JP2021158861A - 保護回路 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、仮に、バッテリが逆接されたとき、第2電源配線を通して第2制御電極に正電圧が印加され、第1電源配線を通して第3主電極に負電圧が印加される。第2制御電極と第3主電極との間には第1抵抗が接続されているので、第2制御電極と第3主電極との間にはバイアスが発生する。このため、第2トランジスタがオン動作状態とされる。第2トランジスタがオン動作状態とされるので、第1制御電極には第1主電極と同等の電圧が印加され、第1トランジスタがオフ動作状態とされる。
つまり、第1トランジスタ及び第2トランジスタは逆接保護回路を構築し、この逆接保護回路によりバッテリの負極と出力端子との間を遮断することができる。これにより、出力端子に接続される次段素子又は次段回路を逆接に対して保護することができる。
一方、静電気保護回路は、第3主電極と第2電源配線との間に接続され、静電気を吸収する。静電気保護回路は静電気に対して第1電源配線又は第2電源配線に接続される回路を保護する。
このように構成される保護回路では、第1トランジスタと第2トランジスタとを含んで構成される逆接保護回路が組み込まれ、さらに静電気保護回路が組み込まれる。
仮に、バッテリが逆接されたとき、第1電源端子を通して第1電源配線に負電圧が印加される。第1電源配線と第1配線との間において、第1整流ダイオードは順方向に接続されているので、電流の流れは第1整流ダイオードにより遮断される。また、第2電源配線には第2電源端子を通して正電圧が印加される。第2電源配線と第2配線との間において、第2整流ダイオードは順方向に接続されているので、電流の流れは第2整流ダイオードにより遮断される。つまり、第1整流ダイオード及び第2整流ダイオードは逆接保護回路を構築し、逆接保護回路はバッテリの逆接に対して、第1配線と第2配線の間に接続された静電気保護回路を保護する。
仮に、第1電源配線に負のサージが印加されたとき、第2配線から第3整流ダイオードを通して第1電源配線へ電流が流れ、サージを吸収することができる。また、第2電源配線に負のサージが印加されたとき、第4整流ダイオードの降伏電圧を超えると、第1配線から第4整流ダイオードを通して第2電源配線へ電流が流れ、サージを吸収することができる。
もう1つの経路として、静電気保護回路が降伏すると、第2電源配線、第2整流ダイオードのそれぞれを経由して、サージを吸収することができる。
ここで、第3整流ダイオード及び第4整流ダイオードはサージ保護回路を構築しているので、サージ保護回路によりサージに対して静電気保護回路を保護することができる。
加えて、第1電源配線と第2配線との間に第3整流ダイオードを接続し、第2電源配線と第1配線との間に第4整流ダイオードを接続しているので、保護回路内にサージ保護回路を集積化することができる。従って、保護回路の小型化を実現することができる。
第5整流ダイオードは、第4主電極にアノード電極を接続し、第3配線にカソード電極を接続する。第6整流ダイオードは、第4主電極にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。
仮に、バッテリが逆接されたとき、第4主電極に負電圧が印加されるが、第3配線から第4主電極への電流の流れは第5整流ダイオードを用いて遮断される。つまり、第5整流ダイオードは逆接保護回路を構築し、逆接保護回路はバッテリの逆接に対して第1静電気保護素子〜第3静電気保護素子を保護する。
一方、仮に、第4主電極に負のサージが印加されたとき、第2配線から第6整流ダイオードを通して電流が流れ、サージは吸収される。つまり、第6整流ダイオードはサージ保護回路を構築し、サージ保護回路はサージに対して第1静電気保護素子〜第3静電気保護素子を保護する。
第2抵抗は第1抵抗と第2電源端子との間に直列に接続される。第7整流ダイオードは第2抵抗と並列に接続され、第1抵抗にアノード電極を接続する。
バッテリが正常に接続されているときは、第2抵抗により第1抵抗から第2電源配線へ流れる電流を減少させて消費電流を制限し、保護回路の消費電力を小さくすることができる。仮にバッテリが逆接されたときは、第7整流ダイオードが第2抵抗と電気的に並列に逆方向に接続されているので、第2トランジスタの第2制御電極への充電速度が速くなり、逆接保護の応答速度を速くすることができる。つまり、第7整流ダイオードは、保護回路の消費電力を小さくしたまま、逆接保護の応答を速くすることを実現する。
第5主電極は第2電源配線に接続され、第6主電極は第2抵抗に接続され、第3制御電極はイネーブル回路に接続される。
このため、イネーブル回路から出力される制御信号により、第3トランジスタのオン動作、オフ動作を制御することができる。例えば、第3トランジスタをオフ動作させることにより、第2抵抗から第2電源配線に流れる電流を遮断することができる。従って、保護回路の消費電流を制限し、保護回路の消費電力を小さくすることができる。
第4トランジスタは、第7主電極に第1主電極が接続され、第8主電極に正極が接続され、第4制御電極に第1制御電極に供給される制御電圧と同等の制御電圧が供給される。
つまり、第1トランジスタ、第2トランジスタ、第4トランジスタは逆接保護回路を構築し、この逆接保護回路によりバッテリの負極と出力端子との間を遮断することができる。これにより、出力端子に接続される次段素子又は次段回路を逆接に対して保護することができる。
つまり、第1トランジスタ、第2トランジスタ、第4トランジスタは出力接地保護回路を構築し、この出力接地保護回路によりバッテリの正極と出力端子との間を遮断することができる。これにより、第1トランジスタ及び第4トランジスタを出力端子の接地に対して保護することができる。
第5トランジスタは、出力端子に第9主電極が接続され、第2主電極に第10主電極が接続され、第5制御電極に、第1制御電極に供給される制御電圧と同等の制御電圧が供給される。
つまり、第1トランジスタ、第2トランジスタ及び第5トランジスタは逆接保護回路を構築し、この逆接防止回路によりバッテリの負極と出力端子との間を遮断することができる。これにより、出力端子に接続される次段素子又は次段回路を逆接に対して保護することができる。
ここで、コンデンサは、第1トランジスタがターンオフしたときに、出力端子が閾値電圧よりも大きい値となるように電荷を保持する。このため、仮に、バッテリが逆接されても、コンデンサが出力端子を閾値電圧よりも大きい値となる電荷に保持するので、出力端子の負電圧の印加を防止することができる。
図1を用いて、本発明の第1実施の形態に係る保護回路1について、説明する。ここで、保護回路1は、自動車、トラック、バス、二輪車、電車、船舶、航空機等の車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)等の保護回路として構築され、車載用バッテリと電子制御ユニットとの間、又は電子制御ユニットに組み込まれている。
図1に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1は、1つの半導体基板2に集積化された逆電圧保護(Reverse Voltage Protection)回路として構成されている。回路が集積化される半導体基板2の主面に対して、垂直方向から見た平面視において、半導体基板2は矩形状に形成されている。半導体基板2には、例えばシリコン単結晶基板が使用されている。半導体基板2の周辺領域であって、半導体基板2の主面上には、第1電源端子31、第2電源端子32、出力端子35、イネーブル端子36のそれぞれが、外部端子(ボンディングパッド)として配設されている。なお、半導体基板2としては、化合物半導体基板、絶縁基板上にシリコン単結晶層を積層した複合基板等が使用されてもよい。そして、保護回路1は、幾つかの外付け素子を含んで電子制御システム100に組み込まれている。以下、詳細に説明する。
電子制御システム100は配線基板20をベースとして構成されている。配線基板20には、例えばプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)を実用的に使用することができる。
配線基板20の周辺領域であって、配線基板20の実装面上には、第1電源端子21、第2電源端子22のそれぞれが配設されている。また、配線基板20の中央領域であって、配線基板20の実装面上には、出力端子24、イネーブル端子25、第2電源端子23のそれぞれが配設されている。
第2電源端子22はバッテリ10の負極に接続される構成とされている。この第2電源端子22にはバッテリ10から供給される電源電圧GNDが印加される。電源電圧GNDは、例えば接地電圧であり、0[V]である。
出力端子24及び第2電源端子23の近傍において、第1電源配線201と第2電源配線202との間にはクランプ素子91が配設されている。クランプ素子91は、ここでは、第1電源配線201にカソード電極が接続され、第2電源配線202にアノード電極が接続されたダイオード911を用いて構成されている(図2参照)。クランプ素子91は、第1電源配線201と第2電源配線202との間に加わる一定以上の電圧をクランプする。
なお、第1電源配線201、第1電源配線203のそれぞれは出力端子24を介在させずに直接接続されてもよい。同様に、第2電源配線202、第2電源配線204のそれぞれは第2電源端子23を介在させずに直接接続されてもよい。
電解コンデンサ13は、第1電源配線203に一方の電極を接続し、第2電源配線204に他方の電極を接続する、極性を有する平滑コンデンサとして構成されている。この電解コンデンサ13は、保護回路1、電子制御ユニット14のそれぞれに対して外付け素子として、配線基板20の実装面に実装されている。
電子制御ユニット14は、第1電源配線203、第2電源配線204のそれぞれに接続されている。この電子制御ユニット14は、車両として、例えば図示省略の自動車のパワーユニットの運転制御を電気的に補助する補助装置を総合的に制御するマイクロコントローラとして構築されている。
図1及び図2に示されるように、保護回路1において、第1電源端子31は配線基板20の実装面上に延設される第1電源配線201に接続され、第1電源端子31には電源電圧VINが印加される。第2電源端子32は配線基板20の実装面上に延設される第2電源配線202に接続され、第2電源端子32には電源電圧GNDが印加される。出力端子35には、後述する第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721を制御する制御信号が出力される。イネーブル端子36は配線基板20の実装面上に配設されたイネーブル端子25に接続され、イネーブル端子36には電圧監視回路12からのイネーブル信号が入力される。
ここで、第2逆接保護回路72の一部の素子(第1トランジスタ721及びダイオード722)は、半導体基板2に対して外付け素子として構成されている。
また、図1に示されるように、保護回路1は第2サージ保護回路82を備えている。この第2サージ保護回路82は半導体基板2に対して外付け素子として構成されている。
図2に示される第1静電気保護回路61(静電気保護回路)は、第1静電気保護素子611と、第2静電気保護素子612と、第3静電気保護素子613とを含んで構成されている。第1静電気保護素子611〜第3静電気保護素子613は、ここではツェナーダイオードを用いて構成されている。
一方、第2配線54には、第2電源配線52から供給される電源電圧GNDが第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712によりシフトされた、電源電圧GNDに比し若干高い低電位が印加され、第2配線54は低電位ノード配線として使用されている。ここで、第2配線54に印加される低電位は、第1配線53に印加される高電位に比し低い設定とされている。
さらに、第3配線55には中間電位が印加され、第3配線55は中間電位ノード配線として使用されている。中間電位は、第1電源配線51から供給される電源電圧VINが第1逆接保護回路71及び第2逆接保護回路72によりシフトされ、第1配線53に印加される電位よりも若干低い電位から高い電位、かつ、第2配線54に印加される電位よりも高い電位である。
なお、第1静電気保護回路61は、2つのツェナーダイオードを逆直列に接続して構成してもよい。
第2静電気保護回路62は、イネーブル端子36とイネーブル回路42とを接続する信号配線56に配設されている。第2静電気保護回路62は、静電気保護素子621〜静電気保護素子625を含んで構成されている。
静電気保護素子624はここではツェナーダイオードを用いて構成されている。静電気保護素子624は、カソード電極をイネーブル回路42に接続し、アノード電極を第2配線54に接続している。
静電気保護素子625は、ここでは抵抗を用いて構成され、静電気保護素子624に並列に接続されている。
第1逆接保護回路71は、第1整流ダイオード711、第2整流ダイオード712及び第5整流ダイオード713を含んで構成されている。
第1整流ダイオード711は、第1電源配線51の他端にアノード電極を接続し、第1配線53の一端にカソード電極を接続している。第1整流ダイオード711のアノード電極は第1電源配線51を通してダイレクトに第1電源端子31に接続され、第1整流ダイオード711は第1電源配線51と第1配線53との間に順方向に接続されている。
第2整流ダイオード712は、第2電源配線52の他端にカソード電極を接続し、第2配線54の一端にアノード電極を接続している。第2整流ダイオード712のカソード電極は第2電源配線52を通してダイレクトに第2電源端子32に接続され、第2整流ダイオード712は第2配線54と第2電源配線52との間に順方向に接続されている。
第5整流ダイオード713は、後述する第2トランジスタ723のドレイン電極(第4主電極)及び出力端子35にアノード電極を接続し、第3配線55にカソード電極を接続している。
第2逆接保護回路72は、第1トランジスタ721及び第2トランジスタ723を少なくとも含んで構成されている。
第1トランジスタ721のソース電極(第1主電極)は、第1電源配線201を通して第1電源端子21及び第1電源端子31に接続されている。第1トランジスタ721のドレイン電極(第2主電極)は、第1電源配線201を通して出力端子24に接続されている。第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)は出力端子35に接続されている。
第2トランジスタ723のソース電極(第3主電極)は、第1電源配線51を通して第1電源端子31に接続されている。第2トランジスタ723のドレイン電極(第4主電極)は、出力端子35に接続され、この出力端子35を介在させて第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。第2トランジスタ723のゲート電極(第2制御電極)は第2電源端子32及びソース電極(第3主電極)に接続されている。
保護素子724は、第2トランジスタ723のソース電極にアノード電極が接続され、ドレイン電極にカソード電極が接続されたツェナーダイオードを用いて構成されている。保護素子725は、保護素子724のアノード電極に一端が接続され、保護素子724のカソード電極に他端が接続された抵抗を用いて構成されている。これらの保護素子724と保護素子725は、主に第2トランジスタ723の破壊の防止を目的として組み込まれている。
さらに、第2トランジスタ723には第1抵抗726が配設されている。第1抵抗726は、第2トランジスタ723のソース電極に一端が接続され、ゲート電極に他端が接続されている。第1抵抗726は、バッテリ10が正常に接続されているときには、第2トランジスタ723をオフ動作状態に保持する。一方、第1抵抗726は、バッテリ10が逆接されたときには、第2トランジスタ723のソース電極とゲート電極との間にバイアス電圧を発生させ、第2トランジスタ723をオン動作状態に保持する。
そして、第1抵抗726の一端と他端との間にはクランプ回路727が挿入されている。クランプ回路727は、ここではアノード電極同士を接続した2個のツェナーダイオードを用いて構成されている。つまり、一方のツェナーダイオードは、カソード電極を第2トランジスタ723のソース電極及び第1抵抗726の一端に接続し、アノード電極を他方のツェナーダイオードのアノード電極に接続している。他方のツェナーダイオードのカソード電極は、第2トランジスタ723のゲート電極及び第1抵抗726の他端に接続されている。第1抵抗726は、第2トランジスタ723のゲート破壊の防止を目的としている。
また、保護素子725の他端と出力端子35との間には抵抗728が挿入されている。
なお、クランプ回路727は、第1抵抗726の一端にカソード電極が接続され、第1抵抗726の他端にアノード電極が接続された1個のツェナーダイオード、カソード電極同士を接続した2個のツェナーダイオード等を用いて構成されてもよい。
第3トランジスタ731のドレイン電極は、第2抵抗732、抵抗733、第1抵抗726、第1電源配線51のそれぞれを介在させて第1電源端子31に接続されている。第3トランジスタ731のソース電極は、抵抗734、第2電源配線52のそれぞれを介在させて第2電源端子32に接続されている。第3トランジスタ731のゲート電極は、保護素子739を介してイネーブル回路42に接続されている。
第3トランジスタ731は、イネーブル回路42からの制御信号に基づいてオフ動作状態に制御されると、第1電源端子31から第2電源端子32へ流れる電流を遮断する。この第3トランジスタ731により、保護回路1の消費電力を減少させることができる。
ここで、一例として、第2抵抗732は1[MΩ]、抵抗733は0.1[MΩ]、第1抵抗726は10[MΩ]、抵抗734は400[Ω]のそれぞれの抵抗値に設定されている。
また、第2抵抗732の一端と他端との間にも電気的に並列に第7整流ダイオード736が挿入されている。第7整流ダイオード736は、第2抵抗732の第1電源端子31側の一端にカソード電極を接続し、第2抵抗732の第2電源端子32側の他端並びにダイオード735のカソード電極にアノード電極を接続している。つまり、第7整流ダイオード736は、第1電源端子31と第2電源端子32との間に逆方向に接続され、かつ、ダイオード735に電気的に直列に接続されている。
ダイオード735、第7整流ダイオード736のそれぞれは、仮にバッテリ10が逆接されたとき、第2電源端子32から第2トランジスタ723のゲート電極への充電速度を速めて、過渡応答性を向上させる機能を有する。すなわち、ダイオード735、第7整流ダイオード736を備えることにより、第2トランジスタ723のオン動作速度が速くなり、結果的に第1トランジスタ721のオフ動作速度を速めることができる。
保護素子737及び保護素子738は第3トランジスタ731のゲート破壊の防止を目的として組み込まれている。
第1サージ保護回路81は、第3整流ダイオード811、第4整流ダイオード812及び第6整流ダイオード813を含んで構成されている。
第4整流ダイオード812は、第1配線53の他端にカソード電極を接続し、第2電源配線52の他端にアノード電極を接続している。
第6整流ダイオード813は、第2トランジスタ723のドレイン電極及び出力端子35にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続している。
図1に示されるように、第2サージ保護回路82は、外付け素子として、配線基板20の実装面上に実装されている。この第2サージ保護回路82は、第1ツェナーダイオード821と、第2ツェナーダイオード822とを含んで構成されている。
第2サージ保護回路82では、バッテリ10から発生するサージに比し、例えば車両のモータ、発電機等から発生する過大なサージが、予め設定された一定の電圧値にクランプされる。
なお、第1ツェナーダイオード821及び第2ツェナーダイオード822のアノード電極同士を接続した構成に代えて、カソード電極同士を接続した構成としても、同様の機能を得ることができる。
(1)第1静電気保護回路61の静電気保護動作
図2に示される保護回路1では、仮に、第1電源端子31に正の静電気が印加されると、静電気は第1電源配線51、第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711、第1配線53のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が第2静電気保護素子612を通って第3配線55に吸収される。また、静電気は、第1静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、第1静電気保護素子611を通って第2配線54に吸収される。
一方、仮に、第2電源端子32に負の静電気が印加されると、静電気は第2電源配線52、第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712、第2配線54のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が第1静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から第1静電気保護素子611を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が第3静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から第3静電気保護素子613を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
一方、出力端子35に負の静電気が印加されると、静電気は第1サージ保護回路81の第6整流ダイオード813、第2配線54のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が第1静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から第1静電気保護素子611を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が第3静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から第3静電気保護素子613を通って第2配線54に電流が流れ、静電気は吸収される。
保護回路1では、仮に、イネーブル端子36に静電気が印加されると、静電気は信号配線56を通って第2静電気保護回路62に入力される。第2静電気保護回路62では、正の静電気であれば、静電気は信号配線56から静電気保護素子621を通って第1配線53に吸収される。また、静電気が静電気保護素子622の降伏電圧を超えるときには、信号配線56から静電気保護素子622を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
一方、負の静電気であれば、第2配線54から静電気保護素子622を通って信号配線56へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が静電気保護素子621の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から静電気保護素子621を通って信号配線56へ電流が流れ、静電気は吸収される。
さらに、第2静電気保護回路62では、静電気保護素子623及び静電気保護素子625によりイネーブル回路42に入力される静電気が抑制される。また、第2静電気保護回路62では、静電気保護素子624により信号配線56と第2配線54との間の電圧が予め設定された一定の電圧値にクランプされる。
バッテリ10の交換の際に、誤って、図1に示される電子制御システム100の配線基板20の第1電源端子21にバッテリ10の負極が接続され、第2電源端子22にバッテリ10の正極が接続されたとする。つまり、バッテリ10が電子制御システム100に逆接されたとする。
このとき、電子制御システム100には図2に示される保護回路1が組み込まれているので、保護回路1の第1電源端子31には負極が接続され、第2電源端子32には正極が接続されたことになる。
保護回路1では、第1電源端子31から第1電源配線51に負電圧が印加されるが、第1電源配線51には第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711が接続されている。このため、負電圧は第1整流ダイオード711により遮断されて第1配線53へ伝わらない。
同様に、第2電源端子32から第2電源配線52に正電圧が印加されるが、第2電源配線52には第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712が接続されている。このため、正電圧は第2整流ダイオード712により遮断されて第2配線54へ伝わらない。
図1に示される電子制御システム100に、誤って、バッテリ10が逆接されたとする。このとき、図2に示されるように、配線基板20の第1電源端子21から第1電源配線201を通して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のソース電極に負電圧が印加される。
一方、配線基板20の第2電源端子22から第2電源配線202を通って保護回路1の第2電源端子32に正電圧が印加される。従って、逆接された状態では、第2電源配線52、第2逆接保護回路72の抵抗734、ダイオード735、第7整流ダイオード736、抵抗733、第1抵抗726のそれぞれを主に通って、第2電源端子32から第1電源端子21へ電流が流れる。第1抵抗726に流れる電流により、第2トランジスタ723のソース電極とゲート電極の間にバイアス電圧が印加され、第2トランジスタ723はオン動作状態とされる。第1電源端子31に印加された負電圧は、第1電源配線51、第2トランジスタ723、出力端子35のそれぞれを通って、第1トランジスタ721のゲート電極にも印加される。つまり、第1トランジスタ721は、ソース電極とゲート電極のそれぞれが実質的に同一電位とされるので、オフ動作状態とされる。
このため、電子制御システム100において、第1電源端子21に印加される負電圧は第1トランジスタ721により遮断されて出力端子24に伝わらない。さらに、逆接だけでなく、過渡的なサージ電圧での第1電源端子21へ負電圧印加のときにも、出力端子24に負電圧が出力されないように、第2トランジスタ723はデプレッション型のnチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)を使用している。これにより、出力端子24に接続される次段素子又は次段回路を確実に保護することができる。
ここで、一例として、本実施の形態では、第2トランジスタのゲート−ソース間のしきい値電圧は−2[V]に設定されている。
図2に示される保護回路1では、第1電源端子31にサージが印加されると、サージは第1電源端子31、第1電源配線51のそれぞれを通って入力される。仮に、正のサージであれば、サージは、第1サージ保護回路81の第3整流ダイオード811の降伏電圧を超えるときには、第3整流ダイオード811を通って第2配線54に吸収される。仮に、負のサージであれば、第2配線54から第3整流ダイオード811を通って第1電源配線51へ電流が流れ、サージは吸収される。
一方、第2電源端子32にサージが印加されると、サージは第2電源配線52を通って第1サージ保護回路81に入力される。仮に、正のサージであれば、第2電源配線52から第4整流ダイオード812を通って第1配線53へ電流が流れ、サージは吸収される。仮に、負のサージであれば、第4整流ダイオード812の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から第4整流ダイオード812を通って第2電源配線52へ電流が流れ、サージは吸収される。
また、第1サージ保護回路81では、出力端子35に印加されたサージも吸収することができる。仮に、正のサージであれば、第6整流ダイオード813の降伏電圧を超えるときには、出力端子35から第6整流ダイオード813を通って第2配線54へ電流が流れ、サージは吸収される。仮に、負のサージであれば、第2配線54から第6整流ダイオード813を通って出力端子35へ電流が流れ、サージは吸収される。
図1に示される電子制御システム100において、配線基板20の第1電源端子21又は第2電源端子22に過大なサージが印加されたときには、第2サージ保護回路82により、第1電源配線201と第2電源配線202との間が予め設定された一定の電圧にクランプされる。ここでは、サージは例えば40[V]の電圧を超えると、第2サージ保護回路82によりクランプされる。
クランプ素子91のダイオード911は、第1電源配線201と第2電源配線202の電圧差が予め設定された設定値を超えると電圧をクランプする。
本実施の形態に係る保護回路1は、図2に示されるように、第1電源配線51と、第2電源配線52と、第1トランジスタ721と、第2トランジスタ723と、第1抵抗726と、第1静電気保護回路61とを備える。
第1電源配線51は、バッテリ10の正極に接続される第1電源端子31から延設される。第2電源配線52は、バッテリ10の負極に接続される第2電源端子32から延設される。第1トランジスタ721は、正極と第1電源端子31との間にソース電極(第1主電極)を接続し、出力端子24にドレイン電極(第2主電極)を接続する。第2トランジスタ723は、第1電源配線51にソース電極(第3主電極)を接続し、第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)にドレイン電極(第4主電極)を接続し、第2電源配線52及びソース電極(第3主電極)にゲート電極(第2制御電極)を接続する。第1抵抗726は、第2トランジスタ723のソース電極と第2トランジスタ723のゲート電極との間に電気的に直列に接続される。
つまり、第1トランジスタ721及び第2トランジスタ723は逆接保護回路を構築し、この逆接保護回路により、逆接のときのバッテリ10の負極と出力端子24との間を遮断することができる。
本実施の形態では、図1に示される電子制御システム100において、出力端子24から延設された第1電源配線203と、第2電源端子23から延設された第2電源配線204との間に極性を有する電解コンデンサ13が接続されている。電子制御システム100では、第2逆接保護回路72により、逆接に対して、電解コンデンサ13を保護することができる。
一方、第1静電気保護回路61は、第1電源配線51と第2電源配線52との間に接続され、静電気を吸収する。第1静電気保護回路61は、静電気に対して第1電源配線51又は第2電源配線52に接続される回路を保護することができる。
このように構成される保護回路1では、第1トランジスタ721と第2トランジスタ723とを有する第2逆接保護回路72が、第1静電気保護回路61と共に組み込まれる。
第1整流ダイオード711は、第1電源配線51にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。第2整流ダイオード712は、第2電源配線52にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
つまり、第1整流ダイオード711及び第2整流ダイオード712は第1逆接保護回路71を構築し、第1逆接保護回路71によりバッテリ10の逆接に対して第1静電気保護回路61を保護することができる。
第3整流ダイオード811は、第1電源配線51にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。第4整流ダイオード812は、第2電源配線52にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。
第3整流ダイオード811及び第4整流ダイオード812は第1サージ保護回路81を構築しているので、第1サージ保護回路81によりサージに対して第1静電気保護回路61を保護することができる。加えて、第1電源配線51と第2配線54との間に第3整流ダイオード811を接続し、第2電源配線52と第1配線53との間に第4整流ダイオード812を接続しているので、保護回路1内に第1サージ保護回路81を集積化することができる。従って、保護回路1の更なる小型化を実現することができる。
第5整流ダイオード713は、第2トランジスタ723のドレイン電極にアノード電極を接続し、第3配線55にカソード電極を接続する。第6整流ダイオード813は、第2トランジスタ723のドレイン電極にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
仮に、バッテリ10が逆接されたとき、第2トランジスタ723のドレイン電極に負電圧が印加されるが、第3配線55から第2トランジスタのドレイン電極への電流の流れは第5整流ダイオード713により遮断される。つまり、第5整流ダイオード713は第1逆接保護回路71を構築し、第1逆接保護回路71はバッテリ10の逆接に対して第1静電気保護素子611〜第3静電気保護素子613を保護する。
第1静電気保護素子611は、第1配線53と第2配線54との間に接続され、静電気を吸収する。第1静電気保護素子611は第1静電気保護回路61を構築し、第1静電気保護回路61は静電気に対して第1配線53又は第2配線54に接続される回路を保護する。第2静電気保護素子612は、第1配線53と第3配線55との間に接続され、静電気を吸収する。第2静電気保護素子612は第1静電気保護回路61を構築し、第1静電気保護回路61は静電気に対して第1配線53又は第3配線55に接続される回路を保護する。第3静電気保護素子613は、第2配線54と第3配線55との間に接続され、静電気を吸収する。第3静電気保護素子613は第1静電気保護回路61を構築し、第1静電気保護回路61は静電気に対して第2配線54又は第3配線55に接続される回路を保護する。
また、このように構成される保護回路1では、保護回路1内に第1サージ保護回路81、第1静電気保護回路61を第1逆接保護回路71とともに集積化することができ、小型化を実現することができる。
第2抵抗732は第1抵抗726の第2電源端子32側の一端と第2電源端子32との間に電気的に直列に接続される。第7整流ダイオード736は第2抵抗732と電気的に並列に接続され、カソード電極は第2抵抗732の第1電源端子31側の一端に接続され、アノード電極は第2抵抗732の第2電源端子32側の他端に接続される。
第3トランジスタ731のドレイン電極(第6主電極)は、第2抵抗732の他端に接続され、第3トランジスタ731のソース電極(第5主電極)は第2電源端子32に接続さる。第3トランジスタ731のゲート電極(第3制御電極)はイネーブル回路42に接続される。
また、第3トランジスタ731は第1静電気保護回路61、第1逆接保護回路71及び第1サージ保護回路81と共に半導体基板2に集積化することができる。従って、保護回路1の更なる小型化を実現することができる。
第2トランジスタ723がオン動作状態となれば、第1トランジスタ721のゲート電極−ソース電極間電圧(VGS)が0[V]となり、第1トランジスタ721はオフ動作(ターンオフ)状態となる。これにより、出力端子24には負電圧が印加されなくなる。
Vth1=−Vth2
このため、仮に、バッテリ10が逆接されても、コンデンサ92が出力端子24を閾値電圧よりも大きい値となる電荷に保持するので、出力端子24の負電圧の印加を防止することができる。
図3を用いて、本発明の第2実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第1実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
なお、本実施の形態並びに後述する他の実施の形態において、第1実施の形態に係る保護回路1の構成要素と同一の構成要素又は実質的に同一の構成要素には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図3に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第1実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図2参照)が配設されていない。
保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第1実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。保護回路1では、チャージポンプ41に代えて、外部電源15が組み込まれている。
詳しく説明すると、外部電源15の正極は、抵抗16を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。外部電源15の負極は第1トランジスタ721のドレイン電極と出力端子24との間に接続されている。外部電源15は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721のオン動作を制御する。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第1実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図4を用いて、本発明の第3実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第2実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたイネーブル回路42及びそれに関係する構成を外した例を説明するものである。
図4に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第2実施の形態に係る保護回路1のイネーブル端子36、第2静電気保護回路62、第3トランジスタ731、保護素子737〜保護素子739、ダイオード735を外し、第7整流ダイオード736のアノードは抵抗734の第2電源端子32側の端部に接続されている。これ以外の構成は第2実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第2実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図5を用いて、本発明の第4実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1の構成は、実質的に第1実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。この保護回路1が組み込まれた電子制御システム100では、更に第4トランジスタ751が配設されている。
第4トランジスタ751のソース電極(第7主電極)は保護回路1の第1電源端子31及び第1トランジスタ721のソース電極に接続されている。ドレイン電極は(第8主電極)はバッテリ10(図1参照)の正極が接続される第1電源端子21に接続されている。第4トランジスタ751のゲート電極(第4制御電極)は第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。
前述の図1示される電子制御システム100において、仮に、バッテリ10が逆接されたとする。
このとき、図5に示される第2トランジスタ723がオン動作状態になるので、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721及び第3逆接保護回路73の第4トランジスタ751はオフ動作状態となる。つまり、配線基板20の第1電源端子21と出力端子24との間は第2逆接保護回路72及び第3逆接保護回路73により遮断される。ここで、第3逆接保護回路73では、第4トランジスタ751の主電極間の耐圧に相当する分、保護耐性が向上されている。また、第4トランジスタ751の主電極間にダイオード752が挿入されているので、ダイオード752の降伏耐圧に相当する分、保護耐性が向上されている。
図5示される電子制御システム100において、仮に、出力端子24又は第1電源配線201が接地されたとする。
このとき、第2トランジスタ723がオン動作状態になり、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721及び第3逆接保護回路73の第4トランジスタ751はオフ動作状態となる。つまり、出力端子24の接地による、第1電源端子21から出力端子24へ流れる過電流を第2逆接保護回路72及び第3逆接保護回路73により遮断することができる。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第1実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
第4トランジスタ751は、第1電源端子31及び第1トランジスタ721のソース電極にソース電極を接続し、バッテリ10(図1参照)の正極にドレイン電極を接続する。第4トランジスタ751のゲート電極は第1トランジスタ721のゲート電極に接続される。このため、保護回路1では、逆接保護機能並びに静電気保護機能に加えて、更に出力接地保護機能を備えているので、保護耐性を向上させることができる。
図6を用いて、本発明の第5実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第4実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第4実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図6に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第4実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図5参照)が配設されていない。
保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第4実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。チャージポンプ41に代えて、電子制御システム100では、外部電源15が組み込まれている。
外部電源15の正極は、抵抗16を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)に接続されている。外部電源15の負極は第1トランジスタ721と出力端子24との間において第1電源配線201に接続されている。外部電源15は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721のオン動作を制御する。
図7を用いて、本発明の第6実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100は、第1実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100の応用例を説明するものである。
図7に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、半導体基板2の主面上に、出力端子37、出力端子38(VOUT)のそれぞれが更に外部端子として配設されている。加えて、半導体基板2には、第8整流ダイオード714、第9整流ダイオード814のそれぞれが配設されている。第8整流ダイオード714は第3静電気保護回路63を構築している。第9整流ダイオード814は第3サージ保護回路83を構築している。そして、保護回路1には、更に第4逆接保護回路74が配設されている。
第4逆接保護回路74は、第5トランジスタ741及び第6トランジスタ743を少なくとも含んで構成されている。
第5トランジスタ741は、半導体基板2に対して外付け素子として、配線基板20上に実装されている。第5トランジスタ741は、第1トランジスタ721と同様に、nチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)を用いて構成されている。第5トランジスタ741のソース電極(第9主電極)は、出力端子38と出力端子24との間に接続されている。第5トランジスタ741のドレイン電極(第10主電極)は、第1トランジスタ721のドレイン電極に接続されている。第5トランジスタ741のゲート電極(第5制御電極)は出力端子37に接続されている。
出力端子37にはチャージポンプ41が接続され、第5トランジスタ741のゲート電圧はチャージポンプ41により制御される。
保護素子744は、第6トランジスタ743のソース電極にアノード電極が接続され、ドレイン電極にカソード電極が接続されたツェナーダイオードを用いて構成されている。保護素子745は、保護素子744のアノード電極に一端が接続され、保護素子744のカソード電極に他端が接続された抵抗を用いて構成されている。保護素子744及び保護素子745は、主に第6トランジスタ743のゲート破壊(ゲート絶縁膜の破壊)の防止を目的として組み込まれている。
クランプ回路747は、アノード電極同士を接続した2個のツェナーダイオードを用いて構成されている。一方のツェナーダイオードのカソード電極は抵抗746の一端に接続され、他方のツェナーダイオードのカソード電極は抵抗746の他端に接続されている。
なお、クランプ回路747は抵抗746の一端にカソード電極が接続され、抵抗746の他端にアノード電極が接続されたツェナーダイオード、カソード電極同士を接続した2個のツェナーダイオード等を用いて構成されてもよい。
第3静電気保護回路75は、第8整流ダイオード714を含んで構成されている。第8整流ダイオード714は、出力端子37と第6トランジスタ743のドレイン電極との間にアノード電極を接続し、第3配線55にカソード電極を接続している。
第3サージ保護回路83は更に第9整流ダイオード814を含んで構成されている。第9整流ダイオード814は出力端子37と第6トランジスタ743のドレイン電極との間にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極が接続している。
図1に示される電子制御システム100に、誤って、バッテリ10が逆接されたとする。このとき、図7に示されるように、配線基板20(図1参照)の第1電源端子21から第1電源配線201を通して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のソース電極に負電圧が印加される。第2電源端子22から第2電源配線202を通って保護回路1の第2電源端子32に正電圧が印加される。これにより、第4逆接保護回路74において、第6トランジスタ743はオン動作状態となり、第5トランジスタ741はソース電極とゲート電極の電位が同等となるので、第5トランジスタ741はオフ動作状態とされる。このため、電子制御システム100において、第1電源端子21に印加される負電圧は第5トランジスタ741により遮断されて出力端子24に伝わらない。
図7に示される電子制御システム100において、出力端子24が誤って接地されたとする。このとき、第4逆接保護回路74において、デプレッション型の第6トランジスタ743がオン動作状態になるので、第5トランジスタ741がオフ動作状態となる。つまり、出力端子24の接地による、第1電源端子21から出力端子24へ流れる過電流を、第4逆接保護回路74により遮断することができる。
仮に、出力端子37に正の静電気が印加されると、静電気は第3静電気保護回路75の第8整流ダイオード714、第3配線55のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が第2静電気保護素子612の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から第2静電気保護素子612を通って第1配線53へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が第3静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から第3静電気保護素子613を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
一方、出力端子37に負の静電気が印加されると、第8整流ダイオード714の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から第8整流ダイオード714を通って、出力端子37へ電流が流れ、静電気は吸収される。
第3サージ保護回路83では、出力端子37に印加されたサージを吸収することができる。仮に、正のサージであれば、第1サージ保護回路81の第9整流ダイオード814の降伏電圧を超えるときには、出力端子37から第9整流ダイオード814を通って第2配線54へ電流が流れ、サージは吸収される。仮に、負のサージであれば、第2配線54から第9整流ダイオード814を通って出力端子37へ電流が流れ、サージは吸収される。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第1実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図8を用いて、本発明の第7実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第6実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
図8に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第6実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図7参照)が配設されていない。
保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第6実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。チャージポンプ41に代えて、電子制御システム100では、外部電源46が組み込まれている。
外部電源46の正極は、抵抗48を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。さらに、外部電源46の正極は抵抗47を介して、第4逆接保護回路74の第5トランジスタ741のゲート電極に接続されている。外部電源46の負極は第5トランジスタ741のソース電極及び出力端子38と出力端子24との間に接続されている。外部電源46は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721及び第5トランジスタ741のオン動作を制御する。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第6実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図9を用いて、本発明の第8実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第6実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
図9に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第6実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図7参照)が配設されていない。チャージポンプ41に代えて、電子制御システム100では、外部電源43が組み込まれている。保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第6実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。
外部電源43の正極は、抵抗44を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。さらに、外部電源43の正極は抵抗45を介して、第4逆接保護回路74の第5トランジスタ741のゲート電極に接続されている。外部電源43の負極は第1トランジスタ721のソース電極及び第1電源端子31と第1電源端子21との間に接続されている。外部電源43は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721及び第5トランジスタ741のオン動作を制御する。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第6実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
図10を用いて、本発明の第9実施の形態に係る保護回路1について説明する。
本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第6実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
図10に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第6実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図7参照)が配設されていない。
保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第2実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。チャージポンプ41に代えて、電子制御システム100では、外部電源46及び外部電源43が組み込まれている。
外部電源43の正極は、抵抗44を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。外部電源43の負極は第1トランジスタ721のソース電極及び第1電源端子31と第1電源端子21との間に接続されている。外部電源43は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721のオン動作を制御する。
外部電源46の正極は、抵抗47を介して、第4逆接保護回路74の第5トランジスタ741のゲート電極に接続されている。外部電源46の負極は第5トランジスタ741のソース電極と出力端子38及び出力端子24との間に接続されている。外部電源46は、ゲート電極を昇圧し、第5トランジスタのオン動作を制御する。
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第6実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能である。
例えば、前述の図7に示される第6実施の形態に係る保護回路1において、イネーブル回路42及びそれに関係する構成を外してもよい。関係する構成とは、具体的には、イネーブル端子36、第2静電気保護回路62、第3トランジスタ731等である。このように構成される保護回路1では、より一層の小型化を実現することができる。
また、上記実施の形態に係る保護回路1の静電気保護回路において、静電気保護素子はダイオード若しくはツェナーダイオードに限定されない。本発明では、静電気保護素子として、例えばトランジスタを使用することができる。ここで、トランジスタとしては、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタのそれぞれを実用的に使用することができる。
上記実施の形態では、電子制御システム100に電子制御ユニット14が実装されているが、本発明は、電子制御ユニット14に代えて、エンジン制御ユニット(ECU:Engine Control Unit)を電子制御システム100に実装してもよい。
Claims (9)
- バッテリの正極に接続される第1電源端子から延設された第1電源配線と、
前記バッテリの負極に接続される第2電源端子から延設された第2電源配線と、
前記第1電源端子に第1主電極が接続され、出力端子に第2主電極が接続された第1トランジスタと、
前記第1電源配線に第3主電極が接続され、前記第1トランジスタの第1制御電極に第4主電極が接続され、前記第3主電極及び前記第2電源配線に第2制御電極が接続されたデプレッション型の第2トランジスタと、
前記第3主電極と前記第2制御電極との間に直列に接続された第1抵抗と、
前記第3主電極と前記第2電源配線との間に接続され、静電気を吸収する静電気保護回路と、
を備えている保護回路。 - 前記静電気保護回路は、
前記第1電源配線にアノード電極が接続された第1整流ダイオードと、
前記第1整流ダイオードのカソード電極が接続された第1配線と、
前記第2電源配線にカソード電極が接続された第2整流ダイオードと、
前記第2整流ダイオードのアノード電極が接続された第2配線と、
前記第1配線にカソード電極、前記第2配線にアノード電極が接続されたツェナーダイオードと、を備えている
請求項1に記載の保護回路。 - 前記第1電源配線にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第3整流ダイオードと、
前記第2電源配線にアノード電極が接続され、前記第1配線にカソード電極が接続された第4整流ダイオードと、
を更に備えている請求項2に記載の保護回路。 - 前記第1制御電極と前記第4主電極との間にアノード電極が接続された第5整流ダイオードと、
前記第5整流ダイオードのカソード電極が接続された第3配線と、
前記第4主電極にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第6整流ダイオードと、
を備え、
前記静電気保護回路は、
前記第1配線と前記第2配線との間に接続され、静電気を吸収する第1静電気保護素子と、
前記第1配線と前記第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第2静電気保護素子と、
前記第2配線と前記第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第3静電気保護素子と、
を更に備えている請求項2又は請求項3に記載の保護回路。 - 前記第1抵抗と前記第2電源端子との間に直列に接続された第2抵抗と、
前記第2抵抗に並列に接続され、前記第1抵抗にアノード電極が接続された第7整流ダイオードと、
を更に備えている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護回路。 - 前記第2電源配線に第5主電極が接続され、前記第2抵抗に第6主電極が接続され、イネーブル回路に第3制御電極が接続され、前記イネーブル回路によってオン、オフ制御される第3トランジスタと、
前記第5主電極にアノード電極が接続され、前記第6主電極にカソード電極が接続された第8整流ダイオードと、を更に備えている
請求項5に記載の保護回路。 - 前記第1主電極に第7主電極が接続され、前記正極に第8主電極が接続され、前記第1制御電極に供給される制御電圧と同等の制御電圧が供給される第4制御電極を有する第4トランジスタを更に備えている
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護回路。 - 前記出力端子に第9主電極が接続され、前記第2主電極に第10主電極が接続され、前記第1制御電極に供給される制御電圧と同等の制御電圧が供給される第5制御電極を有する第5トランジスタを更に備えている
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護回路。 - 前記出力端子と前記第2電源配線との間に接続されたコンデンサを更に備え、
前記第2トランジスタは、前記第1電源端子の電圧が下がるときに、この電圧が0Vよりも大きい閾値電圧以下になるとターンオンし、
前記第1トランジスタは、前記第2トランジスタのターンオンに伴いターンオフし、
前記コンデンサは、前記第1トランジスタがターンオフしたときに、前記出力端子が前記閾値電圧よりも大きい値となるように電荷を保持する
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の保護回路。
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