JP2021153458A - インゲン豆の改質方法、インゲン豆麹、及び経口用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上することができ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有するインゲン豆由来の新たな素材、及び前記新たな素材を含む経口用組成物を提供すること。
【解決手段】蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることを含み、前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上である、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法である。
【選択図】なし
【解決手段】蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることを含み、前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上である、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法(以下、「インゲン豆の改質方法」と称することがある。)、インゲン豆麹、及び経口用組成物に関する。
インゲン豆は、食物繊維や抗酸化活性をはじめとした機能性を有するポリフェノールを多く含む。例えば、インゲン豆の一種である大正金時(金時豆の品種の1つ)にラットの脂質代謝と腸内環境の改善効果があることが報告されており(非特許文献1参照)、機能性食品素材として注目されている豆群である。
インゲン豆はポリフェノールの中でもプロシアニジンを多く含む(非特許文献2参照)。プロシアニジンには、抗酸化作用のみならず、肝損傷抑制作用、糖代謝促進作用、脂質代謝促進作用などの多様な機能が報告されている(非特許文献3参照)。
インゲン豆には、水溶性のポリフェノールだけでなく、難水溶性のポリフェノールも含まれる。そのため、豆のポリフェノールを水に溶出させた機能性食品などを製造する場合、難水溶性のポリフェノールを溶出、利用できないという問題がある。
これまでに、難水溶性のポリフェノールの水溶性を向上させる技術がいくつか報告されているが、可溶化剤となる何らかの化学物質を添加して処理するものがほとんどである(特許文献1〜3参照)。
一方、麹菌が生産する酸性プロテアーゼには、腸内環境の改善効果があることが報告されている(非特許文献4参照)。そのため、インゲン豆に酸性プロテアーゼ活性を付与できれば、インゲン豆が有する腸内環境の改善効果のさらなる向上が期待される。
しかしながら、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上することができ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法や、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有するインゲン豆由来の素材は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
第73回日本栄養・食糧学会大会2H−09p(2019)
Yolanda Aguilera、他、Food Research International、Vol.44、No.3、Page.774−780(2011)
山下陽子、他、化学と生物、Vol.54、No.10、Page.747−752(2016)
楊永寿、他、生物工学会誌、Vol.97、No.4、Page.178−181(2019)
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上することができ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有するインゲン豆由来の新たな素材、及び前記新たな素材を含む経口用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることで、可溶化剤となる化学物質を添加しなくても、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与できることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見等に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法であって、
蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることを含み、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とする方法である。
<2> 前記蒸煮したインゲン豆が破砕されたものである前記<1>に記載の方法である。
<3> 前記インゲン豆が金時豆である前記<1>から<2>のいずれかに記載の方法である。
<4> 乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、かつ、乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とするインゲン豆麹である。
<5> 前記<4>に記載のインゲン豆麹を含むことを特徴とする経口用組成物である。
<1> インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法であって、
蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることを含み、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とする方法である。
<2> 前記蒸煮したインゲン豆が破砕されたものである前記<1>に記載の方法である。
<3> 前記インゲン豆が金時豆である前記<1>から<2>のいずれかに記載の方法である。
<4> 乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、かつ、乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とするインゲン豆麹である。
<5> 前記<4>に記載のインゲン豆麹を含むことを特徴とする経口用組成物である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上することができ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有するインゲン豆由来の新たな素材、及び前記新たな素材を含む経口用組成物を提供することができる。
(インゲン豆の改質方法)
本発明のインゲン豆の改質方法は、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法であって、発酵工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
本発明のインゲン豆の改質方法は、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法であって、発酵工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<発酵工程>
前記発酵工程は、蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とする工程である。
前記発酵工程は、蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とする工程である。
−蒸煮したインゲン豆−
前記インゲン豆(Phaseolus vulgaris)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金時豆、うずら豆、虎豆、毛亡、大福豆などが挙げられる。
また、前記インゲン豆の品種や産地としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記インゲン豆は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インゲン豆(Phaseolus vulgaris)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金時豆、うずら豆、虎豆、毛亡、大福豆などが挙げられる。
また、前記インゲン豆の品種や産地としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記インゲン豆は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記蒸煮したインゲン豆を調製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水などで洗浄したインゲン豆を水に浸漬し、十分に膨潤させた後、蒸煮することで調製することができる。
前記浸漬は、インゲン豆を十分に膨潤させることができれば、その条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、豆の重量の1.5〜5倍量の水に8〜24時間浸漬するなどが挙げられる。
前記蒸煮の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、80〜150℃の温度範囲で1分間以上蒸煮するなどが挙げられる。前記蒸煮は、加圧して行ってもよい。
−白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかの接種−
前記蒸煮したインゲン豆は、そのまま白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種してもよいし、破砕後に白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種してもよい。これらの中でも、より高い酸性プロテアーゼ活性を付与することができる点で、破砕後に白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種することが好ましい。
前記蒸煮したインゲン豆は、そのまま白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種してもよいし、破砕後に白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種してもよい。これらの中でも、より高い酸性プロテアーゼ活性を付与することができる点で、破砕後に白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種することが好ましい。
前記破砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、破砕物中に含まれるすべての粒子の粒子径が10mm以下になるように破砕することが好ましい。
本発明において、前記粒子径は、粒子を平面視した際に最も長くなる径の長さのことをいう。
本発明において、前記粒子径は、粒子を平面視した際に最も長くなる径の長さのことをいう。
前記蒸煮したインゲン豆を破砕する方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができ、例えば、ミキサー、破砕機、フードプロセッサーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記麹菌としては、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、いずれか一方を使用してもよいし、両者を併用してもよい。
前記白麹菌としては、例えば、Aspergillus luchuensis mut. kawachii(Aspergillus kawachii)などが挙げられる。
前記黒麹菌としては、例えば、Aspergillus luchuensisなどが挙げられる。
前記白麹菌としては、例えば、Aspergillus luchuensis mut. kawachii(Aspergillus kawachii)などが挙げられる。
前記黒麹菌としては、例えば、Aspergillus luchuensisなどが挙げられる。
前記麹菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、種麹の接種量として、蒸豆100gあたり10〜400mgなどが挙げられる。
−発酵−
前記発酵の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度範囲は25〜30℃、湿度範囲は55〜95%、培養期間は1〜5日間などが挙げられる。前記発酵の条件は、発酵期間中一定であってもよいし、変更してもよい。
前記発酵の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度範囲は25〜30℃、湿度範囲は55〜95%、培養期間は1〜5日間などが挙げられる。前記発酵の条件は、発酵期間中一定であってもよいし、変更してもよい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した蒸煮したインゲン豆を調製する工程などが挙げられる。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した蒸煮したインゲン豆を調製する工程などが挙げられる。
前記インゲン豆の改質方法によれば、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与することができる。
具体的には、前記インゲン豆の改質方法により得られるインゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上とすることができる。
インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フォーリン・デニス(Folin−Denis)法により測定し、没食子酸換算で算出することができる。
インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、国税庁所定分析法により測定することができる。
本発明において、乾燥重量とは、水分含量が10重量%以下になるまで乾燥させた状態におけるインゲン豆麹の重量のことをいう。
本発明のインゲン豆の改質方法によれば、インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上することができ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与することができるので、経口用組成物に配合する素材の調製などに好適に用いることができる。
(インゲン豆麹)
本発明のインゲン豆麹は、乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、かつ、乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上である。
本発明のインゲン豆麹は、乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、かつ、乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上である。
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量としては、没食子酸換算で、3.5mg以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5.0mg以上が好ましく、6.5mg以上がより好ましい。
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性としては、25,000U以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30,000U以上が好ましく、50,000U以上がより好ましく、80,000U以上がより好ましい。
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量の測定方法、及び前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性の測定方法は、上記した(インゲン豆の改質方法)の項目に記載したものと同様である。
<製造方法>
本発明のインゲン豆麹の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記した本発明のインゲン豆の改質方法と同様の方法で製造することが好ましい。
本発明のインゲン豆麹の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記した本発明のインゲン豆の改質方法と同様の方法で製造することが好ましい。
本発明のインゲン豆麹は、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有するので、経口用組成物に配合する素材として好適に用いることができる。
(経口用組成物)
本発明の経口用組成物は、本発明のインゲン豆麹を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
本発明の経口用組成物は、本発明のインゲン豆麹を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記インゲン豆麹の経口用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記経口用組成物は、前記インゲン豆麹のみからなるものであってもよい。
<その他の成分>
前記経口用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、通常の飲食品の製造に用いられる補助的原料又は添加物などの中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の経口用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記経口用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、通常の飲食品の製造に用いられる補助的原料又は添加物などの中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の経口用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記経口用組成物は、経口的に摂取される一般的な食品;サプリメント、機能性食品等の健康食品;特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の保健機能食品;医薬部外品;医薬品などを構成する食品(飲料を含む)を幅広く含む。
前記経口用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。また、前記インゲン豆麹を食品に添加したりすることにより製造することも可能である。
前記経口用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。また、前記インゲン豆麹を食品に添加したりすることにより製造することも可能である。
本発明の経口用組成物は、水溶性ポリフェノールの含有量が高く、かつ高い酸性プロテアーゼ活性を有する本発明のインゲン豆麹を含むので、腸内環境の改善効果などが期待される。
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
インゲン豆の一種である金時豆を洗浄後、豆の重量の2.65倍量の水で20時間浸漬した。
浸漬後の金時豆を130℃で45分間加圧蒸煮した。
その後、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種した。
次いで、以下の温度と湿度経過で48時間発酵させ、インゲン豆麹を得た。
[発酵]
(1) 0〜18時間 ・・・ 温度30℃、湿度95%
(2) 18〜44時間 ・・・ 温度30℃、湿度75%
(3) 44〜48時間 ・・・ 温度30℃、湿度55%
インゲン豆の一種である金時豆を洗浄後、豆の重量の2.65倍量の水で20時間浸漬した。
浸漬後の金時豆を130℃で45分間加圧蒸煮した。
その後、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種した。
次いで、以下の温度と湿度経過で48時間発酵させ、インゲン豆麹を得た。
[発酵]
(1) 0〜18時間 ・・・ 温度30℃、湿度95%
(2) 18〜44時間 ・・・ 温度30℃、湿度75%
(3) 44〜48時間 ・・・ 温度30℃、湿度55%
(試験例2)
試験例1において、蒸豆に種麹を接種していた点を、粒子径が10mm以下になるように破砕した蒸豆に種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
試験例1において、蒸豆に種麹を接種していた点を、粒子径が10mm以下になるように破砕した蒸豆に種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
(試験例3)
試験例1において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の白麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
試験例1において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の白麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
(試験例4)
試験例2において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の白麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
試験例2において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の白麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
(試験例5)
試験例1において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の黒麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
試験例1において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の黒麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
(試験例6)
試験例2において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の黒麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
試験例2において、蒸豆100gあたり20mgの量の黄麹菌の種麹を接種していた点を、蒸豆100gあたり200mgの量の黒麹菌の種麹を接種した以外は、試験例1と同様にして、インゲン豆麹を得た。
(評価)
<水溶性遊離ポリフェノール量の測定>
試験例1〜6で得られたインゲン豆麹の粉砕後の凍結乾燥サンプル1gに水を10mL加えて攪拌後、37℃で10分間ソニケーションし、水溶性ポリフェノールを抽出した。遠心分離して上清を回収後、残渣に再度水を10mL加えてボルテックスした。37℃で10分間ソニケーション後、遠心分離し、上清を回収した。これをさらに2回繰り返し、全4回抽出と上清の回収を行った。4回の抽出で回収した上清を足し合わせ、50mLになるように水でメスアップした。これを水で2倍希釈したサンプルを、フォーリン・デニス(Folin−Denis)法に供した。
フォーリン・デニス法によるポリフェノール量の定量は以下のように実施した。
サンプル200μLに、水で2倍希釈したフェノール試薬を500μL加えて混合した後、20%炭酸ナトリウム水溶液を500μL加えて、室温で30分間放置後、700nmの吸光度を測定した。没食子酸(10〜200mg/L)の検量線を作成し、ポリフェノール量は没食子酸相当量として算出した。
また、対照として、蒸煮後の豆についても同様にして水溶性遊離ポリフェノール量を測定した。
結果を表1に示す。
<水溶性遊離ポリフェノール量の測定>
試験例1〜6で得られたインゲン豆麹の粉砕後の凍結乾燥サンプル1gに水を10mL加えて攪拌後、37℃で10分間ソニケーションし、水溶性ポリフェノールを抽出した。遠心分離して上清を回収後、残渣に再度水を10mL加えてボルテックスした。37℃で10分間ソニケーション後、遠心分離し、上清を回収した。これをさらに2回繰り返し、全4回抽出と上清の回収を行った。4回の抽出で回収した上清を足し合わせ、50mLになるように水でメスアップした。これを水で2倍希釈したサンプルを、フォーリン・デニス(Folin−Denis)法に供した。
フォーリン・デニス法によるポリフェノール量の定量は以下のように実施した。
サンプル200μLに、水で2倍希釈したフェノール試薬を500μL加えて混合した後、20%炭酸ナトリウム水溶液を500μL加えて、室温で30分間放置後、700nmの吸光度を測定した。没食子酸(10〜200mg/L)の検量線を作成し、ポリフェノール量は没食子酸相当量として算出した。
また、対照として、蒸煮後の豆についても同様にして水溶性遊離ポリフェノール量を測定した。
結果を表1に示す。
表1に示したように、蒸豆の水溶性遊離ポリフェノール量は、乾燥重量1gあたり没食子酸換算で、2.9mgであった。一方、試験例1〜6のインゲン豆麹の水溶性遊離ポリフェノール量は、乾燥重量1gあたり没食子酸換算で6.5mg以上であり、麹菌で処理していない蒸豆より上昇していた。
<酸性プロテアーゼ活性の測定>
試験例1〜6で得られたインゲン豆麹の酸性プロテアーゼ活性を国税庁所定分析法に則り測定した。
また、対照として、蒸煮後の豆についても同様にして酸性プロテアーゼ活性を測定した。
結果を表2に示す。
試験例1〜6で得られたインゲン豆麹の酸性プロテアーゼ活性を国税庁所定分析法に則り測定した。
また、対照として、蒸煮後の豆についても同様にして酸性プロテアーゼ活性を測定した。
結果を表2に示す。
表2に示したように、黄麹菌で製造したインゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性は、破砕無しの場合で12,768U、破砕有りの場合で18,080Uであった。一方、白麹菌で製造したインゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性は、破砕無しの場合で60,945U、破砕有りの場合で91,260Uであり、黒麹菌で製造したインゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性は、破砕無しの場合で67,172U、破砕有りの場合で89,843Uであり、黄麹菌で製造した場合よりも高くなった。
以上の結果から、インゲン豆に麹菌を接種し発酵させることにより、豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上でき、さらに、白麹菌又は黒麹菌で発酵させることで、高い酸性プロテアーゼ活性を付与できることを確認した。また、破砕した蒸豆に白麹菌又は黒麹菌を接種し発酵させることで、より高い酸性プロテアーゼ活性を付与できた。
Claims (5)
- インゲン豆に含まれるポリフェノールの水溶性を向上させ、かつ、インゲン豆に高い酸性プロテアーゼ活性を付与する方法であって、
蒸煮したインゲン豆に、白麹菌及び黒麹菌の少なくともいずれかを接種し、発酵させインゲン豆麹とすることを含み、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、
前記インゲン豆麹の乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とする方法。 - 前記蒸煮したインゲン豆が破砕されたものである請求項1に記載の方法。
- 前記インゲン豆が金時豆である請求項1から2のいずれかに記載の方法。
- 乾燥重量1gあたりの水溶性遊離ポリフェノール量が、没食子酸換算で、3.5mg以上であり、かつ、乾燥重量1gあたりの酸性プロテアーゼ活性が、25,000U以上であることを特徴とするインゲン豆麹。
- 請求項4に記載のインゲン豆麹を含むことを特徴とする経口用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020056331A JP2021153458A (ja) | 2020-03-26 | 2020-03-26 | インゲン豆の改質方法、インゲン豆麹、及び経口用組成物 |
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