JP2021160308A - 直線カット性透明吸湿フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】吸湿性、透明性及び直線カット性を兼ね備えたフィルムを提供する。【解決手段】本発明の直線カット性透明吸湿フィルム10は、透明吸湿層14、及び直線カット性透明バリア性基材層12を有し、かつ透明吸湿層14が、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している。【選択図】図1

Description

本発明は、直線カット性透明吸湿フィルムに関する。
従来、食品、医薬品、電子部品、精密機械、記録材料等の分野において水分に起因する品質劣化を防ぐ目的で、乾燥剤を同梱する方法がとられている。また、包装内に別体の乾燥剤を入れずに、包装材自体に吸湿機能を持たせるため、乾燥剤を包装材自体に含有させることが行われている。
特許文献1では、樹脂、ゼオライト、及び所与の金属石鹸を含む、吸着剤組成物、並びにこの吸着剤組成物から形成した吸着剤含有フィルムが開示されている。
なお、特許文献2には、極めて高い透明性を有しており、有機ELの封止用フィルム等に有用なフィルムが記載されている。
また、ナノ粒径のゼオライトの製造方法が特許文献3及び4に記載されている。
国際公開第2015/022896号 特開2018−100390号公報 特開2011−246292号公報 特開2013−49602号公報
特許文献1に記載のフィルムは、吸湿前においては白色を呈しているため、特にこのフィルムを袋などの包装体として用いた場合、中身の視認ができないという問題がある。
また、包装体として用いた際には、包装体の開封時の内容物の飛散を抑制する観点から、包装体を構成するフィルムが直線カット性を有することが好ましい。
そこで、吸湿性、透明性及び直線カット性を兼ね備えたフィルムを提供する必要性が存在する。
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈態様1〉透明吸湿層、及び直線カット性透明バリア性基材層を有し、かつ
前記透明吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している、
直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様2〉前記透明吸湿層の前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、態様1に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様3〉前記吸湿剤が、ゼオライトである、態様1又は2に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様4〉前記透明吸湿層の前記ゼオライトの平均粒子径D50が、300nm以下である、態様3に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様5〉前記透明吸湿層が、HLB値が5以下のエステル化合物を更に含有している、態様1〜4のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様6〉前記透明吸湿層の片側又は両側に積層されている透明スキン層を更に有する、態様1〜5のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様7〉前記直線カット性透明バリア性基材層が、ポリエステル又はポリアミドで構成されている直線カット性透明基材樹脂層を有する、態様1〜6のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様8〉前記直線カット性透明バリア性基材層の、JIS K7128−1に準拠したトラウザー引裂法により測定した引裂強度が、50mN以下である、態様1〜7のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
〈態様9〉態様1〜8のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルムを1枚又は複数枚具備しており、かつ
1枚又は複数枚の前記直線カット性透明吸湿フィルムの前記直線カット性透明バリア性基材層側と反対側の一部がこの直線カット性透明吸湿フィルムの他の部分又は他のフィルムとヒートシールされていることによって袋状にされている、
包装袋。
〈態様10〉態様9に記載の包装袋、及び
前記包装袋に収納されている、内容物
を有する、内容物入り包装袋。
本発明によれば、吸湿性、透明性及び直線カット性を兼ね備えたフィルムを提供することができる。
図1は、本発明の直線カット性透明吸湿フィルムの概略断面図である。 図2は、易カット性及び直線カット性の評価の説明図である。
《直線カット性透明吸湿フィルム》
図1に示すように、本発明の直線カット性透明吸湿フィルム10は、
透明吸湿層14、及び直線カット性透明バリア性基材層12を有し、かつ
透明吸湿層14が、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している。
ここで、本発明において、「透明」とは、内容物を視認するのに十分に透明であることを意味するものであり、例えば全光線透過率が、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は100%であり、かつヘイズ値が50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、又は10%以下であることを意味する。
上記の構成によれば、吸湿性、透明性及び直線カット性を兼ね備えたフィルムを提供することができる。
透明吸湿性積層体10は、透明吸湿層14の片側又は両側に積層されている透明スキン層16を更に有していてよい。
以下では、本発明の各構成要素について説明する。
〈透明吸湿層〉
透明吸湿層は、透明であり、かつ吸湿剤を有する層である。この場合、吸湿剤は、熱可塑性樹脂中に分散していてよい。
透明吸湿層を構成する樹脂組成物の、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下でJIS K7210に準拠して測定した場合のメルトフローレートは、0.3g/10min以上30g/10min以下であることが、Tダイ法又はインフレーション法によるフィルムへの成形が比較的容易にする観点から好ましい。このメルトフローレートは、0.5g/10min以上、1.0g/10min以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であってもよく、20g/10min以下、又は15g/10min以下、10g/10min以下、8.0g/10min以下、又は5.0g/10min以下であってもよい。例えば、このメルトフローレートは、0.5g/10min以上10g/10min以下であってもよい。
透明吸湿層を構成する樹脂組成物の、JIS K7136に準拠して吸湿前の100μmの厚みのフィルムにして測定したときのヘイズは、80%以下であることが好ましく、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、又は15%以下であってもよく、1%以上、3%以上、又は5%以上であってもよい。ここで、本明細書において、「吸湿前のフィルム」とは、樹脂組成物を溶融し、これを製膜した直後のフィルムを意味するものである。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド等を用いることができる。中でもポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂を用いることが、加工性等の観点から好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において、ポリエチレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にエチレン基の繰返し単位を、50mol%超、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂であり、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性エチレンビニルアセテート共重合体、アイオノマー、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される。
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にプロピレン基の繰返し単位を、50mol%超、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂であり、例えば、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
ビニル系ポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアミドとしては、例えばナイロン(登録商標)6、ナイロンMXD6等のナイロン等が挙げられる。
吸湿剤としては、親水性ゼオライト、シリカゲル等の物理吸湿剤、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の化学吸湿剤等を用いることができる。中でも、親水性ゼオライトを用いることが好ましい。
親水性ゼオライトとしては、例えばA型、X型、又はLSX型のゼオライトを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
吸湿剤として親水性ゼオライトを用いる場合、ゼオライトの平均粒子径D50は、300nm以下であることが、組成物に適度な透明性を与える観点から好ましい。ここで、ゼオライトの平均粒子径D50とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、無作為に選択した100個の粒子の長軸を測定し、その個数基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。ゼオライトの平均粒子径D50は、250nm以下、200nm以下、150nm以下、又は100nm以下であってよい。ゼオライトの平均粒子径D50は、10nm以上、30nm以上、50nm以上、又は100nm以上であってよい。例えば、ゼオライトの平均粒子径D50は、10nm以上300nm以下、又は100nm超250nm以下であってもよい。
吸湿剤として親水性ゼオライトを用いる場合、ゼオライトの細孔(吸収口)径は、0.3nm以上1nm以下であってよく、0.3nm以上0.5nm以下であってよい。
吸湿剤として親水性ゼオライトを用いる場合、ゼオライト中のSiとAlとの原子比(Si/Al)の値は任意であり、例えば、1以上、2以上、3以上、5以上、10以上、又は15以上であってよく、例えば、80以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
本発明で用いられるゼオライトとしては、吸湿性の観点から、親水性であることが好ましく、特にNa−A型ゼオライトを使用することが好ましい。
本発明で用いられるゼオライトは、例えば、特許文献3及び4に記載のような方法によって製造することができる。そのようなゼオライトを、特許文献2に記載のように、かさ密度を調整して用いてもよい。
吸湿剤の含有率は、良好な吸湿能力を確保する観点から、吸湿層全体の質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、又は10質量%以上であることが好ましく、また良好な透明性及び製膜性を確保する観点から、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であることが好ましい。
透明吸湿層は、HLB値が5以下のエステル化合物を更に含有していることが、透明性を良好にする観点から好ましい。ここで、HLB値は、親水性か親油性かを示す指標である。エステル化合物のHLB値が5以下であるということは、該エステル化合物の親油性が高いことを意味し、例えば、消泡剤、又はエマルジョンの乳化剤として使用される領域の数値である。このHLB値は、例えば、4.5以下、4.0以下、又は3.5以下であってよく、例えば、2.0以上、2.5以上、又は3.0以上であってよい。
エステル化合物としては、例えば、多価アルコールと脂肪酸とのモノエステル化合物である。多価アルコールは、例えば、グリセリン、アルキレングリコール等であってよい。脂肪酸は、例えば、炭素数12以上24以下の、飽和又は不飽和の脂肪酸であってよい。
エステル化合物としては、特に、炭素数2以上6以下のアルキレングリコールと炭素数15以上24以下の脂肪酸とのモノエステルであってよい。上記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等であってよい。上記と炭素数15以上24以下の脂肪酸は、飽和又は不飽和であってよく、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等であってよい。
エステル化合物は、具体的には例えば、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノベヘネート等であってよい。
透明吸湿層におけるエステル化合物の含有量は、本発明の有利な効果を与えられる範囲であれば特に限定されない。例えば、エステル化合物の含有率は、2.0質量%以上15質量%以下であり、2.5質量%以上、3.0質量%以上、又は5.0質量%以上であってもよく、12質量%以下、10質量%以下、8.0質量%以下、又は6.0質量%以下であってもよい。例えば、エステル化合物の含有量は、2.5質量%以上12質量%以下、又は3.0質量%以上10質量%以下であってもよい。
透明吸湿層は、平均粒子径D50が100nm以下の、Al、Si、Ti、及びZrから選択される1種以上の元素の酸化物(ゼオライトを除く)を含有していてもよく、又は含有していなくてもよい。かかる酸化物の含有率は、例えば5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0質量%であってよい。
透明吸湿層は、透明吸湿層を構成する樹脂組成物を、例えばニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールコニカルミキサー等のバッチ式混練機や、2軸混練機等の連続混練機等を用いて混錬し、次いで混練した樹脂を、インフレーション法、Tダイ法等の押出成形法によりフィルム状に成型することにより製造することができる。透明吸湿層の片側又は両側に透明スキン層が存在する場合には、多層インフレーション法、又は多層Tダイ法等の共押出法により、製膜と共に透明スキン層との積層をしてもよい。
〈直線カット性透明バリア性基材層〉
直線カット性透明バリア性基材層は、透明で、かつ直線カット性及びバリア性を有する基材層である。
ここで、本発明において、「直線カット性」とは、直線状に形成したスリットをきっかけにしてフィルムを手で引き裂いたときのズレ幅が2.0mm未満、1.5mm未満、1.2mm未満、又は1.0mm未満であることを意味するものである。
上記のズレ幅は、例えば以下の測定方法により測定することができる。なお、ズレ幅は5回の測定の平均値であってよい:
作製した直線カット性透明吸湿フィルムを、延伸(MD)方向と長辺方向とが一致している50mm×20mmに切断し、10mmのスリットを長辺の方向と平行となるようにして一方の短辺の中央に入れる。次いで、このスリットをきっかけにして、対向するもう一方の短辺に向かってこのフィルムを手で引き裂く。このときの対向する短辺と切れ目との交点と、短辺の中央との距離を、ズレ幅とする。
図1(a)に示すように、直線カット性透明バリア性基材層12は、単層の直線カット性透明基材樹脂層で構成されていてよい。この場合、直線カット性透明基材樹脂層自体がバリア性を有する。
別の態様においては、図1(b)に示すように、直線カット性透明バリア性基材層12は、直線カット性透明基材樹脂層124及び透明バリア層122で構成されていてよい。
直線カット性透明バリア性基材層の引裂強度は、50mN以下、45mN以下、40mN以下、35mN以下、又は30mN以下であることが、直線カット性をもたらす観点から好ましい。この引裂強度は、5mN以上、10mN以上、又は15mN以上であってよい。
上記の引裂強度は、JIS K7128−1に準拠したトラウザー引裂法に基づいて、MD方向と長辺方向とが一致している150mm×50mmに切断したフィルムの短辺の中央に75mmのスリットを長辺方向に入れ、試験速度200mm/min、チャック間距離75mm、測定距離150mmの条件で測定したものであってよい。
(直線カット性透明基材樹脂層)
直線カット性透明基材樹脂層は、直線カット性及び透明性を有する樹脂層である。
直線カット性透明基材樹脂層は、透明吸湿層に関して挙げた熱可塑性樹脂で構成されていてよく、ポリアミド又はポリエステル、特にポリアミドで構成されていることが、直線カット性の観点から好ましい。かかる直線カット性透明基材樹脂層としては、直線カット性を有するものとして商業的に入手可能なフィルムを用いることができる。
ポリアミドで構成されているフィルムとしては、例えばユニチカ社のセービックス(登録商標)YON YNC、YON YNCB、エンブレム(登録商標)NC、及びNCBC、並びに出光ユニテック社のユニアスロンTB−1000、及びTB−1010等を用いることができる。
ポリエステルで構成されているフィルムとしては、例えばユニチカ社のセービックス(登録商標)YPET YPC、YPET YPCB、及びエンブレット(登録商標)PC、PCBC等を用いることができる。
直線カット性透明基材樹脂層は、バリア性を有していてもよい。直線カット性透明基材樹脂層としては、例えば上記のフィルムのうち、セービックス(登録商標)YON YNC、YON YNCB、YPET YPC、YPET YPCB等を用いることができる。
直線カット性透明基材樹脂層の厚さは、7μm以上、10μm以上、又は15μm以上であることが、包装体に用いる際の強度の観点から好ましく、また55μm以下、50μm以下、又は45μm以下であることが、包装体としての取り扱い性及び直線カット性を向上させる観点から好ましい。
(透明バリア層)
透明バリア層としては、透明であり、かつ外部からの水分や有機ガス及び無機ガスが透明吸湿層へと透過することを抑制することができる材料を用いることができる。かかる透明バリア層としては、例えばシリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、若しくはシリカ・アルミナ二元蒸着膜等の無機物蒸着膜、又はポリ塩化ビニリデンコーティング膜、ポリクロロトリフルオロエチレンコーティング膜、若しくはポリフッ化ビニリデンコーティング膜等の有機物コーティング膜、環状オレフィンポリマー、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等のバリア性樹脂層を用いることができる。
また、透明バリア層としては、上記の無機物蒸着膜、有機物コーティング膜及びバリア性樹脂層に限らず、バリア性を有するフィルムとして商業的に入手可能なフィルムを用いることができる。
透明バリア層として無機物蒸着膜を用いる場合、透明バリア層の厚さは、100nm以上、200nm以上、300nm以上、500nm以上、700nm以上、又は1μm以上であることが、強度及びバリア性を確保する観点から好ましく、また5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下であることが、包装体としての取り扱い性を向上させる観点から好ましい。
透明バリア層としてバリア性樹脂層、有機物コーティング膜又は上記のフィルムを用いる場合、透明バリア層の厚さは、7μm以上、10μm以上、又は15μm以上であることが、強度及びバリア性を確保する観点から好ましく、また100μm以下、80μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、又は35μm以下であることが、包装体としての取り扱い性を向上させる観点から好ましい。
〈透明スキン層〉
透明スキン層は、透明スキン層用樹脂を含有しており、かつ透明吸湿層の第二のフィルム側の面に存在していることができる層である。透明スキン層は、透明吸湿層の第一のバリア性基材層側の面に更に存在していてもよい。また、透明スキン層は、透明吸湿層に融着されていてもよい。
特に、透明スキン層は、透明吸湿層が含有している吸湿剤の脱落や内容物への接触を防止することができる。また、この場合には、透明スキン層は、吸湿剤を含有していない層であってよい。
透明スキン層の厚さは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は7μm以上であることができ、また50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であることができる。透明スキン層が複数存在している場合、各々の透明スキン層の厚さは、同一であっても異なっていてもよい。
(透明スキン層:透明スキン層用樹脂)
透明スキン層用樹脂としては、透明吸湿層に関して挙げた熱可塑性樹脂を、単独で又は混合させて用いることができ、中でもポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂を用いることが、加工性等の観点から好ましい。透明吸湿層の両側にスキン層が存在している場合、それぞれの透明スキン層を構成する透明スキン層用樹脂は、同一であっても異なっていてもよい。
〈他の層〉
直線カット性透明吸湿フィルムは、随意の他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば各層の間に存在する接着層が挙げられる。
《包装袋》
本発明の包装袋は、上記の直線カット性透明吸湿フィルムを1枚又は複数枚具備しており、かつ
1枚又は複数枚の直線カット性透明吸湿フィルムの直線カット性透明バリア性基材層側と反対側の一部がこの直線カット性透明吸湿フィルムの他の部分又は他のフィルムとヒートシールされていることによって袋状にされている。ここで、他のフィルムは、他の直線カット性透明吸湿フィルムであってもよく、又は直線カット性透明吸湿フィルム以外の他のフィルムであってもよい。
本発明の包装袋は、上記の包装袋及びこの包装袋に収納されている内容物を有する、内容物入り包装袋であることができる。
〈内容物〉
内容物は、包装袋に収納されている内容物である。内容物としては、外気との接触によって劣化しうる物であれば限定されるものではなく、薬剤の他、食品、化粧品、医療器具、医療機器、電子部材、精密機械、記録材料等を挙げることができる。また、薬剤としては、医薬品製剤の他、洗浄剤、農薬等を含む。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
《直線カット性透明吸湿フィルムの作製》
〈実施例1〉
多層製膜機にて、透明スキン層、透明吸湿層、及び透明スキン層がこの順で配置されるようにして、共押出Tダイ法により、2種3層の透明吸湿フィルムを作製した。透明スキン層としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、透明吸湿層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV150、三井デュポン・ポリケミカル社)48質量部、Na−A型ゼオライト(平均粒子径D50:50nm)32質量部、及びエステル化合物(プロピレングリコールモノベヘネート、HLB値3.4)5質量部をバンバリーミキサーで160℃の温度で10分間溶融混練して作製した樹脂組成物を用いた。各層の厚さは、透明スキン層10μm、透明吸湿層30μm、透明スキン層10μmとした。
作製した透明吸湿フィルムのスキン層側に、透明バリア層としての透明シリカ蒸着PETフィルム(GXフィルム、凸版印刷社、厚さ12μm)を、ドライラミネート接着剤を用いて積層させ、次いでこの透明バリア層に、直線カット性透明バリア性基材層としてのNyフィルム1(エンブレム(登録商標)NC、ユニチカ社)を、ドライラミネート接着剤を用いて積層させて、実施例1のフィルムを作製した。
〈実施例2〜5及び比較例1〜2〉
各層の構成を、表1に示すように変更したことを除き、実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜2のフィルムを作製した。
表1で言及している直線カット性透明バリア性基材層の詳細は以下のとおりである:
Nyフィルム2:ユニアスロンTB1000、出光ユニテック社
PETフィルム1:エンブレット(登録商標)PC、ユニチカ社
PETフィルム2:セービックス(登録商標)YPET YPC、ユニチカ社
Nyフィルム3:セービックス(登録商標)YON YNC、ユニチカ社
また、「不透明」と言及している吸湿層は、上記の透明吸湿層の代わりに、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体40質量部、親水性ゼオライト(モレキュラーシーブ3A、ユニオン昭和株式会社)40質量部及び上記のエステル化合物5質量部を溶融混練して作製した樹脂組成物を用いたものである。
また、用いた各直線カット性透明バリア性基材層の引裂強度を、JIS K7128−1に準拠したトラウザー引裂法に基づいて、MD方向と長辺方向とが一致している150mm×50mmに切断したフィルムの短辺の中央に75mmのスリットを長辺方向に入れ、トラウザー法により、試験速度200mm/min、チャック間距離75mm、測定距離150mmの条件でそれぞれ測定した。
《評価》
図2に示すように、作製したフィルム200を、MD方向と長辺方向とが一致している50mm×20mmに切断し、10mmのスリット230を長辺210の方向と平行となるようにして一方の短辺220の中央に入れた。次いで、このスリット230をきっかけにして、対向するもう一方の短辺220’に向かってこのフィルム200を手で引き裂いた。このときの対向する短辺220’と切れ目240との交点240aと、短辺220’の中央220’aとの距離を、ズレ幅250とした。同様の測定を5回行い、平均値を算出した。
〈易カット性〉
易カット性の評価は、以下の評価基準に基づく官能評価により行った:
〇:簡単に裂けた
△:引き裂けたが、途中で伸びや引っ掛かりがあった
×:引き裂きにくかった
〈直線カット性〉
上記のようにして測定したズレ幅の平均値に基づいて、以下の評価基準で直線カット性を評価した:
〇:ズレ幅が2.0mm未満
×:ズレ幅が2.0mm以上
実施例及び比較例の構成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2021160308
以下では、本発明で用いることができる透明吸湿層の例を、参考例を参照して示す。
《参考例:透明吸湿フィルムの例》
〈製造例〉
熱可塑性樹脂、Na−A型ゼオライト(平均粒子径D50:50nm)、及びエステル化合物(プロピレングリコールモノベヘネート、HLB値3.4)を、表2及び表3に記載の配合でバンバリーミキサーを用いて、160℃で10分間溶融混練して、各例の樹脂組成物を得た。
〈評価〉
(メルトフローレート)
各例の樹脂組成物を測定可能なサイズにカットした。カットした樹脂組成物について、メルトインデクサ(株式会社テクノ・セブン)を用いて、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K7210に準拠して、メルトフローレート(MFR)を測定した。
(ヘイズ)
樹脂組成物を所定の重量にカットして、熱プレス成型によって100μmの厚みのフィルムを作製した。ここで、プレスの条件は、温度160℃、圧力40〜60MPa、2分間とした。このようにして得られたフィルムを、50mm四方にカットして、ヘイズ測定器(株式会社村上色彩研究所、HR−100)を用いて、JIS K7105に準拠してヘイズを測定した。なお吸湿後のヘイズについては、上記フィルムを23℃50%の環境下に静置し、吸湿後の重量変化が一定になるまで吸湿させ、その後上記と同じ方法で測定した。
〈結果〉
各例の構成及び評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2021160308
Figure 2021160308
表2を参照すると、ゼオライトの含有量が多くなるに従って、樹脂組成物のメルトフローレートが大きく低下していくことが分かった。この傾向は、参考例3及び4でも確認することができる。参考比較例1では、Tダイ法又はインフレーション法によって成形することが不可能な程度に、メルトフローレートが低下していた。
表3を参照すると、エステル化合物の含有量が少なくなるに従って、樹脂組成物のメルトフローレートが大きく低下し、またヘイズが高くなることが分かった。参考比較例2では、Tダイ法又はインフレーション法によって成形することが不可能な程度に、メルトフローレートが低下しており、また透明性も低下していた。
10 直線カット性透明吸湿フィルム
12 直線カット性透明バリア性基材層
122 透明バリア層
124 直線カット性透明基材樹脂層
14 透明吸湿層
16 透明スキン層
200 作製したフィルム
210 長辺
220 一方の短辺
220’ 対向するもう一方の短辺
220’a 対向する短辺の中央
230 スリット
240 切れ目
240a 短辺220’と切れ目との交点
250 ズレ幅

Claims (10)

  1. 透明吸湿層、及び直線カット性透明バリア性基材層を有し、かつ
    前記透明吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している、
    直線カット性透明吸湿フィルム。
  2. 前記透明吸湿層の前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  3. 前記吸湿剤が、ゼオライトである、請求項1又は2に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  4. 前記透明吸湿層の前記ゼオライトの平均粒子径D50が、300nm以下である、請求項3に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  5. 前記透明吸湿層が、HLB値が5以下のエステル化合物を更に含有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  6. 前記透明吸湿層の片側又は両側に積層されている透明スキン層を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  7. 前記直線カット性透明バリア性基材層が、ポリエステル又はポリアミドで構成されている直線カット性透明基材樹脂層を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  8. 前記直線カット性透明バリア性基材層の、JIS K7128−1に準拠したトラウザー引裂法により測定した引裂強度が、50mN以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の直線カット性透明吸湿フィルムを1枚又は複数枚具備しており、かつ
    1枚又は複数枚の前記直線カット性透明吸湿フィルムの前記直線カット性透明バリア性基材層側と反対側の一部がこの直線カット性透明吸湿フィルムの他の部分又は他のフィルムとヒートシールされていることによって袋状にされている、
    包装袋。
  10. 請求項9に記載の包装袋、及び
    前記包装袋に収納されている、内容物
    を有する、内容物入り包装袋。
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