸部に共通の符号21Aを付す)。これら各位置決め凸部21Aは、載置面21上の弾性材11の周囲を囲うように適宜の間隔で配置されており、載置面21に対する弾性材11の移動を規制することができる。また型部材20の上面の右側は、階段状に一段高くされており、載置面21の右縁から立ち上がっている立壁部22と、載置面21よりも一段高い位置に設けられた上段面23とが形成されている。そして載置面21と上段面23の間には、下方に向けて凹むように湾曲した湾曲板24が掛け渡されて固定されている。この湾曲板24は、右凹曲部9b等を形成する箇所であり、シートパッドの凹曲面形状に倣った曲面形状を有している。さらに型部材20の上段面23には、昇降アーム部26b(26c)を介して、一対のローラ部25b(25c)が昇降可能な状態で配設されている。後側のローラ部25bは、X字状に載置された右表皮ピース6Sbの弾性材11の右部分に当接可能となるように、湾曲板24の後部の直上に配置されている。また前側のローラ部25cは、X字状に載置された左表皮ピース6Scの弾性材の右部分に当接可能となるように、湾曲板24の前部の直上に配置されている。
そして賦形工程では、図4に示すように、右表皮ピース6Sbの弾性材11を、各位置決め凸部21Aで位置決めしつつ、載置面21から湾曲板24にかけての部分に配置しておく。この状態においては、弾性材11の左部分が平坦な載置面21上に位置決めして配置され、さらに弾性材11の右凹曲部9bを形成すべき右部分が湾曲板24上に配置される。そこで後側のローラ部25bを下降させて、弾性材11の右部分を湾曲板24に押し当てる。こうして弾性材11の右部分を、後側のローラ部25bの圧を利用して湾曲板24と同様の形に湾曲させることで、図5に示す右凹曲部9bを形成することができる。なお図4に示す左表皮ピース6Scの弾性材(符号省略)の右部分にも、前側のローラ部25cの圧を利用して左凹曲部9cを形成することができる。
[接着工程]
つぎに図5に示す接着工程では、非加熱硬化性の接着剤13Aを使用して、右凹曲部9bの形成された弾性材11に皮革10を接着して固定する。例えば本実施例では、賦形工程後の弾性材11を、図4に示す型部材20にセットしておき、湾曲板24によって右凹曲部9bを保形しておく。そして図5に示す皮革10の裏面と弾性材11の表面の少なくとも一方に、非加熱硬化性の接着剤13Aを付与し、この状態で皮革10を弾性材11に重ねていく。そして後側のローラ部25bを再び下降させて、弾性材11と皮革10の右部分を湾曲板24に押し当てることにより、右凹曲部9bの形成された弾性材11に皮革10を接着することができる。そして接着剤13Aが十分に硬化するまで養生する(放置する)ことにより、皮革10と弾性材11の間に図3に示す接着層13が形成されることとなる。なお図4に示す左表皮ピース6Scの弾性材(符号省略)にも、同様の手順で皮革(符号省略)を接着して固定することができる。
[接着工程の温度条件]
そして接着工程では、図5に示す皮革10と弾性材11の間に付与されている非加熱硬化性の接着剤13Aを、意図的な加熱(ヒータ等による積極的な加熱)を行うことなく硬化させる。すなわち皮革10と弾性材11を、後側のローラ部25bによる加圧時及び養生時において、室温で且つ適度な湿度の条件下に置いておく。このように加熱を要さない接着手法では、加熱が原因となる皮革10の物性の変化や、加熱による皮革10への接着剤13Aの過度の含浸を回避することができ、皮革本来の性能を極力維持することができる。ここで室温とは、一般的には常温と同義であり、より詳しくは20℃±15℃の範囲に設定できる。また室内の湿度は、湿気硬化型ホットメルト接着剤(13A)を用いる場合においてその硬化(架橋構造の形成)が可能であれば特に限定しないが、典型的には30%RH〜80%RHに設定できる。なお上記接着剤13Aが常温で固体である場合、付与前に加熱して軟化又は液化させるが、このような加熱は、スムーズな付与を促す便宜的な加熱であり、上述の意図的な加熱とはみなされない。
こうして本実施形態では、図3〜図5を参照して、賦形工程と接着工程を順序立てて行うことで、適切な形に賦形された弾性材11に皮革10を後付けすることができる。そして本実施形態の製法では、賦形工程において、弾性材11の右凹曲部9bを皮革10とは無関係に形成することで、弾性材11の縮む際の応力が皮革10に直接的に作用するといった事態を回避している。このため接着工程の皮革10では、上述の応力が緩和されるなどして網状層から銀面層が浮き上がりにくくなり、適切な状態で弾性材11に接着して固定されることとなる。そして接着工程では、意図的な加熱を要することなく接着層13を形成しているため、熱による皮革10の性能変化(物性の変化や接着剤の含浸による硬化)を極力回避することができる。
そして製造されたシートカバー6Sを、図1〜図3に示すようにシートパッド6Pの外形に沿うように配設する。このときシートカバー6Sは、上述の各工程を経てシートパッド6Pの外形に倣った形状に整えられているため、シートパッド6Pの外形に沿うように仕上がり性良く配設することができる。そして右側の土手部6bを覆う右表皮ピース6Sbでは、右凹曲部9bに位置する皮革10が本来の性能を維持して、シワ(銀面シワ)の生じにくい状態となっている。このため右凹曲部9bに位置する皮革10に外的負荷がかかった場合においても、当該皮革10の外観が極力維持され、シートの優れた意匠性の確保に資する構成となっている。また同様に左側の土手部6cを覆う左表皮ピース6Scにおいても、左凹曲部9cに位置する皮革部分がシワの生じにくい状態となっており、シートの優れた意匠性や着座性等の確保に資する構成となっている。
以上説明した通り本実施形態の製造方法では、賦形工程と接着工程をこの順で行い、皮革10とは無関係に凹曲部9b等を形成しておくことで、皮革10をより適切な状態で弾性材11に接着することができる。そして接着工程では、意図的な加熱をすることなく非加熱型硬化性の接着剤13Aを硬化させて接着層13を形成するため、加熱が原因となる皮革10の性能変化を極力回避することが可能となる。また本実施形態では、賦形工程と接着工程をこの順で行うことにより、弾性材11が肉厚であったとしても、皮革10の本来の性能を極力維持しつつ適切な状態で弾性材11に接着することが可能となる。こうして本実施形態では、非加熱型硬化性の接着層13を用いて、適切な形に賦形された弾性材11に皮革10を後付けしておくことにより、皮革10の本来の性能(外観や感触など)を極力維持しつつ弾性材11に接着しておくことができる。
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。そして後述の[表1]に、各実施例の表皮材の品質試験の結果を示し、[表2]に、各比較例の表皮材の品質試験の結果を示す。
[実施例1]
実施例1の表皮材として、天然皮革としての牛皮(LB2級)と、軟質ウレタンフォーム製の弾性材を使用した。このとき弾性材の厚み寸法を8.4mmに設定し、皮革の厚み寸法よりも大きくなるように設定した。また接着剤として、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン社製、品名:Technomelt PUR1707141)を使用した。そして図4に示す型部材を用いて、賦形工程と接着工程を行うことにより、実施例1の表皮材を製造した。なお接着剤の付与手法として、ロールコータによる塗布を採用した。そして賦形工程と接着工程は、21℃〜25℃で且つ40%RH〜65%RHに調整された室内で行った。また賦形工程では、図4に示す型部材の湾曲板のφをφ420(R210)mmに設定して凹曲部を形成した。
[実施例2]
実施例2の表皮材では、実施例1よりも品質の低い天然皮革(LB3級)を用い、その他の条件は実施例1と同一とした。
[比較例1及び比較例2]
比較例1の表皮材では、実施例1と同一の天然皮革と弾性材と接着剤を使用したが、実施例1とは異なる製造方法で製造した。すなわち比較例1では、賦形工程を省略して、天然皮革と弾性材を平坦な載置面に配置した状態で接着固定した。また比較例2では、実施例2と同一の天然皮革と弾性材と接着剤を使用し、比較例1と同一の手法で凹曲部を形成した。
[品質試験]
品質試験では、曲面形状の異なるハーフパイプ状の治具を三種類用意し、第一の治具のφを300mm、第二の治具のφを250mm、第三の治具のφを200mmに設定した。また実施例1の表皮材を6枚用意したのち、各表皮材を、第一の治具の内面上に順次セットして、治具の底(凹曲部の底側)に、銀面浮きとみられるスジが生じるか否かを目視で確認した。さらに同一の作業を、第二の治具と第三の治具で行い、同様に銀面浮きとみられるスジが生じるか否かを目視で確認した。そして表皮材に銀面浮きとみられるスジが生じなかった場合を「OK」と判定し、表皮材に銀面浮きとみられるスジが生じた場合を「NG」と判定した。また実施例2及び各比較例の表皮材においても、実施例1と同一の手順で品質試験を行った。
Figure 2021165058
Figure 2021165058
[結果及び考察]
[表1]を参照して、実施例1の表皮材及び実施例2の表皮材は、いずれの治具においても銀面浮きが生じなかった。また各実施例の表皮材では、皮革の優れた外観や感触が維持されていた。この試験結果は、賦形工程と接着工程をこの順で行い、適切な形に賦形された弾性材に皮革を後付けし、さらに加熱が原因となる皮革の性能変化を極力回避したためと考えられる。このため各実施例によれば、皮革本来の性能を極力維持しつつ、凹曲部の設けられた弾性材に皮革を接着して固定できることがわかった。また[表2]を参照して、比較例1の表皮材及び比較例2の表皮材は、治具のφが小さくなるほど銀面浮きが生じる傾向にあり、皮革本来の性能が損なわれていることが推察された。また各比較例では、皮革の品質によって銀面浮きの生じやすさが左右されており、使用可能な皮革の種類が限定されることが容易に推察される。なお参考例として、加熱型接着剤によって皮革と弾性材を意図的に加熱して接着固定した表皮材を形成したが、この参考例の表皮材の皮革部分は、各実施例と比べると見栄えや柔軟性に劣っていた。
本実施形態の表皮材及びその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、表皮材の構成(形状,寸法,配置位置など)を例示したが、表皮材の構成を限定する趣旨ではない。例えば皮革と弾性材の厚み寸法は、それぞれ独立に設定することができ、弾性材の厚み寸法は、全体的に同等でもよく、凹曲部のみで肉厚又は薄肉となっていてもよい。また凹曲部の形成位置や形成数も適宜設定することができ、凹曲部の曲率も自由に設定できる。なお凹曲部は、湾曲状又は屈曲状などの各種の形状をとりえる。また表皮材としてのシートカバーは、インサート成形などの手法でシートパッドに一体化することができ、成形後のシートパッドに配設することもできる。また本実施形態では、表皮材の製造方法を例示したが、表皮材の製造方法を限定する趣旨ではない。例えば各工程は、雄型と雌型を備えたプレス装置(3D成型接着工法)で行うことができる。また賦形工程と接着工程とを、それぞれ異なる型部材で行うこともできる。
また本実施形態では、表皮材としてシートカバー6Sを一例に本実施例の構成を説明したが、本実施例の構成は、乗物内装品や、家庭用の内装品や、バッグやカバンなどの被服雑貨などの表皮材に適用できる。なお乗物内装品として、乗物用シートのほか、ドア部やインストルメントパネルや天井部やコンソールなどの各種部材を例示でき、本実施例の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物に搭載される乗物内装品に適用できる。また乗物用シートにおいては、シートバックのほか、シートクッションやヘッドレストやアームレスト等の各種シート構成部材のシートカバーに本実施形態の構成を適用できる。そして皮革及び弾性材の構成は、適用すべき製品の種類に応じて適宜変更可能である。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6a 着座部
6b 右側の土手部
6c 左側の土手部
6S シートカバー(本発明の表皮材)
6Sa 中央表皮ピース
6Sb 右表皮ピース
6Sc 左表皮ピース
9b 右凹曲部
9c 左凹曲部
10 皮革
11 弾性材
12 裏基布
13 接着層
13A 接着剤
20 型部材
21 載置面
21A 位置決め凸部
22 立壁部
23 上段面
24 湾曲板
25b,25c ローラ部
26b,26c 昇降アーム部

Claims (3)

  1. 意匠面をなす皮革と、前記皮革の裏側に配置される面状の弾性材とを接着して固定する表皮材の製造方法において、
    前記弾性材の少なくとも一部を意匠面側が凹むように曲げて凹曲部を形成する賦形工程の後に、前記皮革と前記弾性材とを接着して固定する接着工程を行うに際して、
    前記皮革と前記弾性材の間に付与されている非加熱硬化性の接着剤を、意図的な加熱を行うことなく硬化させる表皮材の製造方法。
  2. 賦形工程において、前記皮革よりも肉厚な前記弾性材の部分に前記凹曲部を形成する請求項1に記載の表皮材の製造方法。
  3. 意匠面をなす皮革と、前記皮革の裏側を覆うように配置される面状の弾性材と、前記皮革と前記弾性材を接着して固定している接着層とを備えた表皮材において、
    前記弾性材の少なくとも一部には、意匠面側が凹むように前記弾性材が曲げられてなる凹曲部が形成されており、
    前記皮革は、前記凹曲部を有した状態で賦形された前記弾性材に、非加熱型硬化性の前記接着層を介して後付けされて固定されている表皮材。
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JP2016120844A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 株式会社タチエス 車両用シートおよび車両用シートの製造方法

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