JP2021155325A - 金属水酸化物結晶の製造方法 - Google Patents

金属水酸化物結晶の製造方法 Download PDF

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尚義 森田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、適度な大きさを有するとともに、粒径が均一で、且つ粒子が球形状である金属水酸化物結晶を製造する方法を提供することにある。【解決手段】本発明の金属水酸化物結晶の製造方法は、金属イオン含有溶液と水酸化物イオン含有溶液とを含む原料を容器内で混合して金属水酸化物を含む混合液を得る混合工程と、前記混合工程で得た混合液を、定流量ろ過して金属水酸化物の結晶を濃縮するろ過工程と、前記ろ過工程で得た金属水酸化物の結晶を含む濃縮液を前記容器に戻して前記結晶を成長させる循環工程と、を含み、前記原料及び前記濃縮液を前記容器に連続的に投入し、所定の大きさまで成長した前記結晶を回収することを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、金属水酸化物結晶の製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器や、電気自動車、ハイブリット自動車等の電源として、リチウムイオン二次電池の需要が増えてきている。リチウムイオン電池の正極活物質には、コバルト原子、リチウム原子等を含む酸化物が用いられている。
正極活物質としてのコバルト原子、リチウム原子等を含む酸化物の製造方法として、従来、ニッケル原子、コバルト原子、マンガン原子を含む水酸化物を前駆体として用いる方法が知られている(特許文献1)。
特開2018−22568号公報
特許文献1の水酸化物の製造方法は、一次粒子が凝集して粒子を成長させる方法である。しかしながら、粒度分布が狭く、球形状の金属水酸化物の結晶を得ることはできなかった。
従って、本発明の目的は、適度な大きさを有するとともに、粒度分布が狭く、且つ粒子が球形状である金属水酸化物結晶を製造する方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
金属イオン含有溶液と水酸化物イオン含有溶液とを含む原料を容器内で混合して金属水酸化物を含む混合液を得る混合工程と、
前記混合工程で得た混合液を、定流量ろ過して金属水酸化物の結晶を濃縮するろ過工程と、
前記ろ過工程で得た金属水酸化物の結晶を含む濃縮液を前記容器に戻して前記結晶を成長させる循環工程と、
を含み、
前記原料及び前記濃縮液を前記容器に連続的に投入し、
所定の大きさまで成長した前記結晶を回収することを特徴とする、金属水酸化物結晶の製造方法。
[2]
前記容器に投入する単位時間当たりの前記原料の量が、前記ろ過工程における単位時間当たりのろ液量と同一になるように、前記容器に投入する前記原料の前記量は制御可能である、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記定流量ろ過が膜ろ過である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記膜ろ過において、孔径が0.1μm以下であるろ過膜を用いる、[3]に記載の製造方法。
[5]
前記膜ろ過がクロスフロー方式である、[3]又は[4]に記載の製造方法。
[6]
前記膜ろ過が内圧式である、[3]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
前記金属イオン含有溶液が、ニッケルイオン、コバルトイオン、及びマンガンイオンからなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンを含む溶液である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
前記水酸化物イオン含有溶液が、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンを含む溶液である、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の金属水酸化物結晶の製造方法によれば、上記構成を有するため、適度な大きさを有するとともに、粒度分布が狭く、且つ粒子が球形状である金属水酸化物結晶を得ることができる。
本実施形態の金属水酸化物結晶の製造方法の一例を示す概略図である。
[金属水酸化物結晶の製造方法]
本実施形態の金属水酸化物結晶の製造方法は、金属イオン含有溶液と水酸化物イオン含有溶液とを含む原料を容器内で混合して金属水酸化物を含む混合液を得る混合工程と、前記混合工程で得た混合液を、定流量ろ過して金属水酸化物の結晶を濃縮するろ過工程と、前記ろ過工程で得た金属水酸化物の結晶を含む濃縮液を前記容器に戻して前記結晶を成長させる循環工程と、を含み、前記原料及び前記濃縮液を前記容器に連続的に投入し、所定の大きさまで成長した前記結晶を回収する方法である(図1)。
なお、本明細書において、金属水酸化物結晶の製造方法を、単に製造方法と称する場合がある。
本発明者は、容器に入れた原料を撹拌し続けるだけでは、得られる結晶が球形とならず、形状が不均一となることを見出した。得られる結晶の形状を均一な球形状に近づけるため、鋭意検討を重ねた結果、定流量ろ過を行い、原料とろ過後の結晶の濃縮液とを連続的に投入することにより、結晶が球形状となり、結晶の成長速度が速くなり、且つ粒度分布が狭い結晶になることを見出した。また、本実施形態の製造方法では、一つの種結晶が、他の種結晶と融合することなく成長して、球形状の結晶を得ることができる。
上記製造方法において、上記混合工程、上記ろ過工程、上記循環工程は、各工程の間に他の工程を設けてもよいが、粒度分布が一層狭く、より球形状の金属水酸化物結晶粒子が得られる観点、及び生産効率の観点から、上記混合工程と上記ろ過工程とが連続して行われること、上記ろ過工程と上記循環工程とが連続して行われることが好ましく、上記混合工程、上記ろ過工程、上記循環工程が連続して行われることがより好ましい。
上記製造方法は、所定の大きさの結晶が得られるまで、連続して行われることが好ましい。
(混合工程)
上記原料は、少なくとも金属イオン含有溶液と水酸化物イオン含有溶液とを含み、さらに抽出剤等の他の成分を含んでいてもよい。
−原料−
−−金属イオン含有溶液−−
上記金属イオン含有溶液に含まれる金属イオンとしては、水酸化物イオンと反応して金属水酸化物を形成する金属イオンであれば特に限定されず、例えば、ニッケルイオン、コバルトイオン、マンガンイオン、アルミニウムイオン等が挙げられる。中でも、高容量、高出力、高サイクル特性のリチウムイオン電池の正極活物質として特に有用な結晶が得られる観点から、ニッケルイオン、コバルトイオン、及びマンガンイオンからなる群から選択させる少なくとも一種の金属イオンが好ましい。上記金属イオンは、一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
ここで、リチウムイオン電池の正極活物質の原料(例えば、ニッケル、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む金属水酸化物)を製造する場合、上記金属イオン含有溶液は、鉄イオンを実質的に含まないこと(例えば、溶液1Lに対して、鉄イオンのモル濃度が1.8×10−5mol/L以下)が好ましい。同様に、上記混合液は、鉄イオンを実質的に含まないことが好ましい。鉄イオンのモル濃度は、析出させた後、例えば、溶液を膜ろ過、マグネット式徐鉄器等で精製して下げることができる。
上記金属イオン含有溶液には、金属イオン以外に他のイオンが含まれていてもよい。上記他のイオンとしては、上記金属イオンと塩を形成できるイオンが挙げられ、例えば、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、硝酸イオン、等が挙げられる。
金属イオンと硫酸イオンとを含む金属イオン含有溶液としては金属硫酸塩溶液、金属イオンと塩化物イオンとを含む金属イオン含有溶液としては金属塩化物溶液等が挙げられる。
上記金属イオン含有溶液中の金属イオンのモル濃度としては、結晶が成長しやすい観点から、0.1〜2.3mol/Lが好ましく、より好ましくは1.8〜2.2mol/Lである。
−−水酸化物イオン含有溶液−−
上記水酸化物含有溶液は、水酸化物イオン(OH)を含む。上記水酸化物含有溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等を含む溶液が挙げられる。
中でも、上記水酸化物含有溶液は、種結晶の発生を促す観点から、さらに、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンを含むことが好ましく、水酸化ナトリウムと水酸化アンモニウムとを含む溶液がより好ましい。
上記水酸化物含有溶液中の水酸化物イオンのモル濃度としては、結晶成長に必要な水酸化物イオンを十分に供給する観点から、0.01〜2.0mol/Lが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0mol/Lである。
上記水酸化物含有溶液中のアンモニウムイオンのモル濃度としては、結晶が成長する速度を制御する観点から、0.1〜2.0mol/Lが好ましく、より好ましくは0.3〜1.2mol/Lである。
−−他の成分−−
上記他の成分としては、例えば、水が挙げられる。
−容器−
上記容器としては、金属イオン含有溶液と水酸化物含有溶液との反応に用いることができる容器であれば特に限定されない。例えば、同じ容器に、上記原料と後述の濃縮液とを連続的に投入してもよい。
また、上記容器は1個であってもよいし、互いに連結された複数個の容器であってもよい。
上記混合工程において、上記容器内の上記原料と後述の濃縮液との混合液中の、上記金属イオンに対する上記水酸化物イオンのモル割合としては、結晶の成長速度がより早く、より均一形状の結晶が得られる観点から、上記金属イオンが2価である場合、上記金属イオン1モルに対して、上記水酸化物イオンが1.5〜2.5モルとなる割合が好ましく、より好ましくは1.2〜2.2となる割合、さらに好ましくは2モルとなる割合である。
上記金属イオンがn価である場合、上記数値をn倍した範囲としてよい。
上記混合工程の上記容器中の混合液の温度としては、副生成物の晶析反応を抑制し、ろ過安定性を維持する観点から、32〜65℃であることが好ましく、より好ましくは47〜53℃である。
上記混合工程の上記容器中の混合液のpHとしては、結晶の成長速度を制御する観点から、10〜14であることが好ましく、より好ましくは11〜13である。上記pHは、種結晶が融合しにくく、球形の結晶が得られる観点から、一定であることが好ましい。
上記混合工程の撹拌速度としては、晶析反応で析出した結晶粒子の形状をより球形にしやすくする観点から、0rpm超300rpm以下が好ましく、より好ましくは180〜220rpmである。
上記混合工程において、上記容器内の混合液に、酸素、窒素等のガスを供給してもよい。
(ろ過工程)
上記混合工程で得た混合液は、定流量ろ過して金属水酸化物の結晶を濃縮する。
上記ろ過工程に用いる混合液は、形状と粒径が均一な金属水酸化物の結晶の生産効率の観点から、金属水酸化物の含有割合がなるべく少ないことが好ましい。
金属水酸化物の含有割合が低い混合液を得る観点から、ろ過工程に用いる混合液は、上記容器の高い位置から取り出した混合液としてもよい。上記混合液を取り出す上記容器の位置としては、上記容器の高さ(例えば、容器底から容器内の液面までの高さ)100%に対して、下から50%以上の位置が好ましく、70%以上の位置がより好ましい。また、上記容器から溢れた混合液を用いてもよい。中でも、反応槽に混合液排出口を形成することなく簡易に反応を行うことができ、混合液排出口で反応槽内の攪拌の流れが乱れずにより均一な攪拌が可能となる観点から、容器からオーバーフローした混合液を用いることが好ましい。
上記容器から取り出した混合液は、例えば、他の容器に一度貯めた後に使用してもよいし、連続してろ過工程に用いてもよい。金属水酸化物の結晶の生産効率の観点から、上記容器から取り出した混合液は、ろ過工程まで他の精製を行わないことが好ましく、容器から取り出した混合液をろ過膜に供給することが好ましい。
上記定流量ろ過は、金属水酸化物の結晶の生産効率の観点から、膜ろ過であることが好ましく、クロスフロー方式の膜ろ過がより好ましい。上記膜ろ過は、外圧式であっても内圧式であってもよいが、ろ過中の膜の詰まりを抑える観点から、内圧式の膜ろ過が好ましく、内圧式のクロスフロー方式がより好ましい。
本明細書において、クロスフロー方式の膜ろ過に供給するろ過前の溶液を供給液、ろ過膜を通して精製された溶液をろ液(ろ過液)、ろ過膜を通らずにそのまま排出された溶液を排出液、と称する場合がある。例えば、上記供給液としては金属水酸化物の結晶を含む混合液、ろ過液としては混合液から金属水酸化物の結晶が除去された溶液、排出液としては金属水酸化物の結晶が濃縮された濃縮液等が挙げられる。
本明細書において、定流量ろ過とは、一定時間(例えば、少なくとも72時間)連続して、単位時間当たりのろ液量(例えば、少なくとも25L/m・時間、少なくとも50mL/分等)が一定となるようにろ過できることをいうものとする。本実施形態の製造方法は、上記容器内の混合液量が一定となるように定流量ろ過することが好ましく、例えば、単位時間当たりのろ液量(ろ過流量)が一定であり、上記ろ液量と同量の原料を上記容器に投入することが好ましい。
ここで、一定とは、製造中に上記容器内の混合液量が大きく変化しないことをいう。上記一定としては、例えば、製造中の上記容器内の混合液量(100%)に対して、90〜110%の範囲内が挙げられ、95〜105%の範囲内が好ましく、99〜101%の範囲内がより好ましい。上記容器中の混合液量は、開始から終了までの混合液量の平均としてよく、例えば、ろ液量に合わせて、容器に投入する原料量を制御する手段により調整することができる。
ろ過膜の孔径としては、0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm(分画分子量:1000〜1,000,000のUF膜)、さらに好ましくは0.001μm〜0.01μm、特に好ましくは0.001〜0.005μmである。孔径が上記範囲であると、反応中の副生物を除去でき、結晶の成長速度を一層速くすることができる。
ろ過膜としては、従来、孔径が0.1μm超である精密ろ過膜(MF膜)が用いられていた。通常であれば、孔径が小さければ小さいほど、膜に結晶が詰まりやすくなり、生産効率が落ちるようにも思われたが、本発明者は、驚くべきことに、分画分子量100,000以下のUF膜を用いると、定流量ろ過が可能となり、ろ過膜が詰まりにくくなることでろ過の効率が向上し、金属水酸化物の粒子形状がより一層均一化され、結晶がより一層成長しやすくなることを見出した。また、ろ過膜の洗浄頻度を極めて低く出来るので、作業安全性及び作業効率が格段に向上した。特に、内圧式で、クロスフロー方式のろ過膜とすることで、一層優れた効果が得られることを見出した。
上記ろ過膜の分画分子量は、1000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは3000〜100,000、さらに好ましくは5000〜50,000である。分画分子量が3000〜100,000の範囲であると、反応中の副生物を除去でき、結晶の成長速度を一層速くすることができる。
特に、本実施形態の製造方法では、分画分子量が3000〜50,000であるUF膜を用いると、安定した定流量ろ過が可能となり、ろ過膜が詰まりにくくなることでろ過の効率が一層向上し、金属水酸化物の粒子形状がより一層均一化され、結晶がより一層成長しやすくなる。また、ろ過膜の洗浄頻度を極めて低く出来るので、作業安全性及び作業効率が格段に向上する。特に、内圧式で、クロスフロー方式のろ過膜を用いることで、一層優れた効果が得られる。
上記ろ過膜の材質としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、4フッ化エチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の樹脂が挙げられ、中でも高pH領域のろ過において溶出物が発生しないという観点から、ポリスルホンが好ましい。
上記ろ過膜としては、不純物を吸着する膜を使用してもよい。
ろ過膜は一種であってもよいし、複数種であってもよい。上記ろ過膜は、1個であってもよいし、複数個を直接、並列、またはこれらの組み合わせで並べて用いてもよい。
上記定流量ろ過の単位時間当たりのろ液量としては、金属水酸化物の結晶の生産効率の観点から、25〜100L/m・時間が好ましく、粒径、粒子形状、タップ密度等形成する粒子の特性に応じて制御できる。また、上記ろ液量としては、同様の観点から、50〜200mL/分が好ましい。中でも、ろ液量が一定であるとろ過膜が詰まりにくくなる観点から、本実施形態の製造方法の製造開始から終了までの上記ろ液量が、結晶の製造開始から終了開始までの平均ろ液量に対して、90〜110%の範囲であることが好ましく、95〜105%の範囲であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法は、途中で定流量ろ過を止めると、反応容器中に不純物が増え、結晶の形状や粒径がばらつきやすくなる。そのため、結晶の製造終了まで、定流量ろ過を止めることなく、連続して行うことが好ましい。
上記定流量ろ過の温度としては、副生成物の晶析反応を抑制し、ろ過安定性を維持する観点から、32〜65℃であることが好ましく、より好ましくは47〜53℃である。
上記定流量ろ過の圧力としては、長期間の安定ろ過を実現する観点から、80〜250kPaであることが好ましく、より好ましくは100〜150kPaである。
上記定流量ろ過後のろ過液には、金属水酸化物の結晶が含まれないことが好ましい。
上記ろ過工程で得られたろ過液は、水酸化物イオンや他のイオンを抽出して再利用してもよい。また、水を抽出して再利用してもよい。
(循環工程)
本実施形態の製造方法は、少ない原料で結晶粒子を得ることができ、結晶粒子の成長速度が速くなり、結晶粒子の粒径及び形状が均一になる観点から、上記ろ過工程で得た金属水酸化物の結晶粒子を含む濃縮液は、上記容器に戻す。
上記濃縮液は、他の容器に一度貯めた後に上記容器に戻してもよいし、連続して上記容器に戻してもよい。金属水酸化物の結晶粒子の生産効率の観点から、上記濃縮液は、連続して上記容器に戻すことが好ましい。
上記濃縮液は、一部を上記容器に戻してもよいし、全量を戻してもよい。
本実施形態の製造方法は、上記原料、及び上記循環工程で戻す金属水酸化物の結晶を含む濃縮液を連続して上記容器に投入する。
本実施形態の製造方法は、単位時間当たりに上記容器に投入する原料量が、上記ろ過工程における単位時間当たりのろ液量と同一となるように、上記容器に投入する上記原料の上記量は制御可能であることが好ましい。例えば、ろ液量に合わせて、容器に投入する原料量を制御する手段を設けてよい。
本実施形態の製造方法は、種結晶を十分に形成する観点から、最初は、定流量ろ過をせずに原料の混合だけを行い、1〜6時間経過後に、定流量ろ過を開始して濃縮液を容器に戻して循環し始めてよい。種結晶を十分に形成してから定流量ろ過を行うことにより、新たに形成される種結晶の数を抑え、既存の種結晶表面で晶析反応を生じさせることができ、粒度分布が狭く粒径が大きい結晶を得ることができる。本実施形態の製造方法は、反応開始時の原料に、金属水酸化物の種結晶を含むこと(例えば、10〜100g/Lの濃度の種結晶を含むこと)が好ましい。
ここで種結晶とは、粒径(平均粒径)が、0.1〜10μmの結晶としてよい。尚、種結晶の粒径は、求める結晶粒子の粒径に応じて粒径をコントロールするこができる。初期に析出させる種結晶の粒径は原料溶液の濃度、反応槽への投入速度、pH、反応槽撹拌機の撹拌速度をコントロールすることでコントロールすることができる。
本実施形態の製造方法では、製造開始時の原料に種結晶を含まない場合、製造初期に種結晶を優先的に形成し、その後は形成した種結晶を迅速に成長させることができる。また、製造開始時の原料に種結晶が十分に含まれる場合、既存の種結晶表面の晶析反応を優先的に進めることができる。そのため、粒度分布が狭い結晶を得ることができる。また、製造中にろ過膜が詰まることなく定流量ろ過できるため、ろ過工程の単位時間当たりのろ過流量が時間ともに変化することなく、連続して一定の割合でろ過することができる。そのため、混合液中の結晶の数の増加を抑えつつ、混合液中の結晶の質量割合及び結晶の粒径が製造開始から終了まで、時間の経過とともに濃度が一定の割合で増加する。
上記結晶が所定の大きさまで成長したら(例えば、後述の粒径の好適範囲に達したら)、上記結晶を回収する。
結晶の回収方法としては、例えば、上記容器から混合液を全量回収する、等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、上記混合液中の結晶の粒径は、時間と共に増加し続けることが好ましい。
得られる結晶の粒径(平均粒径)としては、0.1〜10μmの範囲で希望する粒径のスラリーを生産できる。
上記粒径は、動的光散乱法や遠心沈降法等により測定することができる。
本実施形態の製造方法において、上記混合液中の結晶の濃度は、時間と共に増加し続けることが好ましい。回収後の結晶の濃度は、50〜1000g/Lであってよい。
本実施形態の製造方法は、ろ過膜が詰まらないため、連続して長時間運転することができる。
上記金属水酸化物としては、ニッケル、コバルト、及びマンガンからなる群から選択させる少なくとも一種の金属を含む水酸化物が好ましく、NiCoMn(OH)(式中、x、y、zは、x+y+z=1を満たす)で表される水酸化物であってよい。
本実施形態の製造方法で得られる金属水酸化物は、例えば、リチウムイオン電池の正極活物質の原料、として用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
60Lの晶析反応槽に50℃温水をオーバーフローする容量の80%まで投入後、金属イオン含有溶液(硫酸ニッケル:硫酸コバルト:硫酸マンガン=1:1:1(モル割合)で混合した飽和溶液、金属イオンのモル濃度1.7mol/L)を31.5mL/分、0.2N苛性ソーダ水溶液を13.5mL/分、0.5Nアンモニア水溶液を5mL/分の割合で原料を投入し、200rpmで撹拌して種結晶(微小な水酸化物コロイド)を生成後、晶析反応槽からオーバーフローした種結晶(微小な水酸化物コロイド)含有溶液を膜処理用タンクに受け入れ、膜処理用タンクから供給ポンプを介してUF膜(製品名:マイクローザ、旭化成社製、中空糸膜ろ過モジュール、分画分子量3000〜50,000)を用いてクロスフローろ過(内圧式)によりろ過液を50mL/分の割合で系外に排出し、排出液(すなわち、濃縮液)を晶析反応槽に戻す運転を96時間継続し、ろ過流量の変化を記録した。また、24時間ごとに晶析反応槽からサンプリングした水酸化物結晶の濃度、粒径、粒度分布、形状を測定、確認した結果、すべての結果において比較例1より優れていることが確認できた。
なお、上記粒度分布、及び粒径(単位:μm)は、堀場製作所製 ナノ粒子解析装置 SZ−100により測定した。また、得られた結晶の形状は、光学顕微鏡(オリンパス光学工業(株)製 同軸落射照明内蔵ズーム実体顕微鏡 SZ1145CHIESD)で観察し、粒子が総じて球状である場合を良好、多面体状、針状、平板状、毛羽立ちが見られた場合を不良と判定した。また、反応中の溶液は約53℃に保ち、pHは11に保った。
Figure 2021155325
(比較例1)
UF膜の代わりにMF膜(膜孔径0.5μm)を用いて、クロスフロー方式の内圧ろ過によりろ過液を系外に排出した以外は、実施例1と同様の運転をして、ろ過流量の変化を記録し、サンプリングした水酸化物結晶の濃度、粒径、粒度分布、形状を測定、確認した。
4時間後にろ過流量が半分に低下し、その後も徐々に低下を続け、72時間後にはろ過水量がゼロになった。尚、ろ過流量の減少に応じて原料溶液の投入量も減らして運転した。24時間ごとに晶析反応槽からサンプリングしたところ、水酸化物結晶は充分に成長していなかった。
Figure 2021155325
(比較例2)
実施例1と同様のUF膜を用いて、外圧ろ過方式によりろ過液を系外に排出した以外は、実施例1と同様の運転をして、ろ過流量の変化を記録し、サンプリングした水酸化物結晶の濃度、粒径、粒度分布、形状を測定、確認した。
4時間後にろ過流量が半分以下に低下し、24時間後には10mL/分まで低下して、その後は運転終了まで8〜10mL/分で推移した。尚、ろ過流量の減少に応じて原料溶液の投入量も減らして運転した。24時間ごとに晶析反応槽からサンプリングしたところ、水酸化物結晶は充分に成長していなかった。運転終了後、UF膜モジュールを分解して確認したところ水酸化物がケースと中空糸膜束に固着したため、十分なろ過流量を出すことができなくなっていたことが分かった。
Figure 2021155325

Claims (8)

  1. 金属イオン含有溶液と水酸化物イオン含有溶液とを含む原料を容器内で混合して金属水酸化物を含む混合液を得る混合工程と、
    前記混合工程で得た混合液を、定流量ろ過して金属水酸化物の結晶を濃縮するろ過工程と、
    前記ろ過工程で得た金属水酸化物の結晶を含む濃縮液を前記容器に戻して前記結晶を成長させる循環工程と、
    を含み、
    前記原料及び前記濃縮液を前記容器に連続的に投入し、
    所定の大きさまで成長した前記結晶を回収することを特徴とする、金属水酸化物結晶の製造方法。
  2. 前記容器に投入する単位時間当たりの前記原料の量が、前記ろ過工程における単位時間当たりのろ液量と同一になるように、前記容器に投入する前記原料の前記量は制御可能である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記定流量ろ過が膜ろ過である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記膜ろ過において、孔径が0.1μm以下であるろ過膜を用いる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記膜ろ過がクロスフロー方式である、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記膜ろ過が内圧式である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記金属イオン含有溶液が、ニッケルイオン、コバルトイオン、及びマンガンイオンからなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンを含む溶液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記水酸化物イオン含有溶液が、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンを含む溶液である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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