JP2021155850A - 電解めっき液及び電解めっき方法 - Google Patents

電解めっき液及び電解めっき方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解めっき液中に発生する気泡のためにめっきが析出しないことに起因して発生するバンプにおけるピット欠陥及びバンプ内におけるボイドの発生率を少なくする。【解決手段】少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)と、酸又はその塩(B)と、界面活性剤(C)とを含む電解めっき液である。アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値が150μm以上である。好ましくは、界面活性剤(C)が、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)のノニオン系界面活性剤であり、ブロックポリマー(PO−EO−PO)中のEO比率がモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、ノニオン系界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、錫又は錫合金のめっき膜を形成するための電解めっき液及び電解めっき方法に関する。更に詳しくは、半導体ウエハやプリント基板用のはんだバンプ形成に適する錫又は錫合金めっきに用いられる電解めっき液及び電解めっき方法に関する。
電解めっき(以下、単にめっきということもある。)を行う装置は、一般的に、電解めっき液(以下、単にめっき液ということもある。)を収容するめっき槽内に対向配置されたアノード(陽極)と、カソード(陰極)に接続される被めっき部材である半導体ウエハや基板とを備え、アノードと被めっき部材とに電圧が印加される。この通電により、被めっき部材表面にめっき膜が形成される。
この電解めっき装置に用いられるアノードは、可溶性アノードと不溶性アノードに大きく分けられる。錫及び錫合金めっき液においては、めっき液成分(添加剤や錫より貴な金属成分)のアノード(陽極)表面での反応を抑制するため、アノードとして、白金(Pt)、白金コートチタン(Pt/Ti)又は酸化イリジウム(IrO2)等からなる不溶性アノードが一般的に用いられる。不溶性アノードを用いた場合、電解時にアノード表面では以下の反応式で示される、水の電気分解反応が起こる。
2H2O → 4H+ + O2↑ + 4e-
この際、アノード表面で発生した酸素ガス(気泡)は、アノード表面から脱離し、めっき液中に放出される。めっき液中に放出された酸素気泡は、めっき液中を浮遊した後、液面に到達して消泡するか、溶存ガスとしてめっき液中に溶解することで消滅する。しかし、気泡が消滅するまでの間に、気泡がカソード(陰極)に接続される被めっき部材に付着した場合に、めっきの析出を妨げてピット欠陥を引き起こし易く、また、めっき膜中に取り込まれてボイドを引き起こし易いという問題があった。この問題は、水平式(CUP式、Face down式、噴水(Fountain type)式とも呼ばれる方式)のめっき装置を用いた場合に、顕在化する傾向にあり、特にアノード電流密度が0.5A/dm2(以下、ASD(Ampere per Square Decimeter)ということもある。)以上でめっきした際に顕著であった。
具体的に、図2を用いて説明すると、水平式のめっき槽1で半導体ウエハ上にはんだバンプを形成する場合にあっては、めっき液2内に、水平に配置された不溶性アノード3に対向して、アノードの上方に水平にカソードに接続される半導体ウエハ(被めっき部材)4が配置される。めっきを行っている間、半導体ウエハ4は水平状態で回転する。また、めっき液2は、めっき槽1底部にそれぞれ設けられた吸引口1aと戻り口1bと循環ポンプ1cとにより、循環する。アノード3表面から脱離した気泡8は浮上して半導体ウエハ4表面に付着する。このため、図2の拡大図に示すように、気泡8が、レジストパターンにより形成されたレジスト層5のビア6の径以下であると、ビア内のめっき堆積層であるバンプ7に付着した気泡8が脱離せず、気泡付着部にめっきが析出しないことにより、ピット欠陥9aが発生し、また気泡8がめっき堆積層であるバンプ7内に残存して、リフロー後にバンプ内部にボイド9bを発生し易いという課題があった。
従来、この問題を解決するために、減圧しためっき槽内でめっきすることにより、ピット欠陥を少なくするめっき方法が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0001]〜[0003])参照。)。
特開2004−43916号公報
従来までのバンプ電極は直径100μmを超えるものが多く、ビア内のバンプに付着した気泡は、撹拌等の装置条件により脱離を促進することができた。このため、気泡によってピット欠陥が生じるという問題はめっき装置の構造や撹拌強度の変更により、解決できる問題とされてきた。
しかし、近年、バンプ電極が直径100μm以下に微細化し、レジスト層のビアの直径に対するビアの深さ(深さ/直径)が高アスペクト化になる結果、微細なビア内の奥深いめっき堆積層(バンプ)に付着した気泡を、装置条件により脱離させることは困難となってきた。このため、発生した気泡に起因してめっき堆積層が成長しないことによるピット欠陥及びめっき堆積層が成長した後のバンプ内のボイドの発生率を低減させる必要があった。特許文献1に示されるように、減圧しためっき槽内でめっきする方法はピット欠陥やボイドの発生率を低減させる一つの方法であるけれども、このめっき方法によっても上記課題は依然として未解決であった。
本発明の目的は、めっき液中に発生する気泡のためにめっきが析出しないことに起因して発生する、バンプにおけるピット欠陥及びバンプ内におけるボイドの発生率を少なくする電解めっき液及び電解めっき方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、特定構造を持つ界面活性剤をめっき浴中に含有させることで、アノード(陽極)表面で発生した酸素気泡を、めっき液中に放出される前に、アノード表面上で集合体にして巨大化させ、巨大化した酸素気泡が浮力によって液面に迅速に運ばれることで、酸素気泡がめっき液中に分散せず、結果として、カソード(陰極)に接続された被めっき部材表面への、ビア径より小さい径の気泡の付着を減少させ、ピット欠陥やボイドの発生を劇的に減少させることを見出し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)と、酸又はその塩(B)と、界面活性剤(C)とを含む電解めっき液であって、アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値が150μm以上であることを特徴とする電解めっき液である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に係る発明であって、前記界面活性剤(C)が、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)のノニオン系界面活性剤であり、前記ブロックポリマー(PO−EO−PO)中のEO比率がモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、前記ノニオン系界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲である電解めっき液である。
本発明の第3の観点は、第1の観点に係る発明であって、前記界面活性剤(C)が、アルキルスルホベタイン、又はアルキルヒドロキシスルホベタインの両性界面活性剤である電解めっき液である。
本発明の第4の観点は、第1から第3の観点のいずれかの観点に係る発明であって、前記界面活性剤(C)の含有量が0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲である電解めっき液である。
本発明の第5の観点は、カソードに接続される被めっき部材に不溶性アノードが対向配置されためっき槽に、第1の観点から第4の観点のいずれかの観点の電解めっき液を供給して前記被めっき部材を電解めっきする方法である。
本発明の第6の観点は、第5の観点に係る発明であって、前記被めっき部材及び前記不溶性アノードが水平に配置されためっき槽を用いて電解めっきをする電解めっき方法である。
本発明の第1の観点の電解めっき液では、図1に示すように、アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノード3から放出される気泡8の粒径分布極大値が150μm以上であるため、レジストパターンにより形成されたレジスト層5のビア6内に気泡8が入りにくい。気泡8がビア6内のめっき堆積層に付着しない状態でめっき堆積層が成長してバンプ7になるため、めっきが析出しないことに起因して発生するピット欠陥及びバンプ内におけるボイドの発生率を少なくすることができる。図1において、図2に示した要素と同じ要素には同じ符号を付している。
本発明の第2の観点の電解めっき液では、界面活性剤(C)が、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)のノニオン系界面活性剤であり、ブロックポリマー(PO−EO−PO)中のEO比率がモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、前記ノニオン系界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲である。こうした界面活性剤は、親水性と疎水性の中間の性質を有するため、不溶性アノード表面および酸素気泡表面への吸着力が強い。これにより、図1に示すように、アノード(陽極)3表面で発生した酸素気泡8がめっき液2中に放出される前に、アノード3表面上で集合体となって巨大化し、アノード3から放出された気泡がレジスト層5のビア6内に入りにくい。この結果、ピット欠陥やボイドの発生率を少なくすることができる。
本発明の第3の観点の電解めっき液では、界面活性剤(C)が、アルキルスルホベタイン、又はアルキルヒドロキシスルホベタインの両性界面活性剤であるため、不溶性アノード表面および酸素気泡表面への吸着力が強いという効果を奏する。
本発明の第4の観点の電解めっき液では、界面活性剤(C)の含有量が0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲であることにより、界面活性剤(C)は、不溶性アノード表面及び酸素気泡表面に十分量吸着することができる。この結果、ピット欠陥やボイドの発生率をより少なくすることができる。
本発明の第5の観点の電解めっき方法では、電解めっき液2により不溶性アノード3から放出される気泡8の粒径分布極大値が150μm以上になるため、不溶性アノード3に対向配置される被めっき部材4にレジスト層5のビア6が形成される際に、ビア内に気泡8が取り込まれることなく、電解めっきが行われる。この結果、このめっき方法により、ピット欠陥やボイドの発生率を少なくすることができる。
本発明の第6の観点の電解めっき方法では、被めっき部材4及び不溶性アノード3が水平に配置されため、不溶性アノード3から放出される気泡8が上方の被めっき部材4に到達する場合であっても、気泡8が巨大化しているため、被めっき部材4に形成されるレジスト層5のビア6内に気泡8が取り込まれることなく、電解めっきが行われる。この結果、このめっき方法により、ピット欠陥やボイドの発生率を少なくすることができる。
本発明に係る電解めっき液を用いて、電解めっきを行っている状況を示す電解めっき装置の模式図、及び被めっき部材の部分を拡大した断面図である。 従来の電解めっき液を用いて、電解めっきを行っている状況を示す電解めっき装置の模式図、及び被めっき部材の部分を拡大した断面図である。 実施例における不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布の極大値を測定する装置の構成図である。 実施例で作製したレジスト層を有する半導体ウエハの平面図である。 めっき前後のビア(開口部)内のバンプ(めっき堆積層)の成長状況を示す断面図である。図5(a)はめっき前の被めっき部材の断面図であり、図2(b)はマッシュルーム形状の正常バンプが形成された被めっき部材の断面図であり、図2(c)及び(d)はピット欠陥が形成された被めっき部材の断面図である。また図2(e)はボイドが形成された被めっき部材の断面図である。
以下に、本発明の一実施形態の電解めっき液について説明する。このめっき液は、半導体ウエハやプリント基板用のはんだバンプなどとして使用される錫又は錫合金のめっき膜の形成用材料として利用される。
本実施形態の錫又は錫合金めっき液は、少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)と、酸又はその塩(B)と、界面活性剤(C)とを含む電解めっき液である。その特徴は、アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値が150μm以上であることにある。好ましくは、この気泡の粒径分布極大値は200μm以上であり、上限は特に限定されないが、例えば1000μm以下であってもよい。ここで、アノード電流密度を0.7ASD(A/dm2)に限定するのは、0.7ASD以上でピット欠陥およびボイドが顕在化し易い傾向があるためである。また不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上とするのは、被めっき部材のレジストパターンにより形成されるレジスト層のビア径は、一般的に10μm以上かつ100μm未満の範囲であり、気泡の粒径分布極大値を150μm以上とすることにより、ビア内のめっき堆積層に気泡が取り込まれる確率が低くなり、その結果、ピット欠陥やボイドの発生率を少なくすることができるからである。
本実施形態の錫合金は、錫と、銀、銅、ビスマス、ニッケル、アンチモン、インジウム、及び亜鉛より選ばれた1種又は2種以上の所定金属との合金である。例えば、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−ニッケル合金、錫−アンチモン合金、錫−インジウム合金、及び錫−亜鉛合金などの2元合金や、錫−銅−ビスマス、及び錫−銅−銀合金などの3元合金が挙げられる。
〔少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)〕
本実施形態の可溶性塩(A)は、第一錫塩単独であるか、又はこの第一錫塩及び銀、銅、ビスマス、ニッケル、アンチモン、インジウム、亜鉛からなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属の塩の混合物よりなる。
従って、本実施形態の可溶性塩(A)はめっき液中でSn2+を単独で含むか、或いは、Sn2+とともに、Ag+、Cu+、Cu2+、Bi3+、Ni2+、Sb3+、In3+、Zn2+などの各種金属イオンを生成する任意の可溶性塩を1種又は2種以上含む。可溶性塩としては、例えば、これらの金属の酸化物、ハロゲン化物、無機酸又は有機酸の当該金属塩などが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化第一錫、酸化銀、酸化銅、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化亜鉛などが挙げられる。金属のハロゲン化物としては、塩化第一錫、塩化ビスマス、臭化ビスマス、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化ニッケル、塩化アンチモン、塩化インジウム、塩化亜鉛などが挙げられる。
無機酸又は有機酸の金属塩としては、硫酸銅、硫酸第一錫、硫酸ビスマス、硫酸ニッケル、硫酸アンチモン、硝酸ビスマス、硝酸銀、硝酸銅、硝酸アンチモン、硝酸インジウム、硝酸ニッケル、硝酸亜鉛、酢酸銅、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、錫酸ナトリウム、ホウフッ化第一錫、メタンスルホン酸第一錫、メタンスルホン酸銀、メタンスルホン酸銅、メタンスルホン酸ビスマス、メタンスルホン酸ニッケル、メタスルホン酸インジウム、ビスメタンスルホン酸亜鉛、エタンスルホン酸第一錫、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ビスマスなどが挙げられる。
本実施形態のめっき液における第一錫塩の含有量は、錫の量に換算して、好ましくは5g/L以上かつ200g/L以下の範囲、更に好ましくは20g/L以上かつ100g/L以下の範囲である。
〔酸又はその塩(B)〕
本実施形態の酸又はその塩(B)は、有機酸、無機酸、及びそれらの塩から選択される1種以上の酸又はその塩である。上記有機酸には、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或いは脂肪族カルボン酸などが挙げられる。無機酸には、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などが挙げられる。それらの塩は、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩、アミン塩、スルホン酸塩などである。金属塩の溶解性や排水処理の容易性の観点から有機スルホン酸がより好ましい。
上記アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜5、好ましくは1〜3)で示されるものが使用できる。具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの他、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式Cp2p+1−CH(OH)−Cq2q−SO3H(例えば、p=0〜6、q=1〜5、好ましくはp=0〜2、q=1〜2)で示されるものが使用できる。具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、基本的にはベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などである。具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸などが挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、スルホコハク酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
本実施形態のめっき液における有機酸及び無機酸から選ばれた酸又はその塩(B)の含有量は、特に限定されないが、例えば10g/L以上かつ500g/L以下の範囲、好ましくは50g/L以上かつ300g/L以下の範囲であるとよい。
〔界面活性剤(C)〕
本実施形態のめっき液において用いる界面活性剤(C)としては、ノニオン系界面活性剤と両性界面活性剤が挙げられる。これら2種の界面活性剤を単独で用いても、併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(EO)とポリオキシプロピレン(PO)とを含み、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)を用いることができる。このブロックポリマー(PO−EO−PO)中のEO比率はモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、このノニオン系界面活性剤の質量平均分子量は3000以上かつ5000以下の範囲である。上記EO比率がモル比率で35%未満では界面活性剤の疎水性の傾向が強くなり、50%を超えると界面活性剤の親水性の傾向が強くなり、いずれの場合も不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上にすることが困難になる。また界面活性剤の質量平均分子量が3000未満では錫又は錫合金の析出を抑制する効果が十分でないおそれがあり、5000を超えると錫又は錫合金の析出抑制力が強くなり過ぎて、均一なめっき膜が形成されないおそれがある。上記EO比率はモル比率で35%以上かつ45%以下の範囲であることが好ましく、40%以上かつ45%以下の範囲であることがより好ましい。上記質量平均分子量は3000以上かつ4500以下の範囲であることが好ましく、3500以上かつ4500以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態のノニオン系界面活性剤は、下記の式(1)で表される。式(1)中、a、b、cはブロックポリマー中の(PO)、(EO)及び(PO)のそれぞれ反復単位の数である。
Figure 2021155850
また、本実施形態におけるノニオン系界面活性剤として、エチレンジアミンにポリオキシエチレン(EO)とポリオキシプロピレン(PO)が付加重合されたもので、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるエチレンジアミンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを用いることもできる。このブロックポリマー中のEO比率はモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、この界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲である。上記EO比率が35%未満では界面活性剤の疎水性の傾向が強くなり、50%を超えると界面活性剤の親水性の傾向が強くなり、いずれの場合も不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上にすることが困難になる。また界面活性剤の質量平均分子量が3000未満では錫又は錫合金の析出を抑制する効果が十分でないおそれがあり、5000を超えると錫又は錫合金の析出抑制力が強くなり過ぎて、均一なめっき膜が形成されないおそれがある。
本実施形態のノニオン系界面活性剤は、また下記の式(2)で表される。式(2)中、m、nはブロックポリマー中の(PO)、(EO)及び(PO)のそれぞれ反復単位の数である。
Figure 2021155850
上記構造で示されるノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン(EO)とポリオキシプロピレン(PO)を含むブロックポリマーにおいて、ポリオキシプロピレン(PO)が末端に存在すると、界面活性剤の疎水性が強まる理由で不溶性アノード及び酸素気泡表面への吸着力が強まる効果を有する。逆にこのブロックポリマーにおいて、ポリオキシエチレン(EO)が末端に存在すると、界面活性剤の親水性が強まる理由で不溶性アノード及び酸素気泡表面への吸着力が弱まる不具合を生じる。界面活性剤がこれらの特性を備えることにより、アノード電流密度を0.7ASDで電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上にする。
なお、EO比率はNMR(Nuclear Magnetic Resonance)を用いてポリオキシエチレン(EO)とポリオキシプロピレン(PO)の強度比を比較することによって測定することができる。この測定方法については、「界面活性剤分析法」界面活性剤分析研究会編、幸書房(1975年発行)などに詳細に記載されている。
また、質量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC;Size Exclusion Chromatography)を用いて市販の標準物質と比較することによって測定することができる。
めっき液中のノニオン系界面活性剤の含有量が、0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲であることが、また上記EO比率がモル比で35%以上かつ50%以下の範囲であることが、更に界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲であることが、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値をより的確に150μm以上にするために、それぞれ好ましい。めっき液中のノニオン系界面活性剤の含有量が、1g/L以上かつ5g/L以下の範囲であることが更に好ましい。この界面活性剤の含有量が0.5g/L未満では、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値が150μm以上にならないおそれがあり、10g/Lを超えると、均一なめっき膜が形成されないおそれがある。
本実施形態のノニオン系界面活性剤は、青木油脂工業株式会社製のEP−1461として市販されているものを精製することにより使用することができる。また本実施形態の界面活性剤は、公知の技術によって製造することができる。例えば、米国特許4726909号明細書における原料のポリオキシエチレンの分子量と、付加させるポリオキシプロピレンの反応量を調整することによって合成することができる。
本実施形態の界面活性剤(C)として、両性界面活性剤を用いることができる。具体的には、例えば、アルキルスルホベタイン、又は、アルキルヒドロキシスルホベタインを用いることができる。アルキルスルホベタインは、下記の式(3)で表される。例えば、ラウリルスルホベタイン、ステアリルスルホベタイン等が挙げられる。アルキルヒドロキシスルホベタインは、下記の式(4)で表される。例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。式(3)及び式(4)において、Rはアルキル基をそれぞれ示す。またアルキルスルホベタイン、又は、アルキルヒドロキシスルホベタインのRの炭素数は、それぞれ10以上かつ22以下の範囲であることが好ましい。また、電解めっき液中におけるこれらの両性界面活性剤の含有量が、0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲であることが、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値をより的確に150μm以上にするために好ましい。電解めっき液中の両性界面活性剤の含有量が、1g/L以上かつ5g/L以下の範囲であることが更に好ましい。電解めっき液中の両性界面活性剤の含有量の好ましい範囲を0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲にする理由は、ノニオン系界面活性剤の含有量の好ましい範囲にする理由と同じである。
Figure 2021155850
本実施形態の界面活性剤(C)は、上記特徴を有するため、アノード電流密度を、例えば0.7ASDで電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上にする。これにより、バンプ電極が直径100μm以下に微細化したビア内においても、レジスト層のビア内に気泡が入り込みにくく、ビア内におけるめっき堆積層の成長が気泡によって邪魔されずに円滑に行われてピット欠陥を生じにくい。またビア内のめっき堆積層中にボイドを生成しにくい。これによりめっき堆積層をリフローしたときに形成されるバンプの高さが均一になり、バンプ内のボイドが少なくなる。
上述した界面活性剤(C)を用いることによって、アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値を150μm以上とすることができる。
本実施形態のめっき液は、必要に応じて更に酸化防止剤、錯体化剤、pH調整剤、光沢剤を含んでもよい。
〔酸化防止剤〕
酸化防止剤はめっき液中のSn2+の酸化防止を目的としたものである。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸又はその塩、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシノール、トリヒドロキシベンゼン、カテコール、クレゾールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。例えば、酸性浴では、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩、中性浴ではアスコルビン酸又はその塩などが好ましい。
酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態のめっき液における酸化防止剤の添加量は、一般に0.01g/L以上かつ20g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上かつ10g/L以下の範囲、より好ましくは0.1g/L以上かつ5g/L以下の範囲である。
〔錯体化剤〕
本実施形態のめっき液は、酸性、弱酸性、中性などの任意のpH領域の錫又は錫合金めっき浴に適用できる。Sn2+イオンは強酸性(pH:<1)では安定であるが、酸性から中性付近(pH:1〜7)では白色沈澱を生じ易い。このため、本実施形態の錫又は錫合金めっき液を中性付近の錫めっき浴に適用する場合には、Sn2+イオンを安定化させる目的で、錫用の錯体化剤を添加するのが好ましい。
錫用の錯体化剤としては、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸を使用できる。具体例としては、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、或はこれらの塩などのポリアミンやアミノカルボン酸類も錯体化剤として有効である。
錫用の錯体化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態のめっき液における錫用の錯体化剤の添加量は、錫又は錫合金めっき液に含まれる可溶性錫塩化合物中の錫1モルに対して、一般に0.001モル以上かつ10モル以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.01モル以上かつ5モル以下の範囲であり、更により好ましくは0.5モル以上かつ2モル以下の範囲である。
また、錫合金めっき液がSnAgめっき液である場合、銀用の錯体化剤として、水溶性スルフィド化合物又は水溶性チオール化合物を用いることができる。
〔pH調整剤〕
本実施形態のめっき液は、必要に応じてpH調整剤を含有することができる。pH調整剤の例としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられる。また、pH調整剤としては、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
〔光沢化剤〕
本実施形態のめっき液は、必要に応じて光沢化剤を含有することができる。光沢化剤としては、芳香族カルボニル化合物が有効である。芳香族カルボニル化合物は、錫合金めっき膜中の錫合金の結晶粒子を微細化する作用がある。芳香族カルボニル化合物は、芳香族炭化水素の炭素原子にカルボニル基(−CO−X:但し、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルキル基または炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルコキシ基を意味する)が結合した化合物である。芳香族炭化水素は、ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環を含む。芳香族炭化水素は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルキル基および炭素原子数が1〜6個の範囲にあるアルコキシ基を挙げることができる。カルボニル基は、芳香族炭化水素に直結していてもよいし、炭素原子数が1個以上かつ6個以下の範囲にあるアルキレン基を介して結合してもよい。芳香族カルボニル化合物の具体例としては、ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドを挙げることができる。
芳香族カルボニル化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態の錫合金めっき液における芳香族カルボニル化合物の添加量は、一般に0.01mg/L以上かつ500mg/L以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.1mg/L以上かつ100mg/L以下の範囲であり、更により好ましくは1mg/L以上かつ50mg/L以下の範囲である。
〔電解めっき方法〕
本実施形態の電解めっき方法は、図1に示される電解めっき装置を用いて行われる。この装置のめっき槽1には、カソードに接続される被めっき部材、例えば半導体ウエハ4に不溶性アノード3が対向配置される。このめっき槽1に上述した電解めっき液2を供給して電解めっきが行われる。半導体ウエハ4に不溶性アノード3が水平に配置される水平式のめっき装置において、本発明の効果がより一層発揮される。この電解めっき装置では、被めっき部材4と不溶性アノード3のそれぞれの対向面が互いにほぼ平行となる配置が好ましい。また被めっき部材及び不溶性アノードの上下関係は限定されないが、図1に示すように、不溶性アノードを下側に、被めっき部材を上側に配置することが、被めっき部材の入れ替えが容易となるため、量産性の観点から好ましい。
本実施形態のめっき膜の形成時のアノード電流密度は、0.1A/dm2以上かつ5A/dm2以下の範囲とするとよい。液温は、10℃以上かつ50℃以下の範囲であることが好ましく、20℃以上かつ40℃以下の範囲であることが更に好ましい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
(実施例及び比較例で用いるノニオン系界面活性剤)
実施例1〜5及び比較例1〜5において使用されるポリオキシエチレン(EO)とポリオキシプロピレン(PO)を含むポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)又は(EO−PO−EO)の構造式、EO比率、界面活性剤の質量平均分子量を表1に示す。
Figure 2021155850
(実施例で用いるノニオン系界面活性剤と両性界面活性剤)
また、実施例6〜9において使用される界面活性剤を表2に示す。
Figure 2021155850
(Snめっき液の建浴)
<実施例1>
メタンスルホン酸Sn水溶液に、遊離酸としてのメタンスルホン酸と、界面活性剤として上記表1に示す構造式(PO−EO−PO)を有し、EO比率が35%(モル比率)で、質量平均分子量が4000であるノニオン系界面活性剤と、光沢剤としてベンザルアセトンを加えた。そして最後にイオン交換水を加えて、下記組成のSnめっき液を建浴した。なお、メタンスルホン酸Sn水溶液は、金属Sn板をメタンスルホン酸水溶液中で電解させることにより調製した。
(Snめっき液の組成)
メタンスルホン酸Sn(Sn2+として):50g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として):100g/L
界面活性剤:5g/L
ベンザルアセトン(光沢剤として):10mg/L
イオン交換水:残部
<実施例2〜4、比較例1〜5>
実施例2〜4及び比較例1〜5では、界面活性剤として、構造式(PO−EO−PO)又は(EO−PO−EO)とEO比率と質量平均分子量が上記表1に示す性状のノニオン系界面活性剤を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜5のSnめっき液を建浴した。
(SnAgめっき液の建浴)
<実施例5>
メタンスルホン酸Sn水溶液に、遊離酸としてのメタンスルホン酸と、錯体化剤としてチオジエタノールとを混合して溶解させた後、更にメタンスルホン酸Ag液を加えて混合した。混合によって均一な溶液となった後、更に界面活性剤として上記表1に示す構造式(PO−EO−PO)を有し、EO比率が50%(モル比率)で、質量平均分子量が5000であるノニオン系界面活性剤と、光沢剤としてベンザルアセトンを加えた。そして最後にイオン交換水を加えて、下記組成のSnAgめっき液を建浴した。なお、メタンスルホン酸Sn水溶液は、金属Sn板を、メタンスルホン酸Ag水溶液は、金属Ag板を、それぞれメタンスルホン酸水溶液中で電解させることにより調製した。
(SnAgめっき液の組成)
メタンスルホン酸Sn(Sn2+として):50g/L
メタンスルホン酸Ag(Ag+として):0.2g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として):100g/L
チオジエタノール(錯体化剤として):5g/L
界面活性剤:5g/L
ベンザルアセトン(光沢剤として):10mg/L
イオン交換水:残部
<実施例6>
界面活性剤として、上記表1の比較例4に示すノニオン系界面活性剤1と、上記表2に示すラウリルヒドロキシスルホベタイン(炭素鎖数12)の両性界面活性剤2を用いた。
メタンスルホン酸Sn水溶液に、遊離酸としてのメタンスルホン酸と、錯体化剤としてチオジエタノールとを混合して溶解させた後、更にメタンスルホン酸Ag液を加えて混合した。混合によって均一な溶液となった後、更に上記界面活性剤1と、上記界面活性剤2と、光沢剤としてベンザルアセトンを加えた。そして最後にイオン交換水を加えて、下記組成のSnAgめっき液を建浴した。なお、メタンスルホン酸Sn水溶液は、金属Sn板を、メタンスルホン酸Ag水溶液は、金属Ag板を、それぞれメタンスルホン酸水溶液中で電解させることにより調製した。
(SnAgめっき液の組成)
メタンスルホン酸Sn(Sn2+として):50g/L
メタンスルホン酸Ag(Ag+として):0.2g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として):100g/L
チオジエタノール(錯体化剤として):5g/L
ノニオン系界面活性剤1:5g/L
両性界面活性剤2:2g/L
ベンザルアセトン(光沢剤として):10mg/L
イオン交換水:残部
<実施例7>
実施例6の両性界面活性剤2をラウリルスルホベタインに代えた以外、実施例6と同様の組成のSnAgめっき液を建浴した。
<実施例8>
実施例6の両性界面活性剤2をステアリルスルホベタインに代えた以外、実施例6と同様の組成のSnAgめっき液を建浴した。
<実施例9>
実施例6からメタンスルホン酸Agとノニオン系界面活性剤を除いた以外、実施例6と同様の組成のSnAgめっき液を建浴した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜9及び比較例1〜5の14種類の建浴したそれぞれのめっき液を用いて、(1)不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値、(2)めっき後のピット欠陥発生率、及び(3)バンプ内のボイド発生率を次の方法により測定した。
これらの結果を上記表1及び下記の表3に示す。
Figure 2021155850
(1)不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値の測定
初めに、気泡の粒径分布極大値を測定する装置について、図3を参照して説明する。このめっき槽11はフェイスダウン方式(Cup type、Fountain type)のめっきを行うための槽であって、その内寸の直径が35cm、深さが50cmの円筒形であり、建浴しためっき液12を入れたときの底面から液面までの高さが35cmであった。不溶性アノード(陽極)13として、厚み1.5mmのTi板上に3μm厚でPt層をクラッド形成した直径300mmのPt/Ti円盤を用い、めっき槽11内の底面に接する形で設置した。めっき槽11の底面から高さ5cmの位置に循環ポンプ11cの吸引口となる配管11aを設置した。配管11aと対向する側壁に、底面から高さ5cmの位置に戻り口となる配管11bを設置した。循環ポンプ11cと戻り口となる配管11bとは配管11dにより接続した。この配管11dからサンプリング用配管11eを分岐して設け、サンプリング用配管11eの途中に透明な測定セル11fを設置した。この測定セル11fには、測定セルを通過する気泡の大きさ(粒径)を測定するためのVisiSize粒度分布測定装置(Oxford Lasers 社製、装置型番:SF、解析ソフトウェア:SOLO)11gを設置した。配管11a、11b及び11dの内径は60mmとし、サンプリング用配管11eの内径は40mmとした。
めっき槽11にめっき液12を入れた後、図示しない外径が33cmの円筒形の治具を用いて、 直径300mmのシリコンウエハ14を、図3に示すように、めっき槽11内に固定した。具体的には、ウエハ14の下面がめっき液12の液面から2cmの深さになるように、浸漬させて、ウエハ14を固定した。ウエハ14はカソードに接続され、撹拌に起因する気泡の発生を抑制するために、50rpmの回転速度で水平回転させることでめっき液12を撹拌した。
めっき液の循環による気泡の発生と、電解により不溶性アノードから発生する酸素気泡とを切り分けるために、最初は、電解(めっき)をせずに、循環ポンプ11cを10分間動作させ、配管11d、11e内をめっき液12で満たした後、循環ポンプ11cを停止させ、1時間静置して脱気を行った。次に、ポンプによるめっき液の循環を1時間行い、測定セル内を通過する直径10μm以下の気泡が100個/mL以下になったことを確認した。配管11d内の流量は5L/minとし、サンプリング用配管11e内の流量は0.5L/minに制御してめっき液12を循環させた。その後、めっき液12の液温を25℃に、アノード電流密度を0.7ASDにそれぞれ設定して電解めっきを30分間行った。
電解めっきを行っている間、図3に示すように、不溶性アノード13から酸素気泡18が発生した。気泡18は、吸引口の配管11aに吸引され、配管11d及び11eを通って戻り口11bからウエハ14に向かってめっき液内を浮上した。測定セル11fを通過する気泡18の大きさ(粒径)を上述した粒度分布測定装置11gで測定した。この測定した気泡の粒径分布の極大値を上記表1及び表3に示す。粒度分布が2つ以上の極大値を有する(いわゆる山が2つ以上ある)場合には、最も大きい山を極大値とする。
(2)めっき後のピット欠陥発生率の測定
直径300mmのシリコンウエハの表面に、スパッタリング法によりチタン0.1μm、銅0.3μmの順に積層し、電気導通用シード層を形成し、そのシード層の上にドライフィルムレジスト(膜厚50μm)を積層した。次いで、露光用マスクを介して、ドライフィルムレジストを部分的に露光し、その後、現像処理した。こうして、図4に示すように、ウエハ4の表面に、直径が75μmの開口部であるビア6が150μmピッチで160万個形成されているパターンを有するレジスト層5を形成した。
図1に示すめっき装置を用いて、めっき液の液温を25℃に、アノード電流密度を0.7ASDにそれぞれ設定して、目標めっき膜厚75μmでレジスト層5のビア6を電解めっきした。次いで、ウエハ4をめっき槽1から取出して、洗浄、乾燥した後、レジスト層5を有機溶媒を用いて剥離した。こうして、1つのダイ(die)上に、直径が75μmのバンプが150μmピッチで160万個の等しいピッチ間隔で配列されているパターンを有するバンプ付ウエハを作製した。
図5(a)にめっき前のウエハ4を、図5(b)〜(e)にめっき後のウエハ4をそれぞれ示す。図5において、図1、図2及び図4と同じ要素には同一符号を付している。図5(b)〜(e)において、符号7はめっき堆積層であるバンプである。このウエハの160万個のバンプ高さを、自動外観検査装置(Camtek社製、型番Falcon)を用いて、測定した。測定したバンプ高さから、以下の式により、バンプにおけるピット欠陥発生率を算出した。図5(b)に示すように、レジスト5の表面よりも厚くめっきされ、断面がマッシュルーム形状になっているバンプを「正常バンプ」とカウントし、図5(c)及び(d)に示すように、レジスト5の表面に達しない、断面がマッシュルーム形状になっていない未成長のバンプ(めっき膜の厚さが50μm未満、即ち目標めっき膜厚の約67%未満)を「ピット欠陥」を有する欠陥バンプとしてカウントした。そして以下の式によりピット欠陥発生率を算出した。その結果を上記表1及び表3に示す。
ピット欠陥発生率(ppm)=(欠陥バンプ数/全バンプ数)×106
(3)バンプ内のボイド発生率の測定
ピット欠陥発生率を算出した後、ボイド発生率を測定した。めっき後のウエハの電気導通用シード層をエッチングすることにより除去し、このウエハをリフローした。図5(e)にリフロー前に形成されたバンプ7内のボイド9aを示す。透過X線装置(Dage社製)を用いて、リフローしたウエハ上の5000個のバンプを上面から観察し、ボイドの有無を検査した。ここで、バンプ面積(バンプの最大水平断面積)に対するボイド面積が1%以上の場合を「ボイドがあるバンプ」としてカウントし、次式に基づいて、ボイド発生率を算出した。
ボイド発生率(%)=(ボイドがあるバンプの数/全バンプの数)×102
その結果を上記表1及び表3に示す。
表1から明らかなように、比較例1のめっき液では、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布の極大値が51μmと小さかった。このため、バンプ総数160万個中、ピット欠陥を有するバンプ数は762個あり、ピット欠陥発生率は476ppmと高かった。またボイド面積が1%以上のボイドのあるバンプ数は4個であり、バンプ総数5000個に対してボイド発生率は0.1%であった。
また比較例2のめっき液では、気泡の粒径分布の極大値が40μmと小さかった。このため、ピット欠陥を有するバンプ数は857個あり、ピット欠陥発生率は536ppmと高かった。またボイド面積が1%以上のボイドのあるバンプ数は53個であり、ボイド発生率は1.1%であった。
また比較例3のめっき液では、気泡の粒径分布の極大値が25μmと小さかった。このため、ピット欠陥を有するバンプ数は1073個あり、ピット欠陥発生率は671ppmと高かった。またボイド面積が1%以上のボイドのあるバンプ数は126個であり、ボイド発生率は2.5%であった。
また比較例4のめっき液では、気泡の粒径分布の極大値が83μmと小さかった。このため、ピット欠陥を有するバンプ数は135個あり、ピット欠陥発生率は84ppmと高かった。またボイド面積が1%以上のボイドのあるバンプ数は6個であり、ボイド発生率は0.1%であった。
更に比較例5のめっき液では、PO−EO−POの構造式を有する界面活性剤であったが、気泡の粒径分布の極大値が62μmと小さかった。このため、ピット欠陥を有するバンプ数は387個あり、ピット欠陥発生率は242ppmと高かった。またボイド面積が1%以上のボイドのあるバンプ数は18個であり、ボイド発生率は0.4%であった。
これに対して、表1及び表3に示すように、実施例1〜9のめっき液は、気泡の粒径分布の極大値が150μm以上と大きかったので、これらのめっき液から形成したバンプにおけるピット欠陥発生率は、0ppm〜15ppmと極めて低かった。またボイド発生率は、0%であった。
以上の結果から、本発明によれば、バンプ電極が直径100μm以下に微細化し、レジストパターンのビアの直径に対する深さが高アスペクト化しても、めっき液中に発生する気泡のためにめっきの析出が妨げられず、錫含有のバンプにおけるピット欠陥及びボイドの発生率を少なくすることが確認された。
本発明のめっき液は、半導体ウエハやプリント基板のバンプ電極などのような電子部品の一部を形成するために利用することができる。よって、産業上の利用が可能である。
1 めっき槽
1a 吸引口
1b 戻り口
1c 循環ポンプ
2 めっき液
3 不溶性アノード
4 ウエハ(被めっき部材)
5 レジスト層
6 ビア(開口部)
7 バンプ(めっき堆積層)
8 気泡
9a ピット欠陥
9b ボイド

Claims (6)

  1. 少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)と、酸又はその塩(B)と、界面活性剤(C)とを含む電解めっき液であって、
    アノード電流密度を0.7A/dm2で電解した際に、不溶性アノードから放出される気泡の粒径分布極大値が150μm以上であることを特徴とする電解めっき液。
  2. 前記界面活性剤(C)が、末端がポリオキシプロピレン(PO)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(PO−EO−PO)のノニオン系界面活性剤であり、
    前記ブロックポリマー(PO−EO−PO)中のEO比率がモル比率で35%以上かつ50%以下の範囲であり、
    前記ノニオン系界面活性剤の質量平均分子量が3000以上かつ5000以下の範囲である請求項1に記載の電解めっき液。
  3. 前記界面活性剤(C)が、アルキルスルホベタイン、又はアルキルヒドロキシスルホベタインの両性界面活性剤である請求項1に記載の電解めっき液。
  4. 前記界面活性剤(C)の含有量が0.5g/L以上かつ10g/L以下の範囲である請求項1から3のいずれか1項に記載の電解めっき液。
  5. カソードに接続される被めっき部材に不溶性アノードが対向配置されためっき槽に、請求項1から4のいずれか1項に記載の電解めっき液を供給して前記被めっき部材を電解めっきする方法。
  6. 前記被めっき部材及び前記不溶性アノードが水平に配置されためっき槽を用いて電解めっきをする請求項5に記載の電解めっき方法。
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