JP2021155705A - ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリオキシアルキレンジオール及びこれらの製造方法、並びに組成物及び物品 - Google Patents

ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリオキシアルキレンジオール及びこれらの製造方法、並びに組成物及び物品 Download PDF

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豊一 鈴木
Toyoichi Suzuki
豊一 鈴木
省吾 藤▲崎▼
Shogo FUJISAKI
省吾 藤▲崎▼
千登志 鈴木
Kazutoshi Suzuki
千登志 鈴木
伸治 岡田
Shinji Okada
伸治 岡田
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Abstract

【課題】ポリカーボネートジオールを開始剤として得られるポリウレタン樹脂の強度特性を活かしつつ、低温特性と透明性に優れたポリウレタン樹脂とその原料、並びにこのポリウレタン樹脂を含む組成物と物品を提供する。【解決手段】特定の構造を有するポリオキシアルキレンジオールとジイソシアネート化合物とを反応させ、さらに、ジオールを反応させて得られるポリウレタン樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリオキシアルキレンジオール及びこれらの製造方法、並びにポリウレタン樹脂を含む組成物及び物品に関する。
ポリオキシテトラメチレンジオールやポリプロピレンジオール等のポリオキシアルキレンジオール、又はポリカーボネートジオールを開始剤とし、プロピレンオキシドをブロック重合して得られるポリオールを用いたポリウレタン樹脂が知られている(特許文献1)。
このうち、ポリオキシアルキレンジオールを開始剤としたポリオールを用いたポリウレタン樹脂は、伸度特性に優れる傾向があるが、充分な強度を得にくい欠点がある。
これに対して、ポリカーボネートジオールを開始剤とし、プロピレンオキシドをブロック重合して得られるポリオールを用いたポリウレタン樹脂は、良好な強度特性を得やすい。
特許第4539656号公報
しかし、ポリウレタン樹脂は、クリアコートとして使用する場合、塗布面全体の色相を変化させないために、ポリウレタン樹脂自体の透明性が求められる。
また、ポリウレタン樹脂は、顔料等を含む塗料として使用する場合、ポリウレタン樹脂自体が透明である方が、良好な発色を得るために好ましい。
これについて本発明者らが確認したところ、特許文献1のポリカーボネートジオールを開始剤とし、プロピレンオキシドをブロック重合して得られるポリオールを用いたポリウレタン樹脂は、透明性が充分でない場合があることがわかった。
また、ポリウレタン樹脂は、塗料や粘着剤として低温下で使用した場合に、もろくなる問題が生じないよう、低温特性に優れることも求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポリカーボネートジオールを開始剤として得られるポリウレタン樹脂の強度特性を活かしつつ、透明性と低温特性に優れたポリウレタン樹脂とその原料、並びにこのポリウレタン樹脂を含む組成物と物品を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位と、
分子量が120〜400のジイソシアネート化合物に基づく単位と、
必要に応じて鎖延長剤に基づく単位と、を有する、
数平均分子量が800を超えるポリウレタン樹脂であって、
前記ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位は、
ポリカーボネートジオールと、環状エーテルとを重合させてなる、数平均分子量が450〜40,000のポリオキシアルキレンジオールに基づく単位であって、
前記ポリカーボネートジオールは、2種以上のアルコールとカーボネート化合物との縮合物、並びに1種以上のアルコール及び1種以上の環状エステルとカーボネート化合物との反応物の少なくともいずれかであり、前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が400〜4,000である、ポリウレタン樹脂。
[2]前記ポリオキシアルキレンジオールは、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であって、
前記鎖延長剤は、下式3で表される化合物である、上記[1]に記載のポリウレタン樹脂。
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
HO−R−OH 式3
式3中Rは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
[3]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、上記[2]に記載のポリウレタン樹脂。
(R31−O−C(=O)−O) 式6
(R32−O−C(=O)−O) 式7
式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
[4]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、上記[3]に記載のポリウレタン樹脂。
[5]数平均分子量が450〜40,000であり、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であるポリオキシアルキレンジオールに基づく単位と、分子量が120〜400のジイソシアネート化合物に基づく単位と、を有するポリウレタン樹脂前駆体。
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
[6]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、上記[5]に記載のポリウレタン樹脂前駆体。
(R31−O−C(=O)−O) 式6
(R32−O−C(=O)−O) 式7
式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
[7]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、上記[6]に記載のポリウレタン樹脂前駆体。
[8]数平均分子量が450〜40,000であり、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であるポリオキシアルキレンジオール。
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
[9]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、上記[8]に記載のポリオキシアルキレンジオール。
(R31−O−C(=O)−O) 式6
(R32−O−C(=O)−O) 式7
式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
[10]前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、上記[9]に記載のポリオキシアルキレンジオール。
[11]下式5−1で表される化合物及び下式5−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、数平均分子量が400〜4,000である化合物と、炭素数2〜4の環状エーテルとを反応させるポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
HO−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−OH 式5−1
HO−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−OH 式5−2
式5−1及び式5−2中、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
[12]前記式5−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式5−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、上記[11]に記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
(R31−O−C(=O)−O) 式6
(R32−O−C(=O)−O) 式7
式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
[13]前記式5−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、上記[12]に記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
[14]上記[11]〜[13]のいずれかに記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法によって、ポリオキシアルキレンジオールを得、得られたポリオキシアルキレンジオールと分子量が120〜400であるジイソシアネート化合物とを反応させるポリウレタン樹脂前駆体の製造方法。
[15]上記[14]に記載のポリウレタン樹脂前駆体の製造方法によってポリウレタン樹脂前駆体を得、得られたポリウレタン樹脂前駆体と下式3で表される化合物とを反応させるポリウレタン樹脂の製造方法。
HO−R−OH 式3
式3中Rは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
[16]上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂を含む組成物。
[17]上記[16]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む物品。
本発明のポリウレタン樹脂は、充分な強度特性を保持しながら、透明性と低温特性に優れる。本発明のポリウレタン樹脂前駆体及びポリオキシアルキレンジオールを用いれば、充分な強度特性を保持しながら、透明性と低温特性に優れるポリウレタン樹脂を得られる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法によれば、充分な強度特性を保持しながら、低温特性に優れるポリウレタン樹脂を得られる。本発明のポリウレタン樹脂前駆体の製造方法及びポリオキシアルキレンジオールの製造方法によれば、充分な強度特性を保持しながら、透明性と低温特性に優れるポリウレタン樹脂を得るための原料を得られる。
また、本発明の組成物と物品は、本発明のポリウレタン樹脂を含むため、充分な強度特性を保持しながら、透明性ないし発色性と低温特性に優れる。
本明細書及び特許請求の範囲における以下の用語の定義は以下のとおりである。
重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により形成された原子団を意味する。
数平均分子量(以下、「Mn」と記す。)及び重量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は、式4−1、式4−2、式5−1又は式5−2で表される化合物については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、水酸基換算分子量既知のポリプロピレングリコールを用いて検量線を作成して測定したポリプロピレングリコール換算分子量である。また、式1又は式2で表される化合物については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて検量線を作成して測定したポリスチレン換算分子量である。
分子量分布は、上記MwとMnより算出した値であり、Mnに対するMwの比率(以下、「Mw/Mn」と記す。)である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本明細書においては、式1で表される化合物を「化合物1」のようにも記す。他の式で表される化合物についても同様に記す。
また、式6で表される単位を「単位6」のようにも記し、式7で表される単位を「単位7」のようにも記す。
<ポリウレタン樹脂>
本実施形態のポリウレタン樹脂は、ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位と、分子量が120〜400のジイソシアネート化合物に基づく単位と、必要に応じて鎖延長剤に基づく単位と、を有する、数平均分子量が800を超えるポリウレタン樹脂である。
前記ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位は、ポリカーボネートジオールと、環状エーテルとを重合させてなる、数平均分子量が450〜40,000のポリオキシアルキレンジオールに基づく単位である。
また、前記ポリカーボネートジオールは、2種以上のアルコールとカーボネート化合物との縮合物、並びに1種以上のアルコール及び1種以上の環状エステルとカーボネート化合物との反応物の少なくともいずれかであり、数平均分子量が400〜4,000である。
本実施形態のポリウレタン樹脂は、典型的には下式1で表され、Mnが800を超える化合物1である。
H−(E−C(=O)−NH−J−NH−C(=O)−)−E−H 式1
式1中Jは下式2で表される化合物から両末端のNCO基を除いた基であり、Eは下式3で表される化合物から両末端の水素原子を除いた基であり、mは繰り返し数である。
OCN−(Q−NH−C(=O)−L−C(=O)−NH)−Q−NCO 式2
式2中Lは下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下「化合物4」と記す場合がある。)であり、Mnが450〜40,000であるポリオキシアルキレンジオールから両末端の水素原子を除いた基であり、Qは分子量が120〜400のジイソシアネート化合物(以下「化合物Q」と記す場合がある。)から両末端のNCO基を除いた基であり、nは繰り返し数である。
HO−R−OH 式3
式3中Rは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
化合物1のMnは800を超える。化合物1のMnは、1,000〜120,000が好ましく、1,100〜100,000がより好ましい。
化合物1のMnが上記範囲の下限値以上であれば、フィルムとした場合の伸び物性がより優れる。化合物1のMnが上記範囲の上限値以下であれば、フィルムとした場合の強度がより優れる。
式1におけるmは、化合物1のMnが上記範囲となるように、化合物2のMnと化合物3の分子量に応じて適宜調整される。
化合物2はポリウレタン樹脂前駆体である。すなわち、化合物2は、化合物3と反応することにより、化合物1を得ることができる化合物1の前駆体である。
化合物2のMnは、600〜120,000が好ましく、650〜110,000がより好ましく、700〜95,000がさらに好ましく、750〜50,000がさらに好ましい。
化合物2のMnが上記範囲の下限値以上であれば、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性が、より優れる。
化合物2のMnが上記範囲の上限値以下であれば、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の引張物性が、より優れる。
式2におけるnは、化合物2のMnが上記範囲となるように、化合物4のMnと化合物Qの分子量に応じて適宜調整される。
化合物2は、フォーム、エラストマー、塗料、弾性繊維、接着剤、粘着剤、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、合成皮革、人工皮革、コーティング剤、床材等に広く用いることができる。
例えば、前記エラストマーは、特開2017−133024号公報の段落0114〜0117に記載の用途に用いることができ、前記塗料は、特開2017−133024号公報の段落0118及び0119に記載の用途に用いることができ、前記弾性繊維は、特開2017−133024号公報の段落0125〜0127に記載の用途に用いることができる。また、前記接着剤は、特開2017−133024号公報の段落0120〜0123に記載の用途に用いることができ、前記バインダーは、特開2017−133024号公報の段落0124に記載の用途に用いることができ、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特開2017−133024号公報の段落0130〜0135に記載の用途に用いることができる。前記医療用材料は、特開2017−133024号公報の段落0129に記載の用途に用いることができ、前記シーラントは、特開2017−133024号公報の段落0128に記載の用途に用いることができる。
前記塗料における化合物2以外の成分としては、後述のクリアコート用の塗料組成物及び色つきの塗料組成物と同様の成分を用いることができ、前記粘着剤における化合物2以外の成分としては、後述の粘着剤組成物と同様の成分を用いることができる。
化合物Qは、分子量が120〜400であり、130〜390がより好ましく、140〜380がさらに好ましい。
化合物4と反応させる化合物Qの分子量が上記範囲の下限値以上であれば、化合物4との反応性がより優れ、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性がより優れる。
化合物4と反応させる化合物Qの分子量が上記範囲の上限値以下であれば、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の引張物性がより優れる。
ジイソシアネート化合物とは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物である。
化合物Qは特に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、及び2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ジイソシアネート化合物;ならびに、前記ジイソシアネート化合物から得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド変性体、及びイソシアヌレート変性体等が挙げられる。
ポリオール化合物との反応性に優れていることから、化合物Qとしては芳香族ジイソシアネートが好ましく、なかでも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
また経時的な黄変を嫌う用途では脂肪族ジイソシアネート化合物又は脂環族ジイソシアネート化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。上記ジイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
化合物3は、いわゆる鎖延長剤である。化合物3の分子量は300未満が好ましく、60以上300未満がより好ましい。
式3におけるRは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜8の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基がより好ましい。
式3におけるRは、直鎖状の2価の炭化水素基でも、分岐鎖状の2価の炭化水素基でも、環構造を有している2価の炭化水素基でもよい。また、これらの2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であってもよい。
化合物3の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
化合物4は、ポリオキシアルキレンジオールであり、化合物Qと反応することにより、化合物2を得ることができる化合物である。化合物4としては、2種以上のアルコールとカーボネート化合物との縮合物であるポリカーボネートジオールを用いた場合の上記式4−1で表される化合物、1種以上のアルコール及び1種以上の環状エステルとカーボネート化合物との反応物であるポリカーボネートジオールを用いた場合の上記式4−2で表される化合物が挙げられる。
化合物4のMnは、450〜40,000であり、450〜35,000が好ましく、500〜30,000がより好ましく、550〜24,000がさらに好ましい。
化合物4のMnが上記範囲の下限値以上であれば、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性がより優れる。化合物4のMnが上記範囲の上限値以下であれば、化合物Qとの混合性がより良好となり、化合物Qと反応しやすい。
式4−1及び式4−2におけるsとtは、化合物4のMnが上記範囲となるように、上記式4−1で表される化合物の原料となる下式5−1で表される化合物、及び上記式4−2で表される化合物の原料となる下式5−2で表される化合物のMnとRの炭素数に応じて適宜調整される。
sとtは、同じ値でも異なる値でもよいが、製造条件を設定しやすいことから、ほぼ同じ値が好ましい。
HO−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−OH 式5−1
HO−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−OH 式5−2
式5−1及び式5−2中R、R30、R33、R34、u1、u2、及びu3は式4−1及び式4−2におけるR、R30、R33、R34、u1、u2、及びu3と同じである。したがって、式5−1及び式5−2中R、R30、R33、及びR34の好ましい態様も、後述する式4−1及び式4−2におけるR、R30、R33、及びR34の好ましい態様と同じである。
式5−1及び式5−2におけるu1、u2、及びu3は、上記式5−1で表される化合物及び上記式5−2で表される化合物(以下「化合物5」と記す場合がある。)のMnが以下に説明する範囲となるように、(R−O−C(=O)−O)基の分子量に応じて適宜調整されるが、平均して2〜50個が好ましく、3〜30個がより好ましい。
化合物5のMnは、400〜4,000であり、450〜3,500が好ましく、500〜3,000がより好ましい。
化合物5のMnが上記範囲の下限値以上であれば、ポリウレタン樹脂をフィルムにした場合の伸び物性及び引張物性がより良好となる。
化合物5のMnが上記範囲の上限値以下であれば、得られた化合物及びそれからなるフィルムの透明性がより良好となる。
化合物5のMw/Mnは3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。上記上限値以下であると、化合物5の粘度が低くなりやすく、取り扱いが容易である。
化合物4のMw/Mnは1.0〜3.0が好ましく、1.01〜2.50がより好ましく、1.02〜2.20がさらに好ましく、1.03〜2.00が特に好ましい。
化合物4の25℃における粘度は、100〜100,000mPa・sが好ましく、500〜80,000mPa・sがより好ましく、1,000〜60,000mPa・sがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であるとポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性及び引張物性がより優れる。上記範囲の上限値以下であると化合物Qとの混合性がより良好となり、化合物Qと反応しやすい。
(式4−1で表される化合物)
式4−1におけるRは炭素数2〜4のアルキレン基である。アルキレン基の炭素数は2又は3が好ましく、3が特に好ましい。すなわち、ROはオキシプロピレン基が特に好ましい。
(RO)及び(ORは、各々2種以上のオキシアルキレン基を含んでいてもよい。2種以上のオキシアルキレン基を含む場合は、オキシプロピレン基とオキシエチレン基の組み合わせが好ましい。
(RO)が2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合、その配列は、ランダムでもブロックでも、両者の組み合わせでもよい。同様に、(ORが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合、その配列は、ランダムでもブロックでも、両者の組み合わせでもよい。
式4−1におけるR及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。
の鎖式炭化水素基の炭素数は3〜20であり、好ましくは3〜18、より好ましくは4〜16である。また、Rの鎖式炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、また、非置換であることが好ましい。
が置換基を有していてもよい環式炭化水素基の場合、Rは、例えば−R35−R36−R35−で表される基である。R35は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。R36は、置換基を有していてもよい単環構造を有する炭素数3〜9の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい多環構造を有する炭素数4〜16の脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記脂環式炭化水素基において環を構成する1個以上の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい。ただし隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。
35の炭素数1〜6のアルキレン基は直鎖でも分岐でもよい。R35が炭素数1〜6のアルキレン基である場合、炭素数は1〜4が好ましく、1又は2がより好ましい。R35としては、単結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、tーブチレン基が例示され、単結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基及びt−ブチレン基が好ましく、単結合、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
36が非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基である場合、R36の炭素数は、熱及び光に対する安定性がより優れるため、4〜8が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6がさらに好ましい。R36の非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基が例示され、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が好ましい。
36が非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基である場合、R36の炭素数は、化合物5を得る反応が良好に進行しやすく化合物4を得るうえでも好ましいため、4〜15が好ましく、6〜12がさらに好ましい。R36は、2個又は3個の環構造を有する基が好ましく、2個の環構造を有する基がより好ましい。
36が非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基である場合、化合物5を得る反応が良好に進行しやすく化合物4を得るうえでも好ましいため、R36の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜12がさらに好ましい。非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基が例示され、フェニレン基が好ましい。
36が置換基を有する単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基である場合、上記単環構造は、上述の非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基と同様である。
36が置換基を有する多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基である場合、上記多環構造は、上述の非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基と同様である。
36が置換基を有する炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基である場合、上記芳香族炭化水素基としては、上述の非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基の場合と同様である。
36の炭素数は、環を構成する炭素原子の数のみを示し、置換基の炭素数は含まない。
が置換の鎖式炭化水素基の場合、置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基が例示される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。置換基の数は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
が置換の環式炭化水素基の場合、置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が例示される。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、t−ブチル基がより好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。置換基の数は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
36が単環構造又は多環構造を有する脂環式飽和炭化水素基であり、環を構成する1個以上の炭素原子が、酸素原子で置換されていている場合、環を構成する全原子数に対する、酸素原子数の割合は5〜50%が好ましく、10〜30%がさらに好ましい。
式4−1における(R−O−C(=O)−O)u1は、Rが異なる2種以上の単位を含む。式4−1における(R−C(=O)−)u1は、3種以上の単位を含んでいてもよい。
本実施形態のポリウレタン樹脂は、式4−1における(R−O−C(=O)−O)u1が、2種以上の単位を含むことにより、ポリカーボネートジオールを開始剤として得られるポリウレタン樹脂の強度特性を活かしつつ、低温特性と透明性に優れる。
これは、2種以上の単位を含むことにより、適度に結晶性が崩れるためであると推測される。
(R−O−C(=O)−O)u1を構成する2種以上の単位の配列は、ランダムでもブロックでも、両者の組み合わせでもよい。
(R−O−C(=O)−O)u1は、本発明の効果を発揮しやすいことから、下式6で表される単位6と下式7で表される単位7とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなることが好ましい。ここで、2種以上の単位は、単位6又は単位7のいずれか一方から選ばれてもよいし、単位6及び単位7の両方から選ばれてもよい。
(R31−O−C(=O)−) 式6
(R32−O−C(=O)−) 式7
式6におけるR31は、Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキル基であり、式7におけるR32は、Rのうち、R31以外の基である。
31の炭素数は、具体的には、2、4、6、8、10、12、14、16、18及び20である。中でも、炭素数が4、6、8、及び10のいずれかが好ましい。R31は、炭素数が2、4、6、8、10、12、14、16、18及び20から選択される2種以上の直鎖状のアルキル基であってもよい。
32は、前記Rの内、前記R31以外の基である。具体的には、炭素数が偶数の直鎖状のアルキル基を除く炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基が挙げられる。環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。
32は、−CH−CH(C)−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、−CH−C(CH−CH−、下式11で表される基、下式12で表される基、−CH−CH(CH)−CH−CH(CH)−CH−、−CH−CH−CH(CH)−CH−CH−、−CH−CH(C)−CH−CH(C)−CH−が好ましく、−CH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(CH−CH−又は下式11で表される基がより好ましい。R32は、R31以外のRから選択される2種以上の炭化水素基であってもよい。
式4−1におけるR30は、R31又はR32であり、好ましい態様はR31及びR32と同様である。
Figure 2021155705
Figure 2021155705
単位6及び単位7の両方から選ばれる2種以上の単位の組み合わせとしては、特に制限はないが、例えば、以下の(a)〜(c)が好ましい。
(a)単位6としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位7としての((CH−O−C(=O)−O)との組み合わせ
(b)単位6としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位7としての(R32−O−C(=O)−O)(但し、R32は上記式11)との組み合わせ
(c)単位6としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位7としての(−CH−C(CH−CH−O−C(=O)−O)との組み合わせ
単位6より選ばれる2種以上の単位の組み合わせとしては、特に制限はないが、例えば、単位6としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位6としての((CH−O−C(=O)−O)との組み合わせ、などが好ましい。
単位7より選ばれる2種以上の単位の組み合わせとしては、特に制限はないが、例えば、以下の(a)又は(b)が好ましい。
(a)単位7としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位7としての(CH−CH(CH)−CH−CH−CH−CH−CH−CH−O−C(=O)−O)との組み合わせ、
(b)単位7としての((CH−O−C(=O)−O)と、単位7としての(CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−O−C(=O)−O)との組み合わせ
式4−1における(R−O−C(=O)−O)u1が、単位6と単位7との組み合わせからなる場合、本発明の効果(強度特性を活かしつつ、低温特性と透明性に優れる)を一層発揮しやすい。これは、単位6を有する重合体は結晶性となりやすく、単位7を有する重合体は非結晶性となりやすいからである。(R−O−C(=O)−O)u1が、単位6と単位7との組み合わせからなる場合、結晶性の単位と非結晶性の単位を含むことになるので、このような単位を含むポリウレタン樹脂において、適度に結晶性が崩れることが一因であるものと考えられる。
単位6を含む場合、式4−1中における(R−O−C(=O)−O)u1に占める単位6の割合は5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましく、20〜85モル%がさらに好ましい。
単位6の割合が上記範囲の下限値以上であることにより、得られる重合体における結晶性が崩れやすい。単位6の割合が上記範囲の上限値以下であることにより、得られる重合体の結晶性を適度に調整しやすい。
単位7を含む場合、式4−1中における(R−O−C(=O)−O)u1に占める単位7の割合は、5〜100モル%であってもよく、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましく、15〜80モル%がさらに好ましい。単位7の割合が上記範囲内であれば、得られる重合体の結晶性を適度に調整しやすい。
(R−O−C(=O)−O)u1に占める各単位の割合は、H−NMRにより求められる。
具体的には、式5−1で表される化合物を10質量%となるように重クロロホルムに溶解し、分解能400MHz(JNM−ECZ400SJNM、日本電子社製品名)でH−NMRを測定し、カーボネート基に隣接した炭素に結合した水素に基づくピークに基づいて算出する。
例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)に基づくRを有する単位と、ネオペンチルグリコール(NPG)に基づくRを有する単位のモル比は、カーボネート基に隣接した1,4−BDのメチレン基に結合した2個のプロトンに基づく4.10−4.20ppmのピーク面積と、カーボネート基に隣接したNPGのメチレン基に結合した2個のプロトンに基づく3.90−4.00ppmのピーク面積とを算出し、これらの比から算出できる。
(式4−2で表される化合物)
式4−2におけるR、OR及びその好ましい態様は、式4−1におけるR及びORと同じである。
また、式4−2におけるR及びその好ましい態様は、式4−1におけるRと同じである。
式4−2におけるR33は、環状エステルに由来する炭素鎖である。なお、環状エステルに由来する炭素鎖とは、環状エステルからエステル基を除いた残基である。但し、環状エステルが、複数のエステル基を有する場合、R33は、当該複数のエステル基間に存在する炭素鎖である。例えば、環状エステルがグリコシドである場合、R33は−(CH)−であり、環状エステルがラクチドである場合、R33は、−CH(CH)−、−(CH−、などである。
式4−2におけるR33の具体例としては、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基が挙げられる。R33の鎖式炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
33の具体例としては、例えば、−(CH−、−(CH−、−C(CH)H−CH−、−(CH−、−(CH)−、−CH(−CH)−、−(CH−などが挙げられる。
式4−2におけるu2としては、1以上の整数である限り、特に制限はなく、ポリカーボネートジオールのMnが所望の範囲となるように、(R−O−C(=O)−O)基の分子量に応じて適宜調整されるが、好ましくは2〜50個、より好ましくは3〜30個である。
式4−2における(R−O−C(=O)−O)u2は、上記式6で表される単位6と上記式7で表される単位7とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなることが好ましく、上記式6で表される単位6と上記式7で表される単位7とからなる群より選ばれる1種であることがより好ましい。単位6及び単位7の好ましい組み合わせは、式4−1における(R−O−C(=O)−O)u1と同じである。また、単位6におけるR31及び好ましい態様、並びに単位7におけるR32及び好ましい態様は、前記のとおりである。
単位6を含む場合、式4−2中における(R−O−C(=O)−O)u2に占める単位6の割合は50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%でもよい。
単位6の割合が上記範囲内であることにより、得られる重合体における結晶性を適度に調整しやすい。
単位7を含む場合、式4−2中における(R−O−C(=O)−O)u2に占める単位7の割合は、50モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、0モル%でもよい。単位7の割合が上記範囲内であれば、得られる重合体の結晶性を適度に調整しやすい。
なお、式4−2中における(R−O−C(=O)−O)u2に占める各単位の割合は、式4−1中における(R−O−C(=O)−O)u1と同様にH−NMRにより求められる。
式4−2におけるu3としては、1以上の整数である限り、特に制限はなく、ポリカーボネートジオールのMnが所望の範囲となるように、(R33−C(=O)−O)基の分子量に応じて適宜調整されるが、好ましくは2〜50個、より好ましくは3〜30個である。
式4−2におけるR34は、R又はR33であり、その好ましい態様もR及びR33と同様である。
式4−2における(R−O−C(=O)−O)u2は『アルコールに由来する繰り返し単位(「アルコールに由来する炭素鎖+カーボネート基」の繰り返し単位)』であり、式4−2における(R33−C(=O)−O)u3は『環状エステルに由来する繰り返し単位(「環状エステルに由来する炭素鎖+エステル基」の繰り返し単位)』であり、R34は『繰り返し単位を構成しないアルコールに由来する炭素鎖、又は、繰り返し単位を構成しない環状エステルに由来する炭素鎖』である。ここで、アルコールに由来する炭素鎖とは、アルコールから水酸基を除いた残基を意味する。
ポリカーボネートジオールを構成する、(R−O−C(=O)−O)で表される単位と(R33−C(=O)−O)で表される単位との配列は、ランダムであってもよく、ブロックであってもよく、ランダム及びブロックの両者の組み合わせでもよい。
例えば、1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンとの反応物であるポリカーボネートジオールの構造は、アルコールに由来する繰り返し単位としての((CH−O−C(=O)−O)u2と、環状エステルに由来する繰り返し単位としての((CH−C(=O)−O)u3と、繰り返し単位を構成しないアルコールに由来する炭素鎖としての炭素数6のアルキレン基(−(CH−)と、繰り返し単位を構成しない環状エステルに由来する炭素鎖としての炭素数5のアルキレン基(−(CH−)と、両末端の水酸基と、を含む構造となると推察される。
式4−2における(R33−C(=O)−O)u3の好適な具体例としては、例えば、下式13で表される基(式13中のvは、1以上の整数を示す)、などが挙げられる。
Figure 2021155705
式4−1又は式4−2で表される化合物4において、−OC(=O)O−で表されるカーボネート基のモル数と(RO)単位及び(OR)単位の合計のモル数の比[カーボネート基/オキシアルキレン単位]は、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性及び引張物性により優れる点から0.01〜5が好ましく、0.1〜4がより好ましい。
化合物4において、[カーボネート基/オキシアルキレン単位]は、H−NMRにより求められる。
具体的には、化合物4を10質量%となるように重クロロホルムに溶解し、分解能400MHz(JNM−ECZ400SJNM、日本電子社製品名)でH−NMRを測定し、カーボネート基に隣接した炭素に結合した水素に基づくピークと、カーボネート基に隣接していない炭素に結合した水素(オキシアルキレン単位における水素)に基づいて算出する。
化合物1における各単位の割合は、例えば、以下のようにして求めることができる。
すなわち、化合物1を、ピリジン、蒸留水と共にポリテトラフルオロエチレンでコートされた耐圧容器に入れ、130℃15時間加熱する。その後、ピリジンを留去し、テトラヒドロフランに溶解させた溶液を得る。
この溶液を測定溶液として、分取GPC(LC−Force、ワイエムシィ社製品名)で測定して、得られた3つのピークについて、各ピークに該当する部分の測定溶液を分取する。
分取した3つのピークに該当する測定溶液の各々について、テトラヒドロフランを80℃で1時間減圧乾燥させて除き、残った液体のそれぞれについて、H−NMRで分析する。これにより、各ピークのいずれが、化合物Qに基づく単位、化合物3に基づく単位、化合物4に基づく単位であるかを特定し、また、GPCにより、それぞれの成分の含有割合について決定する。
化合物4に基づく単位を更に詳細に分析する場合は、化合物4に基づく単位に対応するピークの測定溶液を乾燥してテトラヒドロフランを除いた後、20質量%水酸化ナトリウム溶液と共にポリテトラフルオロエチレンでコートされた耐圧容器に入れ、190℃19時間加熱する。その後、ヘキサン/水(50/50(質量比))の混合溶液にて抽出し、静置して分層させて、ヘキサン層を取り出す。このヘキサン層からヘキサンを留去して得られた成分をテトラヒドロフランに溶解して測定溶液を得て、前述の分取GPCにて測定して、得られた2つのピークについて、各ピークに該当する部分の測定溶液を分取する。
それぞれのピークに該当する測定溶液を分取し、乾燥してテトラヒドロフランを除いた後、H−NMRにより分析する。これにより、各ピークのいずれが、後述の化合物8に基づく単位、後述の化合物9に基づく単位であるかを特定し、また、GPCにより、それぞれの成分の含有割合について決定する。
化合物4はポリヒドロキシウレタン樹脂の原料としても用いることができる。例えば、特許第3114304号の段落0026〜0034の記載や特公平7−116171号公報の実施例1に記載されるのと同様にして、本発明の化合物4の末端にエポキシ基を付与させる。次に、特許第5277233号の段落0034〜0043に記載されるのと同様にして、前記化合物4の末端のエポキシ基と二酸化炭素とを反応させて、環状カーボネート化合物を得る。さらに、特許第5277233号の段落0044〜0050に記載されるのと同様にして、前記環状カーボネート化合物の環状カーボネート基とアミン化合物とを反応させることにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂を得ることができる。
<ポリオキシアルキレンジオールの製造方法>
本実施形態のポリオキシアルキレンジオールの製造方法は、Mnが400〜4,000であり、前記式5−1で表される化合物及び前記式5−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である化合物5と環状エーテル(以下「AO単量体」と記す場合がある。)とを反応させる方法である。これにより、Mnが450〜40,000である化合物4を得られる。
前記式5−1で表される化合物としては、下式8で表されるジオール化合物(化合物8)の2種以上と、下式9で表されるカーボネート化合物(化合物9)との縮重合物が挙げられる。また、前記式5−2で表される化合物としては、1種以上の化合物8及び1種以上の環状エステルと化合物9との反応物が挙げられる。
HO−R−OH 式8
−O−C(=O)−O−R 式9
化合物8は、3種以上であってもよい。式8におけるRは、前記式5−1及び前記前記式5−2におけるRと同じであり、好ましいRの組み合わせも、化合物5で説明した好ましいRの組み合わせと同様である。
化合物8としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(以下「1,4−BD」と記す場合がある。)、1,5−ペンタンジオール(以下「1,5−PD」と記す場合がある。)、1,6−ヘキサンジオール(以下「1,6−HD」と記す場合がある。)、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等の側鎖を有さないジオール;2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール、以下「NPG」と記す場合がある。)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の側鎖を有するジオール;1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルバイド(以下「iSB」と記す場合がある。)、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,7−ノルボルナンジオール、2,3−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフラン−2,2−ジメタノール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン、5,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキサン等の環状ジオール;p−キシレングリコール、p−テトラクロロキシレンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔(4−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン等の芳香環を有するジオールが例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち、化合物9との反応性がより良好である点で、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフラン−2,2−ジメタノール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン及びイソソルバイドが好ましい。
中でも、原料が安価であり入手容易である観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルバイド、及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)がより好ましく、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール及びイソソルバイド、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)がさらに好ましい。
が、炭素数が偶数の直鎖状のアルキル基である化合物8の好ましい例としては、1、4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが挙げられる。
が、Rのうち、R31以外の基であるR32である化合物8の好ましい例としては、1,5−ペンタンジオール、イソソルバイド、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
式9における、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基若しくはフェニル基であるか、又はRとRは互いに結合して環を形成している。
とRが互いに結合して環を形成しているとき、(−O−R−R−O−)のR、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数1〜4のアルキル基で少なくとも1つの水素原子が置換された炭素数1〜3のアルキレン基である。
化合物9としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ネオペンチレンカーボネートが例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち化合物8及び環状エステルと反応しやすい点で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート及びエチレンカーボネートが好ましい。反応時に脱離する化合物の沸点が低いため、平衡反応が目的化合物に傾きやすいという点においては、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートが好ましく、反応して脱離する化合物と目的化合物との沸点差が大きく目的化合物を分離しやすいという点においては、ジフェニルカーボネートが好ましい。
化合物8と化合物9を縮重合して、化合物5を製造する方法は、例えば特開2012−77280号公報、特開2014−080590号公報、特開2015−91937号公報、特許第3724561号、特許第5532592号、特許第1822688号、特開平4−2390234号公報等に記載の方法を用いられる。
環状エステルとしては、特に制限はなく、例えば、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチド、などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、原料が安価であり入手容易である観点から、ε−カプロラクトンが好ましい。
AO単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドから選択される1種以上が挙げられる。特に、プロピレンオキシドが好ましい。
2種類以上のAO単量体を化合物5と反応させる場合、ランダム重合させても、ブロック重合させてもよく、両者の組み合わせでもよい。
化合物5とAO単量体との反応は、化合物5を開始剤として、その水酸基(活性水素含有基)に、開環重合触媒の存在下で、AO単量体を開環付加重合させる。これによりオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレン鎖を有し、末端が水酸基である化合物4を得る。
化合物5にAO単量体を開環付加重合させる際の、開環付加重合触媒は、複合金属シアン化物錯体触媒(以下「DMC触媒という場合がある。」)が好ましい。DMC触媒を用いると、Mw/Mnが狭く、粘度が低い化合物4を得やすい。DMC触媒は、従来公知の化合物を用いられる。
開環付加重合させる際のDMC触媒の量は、AO単量体の開環重合に必要な量であればいかなる量でもよいが、できるだけ少量が好ましい。重合反応に用いるDMC触媒の量が少ないほど、生成物である化合物4に含まれるDMC触媒の量を少なくできる。それにより、化合物4と化合物Qとの反応性に対するDMC触媒の影響を少なくできる。
開環付加重合反応の後、得られた化合物4からDMC触媒を除去する操作を行ってもよい。DMC触媒の量が少なく、その後に悪影響を及ぼさない場合は、DMC触媒を除去しなくてもよい。
具体的には、DMC触媒の固体触媒成分(ポリオール化合物や過剰な配位子等を除いた成分)が重合直後の化合物4中に10〜500ppmとなる量のDMC触媒を用いて開環重合反応を行うことが好ましい。
AO単量体の開環重合反応の温度は、30〜180℃が好ましく、70〜160℃がより好ましく、90〜140℃が特に好ましい。重合温度が30℃以上であると、AO単量体の開環重合を確実に開始させることができ、また180℃以下であると、DMC触媒の重合活性低下を抑制できる。
さらにAO単量体の開環重合反応は、良好な攪拌条件下で行うことが好ましい。一般的な攪拌翼を用いる攪拌法を用いる場合は、反応液に気相部のガスが多量に取り込まれて攪拌効率が低下することがない範囲で攪拌翼の回転速度をできるだけ速くすることが好ましい。また、得られる重合体の分子量分布を狭くできることから、反応容器内へのAO単量体の供給速度はできるだけ遅くすることが好ましいが、生産効率が低下するため、これらを比較衡量してAO単量体の供給速度を定めることが好ましい。
AO単量体の開環重合反応には、反応溶媒を用いてもよい。好ましい反応溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素;ならびに、クロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が例示できる。また、溶媒の使用量は特に制限されるものではなく、所望する量の溶媒を用いられる。
DMC触媒を用いた開環付加重合は、例えば、国際公開公報第2003/062301号、国際公開公報第2004/067633号、特開2004−269776号公報、特開2005−15786号公報、国際公開公報第2013/065802号、特開2015−010162号公報に開示される触媒及び製造条件を採用できる。
化合物5のMn(Mn)に対する化合物4のMn(Mn)の比[Mn/Mn]は、1.05以上が好ましく、1.1〜5.0がより好ましく、1.15〜4.0がさらに好ましい。
すなわち、化合物5の数平均分子量の1.05倍以上になるまで化合物5にAO単量体を重合することが好ましい。
<ポリウレタン樹脂前駆体の製造方法>
本実施形態のポリウレタン樹脂前駆体の製造方法は、上記ポリオキシアルキレンジオールの製造方法で得られた化合物4と化合物Qとを反応させる方法である。これにより化合物2を得られる。
化合物4と反応させる化合物Qの具体例や好ましい例等は、上記ウレタン樹脂の実施形態で説明したとおりである。
化合物4と反応させる化合物Qの量は過剰量とすることが好ましい。具体的には、化合物4の水酸基に対する、化合物Qのイソシアネート基の割合((化合物Qに含まれるイソシアネート基数)/(化合物4に含まれる水酸基数)×100)であるイソシアネート基のインデックスは、150〜300が好ましく、180〜280がより好ましい。化合物Qの量を過剰量とすることにより、両末端がイソシアネート基である化合物2(ポリウレタン樹脂前駆体)が得られる。
化合物4と化合物Qとを反応させる際の反応触媒としては、公知のウレタン化反応触媒を用いても良い。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、及び2−エチルヘキサン酸錫等の有機錫化合物;鉄アセチルアセトナート及び塩化第二鉄等の鉄化合物;ならびに、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等の三級アミン系触媒等が挙げられる。なかでも有機錫化合物が好ましい。
その際の反応触媒の量は化合物4を100質量部として、0.01〜5質量部が好ましい。
化合物4と化合物Qとを反応させる際の温度は、15〜120℃が好ましい。
化合物4と化合物Qとを反応させる際には、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等の二級アルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独または二種以上の混合物で使用できる。
化合物4と化合物Qとの反応の具体的方法としては、例えば、特許第4539656号公報に開示される、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる方法を採用できる。
<ポリウレタン樹脂の製造方法>
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法は、上記ポリウレタン樹脂前駆体の製造方法で得られた化合物2と化合物3とを反応させる方法である。これにより、数平均分子量が800を超える化合物1を得られる。
化合物3の具体例や好ましい例等は、上記ウレタン樹脂の実施形態で説明したとおりである。
化合物2と化合物3はハードセグメント含有量が5〜40質量%となるように反応させることが好ましい。
ハードセグメント含有量は、(化合物Qの質量+化合物3の質量)/(化合物Qの質量+化合物3の質量+化合物4の質量)×100(質量%)の式を使用して計算して得られる値(質量%)である。
ハードセグメント含有量は、10〜35質量%がより好ましい。
ハードセグメント含有量が上記範囲の下限値以上であることにより、良好な伸び物性を有するポリウレタン樹脂が得られる。ハードセグメント含有量が上記範囲の上限値以下であることにより、機械強度が高いポリウレタン樹脂が得られる。
また、化合物2と化合物3はNCO単位含有量が5〜40質量%となるように反応させることが好ましい。
NCO単位含有量は、(化合物Qの質量)/(化合物Qの質量+化合物3の質量+化合物4の質量)×100(質量%)の式を使用して計算して得られる値(質量%)である。
NCO単位含有量は、10〜30質量%がより好ましく、12〜28質量%がさらに好ましい。
NCO単位含有量が上記範囲の下限値以上であることにより、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の引張物性がより優れる。NCO単位含有量が上記範囲の上限値以下であることにより、ポリウレタン樹脂をフィルムとした場合の伸び物性がより優れる。
化合物2と化合物3とを反応させる際の反応触媒としては、公知のウレタン化反応触媒を用いてもよい。ウレタン化反応触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、及び2−エチルヘキサン酸錫等の有機錫化合物;鉄アセチルアセトナート及び塩化第二鉄等の鉄化合物;ならびに、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等の三級アミン系触媒等が挙げられる。なかでも有機錫化合物が好ましい。
上記ウレタン化反応触媒を用いる場合、化合物2と化合物3との合計100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部の触媒を用いることが好ましく、0.001〜0.01質量部が特に好ましい。
化合物2と化合物3とを反応させる際の温度は、20〜160℃が好ましい。
化合物2と化合物3との反応は、有機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。化合物2と化合物3とを有機溶媒中で行えば、化合物1が有機溶媒に溶解してなるポリウレタン樹脂溶液が得られる。
化合物2と化合物3とを反応させる具体的方法としては、例えば、国際公開第2008/149682号、特許5737763号公報、特許6329457号公報に開示される方法を採用できる。
<ポリウレタン樹脂組成物>
本実施形態の組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を含有する組成物である。したがって、該組成物は、充分な強度特性を保持しながら、透明性ないし発色性と低温特性に優れるため、塗料組成物、粘着剤組成物、印刷インキ組成物、合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物や層間の接着剤組成物、人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜、タイヤ用組成物、エラストマー、弾性繊維、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、コーティング剤、フォーム、床材等に好適に使用できる。特に、本実施形態の組成物をタイヤ用組成物に適用した場合、氷結路面等での操縦安定性、及び発色性に優れたタイヤを得ることができる。
また、前記エラストマーは、特開2017−133024号公報の段落0114〜0117に記載の用途に用いることができ、前記弾性繊維は、特開2017−133024号公報の段落0125〜0127に記載の用途に用いることができる。前記バインダーは、特開2017−133024号公報の段落0124に記載の用途に用いることができ、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特開2017−133024号公報の段落0130〜0135に記載の用途に用いることができる。前記医療用材料は、特開2017−133024号公報の段落0129に記載の用途に用いることができ、前記シーラントは、特開2017−133024号公報の段落0128に記載の用途に用いることができる。
本実施形態の組成物中には、本実施形態のポリウレタン樹脂に加えて、下記の充填剤、補強剤、安定剤、難燃剤、離型剤、及び防黴剤等からなる群から選ばれる添加剤を配合できる。
充填剤又は補強剤としては、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス、骨粉、木粉、及び繊維フレーク等が挙げられる。
安定剤としては、老化防止剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤)、顔料、及び光安定剤等が挙げられる。
難燃剤としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、アンモニウムポリホスフェート、及び有機臭素化合物等が挙げられる。
離型剤としては、ワックス、石鹸類、及びシリコンオイル等が挙げられる。
防黴剤としてはペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、及びビス(トリ−n−ブチル錫)オキシド等が挙げられる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)等のヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の化合物、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン;亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
顔料には、無機顔料と有機顔料とがあり、無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等が用いられる。有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
また、本実施形態の組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂が有機溶媒中に溶解したポリウレタン樹脂溶液であってもよい。
ポリウレタン樹脂溶液は、上述のように化合物2と化合物3とを有機溶媒中で反応させて得たものであってもよいし、有機溶媒を含まないポリウレタン樹脂に後から有機溶媒を加えて得たものであってもよいし、化合物2と化合物3とを有機溶媒中で反応させた後、さらに有機溶媒を追加して得たものであってもよい。
ポリウレタン樹脂溶液には、本実施形態のポリウレタン樹脂及び有機溶媒に加えて、上記の充填剤、補強剤、安定剤、難燃剤、離型剤、及び防黴剤等からなる群から選ばれる添加剤を配合できる。
ポリウレタン樹脂溶液は、例えば、塗料組成物、粘着剤組成物、印刷インキ組成物、合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物や層間の接着剤組成物、人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜、タイヤ用組成物、エラストマー、弾性繊維、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、コーティング剤、フォーム、床材等として使用できる。また、ポリウレタン樹脂溶液は、溶剤系二液型塗料、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、無溶剤系塗料および水系ウレタン塗料等の成分として使用可能である。
塗料組成物の場合、顔料を含まないクリアコート用の塗料組成物でも顔料を含む色つきの塗料組成物であってもよい。
クリアコート用の塗料組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、反応性希釈剤、透明顔料、充填剤、染料、ナノ粒子、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合防止剤、接着促進剤、流動調整剤、フィルム形成補助剤、増粘剤、弛み調整剤、難燃剤、腐食防止剤、触媒、ワックス、乾燥剤、殺生物剤、艶消し剤等公知のものが挙げられる。クリアコート用の塗料組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
また、色つきの塗料組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、顔料、染料等の他、上記と同様のものが挙げられる。顔料を含む色つきの塗料組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
粘着剤組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、触媒、反応促進剤、内部離型剤、充填剤、補強剤、染料、顔料、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、安定剤等の各種添加剤、ガラス繊維やポリエステル繊維等の各種繊維、タルク、シリカ等の無機成分、及び各種カップリング剤が挙げられる。粘着剤組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
印刷インキ組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、着色剤、その他の添加剤が挙げられる。印刷インキ組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物、並びに人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、本実施形態のポリウレタン樹脂以外の樹脂、着色剤、その他の添加剤が挙げられる。合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
接着剤組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、顔料、溶剤、本実施形態のポリウレタン樹脂以外の樹脂、ブロッキング防止剤、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒、助剤、その他の添加剤が挙げられる。溶剤としては、得られるポリウレタン樹脂の特性に合った溶剤であれば特にその制限はなく、水系溶剤、有機系溶剤ともに使用できる。
接着剤組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
上記接着剤組成物は、食品包装、靴、履物、バインダー、化粧紙、木材、構造部材、自動車の部材等に適用できる。また、上記接着剤組成物は、低温用接着剤およびホットメルトの成分としても用いることができる。上記接着剤組成物は必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。
タイヤ用組成物における本実施形態のポリウレタン樹脂以外の成分としては、触媒、充填剤、難燃剤、顔料または染料などの着色剤、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、その他の添加剤が挙げられる。また、上記タイヤ用組成物には、所望に応じて、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂、シリカ、炭酸カルシウム、クレイなどの充填剤、老化防止剤、オイル、可塑剤、発色剤、耐候剤等を含有させてもよい。
タイヤ用組成物は、本実施形態のポリウレタン樹脂を1〜80質量%含有することが好ましい。
上記タイヤ用組成物は、タイヤ、及びタイヤ部品に用いられる。具体的には、空気入りタイヤおよび非空気入りタイヤもしくはその一部に使用される。タイヤ部品としては、例えば、ランフラットタイヤ支持体、エアレスタイヤ支持体、タイヤ骨格などが挙げられるが、これらに限ったものではない。
<物品>
本実施形態の物品は、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物を含む物品である。本実施形態の物品は、全体が本実施形態のポリウレタン樹脂組成物で構成されていてもよいし、一部が本実施形態のポリウレタン樹脂組成物で構成されていてもよい。一部が本実施形態のポリウレタン樹脂組成物で構成されている態様としては、表面又は内部にポリウレタン樹脂組成物の層を備える構成、又は表面又は内部にポリウレタン樹脂溶液が含浸した層を備える構成が挙げられる。
ポリウレタン樹脂溶液を用いて得られる物品としては、例えば、塗装物品、積層体、印刷物、合成皮革、人工皮革、タイヤ、及びタイヤ部品等が挙げられる。
塗装物品は、被塗装物の表面に本実施形態の組成物である塗料組成物を塗布した物品である。被塗装物に特に限定はないが、例えば、皮革、織物、塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂、金属、ガラス、紙、木材、セメント、ゴムが挙げられる。
被塗装物の表面に塗料組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法、カーテンコート法、ダイコート法が挙げられる。
本実施形態のポリウレタン樹脂組成物を含む積層体としては、本実施形態の組成物である粘着剤組成物を層間に有する物品が挙げられる。粘着剤組成物を層間に有し、積層体を構成する具体的な材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミドなどのプラスチック、紙、金属箔、ガラスが挙げられる。
積層体の各層の間に粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコーティング法、ダイコーティング法、シルクスクリーン法、グラビアコーティング法、スピンコート法、ディスペンサ法が挙げられる。上記の方法を用いて、プラスチック、紙、金属箔、ガラス等の片面に粘着剤組成物を塗布し、塗布後の粘着剤組成物上に他のプラスチック、紙、金属箔、ガラス等を大気圧下、もしくは減圧条件下で積層する。または、プラスチック、紙、金属箔、ガラス等の層間に直接ディスペンサで粘着剤組成物を充填する手法で積層体を得る。
印刷物は、被印刷基材の片面又は両面に本実施形態の組成物である印刷インキ組成物により印刷が施されたものである。
印刷物は、印刷インキ組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法等の方法により被印刷基材に塗布して、必要により加熱や減圧乾燥することにより塗膜とすることよって得られる。
被印刷基材としてはポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリスチレン、塩化ビニル、アクリル、セロファン等のプラスチックフィルム、アルミ箔等の金属フィルム、ゴム、エラストマーが挙げられる。
合成皮革及び人工皮革は、繊維基材又は不織布の表面に本実施形態の組成物である合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物を塗布又は含浸させて水槽内を通過させる湿式凝固法、加熱オーブン内を通過させる乾式凝固法等により得られる。
本実施形態のポリウレタン樹脂溶液は、基板上に均一に塗布して乾燥させ、該基板から剥離してフィルム状に成形した物品としてもよい。また、金型に注入してフィルム状に成形してもよい。
フィルム状に成形した物品は、例えば、紙おむつ用、防塵用等に用いられる伸縮性フィルム用途や、一般用コンベアベルト、各種キーボードシート、ラミネート、合わせガラス中間膜、粘着剤、緩衝材、多層アクチュエーター部材として使用できる。
本実施形態のポリウレタン樹脂は、有機溶媒を含まない場合、加熱して溶融又は軟化させた状態で金型内に挿入することにより、フィルム状その他の任意の形に成型できる。
<測定方法・評価方法>
[分子量]
後述の各例で得られたジオール及びポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。溶媒としては、テトラヒドロフランを用い、検量線は、水酸基換算分子量既知のポリプロピレングリコールを用いて作成した。
すなわち、ポリプロピレングリコール換算分子量として求めた。分子量分布は、MwとMnより算出した値であり、Mnに対するMwの比率(以下、「Mw/Mn」と記す。)である。
なお、「水酸基換算分子量」とは、アルキレンオキシド単量体に基づく繰り返し単位を含むオキシアルキレン重合体において、JIS K 1557(2007)に基づいて算出した水酸基価を、「[56,100/(水酸基価)]×2」の式に当てはめて得られる値を用いて算出される分子量である。
[粘度]
後述の各例で得られたジオールの25℃における粘度(単位:mPa・s)を、E型粘度計VISCOMETER TV−22(東機産業製品名)にて測定した。
[引張試験]
後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のフィルムをダンベル型枠(ダンベル3号)で打ち抜いて、試験片を得た。この試験片を用いて、引張速度300mm/分で引張試験(テンシロンVTM、東洋ボードウィン社製品名)を行い、100%伸張した時の応力(M100、単位:MPa)、破断強度(Tmax、単位:MPa)、破断伸び(L、単位:%)の引張特性を測定した。
M100は、1.0〜6.0の範囲であればフィルムの機械強度が良好であると言える。
Tmaxは、15〜100の範囲であればフィルムの靭性が良好であると言える。
Lは、400〜1000の範囲であればフィルムの柔軟性が良好であると言える。
[貯蔵弾性率とガラス転移温度]
後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のフィルムを、5mm×10mmの大きさとして、試験サンプルとした。得られた試験サンプルについて、下記の条件下で、0℃及び25℃における貯蔵弾性率E’(MPa)を測定した。
0℃における貯蔵弾性率E’(MPa)は、0.01〜300の範囲であれば低温特性が良好であると言える。
また、tanδが最大値を示す温度(tanδピーク温度)をガラス転移温度Tgとした。ガラス転移温度Tgは−100〜10℃の範囲であれば低温特性が良好であると言える。
測定装置:動的粘弾性測定装置(EXSTAR 6000 DMS 6100,セイコーインスツル社製品名)
モード:引張モード
温度範囲:−80〜150℃
昇温速度:3℃/min
測定周波数:1Hz
歪み:1%
[透明性]
後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のフィルムを、40mm×40mm、厚さ約250μmとして、試験サンプルとし、色彩・濁度同時測定器(COH400、日本電色工業社製品名)を用いて全体ヘイズを測定した。透明性は、全体ヘイズの値が10未満であると優良であり、10以上20未満であると良好であり、20以上であると不良である。
<ポリオキシアルキレンジオールの合成>
以下の例において、合成例1〜5は実施例、合成例6は比較例である。
(合成例1)
開始剤として、Rが1,4−BD及びNPGの2種のジオール化合物(化合物8)に基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(NL1030B、三菱ケミカル社製品名、透明液体、Mw/Mn=1.71、Mn=980、1,4−BD/NPGの組成比は70/30(モル比))を用いた。
この開始剤100質量部に対して、配位子がt−ブチルアルコールである亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA−DMC触媒」と記す。)の0.02gを触媒として使用してプロピレンオキシド(以下、「PO」という。)の100質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(a1)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(a1)の概観は、白濁液体であった。
(合成例2)
開始剤として、Rが1,5−PD及び1,6−HDの2種のジオール化合物(化合物8)に基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(T5651、旭化成社製品名、透明液体、Mw/Mn=2.11、Mn=1080、1,5−PD/1,6−HDの組成比は50/50(モル比))を用いた。
この開始剤100質量部に対して、合成例1と同様にして、POの100質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(a2)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(a2)の概観は、白濁液体であった。
(合成例3)
開始剤として、Rが1,4−BD及びiSBの2種のジオール化合物(化合物8)に基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(HS0840B、三菱ケミカル社製品名、透明液体、Mw/Mn=1.67、Mn=670、1,4−BD/iSBの組成比は60/40(モル比))を用いた。
この開始剤100質量部に対して、合成例1と同様にして、POの150質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(a3)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(a3)の概観は、白濁液体であった。
(合成例4)
開始剤として、Rが1,4−BD及びNPGの2種のジオール化合物(化合物8)に基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(NL1005B、三菱ケミカル社製品名、固体、Mw/Mn=1.79、Mn=900、1,4−BD/NPGの組成比は95/5(モル比))を用いた。
この開始剤100質量部に対して、合成例1と同様にして、POの100質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(a4)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(a4)の外観は、白濁液体と白色固体が分離した状態であった。
(合成例5)
開始剤として、1,4−BD及びNPGの2種のジオール化合物(化合物8)に基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(NL2030B、三菱ケミカル社製品名、透明液体、Mw/Mn=2.07、Mn=1,860、1,4−BD/NPGの組成比は70/30(モル比))を用いた。
この開始剤100質量部に対して、TBA−DMC触媒を0.01gにした以外は、合成例1と同様にして、POの15質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(a5)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(a5)の外観は、白濁液体であった。
(合成例6)
開始剤として、Rが1,6−HD(化合物8)のみに基づく(R−O−C(=O)−O)単位を有するポリカーボネートジオール(ニッポラン981、東ソー社製品名、固体、Mw/Mn=2.13、Mn=910)を用いた。
この開始剤100質量部に対して、合成例1と同様にして、POの100質量部を付加重合して、ポリオキシアルキレンジオール(c1)を得た。得られたポリオキシアルキレンジオール(c1)の外観は、白色固体であった。
合成例1〜6について、(R−O−C(=O)−O)単位が由来する化合物8の組成比(モル比)とポリカーボネートジオール100質量部に対するPOの付加量(質量部)、Mn、Mw/Mn、粘度、外観を表1に纏める。
Figure 2021155705
<熱可塑性ポリウレタンの合成>
以下の例において、例1〜5は実施例、例6〜9は比較例である。
(例1)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(a1)の266g、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという。)の73.7g(イソシアネート基のインデックス:219)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合し、80℃に加熱して4時間反応させてイソシアネート基末端前駆体を得た。
次いで、得られたイソシアネート基末端前駆体に、鎖延長剤として15gの1,4−BDを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A1)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A1)を、テトラヒドロフランに溶解させ、親水性ポリテトラフルオロエチレンフィルター(マイレクス−LHフィルター、メルクミリポア社製品名、ポアサイズ:0.45μm、フィルター直径:25mm)を用いて濾過し、GPCにてMnを測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A1)を、油圧成型機を使用して温度185℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例2)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(a2)の266g、MDIの73.8g(イソシアネート基のインデックス:216)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合させた他は、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A2)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A2)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A2)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例3)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(a3)の266g、MDIの73.7g(イソシアネート基のインデックス:218)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合させた他は、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が24質量%のポリウレタン樹脂(A3)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A3)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A3)を、油圧成型機を使用して温度200℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例4)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(a4)の266g、MDIの74.1g(イソシアネート基のインデックス:210)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合し、80℃に加熱して3.5時間反応させてイソシアネート基末端前駆体を得た。次いで、得られたイソシアネート基末端前駆体を用い、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A4)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A4)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A4)を、油圧成型機を使用して温度160℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例5)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(a5)の266g、MDIの72.5g(イソシアネート基のインデックス:248)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合させた他は、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A5)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A5)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A5)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例6)
反応容器内で、ポリオキシアルキレンジオール(c1)の266g、MDIの73.8g(イソシアネート基のインデックス:216)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合し、80℃に加熱して3時間反応させてイソシアネート基末端前駆体を得た。次いで、得られたイソシアネート基末端前駆体を用い、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(C1)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(C1)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(C1)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例7)
反応容器内で、1,6−HDに基づく単位を有し、アルキレンオキシドを付加していないポリカーボネートジオール(NL2030B、三菱ケミカル社製品名、白色固体、Mw/Mn=2.07、Mn=1860)を用い、このポリカーボネートジオールの266g、MDIの73.5g(イソシアネート基のインデックス:223)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合し、80℃に加熱して4.5時間反応させてイソシアネート基末端前駆体を得た。次いで、得られたイソシアネート基末端前駆体を用い、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(C2)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(C2)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(C2)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例8)
反応容器内で、ポリプロピレングリコール(EL2020、AGC株式会社製品名、透明液体、Mw/Mn=1.05、Mn=2010)を用い、このポリプロピレングリコールの266g、MDIの73.4g(イソシアネート基のインデックス:225)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合し、80℃に加熱して6.5時間反応させてイソシアネート基末端前駆体を得た。次いで、得られたイソシアネート基末端前駆体を用い、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(C3)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(C3)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(C3)を、油圧成型機を使用して温度125℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例9)
反応容器内で、例7で用いたポリカーボネートジオールと例8で用いたポリプロピレングリコールとをモル比50:50で混合した混合ジオールを用い、この混合ジオールの266g、MDIの73.5g(イソシアネート基のインデックス:224)及び酸化防止剤としてIrganox1010の3.5gを混合させた他は、例1と同様にして、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(C4)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(C4)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(C4)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
例1〜9について、ハードセグメント含有量、NCO単位含有量、Mnと、得られたフィルムを用いた引張試験、貯蔵弾性率、ガラス転移温度(Tg)及び透明性(全体ヘイズ)の評価結果を表2に示す。
Figure 2021155705
表2に示すように、例1〜5のポリウレタン樹脂では、引張試験、貯蔵弾性率、ガラス転移温度(Tg)、及び透明性(全体ヘイズ)の総ての項目で良好な結果が得られた。
これに対して、例6のポリウレタン樹脂は透明性が例1〜5と比較して低かった。また、例7のポリウレタン樹脂は、破断伸び(L)の値が低く、低温時の貯蔵弾性率が非常に大きかった。また、例8のポリウレタン樹脂は、伸張時応力(M100)と破断強度(Tmax)が低く、透明性に劣っていた。また、例9のポリウレタン樹脂は、破断伸び(L)の値が低く、低温時の貯蔵弾性率が大きく、透明性にも劣っていた。

Claims (17)

  1. ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位と、
    分子量が120〜400のジイソシアネート化合物に基づく単位と、
    必要に応じて鎖延長剤に基づく単位と、を有する、
    数平均分子量が800を超えるポリウレタン樹脂であって、
    前記ポリオキシアルキレンジオールに基づく単位は、
    ポリカーボネートジオールと、環状エーテルとを重合させてなる、数平均分子量が450〜40,000のポリオキシアルキレンジオールに基づく単位であって、
    前記ポリカーボネートジオールは、2種以上のアルコールとカーボネート化合物との縮合物、並びに1種以上のアルコール及び1種以上の環状エステルとカーボネート化合物との反応物の少なくともいずれかであり、前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量が400〜4,000である、ポリウレタン樹脂。
  2. 前記ポリオキシアルキレンジオールは、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であって、
    前記鎖延長剤は、下式3で表される化合物である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂。
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
    式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
    HO−R−OH 式3
    式3中Rは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
  3. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、請求項2に記載のポリウレタン樹脂。
    (R31−O−C(=O)−O) 式6
    (R32−O−C(=O)−O) 式7
    式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
  4. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、請求項3に記載のポリウレタン樹脂。
  5. 数平均分子量が450〜40,000であり、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であるポリオキシアルキレンジオールに基づく単位と、分子量が120〜400のジイソシアネート化合物に基づく単位と、を有するポリウレタン樹脂前駆体。
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
    式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
  6. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、請求項5に記載のポリウレタン樹脂前駆体。
    (R31−O−C(=O)−O) 式6
    (R32−O−C(=O)−O) 式7
    式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
  7. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、請求項6に記載のポリウレタン樹脂前駆体。
  8. 数平均分子量が450〜40,000であり、下式4−1で表される化合物及び下式4−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であるポリオキシアルキレンジオール。
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−(OR−OH 式4−1
    HO−(RO)−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−(OR−OH 式4−2
    式4−1及び式4−2中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。s、tは繰り返し数であり、u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
  9. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式4−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、請求項8に記載のポリオキシアルキレンジオール。
    (R31−O−C(=O)−O) 式6
    (R32−O−C(=O)−O) 式7
    式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
  10. 前記式4−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、請求項9に記載のポリオキシアルキレンジオール。
  11. 下式5−1で表される化合物及び下式5−2で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、数平均分子量が400〜4,000である化合物と、炭素数2〜4の環状エーテルとを反応させるポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
    HO−(R−O−C(=O)−O)u1−R30−OH 式5−1
    HO−(R−O−C(=O)−O)u2(R33−C(=O)−O)u3−R34−OH 式5−2
    式5−1及び式5−2中、R及びR30は、炭素数3〜20の鎖式炭化水素基又は炭素数が6〜20の環構造を有する環式炭化水素基であり、これらの基は1個以上の置換基を有していてもよく、環式炭化水素基である場合、環を構成する原子としては酸素原子を含んでいてもよく、酸素原子を含む場合、隣り合う原子は同時に酸素原子とはならない。R33は、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である。R34は、前記R又は前記R33と同じである。u1は2以上の繰り返し数であり、(R−O−C(=O)−O)u1は2種以上の(R−O−C(=O)−O)で表される単位を含む。u2及びu3は1以上の繰り返し数である。
  12. 前記式5−1中(R−O−C(=O)−O)u1は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる2種以上の単位の組み合わせからなり、前記式5−2中(R−O−C(=O)−O)u2は下式6で表される単位と下式7で表される単位とからなる群より選ばれる1種以上の単位の組み合わせからなり、R30はR31又はR32のいずれか一方からなる、請求項11に記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
    (R31−O−C(=O)−O) 式6
    (R32−O−C(=O)−O) 式7
    式6における前記R31は、前記Rのうち、炭素数が偶数の直鎖状のアルキレン基であり、式7における前記R32は、前記Rのうち、前記R31以外の基である。
  13. 前記式5−1中(R−O−C(=O)−O)u1に占める前記式6で表される単位の割合が5〜95モル%である、請求項12に記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレンジオールの製造方法によって、ポリオキシアルキレンジオールを得、得られたポリオキシアルキレンジオールと分子量が120〜400であるジイソシアネート化合物とを反応させるポリウレタン樹脂前駆体の製造方法。
  15. 請求項14に記載のポリウレタン樹脂前駆体の製造方法によってポリウレタン樹脂前駆体を得、得られたポリウレタン樹脂前駆体と下式3で表される化合物とを反応させるポリウレタン樹脂の製造方法。
    HO−R−OH 式3
    式3中Rは、炭素数2〜12の2価の炭化水素基、又は炭素数2〜12の2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。2価の炭化水素基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。
  16. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂を含む組成物。
  17. 請求項16に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む物品。
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