JP2021146389A - 鋳造品の良品判定装置及び判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、上記技術は、溶湯の検出手段を取り付ける際に金型を穿孔するなど改造しなければならず、かつ困難な取り付け作業が発生し、既存設備に直ちに適用できず、装置全体のコストアップにつながるという問題があった。
また射出前進中にプランジャスリーブ内で溶湯波が発生した場合、意に反して早い段階で検出手段が溶湯を検出してしまう。同様にして、射出前進中に金型キャビティ内で先湯が発生した場合、意に反して早い段階で検出手段が溶湯を検出してしまう。このため、溶湯波や先湯の発生を防止するために射出速度を低く抑える必要があり、射出速度の設定が制限される問題があった。
またガス量の計測手段を設置しているため、これが抵抗となり、スムーズなガス抜きが妨げられるという問題があった。
また真空鋳造を行う場合、急激な圧力変化と高速なガス流速を伴うため、ガス量の累積ガス量が求められないおそれがある。さらに真空鋳造の場合、ガス量の計測手段が抵抗となって、スムーズな真空吸引が妨げられるという問題があった。
また経過時間と累積ガス量の2要素を判断材料としているため、品質判定の処理フローが複雑になるという問題があった。
射出ストロークの射出開始後の第1位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P1と、前記第1位置と充填完了位置の間の第2位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P2を測定する排ガス圧力計と、
前記圧力値P1及び前記圧力値P2の差分ΔPと前記圧力計測タンクの容積から前記射出ストロークの第1位置から第2位置までの間に前記金型キャビティ内から排出されて前記圧力計測タンク内にあるガス排出量ΔVを算出し、前記ガス排出量ΔVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する良品判定部と、
を備えたことを特徴とする鋳造品の良品判定装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、金型を改造せず、通常の鋳造工程時における射出速度の設定が制限されることなく、金型キャビティ内のガス抜きがスムーズに行え、金型キャビティ内から排出されるガス量の1要素を算出することのみで、鋳造品の品質を判定することができる。
前記良品判定部は、前記第1位置の型内圧力値CP1と前記金型キャビティの容積から金型キャビティ内ガス量CVを算出し、前記金型キャビティ内ガス量CVと前記ガス排出量ΔVの差分となる金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定することを特徴とする鋳造品の良品判定装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、通常の鋳造工程時における射出速度の設定が制限されることなく、金型キャビティ内のガス抜きがスムーズに行え、金型キャビティ内から排出されたり、鋳造中に巻き込まれたりするガス量の1要素を算出することのみで、鋳造品の品質を判定することができる。
上記第3の手段によれば、第2位置後に時間が経過すると共に圧力計測タンクから金型側にガス圧が漏れて、圧力値P2が変化することを防止できる。
前記圧力値P1及び前記圧力値P2の差分ΔPと前記圧力計測タンクの容積から前記射出ストロークの第1位置から第2位置までの間に前記金型キャビティ内から排出されて前記圧力計測タンク内にあるガス排出量ΔVを算出する工程と、
前記ガス排出量ΔVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する工程と、
を有することを特徴とする鋳造品の良品判定方法を提供することにある。
上記第4の手段によれば、金型を改造せず、通常の鋳造工程時における射出速度の設定が制限されることなく、金型キャビティ内のガス抜きがスムーズに行え、金型キャビティ内から排出されるガス量の1要素を算出することのみで、鋳造品の品質を判定することができる。
前記金型キャビティ内ガス量CVと前記ガス排出量ΔVの差分となる金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する工程と、
を有することを特徴とする鋳造品の良品判定方法を提供することにある。
上記第5の手段によれば、通常の鋳造工程時における射出速度の設定が制限されることなく、金型キャビティ内のガス抜きがスムーズに行え、金型キャビティ内から排出されたり、鋳造中に巻き込まれたりするガス量の1要素を算出することのみで、鋳造品の品質を判定することができる。
図1は、実施形態1及び変形例1の鋳造品の良品判定装置の構成図である。図2は実施形態1の鋳造品の良品判定装置の説明図である。
図1に示すように実施形態1の鋳造品の良品判定装置10は、鋳造中の金型キャビティ内のガスを大気開放するダイカストマシンを対象とし、一端が金型キャビティ12の排気通路13に接続し、他端が大気開放された配管14に、金型キャビティ12側から順に計測完了バルブ16と、圧力計測タンク18と、計測シャットオフバルブ20を取り付けている。
計測完了バルブ16は、配管14の金型キャビティ12側と圧力計測タンク18の間を開放又は閉塞するバルブである。
圧力計測タンク18は、金型キャビティ12から排気された排ガスを収容するタンクである。
排ガス圧力計19は圧力計測タンク18に設けて、射出ストロークの射出開始後の第1位置の圧力計測タンク18内の圧力値P1と、第1位置と充填完了位置までの間の第2位置の圧力計測タンク18内の圧力値P2(タンク内に供給された排ガスにより変化する圧力)を測定する。なお圧力値P2は、第1位置と充填完了位置までの間の第2位置の圧力計測タンク18内の圧力値であるが、好ましくは充填完了位置の圧力計測タンク18内の圧力値であると良い。以下の実施形態では圧力値P2を充填完了位置の圧力計測タンク18内の圧力値として説明する。充填完了位置に到達する前であっても、良品が得られたガス排出量ΔVと、判定対象の成形時におけるガス排出量ΔVとを、相対比較することにより良品と不良品を判別することができる。
計測シャットオフバルブ20は、配管14の大気開放側と圧力計測タンク18の間を開放又は閉塞するバルブである。
射出位置検出部22は、射出開始後の射出装置21の射出現在位置を常に検出しながら、複数の任意設定値と比較し、各設定値に射出現在位置が到達したことを検出し、電気信号として良品判定部24へ出力する。
良品判定部24は、排ガス圧力計19と、射出位置検出部22と電気的に接続し、圧力値P1及び圧力値P2の差分ΔPと圧力計測タンク18の容積(計測シャットオフバルブ20から計測完了バルブ16までの容積、計測完了バルブがない場合は金型ベントまで)から射出ストロークの第1位置から充填完了位置までの間に金型キャビティ12内から排出されたガス排出量ΔVを算出し、ガス排出量ΔVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、設定範囲を満たさないとき不良品と判定する。
射出装置21を射出開始する前に、計測シャットオフバルブ20及び計測完了バルブ16を開放する(S2)。
プランジャスリーブへ注湯して射出を開始する(S3)。
射出装置21を射出開始した後、射出位置検出部22で射出位置を検出し、第1位置(設定値)であるか否か判断する(S4)。第1位置とは、射出前進する射出装置21の任意の位置であり、本実施形態では一例として射出高速切り替え位置としている。NOの場合、射出装置21を第1位置まで移動させる。
YESの場合、第1位置で計測シャットオフバルブ20を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P1を測定し記憶(以下の処理フロー中のP1計測も同様)する(S5)。配管14の他端は大気開放しているため、圧力値P1は基本的に大気圧となる(図2のP1参照)。
圧力値P1の測定後、射出位置検出部22で射出位置を検出し、第2位置(設定値)であるか否か判断する(S6)。第2位置とは、射出前進する射出装置21の任意の位置であり、本実施形態では一例として充填完了位置としている。NOの場合は射出装置21を第2位置まで移動させる。
YESの場合、第2位置で計測完了バルブ16を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P2を測定し記憶(以下の処理フロー中のP2計測も同様)する(S7)。圧力値P2は、射出による充填完了時に金型キャビティ12から押し出されて圧力計測タンク18(計測シャットオフバルブ20から計測完了バルブ16までの容積)内にあるガス量を圧力として測定したものである(図2のP2参照)。
良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める。またあらかじめ圧力計測タンク18の容積(計測シャットオフバルブ20から計測完了バルブ16までの容積)を求めておく。この容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する(S8)。
ガス排出量ΔVが設定範囲、換言すると設定値以上であるか否か判断する(S9)。
YESの場合(S10)、金型キャビティ12からの排気ガス量が正常であり、鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する。サイクルエンドとなり(S11)、次サイクルか否か判断する(S12)。NOの場合、終了となり、YESの場合、サイクルスタート(S1)へ戻り、S2以降を繰り返す。
NOの場合(S13)、設定値よりも小さい場合であり、排気異常で金型キャビティ12内に残存ガスが多く(排出された空気が少なく)、鋳造品不良(鋳造品不合格)と判定する。例えば、金型キャビティ12の充填時間が短い、充填速度が速い、先湯が発生してベント詰りが発生し、金型キャビティ内の充填時のガス巻込みが多くなったなどの要因が挙げられる。警報(アラーム)が発生し(S14)、サイクルエンドとなる(S11)。
図4は変形例1の鋳造品の良品判定装置の説明図である。変形例1の鋳造品の良品判定装置は、配管14の他端が真空装置に接続し(図1参照)、真空鋳造する装置となる。その他の基本構成は、図1に示す構成と同一であり、詳細説明は省略する。なお計測完了バルブ16は、真空開始時に閉塞する真空開始バルブを兼用している。
上記構成による鋳造品の良品判定方法について、以下説明する。図5は変形例1の鋳造品の良品判定装置の処理フローである。
射出装置21を射出開始する前に、計測シャットオフバルブ20を開放する。(真空開始兼)計測完了バルブ16を閉塞する(S20)。
プランジャスリーブへ注湯して射出を開始する(S21)。
射出装置21を射出開始した後、射出位置検出部22で真空装置の真空開始位置(設定値)を検出する。ここで(真空開始兼)計測完了バルブ16を開放して、真空吸引する(S22)。
ついで射出位置検出部22で射出位置を検出し、第1位置(設定値)であるか否か判断する(S23)。NOの場合、射出装置21を第1位置まで移動させる。
YESの場合、第1位置で計測シャットオフバルブ20を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P1を測定する(S24)。真空吸引は金型側ベントでかなり絞られるため、圧力値P1は基本的に真空装置の最高真空度に近い数値となる(図4のP1参照)。
圧力値P1の測定後、射出位置検出部22で射出位置を検出し、第2位置(設定値)であるか否か判断する(S25)。NOの場合は射出装置21を第2位置まで移動させる。
YESの場合、第2位置(設定値)で(真空開始兼)計測完了バルブ16を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P2を測定する(S26)。圧力値P2は、射出による充填完了時に金型キャビティ12から押し出されて圧力計測タンク18(計測シャットオフバルブ20から(真空開始兼)計測完了バルブ16までの容積)内にあるガス量を圧力として測定したものである(図4のP2参照)。
良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める。またあらかじめ計測シャットオフバルブ20から(真空開始兼)計測完了バルブ16までの容積を求めておく。この容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する(S27)。
ガス排出量ΔVが設定範囲、換言すると設定値以下であるか否か判断する(S28)。
YESの場合(S29)、真空吸引による金型キャビティ12内の減圧が正常に行われ、金型キャビティ12内の残存ガス量が少なく、結果ガス排出量ΔVは少ない。鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する。サイクルエンドとなり(S31)、次サイクルか否か判断する(S32)。NOの場合、終了となり、YESの場合、サイクルスタート(S19)へ戻り、S20以降を繰り返す。
NOの場合、設定値よりも大きいと真空引きが正常に実施できなかったことを示す(S30)。例えば、ベント詰りによる金型キャビティ内の減圧不足が発生、あるいは真空吸引中に金型キャビティ内へ外気が侵入したことなどが要因として挙げられる。警報(アラーム)が発生し(S33)、サイクルエンドとなる(S31)。
図6は実施形態2及び変形例2の鋳造品の良品判定装置の構成図である。図7は実施形態2の鋳造品の良品判定装置の説明図である。実施形態2の鋳造品の良品判定装置10Aは、金型キャビティ12内の型内圧力を測定する型内圧力計30を備えている。その他の基本構成は、図1に示す構成と同一であり、詳細説明は省略する。鋳造中に金型キャビティ12から排出されるガスは金型ベントにより管路抵抗が生じ金型キャビティ内圧が上昇する。型内圧力計30はこの内圧を測定する。
上記構成による鋳造品の良品判定方法について、以下説明する。図8は実施形態2の鋳造品の良品判定装置の処理フローである。
射出装置21を射出開始する前に、計測シャットオフバルブ20及び計測完了バルブ16を開放する(S40)。
プランジャスリーブへ注湯して射出を開始する(S41)。
射出装置21を射出開始した後、射出位置検出部22で射出位置を検出し、第1位置(設定値)であるか否か判断する(S42)。NOの場合、射出装置21を第1位置まで移動させる。
YESの場合、第1位置で計測シャットオフバルブ20を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P1を測定する。型内圧力計30で金型キャビティ内の圧力値CP1を測定する(S43 図7のP1、CP1参照)。良品判定部24は、圧力値CP1計測時点での射出位置から鋳造部品内(金型キャビティ内)に残された空間領域を算出する。この空間容積と圧力値CP1より金型キャビティ内ガス量CVを算出する。
射出位置検出部22で射出位置を検出し、第2位置(設定値)であるか否か判断する(S44)。NOの場合は射出装置21を第2位置まで移動させる。
YESの場合、第2位置で計測完了バルブ16を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P2を測定する(S45 図7のP2参照)。
良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める。また計測シャットオフバルブ20から計測完了バルブ16までの容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する。そして金型キャビティ内ガス量CVと金型キャビティからのガス排出量ΔVの差分から金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVを算出する。(S46)。鋳造ガス巻込み量FVから鋳造品内のガス巻込み量を予想できる。
金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲、換言すると設定値以下であるか否か判断する(S47)。
YESの場合(S48)、金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量はわずかであり設定値以下、換言すると金型キャビティ内の空気残存量が小さく、鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する。サイクルエンドとなり(S49)、次サイクルか否か判断する(S50)。NOの場合、終了となり、YESの場合、サイクルスタート(S39)へ戻り、S40以降を繰り返す。
NOの場合(S51)、設定値よりも大きいと鋳造製品中の鋳造ガス巻込み量FVが大きく、金型キャビティ内の空気残存量が多く鋳巣が多く不良品と判定する。例えば、金型キャビティ12の充填時間が短い、充填速度が速い、先湯が発生してベント詰りが発生するなどの要因が挙げられる。警報(アラーム)が発生し(S52)、サイクルエンドとなる(S49)。
図9は変形例2の鋳造品の良品判定装置の説明図である。変形例2の鋳造品の良品判定装置は、配管14の他端が真空装置に接続し(図6参照)、真空鋳造する装置となる。その他の基本構成は、図6に示す構成と同一であり、詳細説明は省略する。
上記構成による鋳造品の良品判定方法について、以下説明する。図10は変形例2の鋳造品の良品判定装置の処理フローである。
射出装置21を射出開始する前に、計測シャットオフバルブ20を開放する。(真空開始兼)計測完了バルブ16を閉塞する(S60)。
プランジャスリーブへ注湯して射出を開始する(S61)。
射出装置21を射出開始した後、射出位置検出部22で真空装置の真空開始位置(設定値)を検出する。ここで(真空開始兼)計測完了バルブ16を開放して、真空吸引する(S62)。
射出位置検出部22で射出位置を検出し、第1位置(設定値)であるか否か判断する(S63)。NOの場合、射出装置21を第1位置まで移動させる。
YESの場合、第1位置で計測シャットオフバルブ20を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P1を測定する。型内圧力計30で金型キャビティ内の圧力値CP1を測定する(S64 図9のP1、CP1参照)。良品判定部24は、圧力値CP1計測時点での射出位置から鋳造部品内に残された空間領域を算出する。この空間容積と圧力値CP1より金型キャビティ内ガス量CVを算出する。
射出位置検出部22で射出位置を検出し、第2位置(設定値)であるか否か判断する(S65)。NOの場合は射出装置21を第2位置まで移動させる。
YESの場合、第2位置で(真空開始兼)計測完了バルブ16を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P2を測定する(S66 図9のP2参照)。
良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める。また計測シャットオフバルブ20から計測完了バルブ16までの容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する。そして金型キャビティ内ガス量CVと金型キャビティからのガス排出量ΔVの差分から金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVを算出する。(S67)。鋳造ガス巻込み量FVから鋳造品内のガス巻込み量を予想できる。
ガス排出量ΔVが設定範囲、換言すると設定値以下であるか否か判断する(S68)。
YESの場合(S69)、真空吸引による金型キャビティ12内の減圧が正常に行われ、金型キャビティ12内の残存ガス量が少なく、結果ガス排出量ΔVは少ない。鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する。
NOの場合(S70)、設定値よりも大きいと真空引きが正常に実施できなかったことを示す。例えば、ベント詰りによる金型キャビティ内の減圧不足が発生、あるいは真空吸引中に金型キャビティ内へ外気が侵入したことなどが要因として挙げられる。警報1(アラーム1)が発生する(S71)。
次に、金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲、換言すると設定値以下であるか否か判断する(S72)。
YESの場合、金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量はわずかであり設定値以下、換言すると金型キャビティ内の空気残存量が小さく、鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する(S73)。サイクルエンドとなり(S74)、次サイクルか否か判断する(S75)。NOの場合、終了となり、YESの場合、サイクルスタート(S59)へ戻り、S60以降を繰り返す。
NOの場合(S76)、設定値よりも大きいと鋳造製品中のガス巻込み量FVが大きく、金型キャビティ内の空気残存量が多く鋳巣が多く不良品と判定する。例えば、金型キャビティ12の充填時間が短い、充填速度が速い、先湯が発生してベント詰りが発生するなどの要因が挙げられる。警報2(アラーム2)が発生し(S77)、サイクルエンドとなる(S74)。
図11は実施形態3及び変形例3の鋳造品の良品判定装置の構成図である。図12は実施形態3の鋳造品の良品判定装置の説明図である。実施形態3の鋳造品の良品判定装置10Bは、計測完了バルブを備えていない。その他の基本構成は、図1に示す構成と同一であり、詳細説明は省略する。
上記構成による鋳造品の良品判定方法は、図3に示す処理フローと基本動作は同じであるが、S2及びS7の計測完了バルブの開閉操作がなくなる。これに伴い排ガス圧力は金型キャビティ12充填完了直後より金型等の隙間から抜けて大気圧へ近づく(図12のP2参照)。また良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める際、計測シャットオフバルブ20から金型ベント(計測完了バルブ16ではなく)までの容積を求める。この容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する。
図13は変形例3の鋳造品の良品判定装置の説明図である。変形例3の鋳造品の良品判定装置は、実施形態3と同様に計測完了バルブを備えていない。また配管14の他端が真空装置に接続し(図11参照)、真空鋳造する装置となる。なお計測シャットオフバルブ20は、真空開始時に閉塞する真空開始バルブを兼用している。その他の基本構成は、図1に示す構成と同一であり、詳細説明は省略する。
上記構成による鋳造品の良品判定方法について、以下説明する。図14は変形例3の鋳造品の良品判定装置の処理フローである。
射出装置21を射出開始する前に、(真空開始兼)計測シャットオフバルブ20を閉塞する(S80)。
プランジャスリーブへ注湯して射出を開始する(S81)。
射出装置21を射出開始した後、射出位置検出部22で真空装置の真空開始位置(設定値)を検出する。ここで(真空開始兼)計測シャットオフバルブ20を開放して、真空吸引する(S82)。
ついで射出位置検出部22で射出位置を検出し、第1位置(設定値)であるか否か判断する(S83)。NOの場合、射出装置21を第1位置まで移動させる。
YESの場合、第1位置で(真空開始兼)計測シャットオフバルブ20を閉塞し、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P1を測定する(S84)。真空吸引は金型側ベントでかなり絞られるため、圧力値P1は基本的に真空装置の最高真空度に近い数値となる(図13のP1参照)。
圧力値P1の測定後、射出位置検出部22で射出位置を検出し、第2位置(設定値)であるか否か判断する(S85)。NOの場合は射出装置21を第2位置まで移動させる。
YESの場合、排ガス圧力計19で圧力計測タンク18内の圧力値P2を測定する(S86)。このとき排ガス圧力は金型キャビティ12充填完了直後より金型等の隙間から抜けて大気圧へ近づく(図13のP2参照)。圧力値P2は、射出による充填完了時に金型キャビティ12から押し出されて圧力計測タンク18((真空開始兼)計測シャットオフバルブ20から金型ベントまでの容積)内にあるガス量を圧力として測定したものである(図13のP2参照)。
良品判定部24は、排ガス圧力計19で測定した圧力値P1及びP2の差分ΔPを求める。またあらかじめ(真空開始兼)計測シャットオフバルブ20から金型ベントまでの容積を求めておく。この容積とΔPより金型キャビティ12からのガス排出量ΔVを算出する(S87)。
ガス排出量ΔVが設定範囲、換言すると設定値以下であるか否か判断する(S88)。
YESの場合(S89)、真空吸引による金型キャビティ12内の減圧が正常に行われ、金型キャビティ12内の残存ガス量が少なく、結果ガス排出量ΔVは少ない。鋳造品は良品(鋳造品合格)と判定する。サイクルエンドとなり(S91)、次サイクルか否か判断する(S92)。NOの場合、終了となり、YESの場合、サイクルスタート(S79)へ戻り、S80以降を繰り返す。
NOの場合、設定値よりも大きいと真空引きが正常に実施できなかったことを示す(S90)。例えば、ベント詰りによる金型キャビティ内の減圧不足が発生、あるいは真空吸引中に金型キャビティ内へ外気が侵入したことなどが要因として挙げられる。警報(アラーム)が発生し(S93)、サイクルエンドとなる(S91)。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
12 金型キャビティ
13 排気通路
14 配管
16 計測完了バルブ
18 圧力計測タンク
19 排ガス圧力計
20 計測シャットオフバルブ
21 射出装置
22 射出位置検出部
24 良品判定部
30 型内圧力計
P1 第1位置の圧力計測タンク内の圧力値
P2 第2位置の圧力計測タンク内の圧力値
ΔP 圧力値P1及び圧力値P2の差分
ΔV ガス排出量
CP1 第1位置の金型キャビティ内の圧力値(型内圧力値)
CV 金型キャビティ内ガス量
FV 金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量
Claims (5)
- 一端が金型キャビティの排気通路に接続し、他端が大気開放又は真空装置に接続する配管上に、前記金型キャビティから排出された排ガスを収容する圧力計測タンクと、
射出ストロークの射出開始後の第1位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P1と、前記第1位置と充填完了位置の間の第2位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P2を測定する排ガス圧力計と、
前記圧力値P1及び前記圧力値P2の差分ΔPと前記圧力計測タンクの容積から前記射出ストロークの第1位置から第2位置までの間に前記金型キャビティ内から排出されて前記圧力計測タンク内にあるガス排出量ΔVを算出し、前記ガス排出量ΔVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する良品判定部と、
を備えたことを特徴とする鋳造品の良品判定装置。 - 請求項1に記載の鋳造品の良品判定装置であって、
前記射出ストロークの射出開始後の第1位置の前記金型キャビティの型内圧力を測定する型内圧力計を備え、
前記良品判定部は、前記第1位置の型内圧力値CP1と前記金型キャビティの容積から金型キャビティ内ガス量CVを算出し、前記金型キャビティ内ガス量CVと前記ガス排出量ΔVの差分となる金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定することを特徴とする鋳造品の良品判定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された鋳造品の良品判定装置であって、
前記金型キャビティの排気通路と前記圧力計測タンクの間の前記配管上に、前記第2位置の圧力値P2を測定する前に閉塞する計測完了バルブを備えたことを特徴とする鋳造品の良品判定装置。 - 一端が金型キャビティの排気通路に接続し、他端が大気開放又は真空装置に接続する配管上に、前記金型キャビティから排出された排ガスを収容する圧力計測タンクを備え、射出ストロークの射出開始後の第1位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P1と、前記第1位置と充填完了位置の間の第2位置の前記圧力計測タンク内の圧力値P2を測定する工程と、
前記圧力値P1及び前記圧力値P2の差分ΔPと前記圧力計測タンクの容積から前記射出ストロークの第1位置から第2位置までの間に前記金型キャビティ内から排出されて前記圧力計測タンク内にあるガス排出量ΔVを算出する工程と、
前記ガス排出量ΔVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する工程と、
を有することを特徴とする鋳造品の良品判定方法。 - 請求項4に記載の鋳造品の良品判定方法であって、
前記射出ストロークの射出開始後の第1位置の前記金型キャビティの型内圧力を測定する型内圧力計を備え、前記第1位置の型内圧力値CP1と前記金型キャビティの容積から金型キャビティ内ガス量CVを算出する工程と、
前記金型キャビティ内ガス量CVと前記ガス排出量ΔVの差分となる金型キャビティ充填時の鋳造ガス巻込み量FVが設定範囲を満たすとき良品と判定し、前記設定範囲を満たさないとき不良品と判定する工程と、
を有することを特徴とする鋳造品の良品判定方法。
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