JP2021154981A - 車両の減速度演算装置 - Google Patents
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Abstract
Description
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各種記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、車両の前後方向において、それが何れに関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪、「r」は後輪を示す。例えば、車輪において、前輪WHf、及び、後輪WHrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、その総称を表す。例えば、「CWf」は前輪ホイールシリンダを表し、「CWr」は後輪ホイールシリンダを表し、「CW」は前輪、後輪ホイールシリンダを表す。加えて、接続路HSにおいて、マスタシリンダCMに近い側が「上部」と称呼され、ホイールシリンダCWに近い側が「下部」と称呼される。
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る車両の減速度演算装置GHを搭載する車両について説明する。車両としては、自動二輪車(「モータサイクル」ともいう)が想定されている。車両には、2系統の流体路(即ち、2つの制動系統)が採用される。2つの制動系統のうちの一方では、前輪マスタシリンダCMfが、前輪接続路HSfを介して、前輪ホイールシリンダCWfに接続される。2つの制動系統のうちの他方では、後輪マスタシリンダCMrが、後輪接続路HSrを介して後輪ホイールシリンダCWrに接続される。ここで、前輪、後輪接続路HSf、HSr(=HS)は流体路である。「流体路」は、作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットHUの流路、ホース等が該当する。
制動制御装置SCは、減速度演算装置GHの演算結果に基づいて、車輪WHの制動液圧Pw(結果、制動力Fx)を調整する。制動制御装置SCは、制動コントローラECU、及び、流体ユニットHUにて構成される。制動コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUは、マイクロプロセッサ等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサにプログラムされた制御アルゴリズムにて構成されている。
流体ユニットHUは、車輪WHの制動力Fxを個別に制御するアクチュエータである。前輪、後輪マスタシリンダCMf、CMrの前輪、後輪液圧室Rmf、Rmrと、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrとは、前輪、後輪接続路(流体路)HSf、HSr(=HS)にて接続される。接続路HSにおいて、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとの間には流体ユニットHUが設けられる。流体ユニットHUは、インレット弁VI、アウトレット弁VO、電気モータMT、流体ポンプHP、及び、低圧リザーバRWにて構成される。
図2のブロック図を参照して、減速度演算装置GHでの演算処理について説明する。例えば、減速度演算装置GHの演算結果Gh(「補償減速度」という)は、後輪浮き抑制制御を含む制動制御装置SCに適用される。補償減速度Ghは、検出減速度Gx(減速度センサGXの出力結果)におけるゼロ点ドリフトの誤差が補償されたものである。なお、「後輪浮き抑制制御」は、前輪制動力Fxfが減少されることによって、後輪WHrが路面から離れる状況(「後輪浮き」、又は、「後輪リフトアップ」という)を回避するものである。
例えば、補償部XHでは、「dGy<dgy」である場合には、一致判定が、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの偏差(「勾配偏差」という)hDが基準量hx未満になったこと」によって行われる。更に、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの一致」は、「勾配偏差hDが基準量hx未満である状態が所定時間(「基準時間」という)txに亘って継続された時点(対応する演算周期)」で判定されてもよい。ここで、基準量hx、及び、基準時間txは、予め設定された所定値(定数)である。
例えば、補償部XHでは、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの一致(一致判定)」が、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの勾配偏差hDが監視偏差Hx未満になった状態が、監視時間Tkに亘って継続された時点(対応する演算周期)」で判定され得る。ここで、監視偏差Hx(一致判定のための監視に用いられる偏差)、及び、監視時間Tk(一致判定のための監視に用いられる時間)は、「横加速度勾配dGyと第1しきい値dgyとの比較結果」に基づいて定まる値である。
補償部XHでは、検出勾配dGxと演算勾配dGeとが一致した場合における演算減速度Geが基準減速度ghとして決定される。以下、基準減速度ghに基づく、補償減速度Ghについて説明する。補償減速度Ghは、例えば、車両(車体)の減速度として、後輪浮き抑制制御に適用される。
Gh[n]=gh+dGx[n] …式(1)
Gh[n]=Gh[n−1]+dGx[n] …式(2)
図3のフロー図を参照して、補償部XH(特に、遅延部XT)での第1の処理例(補償処理)について詳細に説明する。図2と図3との関係については、ステップS110が、取得部XA、及び、演算部XBに相当し、ステップS120〜ステップS160が、補償部XHに相当する。
図4のフロー図を参照して、補償部XH(特に、遅延部XT)での第2の処理例(補償処理)について詳細に説明する。第1の処理例では、一致判定の遅延処理(遅延部XTの処理)として、禁止時間tyに亘る禁止処理(ステップS140を参照)が採用された。第2の処理例では、禁止処理に代えて、一致判定がされ難くなる処理が採用される。なお、図2と図4との関係については、ステップS210が、取得部XA、及び、演算部XBに相当し、ステップS220〜ステップS260が、補償部XHに相当する。
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果(自動二輪車における旋回時のタイヤ半径(車輪半径)の変化に起因する誤差補償)を奏する。
Claims (4)
- 車両の車体に設けられた減速度センサにて検出される検出減速度のゼロ点ドリフトを補償する車両の減速度演算装置であって、
前記車両の車輪の回転速度である車輪速度に基づいて前記車両の減速度を演算減速度として演算する演算部と、
前記検出減速度の時間変化量である検出勾配と前記演算減速度の時間変化量である演算勾配との一致に基づいて前記ゼロ点ドリフトを補償する補償部と、を備え、
前記補償部は、
前記車体の横加速度の時間変化量である横加速度勾配が第1しきい値以上となった場合に、前記一致の判定を遅らせる遅延部を含んで構成される、車両の減速度演算装置。 - 車両の車体に設けられた減速度センサにて検出される検出減速度のゼロ点ドリフトを補償する車両の減速度演算装置であって、
前記車両の車輪の回転速度である車輪速度に基づいて前記車両の減速度を演算減速度として演算する演算部と、
前記検出減速度の時間変化量である検出勾配と前記演算減速度の時間変化量である演算勾配との一致に基づいて前記ゼロ点ドリフトを補償する補償部と、を備え、
前記補償部は、
前記車体の上下加速度の時間変化量である上下加速度勾配が第2しきい値以上となった場合に、前記一致の判定を遅らせる遅延部を含んで構成される、車両の減速度演算装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両の減速度演算装置において、
前記遅延部は、前記一致の判定を禁止時間に亘って禁止する、車両の減速度演算装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両の減速度演算装置において、
前記補償部は、
前記検出減速度の時間変化量である検出勾配と前記演算減速度の時間変化量である演算勾配との偏差が監視偏差未満である状態が監視時間に亘って継続したことに基づいて前記一致の判定を行い、
前記遅延部は、
前記監視偏差を減少する修正、及び、前記監視時間を増加する修正のうちの少なくとも1つを実行する、車両の減速度演算装置。
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