図1および図2に示す本実施形態による建具1は、高層建物の高層階における外壁111の開口部(躯体開口部12とする)に設けられる。本実施形態による建具1は、高さが約3mとなる比較的大型となる建具1である。建具1が設けられた外壁111に沿った水平方向を幅方向(図の矢印Xの方向)とし、室内13と室外14とを結ぶ外壁111に直交する方向を室内外方向(図の矢印Yの方向)とする。外壁111や床部112などの建物の躯体を建物躯体11とする。本実施形態では、建具1は、FIX窓付きの片引戸で、FIX窓の室外14側で片引戸の障子(引戸障子4)が幅方向にスライドするように構成される。
建具1は、枠体2と、FIX障子3と、引戸障子4と、網戸5と、網戸固定切替部6と、を有する。枠体2は、四方枠である。FIX障子3は、枠体2の内側の幅方向の一方側に配置される。枠体2の内側におけるFIX障子3よりも幅方向の他方側の領域が開口部(枠体内開口部21とする、図1参照)となる。引戸障子4は、枠体2の内側においてスライド可能に構成され、幅方向の一方側に配置されると枠体内開口部21を開口し、幅方向の他方側に配置されると枠体内開口部21を閉塞する。引戸障子4は、FIX障子3の室外14側に配置される。
図1に示すように、網戸5は、枠体2の幅方向の他方側に配置される縦枠25と、この縦枠25と対向する引戸障子4の戸先框74との間に取り付けられる。戸先框74は、引戸障子4の幅方向の他方側に配置される縦框である。網戸5は、網材51が幅方向に伸縮して枠体内開口部21を開口する引戸障子4の戸先框74と縦枠25との間を塞ぐことが可能に構成されている。図3には、網戸5の網材51が幅方向に伸長して引戸障子4の戸先框74と縦枠25との間を塞いでいる状態を示す。
網戸固定切替部6は、網戸5と戸先框74とを固定した状態(網戸固定状態とする)と、網戸5と戸先框74との固定を解除した状態(網戸固定解除状態とする)とを切り替える。網戸固定状態では、網戸5は、戸先框74の幅方向のスライドに連動して伸縮し、開口する引戸障子4の戸先框74と縦枠25との間を塞ぐ。網戸固定解除状態では、戸先框74が幅方向にスライドしても、網戸5は、連動せず引戸障子4の戸先框74と縦枠25との間を塞がない。網戸5および網戸固定切替部6の詳細については後述する。
図4に示すように、縦枠25は、縦枠外板部241と、縦枠内板部242と、縦枠室外側板部243と、縦枠室内側板部244と、縦枠見付板部245と、第1突出片246と、第2突出片247と、第3突出片248と、を有する。
縦枠外板部241は、平板状に形成され板面が幅方向を向く姿勢で躯体開口部12の側縁部と対向して配置される。縦枠外板部241は、縦枠固定具249を介して躯体に固定される。縦枠内板部242は、平板状に形成され板面が幅方向を向く姿勢で縦枠外板部241の幅方向の一方側に間隔をあけて配置される。縦枠内板部242は、縦枠外板部241と縦枠内板部242とは、幅方向に重なって配置される。縦枠室外側板部243は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241および縦枠内板部242の室外14側に接続される。
縦枠室外側板部243の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242の室外14側の端部と接続される。縦枠室外側板部243の幅方向の他方側の端部は、縦枠外板部241の室外14側の端部と接続される。縦枠室内側板部244は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241および縦枠内板部242の室内13側の端部に接続される。縦枠室内側板部244の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242よりも幅方向の一方側に突出している。縦枠室外側板部243の幅方向の中間部には、縦枠内板部242の室内13側の端部が室外14側から接続される。
縦枠見付板部245は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241と縦枠内板部242との間に配置される。縦枠見付板部245の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242の室内外方向の中間部に接続される。縦枠見付板部245の幅方向の他方側の端部は、縦枠外板部241の室内外方向の中間部に接続される。
第1突出片246、第2突出片247および第3突出片248は、いずれも平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で、縦枠内板部242の室内外方向の中間部から幅方向の一方側に突出している。第1突出片246、第2突出片247、第3突出片248の順に室内13側から室外14側に間隔をあけて配置される。第1突出片246は縦枠見付板部245の幅方向の一方側に重なって配置される。
戸先框74は、戸先框外板部741と、戸先框内板部742と、戸先框室外側板部743と、戸先框室内側板部744と、網戸取付部75と、を有する。戸先框外板部741および戸先框内板部742は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢で配置される。戸先框外板部741と戸先框内板部742とは、幅方向の一方側に戸先框内板部742が配置され、幅方向の他方側に戸先框外板部741が配置される。戸先框外板部741と戸先框内板部742とは、幅方向に離れている。
戸先框室外側板部743および戸先框室内側板部744は、平板状に形成され、室内外方向を向く姿勢で配置される。戸先框室外側板部743は、戸先框内板部742および戸先框外板部741の室外14側の縁部に室外14側から接続される。戸先框室内側板部744は、戸先框内板部742および戸先框外板部741の室内13側の縁部に室内13側から接続される。
戸先框室外側板部743は、幅方向の他方側の端部が戸先框内板部742よりも幅方向の他方側に位置し、幅方向の一方側の端部が戸先框外板部741よりも幅方向の一方側に位置する。戸先框室内側板部744は、幅方向の他方側の端部が戸先框内板部742の幅方向の他方側の端部よりも幅方向の他方側に位置し、幅方向の一方側の端部が戸先框外板部741よりも幅方向の一方側に位置する。戸先框室内側板部744の幅方向の一方向側の端部は、戸先框室外側板部743の幅方向の一方側の端部よりも幅方向の一方側に位置している。戸先框内板部742よりも幅方向の一方側に複層ガラス41が嵌め込まれる。
網戸取付部75は、網戸取付内板部751と、網戸取付外板部752と、網戸取付室内板部753と、網戸取付中板部754と、を有している。網戸取付内板部751は、板面が幅方向を向く平板状に形成され、戸先框室内側板部744の幅方向の一方側の端部から室内13側に延びている。網戸取付外板部752は、板面が幅方向を向く平板状に形成され、戸先框室内側板部744の幅方向の中間部から室内13側に延びている。網戸取付外板部752の幅方向の位置は、戸先框外板部741の幅方向の位置と戸先框内板部742の幅方向の位置との間となっている。網戸取付内板部751の方が網戸取付外板部752よりも室内13側に突出している。
網戸取付室内板部753は、板面が室内外方向を向く平板状に形成され、網戸取付内板部751の室内13側の端部から幅方向の他方側に延びている。網戸取付室内板部753の幅方向の他方側の端部は、網戸取付外板部752よりも幅方向の一方側に配置されている。網戸取付中板部754は、網戸取付外板部752の室内13側の端部と網戸取付中板部754の室内外方向の中間部とを接続している。
網戸取付中板部754は、第1中板部755と、第2中板部756と、第3中板部757と、を有している。第1中板部755は、網戸取付内板部751の室内外方向の中間部から幅方向の他方側に延びている。第2中板部756は、第1中板部755の幅方向の他方側の端部から室外14側に延びている。第1中板部755と第2中板部756との接続部は、円弧板状に形成されている。第3中板部757は、第2中板部756の室外14側の端部から幅方向の他方側に延びて網戸取付外板部752の室内13側の端部と接続されている。第3中板部757と網戸取付外板部752との接続部には、テーパ面が形成されている。第2中板部756は、戸先框室内側板部744の室内13側に間隔をあけて配置されている。第2中板部756には、幅方向の中間部に室外14側に突出する一対の突出爪部758,758が幅方向に間隔をあけて設けられている。
戸先框74には、第2中板部756、一対の突出爪部758,758に囲まれた溝部759が形成されている。溝部759は、室外14側に開口し、上下方向に延びている。溝部759には、網戸固定切替部6の連動棒65(図5参照)が配置される。戸先框74には、第1中空部761、第2中空部762および凹部763が形成されている。第1中空部761は、戸先框外板部741、戸先框内板部742、戸先框室外側板部743、戸先框室内側板部744に囲まれた中空部である。第2中空部762は、戸先框室内側板部744、網戸取付内板部751、網戸取付外板部752、網戸取付中板部754に囲まれた中空部である。凹部763は、網戸取付中板部754、網戸取付内板部751、網戸取付室内板部753に囲まれて幅方向の他方側に開口する凹部である。凹部763は、縦枠25の縦枠内板部242における第1突出片246よりも室内13側の部分と幅方向に対向する。
戸先框外板部741には、網戸固定切替部6の規制ピン取付部83(図5参照)が取り付けられる第1戸先框孔部741aが形成されている。戸先框室外側板部743には、網戸固定切替部6の室外側操作部62(図5参照)が取り付けられる第2戸先框孔部743aが形成されている。戸先框室内側板部744には、網戸固定切替部6の規制プレート81(図5参照)が配置される第3戸先框孔部744aが形成されている。網戸取付内板部751には、網戸固定切替部6の室内側操作部61(図5参照)が取り付けられる第4戸先框孔部751aが形成されている。第2中板部756には、網戸固定切替部6の網戸引掛け金具63(図6参照)が配置される第5戸先框孔部756aが形成されている。
網戸5は、網材51と、枠固定部52と、框固定部53と、を有している。網材51は、蛇腹状に折り畳み可能な面材である。網材51は、図1に示すように引戸障子4が枠体内開口部21を閉鎖している状態では折り畳まれ、図3に示すように引戸障子4が枠体内開口部21を開口すると幅方向に広がる。枠固定部52は、網材51の幅方向の端部に取り付けられ縦枠25に固定される。框固定部53は、網材51に取り付けられ戸先框74に固定される。網戸5は、枠固定部52および框固定部53に対して取り外し可能に構成されている。
枠固定部52は、縦枠25の縦枠内板部242における第1突出片246よりも室内13側の部分に取り付けられる。枠固定部52は、縦枠25に固定される。框固定部53は、戸先框74の凹部763に配置される。框固定部53は、戸先框74に着脱可能に取り付けられる。框固定部53には、幅方向の一方側の端部に、網戸固定切替部6の網戸引掛け金具63(図6参照)が引っ掛けられる固定溝部531が形成されている。固定溝部531は、幅方向の一方側に開口している。枠固定部52と框固定部53とは、幅方向に対向する。
図5−7に示すように、網戸固定切替部6は、戸先框74に設けられている。網戸固定切替部6は、框固定部53と戸先框74と固定することで網戸固定状態とし、框固定部53と戸先框74との固定を解除することで網戸固定解除状態とする。網戸固定切替部6は、室内側操作部61(操作部)と、室外側操作部62(操作部)と、網戸引掛け金具63と、切替規制部64と、連動棒65と、移動規制部66(図8参照)と、を有している。
室内側操作部61は、室内側から網戸固定状態と網戸固定解除状態とを切り替える操作を行うために設けられている。室外側操作部62は、室外側から網戸固定状態と網戸固定解除状態とを切り替える操作を行うために設けられている。室内側操作部61および室外側操作部62は、戸先框74に固定されるケース611,621と、ケース611,621に収容されケース611,621の内部において上下方向に移動可能なレバー612,622と、を有している。室内側操作部61および室外側操作部62は、使用者がレバー612,622を上下方向に移動させて、ケース611,621の内部における上側および下側の何れかに配置することで網戸固定状態と網戸固定解除状態とを切り替えるように構成されている。本実施形態では、レバー612,622が上側に配置されると網戸固定状態となり、下側に配置されると網戸固定解除状態となる。
図5に示すように、室内側操作部61のケース611は、網戸取付内板部751の第4戸先框孔部751aから戸先框74の第2中空部762に挿し込まれている。室内側操作部61のレバー612は、戸先框74に対して幅方向の一方側から操作可能となっている。室外側操作部62のケース621は、戸先框室外側板部743の第2戸先框孔部743aから戸先框74の第1中空部761に挿し込まれている。室外側操作部62のレバー622は、戸先框74に対して室外側から操作可能となっている。室内側操作部61および室外側操作部62は、いずれも室内の床部112(図2参照)から約1500mmの高さに設けられている。
連動棒65は、長尺に形成され、上下方向に延びる姿勢に配置されている。連動棒65は、第2中空部762の内部で、戸先框74の溝部759に配置されている。連動棒65は、戸先框74に対して溝部759に沿って上下方向に移動可能に配置されている。連動棒65には、室内側操作部61のレバー612が第1連結プレート681を介して連結される(図5参照)。連動棒65には、網戸引掛け金具63が第2連結プレート682を介して連結される(図6参照)。連動棒65には、切替規制部64の規制プレート81が第3連結プレート683を介して連結される(図5参照)。切替規制部64の規制プレート81は、室外側操作部62のレバー622が連結される。すなわち、室外側操作部62のレバー622は、切替規制部64の規制プレート81および第3連結プレート683を介して連動棒65と連結されている。
室内側操作部61のレバー612、室外側操作部62のレバー622、網戸引掛け金具63、切替規制部64の規制プレート81および連動棒65は、連結されていて、上下方向に連動する。室内側操作部61のレバー612、室外側操作部62のレバー622、網戸引掛け金具63、切替規制部64の規制プレート81および連動棒65を連動部67(図5、6参照)とする。連動部67が上側の位置(固定位置とする)となると網戸固定状態となり、連動部67が下側の位置(固定解除位置とする)となると網戸固定解除状態となる。
図6および図7に示すように、網戸引掛け金具63は、第2中板部756の第5戸先框孔部756aを貫通している。網戸引掛け金具63の幅方向の他方側の部分には、網戸5の框固定部53の固定溝部531に下側から引っ掛け可能なフック部631が形成されている。フック部631は、戸先框74の凹部763に配置されている。網戸引掛け金具63の幅方向の一方側の部分は、第2中空部762に位置し、第2連結プレート682を介して連動棒65と連結されている。網戸引掛け金具63は、固定位置となると、框固定部53の固定溝部531に引っ掛けられ、固定解除位置となると固定溝部531から外れて框固定部53と戸先框74との固定を解除する。
切替規制部64は、網戸固定状態と網戸固定解除状態との切り替えを、戸先框74が枠体内開口部21を閉鎖している状態(閉状態)のときのみに規制する。切替規制部64は、規制プレート81と、規制ピン82(第1部材)と、規制ピン取付部83と、ばね84と、凸部材85(第2部材)と、を有している。図5に示すように、規制プレート81は、規制孔部843が形成される規制板部841と、規制板部841と連続して設けられ、第2連結プレート682と連結される連結板部842と、を有している。規制板部841は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢に配置される。連結板部842は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で規制板部841の室内13側の縁部から幅方向の一方側に突出している。規制板部841は、戸先框室内側板部744の第3戸先框孔部744aを貫通している。規制プレート81は、規制板部841の室外14側の部分が戸先框74の第1中空部761に配置され、規制板部841の室内13側の部分および連結板部842が戸先框74の第2中空部762に配置されている。規制板部841の室外14側の縁部は、室外側操作部62のレバー622と連結されている。
図9に示すように、規制板部841には、戸先框室内側板部744よりも室外側となる部分に、幅方向に貫通する規制孔部843が形成されている。規制孔部843は、上孔部844と、下孔部845と、溝孔部846と、を有している。上側に上孔部844が配置され、下側に下孔部845が配置され、上孔部844と下孔部845との間に溝孔部846が配置されている。規制孔部843は、溝孔部846が上孔部844と下孔部845とを接続する1つの孔部である。上孔部844および下孔部845は、それぞれほぼ円形の孔部でほぼ同じ形状に形成されている。上孔部844と下孔部845とは上下方向に間隔をあけて配列されている。溝孔部846は、上下方向に延び、上孔部844に下側から接続され、下孔部845に上側から接続されている。溝孔部846の幅寸法(室内外方向の寸法)は、上孔部844および下孔部845の径(室内外方向の寸法)よりも小さく設定されている。
図5に示すように、規制ピン82は、軸部821と、第1拡径部822と、第2拡径部823と、を有している。軸部821は、円柱状に形成されている。第1拡径部822は、軸部821よりも径が大きい円柱状に形成され、軸部821の一方の端部に同軸に接続されている。第2拡径部823は、軸部821よりも径が大きい円柱状に形成され、軸部821の他方の端部に同軸に接続されている。軸部821の径は、溝孔部846の幅(室内方向の寸法)よりも小さく設定されている。第1拡径部822の径は、溝孔部846の幅よりも大きく、上孔部844および下孔部845の径よりも小さく設定されている。第2拡径部823の径は、軸部821の径よりも大きく設定されている。規制ピン82は、軸線が幅方向に延び、第1拡径部822が幅方向の一方側、第2拡径部823が幅方向の他方側となる姿勢に配置される。
規制ピン取付部83は、戸先框外板部741の第1戸先框孔部741aにはめ込まれている。規制ピン取付部83の幅方向の一方側は、戸先框外板部741よりも幅方向の一方側に突出し、第1中空部761に配置されている。規制ピン取付部83の幅方向の他方側は、戸先框外板部741よりも幅方向の他方側(縦枠25側)に突出している。規制ピン取付部83には、幅方向に貫通し、規制ピン82の軸部821、第2拡径部823、およびばね84が配置される規制ピン取付孔部831が形成されている。規制ピン取付部83には、幅方向の一方側の端部かつ規制ピン取付孔部831の縁部に孔部の内側に突出するリブ832が設けられている。規制ピン取付孔部831の径は、第2拡径部823の径と略同じ寸法に設定されている。リブ832の内側となるリブ孔部833の径は、軸部821の径と略同じで、第1拡径部822および第2拡径部823の径よりも小さく設定されている。
規制ピン取付部83の規制ピン取付孔部831は、規制ピン82が配置される。リブ孔部833には、規制ピン82の軸部821が挿通されている。規制ピン82は、第1拡径部822および第2拡径部823がリブ孔部833に挿入できないため、リブ832の幅方向の一方側に第1拡径部822が配置され、リブ832の幅方向の他方側に第2拡径部823が配置されている。規制ピン82は、第1拡径部822がリブ832に幅方向の一方側から接触する位置から、第2拡径部823がリブ832に幅方向の他方側から接触する位置まで、戸先框74に対して幅方向に変位可能に構成されている。
ばね84は、第2拡径部823とリブ832との間には設けられている。ばね84はコイルバネで、軸部821が貫通している。ばね84は、第2拡径部823とリブ832との隙間を押し広げるようにして、規制ピン82を幅方向の他方側に押し付けている。これにより、規制ピン82は、幅方向の他方側から一方側に向かって押されて戸先框74に対し幅方向の一方側に移動すると、ばね84を弾性変形させる。規制ピン82を幅方向の一方側に向かって押す力が解除されると、ばね84の復元力によって規制ピン82が幅方向の他方側に押され、戸先框74に対し幅方向の他方側に移動する。戸先框74に対する規制ピン82の位置について、図10に示すように、幅方向の他方側から押されておらず幅方向の他方側に配置されている位置を第1位置とする。戸先框74に対する規制ピン82の位置について、図5に示すように、幅方向の他方側から押され、ばね84を弾性変形させて幅方向の一方側に配置されている位置を第2位置とする。規制ピン82は、第1位置に配置されても規制ピン取付部83よりも幅方向の一方側には突出しない。
凸部材85は、縦枠25の縦枠内板部242の幅方向の一方側の面に固定され、縦枠内板部242から幅方向の一方側に突出している。凸部材85は、規制ピン82と幅方向に重なる位置に配置されている。凸部材85は、規制ピン取付部83の規制ピン取付孔部831に幅方向の一方側から挿入可能な形状に形成されている。このため、引戸障子4が枠体内開口部21を閉鎖し、戸先框74と縦枠25とが近付いた状態となると、凸部材85が規制ピン取付部83の規制ピン取付孔部831に入り込み、規制ピン82を幅方向の一方側に押す。これにより、ばね84が弾性変形し、規制ピン82が第2位置に配置される。図10に示すように、引戸障子4が枠体内開口部21を開放し、戸先框74と縦枠25とが離れると、規制ピン82から凸部材85が離れ、ばね84の復元力によって、規制ピン82が第1位置に復元される。
規制ピン82は、戸先框74に対して上下方向の変位は拘束されているが、幅方向には変位可能である。規制プレート81は、上述しているように連動部67に含まれているため、戸先框74に対して上下方向に変位可能である。規制プレート81は、戸先框74に対する幅方向の変位は拘束されている。規制ピン82は、規制プレート81の規制孔部843とは、幅方向に重なる位置に配置され、幅方向の一方側が規制プレート81の規制孔部843を貫通している。規制ピン82は、第1位置の場合には第1拡径部822が規制孔部843を貫通し、第2位置の場合には軸部821が規制孔部843を貫通している。
規制プレート81は、規制ピン82が第2位置の場合には、規制孔部843を軸部821が貫通しているため、上孔部844に軸部が配置される高さから溝孔部846を通って下孔部845に配置される高さまで上下方向に変位可能となる。これに対し、規制プレート81は、規制ピン82が第1位置の場合には、第1拡径部822が規制孔部843を貫通するため、第1拡径部822が溝孔部846を通ることができない。これにより、規制プレート81は、上孔部844に第1拡径部822が配置される高さおよび下孔部845に第1拡径部822が配置される高さの何れかの高さに拘束され、上下方向の変位が不可能となる。規制プレート81は、上側に移動した固定位置に配置されると、下孔部845が規制ピン82の高さに配置され、下側に移動した固定解除位置に配置されると上孔部844が規制ピン82の高さに配置される。
規制ピン82が第2位置となる引戸障子4が枠体内開口部21を閉鎖している状態では、規制プレート81が上下方向に移動可能となるため連動部67を上下方向に移動させることができ、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替えることができる。規制ピン82が第1位置となる引戸障子4が枠体内開口部21を開口している状態では、規制プレート81の上下方向の移動が拘束されるため、連動部67の上下方向の移動が拘束され、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替えることができない。
図8に示す移動規制部66は、引戸障子4の開放を制限するストッパーである。本実施形態では、移動規制部66は引戸障子4が300mm開放した状態で更に開放状態に移動しないように制限している。移動規制部66は、連動棒65の上端部に取り付けられている。移動規制部66は、連動棒65が固定位置となると上框71の上面よりも上方に突出し(図8に示す状態)、連動棒65が固定解除位置となると上框71の上面よりも下側に配置される。移動規制部66において上框71の上面よりも上方に突出している位置を固定位置とし、上框71の上面よりも下側に配置されている位置を固定解除位置とする。
移動規制部66が固定位置に配置された状態で、引戸障子4が閉鎖状態から開放状態へ移動すると、引戸障子4が所定の距離(例えば300mm)開放位置に向かった段階で、移動規制部66が枠体2に設けられた移動規制受け部661と接触し、引戸障子4の開放位置への移動が制限される。本実施形態では、室内側操作部61および室外側操作部62のいずれかのレバー612,622が操作されて、網戸固定状態となり、この状態で引戸障子4が開放されると、戸先框74とともに網戸5の框固定部53が移動し、框固定部53と枠固定部52との間の網材51が広がり、広がった網材51が戸先框74の縦枠25との間の開口を塞ぐ。戸先框74が所定の距離開放位置に向かうと、移動規制部66が上枠22に設けられた移動規制受け部661と接触して、引戸障子4の開放が制限される。
上記の実施形態による建具1は、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替える網戸固定切替部6を有している。網戸固定状態では、網戸5が戸先框74に固定され引戸障子4が枠体内開口部21を開放すると網戸5の網材51が枠体内開口部21を塞ぐ。網戸固定解除状態では、網戸5と戸先框74との固定が解除され引戸障子4が枠体内開口部21を開放しても網戸5の網材51が枠体内開口部21を塞がない。これにより、網戸固定切替部6によって網戸固定状態とすれば、引戸障子4が枠体内開口部21を開放しても、網戸5が枠体内開口部21を塞いでいる状態を維持することができる。
上記の実施形態による建具1では、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替える操作をする室内側操作部61および室外側操作部62は、建具1が設けられる居室の床部112から1500mm以上の高さに設けられている。これにより、小さな子供が誤って室内側操作部61および室外側操作部62に触れて、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替えることが無く、建具1の安全性を向上させることができる。
上記の実施形態による建具1では、網戸固定切替部6は、引戸障子4が枠体内開口部21を閉鎖した状態であれば網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替え可能とし、引戸障子4が枠体内開口部21を開放した状態では網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替え不可能とする切替規制部64を有している。このため、引戸障子4が枠体内開口部21を開放し、網戸5が枠体内開口部21を塞いでいる状態において、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とが切り替えられることが無い。これにより、引戸障子4が枠体内開口部21を開放し、網戸5が枠体内開口部21を塞いでいる状態において、網戸5が移動して枠体内開口部21を開放することが無いため、建具1の安全性を向上させることができる。
上記の実施形態による建具1は、切替規制部64は、戸先框74に取り付けられた規制ピン82と、縦枠25に取り付けられ凸部材85と、を有し、規制ピン82と凸部材85とが接触すると、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とが切り替え可能となり、規制ピン82と凸部材85とが離れると、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とが切り替え不可能となる。このように、規制ピン82と凸部材85とが接触した状態と、離れた状態とに切り替える簡便な構造で、網戸固定状態と、網戸固定解除状態との切り替えの規制を実現することができる。
上記の実施形態による建具1は、網戸固定切替部6は、網戸固定状態となると、引戸障子4の移動範囲を規制する移動規制部66を有している。これにより、網戸5の切り替えと引戸障子4の移動範囲を規制とを同時に行うことができる。
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、室内側操作部61および室外側操作部62(操作部)は、建具1が設けられる居室の床部112から1500mm以上の高さに設けられている。室内側操作部61および室外側操作部62(操作部)が設けられる高さは適宜設定されてよい。
上記の実施形態では、網戸固定切替部6には、引戸障子4が枠体内開口部21を閉鎖した状態であれば網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替え可能とし、引戸障子4が枠体内開口部21を開放した状態では網戸固定状態と、網戸固定解除状態とを切り替え不可能とする切替規制部64が設けられている。網戸固定切替部6には、切替規制部64が設けられていなくてもよい。
上記の実施形態では、切替規制部64は、戸先框74に取り付けられた規制ピン82と、縦枠25に取り付けられた凸部材85と、を有し、規制ピン82と凸部材85とが接触すると、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とが切り替え可能となり、規制ピン82と凸部材85とが離れると、網戸固定状態と、網戸固定解除状態とが切り替え不可能となる。切替規制部64の形態は、上記以外であってもよい。
上記の実施形態では、網戸固定切替部6は、網戸固定状態となると、引戸障子4の移動範囲を規制する移動規制部66を有している。網戸固定切替部6には、移動規制部66が設けられていなくてもよい。