JP2021159167A - 吸収性物品 - Google Patents

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【課題】荷重後も吸収性コアの外側での液戻り防止性に優れる吸収性物品を提供する。【解決手段】バインダーを有する不織布と吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、前記バインダーが、前記不織布の繊維上または繊維交点に存在し、かつ、前記バインダーが、前記不織布の表裏面の一方の面側よりも反対面側に多く存在しており、前記吸収性物品における前記不織布への液戻り量の変化率が、下記潰れ試験の前と後で15%以下であり、前記不織布の前記反対面が前記吸収性コア側に配置される吸収性物品。〔潰れ試験〕20kPaの荷重で前記不織布を0.7mmまで圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。【選択図】なし

Description

本発明は吸収性物品に関する。
おむつ等の吸収性物品には不織布が用いられることが多い。この不織布について種々の機能を持たせる技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、おむつ等の吸収性物品の厚み回復性を高める観点から、接着剤を含浸又は塗布して形成されたレジンボンド不織布を吸収性物品に組み込むことが記載されている。前記レジンボンド不織布は、吸収性物品の肌に触れない部材として配置されている。
また、特許文献2〜4には、繊維ウェブを予め凹凸形状に賦形した後に不織布化して、圧縮変形性やクッション性等を高めた凹凸不織布が記載されている。
特開2001−187088号公報 特開2012−136791号公報 特開2017−42228号公報 特開2019−44320号公報
吸収性物品に組み込まれた不織布には、液保持性の吸収性コアへと排泄液を送り込む液透過性を有するものがある。しかし、このような不織布は、吸収性物品の使用時において、荷重によって厚みが潰れると繊維密度が高まり、これに伴う毛管力で排泄液の保持力が高くなることがある。よって吸収性物品の表面におけるドライな風合いに改善の余地があった。
本発明は、上記の点に鑑み、荷重後も吸収性コアの外側での液戻り防止性に優れる吸収性物品に関する。
本発明は、バインダーを有する不織布と吸収性コアとを備えた吸収性物品を提供する。
前記不織布においては、前記バインダーが、前記不織布の繊維上または繊維交点に存在し、かつ、前記バインダーが、前記不織布の表裏面の一方の面側よりも反対面側に多く存在していることが好ましい。
前記不織布は、前記吸収性物品における前記不織布への液戻り量の変化率が、下記潰れ試験の前と後で15%以下であることが好ましい。
前記不織布の前記反対面が前記吸収性コア側に配置されることが好ましい。
〔潰れ試験〕
20kPaの荷重で前記不織布を0.7mmまで圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
本発明の吸収性物品は、荷重後も吸収性コアの外側での液戻り防止性に優れる。
(A)は不織布に対して圧縮力を加える状態を模式的に示す説明図であり、(B)は圧縮力を取り除く状態を模式的に示す説明図であり、(C)は繊維交点において、圧縮力に応じて繊維の立体化交差の状態の潰れと回復とが繰り返されることを示す説明図である。 不織布を平面視した際の該不織布の表裏面の一方の表面において、バインダーの繊維交点上の存在率の測定方法において用いられる観察画像の一部を基準円と共に示した模式図である。 (A)は、フラットな形状の不織布において、厚み中心部を通り、不織布面(平面)の繊維層に対して直交する断面Aを切り取る位置(A−A線)を示した側面図であり、(B)は、厚み中心部で前記断面Aに直交する断面Bを切り取る位置(B−B線)を示した側面図である。 (A)は、凹凸形状の不織布において、繊維が存在する層状部分の厚み中心部を通り、不織布面(凸部頂部と凹部底部とを繋ぐ凹凸面)の繊維層に直交する断面Aを切り取る位置(A−A線)を示した側面図であり、(B)は、厚み中心部を通り、前記断面Aに直交する断面Bを切り取る位置(B−B線)を示した側面図である。 不織布の縦配向度の測定方法において用いられる観察画面の一部を正方形の基準線と共に示した模式図である。 不織布の凹凸形状の具体例1を模式的に示す一部断面斜視図である。 不織布の凹凸形状の具体例2の一方の面側を示す図面代用写真である。 図7に示した不織布のC−C線部分断面図である。 図7に示した不織布のD−D線部分断面図である。 図7に示した不織布の反対面側を示す図面代用写真である。 図10に示した不織布のE−E線部分断面図である。 図10に示した不織布のF−F線部分断面図である。 実施例5における不織布試料の製造工程を模式的に示す説明であり、(A)は支持体雄材上に繊維ウェブを配し、支持体雌材を前記繊維ウェブ上から支持体雄材に押し込む工程を示す説明図であり、(B)は支持体雌材の上方から第1の熱風を突き付けて繊維ウェブを賦形する工程を示す説明図であり、(C)は支持体雌材を取り除いて、賦形された繊維ウェブの上方から第2の熱風を吹き付けて繊維同士を融着させる工程を示す説明図である。
以下、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態の吸収性物品は、バインダーを有する不織布と吸収性コアとを備えている。
前記不織布は、親水性の繊維からなり、液透過性を有する。親水性の繊維とは、元来疎水性である繊維に、親水性の繊維処理剤が塗布されたものを含む。
前記吸収性コアは、吸収性物品の中で排泄液を吸収保持して固定化する部材である。この吸収性コアとしては、例えば、パルプ繊維の集合体若しくはパルプ繊維と高吸収性ポリマー材との混合集合体又は高吸収性ポリマー材を不織布などのシート材料で挟持したものなどが挙げられる。
前記不織布では、前記バインダーが前記不織布の繊維上または繊維交点に存在している。加えて、前記バインダーが、前記不織布の表裏面の一方の面側よりも反対面側に多く存在している。
バインダーが繊維上に存在するとは、繊維交点以外の繊維表面をバインダーが覆っていること意味する。繊維交点とは、2本以上の繊維が交差している部分を言う。
繊維交点に存在するバインダーは、繊維同士が交差して重なった部分における繊維の外側表面を覆っていることが好ましい。また、バインダーは、繊維交点に存在しながら、繊維交点以外の繊維表面にまで延出して存在することが好ましい。
前記バインダーは、不織布の構成繊維とは異なる樹脂成分であり、構成繊維の表面に固着されている。例えば、不織布の一面に対して、スプレー等によってバインダーを吹き付けて繊維交点に固着させることができる。
バインダーの吹き付け質量(不織布における含有量)は、不織布のべたつき感を抑える観点、不織布における液の低保持性(液透過性)を高める観点から、不織布の単位面積あたり5g/m以下が好ましい。
また、バインダーの吹き付け質量(不織布における含有量)は、バインダーの繊維交点に対する作用を効果的に発現させる観点から、不織布の単位面積あたり0.3g/m以上が好ましい。
バインダーとしては種々用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル・エチレン系樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどが挙げられる。
特に、繊維交点における繊維の立体交差の配置を保持、復元し得る粘性、結着性及び軟性を有するものとして、アクリル系樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどが好ましい。
上記バインダーは、親水性(接触角が100°以下となることを指す)を示す。親水性バインダーであることにより、繊維上のバインダーは吸収性能に寄与し、前記不織布から吸収性コアへの液の移行を促進し該不織布の濡れを抑制する。
固着されたバインダーは、繊維上または繊維交点の表面に固着して流れ落ちない結着性を有する。特に、バインダーは、不織布のクッション性に必要な繊維交点における繊維の可動性に耐えうる強度を有する一方で、可動後の繊維間の位置関係を元に回復させる弾性を備える。さらにバインダーは、弾性ひずみが繊維より大きいことが上記の特性をより良くする観点から好ましい。
バインダーは、例えば次のようにして繊維交点に作用する。
図1(A)及び(B)に示す不織布100のように、一方の面1Aに対して、圧縮力(押圧力)Fを加え、その後、圧縮力Fを取り除くとする。このとき不織布100内の繊維交点6では、バインダーの弾性によって繊維の立体交差形状の保持性が高い。また、圧縮力Fによって繊維7の立体交差が潰され場合でも、押圧力Fを取り除くと、バインダー8の弾性によって繊維交点6における繊維8の立体交差の配置が回復される(図1(C))。このような不織布の厚みに対するバインダーの作用によって、不織布100は、厚み保持性及び厚み回復性が高くなる。繊維交点の立体交差上には液が保持されやすいことが分かっており、厚みが低下した場合、立体交差上の液は自重で吸収性コア側に流れていく現象が起こりづらくなる、また、繊維間距離も小さくなるため、毛管力により液を保持しやすくなる。しかし、本実施形態の吸収性物品における不織布において、上記のように厚みが回復すると、繊維交点の立体交差上にたまった液が自重により吸収性コア側に流れていくことが次々と起こり、肌側では液が残りづらく吸収性コアへの液の移行が促進される、また毛管力も上がりにくい為、液を保持しにくくなる。このことは、人体による圧縮の他、製品が包装袋に封入された状態で圧縮圧力を受ける状況においても同様に、包装袋から取り出されたときにも同様に生じ得る。なお、図1(A)及び(B)では不織布100は基材200の上に載置された状態として示しているが、この形態に限定されるものではない。
バインダーの上記作用は、前記不織布が濡れた状態においても効果的に発現し得る。そのため、本実施形態の吸収性物品の使用時において、着用者が排泄をした場合でも、前記不織布の厚み保持性及び厚み回復性が高いものとなる。
バインダーは粘着性を有することから、少量で前述の効果を発揮することができる。そのため、バインダーが存在する繊維交点は、繊維同士の融着点であることが好ましい。融着していない繊維同士の交差部分に比べて、融着点では既に結着された交点を形成しているために、バインダーによる交点の形成が不要である。これにより、繊維同士の融着点では、融着していない繊維交点に比べて、厚み保持性及び厚み回復性のための少量のバインダーを存在させればよく、バインダーの弾性による厚み回復効果が該バインダーの粘着性によって低減するのを回避することができる。
バインダーが繊維同士の融着点に存在すると、固定された繊維同士の位置関係(立体交差関係)をより強固に維持することができる。
また、前記バインダーが融着していない繊維同士の交差部分に存在すると、押圧時の柔らかな変形性を有しながら、繊維同士の位置関係(立体交差関係)を回復させることができる。
不織布の厚み保持性及び厚み回復性と柔らかなクッション性との両立の観点から、繊維同士の融着点及び融着していない繊維同士の交差部分の両方に前記バインダーが存在することが好ましい。この場合、バインダーが存在する繊維交点の数としては、融着した繊維交点数>融着していない繊維交点数であることが好ましい。
融着点は、交差する繊維同士の接点において、前述のバインダーを介在させることなく、繊維同士が融着した部分である。この融着点は、例えば繊維ウェブから不織布を形成する際の加熱処理によって、繊維同士が溶融して形成され得る。加熱処理としては、例えば、熱風を吹き付けるエアスルー処理、熱エンボス処理が挙げられる。加熱処理によって融着点を形成する場合、不織布の構成繊維に熱可塑性繊維が含まれていることが好ましい。
本実施形態の吸収性物品は、前記不織布を構成部材として備えることにより、前述のバインダーの弾性作用が働いて厚み保持性及び厚み回復性が高くなる。例えば、複数の吸収性物品を圧縮して封入した包装体から、該吸収性物品を取り出した際に、本来の厚みが回復され、使用時においてもその厚みが維持されやすくなる。
この厚み保持性及び厚み回復性により、前記不織布は押圧時の繊維密度の高まりが抑えられ、不織布内での液(排泄液等)の保持量を小さくすることができる。すなわち、前記不織布における液の低保持性を実現することができる。その結果、前記不織布の液透過性は、荷重下においても高く維持され得る。また、吸収性物品の使用場面において、液に濡れ圧縮環境下にさらされた後も、厚み回復により肌への液の付着を抑えることができ、良好な吸収性を実現する。
本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布は、前述のとおり、一方の面側と反対面側との表裏面を有する。「一方の面」及び「反対面」は、前記不織布の表裏面であり、不織布を水平面に静置した際に、該水平面に対し鉛直方向に水平面から最も遠い面と、水平面に最も近い面とである。
本明細書において、前記一方の面側を第1面側とも言い、符号1Aを付して称することがある。前記反対面側を第2面側とも言い、符号1Bを付して称することがある。本実施形態の吸収性物品において、前記不織布の反対面(第2面)側が使用時の肌に触れない面側(非肌面側)となる。
本実施形態において、前記反対面側すなわち第2面側が、前述のバインダーが吹き付けられた面側である。
本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布は、前述のとおり、バインダーが、前記一方の面(第1面)側よりも反対面(第2面)側に多く存在している。これにより、前記一方の面(第1面)側にから不織布の厚み方向に液が透過する経路をより大きく確保することができる。一方、反対面(第2面)側では、前記一方の面(第1面)側よりもバインダーが多く存在していることにより、相対的に繊維間距離が短くなって毛管力が高められ、液を引き込む力が強くなる。これにより、不織布は、バインダーによる厚み保持と相俟って、液保持量がより小さく抑えられ、液透過性の点で更に優れたものとなる。
また、前記不織布を構成する繊維について、繊維上と繊維交点とで親水性が異なっていることが好ましい。具体的には、バインダーが繊維交点に多く存在することで、繊維交点は親水性が高まり、液をより吸収性コア側へ移行しやすくすることが好ましい。これにより、繊維上に液が残りにくくなり、液は繊維交点へ流れる、繊維交点に流れた液が集まることで自重により、さらに吸収体側の下層の繊維交点へ流れていく、これを繰り返すことで液は、より吸収体側へ流れていき、不織布の濡れを低減することができる。
前述の液の低保持性(液透過性)をより優れたものとする観点から、前記不織布は、繊維間距離を確保しやすいものが好ましい。また、前記不織布が、バインダーを用いずに繊維同士を結着させたものであることが好ましい。これにより、バインダー量を大きく減らすことができ、液の低保持性をより優れたものとすることができる。
例えば、繊維同士を熱によって結着させたサーマルボンド不織布が好ましく、その中でもエアスルー不織布がより好ましい。エアスルー不織布は肌触りを柔らかくして風合いの良いものとすることができる。加えて、厚みを大きくしてクッション性を持たせ、風合いをより良いものとすることができる。
前記不織布におけるバインダーの存在の有無の確認、一方の面(第1面)側及び反対面(第2面)側でのバインダーの存在量の測定は下記の方法によって行うことができる。バインダーの存在量は、不織布の平面視における下記に示す、バインダーの単位面積当たりの存在面積率(%)によって示される。
(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)
(1a) 測定試料として0.3gの不織布試料を用意する。次いで、酢酸エチル100mLを入れたビーカーに該不織布試料を入れて、30分間撹拌し、該不織布試料を取り出し乾燥させる。これにより、スキンケア剤、ホットメルト型接着剤等の不織布試料に付着していた成分を洗い流す。
(1b) 繊維表面に固着しているバインダーを繊維と異なる色に染色して両者を識別する鑑別試薬(繊維鑑別試薬ボウケンステインII、一般財団法人ボーケン品質評価機構製)を用いて、不織布試料の染色処理を行う。
(1c) 不織布試料を水平面に静置した状態で、露出する一方の面を、デジタルマイクロスコープVHX−900(商品名、株式会社キーエンス製。本願明細書におけるデジタルマイクロスコープは全てこれである。)を用いて100倍で観察画像を撮像する。また、不織布試料を裏返して反対面を露出させて同様に撮像する。撮像した画像を観察画像とする。観察画面の大きさは縦2.5mm、横3.0mmを拡大したものとする。
(1d) 一方の面及び反対面それぞれの観察画像について3値化処理し、3値化した色によって、バインダーに覆われていない繊維領域、バインダー領域、その他の領域(繊維間の空隙など)を特定する。これに基づき、バインダーの存在面積とバインダーに覆われていない繊維面積を算出する。単位面積での大小関係を考えるため、一方の面側及び反対面側それぞれについて、バインダーの存在面積とバインダーに覆われていない繊維面積を足して100としたときの、バインダーの単位面積あたりの存在面積率とバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率を算出する。同一サンプルにおいて、前記測定面の各3点において上記測定を行い、平均したものを測定値のデータとする。平均した測定値から、バインダーの単位面積あたりの存在面積率を第1面側及び第2面側について比較する。
上記(1b)の染色処理の処理内容を説明する。
(1b−1) ボウケンステインIIの容器をよく振りまぜ、充分に混合させる。
(1b−2) 混合させたボウケンステインIIを200mL程度の大きさのビーカーに1.5mL取り、脱イオン水を加え、全量が30mLとなるように、染液を作成する。
(1b−3) 染液を加熱し、沸とう前の90℃程度のときに不織布試料を投入し、2分間95℃で煮沸させる。
(1b−4) 不織布試料を取り出し、充分水洗いした後、乾燥させる。
(1b−5) 鑑別色と比較し判定する。例えば、アクリル系樹脂又はスチレン・ブタジエンゴムを含むバインダーは赤色に染色され、繊維が白色のままとなる。ただし、バインダーの染色の色は、バインダー成分によって異なる。
上記(1d)の算出処理の具体例を下記に示す。この具体例では、繊維鑑別試薬ボウケンステインIIを用いて、アクリル系樹脂又はスチレン・ブタジエンゴムを含むバインダー領域が赤色に染色され、繊維領域が白色のままであり、バインダー領域及び繊維領域以外のその他の領域(繊維間の空隙など)は黒色となる。
(1d−1) 観察画像を3値化処理(白・赤・黒)する。これは、コンピューターでの画像処理によって行い、RGBカラーモデルでの赤色面積、白色面積の算出となる。
(1d−2) RBGカラーモデルからHSVカラーモデルに変換する。HSVカラーモデルにおいて、赤色は、H:0°以上90°以下及び270°以上360°以下、S:30%以上100%以下、V:40%以上100%以上と定義する。白色は、H:0°以上360°以下、S:0%以上20%以下、V:40%以上100%以下と定義する。黒色は、上記以外の範囲と定義する。
(1d−3) このようにしてHVSカラーモデルにおいて赤色面積(バインダー)と白色面積(繊維)を算出し、前記(d)の処理を行う。
なお、前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)においては、吸収性物品に対してコールドスプレー等の冷却手段で接着剤等の接着力を弱め、製品から不織布を取り出して上記処理を行う。この不織布を取り出す方法は、本明細書中の他の測定においても同様に適用される。
前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)において、観察画像は、撮像した表面のみならず、そこから観察し得る厚み内部も捉えることができる(観察画像においてピントの合っている範囲が測定対象となる。)。なお、これらのことは、他の測定方法において、前記(1a)〜(1c)によって観察画像を取得して測定を行う場合に同様に当てはまる。
これにより、前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)においては、単に不織布の表面だけでなく厚み内部のバインダー領域までも捉えて、不織布におけるバインダー固着量を、繊維との対比における相対的な面積割合として把握することができる。
バインダーは弾性を発現する一方粘着性を併せ持つことから、バインダーを不織布の片方の面に対して吹き付けて、本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布を形成することが好ましい。
これにより、非吹き付け面における粘着性のない滑らかな風合い、不織布全体における厚み保持性及び厚み回復性とそれによるふっくらとした風合い、液の低保持性とそれによるドライな風合いの全てをより好適に実現することができる。
前記不織布の平面視において、前記バインダーの単位面積あたりの存在面積率は、不織布の厚み保持性及び厚み回復性並びに液の低保持性を高める観点から0.03%以上が好ましい。
また、前記不織布の平面視において、前記バインダーの単位面積あたりの存在面積率は、不織布の液の低保持性を高める観点から0.16%以下が好ましく、0.06%以下がより好ましく、0.05%以上が更に好ましい。
前記不織布の平面視におけるバインダーの単位面積あたりの存在面積率は、第1面側及び第2面側の両方で満たされることが好ましい。
第1面側におけるバインダーの単位面積あたりの存在面積率(M11)と第2面側におけるバインダーの単位面積あたりの存在面積率(M12)との差(M12−M11)は、第1面側から第2面側への液の透過経路を大きくする観点、第2面側での毛管力を強くする観点から0.01%ポイント以上が好ましく、0.15%ポイント以上がより好ましく、0.02%ポイント以上が更に好ましい。
また、第1面側におけるバインダーの単位面積あたりの存在面積率(M11)と第2面側におけるバインダーの単位面積あたりの存在面積率(M12)との差(M12−M11)は、液の透過性を担保する観点から0.02%ポイント以下が好まししい。
前記不織布の平面視において、前記バインダーの単位面積あたりの存在面積率は、バインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率よりも小さいことが好ましい。この要件は、第1面側及び第2面側の両方で満たされることが好ましい。これらの存在面積率は、前述の(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)によって測定される値である。
これにより、不織布全体での繊維間距離を保持して、過度な毛管力の上昇を抑えて、液透過性を好適化することができる。
また、バインダーの単位面積あたりの存在面積率がバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率より小さいことで、バインダー同士の接触を抑えることが可能となる。これにより、バインダー同士が接触することによる粘着性の影響を抑え、繊維とバインダーの接触による該バインダーの弾性の発現をより有効にすることができる。その結果、バインダーによる前述の作用を効果的に発現させることができる。
前記不織布の平面視において、バインダーの単位面積あたりの存在面積率(M1)とバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率(M2)との差(M2−M1)は、バインダーの粘着性よりも弾性を効果的に発現させて前述の作用を高める観点から80%ポイント以上が好ましく、90%ポイント以上がより好ましく、99%ポイント以上が更に好ましい。
また、前記差(M2−M1)は、バインダーの弾性効果を発現させる観点から、99.99%以下が好ましく、99.95%以下がより好ましく、99.9%以下が更に好ましい。
さらに、本実施形態の吸収性物品における前記不織布への液戻り量の変化率が、後述の潰れ試験の前と後で15%以下である。
加えて、本実施形態の吸収性物品は、前記不織布の前記反対面(第2面)側が液保持性の吸収性コア側に配置されている。
これにより、本実施形態の吸収性物品において、前記不織布は押圧前後で不織布内の液保持量を小さいまま維持することができる。加えて、毛管力の働く第2面側を吸収性コア側に配置することで、液を肌から遠ざけ吸収体への液の移行がより強く起こりやすい。その結果、本実施形態の吸収性物品は、着用状態において排泄があっても、ドライな風合いが維持されやすい。
また、前記不織布の第2面側を吸収性コア側に配置することで、バインダーによるべたつきを肌から遠ざけることができるので、吸収性物品の肌触りの点で好ましい。
上記の液戻り量の変化率は、ドライな風合いをより良いものとする観点から、潰れ試験の前と後で8%以下であることがより好ましく、潰れ試験の前と後で5%以下であることが更に好ましい。
また、上記の液戻り量の変化率は、圧縮による繊維密度の増加により、潰れ試験の前と後で1.3%以上となる。
前記不織布における潰れ試験前の液戻り量は、吸収性物品における液の低保持性を優れたものとする観点から単位面積あたり0.1g以下が好ましく、単位面積あたり0.08g以下が好ましく、単位面積あたり0.075g以下が好ましい。前記不織布における潰れ試験前の液戻り量は、少ないほど好ましく、その下限は0g以上である。
前記不織布における潰れ試験後の液戻り量は、吸収性物品における液の低保持性を優れたものとする観点から単位面積あたり0.1g以下が好ましく、単位面積あたり0.085g以下が好ましく、単位面積あたり0.081g以下が好ましい。前記不織布における潰れ試験後の液戻り量は、少ないほど好ましく、その下限は0g以上である。
上記の潰れ試験及び液戻り量の変化率の測定は下記に示す方法によって行うことができる。
(潰れ試験)
20kPaの荷重で測定試料の不織布を0.7mmまで圧縮する。この時不織布が0.7mmとなるよう例えばスペーサーをかませるなどして圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
(吸収性物品における不織布の液戻り量の変化率の測定方法)
(2a) 上記の潰れ試験前の不織布及び潰れ試験後の不織布それぞれについて、下記の方法により、吸収性物品における不織布の液残り量を測定し、液戻り量の変化率を算出する。
吸収性コアはパルプ250g、ポリマー257gを混ぜ合わせ、坪量16g/cmの台紙で包んだものとする。吸収性コア及び試験片の不織布は150mm×350mmとする。潰れ試験前の不織布及び潰れ試験後の不織布それぞれについて、該不織布を、吸収性物品から取り出した吸収性コアの肌面側の位置に、かつ、前記不織布の第2面側が前記吸収性コアに向くようにして配置し、測定対象の吸収性物品をそれぞれ準備する。この吸収性物品の長手方向において腹側端縁部から150mm、幅方向において中央部に当たる位置に着色した人工尿40gを10秒間かけて注入する。注入開始から10分後に、再度40gを注入する。この操作をさらに2回繰り返し、計160gの人工尿を注入する。試験雰囲気の温度は室温(20±5℃)、人工尿の温度は室温(20±5℃)のものを使用する。
注入完了から10分後に、アドバンテック社製のろ紙No.4A(100mm×100mm,質量測定W1)を10枚重ねたものを、注入点を中心として不織布上に置く。
厚さ5mm、100mm×100mmのアクリル板を介して、3.5kPaの圧力を掛け、2分後にろ紙の質量を測定し(W2)、下記式(I)のようにして、液戻り量を算出する。
液戻り量(g)
=加圧後のろ紙の質量(W2)−最初のろ紙の質量(W1)・・・(I)
(2b) 次いで、潰れ試験前の不織布及び潰れ試験後の不織布について測定した液戻り量をもとに、下記式(II)により液戻り量の変化率(%)を算出する。
液戻り量の変化率(%)
=(潰れ試験後の不織布の液戻り量−潰れ試験前の不織布の液戻り量)
/潰れ試験前の不織布の液戻り量 ・・・(II)
人工尿の組成は表1の通りである。
Figure 2021159167
本実施形態の吸収性物品は、前述の吸収性コアの他、肌面側の表面シート及び非肌面側の裏面シートを有することが好ましい。また、前記吸収性コアの外表面を被覆するコアラップシートを有することが好ましい。加えて、表面シートと吸収性コアの肌側のコアラップシートとの間に、セカンドシートが配されていてもよい。裏面シートの非肌面側には、最外装の外装材が配されていてもよい。
なお、吸収性物品の装着状態において着用者の肌に接触する肌面側又は表面側といい、これと反対側を非肌面側又は裏面側という。これらは、吸収性物品の装着状態において着用者の肌に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。
本実施形態の吸収性物品において、前述の不織布は、吸収性コア側に第2面側が配置される限り、種々の構成部材として組み込むことができる。
例えば、吸収性コアより肌面側である表面シート、コアラップシート及びセカンドシートの1又は複数の構成部材として、前述の不織布を組み込むことができる。また、非肌面側の外装材として、前述の不織布を組み込んでもよい。中でも表面シートとして用いることが特に好ましい。
前記不織布は、本実施形態の吸収性物品において前述の作用を効果的に発現させる観点から、前記吸収性コアより肌面側に配置されることが好ましい。
本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布において、前記バインダーが繊維交点上に存在することが好ましい。少なくとも前記不織布の第2面側において、前記バインダーが繊維交点上に存在することが好ましい。これにより、前記不織布においては、前述の厚み保持性及び厚み回復性がより明確に発現され、繊維間距離も確保されて、液透過性が向上する。また、不織布のふっくらとした風合いが維持され得る。
前記バインダーの繊維交点上の存在率は、不織布の単位面積当たり5%以上60%以下であることが好ましい。これにより、不織布が有する繊維交点に対してバインダーが適量存在し、バインダーによる繊維同士の貼り付きが抑えられ、繊維交点における繊維の立体交差の配置がより円滑に回復されやすくなる。また、前述のバインダーの作用による液の低保持性(液透過性)の向上とともに、不織布のべたつき感を抑えることができる。
前記バインダーの繊維交点上の存在率は、上記効果をより高める観点から、不織布の単位面積当たり10%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。
前記バインダーの繊維交点上の存在率は、バインダーの粘着性よりも弾性をより効果的に発現させる観点から、不織布の単位面積当たり50%以下であることがより好ましく、35%以下であることが更に好ましい。
上記のバインダーの繊維交点上の存在率は、平面視した際の前記不織布の表裏面の少なくともいずれかの面側において満たされることが好ましく、表裏面の両方において満たされることがより好ましい。
上記の表裏面のいずれかの面側とは第2面側であることがより好ましい。ここで第2面側とは、前述のとおり吸収性コア側に配置される面側である。
さらに、上記の繊維交点には繊維同士の融着点と非融着の交点があるところ、前記バインダーの繊維交点上の存在率における繊維交点は融着点であることが好ましい。バインダーの融着点上の存在率は、前述の数値範囲にあることが好ましい。これにより、バインダー自身が繊維同士を結着する場合よりもバインダー量を大幅に低減することができ、その結果、繊維間の被膜形成が抑えられ、べたつき感が低減するとともに、厚み回復性をより発現させやすくすることが可能となる。なお、後述の厚み中心部での「バインダーの繊維交点上の存在率」においても、上記と同様の理由により、繊維交点は融着点であることが好ましい。また、バインダーの融着点上の存在率は、後述の厚み中心部での「バインダーの繊維交点上の存在率」について示された数値範囲にあることが好ましい。
(平面視した際の不織布の表裏面のいずれかの面側におけるバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)
(3a) 前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1a)、(1b)及び(1c)の処理を行う。
(3b) 不織布試料の表裏面それぞれの面側の観察画像内に、直径1.0mm(観察画像内の寸法)の基準円Cを付する。基準円C内の繊維交点数(N)と、該繊維交点数(N)の中で、染色された繊維交点数(Nb)をカウントする。カウントした結果、染色された繊維交点数(Nb)の大きい面側を測定面側とする。(観察画像においてピントの合っている範囲が測定対象となる。)繊維交点は、繊維同士が融着したものも融着していないものもカウントする。
(3c) 単位面積当たりの、バインダーの繊維交点上の存在率を下記式(S1)に基づいて算出する。
H(%)=Nb÷N×100 (S1)
H:単位面積当たりの、バインダーの繊維交点上の存在率
Nb:基準円C内の染色された繊維交点数
N:基準円C内の繊維交点数(Nbも含めてカウント)
これらを同一の不織布試料で各3点観察画像を用意・測定し、平均したものを測定値のデータとする。
なお、図2は、観察画面に付した基準円C内に、繊維7同士が交わる複数の繊維交点6、染色された繊維交点61が存在することを示している。
さらに、本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布において、該不織布の厚み中心部に前記バインダーが存在することが好ましい。これにより、前記不織布においては、前述の厚み保持性及び厚み回復性がより明確に発現されるとともに、液を第2面側(下層)に引き込んでは第1面側(上層)から遠ざける作用がより強く働く。
ここで言う「厚み中心部」とは、不織布を水平面に静置したときに、該水平面と、該水平面に接する不織布の面とは反対面の側の最も外側の部位に接する仮想平面との間の、該水平面に対する鉛直方向の距離の50%の位置にある部分を意味する(以下、この水平面に対する鉛直方向を単に「鉛直方向」ということがある)。
前記水平面と前記仮想平面との間の鉛直方向の距離を不織布の見かけ厚みとも言う。前記見かけ厚みは、例えば前記不織布が両面に凹凸形状を有する場合、一方の面側の凸部の頂部の位置と他方の面側の凸部の頂部の位置との間の鉛直方向の距離である。
不織布の見かけ厚みは、50Pa荷重において、下記の測定方法によって測定することができる。ここで50Pa荷重とは、不織布表面の毛羽立ちなどを抑える程度の荷重を意味し、不織布の見かけ厚みを適正に測定するために必要な荷重である。
(50Pa荷重時の不織布の見かけ厚みの測定方法)
測定対象の不織布を10cm×10cmに裁断し、測定試料を作製する。レーザー厚さ計(オムロン株式会社製、高精度変位センサZS−LD80(商品名)。本願明細書で用いられるレーザー厚さ計は全てこれである。)を使用し、前記測定試料に対して50Paの荷重時の厚さを測定する。3箇所測定し、平均値を測定対象の不織布の見かけ厚みとする。50Paの荷重は、例えば、直径2.5cm、質量2.45gの円形プレートを不織布に載置することで不織布に加えられる。
なお、測定対象の不織布が製品に組み込まれている場合は、コールドスプレー等の冷却手段で接着剤等の接着力を弱め、製品から不織布を取り出して上記の測定を行う。この不織布を取り出す方法は、本明細書中の他の測定においても同様に適用される。
測定対象の不織布として10cm×10cmの大きさを取り出せない場合には、なるべく大きいサイズで取り出す。
前記厚み中心部での前記バインダーの繊維交点上の存在率は、単位面積当たり10%以上60%以下であることが好ましい。バインダーが厚み方向内部まで存在することにより、不織布の厚み保持性及び厚み回復性がより向上し、更にふっくらとした風合いが維持できる。
上記効果をより高める観点から、不織布の厚み中心部でのバインダーの繊維交点上の存在率(H)は、単位面積当たり20%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましい。
また、不織布の厚み中心部でのバインダーの繊維交点上の存在率は、バインダーの粘着性よりも弾性をより効果的に発現させる観点から、単位面積当たり50%以下であることがより好ましく、45%以下であることが更に好ましい。
(不織布の厚み中心部でのバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)
(4a) 前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1a)及び(1b)の処理を行う。
(4b) 不織布試料を液体窒素で凍結させた後、カミソリ刃による切断で不織布試料の厚み中心部を通る断面を2つ作製する。1つは、不織布試料の厚み中心部を通る断面A(厚み中心部を通り、不織布面を形成する繊維層に直交する断面)を作製する。もう1つは、不織布試料の厚み中心部を通り、前記断面Aに直交する断面Bを作製する。
なお、上記断面は、不織布平面におけるMD(Machine Direction)方向(製造工程における機械流れ方向)に沿う断面、CD(Cross Diection)方向(前記機械流れ方向に直交する方向)に沿う断面、その間の任意の断面のいずれでもよい。少なくともいずれか1つの平面方向に沿う厚み中心部を通る断面で所定の要件を満たせばよい。
(4c) 前記(4b)によって作製した試料を、断面を上に向けて水平面に静置する。静置した状態で、デジタルマイクロスコープを用いて100倍で観察画像を撮像する。
(4d) 上記2つの断面の観察画像に対し、前記(平面視した際の不織布の表裏面のいずれかの面側におけるバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)の(3b)の処理を行って、測定面側を特定する。断面Aの厚み中心部の観察画像を得る際は、低倍率から断面試料を観察画面中央に調整し、倍率を上げていくことで、厚み中心部を特定するものとする。
(4e) 次いで、前記((平面視した際の不織布の表裏面のいずれかの面側におけるバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)の(3c)の式(S1)に基づいて、不織布の厚み中心部でのバインダーの繊維交点上の存在率を算出する。
これらを同一不織布試料で各3点、それぞれ2ずつの観察画像を用意・測定し、平均したものを測定値のデータとする。
前記(4b)の2つの断面A及びBは、例えば次のような断面である。
不織布が平面方向にも厚み方向にも繊維層が連続して凹凸が無く、フラットな形状を有する場合、断面Aは、厚み中心部を通り、不織布面(平面)を形成する繊維層に対して直交する断面である。この場合、断面Bは、厚み中心部を通り、不織布平面に沿った断面である。具体的には、断面Aは、図3(A)示すように、不織布100Sの厚み中心部105を通る鉛直方向のA−A線に沿った断面である。断面Bは、図3(B)に示すように、不織布100Sの厚み中心部105の位置における水平方向のB−B線に沿った断面である。
また、不織布の繊維層が厚み方向に蛇行して凸部と凹部とを交互に備えた凹凸形状を有する場合、断面Aは、厚み中心部を通り、不織布面(凸部頂部と凹部底部とを繋ぐ壁面の面)を形成する繊維層に直交する断面である。この場合、断面Bは、厚み中心部を通り、不織布面(凸部頂部と凹部底部とを繋ぐ壁面の面)を形成する繊維層に沿った断面である。具体的には、断面Aは、図4(A)に示すように、不織布100Wの厚み中心部105を通るA−A線に沿った断面である。断面Bは、図4(B)に示すように、不織布100Wの厚み中心部105の位置におけるB−B線(A−A線に直交する線)に沿った断面である。
本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布は、見かけ厚みが5mm以上であることが好ましい。これにより、不織布における液の注入点から平面方向への液の広がりよりも厚み方向への透過が起きやすく、液の低保持性を更に高めることができる。
前記不織布の見かけ厚みは、上記の作用をより高める観点から7mm以上であることが好ましく、8mm以上であることが更に好ましい。
また、前記不織布の見かけ厚みは、不織布強度を担保する観点から9mm以下であることが好ましく、8.5mm以上であることがより好ましく、8.3mm以上であることが更に好ましい。
さらに、本実施形態の吸収性物品が備える前記不織布は、縦配向度が60%以上であることが好ましい。これにより、繊維上を流れる液厚み方向へ透過しやすくなる。加えて、厚み保持性及び厚み回復性の向上にも寄与する。その結果、前記不織布における液の低保持性がより良好なものとなる。
前記不織布の縦配向度は、上記作用をより高める観点から65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
また、前記不織布の縦配向度は、不織布強度を高める観点から95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
ここで言う「縦配向度」とは、下記(不織布の縦配向度の測定方法)によって測定される値であり、厚み方向成分を持つ繊維の向きが揃っている程度を示す値である。「不織布の厚み方向成分を持つ繊維」とは、前記不織布の表裏面のうちの一方の面を上にして水平面に静置した際に、該水平面に対してベクトルとして垂直方向成分を持つ繊維を言う。「厚み方向成分を持つ」とは、垂直方向成分がゼロ超であることを意味する。
(不織布の縦配向度の測定方法)
(6a) 不織布試料を液体窒素で凍結させて水平面に静置する。次いで、前記不織布試料の、前記水平面に対する鉛直方向の厚み50%の位置にある部分(厚み中心部)の厚み断面(前記鉛直方向の断面)を、カミソリ刃による切断で作製する。
(6b) 前記厚み断面に対し、卓上走査電子顕微鏡JCM−6000Plus(商品名、日本電子株式会社製)を用いて35倍で観察し、観察画像を撮像する。
(6c) 前記観察画像について、0.5mm×0.5mm(観察画像内の寸法)の正方形をなす基準線Lを付す。ここで基準線Lは、前記水平面に沿う方向に一致させた上辺L1及び下辺L2、並びに前記鉛直方向に一致させた左辺L3及び右辺L4にて構成される。
(6d) 正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。正方形の上下辺L1及びL2の基準線Lを通る繊維の延べ本数を「上下繊維本数」、正方形の左右辺L3及びL4の基準線Lを通る繊維の延べ本数を「左右繊維本数」とする。
(6e) 不織布の縦配向度Qは、(上下繊維本数)/(上下繊維本数+左右繊維本数)×100として算出する。
これらを同一の不織布試料で各3点観察画像を用意・測定し、平均したものを測定値のデータとする。
なお、図5は、正方形の基準線Lを付した観察画面を示している。同図では、黒点71が、基準線L(L1〜L4)を繊維7が通過する位置である。
前記「不織布の縦配向度」が高い状態で、前記「バインダーの繊維交点上の存在率」が高いとき、不織布としての厚み保持性及び厚み回復性は相乗的に向上する。特に、縦配向度が上記の下限以上であり、バインダーの繊維交点上の存在率が不織布の単位面積あたりの上記の下限以上である場合、縦配向している繊維の交点がバインダーで弾性的に強化され、厚み保持性及び厚み回復性を向上させる観点から好ましい。
前記不織布は、上記の構成を有しながら、該不織布の厚み方向において凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部を具備する凹凸形状を有することが好ましい。凹凸形状にすることで、本発明の不織布は、坪量を抑えながらより嵩高く(厚みがあり)、肌触りが良いものとなる。
このような前記凹凸形状を有する嵩高い不織布は、前述のバインダーの作用により、押圧力に対して厚み保持性及び厚み回復性が高いものとなる。すなわち、前記不織布は高いクッション性が押圧後においても保持し得るものとなる。
また、前記不織布においては、従来のレジンボンド不織布と異なり、バインダーの固着量を厚み保持性及び厚み回復性に必要な範囲に抑え、べたつき感を低減させている。そのため、凹凸賦形時の支持体への繊維の貼り付きが抑えられ、良好な凹凸賦形が実現できる。
バインダーが前記壁部に存在することが好ましい。上記の効果がより優れたものになる。
前記「凹凸形状」とは、前記不織布の水平面に対する鉛直方向の位置によって不織布断面形状が異なる形状を言う。前記「壁部」とは、前記不織布を水平面に静置したときの、該水平面に対する鉛直方向の厚み(見かけ厚み)の、一方の面側(第1面側)25%と反対面側(第2面側)25%を除いた50%の領域(以下、厚み中間層という)にある繊維層部分を意味する。
なお、ここで言う見かけ厚みとは、前記の(50Pa荷重時の不織布の見かけ厚みの測定方法)に基づいて得られる値である。
(壁部におけるバインダーの存在の確認方法)
(7a) 凹凸形状を有する不織布試料0.3gに対し、前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1a)及び(1b)の染色処理を行う。
(7b) 前記不織布試料を水平面に静置した状態で、該水平面に対する鉛直方向の厚み(見かけ厚み)の厚み中間層の位置における壁部を、デジタルマイクロスコープを用いて、水平方向から観察し、160倍で観察画像を撮像する。
(7c) 観察画像に対して、前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1d)と同様の処理を行って、バインダーの存在面積及び繊維面積を算出する。
これらを同一サンプルで各3点において測定し、平均したものを測定値のデータとする。
凹凸形状を有する不織布としては、肌に触れる素材として通常用いられる種々のものを用いることができる。例えば、不織布の凹凸形状としては、凸部が中実のもの、凸部が中空のもの、繊維層が一層構造のもの、繊維層が二層構造のもの、凸部が平面方向に散点状に配置されているもの、凸部及び凹部が畝溝状に配置されているものなど様々な種類がある。また、片面に限らず、両面に凹凸する形状を有するのものであってもよい。
その中でも、凹凸形状の凸部が中空であり、不織布の両面に凹凸形状を有する、一層構造の不織布が好ましい。例えば、下記の不織布80(具体例1)や不織布90(具体例2)がある。
これらについて以下に説明する。
不織布80(具体例1)は、熱可塑性繊維を含む一層構造を有し、下記に示す凹凸形状を有する。
すなわち、第1面(一方の面)1A側及び第2面(反対面)1B側の外面繊維層81、82と、第1面1A側の外面繊維層1と第2面1B側の外面繊維層2との間に配在した複数の連結部83とを有する。第1面1A側の外面繊維層81及び第2面1B側の外面繊維層82と連結部83とは相互に一部繊維が融着している。
また、第2面1B側の外面繊維層82と連結部83には、バインダーが繊維交絡点に存在しており、繊維交絡点を覆うようにバインダーが付着している。
この外面繊維層81、82と連結部83とにより、不織布80は、その厚み方向において中空の凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部を具備する凹凸形状を有する。この凹凸形状は、第1面1A側及び第2面1B側の両方に形成されている。具体的には、第1面1A側において外面繊維層81がなす凸部81と外面繊維層81間の凹部88とが凹凸形状を有する。第2面1B側において外面繊維層82がなす凸部82と外面繊維層82間の凹部89とが凹凸形状を有する。外面繊維層81がなす凸部81及び外面繊維層82がなす凸部82はいずれも中空である。連結部83は、凸部81と凹部88(凸部82と凹部89)とを繋ぐ壁部83をなしている。
この不織布80について、特開2019−44319号公報の段落[0010]〜[0048]に記載の種々の構成を採用することができる。例えば、不織布80の凹凸形状は、第1面1A側において外面繊維層81がなす凸部81とその間の凹部88とが畝溝状に配置された形状であってもよい。同様に、第2面1B側において外面繊維層82がなす凸部82とその間の凹部89とが畝溝状に配置された形状であってもよい。また、外面繊維層81、82は、平面方向に繊維が配向していてもよい。連結部83がなす壁部83は縦配向した繊維を有していてもよい。第1面1A側の凸部となる外面繊維層1が、不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する2種(第1外面繊維層81A及び第2外面繊維層81B)を有していてもよい。複数の連結部83は、不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれの方向に沿って配され、該連結部83の壁面の向きを互いに異ならせた2種(第1連結部83A及び第2連結部83B)を有していてもよい。この場合、第1連結部83A及び第2連結部83Bは、互いに壁面の向きが異なっていても、繊維が縦配向していてもよい。
この不織布80は典型的には図6に示された形状を有する。
このような不織布80は、特開2019−44319号公報の段落[0049]〜[0057]に記載の方法によって製造することができる。
不織布90(具体例2)は、熱可塑性繊維を含む一層構造を有し、下記に示す凹凸形状を有する。
すなわち、第1面(一方の面)1A側には、不織布の厚み方向において第1面1A側に突出する複数の縦畝部911が、平面視した第1面1A側の一方向に延びて配されている。縦畝部911は、第1面1A側の一方向とは異なる平面視した第1面1A側の他方向に離間して並んで配されている。加えて、第1面1A側の他方向に延びる横畝部921が縦畝部911を繋いで配されている。縦畝部911及び横畝部921はそれぞれ中空の凸部を形成している。不織布90は、その厚み方向において、縦畝部911及び横畝部921とその間の凹部922とによって、凸部、凹部、及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部911Wを具備する凹凸形状を有する。第1面1A側において、縦畝部911及び横畝部921がなす凸部は、不織布90の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する。この場合、不織布90の第1面側における凹凸形状は、縦畝部911及び横畝部921のそれぞれがなす凸部とその間の凹部とが畝溝状に配置された形状であってもよい。
また、第2面(反対面)1B側には、平面視した第2面1B側の一方向に延び、かつ第2面1B側の一方向とは異なる第2面1B側の他方向に並ぶ複数の中空の凸条部931が配されている。また、複数の凸条部931に挟まれた凹条部936が第2面1B側の一方向に延びている。不織布90の第2面1B側における凹凸形状は、凸条部931と凹条部936とが畝溝状に配置された形状を有する。凸条部931は、複数の凸部934が尾根状に連なってなり、平面視において幅が細い部分と太い部分とが交互に繋がって配されている。尾根状に連なっている凸部934の間はやや低い窪み935がある。不織布90は、その厚み方向において、凸条部931及び凹条部936によって、凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部931Wを具備する凹凸形状を有する。
また、凸条部931及び凹条部936、壁部931Wには、バインダーが繊維交絡点に存在しており、繊維交絡点を覆うようにバインダーが付着している。
不織布90について、特開2019−44320号公報の段落[0012]〜[0058]に記載の種々の構成を採用することができる。例えば、縦畝部911を構成する繊維と横畝部921を構成する繊維の配向方向が異なっていてもよい。縦畝部911の高さと横畝部912の高さが異なっていてもよく、横畝部921が不織布90の厚み方向に湾曲していてもよく、均等の高さとしていてもよい。また、第2面1B側から平面視した凸条部931の幅方向の輪郭を構成する二本の線のそれぞれが複数の弧を有する曲線であってもよい。凸条部931の側部に毛羽が配されていてもよい。
この不織布90は典型的には図7〜12に示された形状を有する。
このような不織布90は、特開2019−44320号公報の段落[0059]〜[0065]に記載の方法によって製造することができる。
本実施形態の吸収性物品が有する前記不織布には、繊維密度に疎な部分と密な部分とがあることが好ましい。具体的には、第1面側は繊維密度が密で、第2面側では繊維密度が疎であることが好ましい。これにより、繊維密度が疎な第1面側から繊維密度が密な第2面側に液が移動しやすくなり、吸収性コアに液が吸収されやすくなる。
さらに、前記不織布の繊維径は、ふっくらとしたやわらかい風合いを実現する観点から5dtex以下であることが好ましく、3.5dtex以下であることがより好ましい。
また、前記不織布の繊維径は、繊維密度を疎にして吸収性を向上する観点から1dtex以上であることが好ましく、1.3dtex以上であることがより好ましい。
このような本実施形態の吸収性物品は、排泄液を吸収保持する種々の物品に適用することができる。例えば、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド、尿取りパッド等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。下記表中における、「−」は、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。
(実施例1)
(1)原料不織布の作製
表2に示す繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維(芯:ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、鞘:ポリエチレン(以下、PEともいう))を用いて、エアスルー法によって図7〜12に示す凹凸形状の原料不織布を作製した。原料不織布の大きさは、150mm×350mmとした。
具体的には、特許文献4の段落[0059]〜[0065]に記載の製造方法に基づき作製した。このとき第1の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/秒、吹き付け時間6秒条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/秒、吹き付け時間6秒条件で行った。
(2)バインダー塗布液の調製
固形分50%程のバインダー溶液を10質量%、脱イオン水を90質量%となるように混ぜ、バインダー塗布液を調整した。バインダーは市販のアクリルエマルションの内、高弾性のタイプを使用した。
(3)バインダー塗布液の吹き付け
次いで、原料不織布に対し、凸条部931及び凹条部936が配された第2面(反対面)1Bに対し、スプレーによってバインダー塗布液を均等に塗布した。バインダー塗布液の塗布量は3.5g/mとした。
これにより、表2に示す坪量を有する不織布試料を作製した。バインダーは不織布の厚み中心部まで付着し、特に繊維交点へ多く付着するように存在していた。
(4)吸収性物品試料の作製
パルプ繊維250g、高吸収性ポリマー257gを混ぜ合わせ、坪量16g/cmの台紙で包んだ吸収性コアを作製した。該吸収性コアの大きさは150mm×350mmとした。該吸収性コア上に前記不織布試料A1を載置して、実施例1の吸収性物品試料A1を作製した。
(実施例2)
坪量を表2に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の吸収性物品試料A2を作製した。バインダーは不織布の厚み中心部まで付着し、特に繊維交点へ多く付着するように存在していた。
(実施例3)
繊維径及び坪量を表2に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の吸収性物品試料A3を作製した。
(実施例4)
特許文献4の段落[0059]〜[0065]に記載の作製方法において、支持体の突起の高さを6.0mmに変更することで50Pa荷重時の不織布の見かけ厚みと坪量を表2に示すとおりとし、実施例1のものよりも嵩を低くした以外は実施例1と同様にして、実施例4の吸収性物品試料A4を作製した。
(実施例5)
原料不織布として、特開2019−44319号公報の段落[0049]〜[0057]に記載の製造方法によって図13に示す支持体を用いて作製した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例5の吸収性物品試料A5を作製した。吸収性物品試料A5における不織布試料は、図6に示す凹凸形状を有するものとした。
なお、上記の製造方法において、図13に示す支持体雄材120として、突起121の高さを8mmとし、角柱形状、上面から見ると2mm×2mmの正方形のものを用いた。角柱のピッチはMD方向、CD方向それぞれ5mmとした。図13に示す支持体雌材130として、支持体雄材120の凹部122に対応する格子状の突起131を有する金属製のものを用い、支持体雄材120の突起121間に押し込んだ。支持体雌材130の隣り合った突起121、121間は5mmピッチで配置されており、支持体雄材120と支持体雌材130が押し込まれた時の繊維が入る空間は片側0.5mmで、支持体雄材120の突起120の両側合わせて1mmあった。熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/秒、吹き付け時間6秒の条件にて行った。
(比較例1)
表2に示す繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維を用いて、エアスルー法によって特許文献2の実施例1に記載の凹凸形状の不織布を作製した。坪量は表2に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例1の不織布試料とした。
前記不織布試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例1の吸収性物品試料C1を作製した。
(比較例2)
表2に示す繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維を用いて、エアスルー法によって、凹凸の無いフラットな不織布を作製した。坪量は表2に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例2の不織布試料とした。
前記不織布試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例2の吸収性物品試料C2を作製した。
(比較例3)
表2に示す繊維径の繊維(PET)を用いて、特許文献1の実施例1に記載のレジンボンド不織布を作製した。作製には実施例1で用いたレジンボンド塗布液を用いてスプレー塗布した。塗布量は16.6g/mとした。このレジンボンド不織布を比較例2の不織布試料とした。
前記不織布試料は、凹凸形状を有さずフラット形状を有するものであった。
前記不織布試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例3の吸収性物品試料C3を作製した。
(比較例4)
表2に示す繊維径の繊維(PET)を用いて、特許文献3の実施例1に記載の凹凸不織布を作製した。坪量は表2に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例4の不織布試料とした。
前記不織布試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例3の吸収性物品試料C3を作製した。
上記実施例及び比較例について、下記(I)及び(II)の試験を行った。
(I)圧縮回復性
各不織布試料について、人体による圧縮ならびに、製品が包装袋に封入された状態で圧縮圧力を受ける状況を想定し、圧縮回復率の測定を行った。
測定対象の不織布試料を液体窒素で凍結させた後、カミソリ刃による切断で10cm×10cmに裁断し、測定試料を作製した。レーザー厚さ計を使用し、前記測定試料に対して50Paの荷重時の厚さを測定した。3箇所測定し、平均値を測定対象の不織布の圧縮前の不織布見掛け厚みとした。
次いで、20kPaの荷重で測定試料の不織布を0.7mmまで圧縮した。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、25℃雰囲気下で30分間放置した。その後レーザー厚さ計を使用し、50Paの荷重時の厚さを測定した。3箇所測定し、その平均値を測定データとし、「圧縮解放後の不織布見掛け厚み」を得た。
最後に、下記の式にて不織布見掛け厚みの回復率を算出した。
「圧縮解放後の不織布見掛け厚みの回復率」
=「圧縮解放後の不織布見掛け厚み」÷「圧縮前の不織布見掛け厚み」×100
(II)液戻り量及び液戻り量の変化率
前述の(潰れ試験)及び(吸収性物品における不織布の液戻り量の変化率の測定方法)に基づいて、潰れ試験前及び潰れ試験後それぞれにおける、各吸収性物品試料の不織布試料の液戻り量を測定し、これに基づいて液戻り量の変化率を算出した。
結果は下記表2に示す通りであった。
Figure 2021159167
表2に示すとおり、実施例1〜3の吸収性物品試料は、比較例1及び2の吸収性物品試料よりも不織布試料の圧縮回復性の点において優れていた。また、実施例1〜3の吸収性物品試料は、比較例1〜4の吸収性物品試料よりも液戻り量の変化率が低く抑えられていた。すなわち、実施例1〜3の吸収性物品試料は、荷重後も吸収性コアの外側での液戻り防止性に優れていた。
6 繊維交点
7 繊維
8 バインダー
80、90 凹凸形状を有する不織布
81、82、931 凹部
88、89、936 凸部
83、931W 壁部
100 不織布

Claims (8)

  1. バインダーを有する不織布と吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、
    前記バインダーが、前記不織布の繊維上または繊維交点に存在し、かつ、前記バインダーが、前記不織布の表裏面の一方の面側よりも反対面側に多く存在しており、
    前記吸収性物品における前記不織布への液戻り量の変化率が、下記潰れ試験の前と後で15%以下であり、
    前記不織布の前記反対面が前記吸収性コア側に配置される吸収性物品。
    〔潰れ試験〕
    20kPaの荷重で前記不織布を0.7mmまで圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
  2. 前記不織布の平面視において、前記バインダーの単位面積あたりの存在面積率がバインダーに覆われていない前記繊維の単位面積あたりの存在面積率より小さい、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記バインダーが繊維交点上に存在する、請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記不織布の厚み中心部に前記バインダーが存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記不織布の見かけ厚みが5mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記不織布の縦配向度が60%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記不織布が、厚み方向において凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部を具備する凹凸形状をし、前記バインダーが前記壁部に存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記不織布が前記吸収性コアより肌面側に配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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