JP2021156563A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】暖房運転に室外機に流れる冷媒量の低下を抑制することで、圧縮機の吐出温度の過昇を抑制しつつ暖房能力の低下を抑制できる。【解決手段】空気調和装置1は、暖房運転時に各室内機5a〜5cの室内膨張弁52a〜52c(凝縮器側膨張弁)を介して各室内機5a〜5cから流出して室外機2へと流れる冷媒量が、各室内機5a〜5cで発揮される暖房能力に支障をきたして使用者に不快感を与える恐れがある量まで減少していることを検知し、当該室外機2へと流れる冷媒の量が減少していることを検知すれば、各室内機5a〜5cの室内膨張弁52a〜52cの各開度が大きくなるように補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機の圧縮室に冷媒をインジェクションできる空気調和装置に関する。
従来、低外気温度下で暖房能力を向上させるために、圧縮機の圧縮室に凝縮器として機能する熱交換器から流出した冷媒の一部を抽入できる、所謂インジェクションが行える空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の空気調和装置は、室外機に、圧縮室に冷媒を抽入可能なインジェクションポートを有する圧縮機と、室外熱交換器と、室外膨張弁と、過冷却熱交換器と、インジェクション膨張弁を備え一端が圧縮機のインジェクションポートに接続され他端が暖房運転時の過冷却熱交換器の冷媒入り口側に接続されるインジェクション管とを有する。
上述した空気調和装置で、低外気温度下(例えば、2℃)で暖房運転を行うときは、インジェクション膨張弁を開いて室内機から室外機に流入した冷媒の一部をインジェクション管に分流させる。インジェクション管に分流した冷媒は、過冷却熱交換器において室外膨張弁を通過して室外熱交換器へと流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて、インジェクションポートを介して圧縮機の圧縮室に抽入される。なお、過冷却熱交換器において室外膨張弁を通過して室外熱交換器へと流れる冷媒は、インジェクション管に分流した冷媒によって冷却される。
ところで、暖房運転時の室内膨張弁(以降、凝縮器膨張弁と記載する場合がある)の開度は、凝縮器として機能する室内熱交換器の冷媒出口側における冷媒過冷却度が、所定の目標値(以降、目標冷媒過冷却度と記載する)となるように調整される。具体的には、冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度よりも大きな値である場合は、室内膨張弁の開度が冷媒過冷却度と目標冷媒過冷却度との差分に応じて現在の開度より大きくされる。また、冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度よりも小さな値である場合は、室内膨張弁の開度が冷媒過冷却度と目標冷媒過冷却度との差分に応じて現在の開度より小さくされる。
特開2007−263440号公報
上述したように、暖房運転時に、室内膨張弁の開度が室内熱交換器の冷媒出口側における冷媒過冷却度に基づいて調整されるときに室内膨張弁の開度が小さくされると、当該室内膨張弁より下流側すなわち冷媒回路における当該室内膨張弁から室外機の圧縮機までの区間を流れる冷媒の量が、室内膨張弁の開度が小さくされる前と比べて減少する。このとき、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器に流入する冷媒量が減少し、室外熱交換器の冷媒出口側における冷媒過熱度つまりは圧縮機に吸入される冷媒の過熱度である吸入冷媒過熱度が大きくなって、圧縮機の吐出温度が過昇する恐れがあった。また、蒸発器として機能する室外熱交換器に流入する冷媒量が減少すれば、当該室外熱交換器での蒸発圧力が低下する、すなわち、蒸発温度が低下するため、室外熱交換器の温度が低下して除霜運転が必要と誤判断されて暖房運転が中断される恐れがあった。
また、特許文献1に記載の空気調和装置のように、圧縮機に冷媒を抽入するインジェクション管を有するものでは、室内機から室外機へと流入した冷媒が、インジェクション管と室外熱交換器へとつながる配管とに分流する。このため、室内膨張弁の開度が小さくされることで室外機に流入する冷媒量が減少すれば、インジェクション管を持たない場合と比べて蒸発器として機能する室外熱交換器に流入する冷媒量がより減少するため、上述した吐出温度の過昇や除霜運転の誤判断がより発生しやすくなるという問題があった。さらには、インジェクション管に分流する冷媒量も室内膨張弁の開度が小さくされる前と比べて減少するため、圧縮機に冷媒が抽入されることによる圧縮機の冷却効果や暖房能力の増大効果が低減する恐れがあった。
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、冷媒回路において凝縮器膨張弁より下流側に流れる冷媒量を考慮して凝縮器膨張弁の開度を調整することで、圧縮機の吐出温度の過昇を抑制しつつ暖房能力の低下を抑制できる空気調和装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、圧縮機と凝縮器と凝縮器における冷媒流量を調整する凝縮器膨張弁と蒸発器と蒸発器における冷媒流量を調整する蒸発器膨張弁を有し、圧縮機、凝縮器、凝縮器膨張弁、蒸発器膨張弁、蒸発器の順で冷媒が循環可能な冷媒回路を有する。また、本発明の空気調和装置は、凝縮器の冷媒出口側における冷媒過冷却度を検出する過冷却度検出手段と、凝縮器膨張弁および蒸発器膨張弁を制御する制御手段とを有する。制御手段は、凝縮器膨張弁の開度を、過冷却度検出手段で検出した冷媒過冷却度とこの冷媒過冷却度の制御目標値である目標冷媒過冷却度との差分に基づいた第1開度に調整し、蒸発器膨張弁の開度の制御態様に基づいて、冷媒回路における凝縮器膨張弁より下流側を流れる冷媒量が不足している冷媒不足状態となっているか否かを判断する。そして、制御手段は、冷媒不足状態と判断した場合に、第1開度を、冷媒不足状態と判断した際に使用した蒸発器膨張弁の制御態様に基づいて補正する。
上記のように構成した本発明の空気調和装置によれば、冷媒回路において凝縮器膨張弁より下流側に流れる冷媒量を考慮して凝縮器膨張弁の開度を調整することで、圧縮機の吐出温度の過昇を抑制しつつ暖房能力の低下を抑制できる。
本発明の実施形態における、空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室外機制御手段および室内機制御手段のブロック図である。 本発明の実施形態における、不足判定方法テーブルである。 本発明の実施形態における、室外機制御手段が実行する不足判定および室内膨張弁の開度補正値の決定に関わる処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における、室内機制御手段が実行する室内膨張弁の開度調整に関わる処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に3台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、1台の室外機2と、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された3台の室内機5a〜5cを備えている。詳細には、液管8は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が分岐して室内機5a〜5cの各液管接続部53a〜53cに、それぞれ接続されている。また、ガス管9は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が分岐して室内機5a〜5cの各ガス管接続部54a〜54cに、それぞれ接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路100が形成されている。
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機20と、四方弁21と、室外熱交換器22と、過冷却熱交換器23と、室外膨張弁24と、液管8の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管9の一端が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外ファン28と、インジェクション膨張弁29と、レシーバ30を備えている。そして、室外ファン28を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室外機冷媒回路20を形成している。
圧縮機20は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機20の冷媒吐出側は、後述する四方弁21のポートaと吐出管41で接続されており、また、圧縮機20の冷媒吸入側は、アキュムレータ27の冷媒流出側と吸入管42で接続されている。圧縮機20には、後述するインジェクション管47から圧縮機20の内部の図示しない圧縮室に冷媒を抽入するためのインジェクションポート20aが設けられている。
四方弁21は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機20の冷媒吐出側と吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器22の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入側と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
室外熱交換器22は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器であり、冷媒と、後述する室外ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器22の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁21のポートbと冷媒配管43で接続され、他方の冷媒出入口は後述するレシーバ30と第1室外機液管44aで接続されている。なお、室外熱交換器22が、本発明の熱源側熱交換器に相当する。
室外膨張弁24は、第1室外機液管44aに設けられている。室外膨張弁24は電子膨張弁であり、冷房運転時は後述する過冷却熱交換器23の冷媒出口側における冷媒の過冷却度が所定の目標値となるようにその開度が調整される。また、暖房運転時は後述するように、圧縮機20にインジェクションを行わない場合は、圧縮機20から吐出される冷媒の温度である吐出温度が所定の目標吐出温度となるようにその開度が調整され、圧縮機20にインジェクションを行う場合は、圧縮機20に吸入される冷媒の過熱度である吸入冷媒過熱度が所定の目標吸入冷媒過熱度となるようにその開度が調整される。なお、室外熱交換器22が蒸発器として機能する際の室外膨張弁24が、本発明の蒸発器膨張弁に相当する。
過冷却熱交換器23は、室外膨張弁24と閉鎖弁25の間に配置される。過冷却熱交換器23は例えば二重管熱交換器であり、二重管熱交換器の図示しない内管が後述するインジェクション管47の一部となるように配置され、図示しない外管が第1室外機液管44aの一部となるように配置される。過冷却熱交換器23では、後述するインジェクション膨張弁29で減圧されて内管を流れる冷媒と、第1室外機液管44aから外管へと流れる冷媒が熱交換を行う。
レシーバ30は、過冷却熱交換器23と閉鎖弁25の間に配置され、前述したように第1室外機液管44aで室外熱交換器22と接続されるとともに、第2室外機液管44bで閉鎖弁25と接続される。レシーバ30は、室外熱交換器22の内部における冷媒量を調整するバッファとしての役割を果たす。また、レシーバ30は、流入した冷媒の気液分離を行う。
インジェクション管47は、一端が第1室外機液管44aにおける過冷却熱交換器23とレシーバ30の間に接続され、他端が圧縮機20のインジェクションポート20aに接続されている。上述したように、過冷却熱交換器23の図示しない内管はインジェクション管47の一部とされており、インジェクション管47の第1室外機液管44aにおける接続点と過冷却熱交換器23の内管の間にインジェクション膨張弁29が設けられている。インジェクション膨張弁29は電子膨張弁であり、その開度が調整されることで第1室外機液管44aから分流した冷媒の一部を減圧し過冷却熱交換器23を介して圧縮機20にインジェクションポート20aを介して抽入される冷媒量を調整する。なお、インジェクション膨張弁29が本発明の第2膨張弁に相当する。また、インジェクション管47とインジェクション膨張弁29とで本発明のインジェクション回路が形成される。
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入側が四方弁21のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機20の冷媒吸入側と吸入管42で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管46からアキュムレータ27の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機20に吸入させる。
室外ファン28は樹脂材で形成されており、室外熱交換器22の近傍に配置されている。室外ファン28は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器22において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機20から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機20から吐出される冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ27の冷媒流入口の近傍には、圧縮機20に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機20に吸入される冷媒の温度である吸入温度を検出する吸入温度センサ34が設けられている。
第1室外機液管44aにおける室外熱交換器22と室外膨張弁24の間には、第1室外機液管44aを流れる冷媒の温度を検出するための冷媒温度センサ35が設けられている。室外熱交換器22の図示しない熱交パスの中間部には、室外熱交換器22の温度を検出する室外熱交中間温度センサ36が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ37が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240を備えている。
記憶部220は、例えばフラッシュメモリで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機20の回転数、室外膨張弁24の開度、インジェクション膨張弁29の開度などを記憶している。通信部230は、室内機5a〜5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果を、センサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機5a〜5cから送信される制御信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機20や室外ファン28の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁21の切り換え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室外膨張弁24やインジェクション膨張弁29の開度調整を行う。
なお、室外膨張弁24やインジェクション膨張弁29の開度調整については、後に詳細に説明する。
<室内機の構成>
次に、3台の室内機5a〜5cについて説明する。3台の室内機5a〜5cは、室内熱交換器51a〜51cと、室内膨張弁52a〜52cと、分岐した液管8の他端が接続された液管接続部53a〜53cと、分岐したガス管9の他端が接続されたガス管接続部54a〜54cと、室内ファン55a〜55cを備えている。そして、室内ファン55a〜55cを除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室内機冷媒回路50a〜50cを形成している。
なお、室内機5a〜5cの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機5aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機5b、5cについては説明を省略する。また、図1では、室内機5a中の各構成に付与した番号の末尾をaからbまたはcにそれぞれ変更したものが、室内機5a中の各構成と対応する室内機5b、5cの各構成となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と後述する室内ファン55aの回転により図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部53aと室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部54aと室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。なお、液管接続部53aには液管8が溶接やフレアナット等により接続され、また、ガス管接続部54aにはガス管9が溶接やフレアナット等により接続されている。また、室内熱交換器51aが、本発明の利用側熱交換器に相当する。
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは電子膨張弁であり、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合すなわち室内機5aが冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(ガス管接続部54a側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内膨張弁52aは、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合すなわち室内機5aが暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(液管接続部53a側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度は、室内機5aで十分な暖房能力あるいは冷房能力が発揮されるための値である。なお、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する際の室内膨張弁52aが、本発明の凝縮器膨張弁に相当する。
室内ファン55aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機5aには各種のセンサが設けられている。室内機液管71aにおける室内熱交換器51aと室内膨張弁52aの間には、室内熱交換器51aに流入あるいは室内熱交換器51aから流出する冷媒の温度である液温度を検出する液側温度センサ61aが設けられている。室内機ガス管72aには、室内熱交換器51aから流出あるいは室内熱交換器51aに流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62aが設けられている。室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ63aが備えられている。
また、室内機5aには、室内機制御手段500aが備えられている。室内機制御手段500aは、室内機5aの図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室内機制御手段500aは、CPU510aと、記憶部520aと、通信部530aと、センサ入力部540aを備えている。
記憶部520aは、例えばフラッシュメモリで構成されており、室内機5aの制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン55aの回転数、室内膨張弁52aの開度などを記憶している。通信部530aは、室外機2との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部540aは、室内機5aの各種センサでの検出結果を取り込んでCPU510aに出力する。
CPU510aは、前述した室内機5aの各センサでの検出結果を、センサ入力部540aを介して取り込む。また、CPU510aは、図示しないリモコンから送信される信号を、通信部530aを介して取り込む。CPU510aは、取り込んだ検出結果や信号に基づいて、室内ファン55aの駆動制御を行う。また、CPU510aは、取り込んだ検出結果や信号に基づいて、室内膨張弁52aの開度調整を行う。
なお、ここまでに説明した室外機制御手段200と室内機制御手段500a〜500cが、本発明の制御手段に相当する。また、室外機2の吐出圧力センサ31と室内機5a〜5cの液側温度センサ61a〜61cと室内機制御手段500a〜500cとで、本発明の過冷却度検出手段が形成される。さらには、暖房運転時の冷媒回路10における室内膨張弁52a〜52cの液管接続部53a〜53c側以降が、本発明の「冷媒回路における凝縮器膨張弁より下流側」に相当する。
<空気調和装置の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。なお、以下の説明では、室内機5a〜5cが暖房運転を行う場合について説明し、冷房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。なお、以下の説明では、圧縮機20に冷媒をインジェクションしない非INJ時と、圧縮機20に冷媒をインジェクションするINJ時とに分けて説明する。図1(A)において、実線矢印は非INJ時およびINJ時におけるインジェクション管47以外の冷媒回路100における冷媒の流れを示しており、破線矢印はINJ時におけるインジェクション管47での冷媒の流れを示している。
<非INJ時の動作>
まず、図1(A)を用いて、暖房運転における非INJ時の冷媒回路100の動作を説明する。空気調和装置1が暖房運転を行っているときに後述するインジェクション開始条件が成立していない場合は、インジェクション膨張弁29が閉じられてインジェクション管47に冷媒が流れないようにする。また、四方弁21が実線で示す状態、すなわち、四方弁21のポートaとポートdが連通するように、また、ポートbとポートcが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路100は、室外熱交換器22が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器51a〜51cのそれぞれが凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
冷媒回路100が上記の状態となって圧縮機20が駆動すると、圧縮機20から吐出された冷媒は、吐出管41を流れて四方弁21に流入し、四方弁21から室外機ガス管45を流れ閉鎖弁26を介してガス管9に流出する。ガス管9に流出した冷媒は分流しガス管接続部54a〜54cを介して室内機5a〜5cに流入する。
室内機5a〜5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72a〜72cを流れて室内熱交換器51a〜51cに流入し、室内ファン55a〜55cの回転により室内機5a〜5cの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能し、室内熱交換器51a〜51cで冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a〜5cが設置された室内の暖房が行われる。
室内熱交換器51a〜51cから室内機液管71a〜71cへと流出した冷媒は、室内膨張弁52a〜52cを通過する際に減圧される。ここで、室内膨張弁52a〜52cの開度は、前述したように、各室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側(液管接続部53a〜53c側)における冷媒過冷却度と目標冷媒過冷却度との差分に応じた開度とされる。なお、各室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度は、室外機2の吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて算出した高圧飽和温度を各室内機5a〜5cに取り込み、各室内機5a〜5cの液側温度センサ61a〜61cの各々で検出した液温度を取り込んだ高圧飽和温度から減じることで、求めることができる。
室内膨張弁52a〜52cを通過した冷媒は、室内機液管71a〜71cを流れて液管接続部53a〜53cを介して室内機5a〜5cから液管8へと流出する。
室内機5a〜5cから液管8へと流出した冷媒は液管8で合流し、閉鎖弁25を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、第2室外機液管44bを流れてレシーバ30に流入する。レシーバ30から第1室外機液管44aに流出した冷媒は過冷却熱交換器23を経て室外膨張弁24へと流れ、室外膨張弁24を通過する際に減圧される。
このとき、室外膨張弁24の開度は、定期的(例えば、30秒毎)に吐出温度センサ33で検出した吐出温度が、凝縮圧力と蒸発圧力とを用いて算出した目標吐出温度となるように調整される。室外機制御手段200の記憶部220には、目標吐出温度を求めるための凝縮圧力と蒸発圧力を含む演算式が予め記憶されており、この関数に、吐出圧力センサ31で検出する凝縮圧力相当の圧力である吐出圧力と、吸入圧力センサ32で検出する蒸発圧力相当の圧力である吸入圧力とが代入されることで、目標吐出温度が求められる。なお、この関数を用いて求められる目標吐出温度は、実際の吐出温度が目標吐出温度となれば、圧縮機20に吸入される冷媒の過熱度である吸入冷媒過熱度が0deg以上の所定の値(例えば、2deg)以上となる吐出温度であることが予め確認できているものである。
吐出温度センサ33で検出した吐出温度は定期的(例えば、2分毎)に取り込まれ、吐出温度が取り込まれる度に目標吐出温度との差分を求めこの差分に応じて室外膨張弁24の開度が調整される。具体的には、吐出温度センサ33で検出した吐出温度が目標吐出温度より大きな値である場合は、室外膨張弁24の開度は現在の開度より大きくされ、吐出温度センサ33で検出した吐出温度が目標吐出温度より小さな値である場合は、室外膨張弁24の開度は現在の開度より小さくされる。このとき、吐出温度センサ33で検出した吐出温度と目標吐出温度との差分が大きいほど、室外膨張弁24の開度の変化量は大きくなる。
室外膨張弁24で減圧された冷媒は室外熱交換器22に流入し、室外ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器22から冷媒配管43に流出した冷媒は、四方弁21、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。
<INJ時の動作>
次に、図1(A)を用いて、暖房運転でINJ時の冷媒回路100の動作を説明する。なお、非INJ時とINJ時とで異なるのは、インジェクション膨張弁29が開かれてインジェクション管47に冷媒が分流しインジェクションポート20aを介して圧縮機20に冷媒がインジェクションされること、および、室外膨張弁24の開度制御の方法のみであり、これら以外の冷媒回路100の動作は前述した非INJ時と同じであるため、詳細な説明を省略する。
空気調和装置1が暖房運転を行っているときにインジェクション開始条件が成立している場合は、インジェクション膨張弁29が開かれて、図1(A)に破線矢印で示すように、第1室外機液管44aを流れる冷媒の一部がインジェクション管47に分流し、過冷却熱交換器23において第1液分管44aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱される。そして、過冷却熱交換器23で加熱された冷媒は、インジェクションポート20aを介して圧縮機20に抽入される。
ここで、インジェクション開始条件は、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものである。インジェクション開始条件が成立しているときは、使用者が要求する暖房能力を発揮できない場合があるが、このときに圧縮機20にインジェクションを行えば暖房能力が大きくなって使用者が要求する暖房能力を発揮できるようになる。本実施形態では、インジェクション開始条件は次の通りである。

インジェクション開始条件:以下1)〜3)をすべて満たせば成立
1)圧縮機20の回転数が50rps以上
2)外気温度が2℃以下
3)圧縮機20から吐出される冷媒の過熱度である吐出冷媒過熱度が30deg以上
※吐出冷媒過熱度=吐出温度−高圧飽和温度
吐出温度:吐出温度センサ33で検出
高圧飽和温度:吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力から換算
また、室外膨張弁24の開度は、圧縮機20に吸入される冷媒の過熱度である吸入冷媒過熱度が目標吸入冷媒過熱度となるように調整される。ここで、吸入冷媒過熱度は、吸入温度センサ34で検出される吸入温度から室外中間熱交温度センサ36で検出される室外中間熱交温度を減じて求めることができる。また、目標吸入冷媒過熱度は、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている値であり、圧縮機20に吸入される冷媒を確実にガス冷媒とできる値である。本実施形態では、目標吸入冷媒過熱度は4degである。
吸入温度センサ34で検出される吸入温度および室外中間熱交温度センサ36で検出される室外中間熱交温度は、それぞれ定期的(例えば、2分毎)に取り込まれ、これら各温度が取り込まれる度に吸入冷媒過熱度が算出される。そして、吸入冷媒過熱度が算出される度に目標吸入冷媒過熱度との差分を求めこの差分に応じて室外膨張弁24の開度が調整される。具体的には、算出した吸入冷媒過熱度が目標吸入冷媒過熱度より大きな値である場合は、室外膨張弁24の開度は現在の開度より大きくされ、算出した吸入冷媒過熱度が目標吸入冷媒過熱度より小さな値である場合は、室外膨張弁24の開度は現在の開度より小さくされる。このとき、算出した吸入冷媒過熱度と目標吸入冷媒過熱度との差分が大きいほど、室外膨張弁24の開度の変化量は大きくなる。
なお、INJ時に、前述したインジェクション開始条件の1)あるいは2)のいずれかが成立しなくなった場合、あるいは、吐出冷媒過熱度が10deg以下となった場合は、インジェクション膨張弁29を閉じて圧縮機20への冷媒のインジェクションを停止する、すなわち、非INJ時の暖房運転制御とする。ここで、吐出冷媒過熱度のみ開始条件と異なる値としているのは、非INJ時とINJ時の切り替わりが頻繁に発生する所謂ハンチングを防ぐためであり、本実施形態では10degとしているが、開始条件3)の30degより小さな値、例えば、15degや20degであってもよい。また、以上に説明したインジェクションを停止する条件を、以降の説明でインジェクション終了条件と記載する場合がある。
また、インジェクション膨張弁29の開度は、前述した方法で算出した吐出冷媒過熱度が目標吐出冷媒過熱度となるように調整される。ここで、目標吐出冷媒過熱度は、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている値であり、圧縮機20に冷媒をインジェクションしている場合に吐出冷媒過熱度を目標吐出冷媒過熱度とすれば、室内機5a〜5cのそれぞれで要求される暖房能力を発揮できることが判明している値である。本実施形態では、目標吐出冷媒過熱度は30degである。
吐出温度センサ33で検出される吐出温度および吐出圧力センサ31で検出される吐出圧力は、それぞれ定期的(例えば、2分毎)に取り込まれ、吐出温度および吐出圧力が取り込まれる度に吐出冷媒過熱度が算出される。そして、吐出冷媒過熱度が算出される度に目標吐出冷媒過熱度との差分を求めこの差分に応じてインジェクション膨張弁29の開度が調整される。具体的には、算出した吐出冷媒過熱度が目標吐出冷媒過熱度より大きな値である場合は、インジェクション膨張弁29の開度は現在の開度より大きくされ、算出した吐出冷媒過熱度が目標吐出冷媒過熱度より小さな値である場合は、インジェクション膨張弁29の開度は現在の開度より小さくされる。このとき、算出した吐出冷媒過熱度と目標吐出冷媒過熱度との差分が大きいほど、インジェクション膨張弁29の開度の変化量は大きくなる。
インジェクション膨張弁29が開かれると、室内機5a〜5cから室外機2に流入し、閉鎖弁25、第2室外機液管44b、および、レシーバ30を介して第1室外機液管44aに流入した冷媒の一部がインジェクション管47に分流する。一方で、第1室外機液管44aを流れる冷媒は、過冷却熱交換器23および室外膨張弁24を介して室外熱交換器22に流入する。
過冷却熱交換器23において、第1室外機液管44aから図示しない外管に流入した冷媒と、インジェクション膨張弁29で減圧されてインジェクション管47から図示しない内管に流入した冷媒が熱交換する。過冷却熱交換器23からインジェクション管47に流出した冷媒は、インジェクションポート20aを介して圧縮機20の図示しない圧縮室に抽入される。過冷却熱交換器23から第1室外機液管44aに流出した冷媒は、前述したように過冷却熱交換器23および室外膨張弁24を介して室外熱交換器22に流入して蒸発する。
<暖房運転時の冷媒不足判定について>
前述したように、暖房運転時は、各室内機5a〜5cの室内膨張弁52a〜52cの各開度が、各室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における各冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。このとき、各室内機5a〜5cにおいて冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度よりも小さい値であれば、各室内膨張弁52a〜52cの開度が現在の開度より小さくされる。各室内膨張弁52a〜52cの開度が現在の開度より小さくされると、各室内熱交換器51a〜51cにおける冷媒流量が減少して冷媒過冷却度を大きくなって目標冷媒過冷却度に到達する。
各室内膨張弁52a〜52cの開度が現在の開度より小さくされると、室内機5a〜5cの各々から流出して室外機2へと流入する冷媒量が、各室内膨張弁52a〜52cの開度が小さくされる前と比べて減少する。このとき、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器22に流入する冷媒量も減少し、室外熱交換器23の冷媒出口側(四方弁22のポートb側)における冷媒過熱度つまりは圧縮機20に吸入される冷媒の過熱度である吸入冷媒過熱度が大きくなって、圧縮機20の吐出温度が過昇して保護停止することで暖房運転が停止される恐れがある。また、蒸発器として機能する室外熱交換器22に流入する冷媒量が減少すれば、当該室外熱交換器22での蒸発圧力が低下する、すなわち、蒸発温度が低下するため、室外熱交換器22の温度が低下して除霜運転が必要と誤判断されて暖房運転が中断される恐れがある。つまり、室外熱交換器22に流入する冷媒量の減少に起因して、暖房運転が中断あるいは停止されることで、使用者に不快感を与える恐れがある
また、本実施形態の空気調和装置1のように、圧縮機20に冷媒を抽入するインジェクション管47を有するものでは、各室内機5a〜5cから室外機2へと流入した冷媒が、インジェクション管47と第1室外機液管44aとに分流する。このため、各室内膨張弁52a〜52cの開度が小さくされることで室外機2に流入する冷媒量が減少すれば、インジェクション管47を持たない場合と比べて蒸発器として機能する室外熱交換器22に流入する冷媒量がより減少する。このため、上述した吐出温度の過昇や除霜運転の誤判断がより発生しやすくなり、頻繁に暖房運転が中断あるいは停止される恐れがある。
さらには、インジェクション管47に分流する冷媒量も、各室内膨張弁52a〜52cの開度が小さくされる前と比べて減少する。このため、圧縮機20に冷媒が抽入されることによる圧縮機20の冷却効果が低減して、圧縮機20の吐出温度が過昇して保護停止することで暖房運転が停止される恐れがある。また、インジェクション管47による圧縮機20への冷媒の抽入により各室内機5a〜5cに供給される冷媒量が、圧縮機20に抽入される冷媒量の減少に応じて減少するため、各室内機5a〜5cで発揮される暖房能力の増大効果が低減する恐れがある。
そこで、本実施形態の空気調和装置1は、暖房運転時に各室内機5a〜5cの室内膨張弁52a〜52cを介して各室内機5a〜5cから流出して室外機2へと流れる冷媒量が、各室内機5a〜5cで発揮される暖房能力に支障をきたして使用者に不快感を与える恐れがある量まで減少していることを室外膨張弁24の開度の制御態様とインジェクション膨張弁29の開度の制御態様に基づいて検知し、当該室外機2へと流れる冷媒の量が減少していることを検知すれば、各室内機5a〜5cの室内膨張弁52a〜52cの各開度を大きくするように補正する。
以下、暖房運転時に冷媒回路100において各室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能しているときに各室内膨張弁52a〜52c(凝縮器膨張弁)より下流側を流れる冷媒量が各室内機5a〜5cで発揮される暖房能力に支障をきたすほど低下している(以降、冷媒量不足状態と記載する)か否かを判定する方法と、冷媒量不足状態と判定した際の室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正方法について詳細に説明する。
<冷媒量不足状態の判定方法>
まず、冷媒量不足状態の判定方法について、主に図2を用いて説明する。図2に示すのは、冷媒量不足状態の判定方法を示す不足判定方法テーブル300である。不足判定方法テーブル300は、予め室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、例えば、空気調和装置1の設置時に図示しない室外機2の表示部にこの不足判定方法テーブル300が表示され、空気調和装置1の使用者によって、以下に説明する4つの判定方向が奏する効果が考慮されていずれかが選択される。このとき、選択された判定方法は、室外機制御手段200の記憶部220に記憶され、空気調和装置1が空調運転を行っているときに、記憶部220に記憶された判定方法で、暖房運転時に冷媒量不足状態であるか否かが判定される。
本実施形態の不足判定方法テーブル300には、判定方法として、「蒸発器膨張弁開度」、「インジェクション膨張弁開度」、「蒸発器膨張弁開度、もしくは、インジェクション膨張弁開度」、「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」、の4種類の判定方法が掲載されている。ここで、蒸発器膨張弁は、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器22の冷媒流量を調整する室外膨張弁24である。また、インジェクション膨張弁はインジェクション膨張弁29である。
以下、4種類の判定方法について順に詳細に説明する。
<蒸発器膨張弁開度>
判定方法「蒸発器膨張弁開度」は、暖房運転時の室外膨張弁24の開度を用いて冷媒量不足状態を判定するものである。具体的には、室外膨張弁24の開度調整が前述したように定期的に行われる中で複数回連続、例えば2回連続で開度が大きくされた場合(本発明における「蒸発器膨張弁の開度の制御態様」に相当)に、室外熱交換器22でより多くの量の冷媒が必要とされている、つまり、室外熱交換器22で冷媒量が不足していると判定する。なお、前述したように、暖房運転時の室外膨張弁24の開度は、非INJ時は吐出温度センサ33で検出した吐出温度が目標吐出温度となるように調整され、INJ時は吸入温度センサ34で検出される吸入温度と室外中間熱交温度センサ36で検出される室外中間熱交温度を用いて算出された吸入冷媒過熱度が目標吸入冷媒過熱度となるように調整される。そして、上記吐出温度、吸入温度、および、室外中間熱交温度はそれぞれ定期的に検出され、その度に吐出温度や吸入冷媒過熱度を用いて室外膨張弁24の開度が調整される。
上記のように、定期的に室外膨張弁24の開度が調整されるときに、複数回連続で室外膨張弁24の開度が現在の開度より大きくなるように調整されたということは、吐出温度や吸入冷媒過熱度をそれぞれの目標値に到達させるために室外熱交換器22で必要とされる冷媒量が不足していることを意味する。つまり、室外膨張弁24の開度を複数回連続で大きくしても開度を大きくした分の冷媒量の増量がなく、吐出温度の低下による目標吐出温度への到達や、吸入冷媒過熱度の減少による目標吸入冷媒過熱度への到達が果たせなかったことを意味する。
以上に説明した判定方法「蒸発器膨張弁開度」は、INJ時あるいは非INJ時に関わらず動作している室外膨張弁24の開度を用いるため、非INJ時でもINJ時でも用いることができる。また、不足判定方法テーブル300の「効果」の項目に掲載しているように、判定方法「蒸発器膨張弁開度」によって冷媒量不足状態であることを判定し、後述する室内膨張弁52a〜52cの開度補正を行えば、暖房運転の継続時間を長くできるという効果が得られる。前述したように、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器22の冷媒量が減少すると、圧縮機20の吐出温度の過昇による保護停止で暖房運転が停止される、あるいは、室外熱交換器22での蒸発圧力が低下することに起因して除霜運転が必要と誤判断されて暖房運転が中断される恐れがある。つまり、判定方法「蒸発器膨張弁開度」は、蒸発器として機能する室外熱交換器22における冷媒量の不足に起因する暖房運転の停止や中断をできる限り少なくするという効果を得ることを目的とした判定方法である。
<インジェクション膨張弁開度>
判定方法「インジェクション膨張弁開度」は、暖房運転におけるINJ時のインジェクション膨張弁29の開度を用いて冷媒量不足状態を判定するものである。具体的には、インジェクション膨張弁29の開度調整が前述したように定期的に行われる中で複数回連続、例えば2回連続で開度が大きくされた場合(本発明における「インジェクション膨張弁の開度の制御態様」に相当)に、圧縮機20でより多くの冷媒の抽入が必要とされている、つまり、圧縮機20に抽入する冷媒量が不足していると判定する。なお、前述したように、暖房運転におけるINJ時のインジェクション膨張弁29の開度は、インジェクション膨張弁29の開度は、吐出温度センサ33で検出される吐出温度および吐出圧力センサ31で検出される吐出圧力を用いて算出した吐出冷媒過熱度が目標吐出冷媒過熱度となるように調整される。そして、上記吐出温度、および、吐出圧力はそれぞれ定期的に検出され、その度に吐出冷媒過熱度を用いてインジェクション膨張弁29の開度が調整される。
上記のように、定期的にインジェクション膨張弁29の開度が調整されるときに、複数回連続でインジェクション膨張弁29の開度が現在の開度より大きくなるように調整されたということは、それだけ圧縮機20に抽入される冷媒量が不足していることを意味する。つまり、インジェクション膨張弁29の開度を複数回連続で大きくしても開度を大きくした分の冷媒量の増量がなく、吐出冷媒過熱度の低下による目標吐出冷媒過熱度への到達が果たせなかったことを意味する。
以上に説明した判定方法「インジェクション膨張弁開度」は、インジェクション膨張弁29の開度を用いるため、インジェクション膨張弁29が動作しているINJ時のみ実行することができる。また、不足判定方法テーブル300の「効果」の項目に掲載しているように、判定方法「インジェクション膨張弁開度」によって冷媒不足状態であることを判定し、後述する室内膨張弁52a〜52bの開度補正を行えば、暖房運転時に高い暖房能力を室内機5a〜5cで発揮できるという効果が得られる。前述したように、暖房運転におけるINJ時に圧縮機20に抽入される冷媒量が減少すると、圧縮機20の冷却効果が低減して圧縮機20の吐出温度が過昇して保護停止することで暖房運転が停止されること、および、各室内機5a〜5cに供給される冷媒量が圧縮機20に抽入される冷媒量の減少に応じて減少することで、各室内機5a〜5cで発揮される暖房能力の増大効果が低減する恐れがある。つまり、判定方法「インジェクション膨張弁開度」は、圧縮機20への冷媒の抽入量の低下に起因する暖房能力の増大効果の低減をできる限り少なくする、すなわち、暖房運転時に高い暖房能力を発揮させるという効果を得ることを目的とした判定方法である。
<蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度>
判定方法「蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度」は、上述した判定方法「蒸発器膨張弁開度」または判定方法「インジェクション膨張弁開度」のうちのいずれかの判定方法で冷媒量不足状態を判定するものである。この判定方法「蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度」は、インジェクション膨張弁29の開度を用いるため、インジェクション膨張弁29が動作しているINJ時のみ実行することができるものであり、INJ時に室外膨張弁24およびインジェクション膨張弁29の各開度の変化を見て、室外膨張弁24、あるいは、インジェクション膨張弁29のいずれか一方の膨張弁の直近2回の開度を連続して大きくする制御であれば、冷媒不足状態と判定する。また、不足判定方法テーブル300の「効果」の項目に掲載しているように、空気調和装置1の使用者が、判定方法「蒸発器膨張弁開度」で得られる効果である「暖房運転継続時間を長くしたい」、あるいは、判定方法「インジェクション膨張弁開度」で得られる効果である「暖房運転時に高い暖房能力を発揮させたい」のいずれかの効果を得ることを目的とした判定方法である。
<蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度>
判定方法「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」は、上述した判定方法「蒸発器膨張弁開度」および判定方法「インジェクション膨張弁開度」の両方の判定結果を持って冷媒量不足状態を判定するものである。この判定方法「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」は、インジェクション膨張弁29の開度を用いるため、インジェクション膨張弁29が動作しているINJ時のみ実行することができるものであり、INJ時に室外膨張弁24およびインジェクション膨張弁29の各開度の変化を見て、室外膨張弁24の直近2回の開度、および、インジェクション膨張弁29の直近2回の開度いずれもが連続して開度を大きくする制御であれば、冷媒不足状態と判定する。また、不足判定方法テーブル300の「効果」の項目に掲載しているように、暖房運転時に凝縮器として機能する室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度を小さくしないという効果を得ることを目的とした判定方法である。
つまり、判定方法「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」は、各室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度が小さくなることで各室内熱交換器51a〜51cから流出した冷媒が気液二相冷媒となり、この気液二相冷媒が室内膨張弁52a〜52cを流れる際に発生する流れ音を抑制するという効果を得るための判定方法であり、かつ、ここまでに説明した3種類の判定方法のいずれも使用者が選択しなかった場合に選択される判定方法である。なお、この判定方法「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」では、判定方法「蒸発器膨張弁開度」の判定結果と、判定方法「インジェクション膨張弁開度」の判定結果がともに冷媒量不足状態という判定とならないと、冷媒量不足状態と判定しない。従って、判定方法「蒸発器膨張弁開度、かつ、インジェクション膨張弁開度」は、他の3種類の判定方法と比べて冷媒量不足状態という結果が一番出にくい判定方法であり、この判定方法を用いると、この後説明する室内膨張弁52a〜52cの開度の補正が一番行われにくい、すなわち、室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度が、他の3種類の判定方法による室内膨張弁52a〜52cの開度の補正が行われる場合より小さくなりにくく、上述した気液二相冷媒が室内膨張弁52a〜52cを流れる際の流れ音が発生しにくい。
<凝縮器膨張弁の開度補正>
次に、以上に説明した各不足判定方法のいずれかで冷媒量不足状態と判定した際の、室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正方法について説明する。本実施期待における開度の補正方法は、1)室外膨張弁24および/またはインジェクション膨張弁29の開度増大率(現在の開度と大きくした開度との比率)の合計値を用いる方法、2)室外膨張弁24および/またはインジェクション膨張弁29の開度増大率の平均値を用いる方法、3)室外膨張弁24および/またはインジェクション膨張弁29の開度増大率の直近の値を用いる方法、の3種類である。これら1)〜3)の各補正方法は、空気調和装置の設計時に行われる試験などによって、当該空気調和装置に最適な補正方法が選択されて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている。
以下、上記各1)〜3)の室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正方法について、順に詳細に説明する。
・ 室外膨張弁24とインジェクション膨張弁29の開度増大率の合計値を用いる方法
1)の方法では、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度が増大したとき、あるいは、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度がともに増大したときに、例えば直近の2回の開度増大率の合計値を用いて、室内膨張弁52a〜52cの各開度を補正する。ここで、開度増大率は、現在の室外膨張弁24の開度で一つ前の室外膨張弁24の開度を除して求めることができる。例えば、判定方法として「蒸発器膨張弁開度」を採用した場合に、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を10%×2=20%増しとする。また、例えば、判定方法として「蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度」を採用した場合に、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに10%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を10%×4=40%増しとする。
なお、判定方法「蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度」で冷媒量不足状態と判定して上述した1)の方法で室内膨張弁52a〜52cの各開度を補正するときに、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率、あるいは、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率のうちのいずれか一方にマイナス値(開度が小さくされる)が含まれる場合がある。具体的には、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29のいずれか一方の膨張弁の直近2回の開度が連続して大きくされるように制御されている間に、他方の膨張弁の開度を変化させないあるいは小さくさせるように制御する場合(例えば、一方の膨張弁の開度制御時において、n回目のタイミングにおける膨張弁開度がn−1回目の膨張弁開度より大きくされる制御が行われるときに、他方の膨張弁における開度の制御を、n回目のタイミングにおける膨張弁開度をn−1回目の当該膨張弁の開度と比べて変化させないか、あるいは小さくするように制御される場合)である。このような場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正値がすべての開度増大率がプラス値である場合と比べて小さくなり、一方の膨張弁の開度増大値がマイナス値となる場合、当該開度増大値の絶対値が他方の膨張弁の開度増大率の絶対値より大きければ補正値がマイナス値(室内膨張弁52a〜52cの各開度が小さくなる方向への補正)となるという問題がある。
例えば、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−5%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度は、10%+10%−5%−5%=10%増しに補正される。この場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度が10%しか大きくされず、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がすべてプラス値である場合と比べると、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量の増加率が小さくなる。
また、例えば、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−15%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度は、10%+10%−15%−15%=−10%増し、つまり、室内膨張弁52a〜52cの各開度が10%小さくなる方に補正される。この場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度が2.5%小さくされるので、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量がさらに減少する。
そこで、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29のいずれか一方のみの膨張弁の開度が所定回数連続して大きくされる場合、つまり、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率のうちのいずれか一方にマイナス値が含まれる場合は、開度が所定回数連続して大きくされた方の膨張弁の制御態様のみに基づいて室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正値を算出する、つまり、開度増大率がマイナス値となっている膨張弁については、当該開度増大率を0%として補正値を算出する。上述した例で、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−5%である場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を、10%+10%+0%+0%=20%増しに補正するので、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量を増加させることができる。また、上述した例で、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−15%である場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を、10%+10%+0%+0%=20%増しに補正するので、この場合も冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量を増加させることができる。
・ 室外膨張弁24とインジェクション膨張弁29の開度増大率の平均値を用いる方法
2)の方法では、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度が増大したとき、あるいは、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度がともに増大したときに、例えば直近の2回の開度増大率の平均値を用いて、室内膨張弁52a〜52cの各開度を補正する。例えば、判定方法として「蒸発器膨張弁開度」を採用した場合に、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率が10%と20%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を(10%+20%)÷2=15%増しとする。また、例えば、判定方法として「蒸発器膨張弁開度、もしくは、インジェクション膨張弁開度」を採用した場合に、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率が40%と20%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに20%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を(20%×3+40%)÷4=25%増しとする。
なお、判定方法「蒸発器膨張弁開度、または、インジェクション膨張弁開度」で冷媒量不足状態と判定して上述した2)の方法で室内膨張弁52a〜52cの各開度を補正するときに、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率、あるいは、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率のうちのいずれか一方にマイナス値(開度が小さくされる)が含まれる場合がある。具体的には、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29のいずれか一方の膨張弁の直近2回の開度が連続して大きくされるように制御されている間に、他方の膨張弁の開度を変化させないあるいは小さくするように制御する場合(例えば、一方の膨張弁の開度制御時において、n回目のタイミングにおける膨張弁開度がn−1回目の膨張弁開度より大きくされる制御が行われるときに、他方の膨張弁における開度の制御を、n回目のタイミングにおける膨張弁開度をn−1回目の当該膨張弁の開度と比べて変化させないか、あるいは小さくするように制御する場合)である。このような場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正値がすべての開度増大率がプラス値である場合と比べて小さくなり、一方の膨張弁の開度増大値がマイナス値となる場合、当該開度増大値の絶対値が他方の膨張弁の開度増大率の絶対値より大きければ補正値がマイナス値(室内膨張弁52a〜52cの各開度が小さくなる方向への補正)となるという問題がある。
例えば、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−5%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度は(10%+10%−5%−5%)/4=2.5%増しに補正される。この場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度が2.5%しか大きくされず、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がすべてプラス値である場合と比べると、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量をさほど増加させることができない。
また、例えば、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−15%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度は(10%+10%−15%−15%)/4=−2.5%増し、つまり、室内膨張弁52a〜52cの各開度が2.5%小さくなる方に補正される。この場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度が2.5%小さくされるので、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量がさらに減少する。
そこで、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率のうちのいずれか一方にマイナス値が含まれる場合、つまり、室外膨張弁24あるいはインジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率のうちのいずれか一方にマイナス値が含まれる場合は、開度が所定回数連続して大きくされた方の膨張弁の制御態様のみに基づいて室内膨張弁52a〜52cの各開度の補正値を算出する、つまり、開度増大率がマイナス値となっている膨張弁については、当該開度増大率を0%として補正値を算出する。上述した例で、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−5%である場合は、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を(10%+10%+0%+0%)/4=5%増しに補正するので、冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量を増加させることができる。また、上述した例で、室外膨張弁24の直近の2回の開度増大率がともに10%、インジェクション膨張弁29の直近の2回の開度増大率がともに−15%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を(10%+10%+0%+0%)/4=5%増しに補正するので、この場合も冷媒量が不足している室外膨張弁24側に流れる冷媒量を増加させることができる。
・ 室外膨張弁24とインジェクション膨張弁29の開度増大率の直近の値を用いる方法
3)の方法では、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度が増大したとき、あるいは、複数回連続で室外膨張弁24またはインジェクション膨張弁29の開度がともに増大したときに、直近の開度増大率を用いて、室内膨張弁52a〜52cの各開度を補正する。例えば、判定方法として「蒸発器膨張弁開度」を採用した場合に、室外膨張弁24の直近の開度増大率が10%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を10%増しとする。また、例えば、判定方法として「インジェクション膨張弁開度」を採用した場合に、インジェクション膨張弁29の直近の開度増大率が20%であれば、冷媒過冷却度に基づいて決定された室内膨張弁52a〜52cの各開度を20%増しとする。
<冷媒量不足状態の判定および凝縮器膨張弁の開度の補正に関わる処理の流れ>
次に、暖房運転時に冷媒量不足状態の判定および凝縮器膨張弁の開度の補正を行う際に、室外機制御手段200のCPU210が実行する制御に関わる処理について図3を用いて説明し、室内機制御手段500a〜500cのCPU510a〜510cが実行する制御に関わる処理について図4を用いて説明する。図3および図4において、STは処理のステップを示しこれに続く番号はステップの番号を示している。
なお、図3において、吐出圧力をPh、高圧飽和温度をThs、開度補正値をDcとしている。また、図4において、液温度をTl、冷媒過冷却度をSC、目標冷媒過冷却度をSCt、室内膨張弁52a〜52cの開度である室内膨張弁開度をDiとしている。
<室外機制御手段が行う処理>
まず、図3を用いて、暖房運転時に冷媒量不足状態の判定および凝縮器膨張弁の開度補正を行う際に室外機制御手段200のCPU210が実行する処理について説明する。空気調和装置1が暖房運転を行っているとき、室外機制御手段200のCPU210は、吐出圧力Phを取り込み、取り込んだ吐出圧力Phを用いて高圧飽和温度Thsを算出する(ST1)。CPU210は、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力をセンサ入力部240を介して定期的に取り込み、吐出圧力Phを取り込む度に高圧飽和温度Thsを算出している。
次に、CPU210は、ST1で算出した高圧飽和温度Thsを通信部230を介して各室内機5a〜5cに送信する(ST2)。
次に、CPU210は、空気調和装置1の設置時に不足判定方法テ−ブル300から選択されて記憶部220に記憶されている不足判定方法を読み出し(ST3)、読み出した判定方法を用いて冷媒量不足状態であるか否かを判断する(ST4)。冷媒量不足状態でなければ(ST4−No)、CPU210は、ST1に処理を戻す。冷媒量不足状態であれば(ST4−Yes)、CPU210は、記憶部220に記憶している補正方法で開度補正値Dcを決定し、通信部230を介して各室内機5a〜5cに送信し(ST5)、ST1に処理を戻す。
<各室内機制御手段が行う処理>
次に、図4を用いて、暖房運転時に冷媒量不足状態の判定および凝縮器膨張弁の開度補正を行う際に各室内機制御手段500a〜500cのCPU510a〜510cが実行する処理について説明する。空気調和装置1が暖房運転を行っているとき、CPU510a〜510cは、液温度Tlを取り込む(ST21)。CPU510a〜510cは、液側温度センサ61a〜61cで検出した液温度Tlをセンサ入力部540a〜540cを介して定期的に取り込む。
次に、CPU510a〜510cは、室外機2から通信部530a〜530cを介して高圧飽和温度Thsを受信したか否かを判断する(ST22)。高圧飽和温度Thsを受信していなければ(ST22−No)、CPU510a〜510cは、処理をST21に戻す。高圧飽和温度Thsを受信していれば(ST22−Yes)、CPU510a〜510cは、ST21で取り込んだ液温度TlとST22で受信した高圧飽和温度Thsを用いて冷媒過冷却度SCを算出する(ST23)。
次に、CPU510a〜510cは、ST23で求めた冷媒過冷却度SCと記憶部520a〜520cから読みだした目標冷媒過冷却度SCtを用いて室内膨張弁開度Diを決定する(ST24)。前述したように、室内膨張弁開度Diは冷媒過冷却度SCと目標冷媒過冷却度SCtとの差分に応じて決定される。
次に、CPU510a〜510cは、室外機2から通信部530a〜530cを介して開度補正値Dcを受信したか否かを判断する(ST25)。開度補正値Dcを受信していなければ(ST25−No)、CPU510a〜510cは、ST27に処理を進める。開度補正値Dcを受信していれば(ST25−Yes)、CPU510a〜510cは、ST24で決定した室内膨張弁開度DiをST25で受信した開度補正値Dcで補正し(ST26)、ST27に処理を進める。
そして、CPU510a〜510cは、ST27において、室内膨張弁開度Diあるいは室内膨張弁開度Diを開度補正値Dcで補正した開度となるように、室内膨張弁52a〜52cの開度を調整し、ST21に処理を戻す。
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、暖房運転時に冷媒不足状態となっているか否かを判断し、冷媒不足状態となっていると判断すれば、室外膨張弁52a〜52cの開度が大きくなるように補正する。これにより、暖房運転時の室外機2における冷媒不足状態が解消して、圧縮機20の吐出温度の過昇に起因する暖房運転の停止や、除霜運転が必要と誤判断されて暖房運転が中断されることを抑制できる。また、圧縮機20に冷媒を抽入したことによる圧縮機20の冷却や室内機5a〜5cで発揮される暖房能力の向上を妨げることがなく、圧縮機20の吐出温度の過昇を抑制しつつ暖房能力の低下を抑制できる。
なお、以上に説明した実施形態では、凝縮器膨張弁の開度の補正方法として前述した1)〜3)の方法を説明した。しかし、これら1)〜3)の各補正方法に代えて、冷媒不足状態と判定した場合に、室内膨張弁52a〜52cの開度を一定の割合、例えば、開度が20%増しとなるようにしてもよい。
1 空気調和装置
2 室外機
5a〜5c 室内機
20 圧縮機
20a インジェクションポート
22 室外熱交換器
23 過冷却熱交換器
24 室外膨張弁
29 インジェクション膨張弁
31 吐出圧力センサ
47 インジェクション管
51a〜51c 室内熱交換器
52a〜52c 室内膨張弁
61a〜61c 液側温度センサ
100 冷媒回路
200 室外機制御手段
210 CPU
500a〜500c 室内機制御手段
510a〜510c CPU
Dc 開度補正値
Di 室内膨張弁開度
Ph 吐出圧力
Ths 高圧飽和温度
Tl 液温度

Claims (5)

  1. 圧縮機と、凝縮器と、同凝縮器における冷媒流量を調整する凝縮器膨張弁と、蒸発器と、同蒸発器における冷媒流量を調整する蒸発器膨張弁を有し、前記圧縮機、前記凝縮器、前記凝縮器膨張弁、前記蒸発器膨張弁、前記蒸発器の順で冷媒が循環可能な冷媒回路と、
    前記凝縮器の冷媒出口側における冷媒過冷却度を検出する過冷却度検出手段と、
    前記凝縮器膨張弁および前記蒸発器膨張弁を制御する制御手段と、
    を有する空気調和装置であって、
    前記制御手段は、
    前記凝縮器膨張弁の開度を、前記過冷却度検出手段で検出した冷媒過冷却度と同冷媒過冷却度の制御目標値である目標冷媒過冷却度との差分に基づいた第1開度に調整し、
    前記蒸発器膨張弁の開度の制御態様に基づいて、前記冷媒回路における前記凝縮器膨張弁より下流側を流れる冷媒量が不足している冷媒不足状態となっているか否かを判断し、
    前記冷媒不足状態と判断した場合に、前記第1開度を、前記冷媒不足状態と判断した際に使用した前記蒸発器膨張弁の制御態様に基づいて補正する、
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記蒸発器膨張弁の開度が所定回数連続して大きくされた場合に、前記冷媒不足状態となっていると判断する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記圧縮機は、圧縮室に冷媒を導くインジェクションポートを有し、
    一端が前記インジェクションポートに接続され他端が前記冷媒回路における前記凝縮器膨張弁と前記蒸発器膨張弁の間に接続されるインジェクション管と、同インジェクション管に設けられるインジェクション膨張弁とで形成されるインジェクション回路を有し、
    前記制御手段は、
    前記蒸発器膨張弁の開度の制御態様、あるいは、前記インジェクション膨張弁の開度の制御態様のうち少なくとも一方に基づいて、前記冷媒不足状態であるか否かを判断し、
    前記冷媒不足状態と判断した場合に、前記第1開度を、前記冷媒不足状態と判断した際に使用した前記蒸発器膨張弁の制御態様または前記インジェクション膨張弁の開度の制御態様のうちの少なくとも一方に基づいて補正する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気調和装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記蒸発器膨張弁の開度が所定回数連続して大きくされた場合、あるいは、前記インジェクション膨張弁の開度が所定回数連続して大きくされた場合、のうち少なくとも一方が生じた場合に、前記冷媒不足状態となっていると判断する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空気調和装置。
  5. 前記制御手段は、
    前記蒸発器膨張弁の開度あるいは前記インジェクション膨張弁の開度のうち、いずれか一方のみの膨張弁の開度が所定回数連続して大きくされる場合は、開度が所定回数連続して大きくされた方の膨張弁の制御態様のみに基づいて前記第1開度を補正する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置。
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