JP2021154498A - 化粧材及び化粧材の製造方法 - Google Patents

化粧材及び化粧材の製造方法 Download PDF

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浩昌 戸賀崎
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Abstract

【課題】耐傷性及び強度が高い化粧材及び化粧材の製造方法を提供すること。【解決手段】化粧材において、樹脂材料で構成された基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられ、樹脂材料と造核剤又は無機粒子とを含む高耐傷性層と、前記基材層の前記高耐傷性層に対向する面と反対側の面に設けられた裏面接着剤層と、前記裏面接着剤層の前記基材層に対向する面と反対側の面に設けられた木質基材層と、を備えている。高耐傷性層は、樹脂材料と、造核剤又は単層膜の外膜を具備するベシクルにナノサイズの造核剤が内包された造核剤ベシクルとを含み、高結晶化されている。【選択図】図1

Description

本開示は、化粧材及び化粧材の製造方法に関する。
従来、土足歩行される空間に配置された床材は、居室等の土足歩行されない空間に配置された床材と異なり、靴底や靴のかかと、小石等の硬いもので傷つけられることが多い。このため、従来、研磨や塗装により表面を修復することが可能な無垢の木材等が床材として用いられてきた。
一方、近年無垢の木材は入手が困難になってきており、また、表面修復処理自体に時間や費用が掛かることから、所定の硬さを有する樹脂製の表面保護層を備えた積層体を床材として用いることが提案されている(特許文献1)。
特開2016−211367号公報
しかしながら、所定の硬さを有する樹脂製の表面保護層を備えた床材では、表面の耐傷性が充分でない場合があり、かつ、床材の強度が充分でない場合がある。
本開示は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、耐傷性及び強度が高い化粧材及び化粧材の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る化粧材は、樹脂材料で構成された基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられ、樹脂材料と造核剤又は無機粒子とを含む高耐傷性層と、前記基材層の前記高耐傷性層に対向する面と反対側の面に設けられた裏面接着剤層と、前記裏面接着剤層の前記基材層に対向する面と反対側の面に設けられた木質基材層と、を備えている。
また、本開示の他の態様に係る化粧材の製造方法は、ベシクルに造核剤を内包させて、当該造核剤をベシクル化してなる造核剤ベシクルを生成し、第一樹脂材料を用いて形成された基材層の一方の面に、造核剤ベシクルを含む第二樹脂材料を用いて高耐傷性層を形成することを特徴とする。
本開示の態様によれば、耐傷性の高い化粧材及び化粧材の製造方法を提供することができる。
本開示の第一実施形態に係る化粧シート及び化粧材の一構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る化粧シート及び化粧材の他の構成例を示す断面図である。 本開示の第二実施形態に係る化粧シート及び化粧材の一構成例を示す断面図である。 本開示の第三実施形態に係る化粧シート及び化粧材の一構成例を示す断面図である。
以下に、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る化粧シート及び化粧材について説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
1.第一実施形態
本開示の第一実施形態に係る化粧材について説明する。本実施形態に係る化粧材1は、例えば、建物の床材、特に土足で歩行される空間の床材上に施工される化粧材である。なお、以下の説明では、化粧材1の靴と接触する側を「上」とし、化粧材1が床面に接触する側を「下」として説明する場合がある。
(1.1)化粧材の基本構成
図1は、本開示の実施形態に係る化粧材1の一構成例を説明するための断面図である。図1に示すように、化粧材1は、化粧シート10と、木質基材層31と、裏面接着剤層32と、を備えている。化粧シート10は、プライマー層11と、着色層12と、絵柄層13と、第一接着剤層14と、基材層15と、第二接着剤層16と、高耐傷性層17と、トップコート層18と、を備えている。化粧材1は、木質基材層31、裏面接着剤層32、プライマー層11、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15、第二接着剤層16、高耐傷性層17及びトップコート層18がこの順に積層されて構成されている。
木質基材層31は、化粧材1の最下面に設けられ、化粧材1全体の強度を向上させるための層である。裏面接着剤層32は、木質基材層31と化粧シート10のプライマー層11とを接着する層である。着色層12は、化粧材1に所望の色彩による意匠性を付与するとともに、化粧材1が貼りつけられる床材の色・模様を隠蔽するための層である。絵柄層13は、着色層12よりも上側に設けられ、化粧材1に所望の絵柄による意匠性を付与するための層である。基材層15は、緩衝層として機能し、耐摩耗性を向上させるための層である。高耐傷性層17は、化粧材1の上面側に設けられ、靴のかかとや石等によって化粧材1に生じる傷を抑制するための層である。トップコート層18は、靴と接触する化粧材1の最上面に設けられ、化粧材1の保護や化粧材1表面の艶の調整のために設けられる層である。また、第一接着剤層14は、着色層12及び絵柄層13と基材層15とを接着する層であり、第二接着剤層16は、基材層15と高耐傷性層17とを接着する層である。
以下、各層について詳細に説明する。
<木質基材層>
木質基材層31の材料としては、例えば、木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、木質基材層31は、耐水性を備えるMDF等も採用することができる。木質基材層31を有することにより、化粧材1全体としての強度が向上する。また、木質基材層31を有することにより、下地の凹凸の影響を受けにくくなる。
木質基材層31の厚さは、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。木質基材層31の厚さが3mm以上である場合、化粧材1全体の強度がより向上する。また、木質基材層31の厚さが6mm以下である場合、化粧材1の曲げ性が必要以上に高くなりすぎず、施工性がより向上する。
木質基材層31は、表面硬度が必要とされる化粧シートと密着する空間にのみ木質基材を配置し、木質基材の下部に樹脂基材や合板等の基材を貼り合わせた複合基材としても良い。これにより、増し貼りする下地との接着がしやすくなり、床材のゆがみや反りを防止しやすくなる。
<裏面接着剤層>
化粧シート10のプライマー層11と木質基材層31との間には裏面接着剤層32が形成されている。裏面接着剤層32は、木質基材層31の上に、裏面接着剤層32を形成するための組成物を塗布して形成してもよいし、プライマー層11の着色層12に対向する面と反対側の面上に、裏面接着剤層32を形成するための組成物を塗布して形成してもよい。裏面接着剤層32に含まれる接着剤は、着色層12に含まれる熱可塑性樹脂との組み合わせに応じて、例えば、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の中から任意に選択可能である。
裏面接着剤層32を形成するための組成物の塗布量は、3g/m以上20g/m以下の範囲内であることが好ましい。裏面接着剤層32を形成するための組成物の塗布量が3g/m以上である場合には、プライマー層11と木質基材層31との間の密着性が全体的に向上する。また、裏面接着剤層32を形成するための組成物の塗布量が20g/m以下である場合には、裏面接着剤層32を形成するための組成物の塗工が均一となり、プライマー層11と木質基材層31との間の密着性が向上する。
<高耐傷性層>
高耐傷性層17は、樹脂材料と樹脂材料の結晶化度を向上させる造核剤とを含む層である。本実施形態では、造核剤は、外膜で包含されてベシクル化された造核剤ベシクルの状態で樹脂材料に添加されている。
高耐傷性層17の厚さは、例えば70μm以上110μm以下であることが好ましく、85μm以上95μm以下であることがより好ましい。高耐傷性層17の厚さが70μm以上である場合、靴のかかとや小石等に対する高耐傷性層17の耐傷性が十分に高くなる。また、高耐傷性層17の厚さが110μm以下である場合、化粧材1の曲げ性が必要以上に高くなりすぎず、化粧材1を貼り付ける床材が平面でない場合にも床材に対して密着した状態で施工することができる。
(樹脂材料)
高耐傷性層17を構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂により構成される。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材層等として用いられていた熱可塑性樹脂と同様の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
なかでも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは好ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。特に、各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)又はポリオレフィン系樹脂、特にポリオレフィン系樹脂を使用することが最も好ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂として、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂を30質量%以上100質量%以下含むポリプロピレン樹脂を使用することが好ましい。
高耐傷性層17には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていてもよい。なお、高耐傷性層17は、化粧材1の表面(上面)から着色層12の色彩及び絵柄層13の絵柄を透視可能な程度の透明性(無色透明、有色透明、半透明)を有することが好ましい。
(造核剤)
高耐傷性層17はナノサイズの造核剤を含んでいる。ナノサイズの造核剤は、単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された、造核剤ベシクルの形でポリプロピレン樹脂に添加されて使用されることが好ましい。また、本実施形態において、高耐傷性層17を構成する樹脂中の造核剤は、当該造核剤の一部を露出させた状態で、ベシクルに内包されていてもよい。高耐傷性層17は造核剤を含むため結晶化度を向上でき、化粧材1の耐擦傷性(耐傷性)を向上することができる。
ナノサイズの造核剤は、平均粒径が可視光の波長領域の1/2以下であることが好ましく、具体的には、可視光の波長領域が400nm以上750nm以下であるので、平均粒径が375nm以下であることが好ましい。
ナノサイズの造核剤は、粒径が極めて小さいため、単位体積当たりに存在する造核剤の数と表面積とが粒子直径の三乗に反比例して増加する。その結果、各造核剤粒子間の距離が近くなるため、樹脂に添加された一の造核剤粒子の表面から結晶成長が生じた際に、結晶が成長している端部が直ちに、一の造核剤粒子に隣接する他の造核剤粒子の表面から成長している結晶の端部と接触し、互いの結晶の端部が成長を阻害して各結晶の成長が止まる。そのため、結晶性樹脂の結晶部における、球晶の平均粒径を小さく、例えば、球晶サイズを小さくして1μm以下とすることができる。この結果、結晶化度の高い高硬度の樹脂フィルムとすることができると共に、曲げ加工時に生じる球晶間の応力集中が効率的に分散されるため、曲げ加工時の割れや白化を抑制した樹脂フィルムを実現することができる。
造核剤を単純添加した場合、樹脂中の造核剤が2次凝集することで粒径が大きくなる。一方、造核剤ベシクルを添加する場合、樹脂中における分散性が向上するため、造核剤を単純添加した場合と比較して添加した造核剤量に対しする結晶核の数が大幅に増加する。このため、樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が小さくなり、曲げ加工時の割れや白化の発生を抑制することができる。よって、造核剤ベシクルを添加することにより結晶化度をより高めることができ、弾性率向上と加工性をより両立可能となる。
高耐傷性層17は、例えば、主成分としてのポリプロピレン樹脂100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤が添加された樹脂材料により形成される。造核剤ベシクルを用いる場合、樹脂材料への造核剤の添加量は、造核剤ベシクル中の造核剤に換算した添加量である。造核剤の添加量が0.05質量部未満の場合、ポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、高耐傷性層17の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。また、造核剤の添加量が0.5質量部を超える場合、結晶核が過多のためポリプロピレンの球晶成長が逆に阻害され、結果的にポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、高耐傷性層17の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
ここで、「主成分」とは、高耐傷性層17を構成する樹脂材料の50質量%以上を占める樹脂材料を示すものとする。
また、造核剤をナノ化する手法としては、例えば、造核剤に対して主に機械的な粉砕を行ってナノサイズの粒子を得る固相法、造核剤や造核剤を溶解させた溶液中でナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う液相法、造核剤や造核剤からなるガス・蒸気からナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う気相法等の方法を適宜用いることができる。固相法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、ハンマーミル、ジェットミル等が挙げられる。また、液相法としては、例えば、晶析法、共沈法、ゾルゲル法、液相還元法、水熱合成法等が挙げられる。更に、気相法としては、例えば、電気炉法、化学炎法、レーザー法、熱プラズマ法等が挙げられる。
造核剤をナノ化する手法としては、超臨界逆相蒸発法が好ましい。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したカプセル(ナノサイズのベシクル)を作製する方法である。超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)及び臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素とは、温度だけ又は圧力だけが臨界条件を越えた条件下の二酸化炭素を意味する。
また、超臨界逆相蒸発法による具体的なナノ化処理としては、まず超臨界二酸化炭素と外膜形成物質としてのリン脂質と内包物質としての造核剤との混合流体中に水相を注入し、攪拌することによって、超臨界二酸化炭素と水相のエマルジョンを生成させる。次に、減圧することで、二酸化炭素が膨張・蒸発して転相が生じ、リン脂質が造核剤粒子の表面を単層膜で覆ったナノカプセル(ナノベシクル)を生成させる。この超臨界逆相蒸発法を用いることにより、造核剤粒子表面で外膜が多重膜となる従来のカプセル化方法とは異なり、容易に単層膜のカプセルを生成することができるので、より小径なカプセルを調製することができる。
なお、造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法などによって調製される。造核剤ベシクルは、その中でも特に超臨界逆相蒸発法を用いて調整されることが好ましい。
造核剤ベシクルを構成する外膜は例えば単層膜から構成される。またその外膜は、例えば、リン脂質等の生体脂質を含む物質から構成される。
本明細書では、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成される造核剤ベシクルを、造核剤リポソームと称する。
外膜を構成するリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
ベシクルの外膜となるその他の物質としては、例えば、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールの混合物などの分散剤が挙げられる。このうちノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン−ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン−ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリスチレン−ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を使用することができる。コレステロール類としては、例えば、コレステロール、α−コレスタノール、β−コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5、24−コレスタジエン−3β−オール)、コール酸ナトリウム又はコレカルシフェロール等を使用することができる。
また、リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成するようにしてもよい。本実施形態の化粧シート10においては、造核剤ベシクルを、リン脂質からなる外膜を具備したラジカル捕捉剤リポソームとすることが好ましく、外膜をリン脂質から構成することによって、化粧シート10の主成分である樹脂材料とベシクルとの相溶性を良好なものとすることができる。
造核剤としては、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定するものではない。造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルク等が挙げられる。特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
上述のように、本実施形態の化粧シート10は、高耐傷性層17が樹脂材料と造核剤とを含有する点に特徴を有している。また、本実施形態の化粧シート10は、高耐傷性層17を形成する際に、樹脂材料に対してベシクルに内包された造核剤を添加して樹脂材料を結晶化させる点に特徴を有している。造核剤をベシクルに内包させた状態で樹脂組成物に添加することで、樹脂材料中、すなわち高耐傷性層17中への造核剤の分散性を飛躍的に向上するという効果が奏する。一方、ベシクルに内包された造核剤を、完成された化粧シート10の状態における物の構造や特性にて直接特定することが、状況により困難な場合も想定され、非実際的であるといえる。その理由は次の通りである。
ベシクルの状態で添加された造核剤は、高い分散性を有して分散された状態になっており、作製された化粧シート10の前駆体である積層体の状態においても高耐傷性層17に高分散されている。しかしながら、化粧シート10の作製工程において、通常、積層体は圧縮処理や硬化処理などの種々の処理が施され、このような処理によって造核剤を内包するベシクルの外膜が破砕したり化学反応する場合がある。このため、化粧シート10の処理工程によって、完成後の化粧シート10における造核剤の外膜が破砕したり化学反応している状態がばらつき、造核剤が外膜で包含(包皮)されていない可能性も高い。そして、造核剤が外膜で包含されていない場合、造核剤の物性自体を数値範囲で特定することが困難であり、また破砕された外膜の構成材料が、ベシクルの外膜なのか造核剤とは別に添加された材料なのか判定が困難な場合も想定される。このように、本開示は、従来に比して、化粧シート10に対し、造核剤が高分散で配合されている点で相違があるものの、造核剤を内包するベシクルの状態で添加されたためなのかどうかが、化粧シート10の状態において、その構造や特性を測定に基づき解析した数値範囲で特定することが非実際的である場合も想定される。
<着色層>
着色層12は、樹脂材料と、染料又は顔料等の着色剤とを含む層である。
着色層12の厚さは、所望の厚さとすることが可能であるが、例えば40μm以上70μm以下であることが好ましく、50μm以上60μm以下であることがより好ましい。着色層12の厚さが40μm以上である場合、顔料による着色効果が十分に発揮できる。また、着色層12の厚さが70μm以下の場合、樹脂材料及び顔料を必要以上に使用することなく着色層12を形成することができる。
(樹脂材料)
着色層12を構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂により構成される。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで着色層として用いられていた熱可塑性樹脂と同様の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、高耐傷性層17に用いられるのと同様に、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
中でも樹脂材料として、ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。着色層12に用いられるポリプロピレン樹脂は、後述する無機顔料を分散し易くするため、所定の範囲内でエチレンコンテンツを有するランダムポリプロピレン樹脂や公知の非晶性ポリプロピレン樹脂を混合することが好ましい。弾性率を向上させ耐傷性を重視する用途においては、高結晶性ホモポリプロピレンを用いることもできるが、複数のポリプロピレン樹脂を併用し、弾性率を調整することもできる。また、製造方法で弾性率をコントロールすることもできる。
(着色剤)
着色層12を構成する着色剤としての無機顔料は、隠蔽性を付与するための酸化チタンに代表される公知の無機顔料を用いることができる。隠蔽性が低い場合、絵柄層13と床材の模様が混在し、好ましくない。無機顔料を含有することにより、隠蔽性が良好な化粧材1を得ることができる。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば天然無機顔料、合成無機顔料が挙げられる。天然無機顔料としては、例えば、土系顔料、焼成土、鉱物性顔料などが挙げられる。合成無機顔料としては、例えば、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料、炭素顔料などが挙げられる。また、天然無機顔料、合成無機顔料の中から、1種類もしくは2種類以上を混合した混合顔料を用いてもよい。カーボンブラックのような有機顔料を併用しても構わない。
更に、分散性の向上や、押出適正を改善するために脂肪酸金属塩などの添加剤を加えても構わない。
無機顔料の混合量は、所望の隠蔽性に応じて調整されればよく、例えば樹脂材料100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下の範囲内とすることが好ましい。無機顔料の混合量が5質量部以上である場合、十分な隠蔽性を得ることができる。また、無機顔料の混合量が50質量部以下である場合、着色層12の脆化が起こりにくくなる。
また、着色層12は、化粧材1を施工する床材の表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽する場合には、隠蔽性の不透明に着色された層とすることが好ましい。また、床材表面の質感を活かす場合には、床材表面を透視可能な透明性を有する程度に着色された層とすることが好ましい。
なお、着色層12としてオレフィン系の原反層のような表面が不活性な基材を用いる場合は、着色層12の表裏に、例えばコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが好ましい。
<絵柄層>
絵柄層13は、着色層12の上面に形成され、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形等の柄模様により形成されている。
絵柄層13の厚さは、3μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。絵柄層13の厚さがこの数値範囲内である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧材1を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
絵柄層13の構成材料は、特に限定されるものではない。例えば、マトリックスと、染料、顔料等の着色剤とを溶剤中に溶解、分散してなる印刷インキやコーティング剤を用いることができる。マトリックスとしては、例えば、油性の硝化綿樹脂、2液ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はこれらの混合物、共重合体等を用いることができる。また、着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、黄鉛、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、又はこれらの混合物を用いることができる。また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、水等、もしくはこれらの混合物等を用いることができる。
また、絵柄層13には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
ここで、絵柄層13は、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法によって形成することができる。これらの印刷方法は、形成する層によって別々に選択してもよいが、同じ方法を選択して一括加工することが効率的である。
なお、着色層12と絵柄層13との間には、目的とする意匠の程度に応じて下地ベタインキ層(不図示)を設けるようにしてもよい。下地ベタインキ層は、着色層12の全面を被覆するようにして設けられる。また、下地ベタインキ層は、求められる隠蔽性等に応じて2層以上の多層としてもよい。さらに、絵柄層13は、求められる意匠を表現するために必要な分版の数だけ積層して形成してもよい。このように、絵柄層13と下地ベタインキ層とは、求められる意匠、つまり、表現したい意匠に応じて様々な組み合わせとなるが、特に限定されるものではない。
下地ベタインキ層は、絵柄層13と同様の材料、印刷法により形成されることが好ましい。また、下地ベタインキ層は、着色層12の全面を被覆しているため、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法等の各種コーティング方法によっても形成することができる。
<基材層>
基材層15は、樹脂材料、例えば熱可塑性樹脂により構成される。
基材層15の厚さは、160μm以上220μm以下の範囲内であることが好ましく、180μm以上190μm以下であることがより好ましい。基材層15の厚さが160μm以上である場合、下地となる床材の凹凸や段差などを吸収して化粧材1の施工仕上がりを良好にすることができる。また、基材層15の厚さが190μm以下である場合、基材層15を必要以上に厚く形成することがなく、化粧材1の製造コストを削減することができる。
また、基材層15は、高耐傷性層17と同様に造核剤又は造核剤ベシクルを含み、高結晶化されていても良い。
(樹脂材料)
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材層として用いられていた熱可塑性樹脂と同様の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、高耐傷性層17に用いられるのと同様に、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
なかでも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは好ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。特に、各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)又はポリオレフィン系樹脂を使用することが最も好ましく、ポリエステル系樹脂を使用することがさらに好ましい。基材層15は、下地となる床材の凹凸や段差等を吸収するために他層よりも厚く形成される必要があるが、一方で絵柄層13の絵柄が基材層15を介して化粧材1表面で鮮明に発現するようにする必要がある。このため、基材層15は、透明性が高く、かつ基材としての硬さを兼ね備えた樹脂材料であるポリエステル系樹脂により形成されることが好ましい。
基材層15には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていてもよい。なお、基材層15は、化粧材1の表面(上面)から着色層12の色彩及び絵柄層13の絵柄を透視可能な程度の透明性(無色透明、有色透明、半透明)を有することが好ましい。
<トップコート層>
トップコート層18は、樹脂材料により構成される。トップコート層18を構成する樹脂材料の主成分となる材料は、例えば、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などの樹脂材料から適宜選択して用いられる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。樹脂材料の硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法、熱硬化法、光硬化型など適宜選択して行うことができる。
トップコート層18の主成分として用いる樹脂材料としては、イソシアネートを用いたウレタン系のものが作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などの硬化剤より適宜選定して用いることができる。なかでも、耐候性の点から、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)を用いることが好ましい。この他にも、表面硬度の向上を図る場合には、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いることが可能であり、例えば、熱硬化型と光硬化型とのハイブリッド型とすることにより、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制及び密着性の向上を図ることができる。
トップコート層18は、艶調整のために艶調整剤を含んでいても良い。艶調整剤としては、市販されている公知の材料を用いればよく、例えば、シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機材料からなる微粒子を用いてもよい。また、艶調整剤として、アクリル等の有機材料からなる微粒子を用いることもできる。ただし、高い透明性が要求される場合には、艶調整剤として透明性の高いシリカ、ガラス、アクリル等の微粒子を用いることが好ましい。特に、シリカやガラス等の微粒子のなかでも、中実の真球状粒子ではなく、微細な1次粒子が2次凝集した嵩密度の低い艶調整剤は、添加量に対する艶消し効果が高い。それゆえ、嵩密度の低い艶調整剤を用いることで、艶調整剤の添加量を少なくすることができる。
また、トップコート層18に各種機能を付与するために、トップコート層18は抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤を含んでいてもよい。また、トップコート層18は、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定化剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。また、光安定化剤としては、ヒンダードアミン系の光安定化剤が挙げられる。
トップコート層18の層厚は、3μm以上15μm以下の範囲内が好ましい。トップコート層18の層厚が3μm以上である場合、耐傷性の向上効果が高くなる。また、トップコート層18の層厚が15μm以下である、曲げ加工時におけるクラックや割れの発生を抑制し、化粧材1の意匠性や耐候性の悪化を抑制することができる。
<接着剤層>
第一接着剤層14は、基材層15と着色層12及び絵柄層13とを接着するために形成され、第二接着剤層16は、基材層15と高耐傷性層17とを接着するために形成される層である。第一接着剤層14及び第二接着剤層16を構成する材料は特に限定されるものではなく、接着する層間の相性を鑑みてウレタン系樹脂・変性シリコン系樹脂・エポキシ樹脂等の接着剤やポリエステル系樹脂等の粘着剤等公知の材料を適宜使用することができる。また、化粧材1の製造方法によっては第一接着剤層14及び第二接着剤層16は設けられていなくても良い。
<プライマー層>
プライマー層11としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、これらの混合物等を使用することができる。更に、ポリオールとイソシアネートによる2液タイプにすることで、着色層12とプライマー層11との密着性及びプライマー層11自体の凝集力が向上する。ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。また、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂肪族系が挙げられる。プライマー層11は、反応性の早さ、耐熱性の点で芳香族系のポリオールを用いることが好ましい。
プライマー層11の厚みは、1μm以上であることが好ましい。プライマー層11の厚みを1μm以上とすることにより、溶剤によって接着剤が溶解し、プライマー層11が消失して密着性が低下することを防止することができる。
なお、化粧シート10を床材上に施工する場合、床材表面の凹凸が大きい場合には、予めパテによる目止めを行い、必要時応じてプライマー塗布を行うのが良い。
(1.2)化粧材の製造方法
化粧シート10の一製造例について説明する。
まず、着色層12となる着色フィルムを形成する。ポリプロピレン樹脂に無機顔料を添加した無機顔料含有ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、押し出し成形などによって、厚さが40μm以上70μm以下のシート状に成形して着色層12とする。この後、着色フィルム上に、所望の絵柄を印刷によって形成して絵柄層13を形成する。
次に、基材層15となる基材フィルムを形成する。ポリエステル樹脂を加熱溶融し、押し出し成形などによって、厚さが160μm以上220μm以下のシート状に成形して基材層15とする。
ここで、着色フィルム及び基材フィルムは同時に形成されても良く、異なる順序で形成されても良い。
続いて、着色フィルム及び基材フィルムをドライラミネートにより貼り合わせる。着色フィルムの絵柄層13が形成された面に、第一接着剤を塗布し、乾燥させて第一接着剤層14を形成した後、第一接着剤層14に対して基材フィルムを圧着し、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14及び基材層15を有する第一積層体を形成する。
次に、光ベシクルに造核剤を内包させて当該造核剤をベシクル化してなる造核剤ベシクルを作製し、作製した造核剤ベシクルを、ポリプロピレン樹脂に添加して高耐傷性層17用の樹脂材料を作製する。造核剤ベシクルは、例えば、超臨界逆相蒸発法によって単層膜を具備するベシクルに造核剤を内包させてベシクル化することで作製する。
続いて、加熱溶融した造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂を第一積層体の基材フィルムの側の面に押出し、押出ラミネートにより厚さが70μm以上110μm以下のシート状に成形して高耐傷性層17とする。これにより、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15及び高耐傷性層17を有する第二積層体を形成する。このとき、結晶化温度から硬化完了温度までの冷却時間を公知の調整方法で調整することで、高耐傷性層17の結晶化状態を所望の耐傷性が得られる状態に調整することができる。
最後に、第二積層体の高耐傷性層17側面にトップコート層18を形成する。
以上により、化粧シート10を形成することができる。
なお、上述した例では、着色層12、絵柄層13及び基材層15の形成にドライラミネートを用い、高耐傷性層17の形成に押出ラミネートを用いたが、これに限られない。例えば、各フィルムの押し出し成形時にTダイもしくはTダイ前のフィードブロックにて溶融樹脂(第一接着剤及び第二接着剤)を合流させ、共押し出し成形にて化粧シート10を形成しても良い。共押し出し形成を用いる場合、化粧シート10の形成が簡便であり、生産性が高いため好ましい。また、高耐傷性層17となる高耐傷性フィルムを予め作成し、基材フィルム及び高耐傷性フィルムをドライラミネートを用いて貼り合せても良い。
続いて、上述した化粧シート10に含まれるプライマー層11の着色層12に対向する面と反対側の面上に、裏面接着剤層9を塗工した後、ラミネータを用いて、化粧シート10と木質基材層31とを貼り合せて、化粧材1を製造する。
(1.3)変形例
上述した化粧材1は、表面が平坦である場合について説明したが、このような構成に限られない。例えば、図2に示すように、化粧材1は、化粧シート10のトップコート層18、又はトップコート層18及び高耐傷性層17の上面に凹凸を付与してより意匠性が高められていても良い。
(1.4)第一実施形態の効果
以上のような化粧材1は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の化粧材1は、中密度繊維板である木質基材層31を有することが好ましい。
この構成によれば、床材の不陸の影響を受けにくくし、かつ化粧材1全体の強度を向上させることができる。
(2)本実施形態の化粧材1は、裏面接着剤層32の塗布量は、3g/m以上20g/m以下の範囲内であることが好ましい。
この構成によれば、プライマー層11と木質基材層31との間の密着性が向上させることができる。
(3)本実施形態の化粧材1は、樹脂材料とナノサイズの造核剤とを含み、結晶性樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が小さく高結晶化された高耐傷性層17を有している。
この構成によれば、耐傷性に優れ、重歩行時における靴のかかとや小石による傷の発生を抑制可能な化粧材1を提供することができる。
(4)本実施形態の化粧材1は、高耐傷性層17を構成する樹脂材料100質量部に対して造核剤が0.05質量部以上0.5質量部以下添加されて高結晶化された高耐傷性層17を有することが好ましい。
この構成によれば、高耐傷性層17を構成する樹脂材料の結晶化度が十分に向上し、重歩行時に要求される耐傷性を十分に有する化粧材1を得ることができる。
(5)本実施形態の化粧材1は、外膜で包含されてベシクル化された造核剤ベシクルが添加された樹脂材料により高耐傷性層17が形成されることが好ましい。
この構成によれば、高耐傷性層17を構成する樹脂材料の結晶化度が十分に向上し、重歩行時に要求される耐傷性を十分に有する化粧材1を得ることができる。
(6)本実施形態の化粧材1は、造核剤ベシクルが、リン脂質からなる外膜を備える造核剤リポソームであることが好ましい。
この構成によれば、高耐傷性層17の主成分である樹脂材料とベシクルとの相溶性を良好なものとすることができる。
(7)本実施形態の化粧材1は、着色層12の一方の面に絵柄層13が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、化粧材1の意匠性を向上させることができる。
2.第二実施形態
以下、本開示の第二実施形態に係る化粧材について、図3を用いて説明する。
図3は、本開示の第二実施形態に係る化粧材2の一構成例を説明するための断面図である。本実施形態に係る化粧材2は、化粧材1と同様に、建物の床材、特に土足で歩行される空間の床材上に施工される化粧材である。
化粧材2は、木質基材層31及び裏面接着剤層32と、プライマー層11、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15、第二接着剤層16、高耐傷性層27及びトップコート層18を有する化粧シート20と、を備えている。
すなわち、化粧材2は、高耐傷性層17に代えて高耐傷性層27を備える点で、第一実施形態に係る化粧材1と相違する。
以下、高耐傷性層27について説明する。なお、高耐傷性層27以外の各層(プライマー層11、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15、第二接着剤層16、トップコート層18、木質基材層31及び裏面接着剤層32)については、化粧シート10及び化粧材1の各層と同様の構成であるため説明を省略する。
(2.1)化粧材の基本構成
<高耐傷性層>
高耐傷性層27は、樹脂材料と無機材料とを含む層である。第一実施形態にかかる化粧材1では、造核剤を含む樹脂材料によって高い結晶性を有する高耐傷性樹脂シートを形成して高耐傷性層17とした。一方、第二実施形態にかかる化粧シート20及び化粧材2では、硬度の高い無機粒子を含む樹脂材料によって高い硬度を有する高耐傷性樹脂シートを形成して高耐傷性層27とすることで、高耐傷性を有する化粧シート20及び化粧材2を得る。
無機粒子としては、例えばナノサイズのシリカ、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機材料からなる微粒子が挙げられる。
高耐傷性層27は、例えば、樹脂材料100質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で無機粒子が添加された樹脂材料により形成される。
高耐傷性層27は、例えば、ナノサイズの無機粒子を含む無機粒子含有ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、押し出し成形などによって厚さが70μm以上110μm以下のシート状に成形されることにより得られる。
(2.2)第二実施形態の効果
以上のような化粧材2は、第一実施形態の効果(5)に加えて以下の効果を有する。
(8)本実施形態の化粧材2は、樹脂材料と無機粒子とを含み、高硬度化された高耐傷性層27を有している。
この構成によれば、耐傷性に優れ、重歩行時における靴のかかとや小石による傷の発生を抑制可能な化粧材2を提供することができる。
3.第三実施形態
以下、本開示の第三実施形態に係る化粧材について、図4を用いて説明する。
図4は、本開示の第三実施形態に係る化粧材3の一構成例を説明するための断面図である。本実施形態に係る化粧材3は、化粧材1と同様に、建物の床材、特に土足で歩行される空間の床材上に施工される化粧材である。
(3.1)化粧材の基本構成
化粧材3は、第一実施形態に係る化粧材1又は第二実施形態に係る化粧材2の木質基材層31側の面に、離型シート41と粘着層42とを備えるタック層40を備えている点で、化粧材1、2と相違する。すなわち、化粧材3は、離型シート41、粘着層42、木質基材層31、裏面接着剤層32、プライマー層11、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15、第二接着剤層16、高耐傷性層17又は高耐傷性層27、及びトップコート層18を備えている。
以下、タック層40について説明する。なお、タック層40以外の各層(プライマー層11、着色層12、絵柄層13、第一接着剤層14、基材層15、第二接着剤層16、高耐傷性層17又は27、及びトップコート層18)については、化粧材1の各層と同様の構成であるため説明を省略する。
<タック層>
(離型シート)
離型シート41は、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の各種形態のものを適宜使用できる。例えば、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
(粘着層)
粘着層42は、離型シート41及びプライマー層11の双方との親和性が高い材料であれば特に限定されない。粘着層42は、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系接着剤及び酢酸ビニル系接着剤等を挙げることができる。
粘着層42は、貼り付け面(床材)に対する化粧材3の密着強度が10N/inch以上であることが好ましく、15N/inch以上であることがより好ましく、20N/inch以上であることがさらに好ましい。ここで、本実施形態において、貼り付け面(床材)に対する化粧材3の密着強度は、JISZ0237に準拠した剥離試験を行った場合の剥離強度よって示される。なお、粘着層42と床材との間の密着が得られにくい場合、床材上に粘着層42との密着性が向上するプライマー等を塗布してから化粧材3を貼り合せることが好ましい。
粘着層42の厚さは、50μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着層42の厚さが50μm以上である場合、化粧材3を貼り合わせた面である床材に異物や傷があったときでも、異物や傷の凹凸を吸収して、化粧材3の接着性を高めることができる。また、粘着層42の厚さが50μm以上である場合、床材上に貼り合わされた他の化粧材の上から本実施形態の化粧材3を貼り合せる場合においても化粧材3の施工仕上がりを良好にするとともに、施工作業を効率化することができる。さらに、粘着層42の厚さが100μm以下である場合、粘着層42が必要以上に厚くなりすぎず、化粧材3の端面から粘着剤がはみ出すことを防止して、製造コスト削減や施工作業性低下の抑制につながる。
(3.2)第三実施形態の効果
以上のような化粧材3は、第一、第二実施形態の効果(1)〜(5)又は(5)及び(6)に加えて、以下の効果を有する。
(9)本実施形態の化粧材3は、化粧材3の下面側に離型シート41と粘着層42とを有するタック層40を有している。
この構成によれば、耐傷性に優れ、重歩行時における靴のかかとや小石による傷の発生を抑制可能な化粧材3の床材への施工性を向上させることができる。
(10)本実施形態の化粧材3は、50μm以上100μm以下の厚みの粘着層42を有するタック層40を有していても良い。
この構成によれば、施工時に床材上に接着剤を塗布して化粧材3を圧着していく施工作業を効率化することができる。
以下、本開示に係る化粧シートについて、実施例を挙げて説明する
実施例では、第三実施形態で説明した構成のタック層付き化粧シートを作製し、床材上に貼り合せて化粧シートの評価を行った。
<実施例1>
厚さ55μmの着色シート(リケンテクノス社製)を着色層として用い、着色シートの一方の表面に、グラビア印刷によりウレタンインキ(東洋インキ株式会社製ラミスター)を用いて木目柄を印刷して絵柄層とした。
また、着色シートの絵柄層形成側面とは反対側の面に、グラビア印刷により2液ウレタン系樹脂を用いて固形分量が1g/mとなるようにして塗工してプライマー層とした。
次に、着色シートの絵柄層形成側面に、基材シートである厚さ190μmの透明ポリエステルフィルムをアクリル系接着剤(東洋モートン株式会社製)を用いてドライラミネートにより貼り合わせた。この後、着色シートと基材シートとを、十分な養生期間を設けてしっかり接着させた。
続いて、ポリプロピレン樹脂に造核剤ベシクルを混合し、着色シートと貼り合わされた基材シートの表面に加熱溶融した造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂を厚さ90μmのシート状に押出して、押出ラミネートにより高耐傷性層を形成した。
続いて、高耐傷性層の表面に、紫外線硬化型樹脂(DICグラフィック社製アクリルウレタン樹脂)をコーティングしてトップコート層を形成して、化粧シートを作製した。
続いて、木質基材層である厚さ3mmの耐水MDF合板に水系ウレタン系接着剤を塗布し、化粧シートのプライマー層の表面に水系ウレタン系接着剤を貼り合わせ、30℃以上50℃以下でプレス機を用いて圧縮した。貼り合わせにはラミネータを用いた。
最後に、離型紙に耐反発力のあるアクリル系粘着剤60μmを塗布し、化粧シートと貼り合わされた耐水MDF合板の表面にアクリル系粘着剤を貼り合わせて、実施例の化粧材を作製した。このとき、アクリル系粘着剤として、SUSに対して粘着層とPETフィルムとを有するタック層を貼り付け、JISZ0237に準拠した剥離試験を行った場合の値(20分間放置後に測定した速度300mm/minでの180°剥離強度)が20N/inch以上である粘着剤Aを用いた。
<実施例2>
造核剤ベシクルではなく無機粒子をポリプロピレン樹脂に混合して高耐傷性層を形成した以外は実施例1と同様にして実施例2の化粧材を形成した。
<実施例3>
基材層を設けなかった以外は実施例1と同様にして実施例3の化粧材を形成した。
<実施例4>
アクリル系粘着剤として、JISZ0237に準拠した剥離試験を行った場合の値が10N/inch未満の粘着強度がある粘着剤Bを用いた以外は、実施例と同様にして実施例4の化粧材を形成した。
<比較例1>
高耐傷性層を設けなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の化粧材を形成した。
<比較例2>
アクリル粘着剤として粘着剤Bを用いた。また、木質基材層を設けなかった。それ以外は実施例1と同様にして比較例2の化粧材を形成した。
<評価>
(a)表面凹凸評価
実施例1〜4及び比較例1,2の化粧材を表面に凹凸のある床上に貼り合わせ、化粧材の表面を指で触り、表面の凹凸の状態をA、B、C、Dの4段階で評価した。
(b)耐傷性の評価1(摩耗試験)
実施例1〜4及び比較例1,2の化粧材をビニル床上に貼り合せ、フローリングの日本農林規格(JAS:Japanese Agricultural Standards)に規定された摩耗A試験を3000回クリアできるか否かを確認した。
(c)耐傷性の評価2(スクラッチ試験)
実施例1〜4及び比較例1,2の化粧材のそれぞれの表面を10円硬貨で強く引っ掻き、連続的な傷跡が生じるか否かを確認した。この試験では、3か所を硬貨で引っ掻き、傷跡が生じた本数を確認した。
(d)床材への接着性の評価
実施例1〜4及び比較例1,2の化粧材をビニル床上に貼り合せ、貼り合せ30日後においてビニル床に対する化粧材の接着性を目視にて確認した。
以下、表1に耐傷性及び床材への接着性の評価結果を示す。表1では、評価結果を、評価結果が高い順に「A」「B」「C」「D」で記載した。
ここで、表面凹凸評価において、「A」は表面に凹凸が全くなく、平滑であるように感じる場合を示し、「B」は表面の凹凸をほぼ感じない場合を示し、「C」は表面の一部分に凹凸を感じる場合を示し、「D」は床の凹凸形状に沿って凹凸を感じる場合を示した。
摩耗試験において、「A」は摩耗A試験を3000回以上クリアした場合を示し、「B」は摩耗A試験を2000回以上クリアした場合を示し、「C」は摩耗A試験を1000回以上クリアした場合を示し、「D」は摩耗A試験を1000回以上クリアできなかった場合を示す。
また、スクラッチ試験において、「A」は傷が0本の場合を示し、「B」は傷が1本の場合を示し、「C」は傷が2本の場合を示し、「D」は傷が3本の場合を示す。
また、床材への接着性において、「A」は化粧材の剥がれがない場合を示し、「B」は化粧材の端部に微量の剥がれがある場合を示し、「C」は化粧材の端部に大きな剥がれがある場合を示し、「D」は化粧材が完全に剥がれた場合を示す。
Figure 2021154498
表1から分かるように、高耐傷性層及び基材層の双方を有する実施例1,4の化粧材は、摩耗試験を3000回以上クリアでき、スクラッチ試験においても1本のみ傷が生じた。そして、基材層を備えず、高耐傷性層を有する実施例3は、摩耗試験における摩耗減量が実施例1,4の化粧材と比較して大きかったものの、摩耗A試験を1000回以上クリアでき、スクラッチ試験においても1か所のみ傷が生じた。また、実施例1〜4の化粧材は、表面凹凸評価において表面に凹凸が全くなかった。
一方、比較例1の化粧材は、摩耗試験を2000回転以上クリアすることができたものの、スクラッチ試験では傷が3本生じてしまった。
また、比較例2の化粧材は、摩耗A試験を3000回以上クリアでき、スクラッチ試験においても1か所のみ傷が生じた。また、比較例2の化粧材は、表面凹凸評価において表面の一部分に凹凸が感じられた。
また、表1から分かるように、造核剤ベシクルをポリプロピレン樹脂に混合して高耐傷性層を形成した実施例1の化粧材は、スクラッチ試験において傷が生じなかった。一方、無機粒子をポリプロピレン樹脂に混合して高耐傷性層を形成した実施例2の化粧材は、スクラッチ試験において2本の傷が生じた。
また、表1から分かるように、木質基材層を設けつつアクリル粘着剤として粘着剤Bを用いて形成した実施例4の化粧材は、ビニル床からの剥がれが全くなかった。一方、木質基材層を設けずにアクリル粘着剤として粘着剤Bを用いて形成した比較例2の化粧材は、シート端部に微量の剥がれが生じた。
以上の評価結果から、高耐傷性層を有する実施例1から4の化粧材は、高耐傷性層を有さない比較例1の化粧材と比較してスクラッチ試験での評価が高く、局所的な引っ掻き等に対して高い効果を有することが確認された。また、高耐傷性層と基材層との双方を有する実施例1及び実施例4の化粧材は、高耐傷性層を有し基材層を有さない実施例3の化粧材と比較して摩耗試験での評価がより高く、化粧材全体の摩耗に対してさらに効果を有することが確認された。したがって、特に重歩行空間で用いられる床用の化粧材は、高耐傷性層を備えることにより、靴のかかとや小石等に対する高い耐傷性を有することが確認された。
また、以上の評価結果から、木質基材層を設けつつJISZ0237に準拠した剥離試験を行った場合の剥離強度が10N/inch以上の粘着剤を用いて形成した粘着層を有する化粧シートは、床材への接着性が30日経過後でも良好であることが確認された。
また、以上の評価結果から、造核剤ベシクルを含む高耐傷性層を形成した実施例1の化粧材は、無機粒子を含む高耐傷性層を形成した実施例2の化粧材と比較して、スクラッチ試験での評価が高く、局所的な引っ掻き等に対して高い効果を有することが確認された。
また、以上の評価結果から、木質基材層を有する実施例1の化粧材は、木質基材層を有さない比較例2の化粧材と比較してスクラッチ試験での評価が高く、また高い耐傷性を有することが確認された。
また、以上の評価結果から、木質基材層を有する実施例1の化粧材は、木質基材層を有さない比較例2の化粧材と比較して表面凹凸評価が高く、床材の不陸の影響を受けにくいことが確認された。
なお、本開示の粘着シートは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
1,2,3 化粧材
10,20 化粧シート
11 プライマー層
12 着色層
13 絵柄層
14 第一接着剤層
15 基材層
16 第二接着剤層
17,27 高耐傷性層
18 トップコート層
31 木質基材層
32 裏面接着剤層
40 タック層
41 離型シート
42 粘着層

Claims (19)

  1. 樹脂材料で構成された基材層と、
    前記基材層の一方の面側に設けられ、樹脂材料と造核剤又は無機粒子とを含む高耐傷性層と、
    前記基材層の前記高耐傷性層に対向する面と反対側の面に設けられた裏面接着剤層と、
    前記裏面接着剤層の前記基材層に対向する面と反対側の面に設けられた木質基材層と、
    を備える化粧材。
  2. 前記木質基材層が中密度繊維板である
    請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記木質基材層の厚さは、3mm以上6mm以下である
    請求項1又は2に記載の化粧材。
  4. 前記高耐傷性層は、単層膜の外膜を具備するベシクルにナノサイズの造核剤が内包された造核剤ベシクルを含む、
    請求項1に記載の化粧材。
  5. 前記造核剤ベシクルは、リン脂質からなる外膜を備える造核剤リポソームである
    請求項4に記載した化粧材。
  6. 前記造核剤ベシクルは、超臨界逆相蒸発法によって単層膜を具備するベシクルに前記造核剤を内包させてベシクル化されている
    請求項4又は5に記載した化粧材。
  7. 前記高耐傷性層は、前記樹脂材料100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で前記造核剤が添加された樹脂材料により形成される
    請求項4から6のいずれか1項に記載の化粧材。
  8. 前記高耐傷性層は、前記無機粒子として、ナノサイズのシリカ、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムの少なくとも一種を含む
    請求項1に記載の化粧材。
  9. 前記高耐傷性層は、前記樹脂材料100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で前記無機粒子が添加された樹脂材料により形成される
    請求項8に記載の化粧材。
  10. 前記高耐傷性層の厚さは、70μm以上110μm以下である
    請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧材。
  11. 前記基材層の厚さは、160μm以上220μm以下である
    請求項1から10のいずれか1項に記載の化粧材。
  12. 前記高耐傷性層の前記基材層に対向する面と反対側の面に設けられたトップコート層を備える
    請求項1から11のいずれか1項に記載した化粧材。
  13. 前記基材層と前記裏面接着剤層との間に備えられ、前記基材層の他方の面に設けられた絵柄層と、
    前記絵柄層の前記基材層に対向する面と反対側の面に設けられた着色層と、
    を備える
    請求項1から12のいずれか1項に記載の化粧材。
  14. 前記木質基材層の前記絵柄層形成面と反対側の面に設けられたプライマー層と、
    前記プライマー層の前記木質基材層に対向する面と反対側の面に設けられた粘着層と、
    前記粘着層の前記プライマー層に対向する面と反対側の面に設けられた離型シートと、を備える
    請求項13に記載の化粧材。
  15. 前記粘着層の厚さは、50μm以上100μm以下である
    請求項14に記載の化粧材。
  16. 前記粘着層の密着強度は、10N/inch以上である
    請求項14又は15に記載の化粧材。
  17. 前記裏面接着剤層の塗布量が、3g/m以上20g/m以下である
    請求項1に記載の化粧材。
  18. フローリングの日本農林規格に規定された摩耗A試験の基準を3000回以上満たす
    請求項1から17のいずれか1項に記載の化粧材。
  19. ベシクルに造核剤を内包させて、該造核剤をベシクル化してなる造核剤ベシクルを生成し、
    第一樹脂材料を用いて形成された基材層の一方の面に、前記造核剤ベシクルを含む第二樹脂材料を用いて高耐傷性層を形成する
    化粧材の製造方法。
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