JP2021147571A - コンクリート塗装用下塗り塗料組成物 - Google Patents

コンクリート塗装用下塗り塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 コンクリート塗装における下塗り塗料組成物において、より補強効果が高い下塗り塗料組成物を提供すること。【解決手段】 エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および無機充填材(C)を含むコンクリート塗装用下塗り塗料組成物であって、エポキシ樹脂(A)はビスフェノール型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂であり、エポキシ樹脂(A)はエポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)を含み、エポキシ樹脂(A−1)はエポキシ当量(A1eq)が350g/eq以上であって数平均分子量が700以上であり、エポキシ樹脂(A−2)はエポキシ当量(A2eq)が350g/eq未満であって数平均分子量が200以上であり、硬化剤(B)はアミン系硬化剤を含み、無機充填材(C)は、キシレン吸油量が50ml/100g以下であり、無機充填材(C)の量は5〜140質量部である、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物に関する。
従来、道路橋等のコンクリート構造物は、コンクリートの中性化や、応力による変形によってひび割れが生じて、コンクリートの一部が剥落してしまう場合がある。そのため、コンクリート構造物の表面に塗膜を形成し、コンクリート片の剥落を防止する対策が行われつつある。
例えば特開2019−73913号公報(特許文献1)には、コンクリート構造物の表面に塗付して形成され、無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンを含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して形成される透明補強層を有し、全体として透明なコンクリート片剥落防止構造を形成するコンクリート片剥落防止工法が記載される。そして上記工法において、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂とアルキルフェノール型液状エポキシ樹脂と反応性希釈剤とポリアミドアミンと脂肪族変性ポリアミンとから成る透明性下塗材をコンクリート構造物の表面に塗布して下塗層を形成することが記載される(請求項1)。そして特許文献1においては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が180〜195のビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであって液状であり、アルキルフェノール型液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が200〜250であることが好ましいと記載される(0031段落など)。
特開2019−73913号公報
上記特許文献1に記載される透明なコンクリート片剥落防止工法は、コンクリート表面が脆弱な場合であっても、コンクリート表面に含浸し補強し、またコンクリート表面が湿潤状態であっても透明補強層に膨れを生じさせることが無いと記載される。このように特許文献1に記載される下塗り材は、透明であり、そして補強性能を有すると記載される。
本発明は、上記のようなコンクリート塗装における下塗り塗料組成物において、より補強効果が高い下塗り塗料組成物を開発することを目的とした発明である。
上記技術的課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および無機充填材(C)を含む、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物であって、
上記エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂であり、
上記エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)を含み、
上記エポキシ樹脂(A−1)は、エポキシ当量(A1eq)が350g/eq以上であって、数平均分子量が700以上であり、
上記エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ当量(A2eq)が350g/eq未満であって、数平均分子量が200以上であり、
上記硬化剤(B)は、アミン系硬化剤を含み、
上記無機充填材(C)は、キシレン吸油量が50ml/100g以下であり、
上記塗料組成物中に含まれる無機充填材(C)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、5質量部以上140質量部以下である、
コンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[2]
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物はさらに希釈剤(D)を含み、上記希釈剤(D)は、単官能または2官能である、脂肪族エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物である、
[1]のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[3]
上記塗料組成物中に含まれる希釈剤(D)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、2質量部以上54質量部以下である、[2]のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[4]
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物はさらにシランカップリング剤(E)を含み、
上記シランカップリング剤(E)は、エポキシ基含有シランカップリング剤(E−1)およびアミノ基含有シランカップリング剤(E−2)のうち少なくとも一方を含み、
上記塗料組成物中に含まれるシランカップリング剤(E)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、1質量部以上27質量部以下である、
[1]〜[3]いずれかのコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[5]
上記塗料組成物中に含まれるエポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)の質量比は、(A−1):(A−2)=100:10〜100:1000の範囲内である、[1]〜[4]いずれかのコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[6]
コンクリート剥落防止用である、[1]〜[5]いずれかのコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
[7]
[1]〜[6]いずれかのコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を、コンクリート基材の表面に対して下塗り塗装する工程、を包含する、コンクリート基材の表面に下塗り塗膜を形成する方法。
[8]
上記コンクリート基材の表面が、コンクリート構造物の表面である、[7]の方法。
上記構成を有するコンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、コンクリート塗装の前に下塗り塗料組成物として塗装することによって、コンクリート補強効果を得ることができる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および無機充填材(C)を含む。以下、各成分について記載する。
エポキシ樹脂(A)
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂であること、および、上記エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)を含むこと、を条件とする。
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール型化合物およびエピクロルヒドリンの反応生成物である、ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。上記反応において、必要に応じた他の成分(例えば鎖延長剤、変性剤など)を用いてもよい。
ノボラック型エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物およびエピクロルヒドリンの反応生成物である、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。上記反応において、必要に応じた他の成分(例えば鎖延長剤、変性剤など)を用いてもよい。
上記エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)を含むことを条件とする。ここでエポキシ樹脂(A−1)は、エポキシ当量(A1eq)が350g/eq以上であって、数平均分子量が700以上であるエポキシ樹脂であり、そしてエポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ当量(A2eq)が350g/eq未満であって、数平均分子量が200以上である。
本明細書中において、数平均分子量は、水分などの溶媒を減圧乾燥などにより除去した後、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。
上記エポキシ樹脂(A−1)は、エポキシ当量(A1eq)が350g/eq以上8000g/eq以下の範囲内であるのが好ましく、350g/eq以上5500g/eq以下の範囲内であるのがより好ましい。また、エポキシ樹脂(A−1)の数平均分子量は、700〜9000の範囲内であるのが好ましく、700〜6000の範囲内であるのがより好ましい。
上記エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ当量(A2eq)が50g/eq以上350g/eq未満の範囲内であるのが好ましく、100g/eq以上350g/eq未満の範囲内であるのがより好ましい。また、エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量は、100〜650の範囲内であるのが好ましく、200〜600の範囲内であるのがより好ましい。
本明細書におけるエポキシ当量は、JIS K7236(2001)の規定に準じて求めることができる。
上記エポキシ樹脂(A)が、エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)の両方を含むことによって、塗料組成物のポットライフを良好な範囲に設計することができ、また、得られる下塗り塗料組成物において、良好なコンクリート補強効果を得ることができる。
本明細書においてポットライフは、可使時間と言われることがあり、塗料組成物中に含まれる反応成分を混合した後において、要求される塗膜物性を満たす範囲で使用できる最長の時間を意味する。本明細書において、ポットライフは、JIS K5600−2−6の規定に準じて求めることができる。
上記エポキシ樹脂(A−1)、(A−2)として市販品を用いてもよい。但しこれらの市販品はいずれも、上記(A−1)、(A−2)における各条件を満たすことを条件とする。
エポキシ樹脂(A−1)の市販品として、例えば、三菱ケミカル社製jERエポキシ樹脂シリーズである、グレード1001、1002、1003、1055、1004、1007、1009、1010、4005P、4007P、4010P;DIC社製EPICLONシリーズである、グレード860、1050、1055、3050、4050、7050などが挙げられる。
エポキシ樹脂(A−2)の市販品として、例えば、三菱ケミカル社製jERエポキシ樹脂シリーズである、グレード825、827、828、834、806、807;DIC社製EPICLONシリーズである、グレード840、850、830、835などが挙げられる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物中に含まれるエポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)の質量比(固形分質量比)は、(A−1):(A−2)=100:10〜100:1000の範囲内であるのが好ましい。エポキシ樹脂(A−1)および(A−2)の質量比が上記範囲を満たすことによって、コンクリートに対する含浸性がより良好となり、良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。
硬化剤(B)
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物に含まれる硬化剤(B)は、アミン系硬化剤を含む。アミン系硬化剤として、エポキシ樹脂に対する硬化剤として用いられるアミン系硬化剤を用いることができる。アミン系硬化剤の例として、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド樹脂、脂環式ポリアミン、イミダゾール化合物、ヒドラジン化合物、第3級アミン化合物、ケチミン樹脂などが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとして、例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジプロピレントリアミンなどの、一般式:HN−(C2mNH)H(mは1〜10の整数である。nは2〜10であり、好ましくは2〜6の整数である。)で表される化合物などが挙げられる。
芳香族ポリアミンとして、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、ビスアミノフェニルフルオレン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
ポリアミド樹脂として、例えば、ダイマー酸および/または脂肪酸とポリアミンとを縮合反応させて得られる樹脂などが挙げられる。
脂環式ポリアミンとして、例えば、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(特に、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン)、4,4'−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)、2,4−ジ(4−アミノシクロヘキシルメチル)アニリンなどが挙げられる。
イミダゾール化合物として、例えば、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
ヒドラジン化合物として、例えば、ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
第3級アミン化合物として、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などが挙げられる。
ケチミン樹脂として、上記ポリアミンの活性水素をケトンでケチミン化した樹脂などが挙げられる。
アミン系硬化剤は、変性ポリアミン化合物であってよい。変性ポリアミン化合物として、例えば、上記ポリアミン(脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミンなど)とカルボニル化合物とのマンニッヒ反応物、そして、上記ポリアミンにエポキシ基が付加反応したエポキシアダクト物などが挙げられる。
これらのアミン系硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
アミン系硬化剤として、脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンポリアミンなど)、芳香族ポリアミン(例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミンなど)、脂環式ポリアミン(例えば、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(特に4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)およびこれらの変性ポリアミン化合物などを用いるのがより好ましい。
硬化剤(B)に含まれるアミン系硬化剤は、アミン価が20〜1200mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、100〜800mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。なお本明細書中において、アミン価は、固形分アミン価を表し、JIS K 7237の規定に準じて求めることができる。
アミン系硬化剤として市販品を用いてもよい。市販品として例えば、クミアイ化学社製、イハラキュアミンMT、キュアハード−MEDなど;アルベマーレ社製、エタキュア100など;JFEケミカル社製、BAFLなど;三菱ケミカル社製、ST11、ST12、ST13、ST14、ST15、LV11、3080、YN100、3019、RC14、3549、T、TO184、113、WAなど;DIC社製、WN−405、WN−620、WH−614、F4、WH−650など;EVONIC社製、SUNMIDEIM−544、ANCAMINE2596、ANCAMINE2280、ANCAMINE2089Kなどが挙げられる。
上記硬化剤(B)は、アミン系硬化剤に加えて、酸無水物系化合物、メルカプタン系化合物、フェノール樹脂などの硬化剤を、必要に応じて含んでもよい。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物に含まれる硬化剤(B)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して20〜130質量部の範囲内であるのが好ましく、30〜100質量部の範囲内であるのがより好ましい。硬化剤(B)の含有量が上記範囲内であることによって、エポキシ樹脂(A)との架橋密度を十分に有する塗膜を形成することができ、良好な塗膜強度およびコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。
無機充填材(C)
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物に含まれる無機充填材(C)は、キシレン吸油量が50ml/100g以下である無機充填材である。
本明細書において「キシレン吸油量」とは、JIS K5101−13−1の方法に記載された「吸油量」に準じ、「精製あまに油」を「キシレン」に置換えて、測定した値である。キシレンは低極性芳香族炭化水素系有機溶媒である。上記測定において用いられるキシレンは、異性体混合物であってよく、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンおよびエチルベンゼンの混合物であってよい。
キシレン吸油量が50ml/100g以下である無機充填材は、低極性有機溶媒の吸油量が低いことを意味する。無機充填材のキシレン吸油量が50ml/100g以下であることによって、良好なコンクリート補強性能、湿潤付着性および湿潤耐荷性などが達成される。無機充填材のキシレン吸油量が50ml/100g以下である場合において上記技術的効果が得られる理由として、理論に拘束されるものではないが、無機充填材の表面の極性の度合いの差が大きいことにより、上記成分を含む下塗り塗料組成物内において粘度上昇が抑制され、これによりコンクリート内部への浸透性が向上し、良好なコンクリート補強性能が得られるためと考えられる。
キシレン吸油量が50ml/100g以下である無機充填材として、例えば、セメント粉末、タルクなどが挙げられる。ここでセメント粉末は、CaO、Al、SiO、Feなどの無機酸化物を主要成分とする無機粉末である。セメント粉末は例えば、石灰石(炭酸カルシウムなど)、石膏(硫酸カルシウムなど)と、粘土などとを混合して焼成し粉砕することによって得ることができる。上記セメント粉末は特に限定されず、例えば、JIS R 5210に規定される普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、JIS R 5211〜5213に規定される混合セメント、JIS R 5214に規定されるエコセメント、または白色ポルトランドセメントなどが挙げられる。キシレン吸油量が50ml/100g以下である無機充填材として、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、またはこれらの混合物がより好ましい。
上記無機充填材(C)はセメント粉末であるのが好ましい。無機充填材(C)としてセメント粉末を用いることによって、コンクリート面に塗装され形成した下塗り塗膜において、コンクリート中に含まれる水分とセメント粉末とが水和反応することによって、より良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。
上記無機充填材(C)は平均粒子径が0.05〜200μmの範囲内であるのが好ましく、0.05〜100μmの範囲内であるのがより好ましい。無機充填材(C)の平均粒子径が上記範囲内であることによって、より良好な塗装作業性およびコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。
本明細書において、無機充填材(C)の平均粒子径は、JIS A1024(2009)の規定に準じて測定することができる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物中に含まれる無機充填材(C)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、5質量部以上140質量部以下である。無機充填材(C)の含有量が上記範囲内であることによって、良好なポットライフおよびコンクリート補強効果を得ることができる。上記含有量は、5質量部以上125質量部以下であるのが好ましく、10質量部以上110質量部以下であるのがより好ましい。
希釈剤(D)
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、必要に応じてさらに希釈剤(D)を含んでもよい。上記希釈剤(D)として、単官能または2官能である脂肪族エポキシ化合物、単官能または2官能である脂環式エポキシ化合物が挙げられる。なお本明細書において、希釈剤(D)である上記エポキシ化合物は、ビスフェノール骨格およびノボラック骨格のいずれも有しないこと、を条件とする。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物が希釈剤(D)を含むことによって、より良好なポットライフおよびコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。特に、希釈剤(D)として、単官能または2官能である脂肪族エポキシ化合物、単官能または2官能である脂環式エポキシ化合物などを用いることによって、下塗り塗料組成物の粘度を低く設計することができる。これにより、下塗り塗料組成物をコンクリート表面に下塗り塗装した場合において、コンクリートの亀裂の中などに、上記コンクリート下塗り用塗料組成物が良好に浸透する利点がある。さらに上記希釈剤(D)として上記脂肪族エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物を用いることによって、上記硬化剤(B)との反応が生じ、良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。
上記脂肪族エポキシ化合物として、例えば、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の具体例として、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどが挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物として、上記以外にも、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、飽和環にスペーサーを介さず直接オキシラン環が結合している化合物である。
脂環式エポキシ化合物の例として、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物などが挙げられる。脂環式エポキシ化合物の具体例として、例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘ
キサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
上記希釈剤(D)として市販品を用いてもよい。脂肪族エポキシ化合物の市販品として、例えば、デナコールEXシリーズ(ナガセケムテックス社製);エポライトシリーズ(共栄社化学社製);アデカグリシロールシリーズ、アデカレジンシリーズ(ADEKA社製);などが挙げられる。脂環式エポキシ化合物の市販品として、例えば、エポリードシリーズ、セロキサイドシリーズ(ダイセル社製)等が挙げられる。
希釈剤(D)として好適に用いることができる脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物は、エポキシ当量が100g/eq以上500g/eq以下の範囲内であるのが好ましく、100g/eq以上350g/eq以下の範囲内であるのがより好ましい。
希釈剤(D)として好適に用いることができる脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物は、粘度が0.1〜350mPa・sの範囲内であるのが好ましく、1〜125mPa・sの範囲内であるのがより好ましい。希釈剤(D)の粘度が上記範囲内であることによって、コンクリートに対するより良好な浸透効果などを得ることができる利点がある。
上記エポキシ化合物の粘度は、25℃における粘度であり、JIS K7233(1986)の規定に準じて測定することができる。粘度は、例えば、B型粘度計、フォードカップを用いても測定してもよく、例えば、粘度カップNK−2(アネスト岩田社製)を用いて、カップ内の組成物(混合物)が落ち切るまでの時間を測定してもよい。
上記希釈剤(D)として、脂肪族エポキシ化合物を用いるのが特に好ましい。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物が希釈剤(D)を含む場合における、塗料組成物中に含まれる希釈剤(D)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、0.1質量部以上57質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上45質量部以下であるのがより好ましい。
シランカップリング剤(E)
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、必要に応じてさらにシランカップリング剤(E)を含んでもよい。シランカップリング剤として、エポキシ基含有シランカップリング剤(E−1)、アミノ基含有シランカップリング剤(E−2)が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤(E−1)は、1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有するシランカップリング剤である。エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例として、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。市販されているエポキシ基含有シランカップリング剤である「KBM−403」、「KBE−403」、「KBM−4803」(いずれも商品名、信越化学工業社製)などを使用することもできる。
アミノ基含有シランカップリング剤(E−2)は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するシランカップリング剤である。アミノ基含有シランカップリング剤の具体例として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などを挙げることができる。市販されているアミノ基含有シランカップリング剤である「KBM−602」、「KBM−603」、「KBE−603」、「KBM−903」、「KBE−903」、「KBE−9103」、「KBM−573」、「KBP−90」(いずれも商品名、信越化学工業社製)、および「XS1003」(商品名、チッソ社製)などを使用することもできる。アミノ基含有シランカップリング剤として、アミノシランの加水分解縮合物を用いることもできる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物がシランカップリング剤(E)を含むことによって、良好な作業性および補強効果、そして良好なポットライフを得ることができる利点がある。
上記塗料組成物がシランカップリング剤(E)を含む場合における、塗料組成物中に含まれるシランカップリング剤(E)の含有量は、上記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して0.1質量部以上37質量部以下であるのが好ましく、0.5質量部以上27質量部以下であるのがより好ましくい。
他の成分
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。他の成分として、塗料組成物の分野において一般的に用いることができる各種添加剤などを用いることができる。他の成分として、例えば、顔料、骨材など(但し上記無機充填材(C)は含まれない)、有機溶媒、表面調整剤、粘性調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ワックス、脱水剤、レベリング剤及び酸化防止剤等が挙げられる。これらの添加剤が含まれる場合における含有量は、本開示の効果を損なわない範囲で適宜調整することができる。
コンクリート塗装用下塗り塗料組成物の調製および塗装
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、上記各種成分を、それぞれ当業者に知られた方法によって混合することによって調製することができる。塗料組成物の調製方法は、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ニーダー又はロール等を用いた混練混合手段、又は、サンドグラインドミル又はディスパー等を用いた分散混合手段等の、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、塗料固形分濃度が1〜100質量%の範囲内であるのが好ましく、20〜100質量%の範囲内であるのがより好ましい。本明細書において塗料固形分濃度は、塗料組成物を105℃で60分間加熱した後の残渣の質量の、元の質量に対する百分率であり、JIS K5601−1−2(2008)の規定に準じて求めることができる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装する被塗物は、コンクリート基材である。コンクリート基材は、特に限定されず、例えば、橋梁、トンネル、高架道路、鉄道構造物、建築物などのコンクリート構造物などが挙げられる。コンクリート基材は、上記第1層が形成される前に、必要に応じてひび割れ注入あるいは断面修復などの補修がされていてもよい。また、必要に応じて、上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物が塗装される前に、コンクリート基材であるコンクリート構造物の表面に、不陸調整材を塗装してもよい。また、ひび割れ注入あるいは断面修復などを補修してから不陸調整材を塗装してもよい。
上記ひび割れ注入あるいは断面修復などの補修材の具体的として、例えばひび割れ注入材はエポキシ樹脂や弾性シーリング材を、断面修復材はセメントモルタルやポリマーセメントモルタルを挙げることができる。このような補修材は、コンクリート基材に生じたひび割れなどの脆弱部位に対して注入して、あるいは浮き、剥離、剥落、内部欠陥を除去部分に対して断面修復して補強する性能を有する。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物の塗装は、一般に当業者においてよく知られた塗装方法により行うことができ、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、ヘラ塗装、コテ塗装、スクレーパー塗装などにより塗装することができる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物の塗装量は、コンクリート基材の形状および用途などに応じて適宜選択することができる。塗装量は、例えば固形分量で0.01〜0.5kg/mの範囲内であってよく、0.05〜0.3kg/mの範囲内であるのが好ましい。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装した後、常温でまたは乾燥設備を用いて乾燥させることによって、下塗り塗膜を得ることができる。乾燥時間は、塗装環境条件などによって異なるが、例えば常温で4時間以上行うのが好ましく、常温で1日以上行われることがより好ましい。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を、コンクリート基材の表面に対して下塗り塗装することによって、コンクリート基材の表面上に下塗り塗膜を形成することができる。コンクリート基材の表面上に、上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成することによって、コンクリートの剥落を防止することができる。
例えば、上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成した後に、メッシュシート保持用塗料組成物を塗装し、そしてこのメッシュシート保持用塗料組成物が未硬化の状態でメッシュシートを接触させることによって、メッシュシート保持層を設けることができる。メッシュシート保持用塗料組成物として、例えば、塗膜形成樹脂、セメントおよび繊維材料を含む塗料組成物を用いることができる。メッシュシートとして、例えば、合成樹脂シート、ガラスシートなどを用いることができる。
なお上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、コンクリート基材以外にも、アスファルト、モルタル、セメント及び窯業系材料等の無機材料に対しても、好適に塗装することができる。他にも、各種金属基材、木、ガラス等に対して塗装することもできる。
上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、上記エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)の両方を含むエポキシ樹脂(A)、アミン系硬化剤を含む硬化剤(B)および特定の無機充填材(C)を含むことによって、作業性が良好であり、かつ、良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、上記構成により、コンクリート内部に対する組成物の浸透性が高く、これにより良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を下塗りとして用いることによって、コンクリート基材の劣化亀裂に対して修復・補強することができ、これによりコンクリートの剥離を効果的に防ぐことができる利点がある。上記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、例えば、メッシュシート保持層を形成する工程を含むコンクリート剥落防止方法における、メッシュシート保持層の下塗り塗膜の形成において好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例1 コンクリート塗装用下塗り塗料組成物(1)の製造
金属容器(容積300ml)に、下記表に記載のエポキシ樹脂(A−1)100部、エポキシ樹脂(A−2)100部および希釈剤(D)75部を入れて、卓上撹拌機を用いて23℃で5分間攪拌し、次いで、エポキシ基含有シランカップリング剤20部を加えて、さらに10分間攪拌した。
次いで、無機充填材(C)330部を加えて撹拌し、さらに硬化剤(B)130部を加えて5分間攪拌し、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を得た。
実施例2〜21および比較例1〜5
各成分の種類および量を下記表に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様の手順により、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を調製した。
実施例15 コンクリート塗装用下塗り塗料組成物(15)の製造
金属容器(容積300ml)に、下記表に記載のエポキシ樹脂(A−1)100部、エポキシ樹脂(A−2)100部および希釈剤(D)75部を入れて、卓上撹拌機を用いて23℃で5分間攪拌し、次いで、アミノ基含有シランカップリング剤20部を加えて、さらに10分間攪拌した。
次いで、無機充填材(C)330部を加えて撹拌し、さらに硬化剤(B)130部を加えて5分間攪拌し、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物を得た。
上記実施例および比較例で調製したコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を用いて、下記評価を行った。得られた結果を下記表に示す。
ポットライフ評価
実施例および比較例で調製した下塗り塗料組成物のポットライフに関する評価を、JIS K5600−2−6の規定に準じて行った。
まず、23℃、湿度50%の条件下にて、容量500mLのポリカップに、調製したコンクリート塗装用下塗り塗料組成物の調製に用いたエポキシ樹脂(A)、および必要に応じた希釈剤(D)そしてシランカップリング剤を入れ、混合を開始し、硬化剤(B)、無機充填材(C)を加えて5分間撹拌を行った。BM型粘度計ローターNo.1(東機産業社製)を用いて、混合開始時の初期粘度に対して、2倍以上4倍以下の範囲に達するまでの時間を測定し、その時間をポットライフ(可使時間)とした。
測定されたポットライフについて、下記基準により評価した。

◎:ポットライフ(可使時間)が45分以上
〇:ポットライフ(可使時間)が30分以上
×:ポットライフ(可使時間)が30分未満
ひび割れ含浸強度評価
東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「ひび割れ含浸材料の試験方法」試験法426−2004に従い、試験を行った。
具体的には、0.2mm程のひび割れを有するコンクリート片の表面に対して、実施例または比較例で得られたコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装し、23℃で14日間静置し、試験片を調製した。
試験片に対して、JIS A 1106コンクリートの曲げ強度試験方法の規定に従い、曲げ強度の評価を行った。
得られた試験結果について、下記基準により評価した。

○:2.0N/mm以上
×:2.0N/mm未満
耐荷性(湿潤)評価
土木学会規準「コンクリート片のはく落防止に適用する表面被覆材の押抜き試験方法(案)(JSCE−K 533−2010)」に従い、試験を行った。
JIS A5372附属書5に規定されるU型ふた基板の中央部を、φ100mmの形状でコア抜きし、23℃の水中に24時間浸漬した。
さらに半浸漬の状態のU型ふた基板の表面に、実施例または比較例で得られたコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成した後に、メッシュシート保持用塗料組成物を塗装し、そしてこのメッシュシート保持用塗料組成物が未硬化の状態でメッシュシートを接触させ、さらにメッシュシート保持用塗料組成物を塗装し、上塗り層を塗装した。さらに23℃で7日間静置後、半浸漬状態から引き上げた試験片を23℃で48時間静置し、試験片を作成した。
作成した試験片を載荷試験機(テンシロン)を用いて、載荷し、押抜最大荷重(kN)を測定した。
得られた試験結果について、下記基準により評価した。

◎:1.7kN以上
〇:1.5kN以上
×:1.5kN未満
付着性(湿潤)評価
JIS A 6909(2014)「建築用仕上塗材」の「7.10.2(b)浸水後 付着強さ試験」の規定に準じて行った。
縦70mm、横70mm、厚さ20mmのコンクリート片に、実施例または比較例で得られたコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を塗装した。次いで、メッシュシート保持用塗料組成物を塗装し、温度23℃、湿度50%の養生室に14日間静置し、次いで、コンクリート片を半浸漬した状態で10日間静置し、次いで、半浸漬状態から取り出し、50℃で24時間乾燥し、次いで、養生室で24時間静置し、試験片を作成した。
静置したコンクリート片の表面(塗装面)に、接着剤を塗布した、上部引張り用鋼製ジグを載せて24時間静置後、上部引張り用鋼製ジグの周り4辺に基板に達するまで、切り込みを入れた後、試験片の試験体面に対して、鉛直方向に引張り力を荷重速度1500N/分で加えて、最大引張荷重T(N)を求めた。
得られた最大引張荷重T(N)を用いて、付着強さを、下記式により求めた。
付着強さ=(最大引張荷重T(N))/1600(mm
得られた付着強さ(N/mm)について、下記基準により評価した。

◎:付着強さ2.0N/mm以上
〇:付着強さ1.5N/mm以上
×:付着強さ1.5N/mm未満
Figure 2021147571
Figure 2021147571
上記表中に記載される各成分は以下の通りである。
エポキシ樹脂(A−1)
(1)jER1001(三菱ケミカル社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500g/eq、数平均分子量900
(2)jER1002(三菱ケミカル社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量600〜700g/eq、数平均分子量1200
エポキシ樹脂(A−2)
(1)jER828(三菱ケミカル社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194g/eq、数平均分子量370
(2)jER825(三菱ケミカル社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量170〜180g/eq、数平均分子量350
硬化剤(B)
(1)ANCAMINE2089K(EVONIC社製)、変性脂肪族ポリアミン、アミン価389mgKOH/g
(2)ANCAMINE2596(EVONIC社製)、変性脂環式ポリアミン、アミン価345mgKOH/g
無機充填材(C)
(1)早強ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、キシレン吸油量46ml/100g
(2)普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、キシレン吸油量47ml/100g
(3)タルク(タルクSSS、日本タルク社製)キシレン吸油量49ml/100g
(4)炭酸カルシウム(スーパーSSS、丸尾カルシウム社製、キシレン吸油量70ml/100g
希釈剤(D)
(1)デナコールEX−212(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、2官能型脂肪族エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)、エポキシ当量151g/eq
(2)デナコールEX−211(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、2官能型脂肪族エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)、エポキシ当量138g/eq
(3)デナコールEX−192(C11−15アルコールのグリシジルエーテル混合物、単官能型脂肪族エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)、エポキシ当量281g/eq
(4)デナコールEX−841(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、2官能型脂肪族エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)、エポキシ当量372g/eq
(5)デナコールEX−931(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2官能型脂肪族エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)、エポキシ当量471g/eq
エポキシ基含有シランカップリング剤(E−1)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
アミノ基含有シランカップリング剤(E−2)
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
なお、上記無機充填材(C)(1)〜(3)のキシレン吸油量は、JIS K5101−13−1の方法に記載された「吸油量」に準じ、「精製あまに油」を「キシレン」に置換えて測定した値である。
測定に用いたキシレンは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼンの混合物(o−キシレン10質量%、m−キシレン50質量%、p−キシレン20質量%、エチルベンゼン20質量%)であった。
実施例のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物はいずれも、ポットライフ評価が良好であり作業性が良好であった。また、ひび割れ含浸強度が高く、湿潤耐荷性、湿潤付着性も良好であることから、コンクリート補強効果に優れることが確認された。
比較例1は、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物中に含まれる無機充填材(C)の量が140質量部を超える例である。この例では、ひび割れ含浸強度、湿潤耐荷性、湿潤付着性が劣ることが確認された。
比較例2は、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物が無機充填材(C)を含まない例である。この例では、ポットライフが短く、湿潤耐荷性、湿潤付着性が劣ることが確認された。
比較例3は、無機充填材のキシレン吸油量が50ml/100gを超える例である。この例では、ひび割れ含浸強度、湿潤耐荷性、湿潤付着性が劣ることが確認された。
比較例4は、エポキシ樹脂(A−2)を含まない例である。この例では、ひび割れ含浸強度が劣ることが確認された。
比較例5は、エポキシ樹脂(A−1)を含まない例である。この例では、ポットライフが短く作業性が劣ることが確認された。
上記構成を有するコンクリート塗装用下塗り塗料組成物は、コンクリート塗装の前に下塗り塗料組成物として塗装することによって、良好なコンクリート補強効果を得ることができる利点がある。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および無機充填材(C)を含む、コンクリート塗装用下塗り塗料組成物であって、
    前記エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂であり、
    前記エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)を含み、
    前記エポキシ樹脂(A−1)は、エポキシ当量(A1eq)が350g/eq以上であって、数平均分子量が700以上であり、
    前記エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ当量(A2eq)が350g/eq未満であって、数平均分子量が200以上であり、
    前記硬化剤(B)は、アミン系硬化剤を含み、
    前記無機充填材(C)は、キシレン吸油量が50ml/100g以下であり、
    前記塗料組成物中に含まれる無機充填材(C)の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、5質量部以上140質量部以下である、
    コンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  2. 前記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物はさらに希釈剤(D)を含み、前記希釈剤(D)は、単官能または2官能である、脂肪族エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物である、
    請求項1記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  3. 前記塗料組成物中に含まれる希釈剤(D)の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、2質量部以上54質量部以下である、請求項2記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  4. 前記コンクリート塗装用下塗り塗料組成物はさらにシランカップリング剤(E)を含み、
    前記シランカップリング剤(E)は、エポキシ基含有シランカップリング剤(E−1)およびアミノ基含有シランカップリング剤(E−2)のうち少なくとも一方を含み、
    前記塗料組成物中に含まれるシランカップリング剤(E)の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分総量100質量部に対して、1質量部以上27質量部以下である、
    請求項1〜3いずれかに記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  5. 前記塗料組成物中に含まれるエポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)の質量比は、(A−1):(A−2)=100:10〜100:1000の範囲内である、請求項1〜4いずれかに記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  6. コンクリート剥落防止用である、請求項1〜5いずれかに記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のコンクリート塗装用下塗り塗料組成物を、コンクリート基材の表面に対して下塗り塗装する工程、を包含する、コンクリート基材の表面に下塗り塗膜を形成する方法。
  8. 前記コンクリート基材の表面が、コンクリート構造物の表面である、請求項7記載の方法。
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