JP2022183046A - ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、並びに物品 - Google Patents

ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、並びに物品 Download PDF

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Abstract

【課題】強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を得ることが可能なポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール等を提供する。【解決手段】下式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールに由来する構成単位と、炭素数2又は3の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、数平均分子量が500~15000である、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。JPEG2022183046000013.jpg1771・・・(1)(上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、ポリウレタン樹脂前駆体、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、並びに物品に関し、特に、強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を得ることが可能なポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールから得られるポリウレタン樹脂前駆体、該ポリウレタン樹脂前駆体から得られるポリウレタン樹脂、該ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物、並びに該ポリウレタン樹脂を備える物品に関する。
一般に、ポリウレタン樹脂は、塗料、粘着剤、接着剤、コーティング剤、自動車部品、合成皮革、人工皮革、エラストマー、弾性繊維、床材、印刷インキバインダーなど広範囲に利用されている。
ポリウレタン樹脂のうち、エラストマーを得るための方法として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」ということもある。)とカーボネート化合物とを反応させて得られたポリエーテルポリカーボネートジオール(以下、「PEPCD」ということもある。)を、ポリエーテルポリオールやポリイソシアネートなどと反応させること等が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2020-128461号公報 特開2020-125428号公報
しかしながら、これらの特許文献1及び2に記載されたポリウレタン樹脂は、強度及び柔軟性を両立するものではなかった。
本発明は、上記問題を鑑み、強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を得ることが可能なポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールから得られるポリウレタン樹脂前駆体、該ポリウレタン樹脂前駆体から得られるポリウレタン樹脂、該ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物、並びに該ポリウレタン樹脂を備える物品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールは、特定のPEPCDに由来する構成単位と特定の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、数平均分子量(以下「Mn」ということがある)が所定範囲であると、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]下式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールに由来する構成単位と、炭素数2又は3の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、数平均分子量が500~15000である、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
Figure 2022183046000001

・・・(1)
(上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
[2]前記ポリエーテルポリカーボネートジオールの数平均分子量は250~5000である、上記[1]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
[3]前記ポリエーテルポリカーボネートジオールに由来する構成単位に対する前記環状エーテルに由来する構成単位のモル比(環状エーテル/ポリエーテルポリカーボネートジオール)が4/1~250/1である、上記[1]又は[2]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
[4]下式(2)で表される、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
Figure 2022183046000002

・・・(2)
(上記式(2)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、R’は炭素数2又は3の二価の炭化水素基を表し、lは1~250の数であり、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(2)中、複数のRは、同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のR’は、同一であってもよく、異なるものであってもよく、2個のlは、同一数であってもよく、異なる数であってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
[5]上記式(2)におけるR’は、分岐炭化水素基であるR’を含む、上記[4]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
[6]上記式(2)における全てのR’は、分岐炭化水素基である、上記[4]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、ポリウレタン樹脂前駆体。
[8]上記[7]に記載のポリウレタン樹脂前駆体と鎖延長剤とを反応させて得られる、ポリウレタン樹脂。
[9]上記[8]に記載のポリウレタン樹脂を含む、ポリウレタン樹脂組成物。
[10]上記[8]に記載のポリウレタン樹脂を備える、物品。
[11]開環重合触媒の存在下で、下式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールと、炭素数2又は3の環状エーテルとを重合させて、数平均分子量500~15000のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを得る、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
Figure 2022183046000003

・・・(1)
(上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
[12]前記開環重合触媒が、複合金属シアン化物錯体触媒である、上記[11]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
[13]前記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを、エステル交換触媒の存在下で、ポリオキシアルキレングリコールと、カーボネート化合物とを反応させて得る、上記[11]又は[12]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
[14]前記ポリオキシアルキレングリコールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、3-メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及びネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[13]に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
本発明によれば、強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を得ることが可能なポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール及びその製造方法、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールから得られるポリウレタン樹脂前駆体、該ポリウレタン樹脂前駆体から得られるポリウレタン樹脂、該ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物、並びに該ポリウレタン樹脂を備える物品を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、好ましいとされているものは任意に採用でき、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
また、本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせ得る。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書において、重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により形成された原子団を意味する。
また、本明細書において、PEPCD又はポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMn及び重量平均分子量(以下「Mw」ということがある)は、実施例に記載の方法でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、水酸基換算分子量が既知のポリプロピレングリコールを用いて検量線を作成して測定したポリプロピレングリコール換算分子量である。
また、本明細書において、ポリウレタン樹脂のMn及びMwは、実施例に記載の方法でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、分子量が既知の標準ポリスチレン試料を用いて検量線を作成して測定したポリスチレン換算分子量である。
また、本明細書において、分子量分布は、上記MwとMnより算出した値であり、Mnに対するMwの比率(以下「Mw/Mn」ということがある)である。
(ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール)
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールは、下式(1)で表されるPEPCDに由来する構成単位と、炭素数2又は3の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、Mnが500~15000である、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールである。
Figure 2022183046000004

・・・(1)
上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールが、上記特定のPEPCDに由来する構成単位と、上記特定の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、Mnが上記所定範囲であることにより、強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を得ることが可能となる。
なお、本発明により課題が解決できる理由は不明であるが、PEPCDに由来するカーボネート基が存在することで、高強度のポリウレタン樹脂を得ることが可能となり、PEPCDの両末端に環状エーテルに由来する構造を有することで、柔軟性が高いポリウレタン樹脂を得ることが可能となることによるものと推察される。
上記式(1)において、Rは、炭素数4~10の二価の炭化水素基である限り、特に制限はないが、好ましくは炭素数4~6の直鎖又は分岐アルキレン基であり、より好ましくはn-ブチレン基(炭素数4)又は2-メチルブチレン基(炭素数5)であり、特に好ましくはn-ブチレン基である。即ち、式(1)中のR-O-はPTMGに由来するものであることが、工業的入手性、得られるポリウレタン樹脂の物性がより優れるなどの観点から好ましい。
なお、上記式(1)において、複数のRは、同一であってもよく、異なるものであってもよいが、工業的入手性の観点から、同一であることが好ましい。
上記式(1)において、mは、1~20の数である限り、特に制限はないが、好ましくは2~10の数であり、より好ましくは2~7の数である。mが上記下限値以上であると、得られるポリウレタン樹脂の耐久性を向上させることができ、mが上記上限値以下であると、PEPCDの粘度が高くなるのを抑制して、ポリウレタン化の際の取り扱い性を向上させることができる。
上記式(1)において、nは、2~30の数である限り、特に制限はないが、好ましくは3~25の数であり、より好ましくは3~20の数である。nが上記下限値以上であると、得られるポリウレタン樹脂の柔軟性を向上させることができ、nが上記上限値以下であると、PEPCDの粘度及び結晶性が高くなるのを抑制して取り扱い性を向上させることができる。
なお、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよいが、式(1)で表されるPEPCDの工業的入手性の観点から、同一であることが好ましい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMnとしては、500~15000である限り、特に制限はないが、好ましくは1000以上、より好ましくは1250以上、さらに好ましくは1500以上であり、また、好ましくは12000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは9000以下、よりさらに好ましくは8000以下、特に好ましくは3000以下である。
ここで、「ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMn」は、通常、実施例に記載の方法でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、水酸基換算分子量が既知のポリプロピレングリコールを用いて検量線を作成して測定したポリプロピレングリコール換算分子量である。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMnが、上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の柔軟性がより良好となり、また、上記上限値以下であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMw/Mnとしては、特に制限はないが、好ましくは1.00~3.00、より好ましくは1.01~2.50、さらに好ましく1.02~2.20、さらに好ましくは1.03~2.00、特に好ましくは1.05~1.60である。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMw/Mnが、上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度がより良好となり、上記上限値以下であると、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールが低粘度になりやすく取り扱いやすい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの25℃における粘度としては、特に制限はないが、好ましくは100~100000mPa・s、より好ましくは300~80000mPa・s、さらに好ましくは400~60000mPa・s、特に好ましくは500~7000mPa・sである。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの25℃における粘度が、上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度がより良好となり、また、上記上限値以下であると、ジイソシアネート化合物との混合性がより良好となり、ジイソシアネート化合物と反応しやすくなる。また、取り扱い性を向上させることができる。
なお、ここでの「粘度」は、実施例と同様の方法で測定される。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールにおける、特定のPEPCDに由来する構成単位と特定の環状エーテルに由来する構成単位との合計含有量は、特に制限はないが、好ましくは80質量%以上、より好ましくは、90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい(ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールが特定のPEPCDに由来する構成単位及び特定の環状エーテルに由来する構成単位のみからなっていてもよい)。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールにおける、特定のPEPCDに由来する構成単位に対する特定の環状エーテルに由来する構成単位のモル比(環状エーテル/PEPCD)としては、特に制限はないが、好ましくは4/1以上、より好ましくは8/1以上、特に好ましくは16/1以上であり、また、好ましくは250/1以下、より好ましくは180/1以下、さらに好ましくは130/1以下、よりさらに好ましくは120/1以下、特に好ましくは70/1以下である。
上記モル比(環状エーテル/PEPCD)が、上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の柔軟性がより良好となり、また、上記上限値以下であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度がより良好となる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの水酸基価(OHV)は、特に制限はないが、好ましくは7mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、また、好ましくは225mgKOH/g以下、より好ましくは125mgKOH/g以下、さらに好ましくは80mgKOH/g以下である。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの水酸基価が上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となり、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの水酸基価が上記上限値以下であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の柔軟性がより良好となる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの水酸基価は、後述の実施例に記載される方法で測定される。
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとしては、特定のPEPCDに由来する構成単位と、特定の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、Mnが所定範囲であるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールである限り、特に制限はないが、下式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールであることが好ましい。
Figure 2022183046000005

・・・(2)
上記式(2)において、R、m、及びnは、それぞれ、上記式(1)におけるR、m、及びnと同じであり、好適なものも同じである。
上記式(2)において、R’は、炭素数2又は3の二価の炭化水素基(エチレン基、n-プロピレン基、又はイソプロピレン基)であり、好ましくは、炭素数3の分岐炭化水素基(イソプロピレン基)である。上記式(2)において、R’が、炭素数3の分岐炭化水素基(イソプロピレン基)等の分岐炭化水素基であるR’を含むことが好ましく、全てのR’が、炭素数3の分岐炭化水素基(イソプロピレン基)等の分岐炭化水素基であることがより好ましい。ここで、複数のR’は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
上記式(2)において、lは、1~250の数であり、好ましくは2~125の数であり、より好ましくは6~80の数である。ここで、2個のlは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。
lが上記下限値以上であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の柔軟性がより良好となり、lが上記上限値以下であると、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となる。
なお、上記式(2)における下記(2-A)で表される部分がPEPCDに由来する構成単位としてのブロック単位Aであり、該ブロック単位Aの両端に結合する「-(R’-O)-」で表される部分が環状エーテルに由来する構成単位としてのブロック単位Bである。即ち、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールは、ブロック単位Aと、ブロック単位Aの外側に配置されたブロック単位Bとを有するブロック共重合体である。
上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールがブロック共重合体であることにより、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの結晶性が大きくなり、該ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となる。
Figure 2022183046000006

・・・(2-A)
なお、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを詳細に分析する場合は、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールと20質量%水酸化ナトリウム溶液と共にポリテトラフルオロエチレンでコートされた耐圧容器に入れ、190℃19時間加熱する。その後、ヘキサン/水(50/50(質量比))の混合溶液にて抽出し、静置して分層させて、ヘキサン層を取り出す。このヘキサン層からヘキサンを留去して得られた成分をテトラヒドロフランに溶解して測定溶液を得て、分取GPC(LC-Force、ワイエムシィ社製品名)にて測定して、得られたピークについて、各ピークに該当する部分の測定溶液を分取する。
それぞれのピークに該当する測定溶液を分取し、乾燥してテトラヒドロフランを除いた後、H-NMRにより分析する。これにより、各ピークのいずれが、ポリエーテルポリカーボネートジオール中のポリオキシアルキレングリコールに由来する単位、環状エーテルに由来する単位であるかを特定し、また、GPCにより、それぞれの成分の含有割合について決定する。
(ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法)
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法は、複合金属シアン化物錯体触媒等の開環重合触媒の存在下で、特定のPEPCDと、特定の環状エーテルとを重合させて、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを得る方法である。
<ポリエーテルポリカーボネートジオール(PEPCD)>
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを製造する際に用いられ、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの構成単位を構成するPEPCDは、下式(1)で表される特定のPEPCDである。
Figure 2022183046000007

・・・(1)
PEPCDのMnは、特に制限はないが、好ましくは250以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは750以上であり、また、好ましくは5000以下、より好ましくは3500以下、特に好ましくは2500以下である。
PEPCDのMnが上記下限値以上であると、得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となり、PEPCDのMnが上記上限値以下であると、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの粘度が高くなるのを抑制して、ポリウレタン化の際の取り扱い性を向上させることができる。
PEPCDのMnは、後述の実施例に記載される方法で測定される。
PEPCDとしては、例えば、NT1002(三菱ケミカル社製品名、透明粘性液体、Mn:1000、ガラス転移温度-78℃、R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7)、NT2002(三菱ケミカル社製品名、透明粘性液体、Mn:2000、ガラス転移温度-71℃、R:n-ブチレン基、n:3.2、m:6.3)、NT2006(三菱ケミカル社製品名、透明粘性液体、Mn:2000、ガラス転移温度-84℃、R:n-ブチレン基、n:8.8、m:2.0)を用いることもできる。
なお、n及びmは、理論的な構造から計算して求めた値である。
<<ポリエーテルポリカーボネートジオール(PEPCD)の調製>>
式(1)で表されるPEPCDは、ポリオキシアルキレングリコールとカーボネート化合物とを、エステル交換触媒の存在下に常法に従って重合反応させることにより調製することができる。
PEPCDの調製に使用するポリオキシアルキレングリコールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PTMG、3-メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオール、プロピレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルグリコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、得られるポリウレタン樹脂の機械強度をより高くできる観点から、PTMG、3-メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオールが好ましく、PTMGがより好ましい。
PEPCDの調製に使用するポリオキシアルキレングリコールの水酸基価から求めたMnとしては、特に制限はないが、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、特に好ましくは200以上であり、また、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、特に好ましくは1000以下である。
ポリオキシアルキレングリコールのMnが上記下限値以上であると、得られるポリウレタン樹脂の機械強度がより良好となり、上記上限値以下であると、得られるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの粘度及び結晶性が高くなるのを抑制して取り扱い性を向上させる。ポリオキシアルキレングリコールのMnは、PEPCD又はポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMnの測定方法と同様に測定することができる。
PEPCDの調製に使用可能なカーボネート化合物としては、特に制限はなく、例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、反応性がより良好となる観点から、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネートが好ましい。
カーボネート化合物の具体例としては、特に制限はなく、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネートが好ましく、エチレンカーボネートがさらに好ましい。
PEPCDを調製する際には、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒を用いることができる。
エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
エステル交換触媒としては、特に制限はなく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の長周期型周期表(以下、単に「周期表」と記載する。)第1族金属(水素を除く)の化合物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表第2族金属の化合物;チタン、ジルコニウム等の周期表第4族金属の化合物;ハフニウム等の周期表第5族金属の化合物;コバルト等の周期表第9族金属の化合物;亜鉛等の周期表第12族金属の化合物;アルミニウム等の周期表第13族金属の化合物;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表第14族金属の化合物;アンチモン、ビスマス等の周期表第15族金属の化合物;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタノイド系金属の化合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、エステル交換反応速度をより高めるという観点から、周期表第1族金属(水素を除く)の化合物、周期表第2族金属の化合物が好ましく、周期表第2族金属の化合物がより好ましい。
これらの金属化合物は主に、水酸化物や塩等として使用される。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;炭酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩等のリン含有の塩;アセチルアセトナート塩;などが挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドのようなアルコキシドとして用いることもできる。
PEPCDの調製に関する詳細については、例えば、特開2020-125428号の段落0038~0070に記載されている通りである。
<環状エーテル>
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを製造する際に用いられ、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの構成単位を構成する環状エーテルは、炭素数2又は3の環状エーテルである。
炭素数2又は3の環状エーテルとしては、例えば、エチレンオキシド(以下「EO」ということがある)、プロピレンオキシド(以下「PO」ということがある)、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、EOとPOが好ましく、ポリエーテルポリカーボネートジオールとの反応し易さの観点から、POを含むことが好ましく、POであることがより好ましい。
環状エーテルとPEPCDとの反応は、PEPCDを開始剤として、PEPCDの水酸基(活性水素含有基)に、開環重合触媒の存在下で、環状エーテルを開環付加重合させる反応である。これによりオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレン鎖を有し、末端が水酸基であるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールが得られる。
2種類以上の環状エーテルをPEPCDと反応させる場合の開環付加重合は、ランダム重合であってもよく、ブロック重合であってもよく、また、ランダム重合及びブロック重合の組み合わせであってもよい。
環状エーテルの開環重合反応の重合温度としては、特に制限はないが、好ましくは30~180℃、より好ましくは70~160℃、特に好ましくは90~140℃である。
重合温度が、上記下限値以上であると、環状エーテルの開環重合を確実に開始させることができ、また、上記上限値以下であると、開環重合触媒の重合活性低下を抑制できる。
環状エーテルの開環重合反応の重合時間としては、特に制限はないが、好ましくは2~18時間、より好ましくは3~14時間、特に好ましくは4~10時間である。
重合時間が、上記下限値以上であると、反応遂行性に優れ、また、上記上限値以下であると、経済性に優れる。
環状エーテルの仕込量としては、特に制限はないが、PEPCD100質量部に対して、好ましくは25~1500質量部、より好ましくは50~1200質量部、特に好ましくは100~700質量部である。
環状エーテルの仕込量が、上記好ましい範囲内であると、該環状エーテルを用いて得られるポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度をより向上させることができる。
環状エーテルとして、EO及びPOを使用する場合には、EOとPOの合計の質量に対するEOの質量の割合は、ポリウレタン樹脂の引張特性をより向上させる観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。上記上限値以下であると低温における貯蔵弾性率がより良好となりやすい。
環状エーテルの開環重合反応は、良好な攪拌条件下で行うことが好ましい。
一般的な攪拌翼を用いる攪拌法を用いる場合は、反応液に気相部のガスが多量に取り込まれて攪拌効率が低下しない範囲で攪拌翼の回転速度をできるだけ速くすることが好ましい。また、得られる重合体のMw/Mnを狭くできる観点からは、反応容器内への環状エーテルの供給速度はできるだけ遅くすることが好ましいが、生産効率が低下するため、これらを比較衡量して環状エーテルの供給速度を定めることが好ましい。
環状エーテルの開環重合反応には、反応溶媒を用いてもよい。
反応溶媒としては、特に制限はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、沸点が低く、反応後終了後に除去しやすいという観点から、ヘキサン、テトラヒドロフランが好ましい。
なお、反応溶媒の使用量としては、特に制限はなく、所望量を用いることができる。
<開環重合触媒>
開環付加重合触媒としては、特に制限はなく、例えば、複合金属シアン化物錯体触媒(以下「DMC触媒」ということがある);水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ触媒;有機アルミニウム化合物と遷移金属化合物とよりなるチーグラナッタ触媒;ポルフィリンを反応させて得られる錯体としての金属ポルフィリン触媒;ホスファゼン触媒;イミノ基含有ホスファゼニウム塩;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;金属サレン錯体よりなる触媒;reduced Robson’s type Macrocyclic ligandよりなる触媒;などが好適に挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
開環付加重合触媒としてDMC触媒を用いると、Mw/Mnが狭く、粘度がより低いポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールが得られる。
DMC触媒としては、特に制限はなく、例えば、配位子がt-ブチルアルコールである亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下「TBA-DMC触媒」ということがある)、配位子がエチレングリコールジメチルエーテル(「グライム」ともいうことがある)である亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体、配位子がジエチレングリコールジメチルエーテル(「ジグライム」ともいうことがある)である亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、重合時の活性がより高く、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールのMw/Mnをより狭くできるため、より低粘度にすることができる観点から、TBA-DMC触媒が好ましい。
開環付加重合触媒の添加量としては、環状エーテルの開環重合に必要な量である限り、特に制限はないが、少量が好ましく、開始剤であるPEPCD100質量部に対して、好ましくは0.003~0.10質量部、より好ましくは、0.005~0.08質量部、さらに好ましくは0.005~0.06質量部である。開環付加重合触媒の添加量としては、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール100質量部に対して、好ましくは0.003~0.03質量部、より好ましくは0.004~0.025質量部、特に好ましくは0.005~0.02質量部である。
環状エーテルの開環重合反応に用いる開環付加重合触媒の添加量が少ないほど、生成物であるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールに含まれる開環付加重合触媒の量を少なくできる。これにより、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物との反応性に対する開環付加重合触媒の影響を少なくできると共に、コストを低減することができる。
開環付加重合触媒を用いた開環付加重合は、例えば、国際公開第2003/062301号、国際公開第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-15786号公報、国際公開第2013/065802号、特開2015-010162号公報に記載の製造条件を採用できる。
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールは、ポリヒドロキシウレタン樹脂の原料としても用いることができる。例えば、特許第3114304号の段落0026~0034の記載や特公平7-116171号公報の実施例1に記載されるのと同様にして、本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの末端にエポキシ基を付与させる。次に、特許第5277233号の段落0034~0043に記載されるのと同様にして、本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの末端のエポキシ基と二酸化炭素とを反応させて、環状カーボネート化合物を得る。さらに、特許第5277233号の段落0044~0050に記載されるのと同様にして、前記環状カーボネート化合物の環状カーボネート基とアミン化合物とを反応させることにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂を得ることができる。
(ポリウレタン樹脂前駆体)
本発明のポリウレタン樹脂前駆体は、本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる。
ポリウレタン樹脂前駆体としては、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物との反応比率により、末端基の異なるポリウレタン樹脂前駆体を得ることができる。ポリウレタン樹脂前駆体としては、末端基がイソシアネート基であるポリウレタン樹脂前駆重合体と、末端基が水酸基であるポリウレタン樹脂前駆重合体が挙げられる。鎖延長剤と反応させたポリウレタン樹脂を得やすい観点から、末端基がイソシアネート基のポリウレタン樹脂前駆体が好ましい。
末端基が水酸基のポリウレタン樹脂前駆体は、後述のポリイソシアネート化合物との反応により硬化物を得ることができる。
末端基がイソシアネート基のポリウレタン樹脂前駆体は、空気中の湿気との反応により硬化させて硬化物を得ることもできるし、後述の鎖延長剤とを反応させて、硬化物(後述のポリウレタン樹脂)を得ることもできる。
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する化合物である限り、特に制限はなく、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」ということがある)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のアラルキルポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート化合物;ポリイソシアネート化合物から得られるウレタン変性体;ポリイソシアネート化合物から得られるビュレット変性体;ポリイソシアネート化合物から得られるアロファネート変性体;ポリイソシアネート化合物から得られるカルボジイミド変性体;ポリイソシアネート化合物から得られるイソシアヌレート変性体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル基又はスルホン酸基等の親水性基によって変性して自己乳化型にしたポリイソシアネート化合物(「自己乳化型ポリイソシアネート化合物」);界面活性剤などによって乳化して水分散可能にした化合物(「強制乳化型ポリイソシアネート化合物」);水分散型ポリイソシアネート;ブロックドイソシアネートの脱ブロック体;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとの反応性の観点から、芳香族ポリイソシアネート化合物が好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましく、また、経時的な黄変を抑制しやすい観点から、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの水酸基に対する、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の割合((ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基数)/(ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールに含まれる水酸基数)×100)であるイソシアネート基のインデックスとしては、特に制限はないが、100よりも小さい場合には、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物の反応により得られるポリウレタン樹脂前駆体の末端基は水酸基となりやすく、100を超える場合には、上記ポリウレタン樹脂前駆体の末端基はイソシアネート基となりやすい。末端基がイソシアネート基のポリウレタン樹脂前駆体が好ましく、これを得るためのインデックスとしては、好ましくは150~300、より好ましくは180~280である。
なお、末端基がイソシアネート基のポリウレタン樹脂前駆体を得る場合には、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールと反応させるポリイソシアネート化合物の仕込量は過剰量とすることが好ましい。ポリイソシアネート化合物の仕込量を過剰量とすれば、両末端がイソシアネート基であるポリウレタン樹脂前駆体が得られる。
ポリイソシアネート化合物の分子量としては、特に制限はないが、好ましくは120~400、より好ましくは130~390、特に好ましくは140~380である。
ポリイソシアネート化合物の分子量が、上記下限値以上であると、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとの反応性がより良好となって、該ポリイソシアネート化合物を用いて得られたポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度がより良好となり、また、上記上限値以下であると、該ポリイソシアネート化合物を用いて得られたポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度がより良好となる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際に反応触媒を用いてもよい。ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際に反応触媒を用いる場合、該反応触媒としては、特に制限はなく、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、2-エチルヘキサン酸錫等の有機錫化合物;鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系触媒;などの公知のウレタン化反応触媒が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、反応性がより良好である観点から、有機錫化合物が好ましい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物とを反応させる際に反応触媒を用いる場合、該反応触媒の添加量としては、特に制限はないが、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール100質量部対して、好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.005~0.1質量部、特に好ましくは0.01~0.05質量部である。
反応触媒の添加量が、上記下限値以上であると、より反応性に優れ、上記上限値以下であると、より貯蔵安定性に優れる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際の温度としては、特に制限はないが、好ましくは15~120℃、より好ましくは30~100℃、特に好ましくは50~90℃である。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際の温度が、上記下限値以上であると、反応を確実に開始させやすく、また、上記上限値以下であると、反応を制御しやすい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際の反応時間としては、特に制限はないが、好ましくは0.1~100時間、より好ましくは1~10時間、特に好ましくは2~6時間である。
反応時間が、上記下限値以上であると、より反応遂行性に優れ、また、上記上限値以下であると、より経済性に優れる。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際には、溶媒を用いてもよい。
溶媒としては、特に制限はなく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルアルコール等の二級アルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;などの反応に不活性な溶媒が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物との反応の具体的方法としては、例えば、国際公報第2006/043569号公報に記載の方法、などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂前駆体は、フォーム、エラストマー、塗料、弾性繊維、接着剤、粘着剤、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、合成皮革、人工皮革、コーティング剤、床材等に広く用いることができる。
例えば、前記エラストマーは、特開2017-133024号公報の段落0114~0117に記載の用途に用いることができ、前記塗料は、特開2017-133024号公報の段落0118及び0119に記載の用途に用いることができ、前記弾性繊維は、特開2017-133024号公報の段落0125~0127に記載の用途に用いることができる。また、前記接着剤は、特開2017-133024号公報の段落0120~0123に記載の用途に用いることができ、前記バインダーは、特開2017-133024号公報の段落0124に記載の用途に用いることができ、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特開2017-133024号公報の段落0130~0135に記載の用途に用いることができる。前記医療用材料は、特開2017-133024号公報の段落0129に記載の用途に用いることができ、前記シーラントは、特開2017-133024号公報の段落0128に記載の用途に用いることができる。
前記塗料におけるポリウレタン樹脂前駆体以外の成分としては、後述のクリアコート用の塗料組成物及び色つきの塗料組成物と同様の成分を用いることができ、前記粘着剤におけるポリウレタン樹脂前駆体以外の成分としては、後述の粘着剤組成物と同様の成分を用いることができる。
(ポリウレタン樹脂)
本発明のポリウレタン樹脂は、本発明のポリウレタン樹脂前駆体と鎖延長剤とを反応させて得られる。即ち、本発明のポリウレタン樹脂は、本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールに基づく単位と、ポリイソシアネート化合物に基づく単位と、鎖延長剤に基づく単位と、を有する。
ポリウレタン樹脂における各単位の割合は、例えば、以下のようにして求めることができる。
ポリウレタン樹脂を、ピリジン、蒸留水と共にポリテトラフルオロエチレンでコートされた耐圧容器に入れ、130℃15時間加熱する。その後、ピリジンを留去し、テトラヒドロフランに溶解させた溶液を得る。
この溶液を測定溶液として、前述した分取GPCで測定して、得られたピークについて、各ピークに該当する部分の測定溶液を分取する。
分取したピークに該当する測定溶液の各々について、テトラヒドロフランを80℃で1時間減圧乾燥させて除き、残った液体のそれぞれについて、H-NMRで分析する。これにより、各ピークのいずれが、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールに基づく単位、ポリイソシアネート化合物に基づく単位、鎖延長剤に基づく単位であるかを特定し、また、GPCにより、それぞれの成分の含有割合について決定する。
ポリウレタン樹脂のMnとしては、特に制限はないが、好ましくは10000超、より好ましくは20000~120000、さらに好ましくは30000~110000、特に好ましくは40000~100000である。
ポリウレタン樹脂のMnが、上記下限値以上であると、伸び物性がより良好となり、また、上記上限値以下であると、引張物性がより良好となる。
ポリウレタン樹脂のMnとしては、後述の実施例に記載される方法で測定される。
ポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はないが、好ましくは-60~0℃、より好ましくは-55~-10℃、特に好ましくは-50~-25℃である。
ポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが、上記好ましい範囲内であると、低温特性により優れる。
ポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgとしては、後述の実施例に記載される方法で測定される。
ポリウレタン樹脂の流動開始温度としては、特に制限はないが、好ましくは100~210℃、より好ましくは110~200℃、さらに好ましくは120~190℃、特に好ましくは125~180℃である。
ポリウレタン樹脂の流動開始温度が、上記下限値以上であると。耐熱性により優れ、上記上限値以下であると、射出成型性により優れる。
本発明のポリウレタン樹脂を得る方法としては、特に制限はなく、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート化合物、後述の鎖延長剤及び、必要に応じて後述のその他の成分などを一括に仕込んで反応させる方法、ポリイソシアネート化合物以外の成分と、ポリイソシアネート化合物を含む成分とを、別々に用意し、混合して反応させる方法が挙げられる。
<鎖延長剤>
鎖延長剤は、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であって、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有することが好ましい。
鎖延長剤の具体例としては、特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ヘプタンジオール、1,4-ジメチロールヘキサン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ダイマージオール、ネオペンチルグリコール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類;キシリレングリコール、1,4-ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’-メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類;N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o-クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’-ジアミノピペラジン等のポリアミン類;などを挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
これらの中でも、得られるポリウレタン樹脂の柔軟性と弾性回復性により優れる点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオールがより好ましい。
鎖延長剤の分子量としては、特に制限はないが、60~1000が好ましく、60以上300未満がより好ましい。
鎖延長剤の分子量が、上記好ましい範囲内であると、得られるポリウレタン樹脂の引張特性及び機械強度をより向上させることができる。
(ポリウレタン樹脂組成物)
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を含み、必要に応じて、その他の成分を含む。
<その他の成分>
その他の成分としては、例えば、本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール以外のポリオール(「他のポリオール」ともいう)、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリカーボネートモノオール、安定剤、充填剤(補強剤)、顔料(無機顔料、有機顔料)、難燃剤、離型剤、防黴剤、などが挙げられる。
<他のポリオール>
他のポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリオキシアルキレンテトラオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても良く、2種以上用いてもよい。
<安定剤>
安定剤としては、特に制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;光安定剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
老化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)等のヒンダードフェノール系化合物;ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の化合物;ブチルヒドロキシアニソール(BHA);ジフェニルアミン;フェニレンジアミン;亜リン酸トリフェニル;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<充填剤(補強剤)>
充填剤(補強剤)としては、特に制限はなく、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス、骨粉、木粉、繊維フレーク、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<顔料>
無機顔料としては、特に制限はなく、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
有機顔料としては、特に制限はなく、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<難燃剤>
難燃剤としては、特に制限はなく、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、アンモニウムポリホスフェート、有機臭素化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<離型剤>
離型剤としては、特に制限はなく、例えば、ワックス、石鹸類、シリコンオイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<防黴剤>
防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、ビス(トリ-n-ブチル錫)オキシド、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を含むため、塗料組成物、粘着剤組成物、印刷インキ組成物、接着剤組成物、人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜、タイヤ用組成物、エラストマー、弾性繊維、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、コーティング剤、フォーム、床材等に好適に使用できる。特に、本発明のポリウレタン樹脂組成物をタイヤ用組成物に適用した場合、氷結路面等での操縦安定性に優れたタイヤを得ることができる。
また、前記エラストマーは、特開2017-133024号公報の段落0114~0117に記載の用途に用いることができ、前記弾性繊維は、特開2017-133024号公報の段落0125~0127に記載の用途に用いることができる。前記バインダーは、特開2017-133024号公報の段落0124に記載の用途に用いることができ、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特開2017-133024号公報の段落0130~0135に記載の用途に用いることができる。前記医療用材料は、特開2017-133024号公報の段落0129に記載の用途に用いることができ、前記シーラントは、特開2017-133024号公報の段落0128に記載の用途に用いることができる。
また、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水又は有機溶媒のいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。
本発明のポリウレタン樹脂組成物が溶媒として水を含む場合、ポリウレタン樹脂が水に溶解した水溶液であってもよく、ポリウレタン樹脂が水に分散した水分散液であってもよい。上記水分散液は、ポリウレタン樹脂が界面活性剤によって水中に分散した分散液であってもよく、ポリウレタン樹脂が水中に分散した自己乳化型の分散液であってもよい。
ポリウレタン樹脂が界面活性剤によって水中に分散した分散液は、例えば、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるポリウレタン樹脂前駆体を、界面活性剤と水との存在下で、高速撹拌、超音波又は高圧乳化などの方法によって、強制的に乳化させた後、さらに鎖延長剤を反応させて得られた分散液であってもよい。上記界面活性剤としては、特に限定されないが、非イオン界面活性剤を用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルカポリエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレントリスチリルフェニルエーテル、プルロニック型非イオン界面活性剤がより好ましい。
ポリウレタン樹脂自体が水中に分散した自己乳化型の分散液は、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールと、ポリイソシアネート化合物と、水中でイオン性を示す化合物を反応させて得られるポリウレタン樹脂前駆体を、水中に分散させた後、さらに鎖延長剤を反応させて得られた分散液であってもよい。
水中でイオン性を示す化合物としては、例えば、スルホ基を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、リン酸塩構造を有する化合物、第4級アンモニウム塩構造を有する化合物が挙げられる。水中でイオン性を示す化合物としては、具体的には、例えば、2-オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、3,4-ジアミノブタンスルホン酸、3,6-ジアミノ-2-トルエンスルホン酸、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸、エチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2-又は1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、2-(3-アミノプロピルアミノ)-エタンスルホン酸、2,4-ジアミノベンゼンスルホン酸などのスルホ基を有する化合物;2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシカルボン酸;スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5-スルホイソフタル酸などのスルホ基とカルボニル基を有する化合物;スルファニル酸、1,3-フェニレンジアミン-4,6-ジスルホン酸などのスルホ基とアミノ基を有する化合物が挙げられる。
ポリウレタン樹脂が乳化剤によって水中に分散した分散液及びポリウレタン樹脂自体が水中に分散した自己乳化型の分散液を得る方法としては、例えば、特開2001-354742号、特開2019-112564号に記載の方法を用いることができる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物が溶媒として水を含む場合には、該組成物は、塗料、インクバインダー、コーティング剤、粘着剤、接着剤、人工皮革、合成皮革などに用いることができる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、本発明のポリウレタン樹脂が有機溶媒中に溶解したポリウレタン樹脂溶液を含んでいてもよく、前記ポリウレタン樹脂溶液そのものであってもよい。
ポリウレタン樹脂溶液は、上述のように本発明のポリウレタン樹脂前駆体と鎖延長剤とを有機溶媒中で反応させて得たものであってもよいし、有機溶媒を含まないポリウレタン樹脂に後から有機溶媒を加えて得たものであってもよいし、本発明のポリウレタン樹脂前駆体と鎖延長剤とを有機溶媒中で反応させた後、さらに有機溶媒を追加して得たものであってもよい。有機溶媒としては、特に制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、トルエン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
ポリウレタン樹脂溶液は、溶剤系二液型塗料、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、の成分として使用可能である。
塗料組成物の場合、顔料を含まないクリアコート用の塗料組成物であってもよく、顔料を含む色つきの塗料組成物であってもよい。
クリアコート用の塗料組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、反応性希釈剤、透明顔料、充填剤、染料、ナノ粒子、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合防止剤、接着促進剤、流動調整剤、フィルム形成補助剤、増粘剤、弛み調整剤、難燃剤、腐食防止剤、触媒、ワックス、乾燥剤、殺生物剤、艶消し剤等の公知のものが挙げられる。クリアコート用の塗料組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
また、色つきの塗料組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、顔料、染料等の他、上記と同様のものが挙げられる。顔料を含む色つきの塗料組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
粘着剤組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、触媒、反応促進剤、内部離型剤、充填剤、補強剤、染料、顔料、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、安定剤等の各種添加剤、ガラス繊維やポリエステル繊維等の各種繊維、タルク、シリカ等の無機成分、及び各種カップリング剤が挙げられる。粘着剤組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
印刷インキ組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、着色剤、その他の添加剤が挙げられる。印刷インキ組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物、並びに人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、有機溶媒、本発明のポリウレタン樹脂以外の樹脂、着色剤、その他の添加剤が挙げられる。合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
接着剤組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、顔料、溶剤、本発明のポリウレタン樹脂以外の樹脂、ブロッキング防止剤、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒、助剤、その他の添加剤が挙げられる。溶剤としては、得られるポリウレタン樹脂の特性に合った溶剤であれば特にその制限はなく、水系溶剤、有機系溶剤ともに使用できる。
接着剤組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
上記接着剤組成物は、合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物や層間の接着、食品包装、靴、履物、バインダー、化粧紙、木材、構造部材、自動車の部材等に適用できる。また、上記接着剤組成物は、低温用接着剤及びホットメルトの成分としても用いることができる。上記接着剤組成物は必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。
タイヤ用組成物における本発明のポリウレタン樹脂以外の成分としては、触媒、充填剤、難燃剤、顔料又は染料などの着色剤、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、その他の添加剤が挙げられる。また、上記タイヤ用組成物には、所望に応じて、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ等の充填剤、老化防止剤、オイル、可塑剤、発色剤、耐候剤、などを含有させてもよい。
タイヤ用組成物は、本発明のポリウレタン樹脂を1~80質量%含有することが好ましい。
上記タイヤ用組成物は、タイヤ、及びタイヤ部品に用いられる。具体的には、空気入りタイヤ及び非空気入りタイヤ若しくはその一部に使用される。タイヤ部品としては、例えば、ランフラットタイヤ支持体、エアレスタイヤ支持体、タイヤ骨格、などが挙げられるが、これらに限ったものではない。
(物品)
本発明の物品は、本発明のポリウレタン樹脂を備える物品である。
本発明の物品は、全体が本発明のポリウレタン樹脂組成物で構成されていてもよいし、一部が本発明のポリウレタン樹脂組成物で構成されていてもよい。
物品の一部が本発明のポリウレタン樹脂組成物で構成されている態様としては、特に制限はないが、例えば、表面又は内部にポリウレタン樹脂組成物の層を備える構成、又は表面又は内部にポリウレタン樹脂組成物が含浸した層を備える構成が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物を用いて得られる物品としては、例えば、塗装物品、積層体、印刷物、合成皮革、人工皮革、タイヤ、及びタイヤ部品等が挙げられる。
塗装物品は、被塗装物の表面に本発明のポリウレタン樹脂組成物である塗料組成物を塗布した物品である。被塗装物に特に限定はないが、例えば、皮革、織物、塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂、金属、ガラス、紙、木材、セメント、ゴムが挙げられる。
被塗装物の表面に塗料組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法、カーテンコート法、ダイコート法が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物を含む積層体としては、本発明のポリウレタン樹脂組成物である粘着剤組成物を層間に有する物品が挙げられる。粘着剤組成物を層間に有し、積層体を構成する具体的な材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミドなどのプラスチック、紙、金属箔、ガラスが挙げられる。
積層体の各層の間に粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコーティング法、ダイコーティング法、シルクスクリーン法、グラビアコーティング法、スピンコート法、ディスペンサ法が挙げられる。上記の方法を用いて、プラスチック、紙、金属箔、ガラス等の片面に粘着剤組成物を塗布し、塗布後の粘着剤組成物上に他のプラスチック、紙、金属箔、ガラス等を大気圧下、若しくは減圧条件下で積層する。または、プラスチック、紙、金属箔、ガラス等の層間に直接ディスペンサで粘着剤組成物を充填する手法で積層体を得る。
印刷物は、被印刷基材の片面又は両面に本発明のポリウレタン樹脂組成物である印刷インキ組成物により印刷が施されたものである。
印刷物は、印刷インキ組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法等の方法により被印刷基材に塗布して、必要により加熱や減圧乾燥することにより塗膜とすることよって得られる。
被印刷基材としてはポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリスチレン、塩化ビニル、アクリル、セロファン等のプラスチックフィルム、アルミ箔等の金属フィルム、ゴム、エラストマーが挙げられる。
合成皮革及び人工皮革は、繊維基材又は不織布の表面に本発明のポリウレタン樹脂組成物である合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物を塗布又は含浸させて水槽内を通過させる湿式凝固法、加熱オーブン内を通過させる乾式凝固法等により得られる。
ポリウレタン樹脂組成物は、基板上に均一に塗布して乾燥させ、該基板から剥離してフィルム状に成形した物品としてもよい。また、金型に注入してフィルム状に成形してもよい。
フィルム状に成形した物品は、例えば、紙おむつ用、防塵用等に用いられる伸縮性フィルム用途や、一般用コンベアベルト、各種キーボードシート、ラミネート、合わせガラス中間膜、粘着剤、緩衝材、多層アクチュエーター部材として使用できる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、有機溶媒を含まない場合、加熱して溶融又は軟化させた状態で金型内に挿入することにより、フィルム状その他の任意の形に成型できる。
フィルム状に成形した物品の用途としては、特に制限はなく、例えば、紙おむつ、防塵等に用いられる伸縮性フィルム;一般用コンベアベルト;各種キーボードシート;ラミネート;合わせガラス中間膜;粘着剤;緩衝材;多層アクチュエーター部材;などが挙げられる。
本発明の物品がフィルムである場合の物性について、以下説明する。
フィルムの破断強度Tmaxとしては、特に制限はないが、好ましくは20~100MPa、より好ましくは24~70MPa、さらに好ましくは28~50MPaである。
フィルムの破断伸びEとしては、特に制限はないが、好ましくは900~1500%、より好ましくは900~1300%、特に好ましくは900~1100%である。
フィルムのガラス転移温度Tgとしては、特に制限はないが、好ましくは-100~10℃、より好ましくは-70~0℃、さらに好ましくは-50~-10℃である。
フィルムの貯蔵弾性率E’(-20℃)としては、特に制限はないが、好ましくは0.1~1000MPa、より好ましくは0.5~100MPa、特に好ましくは1.0~25MPaである。
なお、ここでの「破断強度Tmax」、「破断伸びE」、「ガラス転移温度Tg」、「貯蔵弾性率E’」は、実施例と同様の方法で測定される。
以下、例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は下記例により限定されるものではない。
(評価試験)
<水酸基価(OHV)>
後述の合成例1~7で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO」)、後述の例3で用いられたPEPCD、後述の例4で用いられたポリプロピレングリコール(PPG)、又は、後述の例5で用いられたPTMGの水酸基価(OHV)は、JIS K 1557(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて算出した。測定した結果を表1に示す。
<分子量>
後述の合成例1~7で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO」)、後述の例3で用いられたPEPCD、後述の例4で用いられたポリプロピレングリコール(PPG)、又は、後述の例5で用いられたPTMGのMn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。測定結果を表1に示す。
なお、溶媒としては、テトラヒドロフランを用い、検量線は、水酸基価換算分子量が既知のポリプロピレングリコールを用いて作成した。すなわち、ポリプロピレングリコール換算分子量として求めた。
また、「水酸基価換算分子量」とは、アルキレンオキシド単量体に基づく繰り返し単位を含むオキシアルキレン重合体において、JIS K 1557(2007)に基づいて算出した水酸基価を、「[56,100/(水酸基価)]×2(オキシアルキレン重合体における水酸基数)」の式に当てはめて得られる値を用いて算出される分子量である。
さらに、後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のMnは、GPCで測定した。測定結果を表2に示す。
なお、溶媒としては、テトラヒドロフランを用い、検量線は、分子量が既知のポリスチレンを用いて作成した。すなわち、ポリスチレン換算分子量として求めた。
<粘度>
後述の合成例1~7で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO))、後述の例3で用いられたPEPCD、後述の例4で用いられたポリプロピレングリコール(PPG)、又は、後述の例6で用いられたPEPCDとポリプロピレングリコール(PPG)との混合物の25℃における粘度(単位:mPa・s)を、E型粘度計(製品名:VISCOMETER TV-22、東機産業製)にて測定した。測定結果を表1に示す。
<ハードセグメント含有量>
表2に示すハードセグメント含有量は、各例において、下式(3)を使用して計算して得られる値(質量%)である。
(ポリイソシアネート化合物の質量+鎖延長剤の質量)/(ポリイソシアネート化合物の質量+鎖延長剤の質量+Q)×100・・・(3)
ただし、Qは、後述の例1又は2で用いられたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO))の質量、後述の例3で用いられたPEPCDの質量、後述の例4で用いられたポリプロピレングリコール(PPG)の質量、後述の例5で用いられたPTMGの質量又は後述の例6で用いられたPEPCDとポリプロピレングリコール(PPG)との混合物の質量を表す。
<NCO単位含有量>
表2に示すNCO単位含有量は、各例において、下式(4)を使用して計算して得られる値(質量%)である。
(ポリイソシアネート化合物の質量)/(ポリイソシアネート化合物の質量+鎖延長剤の質量+Q)×100・・・(4)
ただし、Qは、上記式(3)と同様である。
<引張試験>
後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のフィルムをダンベル型枠(ダンベル3号)で打ち抜いて、試験片を得た。この試験片を用いて、引張速度300mm/分で引張試験(製品名:テンシロンVTM、東洋ボードウィン社製)を行い、JIS K6251:2017の試験法に準拠して、破断強度(Tmax、単位:MPa)、破断伸び(E、単位:%)の引張特性を測定した。測定結果を表2に示す。
破断強度(Tmax)は、20MPa以上の範囲であればフィルムの靭性が発現しており、24MPa以上の範囲であればフィルムの靭性が良好であり、フィルムの強度が良好である。
破断伸び(E)は、900%以上の範囲であればフィルムの柔軟性が良好である。
<耐熱性>
上記ダンベル型試験片を100℃のオーブンに1週間保存した後、引張試験を行い、破断強度を測定した。耐熱性試験前の破断強度と比較し、その保持率を算出した。結果を表2に示す。なお、保持率が80%以上であれば、良好である。
<耐加水分解性>
上記ダンベル型試験片を80℃の温水に1週間浸漬させた後、引張試験を行い、破断強度を測定した。耐加水分解性試験前の破断強度と比較し、その保持率を算出した。結果を表2に示す。なお、保持率が80%以上であれば、良好である。
<貯蔵弾性率とガラス転移温度>
後述の各例で得られたポリウレタン樹脂のフィルムを、5mm×10mmの大きさとして、試験サンプルとした。得られた試験サンプルについて、下記の条件下で、-20℃における貯蔵弾性率E’(MPa)、並びに、ガラス転移温度Tg(℃)を測定した。測定結果を表2に示す。
測定装置:動的粘弾性測定装置(製品名:DMA242E Artemis、NETZSCH社製)
モード:引張モード
温度範囲:-100~120℃
昇温速度:3℃/分
測定周波数:1Hz
<ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO))の合成>
以下の合成例1、2は実施例である例1、2で用いられる。
(合成例1)
上記式(1)で表されるPEPCD(製品名:NT1002、三菱ケミカル社製、透明粘性液体、Mn:1000、ガラス転移温度-78℃、R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7)を開始剤として用いた。
この開始剤100質量部に対して、配位子がt-ブチルアルコールである亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(TBA-DMC触媒)0.02質量部を開環重合触媒として使用して環状エーテルとしてのPO 100質量部を130℃で4時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a1)(R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7、R’:イソプロピレン基、l:8.6)の200質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a1)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(100質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a1)におけるPO部位のMnは1000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a1)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、17/1であった。
なお、n、m、及びlは理論計算値である。また、lは両末端に均一にPO付加したと仮定(両末端のlが等しいと仮定)して算出した。以下の例でも同様に仮定して算出した。ただし、合成例2は、両末端に均一にPOとEOが付加したと仮定した。
(合成例2)
環状エーテルとしてPO 100質量部を用いたことに代えて、PO 50質量部とEO 50質量部とすること以外は、合成例1と同様にして、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a2)(R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7、R’:イソプロピレン基、エチレン基、l:10.0)の200質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a2)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(50質量部)及びEOの仕込量(50質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a2)におけるPO部位のMnは500、EO部位のMnは500であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a2)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPO及びEOに由来する構成単位のモル比([PO+EO]/PEPCD)は、20/1であった。
(合成例3)
合成例1と同じ開始剤100質量部に対して、TBA-DMC触媒0.05質量部を開環重合触媒として使用して、環状エーテルとしてのPO400質量部を130℃で4時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a3)(R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7、R’:イソプロピレン基、l:34.5)の500質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a3)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(400質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a3)におけるPO部位のMnは4000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a3)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、69/1であった。
(合成例4)
合成例1と同じ開始剤100質量部に対して、TBA-DMC触媒0.08質量部を開環重合触媒として使用して、環状エーテルとしてのPO 700質量部を130℃で6時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a4)(R:n-ブチレン基、n:3.2、m:2.7、R’:イソプロピレン基、l:60.3)の800質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a4)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(700質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a4)におけるPO部位のMnは7000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a4)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、121/1であった。
(合成例5)
上記式(1)で表されるPEPCD(製品名:NT2006、三菱ケミカル社製、透明粘性液体、Mn:2000、ガラス転移温度-84℃、R:n-ブチレン基、n:8.8、m:2.0)を開始剤として用いた。
この開始剤100質量部に対して、TBA-DMC触媒0.015質量部を開環重合触媒として使用して、環状エーテルとしてのPO 50質量部を130℃で3時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a5)(R:n-ブチレン基、n:8.8、m:2.0、R’:イソプロピレン基、l:8.6)の150質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a5)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(50質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a5)におけるPO部位のMnは1000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a5)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、17/1であった。
(合成例6)
合成例5と同じ開始剤100質量部に対して、TBA-DMC触媒0.025質量部を開環重合触媒として使用して、環状エーテルとしてのPO 150質量部を130℃で6時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a6)(R:n-ブチレン基、n:8.8、m:2.0、R’:イソプロピレン基、l:25.9)の250質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a6)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(150質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a6)におけるPO部位のMnは3000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a6)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、52/1であった。
(合成例7)
合成例5と同じ開始剤100質量部に対して、TBA-DMC触媒0.04質量部を開環重合触媒として使用して、環状エーテルとしてのPO 300質量部を130℃で8時間開環付加重合して、上記式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a7)(R:n-ブチレン基、n:8.8、m:2.0、R’:イソプロピレン基、l:51.7)の400質量部を得た。得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a7)は、透明液体であった。なお、上記POの仕込量(300質量部)から算出されるポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a7)におけるPO部位のMnは6000であった。
また、得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a7)における、PEPCDに由来する構成単位に対するPOに由来する構成単位のモル比(PO/PEPCD)は、103/1であった。
合成例1~7で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(「PEPCD+PO」又は「PEPCD+PO/EO))と同様に、比較例である例3で用いられるPEPCD(製品名:NT2002、三菱ケミカル社製、粘性液体、ガラス転移温度-71℃)、比較例である例4で用いられるポリプロピレングリコール(PPG)(製品名:EL2020、AGC社製、液体)、比較例である例5で用いられるPTMG(シグマアルドリッチ社製、固体)、比較例である例6で用いられるPEPCD(製品名:NT2002、三菱ケミカル社製、粘性液体、ガラス転移温度-71℃)とポリプロピレングリコール(PPG)(製品名:EL2020、AGC社製、液体)との混合物(質量比1:1)についての、水酸基価(OHV)(mg-KOH/g)、Mn、Mw/Mn、及び粘度(mPa・s)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2022183046000008
<ポリウレタン樹脂の合成>
以下の例において、例1、2は実施例であり、例3~6は比較例である。
(例1)
反応容器内で、合成例1で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a1)266g、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」ということがある)73.7g(イソシアネート基のインデックス:218)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して5時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。なお、JIS K 1603-1:2007のA法に準拠して、ポリウレタン樹脂前駆体に対するNCO量(質量%)を算出して、理論量となった時を反応の終点とした。以下の例においても同様である。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール14.9gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A1)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A1)を、テトラヒドロフランに溶解させ、親水性ポリテトラフルオロエチレンフィルター(製品名:マイレクス-LHフィルター、メルクミリポア社製、ポアサイズ:0.45μm、フィルター直径:25mm)を用いて濾過し、GPCにてMnを測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A1)を、油圧成型機を使用して温度180℃の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例2)
反応容器内で、合成例2で得られたポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール(a2)266g、MDI73.4g(イソシアネート基のインデックス:226)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して3時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール15.3gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A2)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A2)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A2)を、例1と同様の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例3)
反応容器内で、PEPCD(製品名:NT2002、三菱ケミカル社製、粘性液体、ガラス転移温度-71℃)266g、MDI 73.9g(イソシアネート基のインデックス:215)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して3時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール14.8gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A3)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A3)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A3)を、例1と同様の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例4)
反応容器内で、ポリプロピレングリコール(PPG)(製品名:EL2020、AGC社製)266g、MDI 73.4g(イソシアネート基のインデックス:225)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して6.5時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール15.2gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A4)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A4)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A4)を、例1と同様の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例5)
反応容器内で、PTMG(シグマアルドリッチ社製)266g、MDI 73.3g(イソシアネート基のインデックス:228)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して3時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール15.4gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A5)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A5)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A5)を、例1と同様の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
(例6)
反応容器内で、PEPCD(製品名:NT2002、三菱ケミカル社製、粘性液体、ガラス転移温度-71℃)とポリプロピレングリコール(PPG)(製品名:EL2020、AGC社製、液体)との混合物(質量比1:1)266g、MDI 73.7g(イソシアネート基のインデックス:218)、及び酸化防止剤(Irganox1010)3.5gを混合し、80℃に加熱して8時間反応させてポリウレタン樹脂前駆体を得た。
次いで、得られたポリウレタン樹脂前駆体に、鎖延長剤としての1,4-ブタンジオール14.9gを加え、得られた混合物をステンレス製パレットに移してさらに130℃にて4時間反応させ、ハードセグメント含有量が25質量%のポリウレタン樹脂(A6)を得た。
得られたポリウレタン樹脂(A6)のMnは、例1と同様にして測定した。
また、得られたポリウレタン樹脂(A6)を、例1と同様の条件で成型し、厚さ約250μmのフィルムを得た。
例1~6について、得られたポリウレタン樹脂の、ハードセグメント含有量(質量%)、NCO単位含有量(質量%)、及びMn、並びに、得られたフィルムの、引張特性(破断強度Tmax(MPa)、破断伸びE(%))、耐熱性、耐加水分解性、ガラス転移温度Tg(℃)、及び貯蔵弾性率E’(MPa)を測定乃至評価し、その測定結果及び評価結果を表2に示す。
Figure 2022183046000009
表2に示すように、例1,2では、引張特性(強度及び柔軟性)、耐熱性、ガラス転移温度Tg、及び貯蔵弾性率E’の項目で良好な結果が得られた。
また、例1及び例2では、引張特性と耐熱性の両特性が良好であった。
また、例1の方が例2よりも耐加水分解性が良好であった。
これに対して、例3では、破断伸びE(%)が小さく、十分な引張特性が得られなかった。また、例4では、破断強度Tmax(MPa)が小さく、十分な引張特性が得られなかった。また、例5では、破断伸びE(%)が小さく、十分な引張特性が得られなかった。さらに、例6では、破断強度Tmax(MPa)が小さく、十分な引張特性が得られなかった。
本発明のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールは、ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤と反応して強度及び柔軟性を両立するポリウレタン樹脂を形成できる。本発明のポリウレタン樹脂を含む本発明のポリウレタン樹脂組成物は、強度及び柔軟性を両立する本発明のポリウレタン樹脂を含むため、塗料組成物、粘着剤組成物、印刷インキ組成物、合成皮革及び人工皮革の表皮層形成用組成物や層間の接着剤組成物、人工皮革の不織布に形成する多孔質皮膜、タイヤ用組成物、エラストマー、弾性繊維、バインダー、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、医療用材料、シーラント、コーティング剤、フォーム、床材等に好適に使用できる。

Claims (14)

  1. 下式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールに由来する構成単位と、炭素数2又は3の環状エーテルに由来する構成単位とを有し、数平均分子量が500~15000である、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
    Figure 2022183046000010

    ・・・(1)
    (上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
  2. 前記ポリエーテルポリカーボネートジオールの数平均分子量は250~5000である、請求項1に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
  3. 前記ポリエーテルポリカーボネートジオールに由来する構成単位に対する前記環状エーテルに由来する構成単位のモル比(環状エーテル/ポリエーテルポリカーボネートジオール)が4/1~250/1である、請求項1に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
  4. 下式(2)で表される、請求項1に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
    Figure 2022183046000011

    ・・・(2)
    (上記式(2)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、R’は炭素数2又は3の二価の炭化水素基を表し、lは1~250の数であり、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(2)中、複数のRは、同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のR’は、同一であってもよく、異なるものであってもよく、2個のlは、同一数であってもよく、異なる数であってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
  5. 前記式(2)におけるR’は、分岐炭化水素基であるR’を含む、請求項4に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
  6. 前記式(2)における全てのR’は、分岐炭化水素基である、請求項4に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオール。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、ポリウレタン樹脂前駆体。
  8. 請求項6に記載のポリウレタン樹脂前駆体と鎖延長剤とを反応させて得られる、ポリウレタン樹脂。
  9. 請求項8に記載のポリウレタン樹脂を含む、ポリウレタン樹脂組成物。
  10. 請求項8に記載のポリウレタン樹脂を備える、物品。
  11. 開環重合触媒の存在下で、下式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールと、炭素数2又は3の環状エーテルとを重合させて、数平均分子量500~15000のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールを得る、ポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
    Figure 2022183046000012

    ・・・(1)
    (上記式(1)において、Rは炭素数4~10の二価の炭化水素基を表し、mは1~20の数であり、nは2~30の数である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは、同一数であってもよく、異なる数であってもよい。)
  12. 前記開環重合触媒が、複合金属シアン化物錯体触媒である、請求項11に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
  13. 前記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを、エステル交換触媒の存在下で、ポリオキシアルキレングリコールと、カーボネート化合物とを反応させて得る、請求項11又は12に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
  14. 前記ポリオキシアルキレングリコールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、3-メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及びネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項13に記載のポリオキシアルキレンポリカーボネートジオールの製造方法。
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