JP7466355B2 - 吸収性物品用不織布 - Google Patents

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本発明は吸収性物品用不織布に関する。
おむつ等の吸収性物品には不織布が用いられることが多い。この不織布について種々の機能を持たせる技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、おむつ等の吸収性物品の厚み回復性を高める観点から、接着剤を含浸又は塗布して形成されたレジンボンド不織布を吸収性物品に組み込むことが記載されている。
また、特許文献2~4には、繊維ウェブを予め凹凸形状に賦形した後に不織布化して、圧縮変形性やクッション性等を高めた凹凸不織布が記載されている。
特開2001-187088号公報 特開2012-136791号公報 特開2017-42228号公報 特開2019-44320号公報
上記特許文献1記載のレジンボンド不織布では、潰れにくい不織布にしようと多量の接着剤が使用される。そのため、該レジンボンド不織布は、通気性の観点からは改善の余地がある。
また、吸収性物品用の不織布としては、肌触りの観点から、厚みが変形しやすいことが求められる。厚みが変形しやすいことで、ふっくらとした風合いが得られやすくなる。しかし、厚みが変形しやすいことは、通常は繊維間の空間の縮小に繋がりやすいため、上記の通気性との間においてトレードオフの関係が生じやすい。
本発明は、上記の点に鑑み、厚みが変形しやすく、高通気性が維持される吸収性物品用不織布に関する。
本発明は、一方の面側と該一方の面側の反対面側とを有する吸収性物品用不織布を提供する。
前記吸収性物品用不織布は、2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みが50Pa荷重時の見かけ厚みの半分以下であることが好ましい。
前記吸収性物品用不織布は、通気度の変化率が下記潰れ試験の前と後で12%以下であることが好ましい。
前記吸収性物品用不織布は、下記潰れ試験後の通気度が50cc/sec以上であることが好ましい。
〔潰れ試験〕
20kPaの荷重で前記不織布を0.7mmまで圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
本発明の吸収性物品用不織布は、厚みが変形しやすく、高通気性が維持される。
平均繊維径の測定方法における観察対象の繊維を示す模式図である。 (A)は本実施形態の吸収性物品用不織布に対して圧縮力を加える状態を模式的に示す説明図であり、(B)は圧縮力を取り除く状態を模式的に示す説明図であり、(C)は繊維交点において、圧縮力に応じて繊維の立体化交差の状態の潰れと回復とが繰り返されることを示す説明図である。 バインダーの繊維交点上の存在率の測定方法において用いられる観察画像の一部を基準円と共に示した模式図である。 本実施形態の吸収性物品用不織布の凹凸形状の具体例1を模式的に示す一部断面斜視図である。 本実施形態の吸収性物品用不織布の凹凸形状の具体例2の一方の面側を示す図面代用写真である。 図5に示した吸収性物品用不織布のC-C線部分断面図である。 図5に示した吸収性物品用不織布のD-D線部分断面図である。 図12に示した吸収性物品用不織布の反対面側を示す図面代用写真である。 図15に示した吸収性物品用不織布のE-E線部分断面図である。 図15に示した吸収性物品用不織布のF-F線部分断面図である。 実施例5における不織布試料の製造工程を模式的に示す説明であり、(A)は支持体雄材上に繊維ウェブを配し、支持体雌材を前記繊維ウェブ上から支持体雄材に押し込む工程を示す説明図であり、(B)は支持体雌材の上方から第1の熱風を突き付けて繊維ウェブを賦形する工程を示す説明図であり、(C)は支持体雌材を取り除いて、賦形された繊維ウェブの上方から第2の熱風を吹き付けて繊維同士を融着させる工程を示す説明図である。
以下、本発明の吸収性物品用不織布の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態の吸収性物品用不織布は、一方の面側と反対面側とを有する。「一方の面」及び「反対面」は、前記不織布の表裏面であり、不織布を水平面に静置した際に、該水平面に対し鉛直方向に水平面から最も遠い面と、水平面に最も近い面とである。
本明細書において、前記一方の面側を第1面側とも言い、符号1Aを付して称することがある。前記反対面側を第2面側とも言い、符号1Bを付して称することがある。本実施形態の吸収性物品用不織布を単に不織布と言うことがある。
本実施形態の不織布において、反対面(第2面)側が使用時の肌に触れない面側(非肌面側)となる。また、本実施形態においては、反対面側が前述のバインダーが吹き付けられた面側である。
本実施形態の吸収性物品用不織布において、2.5kPaで圧縮(不織布厚み方向へ圧縮)されたときの見かけ厚みが、50Pa荷重時の見かけ厚みの、半分以下である。これにより、本実施形態の吸収性物品用不織布は、厚みが変形しやすいふっくらとした風合いを持ちつつ、へたれにくくなる。
2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みは、上記の効果をより高める観点から、50Pa荷重時の見かけ厚みの、21%以下であることがより好ましく、50Pa荷重時の見かけ厚みの18%以下であることが更に好ましい。
また、2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みは、不織布が変形したときでも十分な強度を保つ観点から、50Pa荷重時の見かけ厚みの、10%以上であることが好ましく、50Pa荷重時の見かけ厚みの15%以上であることがより好ましく、50Pa荷重時の見かけ厚みの17%以上であることが更に好ましい。
2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みは、不織布が変形したときでも十分な強度を保つ観点から0.9mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、1.4mm以上が更に好ましい。
また、2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みは、厚みが変形しやすいふっくらとした風合いを実現する観点から2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。
50Pa荷重時の見かけ厚みは、ふっくらした風合いを実現する観点から6mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、8.2mm以上が更に好ましい。
また、50Pa荷重時の見かけ厚みは、融着点を確保して不織布の強度を担保する観点から10mm以下が好ましく、8.5mm以下がより好ましく、8.3mm以下が更に好ましい。
上記の「2.5kPa」の圧縮荷重は、例えば本発明の不織布を吸収性物品の構成部材として組み込み、該吸収性物品を販売用の包装体として包装袋に封入された状態で通常想定される荷重を意味する。上記の「50Pa」の荷重は、不織布表面の毛羽立ちなどを抑える程度の荷重を意味し、不織布の見かけ厚みを適正に測定するために必要な荷重である。2.5kPaの圧縮荷重を受けながら包装体に保存されることで、不織布は通常潰れてしまい、通気性が低下する。その結果、使用時に吸収性物品と肌との間で蒸れが発生した際に、通気を促し、不快な群れを低減させることが難しくなる。これに対し、本発明では使用時にも通気性が低下しないよう不織布厚みが回復することを実現しており、蒸れを抑制する通気性を実現する。
前述の見かけ厚みとは、不織布を水平面に静置したときに、該水平面と、該水平面に接する不織布の面とは反対面の側の最も外側の部位に接する仮想平面との間の、該水平面に対する鉛直方向の距離を意味する。前記見かけ厚みは、例えば不織布が両面に凹凸形状を有する場合、一方の面の凸部の頂部の位置と他方の面の凸部の頂部の位置との間の鉛直方向の距離である。
(不織布の見かけ厚みの測定方法)
測定対象の不織布を10cm×10cmに裁断し、測定試料を作製する。レーザー厚さ計(オムロン株式会社製、高精度変位センサZS-LD80(商品名))を使用し、前記測定試料に対して50Pa及び2.5kPaそれぞれの荷重時の厚さを測定する。3箇所測定し、平均値を測定対象の不織布の50Pa及び2.5kPaそれぞれの荷重時における見かけ厚みとする。50Paの荷重は、例えば、直径2.5cm、質量2.45gの円形プレートを不織布に載置することで不織布に加えられる。
なお、測定対象の不織布が製品に組み込まれている場合は、コールドスプレー等の冷却手段で接着剤等の接着力を弱め、製品から不織布を取り出して上記処理を行う。この不織布を取り出す方法は、本明細書中の他の測定においても同様に適用される。これにより不織布の厚み変化により低下する通気性を適切に評価することが可能となり、通気性を使用時まで維持する効果を測定することができる。
測定対象の不織布として10cm×10cmの大きさを取り出せない場合には、なるべく大きいサイズで取り出す。
さらに、本実施形態の吸収性物品用不織布は、通気度の変化率が、後述の潰れ試験の前と後で12%以下である。これにより、本実施形態の吸収性物品用不織布は、厚みが潰れる前と後とで通気度の変化が小さい。
上記の通気度の変化率は、高通気性をより維持しやすくする観点から、潰れ試験前と潰れ試験後で10%以下であることがより好ましく、潰れ試験前と潰れ試験後で8%以下であることが更に好ましい。
また、上記の通気度の変化率は、吸収性物品使用時における発汗後や排せつ後に肌面が冷えてしまうことを防ぐ観点から、潰れ試験前と潰れ試験後で5%以上であることが好ましく、潰れ試験前と潰れ試験後で7%以上であることがより好ましく、潰れ試験前と潰れ試験後で8%以上であることが更に好ましい。
加えて、本実施形態の吸収性物品用不織布は、潰れ試験後の通気度が50cc/sec以上である。本実施形態の吸収性物品用不織布は、上記の通気度の変化率とともに不織布厚みが潰れた状態における上記通気度を有することにより、高通気性を維持することができる。
潰れ試験後の通気度は、高通気性をより維持しやすくする観点から60cc/sec以上であることがより好ましく、65cc/sec以上であることが更に好ましい。
また、潰れ試験後の通気度は、吸収性物品使用時における発汗後や排せつ後に肌面が冷えてしまうことを防ぐ観点から70cc/sec以下であることがより好ましく、68cc/sec以上であることがより好ましい。
上記の潰れ試験とは下記に示す試験を意味する。また、上記の通気度の変化率は下記に示す方法により測定できる。
(潰れ試験)
20kPaの荷重で測定対象の不織布試料を0.7mmまで圧縮する。この時不織布が0.7mmとなるよう例えばスペーサーをかませるなどして圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
(通気度の測定方法)
上記の潰れ試験前の不織布試料及び潰れ試験後の不織布試料について、下記の方法により通気度を測定し、通気度の変化率を算出する。
まずKES圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES FB-3(商品名))を用い、測定対象の不織布試料について、通常モードで5.0kPaまでの圧縮特性評価を行い、2.5kPa荷重時の不織布厚みをチャートから読み取る。
次にチャートから読み取った2.5kPa荷重時の不織布厚みになるように不織布試料をガーレー透気度(JIS P8117)B型試験機に挟む。
JIS P8117試験方法にのっとり、ストップウォッチを用いて、0から100ccまでの目盛りが外筒の縁を通過するのに必要な時間(秒)を測定し、1秒あたりの透気量を算出する。測定は、3回行い、平均して不織布試料の2.5kPa荷重時の通気度とする。
次いで、潰れ試験前の不織布試料及び潰れ試験後の不織布試料について測定した通気度をもとに、下記式(S1)により通気度の変化率(%)を算出する。
通気度の変化率(%)
={(潰れ試験前の不織布試料の通気度-潰れ試験後の不織布試料の通気度)
/潰れ試験前の不織布試料の通気度}×100
・・・(S1)
上記(通気度の測定方法)に基づく測定値は、不織布の平面方向(横方向)の通気度を示す。これは、例えば本実施形態の吸収性物品用不織布を吸収性物品の構成部材(例えば表面シート)に適用した場合に、装着状態における着用者の荷重下での不織布の面方向に沿った通気度を示す。
この通気度が高いと、不織布内部において、身体に沿って配された吸収性物品の湾曲形状に沿って湿気等の流体を外に排出する通気性が高いことを意味する。
本実施形態の吸収性物品用不織布において、一方の面(第1面)側よりも反対面(第2面)側の方が、平均繊維径が大きいことが好ましい。これにより、一方の面側が反対面側よりも風合いが良くなる。前記反対面側は、一方の面側よりもへたりにくくなって通気性がより高められる。また、前記反対面側での繊維径が大きいことで、同一坪量での繊維間距離が大きくなる。これにより、前記反対面側において繊維密度の高まりを抑えることができ、高通気度がより維持されやすくなる。
一方の面側の平均繊維径(K1)と反対面側の平均繊維径(K2)との差(K2-K1)は、上記風合い及び通気性を優れたものとする観点から5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、7μm以上が更に好ましい。
一方の面側の平均繊維径(K1)と反対面側の平均繊維径(K2)との差(K2-K1)は、繊維径の異なる層間での融着強度を確保する観点から15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
一方の面側の平均繊維径(K1)は、不織布強度を確保する観点から10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましい。
一方の面側の平均繊維径(K1)は、一方の面側の風合い優れたものとする観点から15μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましい。
前記反対面側の平均繊維径(K2)は、反対面側のへたりにくさ、繊維密度の低下及び通気性を高める観点から15μm以上が好ましく、18μm以上がより好ましく、24μm以上が更に好ましい。
前記反対面側の平均繊維径(K2)は、ふっくらとした風合いを実現する観点から30μm以下が好ましく、24μm以下がより好ましい。
(平均繊維径の測定方法)
測定対象の不織布を10×10cmに裁断し、測定試料を作製する。
測定試料の不織布を水平面に静置したときの表裏両面をそれぞれ卓上走査電子顕微鏡JCM-6000Plus(日本電子株式会社製)を用いて、倍率2000倍で観察する。観察画面の大きさは縦43μm、横60μmを拡大したものとする。
繊維10本分の直径を測定し、測定結果の平均値をそれぞれの面の平均繊維径とする。
なお、上記の繊維の直径は、図1に示すように、卓上走査電子顕微鏡にて観察される繊維6の太さd1を測ることで得られる。
さらに、本実施形態の吸収性物品用不織布は、前記反対面(第2面)側にバインダーが存在することが好ましい。前記バインダーの弾性で不織布厚みの回復性が高くなって、不織布がへたりにくくなり、前述の高通気性がより維持されやすくなる。
特にバインダーは、前記反対面側が前述の平均繊維径(K2)の太い繊維を有する状態で、前記反対面側に存在することが好ましい。これにより、前記反対面側からバインダーを吹き付けた場合に、塗布量を微量に抑えながら、かつ、塗布粒径の小さなバインダー粒子が繊維間をすり抜けて適度な深さまでバインダーが至り得る。得られた本実施形態の吸収性物品用不織布は、立体的な厚み回復性がより優れたものとなる。また、繊維間の空間へのバインダーの膜張りが抑えられる。これにより、前述の高通気性がより維持されやすくなる。
前記反対面側においてバインダーが存在する場所としては、繊維上や繊維交点が挙げられる。ここで言う「繊維上」とは繊維交点以外の繊維表面を意味する。「繊維交点」とは、2本以上の繊維同士が交差して重なった繊維の集合部分を意味する。この繊維交点には、繊維同士の融着点と、繊維同士が融着していない繊維同士の交差部分(非融着の交点)とがある。
バインダーは、不織布の構成繊維とは異なる樹脂成分であり、構成繊維の表面に固着されている。例えば、不織布の前記反対面(第2面)側に対して、スプレー等によってバインダーを吹き付けて繊維交点に固着させることができる。
この場合、バインダーが吹き付けられた面側が、本実施形態の吸収性物品用不織布における前記反対面側すなわち第2面側となる。
バインダーの吹き付け質量(不織布における含有量)は、不織布のべたつき感を抑える観点から、不織布の単位面積あたり5g/m以下が好ましい。
また、バインダーの吹き付け質量(不織布における含有量)は、バインダーの弾性による作用を効果的に発現させる観点から、不織布の単位面積あたり0.3g/m以上が好ましい。
固着されたバインダーは、繊維上または繊維交点の表面に固着して流れ落ちない結着性を有する。また、バインダーは、不織布のクッション性に必要な繊維の可動性に耐えうる強度を有する一方で、可動後の繊維間の位置関係を元に回復させる弾性を備える。さらにバインダーは、弾性ひずみが繊維より大きいことが上記の特性をより良くする観点から好ましい。
バインダーとしては種々用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル・エチレン系樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどが挙げられる。
特に、繊維交点における繊維の立体交差の配置を保持、復元し得る粘性、結着性及び軟性を有するものとして、アクリル系樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどが好ましい。
上記バインダーは、親水性(接触角が100°以下となることを指す)を示す。親水性バインダーであることにより、繊維上のバインダーは吸収性能に寄与し、前記不織布から吸収性コアへの液の移行を促進し該不織布の濡れを抑制する。
前記反対面(第2面)側において、バインダーが存在する程度は、下記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)によって測定されるバインダーの単位面積当たりの存在面積率によって示される。
本実施形態の吸収性物品用不織布において、前記反対面(第2面)側におけるバインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)が0.03%以上0.16%以下であることが好ましい。このバインダーの存在面積率は、従来のレジンボンド不織布におけるバインダーの存在面積率に比して極めて小さく、本実施形態の吸収性物品用不織布におけるバインダー量が低坪量であることを意味する。
これにより、本実施形態の吸収性物品用不織布では、繊維間の空間へのバインダーの膜張りが抑えられて、前述の高通気性がより維持されやすくなる。特に、前述の潰れ試験後の通気度がより優れたものとなる。
前記反対面(第2面)側における前記バインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)は、膜張りをより抑える観点から0.06%以下がより好ましく、0.05%以下が更に好ましい。
また、前記反対面(第2面)側における前記バインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)は、バインダーの弾性効果を発現させる観点から0.02%以上がより好ましい。
上記のバインダーの存在の有無、前記反対面(第2面)側でのバインダーの存在面積率(M1)(%)の測定は下記の方法によって行うことができる。
(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)
(1a) 測定試料として0.3gの不織布試料を用意する。次いで、酢酸エチル100mLを入れたビーカーに該不織布試料を入れて、30分間撹拌し、該不織布試料を取り出し乾燥させる。これにより、スキンケア剤、ホットメルト型接着剤等の不織布試料に付着していた成分を洗い流す。
(1b) 繊維表面に固着しているバインダーを繊維と異なる色に染色して両者を識別する鑑別試薬(繊維鑑別試薬ボウケンステインII、一般財団法人ボーケン品質評価機構製)を用いて、不織布試料の染色処理を行う。
(1c) 不織布試料を水平面に静置した状態で、露出する前記反対面を、デジタルマイクロスコープVHX-900(商品名、株式会社キーエンス製)を用いて100倍で観察画像を撮像する。観察画面の大きさは縦2.5mm、横3.0mmを拡大したものとする。
(1d) 前記反対面の観察画像について3値化処理し、3値化した色によって、バインダーに覆われていない繊維領域、バインダー領域、その他の領域(繊維間の空隙など)を特定する。これに基づき、バインダーの存在面積とバインダーに覆われていない繊維面積を算出する。単位面積での大小関係を考えるため、一方の面側及び反対面側それぞれについて、バインダーの存在面積とバインダーに覆われていない繊維面積を足して100としたときの、バインダーの単位面積あたりの存在面積率とバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率を算出する。同一サンプルにおいて、前記測定面の各3点において上記測定を行い、平均したものを測定値のデータとする。
上記(1b)の染色処理の処理内容を説明する。
(1b-1) ボウケンステインIIの容器をよく振りまぜ、充分に混合させる。
(1b-2) 混合させたボウケンステインIIを200mL程度の大きさのビーカーに1.5mL取り、脱イオン水を加え、全量が30mLとなるように、染液を作成する。
(1b-3) 染液を加熱し、沸とう前の90℃程度のときに不織布試料を投入し、2分間95℃で煮沸させる。
(1b-4) 不織布試料を取り出し、充分水洗いした後、乾燥させる。
(1b-5) 鑑別色と比較し判定する。例えば、アクリル系樹脂又はスチレン・ブタジエンゴムを含むバインダーは赤色に染色され、繊維が白色のままとなる。ただし、バインダーの染色の色は、バインダー成分によって異なる。
上記(1d)の算出処理の具体例を下記に示す。この具体例では、繊維鑑別試薬ボウケンステインIIを用いて、アクリル系樹脂又はスチレン・ブタジエンゴムを含むバインダー領域が赤色に染色され、繊維領域が白色のままであり、バインダー領域及び繊維領域以外のその他の領域(繊維間の空隙など)は黒色となる。
(1d-1) 観察画像を3値化処理(白・赤・黒)する。これは、コンピューターでの画像処理によって行い、RGBカラーモデルでの赤色面積、白色面積の算出となる。
(1d-2) RBGカラーモデルからHSVカラーモデルに変換する。HSVカラーモデルにおいて、赤色は、H:0°以上90°以下及び270°以上360°以下、S:30%以上100%以下、V:40%以上100%以上と定義する。白色は、H:0°以上360°以下、S:0%以上20%以下、V:40%以上100%以下と定義する。黒色は、上記以外の範囲と定義する。
(1d-3) このようにしてHVSカラーモデルにおいて赤色面積(バインダー)と白色面積(繊維)を算出し、前記(d)の処理を行う。
前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)において、観察画像は、撮像した表面のみならず、そこから観察し得る厚み内部も捉えることができる(観察画像においてピントの合っている範囲が測定対象となる。)。なお、これらのことは、他の測定方法において、前記(1a)~(1c)によって観察画像を取得して測定を行う場合に同様に当てはまる。
これにより、前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)においては、単に不織布の表面だけでなく厚み内部のバインダー領域までも捉えて、不織布におけるバインダー固着量を、繊維との対比における相対的な面積割合として把握することができる。
前記反対面(第2面)側において、バインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)は、バインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率(M2)よりも小さいことが好ましい。これにより、前記反対面(第2面)側における繊維間距離を保持して、バインダーによる過度な膜張りを抑えて、通気性を高めることができる。
また、バインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)がバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率(M2)より小さいことで、バインダー同士の接触を抑えることが可能となる。これにより、バインダー同士が接触することによる粘着性の影響を抑え、繊維とバインダーの接触による該バインダーの弾性の発現をより有効にすることができる。その結果、バインダーによる前述の作用を効果的に発現させることができる。
このバインダーの単位面積当たりの存在面積率(M1)とバインダーに覆われていない繊維の単位面積あたりの存在面積率(M2)との差(M2-M1)は、前記反対面(第2面)側において、バインダーの粘着性よりも弾性を効果的に発現させて前述の作用を高める観点から80%ポイント以上が好ましく、90%ポイント以上がより好ましく、99%ポイント以上が更に好ましい。
また、前記差(M2-M1)は、バインダーの弾性効果を発現させる観点から、99.99%以下が好ましく、99.95%以下がより好ましく、99.9%以下が更に好ましい。
さらに、本実施形態の吸収性物品用不織布では、反対面(第2面)側において、バインダーが繊維交点に存在することが好ましい。これにより、前述のバインダーの弾性による不織布厚みの回復性をより高め、前述の高通気性が更に維持されやすくなる。
この観点から、バインダーは、前記反対面側が前述の平均繊維径(K2)の太い繊維を有する状態で、繊維交点に存在することが好ましい。
繊維交点に存在するバインダーは、繊維同士が交差して重なった繊維の集合部分の外側表面を覆っていることが好ましい。また、バインダーは、繊維交点に存在しながら、繊維交点以外の繊維表面にまで延出して存在することが好ましい。
繊維交点に対して、前記バインダーは例えば次のように作用する。
まず、図2(A)及び(B)に示す不織布100のように、一方の面1Aに対して、圧縮力(押圧力)Fを加え、その後、圧縮力Fを取り除くとする。このとき不織布100内の繊維交点6では、バインダーの弾性によって繊維の立体交差形状の保持性が高い。また、圧縮力Fによって繊維7の立体交差が潰され場合でも、押圧力Fを取り除くと、バインダー8の弾性によって繊維交点6における繊維8の立体交差の配置が回復される(図2(C))。このような不織布の厚みに対するバインダーの作用によって、不織布100は厚み回復性が高くなる。このことは、人体による圧縮の他、製品が包装袋に封入された状態で圧縮圧力を受ける状況においても同様に、包装袋から取り出されたときにも同様に生じ得る。なお、図2(A)及び(B)では不織布100は基材200の上に載置された状態として示しているが、この形態に限定されるものではない。
バインダーの上記作用は、不織布が濡れた状態においても効果的に発現し得る。そのため、本実施形態の吸収性物品用不織布を組み込んだ吸収性部物品の使用時において、着用者が排泄をした場合でも、吸収性物品の厚み回復性が高いものとなる。
バインダーは粘着性を有することから、少量で前述の効果を発揮することができる。そのため、バインダーが存在する繊維交点は、繊維同士の融着点であることが好ましい。融着していない繊維同士の交差部分に比べて、融着点では既に結着された交点を形成しているために、バインダーによる交点の形成が不要である。これにより、繊維同士の融着点では、融着していない繊維交点に比べて、厚み回復性のための少量のバインダーを存在させればよく、バインダーの弾性による厚み回復効果が該バインダーの粘着性によって低減するのを回避することができる。
バインダーが繊維同士の融着点に存在すると、固定された繊維同士の位置関係(立体交差関係)をより強固に維持することができる。
また、前記バインダーが融着していない繊維同士の交差部分に存在すると、押圧時の柔らかな変形性を有しながら、繊維同士の位置関係(立体交差関係)を回復させることができる。
不織布の厚み回復性と柔らかなクッション性との両立の観点から、繊維同士の融着点及び融着していない繊維同士の交差部分の両方に前記バインダーが存在することが好ましい。この場合、バインダーが存在する繊維交点の数としては、融着した繊維交点数>融着していない繊維交点数であることが好ましい。
融着点は、交差する繊維同士の接点において、前述のバインダーを介在させることなく、繊維同士が融着した部分である。この融着点は、例えば繊維ウェブから不織布を形成する際の加熱処理によって、繊維同士が溶融して形成され得る。加熱処理としては、例えば、熱風を吹き付けるエアスルー処理、熱エンボス処理が挙げられる。加熱処理によって融着点を形成する場合、不織布の構成繊維に熱可塑性繊維が含まれていることが好ましい。
前記反対面(第2面)側において、バインダーの繊維交点に存在する程度は、下記(反対面(第2面)側におけるバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)によって測定されるバインダーの繊維交点上の存在率によって示される。
そのバインダーの繊維交点上の存在率は下記の範囲にあることが好ましい。
前記反対面(第2面)側におけるバインダーの繊維交点上の存在率は、不織布の単位面積当たり5%以上60%以下であることが好ましい。これにより、不織布が有する繊維交点に対してバインダーが適量存在し、バインダーによる繊維同士の貼り付きが抑えられ、繊維交点における繊維の立体交差の配置がより円滑に回復されやすくなる。また、前述のバインダーの作用による液の低保持性(液透過性)の向上とともに、不織布のべたつき感を抑えることができる。
前記反対面(第2面)側におけるバインダーの繊維交点上の存在率は、上記効果をより高める観点から、不織布の単位面積当たり10%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。
前記反対面(第2面)側におけるバインダーの繊維交点上の存在率は、バインダーの粘着性よりも弾性をより効果的に発現させる観点から、不織布の単位面積当たり50%以下であることがより好ましく、35%以下であることが更に好ましい。
さらに、上記の繊維交点には繊維同士の融着点と非融着の交点があるところ、前記バインダーの繊維交点上の存在率における繊維交点は融着点であることが好ましい。バインダーの融着点上の存在率は、前述の数値範囲にあることが好ましい。これにより、バインダー量を少なくすることで粘着性の発現を抑えるとともに、通気性を確保することができる。
(反対面(第2面)側におけるバインダーの繊維交点上の存在率の測定方法)
(2a) 前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1a)、(1b)及び(1c)の処理を行う。
(2b) 不織布試料の反対面(第2面)側の観察画像内に、直径1.0mm(観察画像内の寸法)の基準円Cを付する。基準円C内の繊維交点数(N)と、該繊維交点数(N)の中で、染色された繊維交点数(Nb)をカウントする。カウントした結果、染色された繊維交点数(Nb)の大きい面側を測定面側とする。(観察画像においてピントの合っている範囲が測定対象となる。)繊維交点は、繊維同士が融着したものも融着していないものもカウントする。
(2c) 単位面積当たりの、バインダーの繊維交点上の存在率を下記式(S2)に基づいて算出する。
H(%)=Nb÷N×100 (S2)
H:単位面積当たりの、バインダーの繊維交点上の存在率
Nb:基準円C内の染色された繊維交点数
N:基準円C内の繊維交点数(Nbも含めてカウント)
これらを同一の不織布試料で各3点観察画像を用意・測定し、平均したものを測定値のデータとする。
なお、図3は、観察画面に付した基準円C内に、繊維7同士が交わる複数の繊維交点6、染色された繊維交点61が存在することを示している。
本実施形態の吸収性物品用不織布は、繊維同士を、バインダーを用いずに結着させたものであることが好ましい。これにより、バインダー量を大きく減らすことができ、変形しやすいふっくらとした風合いを更に高めることができる。加えて、前述の厚み回復性によって、へたれにくくして、前述の高通気性を更に高めることができる。
特に、本実施形態の吸収性物品用不織布は、繊維同士が融着している不織布であることが好ましい。例えば、サーマルボンド不織布が好ましく、その中でもエアスルー不織布がより好ましい。エアスルー不織布は肌触りを柔らかくして風合いの良いものとすることができる。加えて、厚みを大きくしてクッション性を持たせ、風合いをより良いものとすることができる。
また、本実施形態の吸収性物品用不織布は、サーマルボンド不織布であることによって、レジンボンド不織布に比して、低坪量で繊維間空間をより大きくすることができる。低坪量と同時に厚みを持たせることができる(嵩高くできる)。加えて、バインダーを繊維交点に存在させやすくすることができる。これにより、前述の高通気性がより維持されやすくなる。
上記の繊維同士が融着した融着点の有無は下記の方法によって確認することができる。
(融着点の存在の有無の確認方法)
(3a) 前記(バインダーの存在の有無の確認方法及び存在量の測定方法)の(1a)、(1b)及び(1c)の処理を行う。
(3b) 不織布試料の反対面(第2面)側の観察画像内で、染色されていない繊維同士の融着点が観察されるかを確認する。
本実施形態の吸収性物品用不織布は、厚み方向において凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部を具備する凹凸形状を有することが好ましい。凹凸形状にすることで、本実施形態の吸収性物品用不織布は、坪量を抑えながらより嵩高く(厚みがあり)、肌触りが良いものとなる。
このような前記凹凸形状を有する嵩高い不織布は、前述のバインダーの作用により、押圧力に対して厚み回復性が高いものとなる。すなわち、前記不織布は高いクッション性が押圧後においても保持し得るものとなる。
また、前記不織布においては、従来のレジンボンド不織布と異なり、バインダーの固着量を厚み回復性に必要な範囲に抑え、べたつき感を低減させている。そのため、凹凸賦形時の支持体への繊維の貼り付きが抑えられ、良好な凹凸賦形が実現できる。
前記「凹凸形状」とは、不織布の水平面に対する鉛直方向の位置によって不織布断面形状が異なる形状を言う。前記「壁部」とは、不織布を水平面に静置したときの、該水平面に対する鉛直方向の厚み(見かけ厚み)の、一方の面側(第1面側)25%と反対面側(第2面側)25%を除いた50%の領域(以下、厚み中間層という)にある繊維層部分を意味する。
本実施形態の吸収性物品用不織布が凹凸形状を有する場合、その形態としては、肌に触れる素材として通常用いられる種々のものとすることができる。例えば、凹凸形状としては、凸部が中実のもの、凸部が中空のもの、繊維層が一層構造のもの、繊維層が二層構造のもの、凸部が平面方向に散点状に配置されているもの、凸部及び凹部が畝溝状に配置されているものなど様々な種類がある。また、片面に限らず、両面に凹凸する形状を有するのものであってもよい。各種類は具体的には、図4~17に示す不織布が挙げられる。
その中でも、凹凸形状の凸部が中空であり、不織布の両面に凹凸形状を有する、一層構造の不織布が好ましい。例えば、下記の不織布80(具体例1)や不織布90(具体例2)がある。
これらについて以下に説明する。
不織布80(具体例8)は、熱可塑性繊維を含む一層構造を有し、下記に示す凹凸形状を有する。
すなわち、第1面(一方の面)1A側及び第2面(反対面)1B側の外面繊維層81、82と、第1面1A側の外面繊維層1と第2面1B側の外面繊維層2との間に配在した複数の連結部83とを有する。第1面1A側の外面繊維層81及び第2面1B側の外面繊維層82と連結部83とは相互に一部繊維が融着している。
また、第2面1B側の外面繊維層82と連結部83には、バインダーが繊維交絡点に存在しており、繊維交絡点を覆うようにバインダーが付着している。
この外面繊維層81、82と連結部83とにより、不織布80は、その厚み方向において中空の凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部を具備する凹凸形状を有する。この凹凸形状は、第1面1A側及び第2面1B側の両方に形成されている。具体的には、第1面1A側において外面繊維層81がなす凸部81と外面繊維層81間の凹部88とが凹凸形状を有する。第2面1B側において外面繊維層82がなす凸部82と外面繊維層82間の凹部89とが凹凸形状を有する。外面繊維層81がなす凸部81及び外面繊維層82がなす凸部82はいずれも中空である。連結部83は、凸部81と凹部88(凸部82と凹部89)とを繋ぐ壁部83をなしている。
この不織布80について、特開2019-44319号公報の段落[0010]~[0048]に記載の種々の構成を採用することができる。例えば、不織布80の凹凸形状は、第1面1A側において外面繊維層81がなす凸部81とその間の凹部88とが畝溝状に配置された形状であってもよい。同様に、第2面1B側において外面繊維層82がなす凸部82とその間の凹部89とが畝溝状に配置された形状であってもよい。また、外面繊維層81、82は、平面方向に繊維が配向していてもよい。連結部83がなす壁部83は縦配向した繊維を有していてもよい。第1面1A側の凸部となる外面繊維層1が、不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する2種(第1外面繊維層81A及び第2外面繊維層81B)を有していてもよい。複数の連結部83は、不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれの方向に沿って配され、該連結部83の壁面の向きを互いに異ならせた2種(第1連結部83A及び第2連結部83B)を有していてもよい。この場合、第1連結部83A及び第2連結部83Bは、互いに壁面の向きが異なっていても、繊維が縦配向していてもよい。
この不織布80は典型的には図4に示された形状を有する。
このような不織布80は、特開2019-44319号公報の段落[0049]~[0057]に記載の方法によって製造することができる。
不織布90(具体例2)は、熱可塑性繊維を含む一層構造を有し、下記に示す凹凸形状を有する。
すなわち、第1面(一方の面)1A側には、不織布の厚み方向において第1面1A側に突出する複数の縦畝部911が、平面視した第1面1A側の一方向に延びて配されている。縦畝部911は、第1面1A側の一方向とは異なる平面視した第1面1A側の他方向に離間して並んで配されている。加えて、第1面1A側の他方向に延びる横畝部921が縦畝部911を繋いで配されている。縦畝部911及び横畝部921はそれぞれ中空の凸部を形成している。不織布90は、その厚み方向において、縦畝部911及び横畝部921とその間の凹部922とによって、凸部、凹部、及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部911Wを具備する凹凸形状を有する。第1面1A側において、縦畝部911及び横畝部921がなす凸部は、不織布90の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する。この場合、不織布90の第1面側における凹凸形状は、縦畝部911及び横畝部921のそれぞれがなす凸部とその間の凹部とが畝溝状に配置された形状であってもよい。
また、第2面(反対面)1B側には、平面視した第2面1B側の一方向に延び、かつ第2面1B側の一方向とは異なる第2面1B側の他方向に並ぶ複数の中空の凸条部931が配されている。また、複数の凸条部931に挟まれた凹条部936が第2面1B側の一方向に延びている。不織布90の第2面1B側における凹凸形状は、凸条部931と凹条部936とが畝溝状に配置された形状を有する。凸条部931は、複数の凸部934が尾根状に連なってなり、平面視において幅が細い部分と太い部分とが交互に繋がって配されている。尾根状に連なっている凸部934の間はやや低い窪み935がある。不織布90は、その厚み方向において、凸条部931及び凹条部936によって、凸部、凹部及び該凸部と該凹部とを繋ぐ壁部931Wを具備する凹凸形状を有する。
また、凸条部931及び凹条部936、壁部931Wには、バインダーが繊維交絡点に存在しており、繊維交絡点を覆うようにバインダーが付着している。
不織布90について、特開2019-44320号公報の段落[0012]~[0058]に記載の種々の構成を採用することができる。例えば、縦畝部911を構成する繊維と横畝部921を構成する繊維の配向方向が異なっていてもよい。縦畝部911の高さと横畝部912の高さが異なっていてもよく、横畝部921が不織布90の厚み方向に湾曲していてもよく、均等の高さとしていてもよい。また、第2面1B側から平面視した凸条部931の幅方向の輪郭を構成する二本の線のそれぞれが複数の弧を有する曲線であってもよい。凸条部931の側部に毛羽が配されていてもよい。
この不織布90は典型的には図5~10に示された形状を有する。
このような不織布90は、特開2019-44320号公報の段落[0059]~[0065]に記載の方法によって製造することができる。
本実施形態の吸収性物品用不織布は、親水性の繊維からなり、液透過性を有することが好ましい、これにより、本発明の吸収性物品用不織布が表面シートとして用いられた際に、排泄液に対する優れた透過性とともに、変形しやすいふっくらとした風合いでへたりにくく、吸収性物品の肌触りが更に向上する。さらに、本発明の吸収性物品用不織布は、前述の高通気性が維持されやすいので、吸収性物品の肌に与えるドライ感が更に向上する。
本実施形態の吸収性物品用不織布の厚みは、ふっくらとした風合いの観点から、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましい。
また、本実施形態の吸収性物品用不織布の厚みは、不織布強度を担保する観点から、9mm以下が好ましく、8.5mm以下がより好ましく、8.3mm以下が更に好ましい。
本実施形態の吸収性物品用不織布の坪量は、やわらかい風合いを担保する観点から、10g/m以上が好ましく、20g/m以上がより好ましく、25mmg/mが更に好ましい。
また、本実施形態の吸収性物品用不織布の坪量は、通気性を担保する観点から、50g/m以下が好ましく、40g/m以下がより好ましく、35g/m以下が更に好ましい。
本発明の吸収性物品用不織布は各種用途に用いることができる。例えば、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シート、コアラップシート及びセカンドシートの1又は複数の構成部材として好適に使用することができる。さらに、吸収性物品のギャザー部のシート、外装シート、ウイング部のシートとして利用する形態も挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。下記表中における、「-」は、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。
(実施例1)
(1)原料不織布の作製
表1に示す平均繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維(芯:ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、鞘:ポリエチレン(以下、PEともいう))を用いて、エアスルー法によって図5~10に示す凹凸形状の原料不織布を作製した。原料不織布の大きさは、100mm×100mmとした。
具体的には、特許文献4の段落[0059]~[0065]に記載の製造方法に基づき作製した。このとき第1の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/秒、吹き付け時間6秒条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/秒、吹き付け時間6秒条件で行った。
(2)バインダー塗布液の調製
固形分50%程のバインダー溶液を10質量%、脱イオン水を90質量%となるように混ぜ、バインダー塗布液を調整した。バインダーは市販のアクリルエマルションの内、高弾性のタイプを使用した。
(3)バインダー塗布液の吹き付け
次いで、原料不織布に対し、凸条部931及び凹条部936が配された第2面(反対面)1Bに対し、スプレーによってバインダー塗布液を均等に塗布した。バインダー塗布液の塗布量は3.5g/mとした。
これにより、表1に示す坪量を有する、実施例1の吸収性物品用不織布試料A1を作製した。バインダーは不織布の厚み中心部まで付着し、特に繊維交点へ多く付着するように存在していた。
(実施例2)
坪量を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の吸収性物品用不織布試料A2を作製した。
(実施例3)
坪量及び第2面側の平均繊維径を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の吸収性物品用不織布試料A3を作製した。
(実施例4)
特許文献4の段落[0059]~[0065]に記載の作製方法において、支持体の突起の高さを6.0mmに変更することで50Pa荷重時の不織布の見かけ厚みと坪量を表1に示すとおりとし、実施例1のものよりも嵩を低くした以外は実施例1と同様にして、実施例4の吸収性物品用不織布試料A4を作製した。
(実施例5)
原料不織布として、特開2019-44319号公報の段落[0049]~[0057]に記載の製造方法によって図11に示す支持体を用いて作製した以外は実施例1と同様の方法によって、実施例5の吸収性物品用不織布試料A5を作製した。不織布試料A5は、図4に示す凹凸形状を有するものとした。
なお、上記の製造方法において、図11に示す支持体雄材120として、突起121の高さを8mmとし、角柱形状、上面から見ると2mm×2mmの正方形のものを用いた。角柱のピッチはMD方向、CD方向それぞれ5mmとした。図11に示す支持体雌材130として、支持体雄材120の凹部122に対応する格子状の突起131を有する金属製のものを用い、支持体雄材120の突起121間に押し込んだ。支持体雌材130の隣り合った突起121、121間は5mmピッチで配置されており、支持体雄材120と支持体雌材130が押し込まれた時の繊維が入る空間は片側0.5mmで、支持体雄材120の突起120の両側合わせて1mmあった。熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/秒、吹き付け時間6秒の条件にて行った。
(比較例1)
表1に示す平均繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維を用いて、エアスルー法によって特許文献2の実施例1に記載の凹凸形状の不織布を作製した。坪量は表1に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例1の吸収性物品用不織布試料C1とした。
(比較例2)
表1に示す平均繊維径の芯鞘型の熱可塑性複合繊維を用いて、エアスルー法によって、凹凸の無いフラットな不織布を作製した。坪量は表1に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例2の吸収性物品用不織布試料C2とした。
(比較例3)
中国にて販売されていたThe Procter & Gamble Company製パンパース超薄干爽(2018年5月入手)のMサイズテープおむつから、表面シートの裏に配置されている不織布を取り出して酢酸エチル100mLのビーカーに不織布試料を入れて30分間撹拌後、該不織布試料を取り出し乾燥させた。これにより得た不織布を吸収性物品用比較例2の不織布試料C3とした。
不織布試料C3は、凹凸形状を有さずフラット形状を有するものであった。
(比較例4)
表1に示す繊維径の繊維(PET)を用いて、特許文献3の実施例1に記載の凹凸不織布を作製した。坪量は表1に示すとおりとした。該不織布にはバインダー塗布液を塗布することなく、そのまま比較例4の吸収性物品用不織布試料C4とした。
上記実施例及び比較例について、前述の(不織布の見かけ厚みの測定方法)、(不織布の潰れ試験方法)及び(通気度の測定方法)に基づいて、不織布試料の見かけ厚み、潰れ試験前及び潰れ試験後の不織布試料の通気度を測定した。また、これに基づいて通気度の変化率を算出した。
結果は下記表1に示す通りであった。
Figure 0007466355000001
表1に示すとおり、実施例1~5の各不織布試料は、見かけ厚みの変形率が大きいのと同時に、通気度の変化率が小さく抑えられ、かつ潰れ試験後の通気度が高く維持されており、比較例1~4の各不織布試料に比べて、厚みが変形しやすく、交通規制が維持されていた。
6 繊維交点
7 繊維
8 バインダー
80、90 凹凸形状を有する不織布
81、82、931 凹部
88、89、936 凸部
83、931W 壁部
100 不織布

Claims (5)

  1. 一方の面側と該一方の面側の反対面側とを有する吸収性物品用不織布であって、
    前記反対面側に、融着した繊維同士の繊維交点及び融着していない繊維同士の繊維交点の両方にバインダーが存在し、
    前記バインダーが存在する繊維交点の数としては、融着した繊維交点数>融着していない繊維交点数であり、
    前記吸収性物品用不織布の50Pa荷重時の見かけ厚みが6mm以上であり、
    2.5kPaで圧縮されたときの見かけ厚みが、前記50Pa荷重時の見かけ厚みの、半分以下であり、
    下記通気度の変化率が下記潰れ試験の前と後で12%以下であり、該潰れ試験後の下記通気度が50cc/sec以上である、吸収性物品用不織布。
    〔潰れ試験〕
    20kPaの荷重で前記不織布を0.7mmまで圧縮する。この時不織布が0.7mmとなるようスペーサーをかませて圧縮する。この圧縮状態を50℃雰囲気下で24時間保持した後、圧縮状態から解放し、常温(25℃)雰囲気下で30分間放置する。
    〔通気度〕
    2.5kPa荷重時の不織布厚みになるように不織布をガーレー透気度(JIS P8117)B型試験機に挟み、JIS P8117試験方法にのっとり、ストップウォッチを用いて、0から100ccまでの目盛りが外筒の縁を通過するのに必要な時間(秒)を測定し、1秒あたりの透気量を算出する。測定は、3回行い、平均して不織布の2.5kPa荷重時の通気度とする。
  2. 前記一方の面側よりも前記反対面側の方が、平均繊維径が大きい、請求項1記載の吸収性物品用不織布。
  3. 前記反対面側の平均繊維径が15μm以上である、請求項1又は2記載の吸収性物品用不織布。
  4. 前記反対面側において前記バインダーの存在面積率が0.03%以上0.16%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布を有する吸収性物品。
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