JP2021162680A - フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物で端部を封止したフィルム液晶パネル - Google Patents

フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物で端部を封止したフィルム液晶パネル Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、液晶と接触しても液晶を汚染しない硬化性樹脂組成物であり、液晶の配向乱れを発生させず、基材への追随性に優れるフィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物を提供することである。【解決手段】(A)2〜6個のチオール基を有する多官能チオール化合物、(B)2〜3個の(メタ)アクリル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、(C)2〜4個の(メタ)アリル基を有する多官能アリル化合物、(D)光重合開始剤を含有し、(B)と(C)の配合比率(B)/(C)が0.1〜1.0、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.5〜3.0、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して(D)が0.01〜10.0質量部である、フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物に関するものである。詳細には、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染せず、また、硬化物が過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態においても液晶の配向乱れを発生させないことに加え、温度環境の変化によらず基材への追随性に優れるフィルム液晶用の封止材を形成する硬化性樹脂組成物に関するものである。また、前記硬化性樹脂組成物からなる封止材を用いたフィルム液晶パネルに関するものである。
携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示に、液晶パネルが広く使用されている。液晶パネルは、通常、表面に電極が設けられた一対のガラス基板と、それらの間に挟持された枠状の封止材と、該封止材で囲まれた液晶層とを有する。
従来、該封止材には光硬化型のアクリル系樹脂組成物が用いられてきた。しかしながら、従来のアクリル系樹脂組成物は、作業性や生産性には優れているものの、製造過程において多量のアウトガスが発生し、封止材と基材との接着性が低下してしまうという問題があった。また、封止材には過酷な湿熱環境下において液晶を保護することが要求されるが、従来のアクリル系樹脂組成物からなる封止材は、水分バリア性が低いことや、封止材が分解しやすいことにより、湿熱環境下、水分や封止材分解物による液晶の汚染を引き起こし、液晶の配向が乱れてしまうという問題があった。
これらの問題に対し、チオール基を有するチオールモノマーと炭素−炭素二重結合を有するエンモノマーを含有する樹脂組成物を用いることで、アウトガスの発生を抑制し封止材の接着性を向上できることが知られている(特許文献1)。また、特許文献1では、封止材の水分バリア性や耐久性の向上により、過酷な湿熱環境下で封止材と液晶とが接触した状態でも液晶の配向乱れが発生しないことを確認している。
しかしながら、液晶パネルの製造では、封止材に使用する樹脂組成物が未硬化の状態で液晶と接触する工程を経る工法があるが、このような工法において、特許文献1の封止材は、樹脂成分が液晶に溶出してしまい液晶汚染が発生し、表示不良が発生してしまうという問題があった。
また、近年ではフレキシブルなフィルム材料を基材としたフィルム液晶パネルが注目され、開発が進んでいる。このフィルム液晶パネルに使用される封止材は、剛直なガラス基板に使用される封止材とは異なり、柔軟性と強靭性に富みフィルム基材に追随することも要求される。更に、この追随性は、実使用を鑑み、フィルム液晶パネルが晒され得る温度環境の変化を模した促進試験後においても要求される。
しかしながら、特許文献1の封止材は、柔軟性と強靭性が不足しており、フレキシブルなフィルム基材への追随性が足らず、促進試験にて封止材がフィルムから剥がれてしまうという不具合が発生するという問題があった。
特開2016−169298号公報
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その課題は、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染せず、過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態においても液晶の配向乱れを発生させないことに加え、温度環境の変化によらず基材への追随性に優れるフィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物を提供すること、および上記硬化性樹脂組成物を封止材として用いるフィルム液晶パネルを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物が液晶との疎液性が高いことに着目し、該ウレタン(メタ)アクリレート化合物と特定の多官能(メタ)アリル化合物とを組み合わせ、更に多官能チオール化合物を含有する硬化性樹脂組成物を用いることにより、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染せず、硬化物が過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態においても液晶の配向乱れを発生させないフィルム液晶パネル用の封止材が得られることを見出した。さらに、この封止材は、柔軟性と強靭性を併せもち、温度環境の変化によらず基材への追随性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔2〕である。
〔1〕下記の(A)〜(D)成分
(A)2〜6個のチオール基を有する多官能チオール化合物と、
(B)2〜3個の(メタ)アクリル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
(C)2〜4個の(メタ)アリル基を有する多官能アリル化合物と、
(D)光重合開始剤と、を含有し、
(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.1〜1.0であり、
(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.5〜3.0であり、
(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して(D)が0.01〜10.0質量部である、フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物。
〔2〕前記の〔1〕に記載の硬化性樹脂組成物で端部を封止したフィルム液晶パネル。
本発明において「(メタ)アリル化合物」とは、アリル基を有する化合物とメタリル基を有する化合物の双方を含む総称を意味し、「(メタ)アクリル基」等も同様である。本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(「○○」)や上限値(「××」)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。
本発明によれば、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染せず、過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態においても液晶の配向乱れを発生させないことに加え、温度環境の変化によらず基材への追随性に優れるフィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、上記硬化性樹脂組成物を封止材として用いるフィルム液晶パネルを提供することにある。
以下に、本発明について詳しく説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は、フィルム液晶パネル用の封止材に使用するものであり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を必須成分とする。
<多官能チオール化合物(A)>
多官能チオール化合物(A)は、2〜6個のチオール基を有する化合物である。多官能チオール化合物(A)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物を含有することで、他成分との間でチオール−エン反応が進行し、硬化性を高めることができる。形成されるチオエーテル結合は、C、O、Nといった原子の結合と比べ、結合角を柔軟に変化できるため硬化物は柔軟性が高く、封止材の基材への追随性を高めることができる。また、チオエーテル結合から成る硬化物は、結合角の高柔軟性を有し、原子同士が結合の隙間を埋めるように高密度に硬化できるため、水分バリア性が高く、湿熱試験後においても水分の影響を受けず液晶の配向乱れを防ぐことができる。
多官能チオール化合物(A)は、下記式1で表される化合物が好ましい。
Figure 2021162680
(式中のaは2〜6の整数であり、Rは2〜6価で炭素数10〜60の有機基である。)
式中のaは、フィルム液晶パネル用の封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても配向乱れを抑えることができるという観点から3〜6の整数が好ましい。式中のaがこの範囲内であれば、硬化収縮が大きくなって硬化後の基材への追随性が低下するようなことが起こらず良好な硬化物が得られる。また、Rも同様の観点から、3〜6価が好ましい。Rの炭素数は10〜60であり、好ましくは10〜45であり、より好ましくは12〜30である。Rの炭素数がこの範囲内であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分であり、封止材は水分バリア性に優れ、過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑えることができる。
有機基とは、Cを含有し、さらにSi、N、P、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい基である。有機基は、繰り返し単位を有する重合体であってもよい。また、その構造中に、例えば、ケトン基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、チオエーテル基、イソシアヌレート基、グリコールウリル等の基を含んでもよい。
多官能チオール化合物(A)として、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、トリス−[(3−メルカプトプロピオモルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、等が挙げられる。
上記式1で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能チオール、ジペンタエリスリトール骨格を有する多官能チオール、イソシアヌレート骨格を有する多官能チオールが好ましい。
その中でも、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑えることができ、且つ、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高め、封止材の基材追随性を高めることができるため、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートが好ましい。
多官能チオール化合物(A)としては、市販品を用いてもよく、また合成したものを用いてもよい。合成の方法としては、例えば、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、3−メルカプトプロピオン酸等のメルカプト基含有カルボン酸とから、公知の方法でエステル化反応させることにより得ることができる。
<多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)>
多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物、及びヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を公知の方法で反応させて得られる。多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物は、液晶との疎液性が高いため、このような化合物を含有することで、未硬化の硬化性樹脂組成物の液晶への溶解性を低下させ、液晶と長く触れ合った場合でも液晶の汚染を防ぐことが出来る。また、硬化性樹脂組成物の硬化物を強靭化し、封止材の基材への追随性を高めることができる。加えて、含有するウレタン基は、−30℃以下の低温帯から100℃程度の高温帯においてウレタン基同士および他の極性基と水素結合のような強い相互作用を発現できるため、温度環境によらず硬化性樹脂組成物の硬化物が強靭化され、封止材の基材への追随性を高めることが出来る。多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は、2〜3個の(メタ)アクリル基を有する化合物であり、(メタ)アクリル基の数がこの範囲であることで、硬化性樹脂組成物の硬化物が剛直にならず、封止材の基材への追随性を高めることができ、また、極性が高まりすぎず、他成分との相溶性を保つことができる。
前記ジイソシアネート化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。具体的には、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。その中でも、得られる封止材の経時での着色を防ぐという観点から脂肪族、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
前記ポリオール化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素からなるポリオールが挙げられる。ポリオール化合物は、反応後得られる多官能ウレタンアクリレート化合物の極性を高くしすぎないこと、および封止材の基材への追随性を高めることができるという観点から、2価のジオール化合物、3価のトリオール化合物が好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸化合物とポリオール化合物を縮合反応させた化合物を用いることが出来る。ジカルボン酸化合物としては、具体的には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等が挙げられる。その中でも、アジピン酸、ピメリン酸が好ましい。また、ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物は、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物は、具体的には、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化合物、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、炭酸ジエステルとポリオール化合物のエステル交換により得られる化合物を用いることができる。炭酸ジエステルとしては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも、ジフェニルカーボネートが好ましい。ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物は、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物は、具体的には、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
前記炭化水素からなるポリオールとしては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等のジオール化合物、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリンが好ましい。
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、公知の化合物を用いることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を使用できる。その中でも、封止材の経時での着色を防ぐことができ、且つ、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高め、封止材の基材への追随性を高めることができるという観点から2−ヒドロキシエチルアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレートが好ましい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の重量平均分子量は、硬化性樹脂組成物が未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染しない、封止材が過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑制する、封止材が温度環境によらず基材への高い追随性を有する、といった各性能を並立でき、さらに、自身が取り扱い易いという観点から、1,000〜15,000であることが好ましく、3,000〜10,000がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を使用して求められる。
<多官能(メタ)アリル化合物(C)>
多官能アリル化合物(C)は、2〜4個の(メタ)アリル基を有する化合物である。多官能アリル化合物(C)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。(C)を含有することで、硬化性樹脂組成物の硬化物の強靭性が増し、封止材の基材への追随性を高めることが出来る。また、他成分との架橋ネットワークの形成に優れるため、封止材は水分バリア性に優れ、さらには、(メタ)アクリル化合物と比べ耐湿試験中に加水分解が起こりにくいため、耐湿試験中において封止材の高い水分バリア性を維持することができ、過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑えることができる。
多官能アリル化合物(C)は、下記式2で表される化合物が好ましい。
Figure 2021162680
(式中のbは2〜4の整数である。Rは、水素原子又はメチル基である。Rは2〜4価で炭素数2〜40の有機基である。)
式中のRは、水素原子又はメチル基であり、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を増し、封止材の基材への追随性を高めるという観点から水素原子が好ましい。bは2〜4の整数であり、この範囲であることで、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても配向乱れを抑えることができ、且つ硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性が増し、封止材の基材への追随性を高めることができる。また、Rも同様の観点から、2〜4価である。Rの炭素数は2〜40であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは2〜25である。R23の炭素数がこの範囲内であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分であり、封止材は良好な水分バリア性が得られるため、過酷な湿熱試験に曝されても配向乱れを抑えることができる。
有機基とは、Cを含有し、さらにSi、N、P、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい基である。有機基は、繰り返し単位を有する重合体であってもよい。また、その構造中に、ケトン基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、チオエーテル基、イソシアヌレート基等の基を含んでもよい。
例えば、式中のbが2である化合物としては、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリルエステル、イソフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、フタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ジ(メタ)アリルメチルグリシジルイソシアヌレート、マグノロール、ジ(メタ)アリルジフェニルシラン、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、2,2’−ビス(3−(メタ)アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−(メタ)アリル−4−アリルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−(メタ)アリル−4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、1,3−ジ(メタ)アリル−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ジ(メタ)アリルシアヌレート等が挙げられる。
bが3である化合物としては、具体的には、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル、グリセリントリ(メタ)アリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル等が挙げられる。
bが4である化合物としては、具体的には、1,3,4,6テトラ(メタ)アリルグリコールウリル、1,3,4,6テトラ(メタ)アリル−3a−メチルグリコールウリル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アリルエーテル、テトラ(メタ)アリルオキシエタン等が挙げられる。
上記(メタ)アリル化合物の中でも、封止材の経時での着色を防ぐことができ、また、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても配向乱れを抑えることができ、更には、硬化性樹脂組成物の硬化物の強靭性を高め、封止材の基材への追随性を高めることができるという観点からイソシアヌレート骨格を有する(メタ)アリル化合物、ペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アリル化合物等が好ましい。中でも、具体的には、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい。
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤(D)は、上記(A)、上記(B)、上記(C)、及びその他に重合性化合物が添加される場合はその重合性化合物の光による硬化反応を促進するために添加され、硬化性樹脂組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることができる。光重合開始剤(D)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、屈曲性を向上させる際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、接着性を付与する際に用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
光アニオン重合開始剤としては、例えば、アセトフェノンo−ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5,−テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
<多官能(メタ)アクリル化合物(E)>
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多官能(メタ)アクリル化合物(E)を含有していてもよい。多官能(メタ)アクリル化合物(E)は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)とその他成分との相溶化剤として働き、硬化性樹脂組成物の未硬化物が液晶と長く触れ合った場合でも液晶の汚染を防ぐ性能を向上させることが出来る。多官能(メタ)アクリル化合物は、硬化性樹脂組成物の硬化性を阻害しないという観点から(メタ)アクリル基を2個以上有するものが良い。また、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を低下させ、基材への追随性を阻害させないという観点から、(メタ)アクリル基を6個以下有するものが良い。このような多官能(メタ)アクリル化合物としては、既知の化合物を用いることができる。中でも、相溶化剤としてより良く働くとともに、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を低下させず、基材への追随性を阻害させない観点から下記の式3で表される化合物が好ましい。
Figure 2021162680
(式中のcは2〜4の整数である。Rは、水素原子またはメチル基である。Rは炭素数2〜14の炭化水素基からなる基、炭素数2〜14のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基からなる基、炭素数2〜14の水酸基と炭化水素基とからなる基、イソシアヌレート骨格、並びにエーテル酸素、水酸基、及び炭化水素から選ばれる少なくとも1つの基とからなる基、またはビスフェノール骨格、並びにエーテル酸素、水酸基、及び炭化水素から選ばれる少なくとも1つの基とからなる基である。)
cが2である多官能(メタ)アクリル化合物としては、具体的には、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
cが3または4である多官能(メタ)アクリル化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレートジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物における多官能(メタ)アクリル化合物(E)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、0〜25質量部であり、好ましくは、1〜15質量部である。
<界面活性剤(F)>
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤(F)を含有していてもよい。界面活性剤(F)は、疎水性が高いため、硬化性樹脂組成物中に含有することで封止材の水分バリア性が向上し、過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを一層抑制することができる。界面活性剤(F)としては、公知のシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤等を特に制限無く用いることができるが、水分バリア性を高めるという観点からフッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、具体的には、DIC(株)製の「メガファックF−410」、同「F−430」、同「F−444」、同「F−472SF」、同「F−477」、同「F−552」、同「F−553」、同「F−554」、同「F−555」、同「F−556」、同「F−558」、同「F−559」、同「F−561」、同「R−94」、同「RS−72−K」、同「RS−75」等が挙げられる。これら界面活性剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物における界面活性剤(F)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、0〜1質量部であり、好ましくは、0.01〜0.2質量部である。
<シランカップリング剤(G)>
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、シランカップリング剤(G)を含有していてもよい。シランカップリング剤(G)は、他成分や基材との相互作用を向上させ、硬化性樹脂組成物中に含有することで、硬化性樹脂組成物の硬化物の強靭性や基材への接着性が向上し、温度環境の変化によらず基材への追随性をより高めることができる。公知のシランカップリング剤を特に制限無く用いることができるが、封止材を長期間使用した際に、液晶を汚染し、液晶の配向乱れを発生させにくいという観点から、(メタ)アクリル基やビニル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応性官能基を持つものが好ましい。具体的には、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるシランカップリング剤(G)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、0〜10質量部であり、好ましくは、1〜5質量部である。
<その他成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記多官能(メタ)アクリル化合物(E)、界面活性剤(F)、シランカップリング剤(G)以外にも、エポキシ化合物や、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、密着付与剤、可塑剤、消泡剤、充填材、遮光材、導電材、スペーサー等の添加剤を含有していてもよい。
<組成比(配合比率)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、液晶と混ざりにくい性質を持つ前記(B)を含有することで未硬化の状態での液晶汚染性を低下することができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、多官能チオール化合物(A)のチオール基と、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)及び多官能(メタ)アリル化合物(C)の重合性不飽和結合との間にチオール−エン反応が進行し硬化物が得られる。形成されるチオエーテル結合はC、O、Nといった原子による結合と比べ結合角を柔軟に変化できるため、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高め、封止材の基材への追随性を高めることができる。加えて、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の含有するウレタン基は、低温から高温帯においてもウレタン基同士及び他の極性基と水素結合のような強い相互作用を発現できるため、温度環境によらず硬化物が強靭化され、封止材の基材への追随性を高めることができる。また、チオエーテル結合から成る硬化物は、結合角の高柔軟性を有し、原子同士が結合の隙間を埋めるように高密度に硬化できるため、水分バリア性が高く、過酷な湿熱試験に曝されても水分の影響を受けず液晶の配向乱れを抑制することができる。これより、本発明の硬化性樹脂組成物が、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶非汚染性を低下させ、また、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる封止材が、過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態でも液晶の配向乱れを抑制することに加え、温度環境によらず基材への追随性を高めるためには(A)と(B)、(C)のいずれも欠く事はできない。また、(A)、(B)、(C)含有の硬化性樹脂組成物に更に前記(D)を用いることで光照射のみで硬化し上記効果を発現することができる。加えて、(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.1〜1.0、且つ(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.5〜3.0、さらには、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して(D)が0.01〜10.0質量部の割合となるように配合されることで、硬化性樹脂組成物が、未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染せず、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる封止材は、過酷な湿熱環境下で液晶と接触した状態においても液晶の配向乱れを発生させないことに加え、温度環境の変化によらず基材への追随性に優れるものとなる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、液晶非汚染性を高め、未硬化の状態で液晶と接触してもより液晶を汚染せず、且つ、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性と強靭性を高め、温度環境の変化によらず封止材の基材への追随性をより高くするためには、(A)と(B)と(C)の合計100質量部中、(B)を10質量部以上含有することが好ましい。また、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験下での配向乱れをより抑制するためには、(A)と(B)と(C)の合計100質量部中、(B)を20質量部以下含有することが好ましい。すなわち硬化性樹脂組成物が未硬化の状態で液晶と接触しても液晶を汚染しない、封止材が過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑制する、封止材が温度環境によらず基材への高い追随性を有する、といった各性能をより高く並立するためには、(A)と(B)と(C)の合計100質量部中、(B)を10質量部以上20質量部以下含有することが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験下での配向乱れをより抑制するためには、(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.1〜0.6であること、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性と強靭性を高め、封止材の基材への追随性をより高くするためには、(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.2〜1.0であること、低温下から高温下において硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性と強靭性を高め、温度環境の変化によらず封止材の基材への追随性をより高くするためには、(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.3〜1.0であることが好ましく、すなわち、封止材が過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑制する、封止材が温度環境によらず基材への高い追随性を有する、といった各性能をより高く並立するためには、(B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.3〜0.6であることが好ましい。
さらには、本発明の硬化性樹脂組成物において、封止材の水分バリア性を高め、過酷な湿熱試験下での配向乱れをより抑制するためには、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.7〜2.3であることが好ましく、硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性と強靭性を高め、封止材の基材への追随性をより高くするためには、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.7〜2.5であることが好ましく、低温下から高温下において硬化性樹脂組成物の硬化物の柔軟性と強靭性を高め、温度環境の変化によらず封止材の基材への追随性をより高くするためには、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.8〜2.4であることが好ましく、すなわち、封止材が過酷な湿熱試験に曝されても液晶の配向乱れを抑制する、封止材が温度環境によらず基材への高い追随性を有する、といった各性能をより高く並立するためには、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.8〜2.3であることが好ましい。
<フィルム液晶パネル>
本発明のフィルム液晶パネルとは、例えば液晶の配向により透明・不透明を制御するのみの調光部材やディスプレイのように画像表示を行う表示素子等が含まれる。本発明のフィルム液晶パネルは、例えば、一対の基板を対向に配置し、周囲が上記フィルム液晶パネル用の封止材にて封止され、その間に液晶材料が存在するものである。ここで、基板とはポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィン(コ)ポリマー、PMMA、ポリイミド等のプラスチック透明フィルム基材上に銀や銅の電極又はITO、PEDOT等の透明電極が施されたものである。また、透明電極上にさらに配向膜等が形成されたものも含まれる。
本発明のフィルム液晶パネルとは、上記プラスチック透明フィルム基材を用いた基板にて形成された液晶パネルであり、フィルム液晶パネル用の封止材は、上記フィルム液晶パネルに用いられる封止材である。
<フィルム液晶パネルの形成>
本発明のフィルム液晶パネルは、一対の上記基板の一方に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後、その内側に液晶を滴下しもう一方の基板を重ね合わせ、光を照射し上記硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成される。また、一対の上記基板の一方に液晶と硬化性樹脂組成物を含む高分子分散型液晶を塗布し、もう一方の基板を重ね合わせ、光を照射し高分子分散型液晶を硬化させた後、本発明の硬化性樹脂組成物を外周に塗布し、光を照射し硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成させるものもある。
上記硬化性樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、例えば、ディスペンサ塗工やインクジェット法、スクリーン印刷法といった塗工設備を使用する方法や、シリンジや刷毛にて手塗りする方法等が適用される。
上記硬化性樹脂組成物に光を照射する光源としては特に制限されず、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯といった水銀灯やブラックライトランプ、LEDランプ、ハロゲンランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、水銀蛍光灯、LED蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が適用される。
フィルム液晶パネルの汚染性は、上記のようにフィルム液晶パネルを形成し、実際に電圧を印加して配向具合を確認する手法に加えて、電圧保持率の測定によって評価することも出来る。電圧保持率は液晶セルに電圧を印加し充電された電荷が一定時間後にどの程度保持されているかを確認する評価方法であり、液晶が汚染されている場合、電荷が保持されずに電圧保持率は低下する。汚染性がなく良好な電圧保持率は90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
<評価方法>
各実施例および比較例における硬化性樹脂組成物は、下記に記載の方法によってその性能を評価した。
<液晶非汚染性>
サンプル瓶に硬化性樹脂組成物を0.025g添加し、さらに液晶(メルク社製MLC−7021−000)を1g加え、25℃にて1時間静置した。その後、高圧水銀灯を用いて紫外線照射(1000mJ/cm)を行い、硬化性樹脂組成物を硬化させ100℃で2時間加熱した。2時間後、遠心分離機で硬化物と液晶を分離し、液晶をITO付ガラス基板液晶セル((株)イーエッチシー製KSSZ−05/B107MINX05)に注入した。液晶物性評価システム(東洋テクニカ(株)製6245)を用いて、液晶セルに25℃で交流5Vの初期電圧を64μs印加し16.7msのフレームタイム前後の電圧比に100を乗じた値(電圧保持率)を算出した。なお、電圧保持率が高いほど、液晶が汚染し難いことを意味し、表2、3において、電圧保持率を液晶非汚染性として記載した。
<過酷な湿熱環境下での配向乱れ>
ガラス上に透明電極および配向膜をこの順で施した40mm×45mmのガラス基板((株)イーエッチシー製RT−DM88−PIN)上に、ディスペンサ(武蔵エンジニアリング(株)製ショットマスター)を用いて、実施例および比較例で製造した硬化性樹脂組成物を35mm×40mmの四角形の枠状に塗布(線幅:1mm)し、枠上に描画した硬化性樹脂組成物の内側に液晶(メルク社製MLC−11900−000)を滴下した。次に上記ガラス基板と、対向するガラス基板を減圧下にて貼り合わせ、25℃にて1時間静置した。高圧水銀灯を用いて紫外線照射(1000mJ/cm)を行い、液晶パネルを得た。上記と同様に作製した液晶パネルを60℃90%RHの条件下に1000時間曝した後、AC5Vの電圧にて中間調の表示状態で駆動させ、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる封止材の近傍の液晶の配向乱れを偏光顕微鏡にて観察した。なお、封止材端部から配向乱れが広がっている距離が短いほど配向が乱れ難いことを意味し、表2、表3において、配向乱れが広がっている距離を記載した。
◎:封止材の端部から0.3mmを超えて配向乱れは広がっていない
○:封止材の端部から0.3mmを超えて配向乱れが広がっているが、0.6mmを超えて配向乱れ広がっていない
×:封止材の端部から0.6mmを越えて配向乱れが広がっている
<基材追随性>
実施例および比較例で製造した硬化性樹脂組成物を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケータにて膜厚が100μmとなるように塗工し、高圧水銀灯を用いて紫外線照射(1000mJ/cm)を行い、硬化性樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化膜付PETフィルムを長さ100mm、幅10mmの長方形状にカットし、サンプルとした。得られたサンプルをMIT試験機(テスター産業(株)製BE−202)を使用し、屈曲試験を行った(条件:荷重1N、折り曲げ速度175cpm、屈曲半径2.5mm、折り曲げ速度135°)。5000回屈曲する毎に試験サンプルを目視観察し、クラックや剥がれの有無を確認した。なお、クラックや剥がれが発生するまでの屈曲の回数が多いほど、基材追随性が良いことを意味し、表2、表3において、クラックや剥がれが発生した屈曲の回数を記載した。
◎:20000回屈曲させてもクラックや剥れなし。
○:20000回後にクラックや剥がれが発生するが、15000回、まではクラックや剥れなし。
×:10000回以内にクラックや剥れが発生する。
<温度環境変化促進試験後の基材追随性>
実施例および比較例で製造した硬化性樹脂組成物を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケータにて膜厚が100μmとなるように塗工し、高圧水銀灯を用いて紫外線照射(1000mJ/cm)を行い、硬化性樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化膜付PETフィルムを長さ100mm、幅10mmの長方形状にカットし、サンプルとした。得られたサンプルを温度環境変化促進試験として、(−30℃、30分⇔80℃、30分)×200回の加熱冷却ショック下に曝した後、MIT試験機(テスター産業(株)製BE−202)を使用し、屈曲試験を行った(条件:荷重1N、折り曲げ速度175cpm、屈曲半径2.0mm、折り曲げ速度135°)。5000回屈曲する毎に試験サンプルを目視観察し、クラックや剥がれの有無を確認した。なお、クラックや剥がれが発生するまでの屈曲の回数が多いほど、基材追随性が良いことを意味し、表2、表3において、クラックや剥がれが発生した屈曲の回数を記載した。
◎:20000回屈曲させてもクラックや剥れなし。
○:20000回後にクラックや剥がれが発生するが、15000回でではクラックや剥れなし。
×:10000回以内にクラックや剥れが発生する。
<多官能チオール化合物(A)>
A−1:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)[チオール基数:6]
A−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)[チオール基数:4]
A−3:トリス−[(3−メルカプトプロピオモルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート[チオール基数:3]
<多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の合成>
〔ポリオール化合物(b−1)の合成〕
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ピメリン酸151.5質量部、ジエチレングリコール187.3質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を加え220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b−1)を得た(重量平均分子量:1,000)。
〔ポリオール化合物(b−2)の合成〕
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸150.2質量部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール158.3質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を加え220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b−2)を得た(重量平均分子量:1,500)。
〔ポリオール化合物(b−3)の合成〕
攪拌機、精留塔、空気コンデンサー、温度計、受器及び真空装置を備えた反応容器に、ジフェニルカーボネート160.3質量部、1,6−ヘキサンジオール234.1質量部、テトラブチルチタネート0.1質量部を仕込み、10Torrの減圧下で100℃まで加熱、5時間攪拌した。副生したフェノールを蒸留により除去し、内容物を冷却し、ジオール化合物(b−3)を得た(重量平均分子量:600)。
〔ウレタン(メタ)アクリレート(B−1)の合成〕
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリオール化合物(b−1)101.1質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ジイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネー32.1質量部とを加え、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌した。さらに、重合禁止剤としてメトキノンを0.1質量部と、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート24.0質量部を加えて、85℃で2時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート(B−1)を得た(重量平均分子量:3000)。
〔(B−2)〜(B−5)の合成〕
表1のポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を用いた以外は上記方法と同様にして多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)〜(B−5)を得た。
Figure 2021162680
<多官能アリル化合物(C)>
C−1:1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート[アリル基数:2]
C−2:トリアリルイソシアヌレート[アリル基数:3]
C−3:ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル[アリル基数:4]
C−4:エチレングリコールモノアリルエーエル[アリル基数:1]
<光重合開始剤(D)>
D−1:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
D−2:1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3イ
ル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)
D−3:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
<(E)成分:多官能(メタ)アクリレート>
E−1:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
E−2:トリメチロールプロパントリメタクリレート
<(F)成分:界面活性剤>
F−1:メガファックF−477 DIC(株)製
F−2:メガファックF−554 DIC(株)製
<(G)成分:シランカップリング剤>
G−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
G−2:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[実施例1]
上記成分を下記表2、3に示す量、攪拌釜に加え、2時間混合、攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。該硬化性樹脂組成物を用いて、各評価を行った。結果を表2、3に示した。
Figure 2021162680
Figure 2021162680
上記試験の結果、各実施例の硬化性樹脂組成物は、(A)〜(C)成分を本発明に規定された適切量を含有することで、優れた液晶非汚染性を示し、湿熱試験後に液晶の配向乱れを起こさず、温度環境によらず基材への高い追随性を有していた。
一方、比較例1では、多官能チオール化合物(A)を含有しないため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。比較例2、3では、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)を含有しないため、硬化性樹脂組成物は、液晶非汚染性に劣り、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。比較例4では、多官能アリル化合物(C)を含有しないため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。比較例5では、光重合開始剤(D)を含有しないため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。
比較例6では、配合重量比率(B)/(C)が規定の範囲よりも大きいため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまうものであった。比較例7では、配合重量比率(B)/(C)が規定の範囲よりも小さいため、硬化性樹脂組成物は液晶非汚染性に劣り、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。
比較例8では、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合が規定の範囲よりも大きいため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、温度環境変化促進試験後の基材へ追随性も低いものであった。比較例9では、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合が規定の範囲よりも小さいため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。
比較例10では、多官能アリル化合物(C)の官能基数が少ないため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。比較例11では、光重合開始剤(D)の配合量が多いため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまうものであった。
比較例12では、その他成分として(E)成分の多官能(メタ)アクリレートを含有しているが、配合重量比率(B)/(C)が規定の範囲よりも小さいため、硬化性樹脂組成物は、液晶非汚染性に劣り、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、基材へ追随性も低いものであった。比較例13では、その他成分として(F)成分の界面活性剤を含有しているが、配合重量比率(B)/(C)が規定の範囲よりも大きいため、フィルム液晶パネル用封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまうものであった。比較例14では、その他成分として(G)成分のシランカップリング剤を含有しているが、(A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合が規定の範囲よりも大きいため、硬化性樹脂組成物を硬化して得られるフィルム液晶パネル用の封止材は、過酷な湿熱試験にて液晶の配向乱れを起こしてしまい、温度環境変化促進試験後の基材へ追随性も低いものであった。

Claims (2)

  1. (A)2〜6個のチオール基を有する多官能チオール化合物と、
    (B)2〜3個の(メタ)アクリル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
    (C)2〜4個の(メタ)アリル基を有する多官能アリル化合物と、
    (D)光重合開始剤 と、を含有し、
    (B)と(C)の配合重量比率(B)/(C)が0.1〜1.0であり、
    (A)のチオール基の官能基数と(B)及び(C)の重合性不飽和結合の官能基数の合計の割合(チオール基/重合性不飽和結合)が0.5〜3.0であり、
    (A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して(D)が0.01〜10.0質量部である、フィルム液晶パネル用の封止材に使用する硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物で端部を封止したフィルム液晶パネル。
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