JP2021078918A - 吸収性物品用シート及びこれを用いた吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品用シート及びこれを用いた吸収性物品 Download PDF

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Abstract

【課題】汗等の液が着用者の肌に残りにくく、皮膚トラブルを低減することができる吸収性物品用シートを提供すること。【解決手段】本発明の吸収性物品用シート10は、第1面F側に配される第1層11と、第1面F側の反対側である第2面R側に配される第2層12とを備える。第2層12は、水との接触角が60度以下の第2繊維2を含む繊維集合体であり、第1層11は、水との接触角が第2繊維2よりも20度以上大きい第1繊維1を含む繊維集合体である。吸収性物品用シート10は、該シート10の0.5g/cm2の荷重時における見かけ厚みを仮想的に等分する仮想等分線L1を考えたとき、該シート10は該仮想等分線L1よりも第1層11側に突出した凸状部位15を複数有する。凸状部位15は、厚みが50μm以下の肉薄部18を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性物品用シート及びこれを用いた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品において、着用者の汗を吸収して使用感を向上させるために、吸収性物品の肌対向面側に複層構造の不織布が用いられている。本出願人は、吸収した汗を素早く非肌対向面側に移行させることを目的として、肌当接面を形成する疎水性の肌側シートと、該肌側シートの非肌対向面側に位置する親水性の非肌側シートとが複数の接合部によって接合された背側ウエストフラップを備える吸収性物品を提案した(特許文献1及び2参照)。
また特許文献3には、少なくとも二種の繊維層からなる液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に位置する吸収体とを含む、吸収性物品が開示されている。この表面シートは、肌対向面側の面の方向に向けて突出する複数の凸部と、隣り合う凸部の間に設けられ、非肌対向面側の面の方向に向けて窪む複数の凹部とを備えていることが同文献に記載されている。
特開2017−113186号公報 特開2017−113188号公報 特開2016−220986号公報
特許文献1及び2に記載の吸収性物品は、吸収した汗を素早く非肌対向面側に移行させて、皮膚トラブルを低減することができるものであるが、更なる吸汗性の向上に関して改善の余地があった。また特許文献3に記載の吸収性物品は、吸汗性の向上に関して何ら検討されておらず、また吸汗性の向上に寄与するものではない。
したがって、本発明は、汗等の液が着用者の肌に残りにくい吸収性物品用シートを提供することを目的とする。
本発明は、第1面側に配される第1層と、該第1面側の反対側である第2面側に配される第2層とを備える吸収性物品用シートであって、
前記第2層は、水との接触角が70°以下の第2繊維を含む繊維集合体であり、
前記第1層は、水との接触角が第2繊維よりも20°以上大きい第1繊維を含む繊維集合体であり、
前記吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重時における見かけ厚みを仮想的に等分する仮想等分線を考えたとき、該シートは該仮想等分線よりも第1面側に突出した凸状部位を複数有し、
前記凸状部位は、実質厚みが50μm以下の肉薄部を有する、吸収性物品用シートを提供するものである。
本発明によれば、汗等の液が着用者の肌に残りにくい吸収性物品用シートが提供される。
図1は、本発明の吸収性物品用シートの無荷重状態における一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重負荷時における一実施形態を模式的に示す厚み方向断面図である。 図3(a)ないし(c)は、本発明の吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重負荷時における凸状部位の一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 図4(a)及び(b)は、本発明の吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重負荷時における凸状部位の別の実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 図5(a)及び(b)は、本発明の吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重負荷時における別の実施形態を模式的に示す厚み方向断面図である。 図6は、比較例1で用いた繊維シートを模式的に示す断面図である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1ないし図5に示す吸収性物品用シート10(以下、これを単に「シート10」ともいう。)は、尿や経血等の体液を吸収する吸収性物品の構成部材として用いられるものである。
図1には、シート10の無荷重状態における一実施形態を模式的に示している。シート10は、第1面Fと、第1面Fの反対側に位置する第2面Rとを備える。シート10は、第1面F側に配された第1層11と、第2面R側に配された第2層12とを備え、各層11,12が互いに隣接して配された二層構造のシートである。シート10は、その第1面F側に向かって突出した凸部10aが一面に複数形成されており、凸部10aどうしの間に、第2面R側に向かって凹陥した凹部10bが形成されている。凸部10aは、これらが千鳥格子状に形成されている。したがって、凸部10aに存在する凹部10bも同様に千鳥格子状に形成されている。シート10の第2面Rは、第1面Fと相補形状になっている。詳細には、第1面Fにおいて凸部10aが設けられている位置に対応する第2面Rの位置には、第1面F側に向かって凹陥した凹部が設けられている。また第1面Fにおいて凹部10bが設けられている位置に対応する第2面Rの位置には、第2面R側に向かって突出した凸部が設けられている。各凸部10a並びに各凹部10bの高さはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
図2には、シート10の0.5g/cmの荷重負荷時における模式的な断面図が示されている。シート10は、第1繊維1を含む第1層11と、第2繊維2を含む第2層12とを備える液透過性且つ二層構造のシートである。シート10は、第1層11によって形成された第1面Fと、第1面Fと反対側の面であって、第2層12によって形成された第2面Rとを有する。シート10が吸収性物品の構成部材として用いられる場合、第1面Fは着用者の肌と当接する面である肌当接面側に好ましく配され、第2面Rは肌当接面とは反対側の面である非肌当接面側に好ましく配される。なお、図2に示す第1繊維1及び第2繊維2は、その繊維径が異なるように図示されているが、第1層及び第2層に関する説明の便宜上、そのように示しただけであり、両繊維の繊維径は互いに同一であってよく、第2繊維2の繊維径が第1繊維1の繊維径よりも大きくてもよく、第1繊維1の繊維径が第2繊維2の繊維径よりも大きくてもよい。各繊維における繊維径の好適な態様に関する説明は後述する。
図2に示すシート10の第1層11は、第1繊維1を含む繊維集合体から構成されている。また同図に示す第2層12は、第2繊維2を含む繊維集合体から構成されている。シート10を構成する第1繊維1と第2繊維2とは、水との接触角が異なっており、第1繊維1と水との接触角θ1は、第2繊維2と水との接触角θ2よりも20°以上大きい。
詳細には、第1繊維1と水との接触角θ1は、第1層11と第2層12との親水度勾配を大きくして、汗等の液を第2層12側へ移行させやすくする観点から、好ましくは70°以上、より好ましくは80°以上であり、汗等の液がシート10側に確実に付着しやすくする観点から、好ましくは110°以下、より好ましくは100°以下である。
また、第2繊維2と水との接触角θ2は、毛管力を高めて、着用者の肌に存在する汗等の液を第2層12側に引き込みやすくする観点から、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下であり、現実的には0°以上であり、好ましくは20°以上である。
着用者の肌に存在する汗等の吸液性を更に高める観点から、第1繊維1と水との接触角θ1と、第2繊維2と水との接触角θ2との差(θ1−θ2)は、好ましくは20°以上であり、好ましくは70°以下である。
繊維と水との接触角は、以下の方法で測定することができる。すなわち、シート10を構成する表裏面のうち、一方の表面に位置する繊維と、他方の表面に位置する繊維とのそれぞれを、ピンセットと剃刀又はハサミとを用いて、繊維長が1mm以上の長さになるように且つ繊維を引っ張らないように丁寧に取り出し、これらの繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いて、温度22±2℃、湿度60±5%RHの環境下にて測定する。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を10ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17m秒毎に画像が録画される。録画された映像において、シート10から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、水滴と繊維とが接する側の角度を接触角とする。一方の表面及び他方の表面から取り出した繊維はそれぞれ、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる3箇所の接触角を小数点以下1桁まで計測し、算術平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)をその繊維の接触角とし、N=100本に対して同様に各繊維の接触角を算出する。一方の表面から取り出した合計100本の繊維の接触角を算術平均した値と、他方の表面から取り出した合計100本の繊維の接触角を算術平均した値を比較したときに、接触角が大きい方の表面を第1層11の表面、接触角が小さい方の表面を第2層12の表面とする。そして、第1層11の表面から取り出した100本の繊維の接触角を、接触角が大きい順番に並べたときに、上位60本の繊維の接触角を算術平均した値を第1繊維1と水との接触角(°)とし、第2層12の表面から取り出した合計100本の繊維の接触角を、接触角が小さい順番に並べたときに、上位60本の繊維の接触角を算術平均した値を第2繊維2と水との接触角(°)とする。接触角が小さいほど親水性が高いことを示している。つまり、本発明に用いられる第2繊維2は、第1繊維1よりも親水性が高いものである。
上述した繊維と水との接触角の測定において、繊維長1mmの繊維を採取することが困難である場合は、シート10をサンプル台に載せ、シート10の測定対象面におけるサンプル台の面と繊維表面とが略平行となっている繊維に対して、上述の方法で水滴を着滴させることで、繊維の接触角を測定することができる。また、測定対象となるシートが吸収性物品に組み込まれている場合、該シートを含む領域を他の構成部材とともに切り出して試験片とし、ドライヤー等を用いて、該試験片に対して熱風を吹き付けて接着剤の影響を除去しながら、測定対象となるシートを丁寧に剥がして採取し、これを本測定に用いるサンプルとする。この手段は本明細書の他の測定においても共通である。
シート10は、これに0.5g/cmの荷重をかけたときに、第1層11側に突出した凸状部位15を複数有する凹凸形状をなす。凸状部位15は、図1における凸部10aに形成される。詳細には、図2に示すように、シート10に0.5g/cmの荷重をかけた状態での該シート10の見かけ厚みについて、該見かけ厚みを仮想的に等分する直線からなる仮想等分線L1を考える。このとき、仮想等分線L1よりも第1面F側に突出した部位が凸状部位15である。凸状部位15どうしの間には、仮想等分線L1よりも第2面R側に凹んだ凹状部位16が形成されている。凹状部位16は、図1に示す凹部10bに形成される。シート10は、これを厚み方向断面視したときに、凸状部位15と凹状部位16とが交互に形成された波形形状となっている。
上述した見かけ厚みは、凸状部位15及び凹状部位16を含む凹凸構造を維持した状態で測定した厚みを指す。見かけ厚みは、以下の方法で測定することができる。詳細には、測定対象のシート10を、50mm四方の寸法で切り出して、測定片を作製する。次いで、平坦な第1プレートを台上に水平に置き、その上に、測定片の第1面F側が第1プレートと対向するように、且つ第1プレートの略中央に測定片を置く。次いで、50mm四方の平坦な荷重プレートを、第1プレートと略平行になるように、且つ測定片を覆うように載せ、該測定片に対して0.5g/cmの荷重を負荷する。この状態で、測定片の側面から、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープVHX−1000。本明細書中、単に「マイクロスコープ」と示す場合は、この型式のものを表す。)を用いて観察する。このとき、第1プレートの上面から荷重プレートの下面までの最短距離を、測定片のシート平面方向における任意の5箇所について測定する。この測定を、測定対象となる同一のシート10から、上述の寸法で切り出した5枚の測定片に対して行い、5測定点×5測定片(計25データ)分の最短距離の算術平均値を、シート10の見かけ厚みとする。
仮想等分線L1は、上述の方法で見かけ厚みを測定したときに、上述の方法で測定されたシート10の見かけ厚みの数値の半分の値をD1とし、第1プレートの上面から荷重プレートに向かって垂直方向にD1離れた位置に形成される、側面視における第1プレート上面に平行な仮想直線とする。測定片を50mm四方に切り出せない場合は、切り出し可能な最大の寸法となる正方形に切り出し、切り出した正方形と同じ面積の平坦な荷重プレートで同様の条件において荷重を負荷して測定する。
図2に示すシート10は、肉薄部18が凸状部位15に形成されている。肉薄部18は、凸状部位15のうち、他の部位よりも厚みが薄い部位を指す。肉薄部18は、例えば、第1層11及び第2層12の各構成繊維が圧縮されたり、融着等によって接合されたりすることによって形成されている。図2に示す実施形態では、肉薄部18は、第1層11及び第2層12の各構成繊維が圧縮されてなる態様で、凸状部位15の頂部15aに形成されている。
肉薄部18は、凸状部位15の頂部15aに形成されていてもよく、凸状部位15の側壁部15bに形成されていてもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。凸状部位15の頂部15a及び側壁部15bとは、シート10の断面視において、上述の方法で規定される仮想等分線L1と、凸状部位15における最も肌に近い部位である頂点との間の厚みを等分する直線状の第2仮想等分線L2を考えたとき、凸状部位15における第2仮想等分線L2よりも第1面F側に位置する部位が「凸状部位15の頂部15a」であり、凸状部位15における第2仮想等分線L2よりも第2面R側に位置する部位が「凸状部位15の側壁部15b」である。第2仮想等分線L2は、上述の方法で見かけ厚みを測定したときにおいて、シート10の見かけ厚みの数値の1/4の値をD2としたときに、第1プレートから荷重プレートに向かって垂直方向にD2離れた位置に形成される、側面視における第1プレート上面に平行な仮想直線とすることができる。
上述した構成を有する吸収性物品用シート10によれば、厚みが薄い肉薄部18が肌当接面側に形成されているので、着用者の肌に付着している汗を肉薄部18に容易に接触させることができ、また、肉薄部18周辺の繊維密度差及び親水度勾配により、肉薄部18を吸収起点として、親水性を有する第2層12側に着用者の肌に付着している汗を引き込みやすくすることができる。その結果、汗の吸収性を高めて、汗の残存に起因する湿疹やかぶれ等の皮膚トラブルを低減させることができる。
このような効果を顕著なものとする観点から、凸状部位15に形成されている肉薄部18の厚みW1(図3参照)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下であり、10μm以上が現実的である。厚みW1がこのような範囲にあることによって、繊維密度が高くなることに起因して、毛管力が強くなるため、汗を肉薄部18から吸収しやすくなる。
肉薄部18の厚みW1は、実質厚みを指し、凸状部位15及び凹状部位16等の凹凸構造を考慮しないシート10そのものの厚みである。肉薄部18の実質厚みの測定は、まず、シート10を0.5g/mの荷重下で液体窒素に浸漬させて、凹凸構造が維持された状態でシート形状を固定する。次いで、シート10の凸状部位15を含むように、且つ切断面がつぶれないように、剃刀及びハンマーを用いて、シート10の見かけ厚み方向にシート10を切断する。その後、シート断面を上述したマイクロスコープにて観察し、凸状部位15における実質厚みが最も薄い部分の実質厚みを測定する。この測定を異なる100箇所の凸状部位15について行い、得られた100箇所の実質厚みを薄い順番に並べたときに、上位50箇所の実質厚みを算術平均した値を、肉薄部18の厚みW1とする。
肉薄部18を吸汗起点としたシート10側への汗の引き込み性を更に高める観点から、図2に示すように、肉薄部18は、凸状部位15の最も肌当接面側に位置することが好ましい。詳細には、肉薄部18は、凸状部位15における頂部15aに位置していることが好ましく、頂部15aにおける頂点を含む領域に位置していることが更に好ましい。凸状部位15における頂部15aは、シート10が着用者の肌に最初に接触する部位であるので、この部位に肉薄部18を設けることによって、肉薄部18と汗との接触性を高めて、汗の吸収性を更に高めることができる。
肉薄部18は、図3(a)ないし(c)に示すように、エンボス部25を有していることが好ましい。エンボス部25は、肉薄部18の一部の領域を構成していてもよく、肉薄部18の全域を構成していてもよい。詳細には、図3(a)に示すように、肉薄部18における第1層11と第2層12とを接合するようにエンボス部25が形成されていてもよく、図3(b)に示すように、肉薄部18における第1層11にのみエンボス部25が形成されていてもよく、図3(c)に示すように、肉薄部18における第2層12にのみエンボス部25が形成されていてもよい。また、肉薄部18がエンボス部25のみによって形成されていてもよい。このような構成を有していることによって、エンボス部25及びその周囲において、各繊維1,2の密度が高くなり、繊維間距離がより短くなるので、当該部位における毛管力を高めることができ、親水性の第2層12側への汗の引き込みをより効果的に発現させることができる。
エンボス部25は、好ましくは繊維どうしの融着又は圧着により密度が高い部分であり、このようなエンボス部25は、好ましくは圧力や熱を所定の位置に付与することで形成される。エンボス部25の成形方法としては、ヒートロールや超音波加圧、レーザー加熱加圧などがあげられる。エンボス部25に柔軟性を発現させ、肌触りの良い風合いとする観点から、超音波加圧を用いることが好ましい。
特に、図3(a)に示すように、肉薄部18に存在するエンボス部25は、第1層11と第2層12とを接合するように形成していることが好ましい。この場合、エンボス部25における第1層11と第2層12との境界面Sは存在していない。このような構成となっていることによって、エンボス部25は、第1層11における疎水性の第1繊維1と、第2層12における親水性の第2繊維2とを構成する原料が混在することになるので、エンボス部25は、第1繊維1単体の場合より親水性が高くなる。その結果、エンボス部25における親水性の向上によって、着用者の肌に存在する汗をシート10側に効率よく付着させやすくするとともに、毛管力の向上によってシート10に付着した汗を親水性の第2層12側へ引き込みやすくすることができる。また、上述した効果を発現しつつ、シート10の製造及び使用に耐え得る強度を発現できるという利点もある。
図4(a)及び(b)に示すように、肉薄部18はシート厚み方向に貫通する開孔部30を有していることが好ましい。肉薄部18に開孔部30が形成されている場合、開孔部30の周縁は、第1層11と第2層12とが融着された融着部40を有していることが更に好ましい。
図4(a)に示す開孔部30は、凸状部位15の頂部15aに形成されており、肉薄部18が存在する領域に形成されている貫通孔である。図4(a)に示す開孔部30の周縁は融着されておらず、第1層11を構成する第1繊維1と、第2層12を構成する第2繊維2とがともに開孔部30に露出した状態となっている。また、図4(b)に示す開孔部30は、図4(a)に示す開孔部30と同様に、凸状部位15の頂部15aに存在する肉薄部18に形成されている。図4(b)に示す開孔部30の周縁には、第1層11を構成する第1繊維1と、第2層12を構成する第2繊維2とがともに融着により接合された融着部40が形成されている。
上述のとおり、シート10は、開孔部30を有していることによって、着用者の肌に存在する汗を親水性の第2繊維2に直接接触させることができるので、汗の吸液性が更に向上する。これに加えて、開孔部30の周縁に融着部40が形成されていることによって、融着部40及びその周囲に存在する第1繊維1及び第2繊維2の繊維間距離が短くなるので、毛管力を高めて、汗の吸液性を一層高めることができる。また、開孔部30が形成されていることによって、シート10の一方の面側から他方の面側への空気の流通が容易となるので、着用者の肌に存在する汗を蒸発しやすくして皮膚トラブルを低減したり、吸収性物品の着用に起因した蒸れ等の不快感を低減したりすることができる。
本発明の効果が奏される限りにおいて、図5(a)及び(b)に示すように、凹状部位16に繊維圧縮部19が更に形成されていてもよい。繊維圧縮部19は、第1層11及び第2層12の各構成繊維が圧縮、又は融着等による接合等の態様で形成されている。図5(a)に示す繊維圧縮部19は、第1層11及び第2層12の各構成繊維が圧縮されてなる態様で、凹状部位16の底部に形成されている。図5(b)に示す繊維圧縮部19は、第1層11及び第2層12がともに接合されたエンボス部25の態様となっている。凹状部位16に繊維圧縮部19が更に形成さている場合、繊維圧縮部19の実質厚みは、毛管力を高めて、吸収した汗を肌から遠ざけるように移動させる観点から、肉薄部18の厚みと同様の範囲とすることができる。
上述したシート10は、例えば以下の方法で製造することができる。まず、公知のウェブ形成手段又は不織布形成手段等によって、第1層11の繊維集合体を構成する第1繊維1を含む繊維ウェブ又は不織布と、第2層12の繊維集合体を構成する第2繊維2を含む繊維ウェブ又は不織布とをそれぞれ作製する。その後、第1層11の繊維集合体と、第2層12の繊維集合体とを同一方向に搬送しながら重ねて、積層体とする。
第1繊維1及び第2繊維2において、上述した水との接触角を満たすように構成するためには、例えば、第1繊維1に合成繊維等の疎水性繊維を用いたり、繊維表面に疎水性処理を施したものを用いたり、又は繊維ウェブ若しくは不織布の形成後に疎水性処理を施したものを用いればよい。また、第2繊維2にパルプ等の親水性繊維を用いたり、繊維表面に親水性処理を施したものを用いたり、又は繊維ウェブ若しくは不織布の形成後に親水性処理を施したものを用いればよい。
次いで、周面が互いに噛み合い形状となっており、且つ噛み合い状態で配置された第1ロールと第2ロールとの間に上述した積層体を導入して、該積層体を凹凸形状に賦形させて、凸状部位15となる凸部10aを積層体に形成する。第1ロール及び第2ロールは、その各周面に、凸状部位15及び凹状部位16に対応する形状の凸部と、凸部間に位置する凹部が散点状等に配されて、所望の凹凸形状パターンと相補的なパターンで複数形成されており、第1ロールの周面と第2ロールの周面とが互いに噛み合うように配置されている。そのような一対のロールを備える装置は、スチールマッチエンボス装置として公知である。以後の工程を簡便に行う観点から、積層体は、第2層12側の面と第1ロールの周面とが対向するように導入されることが好ましい。この場合、第1ロールの周面に位置する凸部は、凸状部位15となる凸部10aの形成予定位置となり、第1ロールの周面に位置する凹部は、凹状部位16となる凹部10bの形成予定位置となる。
続いて、凹凸賦形された積層体を第1ロールの周面部に沿わせた状態で噛み合い部分から移動させたあと、第1ロールにおける凸部と、第1ロールの周面に当接するように配置された平滑周面のアンビルロールとの間に凹凸賦形された積層体を導入する。そして、第1ロールとアンビルロールとの間で積層体を非加熱下又は加熱下で挟圧する。この工程を経て、肉薄部18が、第1ロールにおける凸部に沿って形成された凸状部位15となる凸部10aに形成される。これによって、本発明の吸収性物品用シートを得ることができる。
第2層12側の面と第1ロールの周面とが対向するように積層体を導入する場合、第1ロール及び第2ロールは、第1ロールの凸部と第2ロールの凹部との間における積層体への加圧力を、第2ロールの凸部と第1ロールの凹部との間における積層体への加圧力よりも高くなるように構成することが好ましい。これによって、繊維が扁平となりやすく、繊維密度が高くなった肉薄部18を凸部10aの賦形とともに効率的に形成することができる。このような構成は、例えば、第1ロールにおける歯丈を第2ロールの歯丈よりも高くすることで行うことができる。これに加えて、第1ロール及び第2ロールを、各繊維1,2の融点よりも低い温度とすることで、繊維どうしが融着しておらず、繊維密度が高い肉薄部18を凸状部位15の賦形とともに効率的に形成することができる点で好ましい。
上述の工程において、エンボス部25を含む肉薄部18を凸状部位15に形成する場合には、例えば、第1ロールの凸部及びアンビルロール表面の少なくとも一方を加熱して、第1ロールとアンビルロールとの間で、積層体を加熱下に挟圧して、各層11,12を接合した凸部10aを形成すればよい。肉薄部18に開孔部30や融着部40を形成する場合には、第1ロールとアンビルロールとにおける加圧条件や加熱温度を変更して、各層11,12とを接合する融着部40とともに開孔部30を凸部10aに形成すればよい。積層体に対して加圧及び加熱の少なくとも一方を行う場合、加圧条件は、好ましくは10N/m以上、更に好ましくは20N/m以上であり、好ましくは80N/m以下、更に好ましくは60N/m以下である。加熱条件は、上述の加圧条件において、好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
また、第1ロールにおける凸部の先端から外方に突出するピンを更に設け、該ピンとアンビルロールとで強く加圧することによって、開孔部30とともに肉薄部18が凸状部位15となる凸部10aに形成されるようにしてもよい。これに加えて、凹状部位16にエンボス部25等の繊維圧縮部19を形成する場合には、第2層12側の面とアンビルロールの周面とが対向するように、且つ凹状部位16の形成位置と第1ロールにおける凸部の配置位置と一致するように、積層体又はシート10を第1ロールとアンビルロールとの間に導入して、上述と同様の方法及び条件で挟圧すればよい。
また、第1層11又は第2層12のいずれか一方にエンボス部25を有する肉薄部18を凸状部位15に形成する場合には、スパンボンド不織布等といった予めエンボス加工が施された不織布と、エンボス加工が施されていない繊維ウェブ又は不織布とを積層し積層体とする。その後、予め施されたエンボス加工の位置と、第1ロールの凸部の位置とが重なるように、第1ロールとアンビルロールとの間に積層体を導入し、挟圧することで凹凸賦形し、凸部10aを形成すればよい。
上述した吸収性物品用シート10は、これを吸収性物品の構成部材として好ましく用いることができる。典型的には、吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液難透過性の裏面シートと、これらのシートの間に液保持性の吸収体とを備えており、これに加えて、吸収性物品用シート10を備える。吸収性物品用シート10は、第1層11の第1面Fが吸収性物品の着用者の身体に対向するように配されて、吸収性物品の肌当接面を形成していることが好ましい。
吸収性物品用シート10を備える吸収性物品は、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられる。このような吸収性物品として、例えばパンツ型又は展開型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、及び失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。上述したとおり、吸収性物品用シート10は着用者の汗の吸収性が高いものであるので、吸収性物品と着用者との肌とが直接当接する部位に吸収性物品用シート10が配されることが好ましい。このような位置に配される構成部材としては、例えば使い捨ておむつにおけるウエストギャザーや立体防漏ギャザー、表面シート、腹側及び背側ウエストフラップの肌対向面を構成する部材等が挙げられるが、これらに限られない。
第1層11及び第2層12を構成する繊維集合体としては、例えば、紙、織布、不織布等の各種の繊維シートが挙げられ、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布等の各種不織布であることが好ましい。
これらのうち、着用者の肌に直接接触する面において柔軟性を高めて、肌触りを良好なものとする観点から、第1層11は、エアスルー不織布を用いることが更に好ましい。また、繊維密度を第1層11よりも高くして、毛管力を高め、第2層12側への液の引き込み性を更に高める観点から、第2層12は、スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布の少なくとも一種を用いることが好ましい。
第1繊維1及び第2繊維2としては、上述した水との接触角との関係を満たすことを条件として、例えば、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を一種以上含む合成繊維、あるいはコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維等の再生繊維が挙げられる。これらの繊維は、必要に応じて、親水化処理又は疎水化処理が行われたものを用いてもよい。これらの繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、シート10と着用者の肌とが接触する際に、シート10の肌対向面におけるドライ感を向上させる観点から、第1繊維1は、上述した水との接触角との関係を満たすことを条件として、熱可塑性樹脂を一種以上含む合成繊維を用いることが好ましい。また、第2層12の親水性を高めて、液の引き込み性を更に高める観点から、第2繊維2は、上述した水との接触角との関係を満たすことを条件として、天然繊維及び再生繊維の少なくとも一種を用いることが好ましい。
第1層11は、第1繊維1のみから形成されていてもよく、本発明の効果が奏される限りにおいて、第1繊維1に加えて、他の繊維が含まれていてもよい。この場合、第1繊維1の含有割合を高くして、シート10の肌対向面におけるドライ感を向上させる観点から、第1層11における第1繊維1の含有割合は、第1層11の全質量中、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
同様に、第2層12は、第2繊維2のみから形成されていてもよく、本発明の効果が奏される限りにおいて、第2繊維2に加えて、他の繊維が含まれていてもよい。この場合、第2繊維2の含有割合を高くして、第2層12の毛管力を高め、これに起因して、液の引き込み性を更に高める観点から、第2層12における第2繊維2の含有割合は、第2層12の全質量中、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
繊維密度を高めることによって毛管力を更に高めて、第1面Fに接触した汗等の液を第2層12側へ移行させやすくする観点から、第1層11を構成する第1繊維1の繊維径は、第2層12を構成する第2繊維2の繊維径よりも太いことが好ましい。
詳細には、シート10の第1面Fにおける肌触りを向上させる観点から、第1繊維1の繊維径は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下であり、0.5μm以上が現実的である。また、第2層12の毛管力を高めて、第1面Fに接触した汗等の液を第2層12側へ移行させやすくする観点から、第2繊維2の繊維径は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下であり、0.5μm以上が現実的である。これらの繊維径は、例えば繊維長さ方向に直交する繊維断面における最大差し渡し長さを、走査型電子顕微鏡等を用いて測定することができる。
肉薄部18が上述したいずれの態様で構成されている場合でも、シート10の1cm当たりに存在する肉薄部18の個数は、好ましくは1個/cm以上、より好ましくは11個/cm以上、更に好ましくは25個/cmであり、100個/cm以下が現実的である。このような構成を有していることによって、肉薄部18を介して着用者の肌に存在する汗の吸収性を高めるとともに、肉薄部18以外の領域で吸収した汗の保持性を高めることができる。
肉薄部18の個数は、上述した厚みW1の測定条件において、凸状部位15における厚みが50μm以下の領域を肉薄部18の存在領域としたときに、その領域の個数を、上述したマイクロスコープを用いて観察し、計測したものとする。シート10の面積は、0.5g/cm荷重下における平面積(cm)とする。このような構成は、例えば、凹凸賦形や肉薄部18の形成に用いるスチールマッチエンボス装置において、上述した第1ロールの周面に形成されている凸部の数を適宜変更することによって調整することができる。1cmあたりに存在する肉薄部18の個数は、0.5g/cm荷重下における平面積が25cmとなるシート10を、無荷重状態で第1面Fまたは第2面Rが上面となるように平坦な台の上に設置し、シート10の厚み方向に沿う方向となるように該上面からマイクロスコープで観察したときに、シート10表面に存在する肉薄部18の個数を25cmで除した値とする。
汗の吸収起点となる肉薄部18と、着用者の肌とを接触させやすくして、液の引き込み性を更に高める観点から、凸部10aの1個あたりに存在する肉薄部18の個数の平均値は、好ましくは0.5個以上、より好ましくは1個以上であり、5個以下が現実的である。凸部10aの1個あたりに存在する肉薄部18の個数は、無荷重状態において25cmの面積を有するシート10を、第1面Fまたは第2面Rが上面となるように平坦な台の上に設置し、マイクロスコープを用いて、シート10の厚み方向に沿う方向となるように該上面から、異なる100個の凸部10aを観察したときに、各凸部10aに存在する肉薄部18の個数を計測したときの算術平均値とする。
吸収性物品用シート10の坪量は、吸収性物品の具体的な用途に応じて適宜選択され、一般的に、好ましくは6g/m以上、更に好ましくは15g/m以上であり、好ましくは50g/m以下、更に好ましくは40g/m以下である。また、吸収性物品用シート10を構成する第1層11及び第2層12の坪量は、第1層11においては、親水性の高い第2層12と着用者の肌との距離を確保して、シート10表面のドライ感を高める観点、並びに、第2層においては、吸液性及び液の保持性を高める観点から、各層11,12の坪量はそれぞれ高いほど好ましく、詳細には、それぞれ独立して、好ましくは4g/m以上、更に好ましくは9g/m以上であり、30g/m以下が現実的である。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
第1繊維1として芯がPET、鞘がPEの芯鞘複合繊維を用いたエアスルー不織布の第1層11(坪量15g/m)と、第2繊維2として芯がPET、鞘がPEの芯鞘複合繊維を用いたエアスルー不織布の第2層12(坪量15g/m)と、を積層し、積層体とした。この積層体を、周面が互いに噛み合い形状となっており、且つ噛み合い状態で配置された第1ロールと第2ロールとの間に、第2層12が第1ロールと対面するように導入して、該積層体を凹凸形状に賦形させた。続いて、凹凸賦形された積層体を第1ロールの周面部に沿わせた状態で噛み合い部分から移動させたあと、第1ロールにおける凸部と、第1ロールの周面に当接するように配置された平滑周面のアンビルロールとの間に凹凸賦形された積層体を導入し、第1ロールとアンビルロールとの間で積層体を加熱下で加圧して、本実施例の吸収性物品用シート10を作製した。このシート10は、図3(a)及び図5(b)に示すように、凸状部位15及び繊維圧縮部19にそれぞれエンボス部25を有し、且つ凸状部位15の頂部15aにエンボス部25からなる肉薄部18が形成されていた。各繊維1,2と水との接触角、各繊維1,2の繊維径、並びに、肉薄部の厚みは、以下の表1に示した。第2繊維2への親水性の付与は、該繊維2の製造工程中で繊維油剤を繊維表面に付着させる親水化処理によって行った。吸収性物品用シート10の作製時における加圧条件は24N/mとし、加熱条件は122℃として、肉薄部18を形成した。
〔実施例2及び3〕
第2繊維2への親水性の付与として、実施例1の方法に代えて、シート10を作製した後に、親水性の度合いが異なる油剤を第2層12によって形成された第2面Rに塗工した以外は、実施例1と同様に、図3(a)及び図5(b)に示す構成を有するシート10を作製した。
〔比較例1〕
実施例1に示す第1繊維1及び第2繊維2を用い、図6に示すように、第1層11及び第2層12を有し、第1面F及び第2面Rの各外方に突出した中実の凸部80と、これらの層11,12を接合する固着部95からなる凹部90とを有し、凹部90どうしの間に凸部80が形成されてなる二層構造の繊維シート100を製造した。繊維シート100は、第1ロールの凸部及びアンビルロール周面をともに加熱して、第1ロールの周面に第2面Rが当接し、アンビルロールの周面に第1面Fが当接するように積層体を導入して、加熱下で加圧することで作製した。繊維シート100の作製時における加熱及び加圧条件は実施例1と同様とした。第1層11及び第2層12の坪量は、それぞれ実施例1と同様とした。本比較例の繊維シート100は、肉薄部18が形成されていない。中実の凸部80の実質厚みは、425μmであった。
〔液残り量の評価〕
実施例及び比較例のシートについて、温度22±2℃、湿度60±5%RH下において液残り量の評価を行った。厚み2mm、10cm四方で表面が平坦なアクリル製プレート(以下、これを下部プレートともいう。)を台の上に水平に置き、該プレートの中央部における5cm四方の枠内に脱イオン水を1mg×49滴滴下した。その上に、5cm四方に切り出した実施例及び比較例のシートを、シートの第1層11とプレートとが対向するように、且つシートが脱イオン水を滴下した領域とすべて重なるように載置し、その状態で、シート上に上述のプレートと同一の荷重プレートを更に載置し、8.2g/cmの荷重を付与した。1分経過後、荷重プレート及びシートを下部プレートから取り除き、下部プレート上に残存する脱イオン水の質量(mg)を測定した。下部プレート上に残存する脱イオン水の質量(mg)が少ないほど、吸液性に優れ、すなわち汗等の液が着用者の肌に残りにくいものである。
〔肉薄部18の有無及びその厚みW1〕
肉薄部18の有無は、凸状部位15において、厚みが50μm以下の領域が存在するシートを、表1中「あり」と示し、厚みが50μm以下の領域が存在しないシートシートを表1中「なし」と示した。また、肉薄部18の厚みW1を上述した方法で測定した。結果を併せて表1に示す。
〔シート10の1cm当たりに存在する肉薄部18の個数〕
上述した方法と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。表1において、本評価は「肉薄部の数密度(個/cm)」として示している。
〔凸部10aの1個あたりに存在する肉薄部18の個数の平均値〕
上述した方法と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。表1において、本評価は「肉薄部の数平均(個/1つの凸部10a)」として示している。
Figure 2021078918
表1に示すように、各実施例の吸収性物品用シートは、比較例のシートと比較して、吸液性が高いものであることが判る。したがって、本発明の物品用シートを肌当接面に配した吸収性物品は、汗等の液が着用者の肌に残りにくく、汗の残存に起因した皮膚トラブルを低減することができる。
10 吸収性物品用シート
1 第1繊維
2 第2繊維
11 第1層
12 第2層
15 凸状部位
18 肉薄部
25 エンボス部
30 開孔部
40 融着部

Claims (8)

  1. 第1面側に配される第1層と、該第1面側の反対側である第2面側に配される第2層とを備える吸収性物品用シートであって、
    前記第2層は、水との接触角が70°以下の第2繊維を含む繊維集合体であり、
    前記第1層は、水との接触角が第2繊維よりも20°以上大きい第1繊維を含む繊維集合体であり、
    前記吸収性物品用シートの0.5g/cmの荷重時における見かけ厚みを仮想的に等分する仮想等分線を考えたとき、該シートは該仮想等分線よりも第1面側に突出した凸状部位を複数有し、
    前記凸状部位は、実質厚みが50μm以下の肉薄部を有する、吸収性物品用シート。
  2. 前記吸収性物品用シートは、0.5g/cmの荷重時における前記凸状部位の見かけ厚みを仮想的に等分する第2仮想等分線を考えたとき、第2仮想等分線よりも第1面側に位置する頂部を有し、
    前記肉薄部が前記頂部に形成されている、請求項1に記載の吸収性物品用シート。
  3. 前記肉薄部はエンボス部を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品用シート。
  4. 前記エンボス部によって第1層と第2層とが接合されている、請求項3に記載の吸収性物品用シート。
  5. 前記肉薄部は開孔部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品用シート。
  6. 前記肉薄部は開孔部を有し、該開孔部の周縁が融着されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品用シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品用シートを備える、吸収性物品。
  8. 前記吸収性物品用シートは肌当接面を形成しており、且つ該シートの第1面側が着用者の身体に対向するように配されている、請求項7に記載の吸収性物品。
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