JP2021153040A - 電極用集電体、電極、二次電池、電池パック、車両、及び定置用電源 - Google Patents

電極用集電体、電極、二次電池、電池パック、車両、及び定置用電源 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を実現可能な電極用集電体を提供することである。【解決手段】実施形態の電極用集電体は、アルミニウムを含み、電極用集電体は金属層と金属層の片方の主面または両方の主面の上に多孔質層とを備える。多孔質層は、多孔質層の厚さ方向に対し延在する孔を複数備える。電極用集電体の断面において金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定したときに、RごとにRと交わる孔の数Nの平均値AとRとの比率は1≦A/R≦50である。【選択図】図1A

Description

本発明の実施形態は、電極用集電体、電極、二次電池、電池パック、車両、及び定置用電源に関する。
負極活物質として炭素材料やリチウムチタン酸化物を、正極活物質としてニッケル、コバルト、マンガン等を含有する層状酸化物用いた非水電解質電池、特に二次電池が幅広い分野における電源として既に実用化されている。なお、このような非水電解質電池の形態は、各種電子機器用のといった小型の物から、電気自動車用など大型の物まで多岐にわたる。これらの二次電池の電解質には、ニッケル水素電池や鉛蓄電池と異なり、エチレンカーボネートやメチルエチルカーボネートなどが混合された非水系の有機溶媒が用いられている。これらの溶媒を用いた電解質は、水溶液電解質よりも耐酸化性および耐還元性が高く、溶媒の電気分解が起こりにくい。そのため、非水系の二次電池では、2V〜4.5Vの高い起電力を実現することができる。
正極活物質にリチウムマンガン酸化物、負極活物質としてLiTi、LiTi12などといったリチウムチタン酸化物を用いると、理論的には2.6V〜2.7V程度の起電力が得られ、エネルギー密度の観点からも魅力的な電池になりうる。このような正負極材料の組み合わせを採用した非水系のリチウムイオン電池では優れた寿命性能が得られ、このような電池は既に実用化されている。一方で、有機溶媒の多くは可燃性物質であり、二次電池の安全性は、水溶液を用いた二次電池に比べて原理的に劣りやすい。有機溶媒系の電解質を用いた二次電池の安全性を向上させるために種々の対策がなされているものの、必ずしも十分といえない。また、非水系の二次電池は、製造工程において、ドライ環境が必要になるため、製造コストが必然的に高くなる。そのほか、有機溶媒系の電解質は導電性が劣るので、非水系の二次電池の内部抵抗が高くなりやすい。このような課題は、電池安全性や電池コストが重要視される電気自動車やハイブリッド電気自動車、さらには電力貯蔵向けの大型蓄電池用途においては、大きな課題となっている。
非水系二次電池の課題を解決させるために、水溶液電解質を用いた二次電池が提案されている。しかしながら、水溶液電解質においては、リチウムチタン酸化物のリチウム挿入脱離の電位は、リチウム電位基準にて約1.5V(vs.Li/Li)であるため、水溶液電解質の電気分解が起こりやすい。特に負極においても、負極集電体、或いは負極と電気的に接続されている金属製の外装缶の表面での電気分解による水素発生が激しく、その影響で集電体から活物質が容易に剥離し得る。そのため、このような二次電池の動作が安定せず、満足な充放電を行うには課題があった。
特開2008−059955号公報 特開2013−243112号公報 特開2017−004783号公報
本発明が解決しようとする課題は、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を実現可能な電極用集電体を提供することである。
実施形態の電極用集電体は、アルミニウムを含み、電極用集電体は金属層と金属層の片方の主面または両方の主面の上に多孔質層とを備える。多孔質層は、多孔質層の厚さ方向に対し延在する孔を複数備える。電極用集電体の断面において金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定したときに、RごとにRと交わる孔の数Nの平均値AとRとの比率は1≦A/R≦50である。
第1の実施形態に係る電極用集電体の断面模式図。 第1の実施形態に係る電極用集電体の断面模式図。 第1の実施形態に係る電極用集電体の孔の測定方法を表す概略図。 第2の実施形態に係る電極の模式図。 第2の実施形態に係る電極の模式図。 第3の実施形態に係る二次電池の部分切欠断面図。 図4の電池についての側面図。 第3の実施形態に係る二次電池を示す部分切欠斜視図。 図6のA部の拡大断面図。 第4の実施形態に係る組電池の一例を示す斜視図。 第5の実施形態に係る電池パックの一例を示す斜視図。 第5の実施形態に係る電池パックの他の例の分解斜視図。 図10の電池パックの電気回路を示すブロック図。 第6の実施形態に係る一例の車両を概略的に示す断面図。 第6の実施形態に係る他の例の車両を概略的に示した図。 第7の実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図。
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、電極用集電体が提供される。図1は第1の実施形態に係る電極用集電体60の断面模式図である。第1の実施形態に係る電極用集電体60は、アルミニウムを含む電極用集電体であって、金属層61と、金属層61の片方の主面の上に多孔質層62を備える。アルミニウムを含む電極用集電体であるので、金属層61もアルミニウムを含み、多孔質層62もアルミニウムを含む。図1aは金属層61の片方の主面に多孔質層62が設けられた場合を示す。図1bは金属層61の両方の主面に多孔質層62が設けられた場合を示す。このように、多孔質層は、金属層の片方の主面のみでもよいし、両方の主面に備えさせてもよい。多孔質層62は、多孔質層62の厚さ方向に対し延在する孔63を複数備えている。これらの孔63は、多孔質層62の厚さ方向に対して平行に存在する場合もあるし、多孔質層の金属層側の主面から反対側の主面へ向かって斜め方向に存在する場合もある。これらの場合を含め、孔は多孔質層の厚さ方向に対し略平行に存在すると表現したり、孔は多孔質層の厚さ方向に延びると表現したりする場合もある。孔63は多孔質層62の金属層61に接する面から他の面まで貫通していてもよいし、他の孔と結合し、二又など枝分かれ構造をしていてもよい。多孔質層62の備える孔63は、集電体の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)で観察したSEM観察像において、多孔質層を多孔質層の厚さ方向に3等分した仮想領域を設定し、仮想領域のそれぞれにおいて金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定し、Rと交わる孔の数Nを測定する。Rと交わる孔の数Nの平均値AとRとの関係は下記式(1)を満たす。
1μm-1≦A/R≦50μm-1・・・(1)。
ここで、単位長さRは、例えば、1μm以上であり得る。また、上記断面とは、集電体を厚さ方向に切断して得られる断面をいう。例えば、金属層と多孔質層との界面と交差する断面を観察する。
本実施形態に係る集電体は、水系電解質を用いた二次電池及び非水系電解質を用いた二次電池にも用いることができる。非水系電解質を使用する二次電池に用いた場合、対高電圧用正極に用いる場合や、グラファイトを用いる負極でも、集電体にアルミニウムを含む電極用集電体が使用可能となりうるが、以下では水系電解質電池に用いた場合で説明する。
本実施形態に係る電極用集電体は、単に集電体と表記する場合もある。また、当該電極用集電体を備えた電極は電池に使用可能であるため、該集電体は、電池用集電体であるともいえる。
水系電解質を用いた二次電池では、負極において水素が発生すると、負極の充放電効率が正極の充放電効率と比較して低下する。それ故、充放電サイクルを繰り返すことで、正極が次第に過充電状態となる。結果として、正極が早期に劣化して二次電池として作動させることが困難になる。また、一般的に、電極活物質層を集電体上に直接設けると、充放電に伴い集電体の表面にて水の電気分解に伴うガスが発生することにより、電極活物質層の少なくとも一部が集電体から剥離しやすくなる。電極活物質層の少なくとも一部が集電体から剥離すると、電極内における電子導電パスが減少するため、電気的な抵抗が上昇、もしくは集電が困難になることよって容量が劣化する。
また、アルミニウムの金属単体やアルミニウムを含む合金を集電体に用いた場合、水素過電圧が低いため、水素が発生しやすい。そのため、水の電気分解を抑制するためにアルミニウムの表面処理を行うことがある。表面処理として、例えばアルマイト処理を行い、アルミナ層を形成した場合では、水の電気分解抑制のために十分な被膜を作製すると、抵抗が高くなり過ぎ充放電が困難になる場合がある。さらに集電体の表面にアルミナ層が増加することで強度が著しく低下してしまう場合がある。そのため、本実施形態に係る電極用集電体のように、式(1)を満たすことで水の電気分解抑制のため十分でありながら抵抗を抑えることができるため充放電効率を改善することができる。
具体的に説明すると、本実施形態に係る電極用集電体が備える多孔質層は、集電体の表面が酸化されて形成された不導体である。つまり、集電体の金属層は多孔質層で被覆されている。この不導体は、例えばアルミナ(Al)である。この集電体の表面を酸化させることで形成される不導体の被覆は、集電体の金属層と電極活物質層との電気的な導通を妨げるものではない。これは、金属層の表面に存在する多孔質層が孔を有することで、孔の内部に水系電解質が入り込むことができるからである。孔の内部に水系電解質が入り込むことで、不導体内を電子伝導する距離を短くすることができる。そのため、集電体が不導体である多孔質層を備えていても、電子伝導性を保つことができる。
加えて、多孔質層が孔を備えることで、電極活物質層の一部が多孔質層の孔に入り込むことができる。この結果、電極活物質層は多孔質層から剥離し難くなる上、直接電極活物質層と集電体の備える金属層との電子伝導が可能となる。電極活物質層の一部が多孔質層の孔に入り込むことによる剥離強度向上の効果、及び、電極活物質層と集電体の備える金属層との直接的な導電パスを確保する効果は、孔を有していない不導体被膜では得られない。
本実施形態に係る電極用集電体は比A/Rが1≦A/R≦50を満たすことで、孔内部に存在させる水系電解質の量を調節することができる。つまり比A/Rが1≦A/R≦50を満たすことで、電子伝導性を保ちながら、適度に孔内部に存在する水系電解質の量を減らすことができるので、水の電気分解を抑制することができる。これにより、ガス発生によって電極活物質層が集電体表面から剥離することを抑制することができる。従って、第1の実施形態に係る電極用集電体を備える電極を有する二次電池が充放電を繰り返したとしても、電極活物質層の剥離に伴う電気的な抵抗の上昇を抑制することができるため、優れた充放電効率とサイクル寿命特性を達成することができる。
詳細は分かっていないものの、多孔質層に不導体性と電子伝導性を持たせるには孔の径と密度が重要であると考えられる。例えば、比A/Rが1未満である場合は、具体的には、孔の径が大きいか、孔の密度が低い場合を示す。これらに起因して、1つの孔内で水系電解質に露出する金属層の面積が大きくなる、もしくは集電体の表面のほぼ全てが不導体被膜となる。孔の径が大きい場合、孔内に電解質が浸み込み、集電体の金属層と反応し分解反応が生じる。孔の密度が低い場合は、電極活物質層と集電体との電子抵抗が高い状態となる。このように、分解反応が生じる、もしくは集電体と電極活物質層との電気的な抵抗が高くなってしまうため、比A/Rが1未満は好ましくない。
比A/Rが50を超える場合は、例えば、孔の径が小さい場合や、密度が高い場合を示す。孔の径が小さい場合では、電極活物質層と集電体との電子抵抗が高くなる。密度が高い場合では孔内に電解質が浸み込みやすくなり、集電体の金属層と反応し分解反応が生じるため分解抑制の効果が十分に得られない。それ故、優れたサイクル寿命特性を達成するのが困難であり、充放電効率を向上することが困難である。
比A/Rは、好ましくは2≦A/R≦40である。この範囲にあることで、より電解質の分解を抑制しつつ多孔質層による集電体の金属層と電極活物質層との電子伝導を保つことができる。より好ましくは3≦A/R≦30であり、さらにより好ましくは、比A/Rは、5≦A/R≦20である。これら範囲にあることで、さらにより電解質の分解を抑制しつつ多孔質層による集電体の金属層と電極活物質層との電子伝導を保つことができる。
以上のように、比A/Rが1≦A/R≦50の範囲内にあると、多孔質層の表面での電気分解を抑制しつつ、多孔質層を介して集電体と電極活物質層の電子伝導パスが形成されやすい。さらに電極活物質層の一部が多孔質層の孔に入り込むことができるため、充放電を繰り返したとしても、ガス発生及び電極活物質層の剥離に伴う電気的な抵抗の上昇を抑制することができ、優れた充放電効率とサイクル寿命特性を達成することができる。
多孔質層の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が好ましい。この範囲にあることで、電極活物質層と集電体の金属層との電子伝導を保ちつつ、集電体表面でのガス発生を抑制することができる。より好ましくは1μm以上10μm以下が好ましい。この範囲にあることで、電極活物質層と集電体の金属層との電子伝導を保ちつつ、集電体表面でのガス発生をより抑制することができる。
多孔質層の膜厚が0.5μm未満であると、多孔質層による水系電解質と金属層との反応抑制効果が十分でなくなるため、電気分解の抑制効果は得られにくい。一方、多孔質層の膜厚が15μmより大きいと、多孔質層による水系電解質と金属層との接触を過剰に抑制してしまうため、電極活物質層と金属層との電子伝導パスが形成されにくく、電子抵抗が高くなり、十分な充放電ができなくなるため好ましくない。
金属層の膜厚は5μm以上35μm以下が好ましい。5μm未満では強度が足りないため好ましくない。35μmより大きいとエネルギー密度が低下するため好ましくない。
多孔質層の厚さtと金属層の厚さTの比率(t/T)は、0.02≦t/T≦1.1となることが好ましい。より好ましくは0.2≦t/T≦0.5である。
本実施形態に係る電極用集電体は、多孔質層と金属層の厚さを合計して、全体で5.5μm以上50μm以下が好ましい。
先述したように、多孔質層に存在する孔は、電極活物質層側の表面から走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察できる孔と、電極活物質層側の反対側の表面からSEMで観察した孔とが連続していなくともよい。このように連続していない孔が存在することで集電体の金属層と電解質との接触面積を減らすことができる。集電体の金属層と電解質との接触面積を減らすことができることで、集電体からの水素発生を抑制することができる。さらに、多孔質層に封孔処理を行い、電極活物質層側の表面から観察できる孔に蓋をするように塞ぐことで、さらに集電体と電解質との接触面積を減らすことができ集電体からの水素発生を抑制することができる。封孔処理を行うことで、活物質層と多孔質層の結着性向上と、多孔質層の有する孔への適度な電解質の浸み込みを実現することができる。
多孔質層の電極活物質層側の表面から観察できる孔の割合を封孔度とする。具体的な測定方法は後述する。多孔質層の電極活物質層側の表面から観察できる孔(表面孔)の数k1の、多孔質層の表面をイオンミリングなどで削り、SEM観察を行った多孔質層の表面より観察できる孔の数k2に対する値を封孔度とする。つまり封孔度(%)={(k2-k1)×100}/k2である。封孔処理を行っていないとき(k1=k2)は封孔度が0%となり、完全に封孔されている場合(k1=0)の封孔度は100%となる。封孔度は好ましくは20%以上80%以下である。この範囲にあることで、電極活物質層と多孔質層との結着性を向上させることができ、孔の内部へ適度に電解質を浸み込ませることができるので電極活物質層の集電体からの剥離とガス発生をより抑制できるため好ましい。より好ましくは40%以上60%以下である。
ここで、比A/Rの測定方法と封孔度の測定方法を説明する。
<比A/Rの測定方法>
集電体の表面に設けられた多孔質層の有無は、電極の断面に対してSEM観察を行うことにより確認することができる。まず、完全放電状態(SOC (State of Charge) 0%)とした電池を、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解する。分解した電池から、測定対象の電極を取り出す。この電極を適切な溶媒で洗浄する。洗浄に用いる溶媒としては、例えば非水電解質電池であればエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。水電解質電池であれば純水を用いると良い。洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウム塩(例えばフッ化リチウムなど)の影響により、多孔質層を観察しにくくなる場合がある。
このようにして取り出した電極を、イオンミリングを用いて切断し、断面を観察できるようにSEM試料台に貼り付ける。このとき、電極が試料台から剥がれたり浮いたりしないように、導電性テープなどを用いて処理を施す。SEM試料台に貼り付けた電極を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。SEM観察像は3箇所撮像する。SEM測定時にも電極を不活性雰囲気に維持した状態で試料室に導入することが好ましい。
電極の断面上について、図2に示すように、ひとつのSEM観察像に対して、多孔質層を厚さ方向に3等分し仮想領域62a、62b、62cを設定する。仮想領域62a、62b、62cのそれぞれに対して金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)をランダムに10箇所設定し、Rごとに交わる孔の数を観察する。多孔質層の厚さ方向に存在するRは、各仮想領域で重なっていてもいいし、ずれていてもよいが、同一仮想領域内でのRは重ならないようにする。つまり、多孔質層を厚さ方向に3等分し、かつRを10箇所設けるので、1つのSEM観察像において合計で30箇所のRについて、それぞれのRごとに交わる孔の数を測定する。この観察の際、例えば100倍の倍率でSEM観察を行うが、この倍率に限られず、孔が観察できる倍率であればよい。3つのSEM観察像それぞれのRごとに交わる孔の数Nから平均値Aを求める。つまり平均値A=(孔の数Nの合計)÷90である。この平均値AとRの比A/Rとして決定する。
平面方向とは、SEM観察像を多孔質層が金属層の上部に存在させた配置において、SEM観察像の下辺に対しても略平行である。
単位長さRは、例えば、1μmに設定することができる。単位長さRを1μm以上に設定することが望ましい。
<電極活物質層側の表面から観察できる孔(表面孔)及び封孔度の測定方法>
前述したように電池を分解し、電極を得る。この電極から電極活物質層を剥がし取り、電極活物質層と接していた多孔質層の表面を露出させる。この露出面(第1表面)に対してSEM観察を10箇所行う。この際、SEM観察の倍率は例えば100倍の倍率で行うが、この倍率に限られず、孔が観察できる倍率であればよい。これら10箇所について、多孔質層の観察に影響のない部分に目印を付けて、位置の特定を可能にしておく。このように測定した10箇所について測定した孔の数の平均値を電極活物質層側の表面から観察できる孔の数k1(表面孔数)とする。また、上記で観察した箇所の多孔質層の表面を、イオンミリングなどの方法で、多孔質層の深さ方向に例えば100nm削る。この第1表面から所定の深さ、例えば100nm除去した第2表面の特定の10箇所に対して、さらにSEM観察を行い、この10箇所について測定した孔の数の平均値を第2表面から観察できる孔の数k2としたとき、((k2-k1)×100%/k2)を封孔度として決定する。観察箇所を、第1表面での表面孔観察箇所と、削りだした後の表面、つまり第2表面での孔の観察箇所を揃えるには、イオンミリングなどで表面を削り出さない箇所をマーキングするなどして行うことができる。
上記第1表面は、多孔質層の表面のうち、金属層とは反対の面に対応する。つまり、第1表面は、金属層が多孔質層に接する面に対し裏側の面に対応する。
ここで、本実施形態に係る集電体について、詳しく説明する。
本実施形態に係る集電体は、多孔質層と金属層とを備える。多孔質層はアルミナ(Al)を少なくとも含む。多孔質層がアルミナを少なくとも含むことで、集電体がアルミニウム金属である場合よりも耐食性を持たせることができる。そのため、集電体の厚さを薄くすることができる。そのため、電池を作製した場合、エネルギー密度を向上させることができるため好ましい。
金属層は、主にアルミニウムから構成されている。ここで、アルミニウムとは金属単体のアルミニウム、アルミニウムを含む合金である。アルミニウムの他に、さらにFe、Cu、Ni、Zn、Ga、In、Bi、Tl、Sn、Pb、Tiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むことができる。これらの元素は以後、元素Aとも称する。これらの元素は、これらの1種類で用いることもできるし、複数種類の元素を用いても良く、金属または金属合金として含むことができる。このような金属および金属合金は、単独で含まれていてもよく、或いは2種以上を混合して含んでいてもよい。これらの元素を金属層内に含んだ場合、集電体の機械的強度が高められ、加工性能が向上する。さらに、水系溶媒の電気分解を抑制し、水素発生を抑制させる効果が増加する。上記元素Aのなかでも、Zn、Pb、Tiがより好ましい。
金属層は、例えば金属箔である。また、金属層は、例えばアルミニウムを含んだ合金からなる箔である。このような箔は、元素A以外に例えば後述する元素を1種または2種以上含み得る。金属層の形状としては、箔以外にも、例えばメッシュや多孔体などが挙げられる。エネルギー密度や出力向上のためには、体積が小さく、表面積が大きい箔の形状が望ましい。
また、負極集電体は、元素Aとは異なる金属を含んだ基板を含むこともできる。基板は、多孔質層側の金属層の主面の反対側の主面に備えることができる。このような場合、この基板の表面の少なくとも一部に元素Aを含む化合物が存在することで、水素発生を抑制できる。表面に存在する元素Aを含む化合物は、例えば基板に元素Aのメッキを施して、基板の表面に元素Aを含む化合物を存在させることができる。または、基板の表面に元素Aを含む合金を用いたメッキ処理を施すことができる。
多孔質層は、元素Aの酸化物、元素Aの水酸化物、元素Aの塩基性炭酸化合物、及び元素Aの硫酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。これら元素Aの酸化物、および/または元素Aの水酸化物、および/または元素Aの塩基性炭酸化合物、および/または元素Aの硫酸化合物は、集電体の表面領域の少なくとも一部において、表面から深さ方向へ5nm以上1μm以下までの深さ領域において含まれていることが好ましい。なお、元素Aの酸化物の例としてはZnO、元素Aの水酸化物の例としてはZn(OH)、元素Aの塩基性炭酸化合物の例としては2ZnCO・3Zn(OH)、元素Aの硫酸化合物の例としては、ZnSO・7HOなどが挙げられる。
集電体の多孔質層の表層部分に元素Aの酸化物、元素Aの水酸化物、元素Aの塩基性炭酸化合物、および元素Aの硫酸化合物の何れかが少なくとも1種存在すると、水素発生を抑制することができる。また、これらの化合物が集電体の表層部分に存在すると、集電体、活物質、導電助剤、バインダーそれぞれとの密着性が向上し、電子伝導のパスを増やすことができることからサイクル特性の向上と、低抵抗化が可能である。
基板は、Al、Fe、Cu、Ni、Tiからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これらの金属は、合金として含むこともできる。基板は、金属および金属合金を単独で含むことができ、或いは2種以上を混合して含むことができる。軽量化の観点から、基板がAl、Ti、またはこれらの合金を含むことが好ましい。
多孔質層がアルミナであるか、金属層にアルミニウムや元素Aからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含んでいるかどうかは、電池を分解し、その後、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)発光分析を行うことで、調べることができる。
電池の分解では、電池を完全放電(SOC 0%)させた後、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解する。分解した電池から、測定対象の電極を取り出す。この電極を適切な溶媒で洗浄する。洗浄に用いる溶媒としては、例えば非水電解質電池であればエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。水電解質電池であれば純水を用いると良い。
また、洗浄した電極から電極活物質層を削り取ることで、電極活物質層のみを得る。
このようにして取り出した電極及び電極活物質層に対して、ICP測定を行う。
電極に対するICP測定を行う部位は、電極活物質層を削り取った部分である。電極活物質層に対してICP測定を行った結果と電極に対してICP測定を行った結果を比較することで、多孔質層に含まれる元素を特定することができる。
ここで、本実施形態に係る集電体の製造方法について説明する。
<多孔質層の作製>
集電体の両方の主面に多孔質層を形成する場合
集電体となる金属箔を低温の酸に浸漬させる。次にこの金属箔に対して端部より通電し、表面処理を行い、集電体に多孔質層と金属層を形成する。
具体的に記載すると、温度を0℃〜10℃に設定した希硫酸溶液に厚さ10μm〜50μmのアルミニウム合金箔(純度99%)を浸漬させる。アルミニウム合金箔の代わりに、アルミニウム箔を用いてもよい。次にこのアルミニウムの箔に対し端部より通電し、電気を流す事で表面処理を行う。この時の電圧は30V〜100Vとし、時間は5分〜30分とする。
集電体の片方の主面に多孔質層を形成する場合
集電体となる金属箔の一方の面をテープ等の絶縁体で被覆する。このように被覆した金属箔を低温の酸に浸漬させる。次にこの金属箔に対して端部より通電し、表面処理を行い、集電体の片方の主面に多孔質層と金属層を形成する。
具体的に記載すると、温度を0℃〜10℃に設定した希硫酸溶液に片面を絶縁体で保護した厚さ10μm〜50μmのアルミニウム合金箔(純度99%)を浸漬させる。アルミニウム合金箔の代わりに、片面を絶縁体で保護したアルミニウム箔を用いてもよい。次にこのアルミニウムの箔に対し端部より通電し、電気を流す事で表面処理を行う。この時の電圧は30V〜100Vとし、時間は5分〜30分とする。
<封孔処理>
前述の多孔質層の作製処理をした後、純水に金属箔を浸漬する。具体的に述べると10℃〜50℃に設定した純水中にアルミニウムの箔を浸漬させる事でアルミニウムの箔上に多孔質層を備えた集電体を得ることができる。
第1の実施形態に係る電極用集電体は、アルミニウムを含み、電極用集電体は金属層と金属層の片方の主面の上に多孔質層とを備える。多孔質層は、多孔質層の厚さ方向に対して延在する孔を複数備える。電極用集電体の断面を走査型電子顕微鏡で観察した観察像に対して、多孔質層を多孔質層の厚さ方向に3等分した仮想領域を設定し、仮想領域のそれぞれにおいて金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定し、Rと交わる孔の数NをRごとに測定した際に、孔の数Nの平均値AとRの比率は1≦A/R≦50である。このような構成であることで、高い充放電特性及びサイクル寿命特性を達成することができる二次電池を提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る電極を、図3を用いて説明する。図3は、第2の実施形態に係る電極を表す模式図である。電極は電極活物質層64と、第1の実施形態に係る集電体60とを備える。電極活物質層64は第1の実施形態に係る集電体60上に位置する。具体的に述べると、電極活物質層64は多孔質層62と接する面に位置する。図3aは集電体60が金属層61の片方の主面に多孔質層62を備える場合を示し、図3bは集電体60が金属層61の両方の主面に多孔質層62および電極活物質層64を備える場合を示す。電極活物質層64は、電極活物質、導電剤及び結着剤を含む。第2の実施形態に係る電極において用いることができる各部材の材料について詳しく説明する。電極は負極、正極の両方になり得る。
集電体60が金属層61の片方の主面に多孔質層62および電極活物質層64を備える場合および集電体60が金属層61の両方の主面に多孔質層62および電極活物質層64を備える場合の何れについても、多孔質層62は、電極活物質層64と金属層61との間に存在することが望ましい。
<負極>
負極は、負極集電体と、負極集電体上に配置されている負極活物質層とを含む。負極活物質層は、負極集電体の少なくとも1つの面上に配置されている。例えば、負極集電体上の1つの面に負極活物質層が配置されていてもよく、または負極集電体上の1つの面とその裏面とに負極活物質層が配置されていてもよい。正極が第2の実施形態に相当する電極である場合、負極は、多孔質層を含んでいなくてもよい。
負極活物質層は、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、およびリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む負極活物質を含む。これら酸化物は1種類で用いることもできるし、複数種類を用いても良い。これらの酸化物では、リチウム電位基準にて1V以上2V以下(vs.Li/Li)の範囲内でLi挿入脱離反応が起こる。そのため、二次電池の負極活物質としてこれらの酸化物を用いた場合には、充放電に伴う体積膨張収縮変化が小さいことから長寿命を実現することができる。
負極集電体には、第1の実施形態で説明した電極用集電体を用いることができる。他の例として、負極集電体には、Zn、Ga、In、Bi、Tl、Sn、Pb、Ti、Alからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を集電体内に含むものを用いることができる。これらの元素は、これらの1種類で用いることもできるし、複数種類の元素を用いても良く、金属または金属合金として含むことができる。このような金属および金属合金は、単独で含まれていてもよく、或いは2種以上を混合して含んでいてもよい。これらの元素を集電体内に含んだ場合、集電体の機械的強度が高められ、加工性能が向上する。さらに、水系溶媒の電気分解を抑制し、水素発生を抑制させる効果が増加する。上記元素のなかでも、Zn、Pb、Ti、Alがより好ましい。
集電体は、例えばこれらの金属からなる金属箔である。また、集電体は、例えばこれらの金属を含んだ合金からなる箔である。このような箔は、上述した元素以外の元素を1種または2種以上含み得る。集電体の形状としては、箔以外にも、例えばメッシュや多孔体などが挙げられる。エネルギー密度や出力向上のためには、体積が小さく、表面積が大きい箔の形状が望ましい。
負極活物質は、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、およびリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む。リチウムチタン複合酸化物の例に、ニオブチタン酸化物およびナトリウムニオブチタン酸化物が含まれる。これらの化合物のLi吸蔵電位は、1V(vs.Li/Li)以上3V(vs.Li/Li)以下の範囲であることが望ましい。
チタン酸化物の例に、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、アナターゼ構造のチタン酸化物が含まれる。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成がTiO、充電後の組成がLiTiO(xは0≦x、好ましくは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO(B)と表すことができる。
リチウムチタン酸化物の例に、スピネル構造リチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi12(xは−1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi(−1≦x≦3))、Li1+xTi(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.8(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.86(0≦x≦1)、LiTiO(0≦x、好ましくは0<x≦1)などが含まれる。
ニオブチタン酸化物の例に、LiTiMNb2±β7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe、V、Mo及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表されるものが含まれる。
ナトリウムニオブチタン酸化物の例に、一般式Li2+vNa2−wM1Ti6−y−zNbM214+δ(0≦v≦4、0≦w≦2、0≦x≦2、0≦y≦6、0≦z≦3、y+z≦6、−0.5≦δ≦0.5、M1はCs、K、Sr、Ba、Caからなる群より選択される少なくとも1つを含み、M2はZr、Sn、V、Ta、Mo、W、Fe、Co、Mn、Alからなる群より選択される少なくとも1つを含む;添字w、y、zについては、0≦w<2、0<y<6、y+z<6の範囲がそれぞれ好ましい)で表される斜方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物が含まれる。
負極活物質として好ましい化合物に、アナターゼ構造のチタン酸化物、単斜晶構造のチタン酸化物、スピネル構造のリチウムチタン酸化物が含まれる。各化合物は、Li吸蔵電位が1.4V(vs.Li/Li)以上2V(vs.Li/Li)以下の範囲であるため、例えば正極活物質としてのリチウムマンガン酸化物と組み合わせることで、高い起電力を得ることができる。これらの中でも、スピネル構造のリチウムチタン酸化物は、充放電反応による体積変化が極めて少ないため、より好ましい。
負極活物質は、粒子の形態で負極活物質層に含有され得る。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
負極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)が、3μm以上であることが好ましい。より好ましくは5μm以上20μm以下である。この範囲であると、活物質の表面積が小さいため、水素発生を抑制する効果を高めることができる。
二次粒子の平均粒子径が3μm以上の負極活物質は、例えば、次の方法で得られる。先ず、活物質原料を反応合成して平均粒子径1μm以下の活物質前駆体を作製する。その後、活物質前駆体に対し焼成処理を行い、ボールミルやジェットミルなどの粉砕機を用いて粉砕処理を施す。次いで焼成処理において、活物質前駆体を凝集して粒子径の大きい二次粒子に成長させる。
負極活物質の一次粒子の平均粒子径は1μm以下とすることが望ましい。これにより、活物質内部でのLiイオンの拡散距離が短くなり、比表面積が大きくなる。そのため、優れた高入力性能(急速充電性能)が得られる。一方、平均粒子径が小さいと、粒子の凝集が起こりやすくなり、電解質の分布が負極に偏って正極での電解質の枯渇を招く恐れがあることから、下限値は0.001μmにすることが望ましい。さらに好ましい平均粒子径は、0.1μm以上0.8μm以下である。
負極活物質粒子は、N析出によるBET法での比表面積が3m/g以上200m/g以下の範囲であることが望ましい。これにより、負極と電解質との親和性をさらに高くすることができる。
負極活物質層(集電体を除く)の比表面積は、3m/g以上50m/g以下の範囲であることが望ましい。比表面積のより好ましい範囲は、5m/g以上50m/g以下である。負極活物質層は、集電体上に担持された負極活物質、導電剤及び結着剤を含む多孔質の層であり得る。
負極の多孔度(集電体を除く)は、20%〜50%の範囲にすることが望ましい。これにより、負極と電解質との親和性に優れ、かつ高密度な負極を得ることができる。多孔度のさらに好ましい範囲は、25%〜40%である。
導電剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛などの炭素材料やニッケル、亜鉛などの金属粉末を挙げることができる。導電剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。炭素材料は、それ自身から水素が発生するため、導電剤には金属粉末を使用することが望ましい。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、エチレン−ブタジエンゴム、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)などが挙げられる。結着剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
負極活物質、導電剤及び結着剤の負極活物質層における配合比については、負極活物質は70重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上20重量%以下、結着剤は2重量%以上10重量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤の配合比が3重量%以上であれば負極の導電性を良好にすることができ、20重量%以下であれば導電剤表面での電解質の分解を低減することができる。結着剤の配合比が2重量%以上であれば十分な電極強度が得られ、10重量%以下であれば電極の絶縁部を減少させることが出来る。
負極は、例えば次のようにして作製することができる。先ず、負極活物質、導電剤及び結着剤を適切な溶媒に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを集電体に塗布し、塗膜を乾燥させることで集電体上に負極活物質層を形成する。ここで、例えばスラリーを集電体上の1つの面に塗布してもよく、またはスラリーを集電体上の1つの面とその裏面とに塗布してもよい。次いで、集電体と負極活物質層とに対し、例えば加熱プレスなどのプレスを施すことにより負極を作製することができる。
<正極>
この正極は、正極集電体と、正極集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質、導電剤および結着剤を含む正極活物質層とを有することができる。負極が第2の実施形態に相当する電極である場合、正極は、多孔質層を含んでいなくてもよい。
正極集電体としては第1の実施形態に係る集電体を用いることができる。他の例としてステンレス、Al、Tiなどの金属からなる箔、多孔体、メッシュを用いることが好ましい。集電体と電解質との反応による集電体の腐食を防止するため、集電体表面を異種元素で被覆してもよい。
正極活物質には、リチウムやナトリウムを吸蔵放出可能なものが使用され得る。正極は、1種類の正極活物質を含んでも良く、或いは2種類以上の正極活物質を含むことができる。正極活物質の例には、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、オリビン結晶構造のリン酸化合物(例えば、LiFePO(0≦x≦1)、LiMnPO(0≦x≦1))などが含まれる。オリビン結晶構造のリン酸化合物は、熱安定性に優れている。
高い正極電位の得られる正極活物質の例を以下に記載する。例えばスピネル構造のLiMn(0≦x≦1;好ましくは0<x≦1)、LiMnO(0≦x≦1;好ましくは0<x≦1)などのリチウムマンガン複合酸化物、例えばLiNi1−yAl(0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x≦1、0<y<1)などのリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLiCoO(0≦x≦1;好ましくは0<x≦1)などのリチウムコバルト複合酸化物、例えばLiNi1−y−zCoMn(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1;好ましくは、0<x≦1、0<y<1、0≦z<1、y+z<1)などのリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLiMnCo1−y(0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x≦1、0<y<1)などのリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLiMn2−yNi(0≦x≦1、0≦y≦2;好ましくは、0<x≦1、0<y<2)などのスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLiFePO(0≦x≦1;好ましくは、0<x≦1)、LiFe1−yMnPO(0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x≦1、0≦y≦1)、LiCoPO(0≦x≦1;好ましくは、0<x≦1)などのオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、フッ素化硫酸鉄(例えばLiFeSOF(0≦x≦1))が挙げられる。
また、ナトリウムマンガン複合酸化物、ナトリウムニッケル複合酸化物、ナトリムコバルト複合酸化物、ナトリムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、ナトリウム鉄複合酸化物、ナトリウムリン酸化物(例えば、ナトリウムリン酸鉄、ナトリウムリン酸バナジウム)、ナトリウム鉄マンガン複合酸化物、ナトリウムニッケルチタン複合酸化物、ナトリウムニッケル鉄複合酸化物、ナトリウムニッケルマンガン複合酸化物などが含まれる。
好ましい正極活物質の例に、鉄複合酸化物(例えばNaFeO、0≦y≦1)、鉄マンガン複合酸化物(例えばNaFe1−xMn、0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x<1、0≦y≦1)、ニッケルチタン複合酸化物(例えばNaNi1−xTi、0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x<1、0≦y≦1)、ニッケル鉄複合酸化物(例えばNaNi1−xFe、0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x<1、0≦y≦1)、ニッケルマンガン複合酸化物(例えばNaNi1−xMn、0≦x≦1、0≦y≦1;好ましくは、0<x<1、0≦y≦1)、ニッケルマンガン鉄複合酸化物(例えばNaNi1−x−zMnFe、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦1−x−z≦1;好ましくは、0<x<1、0≦y≦1、0<z<1、0<1−x−z≦1)、リン酸鉄(例えばNaFePO、0≦y≦1)が含まれる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LiVPOF(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。
正極活物質の粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、または単独の一次粒子と二次粒子の双方を含むものであり得る。正極活物質の一次粒子の平均粒子径(直径)は10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜5μmである。正極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmである。
正極活物質の粒子表面の少なくとも一部が炭素材料で被覆されていることが好ましい。炭素材料は、層構造、粒子構造、あるいは粒子の集合体の形態をとり得る。
正極層(正極活物質層)の電子伝導性を高め、集電体との接触抵抗を抑えるための導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、平均繊維径1μm以下の炭素繊維等を挙げることができる。導電剤の種類は1種類又は2種類以上にすることができる。
活物質と導電剤とを結着させるための結着剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、エチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)を含む。結着剤の種類は1種類又は2種類以上にすることができる。
正極活物質、導電剤及び結着剤の正極層(正極活物質層)における配合比については、正極活物質は70重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上20重量%以下、結着剤は2重量%以上10重量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤の配合比が3重量%以上であれば正極の導電性を良好にすることができ、20重量%以下であれば導電剤表面での電解質の分解を低減することができる。結着剤の配合比が2重量%以上であれば十分な電極強度が得られ、10重量%以下であれば電極の絶縁部を減少させることが出来る。
正極は、例えば次のようにして作製することができる。先ず、正極活物質、導電剤及び結着剤を適切な溶媒に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを集電体に塗布し、塗膜を乾燥させることで集電体上に正極層(正極活物質層)を形成する。ここで、例えばスラリーを集電体上の1つの面に塗布してもよく、またはスラリーを集電体上の1つの面とその裏面とに塗布してもよい。次いで、集電体と正極層とに対し、例えば加熱プレスなどのプレスを施すことにより正極を作製することができる。
第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る電極用集電体を備えることで、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を提供することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解質と、容器とを備える。ここでは、第3の実施形態に係る二次電池を構成する各部材を説明する。
<正極及び負極>
第2の実施形態において説明したため、省略する。
<電解質>
電解質には、非水系電解質と、水系溶媒と電解質Aとを含む水系電解質及びこの水系電解質に高分子材料を複合化したゲル状水系電解質が挙げられる。非水電解質については後述する。前述の高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。ここでは、水系電解質について説明する。水系電解質は、リチウム塩及びナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む。そのため、水系電解質は、例えば、リチウムイオン又はナトリウムイオンを含む水系電解液である。水系電解質は、リチウムイオン及びナトリウムイオンの双方を含んでいてもよい。水系電解質では、無機系のアニオン種の例は、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、水酸化物イオン(OH-)、リチウム硫酸イオン(LiSO )、硫酸イオン(SO4 2-)、及び硝酸イオン(NO3 -)を含む。
有機系のアニオン種の例は、酢酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン(N(SO2CF3)2 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン(N(SO2F)2 )、及びビスオキサレートボラートイオン(B[(OCO)2]2 )を含む。水系電解質は、1種類のアニオン種のみを含んでいてもよく、或いは、2種以上のアニオンが含まれていてもよい。そのため、電解質Aとしては、水系溶媒に溶解したときに解離して上記アニオンを生じさせるものを用いることができる。特に、Liイオンと上記アニオンとに解離するリチウム塩が好ましい。リチウム塩の例は、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、Li2SO4、LiNO3、LiN(SO2CF3)2(LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiN(SO2F)2(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、及びLiB[(OCO)2]2(LiBOB:リチウムビスオキサレートボラート)などを含む。使用するリチウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。また、水系電解質は、リチウム塩以外の塩を含んでいてもよい。リチウム塩以外の塩としては、例えば、ZnSO4を挙げることができる。ナトリウム塩の例は、NaCl、Na2SO4、NaOH、NaNO3及びNaTFSA(ナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミド)などを含む。使用するナトリウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
なお、水系電解質とゲル状水系電解質を総称するために用いた電解質と、溶質としての電解質を区別するために便宜上溶質としての電解質を電解質Aと称している。
水系溶媒としては、水を含む溶液を用いることができる。ここで、水を含む溶液とは、純水であってもよく、或いは水と水以外の物質との混合溶液や混合溶媒であってもよい。水系溶媒が含む水の割合は、例えば、50体積%以上の割合であり、好ましくは90体積%以上の割合である。
水系電解質は、例えば電解質塩を1mol/L〜12mol/Lの濃度で水系溶媒に溶解することにより調製される。水系電解質中の電解質塩の濃度を変化させても、各電極の水分量はほぼ変化しない。
水系電解質は、溶質となる塩1molに対し、水溶媒量(例えば水系溶媒中の水量)が1mol以上であることが好ましい。さらに好ましい形態は、溶質となる塩1molに対する水溶媒量が3.5mol以上である。
Liイオンと上記アニオンへと解離するリチウム塩は、水系溶媒における溶解度が比較的高い。そのため、アニオンの濃度が1M−10Mと高く、Liイオン拡散性が良好である電解質を得ることができる。
NO 及び/又はClを含む電解質は、0.1M−10M程度の幅広いアニオン濃度の範囲で用いることができる。イオン伝導度と、リチウム平衡電位の両立の観点から、これらのアニオンの濃度が3M−12Mと高いことが好ましい。NO またはClを含む電解質のアニオン濃度が8M−12Mであることがより好ましい。
水系電解質の電気分解を抑制するために、LiOH又はLi2SO4などを添加し、pHを調整することができる。pHは、3〜13であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。
LiSO 及び/又はSO 2−を含む水系電解質は、0.05M−2.5M程度のアニオン濃度の範囲で用いることができる。イオン伝導度の観点から、これらのアニオンの濃度が1.5M−2.5Mと高いことが好ましい。
水系電解質中のOH濃度は、10−10M−0.1Mであることが望ましい。
水系電解質のpHは、正極の水系電解質のpHは1以上7以下であることが好ましい。正極の水系電解質のpHが8以上となると水の電気分解に起因する酸素発生反応が有利に進み、pH1未満だと活物質の分解が進行するため、好ましくない。負極の水系電解質はpH7以上、14以下であることが好ましく、7未満では水の電気分解に起因する水素発生反応が有利に進むため、好ましくない。
水系電解質中の溶質、即ち電解質塩は、例えばイオンクロマトグラフ法により定性および定量することができる。イオンクロマトグラフ法は、感度が高いため、分析手法として特に好ましい。
イオンクロマトグラフ法による電解質に含まれる溶質の定性定量分析の具体的な測定条件の例を以下に示す:
システム: Prominence HIC−SP
分析カラム: Shim−pack IC−SA3
ガードカラム: Shim−pack IC−SA3(G)
溶離液: 3.6 mmol/L 炭酸ナトリウム水溶液
流量: 0.8 mL/min
カラム温度: 45℃
注入量: 50μL
検出: 電気伝導度。
電解質中に水が含まれているかは、ガスクロマトグラフィー質量分析(Gas Chromatography − Mass Spectrometry;GC−MS)測定により確認できる。また、電解質中の水含有量の算出は、例えばICPの発光分析などで測定することができる。また電解質の比重を測定することで、溶媒のモル数を算出できる。電解質は正極側と負極側で同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
水系電解質には添加剤を添加することもできる。たとえば、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、チオ尿素、3、3’−ジチオビス(1−プロパンホス酸)2ナトリウム、ジメルカプトチアジアゾール、ホウ酸、シュウ酸、マロン酸、サッカリン、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ゼラチン、硝酸カリウム、芳香族アルデヒド、複素環アルデヒドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。また、添加金属は電解質中にイオンでも固体でも存在することができる。
界面活性剤が電解質中に含まれているかは、先述したGC−MSを用いて調べることができる。例えば、電解質をヘキサンで抽出し、電解質中の有機溶媒を取り分ける。この取り分けた有機溶媒に対してGC−MSと核磁気共鳴測定(NMR)を行うことにより特定することができる。また、添加金属はICPにより調べることができる。
電解質の界面張力は80mN/m以下であることが好ましい。この範囲であることで、セパレータの内部に染み込むことができる。より好ましくは50mN/m以下であり、さらにより好ましくは40mN/m以下である。
界面張力の測定方法は下記の通りである。
<水系電解質の界面張力の測定方法>
水系電解質の界面張力は、例えば、懸滴法を用いて求めることができる。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製、自動接触角計Dme−201を用いることができる。測定条件としては、例えば、下記表1に示す条件を用いる。
Figure 2021153040
界面張力の算出には懸滴法を用い、下記式(2)から水系電解質の界面張力を算出する。
界面張力(mN/M)=Δρgde(1/H)・・・(2)
式(2)における各記号は、次の通りである:
Δρ:密度差、g:重力加速度、de:懸滴の最大径、1/H:補正係数。
例えば、測定を5回行い、その平均値を界面張力とみなす。
<水系電解質の接触角の測定方法>
水系電解質の接触角は、例えば、液滴法により求めることができる。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製、自動接触角計Dme−201を用いることができる。測定条件としては、例えば、下記表2に示す条件を用いる。
Figure 2021153040
非水電解質は有機溶媒と電解質塩とを含む。有機溶媒は複合電解質層が溶融しにくく、安定に存在できるものがよい。
非水電解質としては、液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L〜2.5mol/Lの範囲であることが好ましい。ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料を複合化することにより調製される。液状非水電解質はゲル状非水電解質と比較してLi伝導度が高く、優れた入出力特性が得られるため好ましい。
有機溶媒の例は、Nーメチルー2−ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネートのような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)のような環状エ−テル;ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)のような鎖状エーテル;またはγ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独、又は混合溶媒の形態で用いることができる。
電解質塩は、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]のようなリチウム塩、又はこれらの混合物を含んでいることが好ましい。有機電解質は、他の電解質塩を含んでいてもよい。
<セパレータ>
正極と負極との間にはセパレータを配置することができる。セパレータを絶縁材料で構成することで、正極と負極とが電気的に接触することを防止することができる。また、正極と負極との間を電解質が移動可能な形状のものを使用することが望ましい。セパレータの例に、不織布、フィルム、紙などが含まれる。セパレータの構成材料の例に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、セルロースが含まれる。好ましいセパレータの例に、セルロース繊維を含む不織布、ポリオレフィン繊維を含む多孔質フィルムを挙げることができる。セパレータの気孔率は60%以上にすることが好ましい。また、繊維径は10μm以下が好ましい。繊維径を10μm以下にすることで、電解質に対するセパレータの親和性が向上するので電池抵抗を小さくすることができる。繊維径のより好ましい範囲は3μm以下である。気孔率が60%以上のセルロース繊維含有不織布は、電解質の含浸性が良く、低温から高温まで高い出力性能を出すことができる。また、長期充電保存、フロート充電、過充電においても負極と反応せず、リチウム金属のデンドライト析出による負極と正極の短絡が発生しない。より好ましい範囲は62%〜80%である。
また、セパレータとして、固体電解質を使用することもできる。固体電解質としてはNASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlTi2−x(PO);0.1≦x≦0.4)、アモルファス状のLIPON(LiPO;2.6≦x≦3.5、1.9≦y≦3.8、0.1≦z≦1.3、例えば、Li2.9PO3.30.46、又はLi3−xPO4―x;0.05≦x≦0.5)、ガーネット型のLLZ(Li5+xLa2−xZr12で表され、0≦x≦2、例えば、LiLaZr12)などの酸化物が好ましい。
また、βアルミナ、Na1+xZrSi3−x12(0≦x≦3)、NaAlSiなどもあげることができる。
さらに多孔質自立膜、例えば不織布などの少なくとも片方の主面に固体電解質を塗布した複合固体電解質を用いることもできる。この固体電解質には上述した固体電解質を用いることができる。またβアルミナを含ませることもできる。固体電解質と高分子材料を混合して複合固体電解質とすることもできる。
セパレータは、厚さが10μm以上100μm以下、密度が0.2g/cm以上0.9g/cm以下であることが好ましい。この範囲であると、機械的強度と電池抵抗の軽減のバランスを取ることができ、高出力で内部短絡が抑制された二次電池を提供することができる。また、高温環境下でのセパレータの熱収縮が少なく、良好な高温貯蔵性能を出すことが出来る。セパレータは上述したものを複数組み合わせて用いることもできる。特に好ましいのは、多孔質自立膜の両方の主面に固体電解質を塗布したセパレータを用いる場合である。このセパレータを用いることで片方の主面に塗布した場合と比較して、セパレータそのものの反りを抑制できるため、より多孔質膜自体を薄膜化することが可能になる。
<容器>
正極、負極及び電解質が収容される容器には、金属製容器や、ラミネートフィルム製容器、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂製容器を使用することができる。
金属製容器としては、ニッケル、鉄、ステンレス、元素Aなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。
樹脂製容器、金属製容器それぞれの板厚は、1mm以下にすることが望ましく、さらに好ましい範囲は0.5mm以下である。さらに好ましい範囲は0.3mm以下である。また、板厚の下限値は、0.05mmにすることが望ましい。
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属層を樹脂層で被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。金属層の例に、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔が含まれる。樹脂層には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。ラミネートフィルムの厚さの好ましい範囲は、0.5mm以下である。より好ましい範囲は0.2mm以下である。また、ラミネートフィルムの厚さの下限値は、0.01mmにすることが望ましい。
実施形態に係る二次電池は、角形、円筒形、扁平型、薄型、コイン型等の様々な形態の二次電池に適用することが可能である。さらにバイポーラ構造を有する二次電池であることが好ましい。これにより複数直列のセルを1個のセルで作製できる利点がある。
実施形態に係る二次電池の一例を図4〜図7を参照して説明する。
図4及び図5に、金属製容器を用いた二次電池の一例を示す。
電極群1は、矩形筒状の金属製容器2内に収納されている。電極群1は、正極3及び負極4をその間にセパレータ5を介在させて偏平形状となるように渦巻き状に捲回した構造を有する。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。図5に示すように、電極群1の端面に位置する正極3の端部の複数個所それぞれに帯状の正極リード6が電気的に接続されている。また、この端面に位置する負極4の端部の複数個所それぞれに帯状の負極リード7が電気的に接続されている。この複数ある正極リード6は、一つに束ねられた状態で正極導電タブ8と電気的に接続されている。正極リード6と正極導電タブ8から正極端子が構成されている。また、負極リード7は、一つに束ねられた状態で負極導電タブ9と接続されている。負極リード7と負極導電タブ9から負極端子が構成されている。金属製の封口板10は、金属製容器2の開口部に溶接等により固定されている。正極導電タブ8及び負極導電タブ9は、それぞれ、封口板10に設けられた取出穴から外部に引き出されている。封口板10の各取出穴の内周面は、正極導電タブ8及び負極導電タブ9との接触による短絡を回避するために、絶縁部材11で被覆されている。
図6及び図7に、ラミネートフィルム製外装部材を用いた二次電池の一例を示す。
積層型電極群1は、2枚の樹脂フィルムの間に金属層を介在したラミネートフィルムからなる袋状容器2内に収納されている。積層型電極群1は、図7に示すように正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極3は複数枚存在し、それぞれが正極集電体3aと、正極集電体3aの両面に形成された正極電極活物質層(正極活物質層)3bとを備える。負極4は複数枚存在し、それぞれが負極集電体4aと、負極集電体4aの両面に形成された負極電極活物質層(負極活物質層)4bとを備える。各負極4の負極集電体4aは、一辺が正極3から突出している。突出した負極集電体4aは、帯状の負極端子12に電気的に接続されている。帯状の負極端子12の先端は、容器2から外部に引き出されている。また、図示しないが、正極3の正極集電体3aは、負極集電体4aの突出辺と反対側に位置する辺が負極4から突出している。負極4から突出した正極集電体3aは、帯状の正極端子13に電気的に接続されている。帯状の正極端子13の先端は、負極端子12とは反対側に位置し、容器2の辺から外部に引き出されている。
図4〜図7に示す二次電池には、容器内に発生した水素ガスを外部に放出させるための安全弁を設けることができる。安全弁は、内圧が設定値よりも高くなった場合に作動し、内圧が低下すると封止栓として機能する復帰式、一度作動すると封止栓としての機能が回復しない非復帰式のいずれでも使用可能である。また、図4〜図7に示す二次電池は、密閉式であるが、水素ガスを水に戻す循環システムを備える場合には開放系とすることが可能である。
以上に説明した実施形態によれば、第1の実施形態に係る電極用集電体を備える電極を有する二次電池を提供することができる。第2の実施形態に係る電極を備えるため、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を提供することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によれば、二次電池を単位セルとする組電池を提供することができる。二次電池には、第3の実施形態の二次電池を用いることができる。
組電池の例には、電気的に直列又は並列に接続された複数の単位セルを構成単位として含むもの、電気的に直列接続された複数の単位セルからなるユニットまたは電気的に並列接続された複数の単位セルからなるユニットを含むもの等を挙げることができる。
組電池は、筐体に収容されていても良い。筐体は、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどからなる金属缶、プラスチック容器等が使用できる。また、容器の板厚は、0.5mm以上にすることが望ましい。
二次電池の複数個を電気的に直列又は並列接続する形態の例には、それぞれが容器を備えた複数の二次電池を電気的に直列又は並列接続するもの、共通の筐体内に収容された複数の電極群を電気的に直列又は並列接続するものが含まれる。前者の具体例は、複数個の二次電池の正極端子と負極端子を金属製のバスバー(例えば、アルミニウム、ニッケル、銅)で接続するものである。後者の具体例は、1個の筐体内に複数個の電極群を隔壁により電気化学的に絶縁した状態で収容し、これら電極群を電気的に直列接続するものである。電気的に直列接続する電池個数を5〜7の範囲にすることにより、鉛蓄電池との電圧互換性が良好になる。鉛蓄電池との電圧互換性をより高くするには、単位セルを5個または6個直列接続した構成が好ましい。
組電池の一例を、図8を参照して説明する。図8に示す組電池31は、第3の実施形態に係る角型の二次電池(例えば図4、図5)32〜32を単位セルとして複数備える。電池32の正極導電タブ8と、その隣に位置する電池32の負極導電タブ9とが、リード33によって電気的に接続されている。さらに、この電池32の正極導電タブ8とその隣に位置する電池32の負極導電タブ9とが、リード33によって電気的に接続されている。このように電池32〜32間が直列に接続されている。
第4の実施形態の組電池によれば、第3の実施形態に係る二次電池を含んでいるため、貯蔵性能及びサイクル特性に優れた組電池を提供することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態によれば、電池パックが提供される。この電池パックは、第3の実施形態に係る二次電池を具備している。
第5の実施形態に係る電池パックは、先に説明した第3の実施形態に係る二次電池(単位セル)を1個または複数個具備することができる。第5の実施形態に係る電池パックに含まれ得る複数の二次電池は、電気的に直列、並列、又は直列および並列を組み合わせて接続されることができる。また、複数の二次電池は、電気的に接続された組電池を構成することもできる。複数の二次電池から組電池を構成する場合、第4の実施形態の組電池を使用することができる。
第5の実施形態に係る電池パックは、保護回路をさらに具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御するものである。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用することができる。
また、第5の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子をさらに具備することもできる。通電用の外部端子は、二次電池からの電流を外部に出力するため、及び/又は単位セル51に電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子59を通して電池パックに供給される。
第5の実施形態に係る電池パックの例を、図9を参照して説明する。図9は、電池パックの一例を示す模式的な斜視図である。
電池パック40は、図6、7に示す二次電池からなる組電池を備える。電池パック40は、筐体41と、筐体41内に収容された組電池42とを含む。組電池42は、複数(例えば5個)の二次電池43〜43が電気的に直列に接続されたものである。二次電池43〜43は、厚さ方向に積層されている。筐体41は、上部及び4つの側面それぞれに開口部44を有している。二次電池43〜43の正負極端子12、13が突出している側面が、筐体41の開口部44に露出している。組電池42の出力用正極端子45は、帯状をなし、一端が二次電池43〜43のいずれかの正極端子13と電気的に接続され、かつ他端が筐体41の開口部44から突出して筐体41の上部から突き出ている。一方、組電池42の出力用負極端子46は、帯状をなし、一端が二次電池43〜43のいずれかの負極端子12と電気的に接続され、かつ他端が筐体41の開口部44から突出して筐体41の上部から突き出ている。
第5の実施形態に係る電池パックの別の例を図10および図11を参照して詳細に説明する。図10は、第5の実施形態に係る他の例の電池パックの分解斜視図である。図11は、図10の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
扁平型の二次電池から構成される複数の単位セル51は、外部に延出した負極端子52および正極端子53が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ54で締結することにより組電池55を構成している。これらの単位セル51は、図11に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板56は、負極端子52および正極端子53が延出する単位セル51側面と対向して配置されている。プリント配線基板56には、図11に示すようにサーミスタ57、保護回路58及び通電用の外部端子59が搭載されている。なお、組電池55と対向するプリント配線基板56の面には組電池55の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極リード160は、組電池55の最下層に位置する正極端子53に接続され、その先端はプリント配線基板56の正極コネクタ161に挿入されて電気的に接続されている。負極リード162は、組電池55の最上層に位置する負極端子52に接続され、その先端はプリント配線基板56の負極側コネクタ163に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ161、163は、プリント配線基板56に形成された配線164、165を通して保護回路58に接続されている。
サーミスタ57は、単位セル51の温度を検出し、その検出信号は保護回路58に送信される。保護回路58は、所定の条件で保護回路58と通電用の外部端子59との間のプラス配線66aおよびマイナス配線66bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ57の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単位セル51の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単位セル51もしくは組電池55について行われる。個々の単位セル51を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単位セル51中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図10および図11の場合、単位セル51それぞれに電圧検出のための配線67を接続し、これら配線67を通して検出信号が保護回路58に送信される。
正極端子53および負極端子52が突出する側面を除く組電池55の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート68がそれぞれ配置されている。
組電池55は、各保護シート68およびプリント配線基板56と共に収納容器69内に収納される。すなわち、収納容器69の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート68が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板56が配置される。組電池55は、保護シート68およびプリント配線基板56で囲まれた空間内に位置する。蓋70は、収納容器69の上面に取り付けられている。
なお、組電池55の固定には粘着テープ54に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図10、図11では単位セル51を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。或いは、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。さらに、組み上がった電池パックを直列および/または並列に接続することもできる。
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途としては、大電流での充放電が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、鉄道用車両等の車両の車載用、並びに定置用電池としての用途が挙げられる。特に、車載用が好適である。
第5の実施形態に係る電池パックを搭載した自動車等の車両において、電池パックは、例えば車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。
以上説明した第5の実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態に係る集電体を備える電極を含む二次電池を備えるため、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた電池パックを提供することができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第6の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。
車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(例えば、リジェネレーター)を含んでいてもよい。
第6の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第6の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
次に、第6の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図12は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
図12に示す車両200は、車両本体201と、電池パック202とを含んでいる。電池パック202は、第5の実施形態に係る電池パックであり得る。
図12に示す車両200は、四輪の自動車である。車両200としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両を用いることができる。
この車両200は、複数の電池パック202を搭載してもよい。この場合、電池パック202は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
電池パック202は、車両本体201の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている。電池パック202の搭載位置は、特に限定されない。電池パック202は、車両本体201の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック202は、車両200の電源として用いることができる。また、この電池パック202は、車両200の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図13を参照しながら、第6の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図13は、第6の実施形態に係る車両の他の例を概略的に示した図である。図13に示す車両300は、電気自動車である。
図13に示す車両300は、車両本体301と、車両用電源302と、車両用電源302の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)380と、外部端子(外部電源に接続するための端子)370と、インバータ340と、駆動モータ345とを備えている。
車両300は、車両用電源302を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図13に示す、車両300では、車両用電源302の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源302は、複数(例えば3つ)の電池パック312a、312b及び312cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)311と、通信バス310と、を備えている。
3つの電池パック312a、312b及び312cは、電気的に直列に接続されている。電池パック312aは、組電池314aと組電池監視装置(VTM:Voltage Temperature Monitoring)313aと、を備えている。電池パック312bは、組電池314bと組電池監視装置313bと、を備えている。電池パック312cは、組電池314cと組電池監視装置313cと、を備えている。電池パック312a、312b、及び312cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック312と交換することができる。
組電池314a〜314cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。組電池314a〜314cは、それぞれ、正極端子316及び負極端子317を通じて充放電を行う。
電池管理装置311は、車両用電源302の保全に関する情報を集めるために、組電池監視装置313a〜313cとの間で通信を行い、車両用電源302に含まれる組電池314a〜314cに含まれる単電池の電圧、及び温度などに関する情報を収集する。
電池管理装置311と組電池監視装置313a〜313cとの間には、通信バス310が接続されている。通信バス310は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス310は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置313a〜313cは、電池管理装置311からの通信による指令に基づいて、組電池314a〜314cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源302は、正極端子316と負極端子317との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図13に示すスイッチ装置333)を有することもできる。スイッチ装置333は、組電池314a〜314cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、及び電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフされるリレー回路(図示せず)を備えている。
インバータ340は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ340の3相の出力端子は、駆動モータ345の各3相の入力端子に接続されている。インバータ340は、電池管理装置311あるいは車両全体動作を制御するための車両ECU380からの制御信号に基づいて、出力電圧を制御する。
駆動モータ345は、インバータ340から供給される電力により回転する。この回転は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両300は、回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構は、車両300を制動した際に駆動モータ345を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ340に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源302に入力される。
車両用電源302の負極端子317には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置311内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ340の負極入力端子に接続されている。
車両用電源302の正極端子316には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置333を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ340の正極入力端子に接続されている。
外部端子370は、電池管理装置311に接続されている。外部端子370は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU380は、運転者などの操作入力に応答して他の装置とともに電池管理装置311を協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置311と車両ECU380との間では、通信線により、車両用電源302の残容量など、車両用電源302の保全に関するデータ転送が行われる。
第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを具備している。即ち、貯蔵性能及びサイクル特性に優れた電池パックを備えているため、第6の実施形態に係る車両は貯蔵性能及びサイクル特性に優れており、且つ電池パックが寿命性能に優れているため、信頼性が高い車両を提供することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態によると、定置用電源が提供される。この定置用電源は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。なお、この定置用電源は、第5の実施形態に係る電池パックの代わりに、第4の実施形態に係る組電池又は第3の実施形態に係る二次電池を搭載していてもよい。
第7の実施形態に係る定置用電源は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。したがって、第7の実施形態に係る定置用電源は、長寿命を実現することができる。
図14は、第7の実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図である。図14は、第5の実施形態に係る電池パック40A、40Bの使用例として、定置用電源112、123への適用例を示す図である。図14に示す一例では、定置用電源112,123が用いられるシステム110が示される。システム110は、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びエネルギー管理システム(EMS)115を備える。また、システム110には、電力網116及び通信網117が形成され、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びEMS115は、電力網116及び通信網117を介して、接続される。EMS115は、電力網116及び通信網117を活用して、システム110全体を安定化させる制御を行う。
発電所111は、火力及び原子力等の燃料源によって、大容量の電力を生成する。発電所111からは、電力網116等を通して電力が供給される。また、定置用電源112には、電池パック40Aが搭載される。電池パック40Aは、発電所111から供給される電力等を蓄電できる。また、定置用電源112は、電池パック40Aに蓄電された電力を、電力網116等を通して供給できる。システム110には、電力変換装置118が設けられる。電力変換装置118は、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置118は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置118は、発電所111からの電力を、電池パック40Aへ蓄電可能な電力に変換できる。
需要家側電力系統113には、工場用の電力系統、ビル用の電力系統、及び、家庭用の電力系統等が、含まれる。需要家側電力系統113は、需要家側EMS121、電力変換装置122及び定置用電源123を備える。定置用電源123には、電池パック40Bが搭載される。需要家側EMS121は、需要家側電力系統113を安定化させる制御を行う。
需要家側電力系統113には、発電所111からの電力、及び、電池パック40Aからの電力が、電力網116を通して供給される。電池パック40Bは、需要家側電力系統113に供給された電力を蓄電できる。また、電力変換装置122は、電力変換装置118と同様に、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置122は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置122は、需要家側電力系統113に供給された電力を、電池パック40Bへ蓄電可能な電力に変換できる。
なお、電池パック40Bに蓄電された電力は、例えば、電気自動車等の車両の充電等に用いることができる。また、システム110には、自然エネルギー源が設けられてもよい。この場合、自然エネルギー源は、風力及び太陽光等の自然エネルギーによって、電力を生成する。そして、発電所111に加えて自然エネルギー源からも、電力網116を通して、電力が供給される。
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順で二次電池を作製した。
<集電体の作製>
温度を0℃に固定した希硫酸溶液に厚さ20μmのアルミニウム箔(純度99%)を浸漬させた。このアルミニウム箔に対し箔端部より通電し、電気を流す事で表面処理を行った。この時の電圧は50Vとし、時間は10分とした。希硫酸中での処理後に、30℃に設定した純水中にアルミニウム箔を浸漬させる事でアルミニウム箔上に多孔質層を備えた集電体を得た。多孔質層は金属層の両方の主面に形成された。
<正極の作製>
正極活物質として一次粒子の平均粒子径が2μmのLiMn複合酸化物を90重量%、導電剤として黒鉛粉末を7重量%、結着剤として3重量%のPVdFを配合して、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。上記の配合量は、それぞれ、正極活物質含有層の重量に対する重量である。上記で作製した集電体の両面にスラリーを塗布して、乾燥して積層体を得た。この積層体にプレスを施して、片面の正極層(正極活物質含有層)の厚さが40μm、電極密度が3.2g/cm3の複合正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質粒子として、平均一次粒子径が0.6μmであり、比表面積が10m2/gのLi4Ti512粒子と、導電剤として平均粒子径が6μmである黒鉛粉末と、結着剤としてPVdFとを準備した。負極活物質粒子、導電剤及び結着剤を、それぞれ負極全体に対して94重量%、4重量%及び2重量%の割合で配合してNMP溶媒に分散した。この分散液を、ボールミルを用いて、回転数が1000rpm、攪拌時間が2時間の条件で攪拌してスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ30μmの亜鉛箔(純度99.3%)の両面に塗布し、塗膜を乾燥することで集電体及び活物質含有層からなる積層体を得た。この積層体にプレスを施して、負極活物質含有層の厚さが59μm、電極密度が2.2g/cm3の負極を作製した。この負極は多孔質層を有していない。
<電極群の作製>
上記で得られた正極と、厚さが20μmの不織布であるセパレータと、負極とを、正極の活物質含有層及び負極の活物質含有層が向かい合うように、これらの間にセパレータを介在させて積層して、積層体を得た。次に、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。これを90℃で加熱プレスすることにより、扁平型電極群を作製した。得られた電極群を、厚さが0.25mmのステンレスからなる薄型の金属缶に収納した。なお、この金属缶は、内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁を備えていた。
<二次電池の作製及び初回充放電>
水1Lに、電解質塩として12M(mol/L)のLiClを溶解させた電解質を準備し、この電解質を上記金属缶に注液して二次電池を作製した。作製した二次電池を、25℃環境下で24時間に亘って放置した。その後、25℃環境下で、2.8Vまで1Aで充電した後、1.6Vまで放電して電池の容量確認を行った。
<サイクル試験>
25℃環境下で、3Aの定電流で2.8Vまで充電した後、30分間の休止時間を設け、次いで3Aの定電流で1.5Vまで放電し、再び30分間の休止時間を設けるという一連の操作を1つの充放電サイクルとし、この充放電サイクルを、作製した二次電池に対して50回繰り返した。初期容量に対する50回時点における容量(Ah)と、50回時点における充放電効率(放電容量/充電容量)を算出した。
<比A/Rの測定>
上記50サイクル後の容量(Ah)と充放電効率(%)を測定後、完全放電状態(SOC 0%)とした二次電池を、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解した。分解した二次電池から、正極を取り出した。この電極を純水で洗浄した。
洗浄後の電極を、イオンミリングを用いて切断し、断面を観察できるようにSEM試料台に貼り付け観察した。観察箇所は3箇所だった。
ひとつのSEM観察像に対して、多孔質層を厚さ方向に3等分した仮想領域を設定した。3つの仮想領域のそれぞれに対して金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)をランダムに10箇所設定し、Rごとに交わる孔の数を観察した。このようにして3つのSEM観察像において合計で90箇所のRについて、それぞれのRごとに交わる孔の数を測定し、90箇所それぞれのRごとに交わる孔の数Nから平均値Aを求めた。この平均値AからRとの比A/Rを求めた。実施例1では比A/R=8だった。
<封孔度の測定>
上述したように分解した二次電池から正極を得た。この正極から正極活物質層を剥がし取り、多孔質層の表面を露出させた。この露出面に対して、SEM観察を10箇所行った。10箇所それぞれについて測定した孔の数の平均値を、電極活物質層側の表面から観察できる孔(表面孔)の数k1とし、上記で観察した10箇所の多孔質層の表面を、イオンミリングで100nm削り、この特定の10箇所に対してさらにSEM観察を行った。この10箇所について測定した孔の数の平均値を多孔質層側の表面から観察できる孔の数k2とし、封孔度[{(k2-k1)×100%}/k2]を求めた。実施例1の封孔度は41%であった。
後述する実施例2−34及び比較例1−9についても、実施例1に記載したのと同様の方法で、実施例2−34及び比較例1−9に係る二次電池のサイクル寿命特性を評価し、充放電効率を算出し、比A/R及び封孔度の測定をした。
表3に実施例1に用いた活物質の種類、集電体の多孔質層の配置及び厚さ、金属層の金属種及び厚さ、希硫酸処理の処理時間や処理電圧、及び純水処理(封孔処理)の温度を記載した。表6には比A/R(μm−1)、封孔度(%)、50サイクル後の容量(Ah)、充放電効率(%)を記載した。表3及び表4には実施例2−34の活物質の種類、集電体の多孔質層の配置及び片方の厚さ、金属層の金属種及び厚さ、希硫酸処理の処理時間や処理電圧、及び純水処理の温度を記載した。表5には比較例1−9の活物質の種類、集電体の多孔質層の配置及び厚さ、金属層の金属種及び厚さ、希硫酸処理の処理時間や処理電圧、及び純水処理の温度を記載した。表6及び7には実施例2−34の比A/R(μm−1)、封孔度(%)、50サイクル後の容量(Ah)、充放電効率(%)、表8には比較例1−9の比A/R(μm−1)、封孔度(%)、50サイクル後の容量(Ah)、充放電効率(%)を記載した。多孔質層は金属層の両方の主面に形成された場合、それぞれの主面上に形成される多孔質層の厚さはほぼ同一である。つまり、多孔質層が両方の主面に形成された場合、例えば多孔質層の片面の厚さが3μmの実施例1では、集電体としての多孔質層の厚さの合計は6μmとなる。そのため、片方の多孔質層の厚さのみ記載している。
(実施例2)
アルミニウム箔(純度99%)の代わりに、アルミニウムとシリコン(Si)を含む合金箔を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例3〜6)
表3及び6に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理時間を30分、8分、5分、20分に変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例7)
正極に集電体としてチタン箔を用い、負極に実施例1に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例8)
負極活物質に酸化チタン(TiO)を用いたこと以外は実施例7と同様に二次電池を作製した。
(実施例9)
負極活物質にニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)を用いたこと以外は実施例7と同様に二次電池を作製した。
(実施例10)
負極活物質にナトリウムニオブチタン酸化物(Li2Na1.8Ti5.8Nb0.2O14)を用いたこと以外は実施例7と同様に二次電池を作製した。
(実施例11)
正極活物質にNCM三元系正極活物質(LiNi0.5Co0.2Mn0.3O)を用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例12)
正極活物質にNCM三元系正極活物質(LiNi0.6Co0.2Mn0.2O)を用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例13)
正極活物質にNCM三元系正極活物質(LiNi0.33Co0.33Mn0.33O)を用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例14)
正極活物質にNCM三元系正極活物質(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O)を用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例15)
正極活物質にLiNi0.5Mn1.5Oを用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例16)
正極活物質にLiCoOを用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例17)
正極活物質にLiFePOを用いたこと以外は実施例1と同様に二次電池を作製した。
(実施例18〜21)
厚さ8μm〜30μmの金属層を有する集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例22〜24)
表4及び7に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理電圧を90 V、60 V、30 Vに変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例25〜27)
正極及び負極に実施例1に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1、実施例11、実施例14に記載の作製方法と同様に二次電池をそれぞれ作製した。
(実施例28〜31)
表4及び7に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、純水中での処理温度を10℃、20℃、35℃、50℃に変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例32)
表4及び7に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、純水中での処理温度を90℃に変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例33)
表4及び7に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、純水中での処理を行わなかった。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(実施例34)
実施例34では、片方の主面に多孔質層を備える集電体を用いて二次電池を作製した。作製の方法は次の通りである。
<集電体の作製>
温度を0℃に固定した希硫酸溶液に、片面を絶縁体で被覆した厚さ20μmのアルミニウム箔(純度99%)を浸漬させた。このアルミニウム箔に対し箔端部より通電し、電気を流す事で表面処理を行った。この時の電圧は50Vとし、時間は10分とした。希硫酸中での処理後に、30℃に設定した純水中にアルミニウム箔を浸漬させる事でアルミニウム箔の片方の主面上に多孔質層を備えた集電体を得た。
<正極の作製>
正極活物質として一次粒子の平均粒子径が2μmのLiMn複合酸化物を90重量%、導電剤として黒鉛粉末を7重量%、結着剤として3重量%のPVdFを配合して、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。上記の配合量は、それぞれ、正極活物質含有層の重量に対する重量である。上記で作製した集電体の多孔質層の存在する側の片面にスラリーを塗布して、乾燥して積層体を得た。この積層体にプレスを施して、正極活物質層の厚さが40μm、電極密度が3.2g/cm3の複合正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質粒子として、平均一次粒子径が0.6μmであり、比表面積が10m2/gのLi4Ti512粒子と、導電剤として平均粒子径が6μmである黒鉛粉末と、結着剤としてPVdFとを準備した。負極活物質粒子、導電剤及び結着剤を、それぞれ負極全体に対して94重量%、4重量%及び2重量%の割合で配合してNMP溶媒に分散した。この分散液を、ボールミルを用いて、回転数が1000rpm、攪拌時間が2時間の条件で攪拌してスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ30μmの亜鉛箔(純度99.3%)の片面に塗布し、塗膜を乾燥することで集電体及び活物質含有層からなる積層体を得た。この積層体にプレスを施して、負極活物質含有層の厚さが59μm、電極密度が2.2g/cm3の負極を作製した。この負極は多孔質層を有していない。
<二次電池の作製>
実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例1)
表面処理を行っていないアルミニウム箔を用いた以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例2)
表5及び8に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、集電体の多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理電圧を10Vに変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例3)
表5及び8に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、集電体の多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理電圧を100 Vに変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例4)
集電体として、正極にチタン箔、負極に比較例2に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例5)
集電体として、正極にチタン箔、負極に比較例3に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例6)
正極、及び負極に比較例2に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例7)
正極、及び負極に比較例3に記載の厚さ20μmの集電体を用いたこと以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例8)
表5及び8に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理時間を1分に変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
(比較例9)
表5及び8に示す構造の集電体が得られるように集電体作製を行った。ここで、多孔質層を作製する際に、希硫酸中での処理時間を60分に変更した。それ以外は実施例1に記載の作製方法と同様に二次電池を作製した。
Figure 2021153040
Figure 2021153040
Figure 2021153040
Figure 2021153040
Figure 2021153040
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実施例1−33と比較例1−9を比べると、電極用集電体が1≦A/R≦50を満たすことで、優れた50サイクル後の容量と、充放電効率を実現できることがわかる。また、実施例1−31と実施例32、33を比較すると封孔度は20%以上80%以下のほうが、より好ましいことがわかる。
以上に説明した少なくとも1つの実施形態及び実施例によると、電極用集電体が提供される。この係る電極用集電体は、アルミニウムを含み、電極用集電体は金属層と金属層の片方の主面の上に多孔質層とを備える。多孔質層は、多孔質層の厚さ方向に対して延在する孔を複数備える。電極用集電体の断面を走査型電子顕微鏡で観察した観察像に対して、多孔質層を多孔質層の厚さ方向に3等分した仮想領域を設定し、仮想領域のそれぞれにおいて金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定し、Rと交わる孔の数NをRごとに測定した際に、孔の数Nの平均値AとRの比率は1≦A/R≦50である。この電極用集電体はガス発生を抑制しつつ、電子伝導パスを保つことができる。そのため、この電極用集電体を備える電極を有する二次電池では、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[1] アルミニウムを含む電極用集電体であって、
前記電極用集電体は金属層と、
前記金属層の片方の主面の上に多孔質層と、
を備え、
前記多孔質層は、前記多孔質層の厚さ方向に対して延在する孔を複数備え、
前記電極用集電体の断面を走査型電子顕微鏡で観察した観察像に対して、前記多孔質層を前記多孔質層の厚さ方向に3等分した仮想領域を設定し、前記仮想領域のそれぞれにおいて前記金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定し、前記Rと交わる前記孔の数Nを前記Rごとに測定した際に、前記孔の数Nの平均値Aと前記Rの比率は1≦A/R≦50である電極用集電体。
[2] 前記A/Rは2≦A/R≦40である[1]記載の電極用集電体。
[3] 前記多孔質層の前記金属層とは反対の第1表面から観察される孔の数k1と、前記第1表面から所定の深さまで除去した前記多孔質層の第2表面から観察される孔の数k2に対する値である封孔度((k2-k1)×100/k2)は20%以上80%以下である[1]又は[2]記載の電極用集電体。
[4] 前記多孔質層の厚さtと前記金属層の厚さTの比率(t/T)は0.02≦t/T≦1.1となる[1]ないし[3]のいずれか1つに記載の電極用集電体。
[5] 電極活物質層と、
[1]ないし[4]のいずれか1つに記載の電極用集電体とを備え、
前記多孔質層は前記電極活物質層と前記金属層の間に存在する電極。
[6] 正極と、
負極と、
電解質とを備え、
前記正極または負極は[5]に記載の電極である二次電池。
[7] 前記負極が備える負極活物質は、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、およびリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である[6]に記載の二次電池。
[8] [6]または[7]に記載の二次電池を具備する電池パック。
[9] 通電用の外部端子と、
保護回路とをさらに含む[8]に記載の電池パック。
[10] 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[8]又は[9]に記載の電池パック。
[11] [8]ないし[10]のいずれか1つに記載の電池パックを搭載した車両。
[12] 前記電池パックは、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである[11]に記載の車両。
[13] [8]ないし[10]のいずれか1つに記載の電池パックを具備した定置用電源。
1…電極群、2…容器(外装部材)、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極電極活物質層、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極電極活物質層、5…セパレータ、6…正極リード、7…負極リード、8…正極導電タブ、9…負極導電タブ、10…封口板、11…絶縁部材、12…負極端子、13…正極端子、31…組電池、32〜32、43〜43…二次電池、33…リード、40、40A、40B…電池パック、41…筐体、42…組電池、44…開口部、45…出力用正極端子、46…出力用負極端子、51…単位セル、55…組電池、56…プリント配線基板、57…サーミスタ、58…保護回路、59…通電用の外部端子、60…電極用集電体、61…金属層、62…多孔質層、62a〜62c…仮想領域、63…孔、64…電極活物質層、66a…プラス配線、66b…マイナス配線、67…配線、68…保護シート、69…収納容器、70…蓋、110…システム、111…発電所、112…定置用電源、113…需要家側電力系統、116…電力網、117…通信網、118…電力変換装置、121…需要家側EMS、122…電力変換装置、123…定置用電源、160…正極リード、161…正極コネクタ、162…負極リード、163…負極側コネクタ、164、165…配線、200…車両、201…車両本体、202…電池パック、300…車両、301…車両本体、302…車両用電源、310…通信バス、311…電池管理装置、312a〜312c…電池パック、313a〜313c…組電池監視装置、314a〜314c…組電池、316…正極端子、317…負極端子、333…スイッチ装置、340…インバータ、345…駆動モータ、370…外部端子、380…車両ECU、L1、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (14)

  1. アルミニウムを含む電極用集電体であって、
    前記電極用集電体は金属層と、
    前記金属層の片方の主面または両方の主面の上に多孔質層と、
    を備え、
    前記多孔質層は、前記多孔質層の厚さ方向に対して延在する孔を複数備え、
    前記電極用集電体の断面において前記金属層の平面方向に延びる単位長さR(μm)を10箇所設定したときに、前記Rごとに前記Rと交わる前記孔の数Nの平均値Aと前記Rとの比率は1≦A/R≦50である電極用集電体。
  2. 前記A/Rは2≦A/R≦40である請求項1記載の電極用集電体。
  3. 前記多孔質層の前記金属層とは反対の第1表面から観察される前記孔の数k1と、前記第1表面から所定の深さまで除去した前記多孔質層の第2表面から観察される前記孔の数k2に対する値である封孔度((k2-k1)×100/k2)は20%以上80%以下である請求項1又は2記載の電極用集電体。
  4. 前記多孔質層の厚さtと前記金属層の厚さTとの比率(t/T)は0.02≦t/T≦1.1となる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電極用集電体。
  5. 電極活物質層と、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極用集電体とを備え、
    前記多孔質層は前記電極活物質層と前記金属層との間に存在する電極。
  6. 正極と、
    負極と、
    電解質とを備え、
    前記正極または負極は請求項5に記載の電極である二次電池。
  7. 前記負極が備える負極活物質は、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、およびリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項6に記載の二次電池。
  8. 請求項6または7に記載の二次電池を具備する電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、
    保護回路とをさらに含む請求項8に記載の電池パック。
  10. 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項8又は9に記載の電池パック。
  11. 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
  12. 前記電池パックは、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである請求項11に記載の車両。
  13. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項11に記載の車両。
  14. 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電池パックを具備した定置用電源。

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