以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、表示パネル1に配置した本発明の実施形態に係る操作つまみ装置10を示す。表示パネル1は、静電容量の変化によってユーザの操作を検出するタッチ検出機能を備え、ナビゲーション装置又はセンターディスプレイ等の車載製品に搭載され、表示面が上下方向に延びるように配置されている。
図1に示すように、操作つまみ装置10は、表示パネル1の定められた操作領域に配置され、表示パネル1から車内側へ突出している。操作つまみ装置10は、全体として円環形状であり、上下方向に延びるように配置される表示パネル1に対して、軸線Aが直交方向に延びるように配置されている。操作つまみ装置10は、1個の操作部材を備え、この操作部材のプッシュ操作及び回転操作を表示パネル1に伝達する。
図2A及び図3に示すように、操作つまみ装置10は、ホルダ20、操作部材、付勢部材33、伝達部材35、リング部材45、及びフィルム50を備える。接着層52aを備えるフィルム(接着部材)50によって、操作つまみ装置10は表示パネル1の表面に固着されている。本実施形態の操作部材は、ロータ(基板)25とノブ30とを備える。伝達部材35は、ノブ30のプッシュ操作を伝達する第1伝達部材(他の伝達部材)36と、ノブ30の回転操作を伝達する第2伝達部材(伝達部材)37とを備える。
ホルダ20とリング部材45は、表示パネル1に隣接するようにフィルム50に固着されている。ロータ25は、軸線A周りの回転が許容されるようにホルダ20に配置されている。ノブ30は、軸線Aに沿った方向の直動が許容されるようにロータ25に取り付けられ、軸線Aを中心としてロータ25を一体に回転させる。付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、ノブ30を表示パネル1から離れる向きへ付勢する。第1伝達部材36は、ノブ30に取り付けられ、ノブ30の直動に連動して軸線Aに沿って移動する。第2伝達部材37は、ロータ25に取り付けられ、ロータ25と一体に回転する。
図2Bに示すように、ノブ30を表示パネル1に向けてプッシュ操作すると、第1伝達部材36がフィルム50に向けて一体に直動する。表示パネル1は、導電性を有する第1伝達部材36の接近によって静電容量が変化することで、ノブ30のプッシュ操作を検出できる。ノブ30から手を離すと、ノブ30と第1伝達部材36は、付勢部材33によって表示パネル1から離れる向きへ移動(離間)する。表示パネル1は、第1伝達部材36による静電容量の変化が無くなることで、プッシュ操作の解除を検出できる。ノブ30のプッシュ操作では、第2伝達部材37は表示パネル1に接近した状態を維持し、表示パネル1において第2伝達部材37によって静電容量が変化する領域は変化(移動)しない。
図2Aの状態でノブ30を回転操作すると、ロータ25と第2伝達部材37がノブ30と同じ向きへ一体に回転する。表示パネル1は、導電性を有する第2伝達部材37の回転によって静電容量が変化する位置が移動(回転)することで、ノブ30の回転操作を検出できる。回転操作が止められると、ロータ25と第2伝達部材37の回転も停止する。表示パネル1は、静電容量が変化する位置が止まることで、回転操作の停止を検出できる。表示パネル1は、静電容量の変化停止位置を検出することで、ユーザが希望する機能の実行、停止、或いは調整量を検出できる。ノブ30の回転操作では、第1伝達部材36は一体に回転するが、表示パネル1から離れた状態を維持するため、第1伝達部材36によって表示パネル1の静電容量は変化しない。
このような操作つまみ装置10において、本実施形態では、意図せずにホルダ20内に入り込んだ液体(例えば水を含む飲料)を自重で流出させること、つまり液体の排出性を向上する。
次に、操作つまみ装置10の構成部品について具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示パネル1に最も近いフィルム50側を車外側といい、表示パネル1から最も離れたノブ30の端壁部30c側を車内側ということがある。
図3及び図4に示すように、ホルダ20は、フィルム50の外周部に固着され、表示パネル1に対して操作つまみ装置10を構成する他の部品を内部に保持する円筒体である。より具体的には、ホルダ20の内側において、リング部材45の外側部分が他の構成部品を配置する配置領域21Aを構成し、リング部材45の内側部分が表示パネル1の一部を露出させる開口部(内部空間)21Bを構成する。ホルダ20は、絶縁性を有する(つまり導電性がない)樹脂(例えばABS)からなり、円筒状の本体20aの軸線Aが表示パネル1に対して直交方向に延びるように、表示パネル1に配置される。
図2Aを併せて参照すると、本体20aの内面20g側には、ロータ25を保持するための保持部20b,20cが設けられている。第1保持部20bは本体20aにおいて車外側に設けられ、第2保持部20cは本体20aにおいて車内側の端部近傍に設けられている。第1保持部20bは、円環状をなすように本体20aから径方向内向きに突出し、ロータ25の外周部を回転可能に保持するするとともに、軸線Aに沿った車外側へのロータ25の移動を規制する。第2保持部20cは、本体20aの内周面の一部からなり、ロータ25の後述する摺接部25cを回転可能に保持するとともに、ロータ25の径方向の移動を規制する。
第1保持部20bと第2保持部20cの間に位置するように、ホルダ20の内周部には、径方向内向きに突出する三角柱状の突起20dが周方向へ複数並設されている。周方向に隣り合う突起20d間は、後述する係合部材28を係合する係合溝20eを構成する。突起20dの車内側の端は、ホルダ20の車内側の端よりも車外側に位置し、これらによって段部20fが形成されている。
ここで、ノブ30は、表示パネル1から開放部(端部)30dが離間した非操作位置(図2A参照)と、表示パネル1に開放部30dが接近した操作位置(図2B参照)とに直動可能である。ノブ30の非操作状態では、ホルダ20は、開放部30dから表示パネル1側へ突出している。この突出部分には、係止溝22a〜22cと貫通孔22dが設けられている。
係止溝22a〜22cは、ホルダ20を表示パネル1に押し付ける取付治具(図示せず)を取り付けるために設けられている。係止溝22a〜22cは、ホルダ20の外面20hから内面20gに向けて径方向に窪むように設けられている。係止溝22a〜22cの溝底は、直線状をなすように延びている。
図2Aに示すように、貫通孔22dは、表示パネル1への取付状態で、上下方向の下端側に少なくとも一部が配置され、意図せずにホルダ20内に入り込んだ液体を外部へ排出する排出孔として機能する。また、貫通孔22dは、係止溝22a〜22cと同様に、取付治具(図示せず)を取り付けるための係止部としても機能する。
図5Aから図5Cを参照すると、貫通孔22dは、係止溝22aと径方向に対向するように設けられている。ホルダ20を径方向外側から見ると、貫通孔22dは、長方形状であり、配置領域21Aを画定する内面20gから外面20hにかけて貫通している。貫通孔22dは、ホルダ20における表示パネル1側の端部20iに対して軸方向Aに間隔をあけて設けられている。これにより、貫通孔22dの表示パネル1側の孔壁面22eとホルダ20の端部20iとの間には、壁部20jが残存している。
貫通孔22dは、液体が自重で通過可能な開口面積となるように設けられている。つまり、液体の表面張力を考慮して、ホルダ20の周方向の距離である貫通孔22dの幅W、ホルダ20の軸方向の距離である貫通孔22dの高さT、及びホルダ20の径方向の距離である貫通孔22dの長さLが設定されている。また、液体の排出と、配置領域21Aに配置される構成部品の潤滑用グリスの流出防止を両立できるように、ホルダ20の軸方向の距離である壁部(段部)20jの厚みtが設定されている。
貫通孔22dの幅Wは、10mm以上30mm以下に設定されることが好ましく、本実施形態では20mmに設定されている。貫通孔22dの幅Wを過度に広くすると、ホルダ20自体の剛性が低下する。貫通孔22dの幅Wを過度に狭くすると、排水性が低下する。これらの不都合を防ぐために、貫通孔22dの幅Wは、上記定められた範囲に設定されている。
貫通孔22dの高さTは、1mm以上3mm以下に設定されることが好ましく、本実施形態では1.9mmに設定されている。貫通孔22dの高さTを過度に大きく設定すると、ホルダ20自体の剛性が低下する。貫通孔22dの高さTを過度に小さく設定すると、排水性が低下する。これらの不都合を防ぐために、貫通孔22dの高さTは、上記定められた範囲に設定されている。
貫通孔22dの長さLは、1mm以上3mm以下に設定されることが好ましく、本実施形態では2.2mmに設定されている。つまり、ホルダ20の内面20gから外面20hまでの厚みが、上記範囲に設定されている。貫通孔22dの長さL(ホルダ20の厚み)を過度に大きくすると、排水性が低下する。貫通孔22dの長さL(ホルダ20の厚み)を過度に小さくすると、ホルダ20自体の剛性が低下する。これらの不都合を防ぐために、貫通孔22dの長さL(ホルダ20の厚み)は、上記定められた範囲に設定されている。
壁部20jの厚みtは、0.5mm以上2mm以下に設定されることが好ましく、本実施形態では0.5mmに設定されている。壁部20jの厚みtを過度に大きくすると、グリスの流出は確実に抑制できる反面、液体の排出に支障をきたす。壁部20jの厚みtを過度に小さくすると、液体は効率的に排出できる反面、グリスの流出抑制に支障をきたす。なお、壁部20jの厚みtがゼロの場合、つまり貫通孔22dが端部20iに形成した溝によって構成される場合、グリスの流出抑制だけでなく、フィルム50へのホルダ20の接着面積が低減されるため、表示パネル1への操作つまみ装置10の固着性にも支障をきたす。これらの不都合を防ぐために、壁部20jの厚みtは、上記定められた範囲に設定されている。
このようにホルダ20に貫通孔22dを形成することで、ホルダ20内に浸入した液体を貫通孔22dから外部へ確実に排出でき、液体による伝達部材36,37の導電性の低下を防止できる。
図3及び図6に示すように、ロータ25は、開口部21Bに連通する開口部(内部空間)26を備える。ロータ25は、軸線Aを中心としてホルダ20の内部に配置(内嵌め)される円環状の板体であり、絶縁性を有する樹脂(例えばPBT)からなる。図2Aを併せて参照すると、ロータ25は、車外側に配置されてフィルム50(表示パネル1)と対向する第1面25aと、車内側に配置されてフィルム50とは反対側に位置する第2面25bとを備える。ロータ25がホルダ20に配置されることで、第1面25aが第1保持部20bに当接し、第2面25bがホルダ20の車内側端部と面一に位置する。ロータ25の外周部には、第1保持部20bにおける車外側の面に係止する係止片25pが設けられている。第1保持部20bへの係止片25pの係止によって、車内側へのロータ25の移動が規制される。
ロータ25の外径は、第1保持部20bの内径よりも大きく、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径よりも小さい。ロータ25の第2面25b側の端部には、径方向外向きに突出し、ホルダ20の段部20fに配置されるとともに、第2保持部20cに摺接する摺接部25cが設けられている。摺接部25cは、周方向に間隔をあけて突出する複数の円弧状の突部からなり、これらの外端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径は、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円の直径よりも大きく、第2保持部20cの内径よりも小さい。これによりロータ25は、ホルダ20の内側で軸線Aを中心として回転できる。
図3に示すように、ロータ25の外周には、径方向内向きに窪む断面円形状の空間からなる取付穴25dが設けられている。取付穴25d内には、スプリング27と球状の係合部材28とが配置されている。係合部材28の直径は、取付穴25dの直径よりも小さく、係合溝20eの径方向の溝深さよりも大きい。ホルダ20に対してロータ25が回転されると、突起20dの傾斜面によって係合部材28が取付穴25d内へ移動し、スプリング27を収縮させる。スプリング27によって外向きに付勢された係合部材28が係合溝20eに係合することで、ロータ25がホルダ20に対して所定の回転角度位置に保持される。
図2Aを参照すると、ロータ25には、軸線Aに沿ってノブ30の移動を許容するための挿通孔25eが設けられている。図7を参照すると、ロータ25の第2面25b側には、付勢部材33を配置する配置部25f、及び後述するスタビライザ55を配置するための凹部25lが設けられている。図8を参照すると、ロータ25の第1面25a側には、保持部材42を支持するガイドリブ25h、及び保持部材42(第2伝達部材37)を取り付ける取付部25iが設けられている。これらについては後で詳述する。
図3及び図6に示すように、ノブ30は、開口部21Bに連通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31を備える環状体である。ノブ30は、軸線Aを中心とする円環状のカバーであり、絶縁性を有する樹脂(例えばPC/ABS)からなる。ノブ30は、ホルダ20及びロータ25に対して軸線Aに沿った方向の相対移動が許容され、ロータ25に対して軸線Aを中心とする周方向の相対移動が規制されるように、ロータ25の第2面25b側に配置されている。
具体的には、図2A及び図6に示すように、ノブ30は、開口部31を画定する円錐筒状の内壁部30aと、内壁部30a及びホルダ20の外側を取り囲む円錐筒状の外壁部30bとを備える。内壁部30aは、最も径方向内側に位置するように、リング部材45の内側に配置されている。外壁部30bは、最も径方向外側に位置するように、ホルダ20の外側に配置されている。これらは軸線Aを中心とする同心円筒状である。外壁部30bの外面には、回転操作時の滑止を図るための滑止部30iが設けられている。滑止部30iは、表面加工を施すことによって形成された多数の凹凸からなる。
内壁部30a及び外壁部30bにおける車内側の端は、これらに連なる端壁部30cによって塞がれている。内壁部30a及び外壁部30bにおける車外側の端は、開放された開放部30dである。つまり、外壁部30bに連なる端壁部30cには、開口部21Bを通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31が形成され、この開口部31の縁に内壁部30aが連なって設けられている。本実施形態では、端壁部30cの外面側に、円環状の装飾板32が配置されている。
内壁部30aと外壁部30bは、端壁部30cから開放部30dに向かうに従って、互いに離反するように傾斜している。開放部30d側に位置する内壁部30aの外端の直径はリング部材45の内径よりも小さく、内壁部30aの外端はロータ25よりも車外側に突出している。開放部30d側に位置する外壁部30bの外端の直径はホルダ20の外径よりも大きく、外壁部30bの外端はロータ25よりも車外側に突出している。内壁部30a、外壁部30b、及び端壁部30cの内部には、ホルダ20の大部分とロータ25とが収容されている。
前述のように、外壁部20jの表示パネル1側の端部(開放部30d)は、ホルダ20の表示パネル1側の端部20iに対して、表示パネル1から離れる向きに間隔をあけて位置している。この間隔(隙間)によって、ノブ30及びホルダ25の内外の通気性が確保されている。よって、貫通孔22dを通して配置領域21Aに浸入した液体を自重で確実に排出できる。
引き続いて図2A及び図6を参照すると、端壁部30cには、ロータ25を貫通して開放部30d側(車外側)へ突出する円筒状のボス(連結部)30eが設けられている。ボス30eは、端壁部30cに対して周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)設けられている。端壁部30c側の端から開放部30d側の端にかけたボス30eの全長は、第2面25bから第1面25aまでのロータ25の厚みよりも長く、内壁部30aの全長よりも短い。
図2A及び図8に示すように、ロータ25には、複数のボス30eにそれぞれ対応する挿通孔25eが設けられている。図7を参照すると、挿通孔25eの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。挿通孔25eは、ボス30eの外径よりも大きく、ボス30eが挿通され、軸線Aに沿った方向のボス30eの移動を許容する。これにより、軸線Aに沿った方向において、ロータ25に対するノブ30の相対的な移動が許容される。
図6及び図9を参照すると、ノブ30には、ロータ25に対する軸線Aに沿った方向への移動ガイド、及びロータ25に対する軸線Aを中心とした周方向への移動規制の機能を兼ね備える規制部30hが更に設けられている。規制部30hは、90度間隔をあけてそれぞれ一対設けられている。一対の規制部30hはそれぞれ、互いに対向する向きに突出する概ね三角柱状のリブからなり、これらの間に図7に示す配置部25fを有するブロック25oが挟み込まれる。
図2A及び図2Bに示すように、付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、軸線Aに沿ってロータ25から離れる向きへノブ30を付勢する。付勢部材33は、弾性を有するゴム(例えばシリコーンゴム)製であり、概ね円錐筒状に形成されている。但し、付勢部材33は、コイルスプリング又は板バネであってもよいし、ロータ25に設けた切起構造の樹脂バネであってもよい。
具体的には、図6及び図7に示すように、付勢部材33は、ロータ25の第2面25b側に周方向へ等間隔で複数(本実施形態では4個)配置されている。個々の付勢部材33は、円環状の基部33aと、基部33aから円錐筒状に突出する突出部33bと、突出部33bの先端に設けられた円柱状の頭部33cとを備える。
ロータ25の第2面25bには、付勢部材33を配置する配置部25fが設けられている。配置部25fは、基部33aを配置可能な断面円形状の窪みからなり、挿通孔25eとは異なる角度位置に設けられている。軸線Aが延びる方向における配置部25fの深さは、付勢部材33の全高よりも浅く、付勢部材33の頭部33cは第2面25bからノブ30側へ突出している。配置部25fの底には、第1面25aにかけて貫通する貫通孔25gが設けられている。貫通孔25gは、図2A及び図2Bに示す付勢部材33の弾性変形に伴う空気の流動を許容する。ノブ30の端壁部30cの内面には、円形状の窪みからなり、付勢部材33の頭部33cを保持する保持部30fが設けられている。
図6及び図8に示すように、伝達部材35を構成する第1伝達部材(他の伝達部材)36と第2伝達部材(伝達部材)37は、可撓性及び導電性を有する接続部38によって導通可能に接続されている。これらは、配置領域21Aにおいて、ホルダ20とリング部材45の間、かつロータ25とフィルム50との間に配置されている。図2A及び図2Bを参照すると、伝達部材36,37は、ホルダ20の内面20gに対してホルダ20の径方向に間隔をあけて配置されている。これにより形成された空間は、意図せずにホルダ20内に浸入した液体を一時的に収容可能なバッファ部39として機能する。
第1伝達部材36はノブ30に取り付けられ、第2伝達部材37はロータ25に取り付けられている。ノブ30のプッシュ操作によって、第1伝達部材36はノブ30の移動に連動して軸線Aに沿って移動するが、第2伝達部材37は移動しない。ノブ30の回転操作によって、第1伝達部材36は一体に回転し、第2伝達部材37はロータ25を介して一体に回転する。つまり、第2伝達部材37に対して第1伝達部材36は、軸線Aに沿って相対移動するが、軸線Aを中心とした周方向には相対移動しない。
第1伝達部材36は、導電性を有するゴムからなるC字状の板体である。但し、第1伝達部材36は、導電性を有する材料であれば、金属(例えば真鍮)製又は樹脂製であってもよい。第1伝達部材36の第1端36aから第2端36bまでの周方向の角度は、概ね270度である。第1伝達部材36の径方向の幅は、後述する取付部材40の径方向の幅よりも狭い。第1伝達部材36の厚みは、静電容量を大きくするために可能な限り大きくすることが好ましい。本実施形態では生産性を考慮して、幅を5mm、厚みを1mmとしている。
第1伝達部材36は、絶縁性を有する樹脂(例えばナイロン)からなる取付部材40を介してノブ30に取り付けられている。第1伝達部材36の内周部には、径方向内向きに突出し、取付部材40の定位置に配置するための位置決め突起36cが設けられている。取付部材40については後で詳述する。
図8及び図10に示すように、第2伝達部材37は、第1伝達部材36とは別体に形成され、接続部38を介して第1伝達部材36に一体化されている。第2伝達部材37は、導電性を有する金属(例えば真鍮)からなる概ね扇型状の板体である。但し、第2伝達部材37は、導電性を有する材料であればゴム製又は樹脂製であってもよい。
第2伝達部材37は、第1伝達部材36に対して同心円上に位置するように両端36a,36b間に配置され、保持部材42を介して接続部38に接続されている。保持部材42に配置するために、第2伝達部材37には、矩形状をなすように切り欠いた切欠部37aと、ネジ44を貫通させる貫通部37bとが設けられている。なお、保持部材42については後で詳述する。
引き続いて図8及び図10を参照すると、接続部38は、第1伝達部材36に一体に設けられ、第1端36a及び第2端36bから突出している。接続部38及び第2伝達部材37を重ね合わせた状態で保持部材42に配置することで、第1伝達部材36と第2伝達部材37が導通可能に接続される。但し、接続部38は、導電性ゴムによって構成した第2伝達部材37に一体に設けられてもよいし、電気的な導通が可能な材料によって第1伝達部材36及び第2伝達部材37とは別体で設けられてもよい。
接続部38は、第1伝達部材36に対して同心円上に延びる曲率の円弧状に形成されている。径方向における接続部38の幅は、径方向における第1伝達部材36の幅よりも狭い。これにより、第1伝達部材36の弾性的な変形は抑制する一方、第1伝達部材36に連なる接続部38の弾性的な変形を許容している。本実施形態では、軸線Aに沿った方向における接続部38の厚みは、第1伝達部材36の厚みと同一にしているが、接続部38の弾性的な変形を促進するために、第1伝達部材36の厚みよりも薄くしてもよい。
一対の接続部38の先端にはそれぞれ、第2伝達部材37に導通可能に接続するための接続端38aが設けられている。接続端38aは、軸線Aが延びる方向から見て円形状であり、その直径は接続部38の幅よりも大きい。接続端38aの中心には、厚さ方向に貫通した貫通孔38bが設けられている。
第1伝達部材36の端36a,36bから接続端38aまでの長さは、ノブ30の非操作状態で、第1伝達部材36と第2伝達部材37の間に余剰(ゆとり)部分を確保できる寸法設定である。この余剰部分によって接続部38は、第2伝達部材37に対する第1伝達部材36の相対移動を許容する。
図2A及び図8に示すように、取付部材40は、第1伝達部材36を覆い隠すことが可能な大きさのC字状の板体である。取付部材40の径方向の幅は、ロータ25の径方向の幅よりも狭い。
取付部材40のうちの表示パネル1と対向する面には、第1伝達部材36を配置する凹溝40aが設けられている。凹溝40aは、外側壁40b、内側壁40c、一対の端壁40dによって画定されている。外側壁40bは、第1伝達部材36よりも僅かに大きいC字状であり、第1伝達部材36の位置決め突起36cと対応する部分には位置決め溝40eが設けられている。内側壁40cは連続した無端状のリングである。一対の端壁40dにはそれぞれ、接続部38を挿通する挿通溝40fが設けられている。
凹溝40aの深さは、軸線Aが延びる方向の第1伝達部材36の厚みよりも浅く、壁40b〜40dの先端から第1伝達部材36が突出する。凹溝40aに第1伝達部材36を取り付ける取付手段には、両面テープ及び接着剤等の接着部材による方式、圧入及び固定片等の機械的構造による方式を用いることができる。
図2A及び図6に示すように、取付部材40には、ネジ(連結部材)41を貫通させる貫通部40gが設けられている。取付部材40には、ロータ25に向けて突出し、貫通孔25nを貫通した規制部30h間に配置されて、ノブ30に対する取付部材40の周方向の相対移動(回転を含む)を規制する位置決め凸部40hが設けられている。取付部材40の外周面には、径方向外向きに突出し、ノブ30の非操作状態で第1保持部20bに当接する当接部40iが設けられている。第1保持部20bへの当接部40iの当接によって、それ以上の車内側へのノブ30の移動、及び第1伝達部材36を含む取付部材40の移動が規制される。
図2Aに示すように、貫通部40gを貫通させたネジ41をボス30eに締め付けることで、取付部材40を介して第1伝達部材36がノブ30に連結され、ロータ25に対するこれらの取付状態が維持される。ノブ30の非操作状態で第1伝達部材36は、付勢部材33の付勢によって当接部40iが第1保持部20bに当接することで、ロータ25の第1面25aに近接した位置に後退している。図2Bに示すように、ノブ30のプッシュ操作によって第1伝達部材36は、軸線Aに沿ってフィルム50に接触する位置まで進出する。
図8及び図10を参照すると、保持部材42は、第2伝達部材37の形状に対応する扇型状の板体である。保持部材42は、ロータ25の第1面25aに配置され、スプリング43によって車外側へ付勢されることで、表示パネル1に第2伝達部材37が常に隣接(接触)した状態をなす。
図11A及び図11Bを併せて参照すると、保持部材42の車外側の面には、一対の接続部38の先端をそれぞれ配置する一対の窪み42aが設けられている。窪み42aは、接続端38aを配置する円形状部分と、円形状部分から保持部材42の両側面にかけて延びる矩形状部分とを備える。窪み42aの深さは、接続部38の厚みよりも浅く、保持部材42から接続部38が突出するように構成されている。窪み42aの円形状部分には、貫通孔38bを貫通する円柱状の突出部42bが設けられている。突出部42bの突出寸法は窪み42aの深さよりも小さい。
保持部材42の車外側には更に、切欠部37aに位置する位置決め凸部42cがそれぞれ設けられている。位置決め凸部42cの突出寸法は第2伝達部材37の厚みよりも小さく、第2伝達部材37は保持部材42から突出している。保持部材42の中央には、第2伝達部材37をネジ止めするためのネジ孔42dが設けられている。
窪み42aに接続端38aを配置した後、その車外側に第2伝達部材37を配置し、貫通部37bを貫通させたネジ44をネジ孔42dに締め付ける。これにより、第2伝達部材37と保持部材42の間に接続部38が圧接状態で挟み込まれることで、接続部38(第1伝達部材36)と第2伝達部材37の導通が確保される。
保持部材42の車内側には、スプリング43の一端を配置する円筒状の凸部42eが設けられている。凸部42eは、ネジ孔42dの軸線と同軸に設けられている。保持部材42の周方向の両端には、ロータ25に向けて突出する一対の係止片42fが設けられている。係止片42fは、ロータ25に係止して、ロータ25からの離脱を防ぐための爪部42gを備える。
図8を参照すると、ロータ25の第1面25aには、保持部材42の周方向の両端をそれぞれ規制するガイドリブ25hが設けられている。一対のガイドリブ25hはそれぞれ、周方向に延びるように設けられている。一対のガイドリブ25hの間には、保持部材42を取り付ける取付部25iが設けられている。
取付部25iは、複数の配置部25fのうちの1つの車外側に隣接して設けられている。図10を参照すると、取付部25iは、係止片42fが貫通される一対の貫通孔25jと、スプリング43を配置する凹部25kとを備える。貫通孔25jの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。凹部25kは、車外側から車内側へ窪むように、一対の貫通孔25j間に設けられている。第2面25b側に位置する貫通孔25jの縁と爪部42gとの間には、ロータ25に対する保持部材42の軸線Aに沿った方向の移動を許容する隙間が確保されている。
図3及び図4に示すように、リング部材45は、内壁部30aの外側に隣接して配置され、軸線Aを中心とする円環状の筒体である。リング部材45は、絶縁性を有する樹脂(例えばABS)からなる。
リング部材45は、フィルム50の内周部に固着された基部45aと、基部45aの外周部からノブ30内へ突出する突出部45bとを備える。リング部材45の軸線方向の寸法は、ホルダ20の軸線方向の寸法よりも小さい。ノブ30の非操作状態で、リング部材45の先端は、開放部30dを構成する内壁部30aの縁に対して、表示パネル1とは反対側に位置している。つまり、車内側に位置する突出部45bの先端は、図2Aに示すノブ30の非操作状態で、ノブ30の開放部30dよりも端壁部30c側へ位置している。
引き続いて図3及び図4を参照すると、フィルム50は、表示パネル1の一部を露出させる開口部51を備え、軸線Aを中心とする円環状の部材である。フィルム50は、絶縁性、耐水性、及び耐熱性に優れた樹脂(例えばPET)からなる。フィルム50は、射出成形によって製造可能な樹脂成形品の壁の最小厚みよりも薄い厚みである。具体的には、フィルム50の厚みは、0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましく、本実施形態では0.1mmである。フィルム50は、ホルダ20及びリング部材45の車外側端面に固着され、第1伝達部材36及び第2伝達部材37の表示パネル1側を覆う。
フィルム50の外径はホルダ20の最大部分の外径と同一であり、フィルム50の内径はリング部材45の最小部分の内径と同一である。本実施形態のリング部材45の基部45aは、接着面積を確保するために突出部45bから径方向内向きに突設されているため、この基部45aの内径と同じ寸法にフィルム50の内径が設定されている。
図2Aを併せて参照すると、フィルム50において、表示パネル1と対向する車外側の面には接着層52aが設けられている。フィルム50の車内側の面には、外周部にホルダ20を固着する接着層52bが設けられ、内周部にリング部材45を固着する接着層52cが設けられている。
図6及び図7に示すように、操作つまみ装置10は、プッシュ操作時にロータ25に対するノブ30の傾きを抑制するスタビライザ55を備える。スタビライザ55は、ロータ25とノブ30の端壁部30cとの間に複数配置されている。本実施形態では、4本のスタビライザ55が軸線Aを中心として周方向へ90度間隔で配置されている。
個々のスタビライザ55は、本体55a、一対の基部55b、及び一対の腕部55cを備え、線材によって形成されている。
図9に示すように、本体55aは、内壁部30aの径方向外側に隣接して配置されている。ロータ25及びノブ30の径方向に対向するスタビライザ55の本体55aは平行に延び、隣り合うスタビライザ55の本体55aは直交方向に延びている。
本体55aは、端壁部30cに突設された保持部30gに回転可能に保持されている。個々の保持部30gは、本体55aの長手方向の両端近傍に位置する第1部分と第2部分をそれぞれ備えており、これらは基部(線材)55aの両側にそれぞれ位置し、本体55aを保持する一対の爪部を備える。
基部55bは、腕部55cを介して本体55aに連続し、本体55aに対して平行に延びている。軸線Aが延びる方向から見て、隣り合うスタビライザ55の本体55aと基部55bとは、直交方向に交差している。つまり、第1のスタビライザ55の本体55aと、第1のスタビライザ55と隣り合う第2のスタビライザ55の基部55bとが交差している。
図6及び図7に示すように、基部55bは、ロータ25の第2面25bに形成された凹部25lに配置され、ロータ25の外周部に形成された保持溝25mに保持されている。
凹部25lは、挿通孔25e及び配置部25fとは異なる角度位置の4カ所に設けられている。凹部25lは、車内側から車外側へ窪んでおり、基部55bの移動を許容する底面を備える。凹部25lの形成領域、挿通孔25eの形成領域、及び貫通孔25jの形成領域は、空間的に連通している。
保持溝25mは、凹部25lと空間的に連通し、凹部25lからロータ25の外周面にかけて貫通した長穴からなる。保持溝25mは、1カ所の凹部25lに2個、合計で8個設けられている。1カ所の凹部25lに形成される一対の保持溝25mは直交方向に延びており、それぞれ異なるスタビライザ55の基部55bが配置される。基部55bの先端を保持溝25m内に配置することで、第2面25bに沿った基部55bの移動が許容されている。
図7及び図9に示すように、腕部55cは、本体55aの外端及び基部55bの内端に連続している。腕部55cは、本体55a及び基部55bに対して直交方向に延びている。前述のように、本体55aがノブ30に保持され、基部55bがロータ25に保持されているため、腕部55cは、凹部25lの底面に対して傾斜している。この傾斜によって、隣り合うスタビライザ55の腕部55cは、干渉することなく三次元的に配置されている。
なお、本体55aを保持する保持部をロータ25に設け、基部55bを保持する保持溝をノブ30に設けてもよい。
次に、操作つまみ装置10の動作について説明する。
図2Aに示すように、ノブ30の非操作状態では、付勢部材33の付勢によってノブ30がロータ25から離反した位置に保持されている。これにより、ボス30eに連結された第1伝達部材36がフィルム50から離れて位置する。また、第2伝達部材37は、スプリング43の付勢によってフィルム50に当接した位置に保持されている。
この非操作状態では、表示パネル1において、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化する。但し、第2伝達部材37によって静電容量が変化する位置は、所定位置に維持されている。よって、表示パネル1は、ノブ30が操作されていないことを検出できる。
ノブ30をプッシュ操作すると、付勢部材33の付勢力に抗してロータ25にノブ30が接近する。この際、ノブ30の直動によってスタビライザ55の本体55aが押圧され、基部55bが凹部25lの底面及び保持溝25mに沿って移動する。これにより、ロータ25に対してノブ30の傾きが抑制される。また、ノブ30の直動によってボス30eを介して第1伝達部材36がフィルム50に接近又は接触する。
プッシュ操作によって表示パネル1の静電容量は、第2伝達部材37の対向部分に加え、第1伝達部材36と対向する部分も変化する。よって、表示パネル1の静電容量が変化する領域は、非操作状態と比較して広範囲になる。この静電容量の変化領域の増大によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作を検出できる。
プッシュ操作が止められると、付勢部材33の付勢力によって、ロータ25に対してノブ30と第1伝達部材36が車内側へ移動する。これにより、表示パネル1において、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量の変化が無くなるため、静電容量が変化する領域はプッシュ操作状態と比較して局所的になる。この静電容量の変化領域の減少によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作の解除を検出できる。
ノブ30を回転操作すると、ロータ25を介して第2伝達部材37が一緒に回転する。この際、付勢部材33によってノブ30は、ロータ25から離れた状態に保持されているため、第1伝達部材36もフィルム50から離れた状態に維持される。
回転操作によって表示パネル1では、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化するが、変化する位置が軸線Aを中心として回転する。よって、表示パネル1は、ノブ30が回転する向き(時計回りか反時計回りか)を含めて、ノブ30の回転操作を検出できる。
回転操作が止められると、ロータ25及び第2伝達部材37の回転も停止する。これにより、表示パネル1では、静電容量が変化する位置の移動が停止する。よって、表示パネル1は、ノブ30の回転操作の停止を検出できる。
ユーザの不注意によって操作つまみ装置10の周囲に飲料等の液体が零れた場合、ホルダ20によってノブ30内への液体の侵入が阻止される。阻止できなかった液体がホルダ20を越えて配置領域21Aに入り込んだ場合、その液体は、ホルダ20のバッファ部39内(内面20g)を通って下向きに流れて、ホルダ20の内面下端に至る。リング部材45の外周面に付着した液体は、リング部材45を伝って下向きに流れ、リング部材45の下端から滴下してホルダ20の内面下端に至る。ホルダ20の下端に至った液体は、貫通孔22dを通してホルダ20の内方から外方へ、つまり操作つまみ装置10の外部へ流出する。
ホルダ20内に浸入した液体が、貫通孔22dに向けて流動することなく、表面張力によって配置領域21A内の伝達部材36,37又はフィルム50に付着した状態になることがある。しかし、本実施形態では、ノブ30のプッシュ操作又は回転操作によって液体の表面張力を無効化できるため、ホルダ20の下端に貫通孔22dを設けるというシンプルな構造で、貫通孔22dから液体を確実に排出できる。
詳しくは、フィルム50において第1伝達部材36との対向位置に付着した液体は、ノブ30のプッシュ操作に連動して進退する第1伝達部材36が干渉することで、フィルム50から脱落し、貫通孔22dに向けて流動する。又は、ノブ30の回転操作に連動して回転する第2伝達部材37によって掻き落とされることで、バッファ部39内に移動し、貫通孔22dに向けて流動する。それ以外の部分に付着した液体は、ノブ30のプッシュ操作又は回転操作に伴う振動によって脱落し、貫通孔22dに向けて流動する。よって、ホルダ20内に浸入した液体の残留を防ぎ、伝達部材36,37の導電性の低下を防止できる。
以上のように構成した操作つまみ装置10は、以下の特徴を有する。
ホルダ20の下端に少なくとも一部が位置するように、液体が通過可能な貫通孔22dが設けられている。よって、意図せずに配置領域21Aに浸入した液体をホルダ20の外部へ自重で流出させること、つまり液体の排出性を向上できる。
表示パネル1に隣接した第2伝達部材37は、ノブ30の回転に連動して回転する際、配置領域21Aに付着した液体を掻き落とす。そのため、配置領域21Aに浸入した液体によって、第2伝達部材37の導電性が低下することを防止でき、表示パネル1の検出性能に影響が及ぶことを防止できる。
貫通孔22dは、ホルダ20の端部20iに対して軸方向に間隔をあけて設けられており、ホルダ20の端部20iには切り欠かれた部分が存在しない。よって、表示パネル1へのホルダ20の接着面積を確保できるため、表示パネル1に対して操作つまみ装置10を強固に固着できる。また、ホルダ20において表示パネル1と貫通孔22dの間の残存部(壁部20j)によって、配置領域21Aの部品の潤滑用グリスの流出を抑制できる。
伝達部材36,37は、ホルダ20の内面20gに対してホルダ20の径方向に間隔をあけて配置され、伝達部材36,37とホルダ20の間には、液体を一時的に収容可能なバッファ部39が形成されている。そのため、配置領域21Aに浸入した液体は、伝達部材36,37によって流動が妨げられることなく、バッファ部39を通ってホルダ20の下端の貫通孔22dへ流動できる。よって、浸入した液体の排出性を向上できる。
非操作状態のノブ30は、表示パネル1から離れる向きに間隔をあけて位置し、ホルダ20とノブ30の間には隙間が確保されている。この隙間によって通気性を確保できるため、配置領域21Aに浸入した液体を自重で確実に排出できる。また、貫通孔22dの外側にはノブ30の外壁部30bが位置し、車内側から貫通孔22dを目視できないため、操作つまみ装置10の外観が損なわれることはない。
ノブ30のプッシュ操作を伝達するための第1伝達部材36を備える。これにより、ノブ30の回転操作だけでなくプッシュ操作も表示パネル1が検出できるため、操作つまみ装置10の利便性を向上できる。また、ノブ30のプッシュ操作に連動して進退する第1伝達部材36が配置領域21Aに付着した液体に干渉することで、貫通孔22dに向けた液体の流動を促進できる。よって、浸入した液体によって、表示パネル1の検出性能に影響が及ぶことを防止できる。
ホルダ20、ロータ25、及びノブ30が環状に形成され、配置領域21及び開口部31を通して表示パネル1の一部を視認できるため、表示パネル1の表示領域を確保できる。また、ノブ30の内壁部30aと外壁部30bの間に第1伝達部材36と第2伝達部材37が集約して配置されているため、操作つまみ装置10を小型化できる。しかも、ロータ25及びノブ30を環状とした場合、これらの開口部分からも液体が浸入する虞があるが、この液体も貫通孔22dから確実に排出できる。
なお、本発明の操作つまみ装置10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、図12に示すように、貫通孔22dは、複数の仕切壁22fによってホルダ20の周方向に仕切られた複数の孔によって構成されてもよい。貫通孔22dの断面形状(断面積)は、内面20gから外面20hに向けて徐々に増大又は減少していてもよい。ホルダ20の径方向外側から見た貫通孔22dの形状は、長方形状以外であってもよい。つまり、貫通孔22dは、液体が自重で通過可能な構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
操作つまみ装置10は円環状に限られず、軸線Aが延びる方向から見て、開口部が無い円形状であってもよい。また、操作つまみ装置10の外形は多角形状であってもよい。
第1伝達部材56を配置することなく、第2伝達部材57のみを配置し、ノブ30の回転のみを表示パネル1に伝達可能としてもよい。この場合、操作部材は、ロータ25を用いることなく、ホルダ20に対してノブ30を直接回転可能に配置してもよい。
本実施形態においては、第2伝達部材37を表示パネル1に常に接触した状態となるように構成しているが、第2伝達部材37を表示パネル1に対して軸方向に間隔をあけて隣接するように配置してもよい。
本発明の操作つまみ装置10は、タッチ検出機能を備える表示パネル1を搭載した製品であれば、車載製品以外にも用いることができる。