JP2021143432A - 偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置 - Google Patents

偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラメント生成中において、フィラメントに対して効率的に捲縮性を付与することにより、製造装置の大型化やコストアップなどを抑制することができる偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置を提供する。【解決手段】フィラメントは、偏芯芯鞘型複合繊維であり、冷却手段は、フィラメント集合体を挟んだ一対の吹出口を有し、一対の吹出口は、それぞれ、上下方向に少なくとも3つの段に分割され、吹出口の各段には、それぞれの冷却エアーが異なる風向となるように調整する風向調整手段が設けられ、風向調整手段によって、吹出口の上端部における冷却エアーの風向と紡糸口金の垂直二等分線との交点を、一対の吹出口の上端部同士を結ぶ直線と紡糸口金の下面との間に位置させることにより、フィラメントに捲縮性を付与する。【選択図】図4

Description

本発明は、捲縮性の付与手段を備える偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置に関する。
不織布の製造装置の一つであるスパンボンド製法では、紡糸手段により、紡糸口金の多数の紡糸孔から熱可塑性樹脂を溶融紡糸して、フィラメントの束であるフィラメント集合体を形成する。このフィラメント集合体は、冷却手段により、制御された一様流である冷却エアーが水平方向から供給され、所望の硬さに冷却されると同時に、延伸手段により、垂直方向に引っ張られる。これにより、フィラメント集合体の繊維強度と繊維径が調整されるものである。
ここで、例えば、特許文献1には、スパンボンド製法より生成される海島構造を有するフィラメントであって、均一性が非常に高い海島構造を有するフィラメントに、捲縮性を付与するために、フィラメント生成後に、エアジェットスタッファ装置を用いるものが記載されている。このように、海島構造を有するフィラメントに対して捲縮性を付与するためには、フィラメント生成後の後加工が必須であるため、製造装置の大型化やコストアップなどが生じるおそれがあった。
特開2010−150721号公報
そこで、本発明の目的は、フィラメント生成中において、フィラメントに対して効率的に捲縮性を付与することにより、製造装置の大型化やコストアップなどを抑制することができる偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置を提供することである。
上記課題を解決するために、偏芯芯鞘不織布の製造装置は、溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として紡糸口金より押し出す紡糸手段と、前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段と、前記紡糸手段と前記延伸手段との間に配置され、冷却エアーを前記フィラメント集合体に供給し冷却する冷却手段と、を備え、前記フィラメントは、芯成分である第1の成分と鞘成分である第2の成分とを含む偏芯芯鞘型複合繊維であり、前記冷却手段は、前記フィラメント集合体を挟んだ一対の吹出口を有し、前記一対の吹出口は、それぞれ、上下方向に少なくとも3つの段に分割され、前記吹出口の各段には、それぞれの前記冷却エアーが異なる風向となるように調整する風向調整手段が設けられ、前記風向調整手段により、前記吹出口の上端部における前記冷却エアーの風向と前記紡糸口金の垂直二等分線との交点を、前記一対の吹出口の上端部同士を結ぶ直線と前記紡糸口金の下面との間に位置させて、前記フィラメントに捲縮性を付与する捲縮性の付与手段を備えるものである。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記紡糸口金の垂直二等分線に対する前記吹出口の上端部における前記冷却エアーのなす角度αを、60〜90(°)とすることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記紡糸口金の垂直二等分線に対する前記吹出口の下端部における前記冷却エアーのなす角度βを、60〜90(°)とすることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記吹出口の上段からの前記冷却エアーが、前記吹出口の下段からの前記冷却エアーと比べて、風速を大きくするとともに、温度を低くすることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記吹出口の上段からの前記冷却エアーが、前記吹出口の下段からの前記冷却エアーと比べて、風速を大きくするとともに、温度を低くすることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記吹出口の各段に設けられる前記風向調整手段が、前記吹出口の上段から前記吹出口の下段へと向かうにともない、前記冷却エアー同士が干渉しないように、前記冷却エアーの風向を、水平方向より上方側へと傾斜した方向から、水平方向より下方側へと傾斜した方向へと離散的又は連続的に変化させることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分及び前記第2の成分において、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし、前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレートが4g/10分以上であることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分が、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、前記第1の成分の全固形分を基準にして、0.5質量%以上10質量%以下の量で含むことを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記偏芯芯鞘型複合繊維が、前記第1の成分を、前記偏芯芯鞘型複合繊維の全固形分を基準として10質量%以上40質量%以下の量で含むことを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分及び前記第2の成分は、それぞれ各成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分及び前記第2の成分は、それぞれポリプロピレンを主成分とすることを特徴とするものとしてもよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分はポリプロピレンを主成分とし、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は長鎖分岐構造ポリプロピレンであることを特徴とするものとしてよい。
また、上記偏芯芯鞘不織布の製造装置は、前記第1の成分または前記第2の成分の少なくとも一方に、下記a)からg)、a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下であり、b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たし、c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超え、d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、及びトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たし、e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下であり、f)前記重量平均分子量[Mw]及びび数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たし、g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である、を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことを特徴とするものとしてよい。
本発明によれば、フィラメント生成中において、フィラメントに対して効率的に捲縮性を付与することにより、製造装置の大型化やコストアップなどを抑制することができる偏芯芯鞘捲縮不織布の製造装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る複合繊維の例を示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る不織布製造装置の一例を示す概略図である。 図2に示される一対の冷却用送風機の吹出口を説明する斜視図である。 図3のIV−IV断面線で切断した一対の冷却用送風機を説明する断面図である。
本発明の実施形態について、図1から図4を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
<複合繊維>
本実施形態による複合繊維(以下、「フィラメント」ともいう)10は、繊維形成成分である第1の成分1(図2参照)と第2の成分2(図2参照)とを含む。第1の成分及び第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とする。第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が4g/10分以上である。かかる構成を有する複合繊維は、捲縮性を有する捲縮繊維である。本明細書において、繊維の「捲縮性」とは、繊維の縮んで捩れている性状をいう。「捲縮繊維」とは、捲縮性を有していて、ストレートではない形態、例えば、スパイラル、クリンプなどの形態を示す繊維をいう。以下に、本実施形態による複合繊維を詳細に説明する。
(第1の成分)
第1の成分は、熱可塑性樹脂を主成分とする。すなわち、第1の成分は、第1の成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことができる。第1の成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の樹脂が挙げられる。複合繊維の紡糸性及び強度の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)が好ましく使用される。
本実施形態において、第1の成分は、熱可塑性樹脂の1種として長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む。第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上の量で含む。また、第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下の量で含む。つまり、第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂と、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂ではない熱可塑性樹脂と、の少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を含む。第1の成分の熱可塑性樹脂は、3種類以上を併用することもできる。第1の成分中の長鎖分岐構造ポリオレフィンが0.5質量%より少ないと、複合繊維の捲縮性の程度を高くする効果が小さくなり、10質量%よりも多いと、紡糸性が低下する。
本明細書において、「長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂」とは、直鎖高分子から長い側鎖が分岐している構造を有するポリオレフィン樹脂をいう。本明細書において、「長い側鎖」とは、1つの側鎖を構成する炭素鎖の炭素数が12以上のものをいう。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、長い側鎖が分岐している構造を有することにより、溶融状態における流動性が低くなる。そのため、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂を原料として紡糸を行うと、紡糸口金20(図2参照)から押し出されたフィラメントが高圧エアーF(図2参照)により延伸される際に、フィラメントの分子配向が進みやすくなって結晶化が促進される。複合繊維の繊維形成成分のうちの一方の結晶化が促進されて硬くなることにより、他方との弾性の違いが大きくなることで、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維は、捲縮性の程度が高くなる。また、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維を用いた不織布は、嵩高さが出やすくクッション性に優れ、剪断変形を受けてもシワになりにくくなる。
ここで、第1の成分における長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比が高いほど、得られる複合繊維の捲縮性の程度が大きくなる。また、これを用いる不織布は、嵩高となり、クッション性が高くシワになりにくい傾向となる。その一方で、第1の成分における長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比が高いほど、製造される複合繊維の紡糸性は低下する傾向にある。したがって、複合繊維の紡糸性とこれを用いる不織布の物性とを勘案して、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比を設定することができる。
第1の成分に適用可能な長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が4g/10分以上であることが好ましい。第1の成分に適用可能な長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂として、市販品(限定目的でなく例示目的で、例えば、融点162℃、MFR8g/10分の長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂、及び融点162℃、MFR4g/10分の長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂)を好適に使用することができる。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂のMFRが4g/10分よりも低いと、これを含む熱可塑性樹脂を原料とするフィラメントの紡糸性が著しく低下する。なお、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン系の樹脂を使用する場合、相溶性等の観点から、第1の成分の熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン系の樹脂を使用することが好ましい。
第1の成分の熱可塑性樹脂として、低結晶性ポリオレフィン樹脂を併用することもできる。例えば、下記a)からg)を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことができる。
a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下である。
b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たす。
c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超える。
d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、及びトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たす。
e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下である。
f)前記重量平均分子量[Mw]及び数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たす。
g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である。
第1の成分に適用可能な低結晶性ポリオレフィン樹脂として、市販のポリプロピレン(限定目的ではなく例示目的で、例えば、融点52℃、MFR50g/10分のポリプロピレン)を好適に使用することができる。
低結晶性ポリオレフィン樹脂は、側鎖の突出方向が不揃いであるため結晶を作りにくく、これを用いた繊維及び不織布は、柔らかくゴワツキが小さく、肌触りの良い傾向にある。
(第2の成分)
第2の成分は、熱可塑性樹脂を主成分とする。詳細には、第2の成分は、第2の成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含む。
第2の成分の主成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。複合繊維の紡糸性及び強度の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)を好ましく使用することができる。
第2の成分の熱可塑性樹脂として、低結晶性ポリオレフィン樹脂を併用することもできる。例えば、下記a)からg)を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、第2の成分の全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことができる。
a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下である。
b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たす。
c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超える。
d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、及びトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たす。
e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下である。
f)前記重量平均分子量[Mw]及び数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たす。
g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である。
第2の成分に適用可能な低結晶性ポリオレフィン樹脂として、市販の融点52℃のポリプロピレン(限定目的でなく例示目的で、例えば、融点52℃、MFR50g/10分のポリプロピレン)を好適に使用することができる。
低結晶性ポリオレフィン樹脂は、側鎖の方向が不揃いであるため結晶を作りにくく、これを用いた繊維及び不織布は、柔らかくゴワツキが小さく肌触りのよい傾向となる。
(他の成分)
複合繊維は、第1の成分及び第2の成分のそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、公知の耐熱安定剤及び耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2‘−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
<従来技術と本実施形態との複合繊維の構造の違いについて>
従来技術(例えば、特許文献1など)における複合繊維には、ポリ乳酸系樹脂及びポリオレフィン系樹脂などを均一かつ微細に分散ブレンドされた海島構造を備えるものがある。この複合繊維は、良好な繊維物性(繊維の強度、破断伸度、沸騰水収縮率など)及び良好な耐摩耗性を示す一方、複合繊維における均一性が高いことから、複合繊維の生成工程中に捲縮性を付与することが非常に困難となっていた。そのために、この複合繊維に捲縮性を付与するためには、生成された複合繊維に対して、別途、エアジェットスタッファ装置などを用いた捲縮性を付与する工程を行う必要があるため、製造装置の大型化やコストアップなどを抑制することが要望されていた。
そこで、本実施形態における複合繊維の構成は、図1に示すように、横断面、すなわち複合繊維の長手方向に垂直な断面において、繊維形成成分は2つのゾーンに分かれて配置されている。具体的には、一方のゾーンには第1の成分1を芯成分として配置され、もう一方のゾーンには第2の成分2が第1の成分1を取り囲む鞘成分として配置されており、芯成分が繊維の中心からずれた位置にある偏芯芯鞘型複合繊維となっている。これにより、複合繊維として偏芯芯鞘型を採用することにより、詳細は後述するが、複合繊維の生成工程中に、捲縮性を付与することが可能となるため、製造装置の大型化やコストアップなどを抑制することができる。
本実施形態による複合繊維は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む第1の成分と、第1の成分とは異なる第2の成分とが、複合繊維の長手方向に垂直な断面において非対称のゾーンに配置されている。第1の成分は、第2の成分と比べて、紡糸され延伸される際に分子配向が進みやすく結晶化が促進されやすい。そのため、本実施形態による複合繊維は高い捲縮性を示す。また、この複合繊維を用いた不織布は、良好な伸縮性やクッション性を有し、嵩高い。
本実施形態による複合繊維は、第1の成分と第2の成分との2つの繊維形成成分から形成されるものであるが、これに限定されず、例えば、複合繊維の捲縮性を妨げないような材料及び繊維内配置である限り、第1の成分と第2の成分とを含む3種類以上の繊維形成成分から形成される複合繊維であってもよい。
本実施形態による複合繊維の繊度は、不織布の用途等によって適宜設定できるが、0.1デニール以上10デニール未満、好ましくは0.3デニール以上5デニール未満、さらに好ましくは0.5以上3デニール未満である。
(繊維の物性:捲縮性)
繊維の捲縮性の程度は、例えば、日本工業規格JIS L1015に準拠して測定される繊維の捲縮数によって示すことができる。本実施形態の複合繊維の捲縮数は、成分の配合比によって適宜設定できるが、繊維25mm当たり18個以上が好ましく、20個〜50個がより好ましく、得られる不織布における視認性、地合の観点から、20個〜40個がさらに好ましく、20個〜30個が最も好ましい。
<不織布>
本実施形態による不織布は、上述の本実施形態による複合繊維からなる。本実施形態による不織布は、上述の複合繊維を、不織布の全固形分を基準にして、好ましくは50質量%以上の量で含み、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%、なお好ましくは80質量%以上、なおさらに好ましくは90質量%以上の量で含む。本実施形態による不織布は、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。不織布が多層構成を有する積層体である場合、不織布は、不織布全体の全固形分を基準にして60質量%以上の量で上述の複合繊維を含むことが好ましい。
(層構成)
上述のように、本実施形態による不織布は、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。本実施形態による多層構成を有する不織布の複数の層のそれぞれは、別個に形成された不織布であってもよい。
例えば、本実施形態による多層構成を有する不織布は、本実施形態による単層構成の不織布を1つの層とし、その上に、例えばスパンバンド法で製造した非捲縮性繊維からなるスパンボンド不織布を表面層として積層させた構成を有していてもよい。このとき、非捲縮性繊維の繊度を、例えば、好ましくは0.5デニール以上2.5デニール未満とし、より好ましくは0.5デニール以上1.5デニール未満としてもよい。この構成によると、シワが入りにくいだけでなく、表面の滑らかさに優れ、耐水性が向上した、積層体の形態の不織布を得ることができる。この他、本実施形態による不織布は、単層構成を有する本実施形態による不織布に対して、表面性を改善したり機能性を付与したりするために、別途不織布を積層させることができる。
このような積層体の形態の不織布の構成の非限定的な例としては、次のものが挙げられる。なお、次の例のうち、「捲縮複合繊維を主体とする」という記載があるスパンボンド不織布は、本実施形態による単層構成の不織布を意図している。また、「非捲縮繊維を主体とする」という記載があるスパンバンド不織布は、スパンバンド法の製造条件を制御することにより得ることができる。
(a)スパンバンド不織布(非捲縮性繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)、の2層構成の不織布。
(b)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の3層構成の不織布。
(c)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布、の3層構成の不織布。
(d)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の4層構成の不織布。
(e)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体と
する)/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の5層構成の不織布。
積層される各層を構成する不織布の目付量は、2.0〜25g/m2の範囲にあることが好ましい。目付量が大きすぎると、その層を構成する不織布は、他の層を構成する不織布の機能を阻害してしまう場合がある。また、目付量が小さすぎると、その層を構成する不織布は、本実施形態による多層構成の不織布に対して機能を付与する効果が小さい場合がある。
<不織布製造装置>
本実施形態によるフィラメント集合体3及びこれを含む不織布5は、特別な装置を用いることなく、通常の複合溶融紡糸法による不織布製造装置により得ることができる。中でも、生産性に優れるスパンボンド法による不織布製造装置が好ましく用いられる。
図2は、本発明の一実施形態に係る不織布製造装置の一例における概略図を、限定目的ではなく例示目的で示す。図中の白抜きの矢印A、矢印B及び黒矢印Cは、フィラメント集合体3の紡出方向、フィラメント集合体3の搬送方向(MD方向)及び捕集ベルト51の周回方向をそれぞれ表している。また、図中の白抜きの矢印D、矢印E及び矢印Fは、冷却エアー、分離ガス及び高圧エアーをそれぞれ表している。さらに、図中のX軸方向は、搬送方向Bを示すものであり、Z軸方向は、X軸方向と直交するとともに紡出方向Aと平行な方向を示すものであり、Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向とそれぞれ直交するCD方向を示すものである。
スパンボンド不織布製造装置100は、第1の押出機11及び第2の押出機12(紡糸手段)と、紡糸口金20(紡糸手段)と、一対の冷却用送風機30L,30R(冷却手段)と、イジェクター40(延伸手段)と、捕集コンベア50と、熱エンボスロール60と、ワインダー70と、から構成される。以下、それらの概要を順に説明する。
第1の押出機11は、第1の成分1を溶融しながら、螺旋状の第1のローター13の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20(紡糸手段)へと送液する。同様に、第2の押出機12は、第2の成分2を溶融しながら、螺旋状の第2のローター14の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20へと送液する。
紡糸口金20は、所望の繊維構造を形成して吐出するように構成された複数の複合紡糸ノズル21(図4参照)を有し、第1の押出機11及び第2の押出機12からのそれぞれ溶融物が複合した複合繊維10(図1参照)からなる複数のフィラメントの束(以下、「フィラメント集合体」という)3を重力方向に紡出する。
一対の冷却用送風機30L,30Rは、オープン型であり、紡出されたフィラメント集合体3に対し、紡出方向Aと直交する方向であるX軸方向の冷却エアーDを送風し、フィラメント集合体3を冷却する。また、フィラメント集合体3から排出される高温の分離ガスEは、紡出方向Aに沿わず、一対の冷却用送風機30L,30Rの上方へと排気されることから、フィラメント集合体3を効率的に冷却することができる。
イジェクター40は、オープン型であり、駆動流体である高圧エアーFを紡出方向Aの成分をもたせてボディー42内へと噴射させ、ボディー42内に低圧部を生成させる。この生成された低圧部により、フィラメント集合体3は、ボディー42内に吸引され、高圧エアーFとともに、紡出方向Aへと延伸される。
捕集コンベア50は、捕集ベルト51と、捕集ベルト51の逆台形型の周回軌道の頂点に掛け回される第1乃至第4のロール55〜58と、上側周回軌道における捕集ベルト51の下方に対向配置される吸引ボックス59と、を備える。この捕集ベルト51は、第1乃至第4のロール55〜58の少なくとも一つの駆動回転に伴い、時計回りに周回軌道を周回方向Cに移動する。イジェクター40から延伸されたフィラメント集合体3は、直接、捕集コンベア50の捕集ベルト51上に所定の厚さに堆積されるとともに、搬送方向Bにある熱エンボスロール60へと搬送される。
熱エンボスロール60は、所定温度に加熱された凹凸の円筒面と、平らな円筒面とを有する一対の円筒ロールを備える。一対の円筒ロールは、堆積されたフィラメント集合体3を圧搾し、圧力と熱によりフィラメント集合体3の一部を絡合させ、不織布5を形成する。この交絡処理は、熱エンボス法ともいわれ、この方法により得られる不織布5は、表面にエンボスのパターンが現れる。
本実施形態による不織布5には、熱エンボス法の他、繊維の交絡処理の方法として、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法、またはホットエアースルーにより熱融着させる方法を採用することができる。ニードルパンチ手段は、ニードルをフィラメント集合体3に差し込んで絡合させる方法である。ウォータージェット手段は、高圧の水をフィラメント集合体3に噴射して、絡合させる方法である。超音波手段は、超音波を利用して、一部のフィラメントを溶かして、絡合させる方法である。ホットエアースルーは、ホットエアーをフィラメント集合体3に吹き出して、一部のフィラメントを溶かして絡合させる方法である。
ワインダー70は、連続する不織布5に皺の発生させることなく、所定の巻き硬さで巻き取る。
<冷却用送風機の吹出口について>
図3は、図2に示される一対の冷却用送風機30L,30Rの吹出口30AL,30ARを説明する斜視図である。ここで、図3は、模式的に誇張された図であり、実際における、一対の冷却用送風機30L,30R及びフィラメント集合体3の配置関係とは異なる。
一対の冷却用送風機30L,30Rは、図3に示すように、紡糸口金20から吐出されイジェクター40に吸引されるフィラメント集合体3が位置する冷却領域を挟んでX軸方向に対向配置されている。冷却エアーDが吹出口30AL,30ARの上端側及び下端側で水平方向より上方側及び下方側へと傾斜していることから、冷却領域は、X軸方向からみて、一対の冷却用送風機30L,30Rにおける吹出口30AL,30ARの領域より上下方向に広がった領域となっている。この冷却領域において、フィラメント集合体3は両面側から冷却エアーDが供給されるため、均一に冷却される。また、フィラメント集合体3から排出される高温の分離ガスEは、紡出方向Aに沿わず、オープン型である一対の冷却用送風機30L,30Rの上方より排気される。
<複合繊維の捲縮性を向上させるための捲縮性の付与手段について>
前述したように、本実施形態の複合繊維として偏芯芯鞘型を採用している。これにより、複合繊維の生成工程(延伸手段)において、高圧エアーFにより複合繊維が延伸される際に、第1の成分及び第2の成分の分子配向が進みによる結晶化の促進具合、つまり、硬さの違いを利用すること(以下、「第1の捲縮性の付与手段(延伸)」ともいう)により、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
さらに、発明者は、偏芯芯鞘型複合繊維に捲縮性をより効率的に付与するために、第1の成分及び第2の成分の融点や熱収縮性などの違いを利用すること(以下、「第2の捲縮性の付与手段(急冷)」ともいう)が重要であることを発見した。つまり、複合繊維の生成工程(冷却手段)において、複合繊維が紡糸口金20から吐出された直後に、複合繊維を効率よく急冷することで、複合繊維に付与される捲縮性を顕著に向上させ得ることを発見した。以下において、捲縮性の付与手段、特に、第2の捲縮性の付与手段(急冷)について、詳細を説明する。
<具体的な捲縮性の付与手段について>
図4は、図3のIV−IV断面線で切断した一対の冷却用送風機30L,30Rを説明する断面図である。フィラメント集合体3は複数の複合繊維10から構成されている。捲縮性の付与手段は、複合繊維に付与される捲縮性を顕著に向上させ得るために、以下の(1)−(5)のいずれかの構成を備える。
(1)捲縮性の付与手段として、一対の冷却用送風機30L,30Rにおける吹出口30AL,30ARは、上下方向に少なくとも3つの段(図4においては、上段30L1,30R1、中段30L2,30R2、及び、下段30L3,30R3の3つの段)に分割されるとともに、冷却エアーD1−D3の風向をそれぞれ異なるように調整する風向調整手段L1G−L3G,R1G−R3Gがそれぞれ設けられている。これにより、一対の吹出口30AL,30ARの各段に、それぞれ異なる機能(例えば、上段が第2の捲縮性の付与手段(急冷)、下段が第1の捲縮性の付与手段(延伸))を持たせている。
(2)第2の捲縮性の付与手段(急冷)として、一対の吹出口30AL,30ARの上段30L1,30R1における風向調整手段L1G,R1Gにより、冷却エアーD1の風向を調整し、詳細は後述するが、冷却開始点cを、紡糸口金20(ノズル21)の下面20DLと、一対の吹出口30AL,30ARの上端部a(図4参照)同士を結ぶa−a直線30ULとの間に位置させる。これにより、冷却エアーD1が紡糸口金20の広範囲にわたり送風されず、紡糸口金20が過冷却されることがないため、溶融樹脂に悪影響を与えることを抑制することができる。さらに、紡糸口金20から吐出されたばかりの初期の偏芯芯鞘型複合繊維を効率よく急冷することができ、複合繊維における融点や熱収縮性などの違いを利用し、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
ここで、本実施形態における冷却開始点cとは、一対の吹出口30AL,30ARの上端部a(図4参照)における冷却エアーD1の風向と紡糸口金20の垂直二等分線との交点cを意味する。つまり、紡糸口金20の垂直二等分線上における、一対の冷却用送風機30L,30Rにより複合繊維に対する冷却が開始される最上流側の位置を示す。本実施形態においては、図4に示すように、一方の吹出口30ALの上段30L1からの冷却エアーD1の風向と、他方の吹出口30ARの上段30R1からの冷却エアーD1の風向とが、紡糸口金20の垂直二等分線上の同じ交点c(冷却開始点)で交わることにより、偏芯芯鞘型複合繊維をさらに効率よく急冷させることができる。しかしながら、これに限らず、一方の吹出口30ALの上段30L1からの冷却エアーD1の風向と、他方の吹出口30ARの上段30R1からの冷却エアーD1の風向とが、紡糸口金20の垂直二等分線上の異なる交点で交わっても良い。
(3)第1の捲縮性の付与手段(延伸)として、一対の吹出口30AL,30ARの下段30L3,30R3における風向調整手段L3G,R3Gにより、冷却エアーD3の風向を調整し、詳細は後述するが、冷却終了点fを、一対の吹出口30AL,30ARの下端部b(図4参照)同士を結ぶb−b直線30DLを含む下方側に位置させる。これにより、イジェクター40の牽引力に加え、冷却エアーD3の牽引力を延伸手段として用いることができ、複合繊維における分子配向が進みによる結晶化の促進具合、つまり、硬さの違いを利用し、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
ここで、本実施形態における冷却終了点fとは、一対の吹出口30AL,30ARの下端部b(図4参照)における冷却エアーD3の風向と紡糸口金20(ノズル21)の垂直二等分線との交点fを意味する。つまり、紡糸口金20の垂直二等分線上における、一対の冷却用送風機30L,30Rにより複合繊維に対する冷却が終了される最下流側の位置を示す。本実施形態においては、図4に示すように、一方の吹出口30ALの下段30L3からの冷却エアーD3の風向と、他方の吹出口30ARの下段30R3からの冷却エアーD3の風向とが、紡糸口金20の垂直二等分線上の同じ交点f(冷却終了点)で交わることにより、偏芯芯鞘型複合繊維をさらに効率よく牽引することができる。しかしながら、これに限らず、一方の吹出口30ALの下段30L3からの冷却エアーD3の風向と、他方の吹出口30ARの下段30R3からの冷却エアーD3の風向とが、紡糸口金20の垂直二等分線上の異なる交点で交わっても良い。
(4)第2の捲縮性の付与手段(急冷)として、一対の吹出口の上段30L1,30R1からの冷却エアーD1は、下段30L3,30R3からの冷却エアーD3と比べて、風速を大きくするとともに、温度を低くしている。これにより、紡糸口金20から吐出されたばかりの初期の偏芯芯鞘型複合繊維を効率よく急冷することができ、複合繊維における融点や熱収縮性などの違いを利用し、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
ここで、本実施形態において、冷却エアーD1の風速は、0.5〜1.2(m/秒)が好ましく、0.8〜1.0(m/秒)がより好ましい。また、冷却エアーD1の温度は、10〜30(℃)が好ましく、15〜30(℃)がより好ましい。
(5)第1の捲縮性の付与手段(延伸)及び第2の捲縮性の付与手段(急冷)として、一対の吹出口30AL,30ARの各段に設けられる風向調整手段L1G−L3G,R1G−R3Gにより、一対の吹出口30AL,30ARの上段30L1,30R1から下段30L3,30R3へと向かうにともない、冷却エアーD1−D3同士が干渉しないように、冷却エアーD1−D3の風向を、水平方向より上方側へと傾斜した方向から、水平方向より下方側へと傾斜した方向へと離散的又は連続的に変化させる。これにより、冷却エアーD1−D3同士が打ち消し合わずに、冷却エアーD1−D3を効率的に利用することができる。具体的には、冷却エアーD1により、紡糸口金20から吐出されたばかりの初期の偏芯芯鞘型複合繊維をさらに効率よく急冷することにより、複合繊維における融点や熱収縮性などの違いを利用し、複合繊維に捲縮性を付与することができる。また、冷却エアーD3により、複合繊維における分子配向が進みによる結晶化の促進具合、つまり、硬さの違いを利用し、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
ここで、本実施形態における一対の吹出口30AL,30ARの中段30L2,30R2に設けられる風向調整手段L2G,R2Gは、図4に示すように、冷却エアーD2が、水平方向の同一風向を向くように調整されているが、同一風向の方向はこれに限らない。例えば、冷却エアーD2が、上向側方向を向いた同一風向を有することにより、冷却エアーD1と同様に、第2の捲縮性の付与手段(急冷)として機能させることができる。また、例えば、冷却エアーD2が、下向側方向を向いた同一風向を有することにより、冷却エアーD3と同様に、第1の捲縮性の付与手段(延伸)として機能させることができる。また、本実施形態における一対の吹出口30AL,30ARの各段における風向調整手段L1G−L3G,R1G−R3Gは、それぞれ同一風向(上段が水平方向より上方側へと傾斜した方向、中段が水平方向、下段が水平方向より下方側へと傾斜した方向)となっているが、各段内における冷却エアーの風向同士が干渉しないように異ならせても良い。
<冷却エアーの風向についての比較評価>
本発明の実施例1乃至実施例5の各実施例に係る冷却エアーの風向についての比較評価において、物性に係る7個のパラメータについて、比較例1及び比較例2に対する比較評価を行った。この比較評価について、以下の表1に示す。ここで、比較評価における共通する条件として、フィラメントを、偏芯芯鞘型複合繊維とし、フィラメントの材質は、ポリプロピレン樹脂とした。また、一対の冷却用送風機30L,30Rにおける吹出口30AL,30ARは、上下方向に3つの段(図4においては、上段30L1,30R1、中段30L2,30R2、及び、下段30L3,30R3の3つの段)に分割されている。この一対の吹出口30AL,30ARの各段における冷却エアーD1−D3は、同一風向を有している。ここで、一対の吹出口30AL,30ARの中段30L2,30R2からの冷却エアーD2は、水平方向の同一風向を有している。さらに、紡糸口金20から一対の吹出口30AL,30ARの上端部a(図4参照)までの垂直方向の距離H1を72.17(mm)とし、吹出口30AL,30ARのそれぞれから紡糸口金20の垂直二等分線までの水平方向の距離Wを125(mm)とした。一対の吹出口30AL,30ARの各段30L1−30L3,30R1−30R3の高さH2−H4は、それぞれ200(mm)とし、一対の吹出口30AL,30ARの各段30L1−30L3,30R1−30R3のY軸方向の長さ(不図示)は、4.2(m)とした。加えて、冷却エアーD1−D3のそれぞれの風速を、0.8(m/秒)、1.0(m/秒)、1.2(m/秒)とする。また、冷却エアーD1−D3のそれぞれの温度を、25.0(℃)、15.0(℃)、10.0(℃)とする。
Figure 2021143432
<糸切れ難さの評価について>
フィラメントに糸切れが生じると、不織布5中に塊状のフィラメントとして出現する。よって、糸切れ難さの評価は、欠陥検出器(COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システム)を用いて、不織布5の面積120000m2当たりの塊状(凸状)のフィラメントの個数、つまり、欠陥数を測定し、欠陥数が6個以上であれば、糸切れの発生が多いため「×」、3個以上6個未満であれば、糸切れの発生が少ないため「△」、3個未満であれば、糸切れの発生がないため「○」とした。
<紡糸口金の下面から冷却開始点までの距離L(mm)について>
紡糸口金20の下面20DLから冷却開始点cまでの距離L(mm)は、紡糸口金20の下面20DLを基準線とし、一対の吹出口30AL,30ARの最上流側における冷却エアーD1の風向と、紡糸口金20の垂直二等分線との交点c(冷却開始点)までの距離L(mm)を示し、下向きを正の値とする。ここで、一対の吹出口30ALの上段30L1からの冷却エアーD1の風向と、一対の吹出口30ARの上段30R1からの冷却エアーD1の風向とが、それぞれ、紡糸口金20の垂直二等分線上の同じ交点cで交わるものとする。この紡糸口金20の下面20DLから冷却開始点cまでの距離L(mm)は、「複合繊維の捲縮率」及び「糸切れ難さ」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の紡糸口金20の下面20DLから冷却開始点cまでの距離L(mm)(表1参照)が、0〜72.17(mm)、つまり、冷却開始点cが、紡糸口金20の下面20DLと、一対の吹出口30AL,30ARの上端部a(図4参照)同士を結ぶa−a直線30ULとの間に位置させることが好ましい。ここで、交点距離L(mm)が0(mm)以上であれば、冷却エアーD1により、紡糸口金20が過冷却され、溶融樹脂に悪影響を与えることを抑制することができ、「糸切れ難さの評価」を向上させることができる。一方、交点距離L(mm)が72.17(mm)以下であれば、紡糸口金20から吐出されたばかりの初期の偏芯芯鞘型複合繊維を効率よく急冷することにより、複合繊維における融点や熱収縮性などの違いが顕著に発現するため、「複合繊維の捲縮率」を向上させることができる。
<最上流側における冷却エアーのなす角度α(°)について>
最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)は、紡糸口金20の垂直二等分線に対する最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)、つまり、図4に示す冷却開始点c、冷却終了点f、一方の吹出口30ALの上端部a(図4参照)、及び、一方の吹出口30ALの下端部b(図4参照)を結ぶ四角形の内角の一つを示す。この最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)は、「複合繊維の捲縮率」及び「糸切れ難さ」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)(表1参照)が、60〜90(°)、つまり、冷却開始点cが、紡糸口金20の下面20DLと、一対の吹出口30ALの上端部a(図4参照)同士を結ぶa−a直線30ULとの間に位置させることが好ましい。ここで、最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)が60(°)以上であれば、冷却エアーD1により、紡糸口金20が過冷却されないため、溶融樹脂に悪影響を与えることを抑制することができ、「糸切れ難さの評価」を向上させることができる。一方、最上流側における冷却エアーD1のなす角度α(°)が90(°)以下であれば、紡糸口金20から吐出されたばかりの初期の偏芯芯鞘型複合繊維を効率よく急冷することができ、「複合繊維の捲縮率」及び「糸切れ難さの評価」を向上させることができる。
<最下流側における冷却エアーのなす角度β(°)について>
最下流側における冷却エアーD3のなす角度β(°)は、紡糸口金20の垂直二等分線に対する最下流側における冷却エアーD3のなす角度β(°)、つまり、図4に示す冷却開始点c、冷却終了点f、一方の吹出口30ALの上端部a(図4参照)、及び、一方の吹出口30ALの下端部b(図4参照)を結ぶ四角形の内角の一つを示す。この最下流側における冷却エアーD3のなす角度β(°)は、「イジェクターの紡糸速度(m/分)」、「複合繊維の繊維径」及び「複合繊維の捲縮率」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の最下流側における冷却エアーD3のなす角度β(°)(表1参照)が、60〜90(°)であることが好ましい。ここで、最下流側における冷却エアーD3のなす角度β(°)が60(°)以上及び90(°)以下であれば、冷却エアーD3の風向をイジェクター40の紡出方向Aへと積極的に働かせることができるため、イジェクター40の牽引力に加え、冷却エアーD3の牽引力を延伸手段として利用することができ、「イジェクターの紡糸速度(m/分)」を向上させ、「複合繊維の繊維径」を細繊化させることができる。さらに、第1の捲縮性の付与手段(延伸)により、「複合繊維の捲縮率」を向上させることができる。
<紡糸速度(m/分)について>
紡糸速度(m/分)は、イジェクター40に吸引されたフィラメント集合体3の走行速度であり、駆動流体である高圧エアーFに近い速度になる。紡糸速度S(m/分)は、Q×9000/Dより算出する。ここで、Qは単孔吐出量(g/分)を表し、Dは複合繊維の繊維径(デニール)を表す。
本実施形態の紡糸速度(m/分)(表1参照)が、3000(m/分)以上であることが好ましく、より好ましくは4000(m/分)以上である。紡糸速度を3000(m/分)以上とすることにより、糸の分子配向が進みやすく結晶化が促進され、強度が高い繊維径を細くすることができるとともに、複合繊維に捲縮性を付与することができる。
<複合繊維の繊維径(μm、デニール)について>
電子顕微鏡(日立製作所製S−3500N)を用いて、倍率1000倍の複合繊維10の写真を撮影する。複合繊維10のうち、任意の100本を選び、選択した複合繊維の繊維径(μm)を測定し、100本の平均値を算出した。また、複合繊維の繊維径D(デニール)は、0.9×100×π×ρ×(複合繊維の繊維径(μm)/200)2より算出する。ここで、ρは密度(g/cm3)(本比較評価においては、0.91:ポリプロピレン樹脂の密度)を表す。
<複合繊維の捲縮率(%)について>
複合繊維の捲縮率(%)は、スパンボンド不織布製造装置100により得られた繊維、つまり、紡出され、冷却され、延伸された複合繊維10について、日本工業規格JIS L1015に準拠して、初荷重及び荷重を負荷した時のそれぞれの長さに基づいて、複合繊維の捲縮率(%)を測定し、20回の平均値を算出した。
<冷却エアーの風向についての比較評価結果>
実施例1乃至実施例5の評価の対比から明らかなように、紡糸口金20の下面20DLから冷却開始点cまでの距離L(mm)が、0〜72.17(mm)、つまり、最上流側における冷却エアーのなす角度α(°)が、60〜90(°)であれば、「糸切れ難さの評価」が「○」以上、及び、「複合繊維の捲縮率」が18(%)以上となり、それぞれ向上させることができるとの結論を得た。
ここで、最下流側における冷却エアーのなす角度β(°)が、60〜90(°)であれば、「複合繊維の繊維径」が11(μm)以下となり、複合繊維をより細繊化させることができ、また、「複合繊維の捲縮率」が20(%)以上となり、捲縮性をより向上させることができる(実施例2〜4参照)。
以上に対し、比較例1又は2では、紡糸口金20の下面20DLから冷却開始点cまでの距離L(mm)、つまり、最上流側における冷却エアーのなす角度α(°)が好ましい数値範囲から外れていることから、「糸切れ難さの評価」が「△」以下となり、また、「複合繊維の捲縮率」が10(%)以下となり、低下している。特に、比較例1においては、糸切れが非常に多くなり、イジェクター40の詰まりや、エンボスが十分かからないことが生じ、不織布を作成することができないため、「複合繊維の繊維径」や「複合繊維の捲縮率」を、「−」(計測不能)としている。
<その他>
本発明は、上述した各形態や、各実施例、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
1 第1の成分
2 第2の成分
3 フィラメント集合体
5 不織布
10 複合繊維(フィラメント)
11 第1の押出機(紡糸手段)
12 第2の押出機(紡糸手段)
20 紡糸口金(紡糸手段)
20DL 紡糸口金の下面
21 ノズル
30L,30R 冷却用送風機(冷却手段)
30AL,30AR 吹出口
30L1,30R1 一対の吹出口の上段
30L2,30R2 一対の吹出口の中段
30L3,30R3 一対の吹出口の下段
30UL 一対の吹出口の上端部同士を結ぶa−a直線
30DL 一対の吹出口の下端部同士を結ぶb−b直線
40 イジェクター(延伸手段)
100 スパンボンド不織布製造装置
c 冷却開始点
D1 一対の吹出口の上段からの冷却エアー
D2 一対の吹出口の中段からの冷却エアー
D3 一対の吹出口の下段からの冷却エアー
f 冷却終了点
H1 紡糸口金から一対の吹出口の上端部までの垂直方向の距離
H2 一対の吹出口の上段の高さ
H3 一対の吹出口の中段の高さ
H4 一対の吹出口の下段の高さ
L 紡糸口金の下面から冷却開始点までの距離
L1G,R1G 一対の吹出口の上段の風向調整手段
L2G,R2G 一対の吹出口の中段の風向調整手段
L3G,R3G 一対の吹出口の下段の風向調整手段
W 吹出口から紡糸口金の垂直二等分線への水平方向の距離
α 最上流側における冷却エアーのなす角度
β 最下流側における冷却エアーのなす角度

Claims (12)

  1. 溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として紡糸口金より押し出す紡糸手段と、
    前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段と、
    前記紡糸手段と前記延伸手段との間に配置され、冷却エアーを前記フィラメント集合体に供給し冷却する冷却手段と、
    を備え、
    前記フィラメントは、芯成分である第1の成分と鞘成分である第2の成分とを含む偏芯芯鞘型複合繊維であり、
    前記冷却手段は、前記フィラメント集合体を挟んだ一対の吹出口を有し、
    前記一対の吹出口は、それぞれ、上下方向に少なくとも3つの段に分割され、
    前記吹出口の各段には、それぞれの前記冷却エアーが異なる風向となるように調整する風向調整手段が設けられ、
    前記風向調整手段により、前記吹出口の上端部における前記冷却エアーの風向と前記紡糸口金の垂直二等分線との交点を、前記一対の吹出口の上端部同士を結ぶ直線と前記紡糸口金の下面との間に位置させて、前記フィラメントに捲縮性を付与する捲縮性の付与手段を備えることを特徴とする偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  2. 前記紡糸口金の垂直二等分線に対する前記吹出口の上端部における前記冷却エアーのなす角度αを、60〜90(°)とすることを特徴とする請求項1に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  3. 前記紡糸口金の垂直二等分線に対する前記吹出口の下端部における前記冷却エアーのなす角度βを、60〜90(°)とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  4. 前記吹出口の上段からの前記冷却エアーは、前記吹出口の下段からの前記冷却エアーと比べて、風速を大きくするとともに、温度を低くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  5. 前記吹出口の各段に設けられる前記風向調整手段は、前記吹出口の上段から前記吹出口の下段へと向かうにともない、前記冷却エアー同士が干渉しないように、前記冷却エアーの風向を、水平方向より上方側へと傾斜した方向から、水平方向より下方側へと傾斜した方向へと離散的又は連続的に変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  6. 前記第1の成分及び前記第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし、
    前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、
    前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレートが4g/10分以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  7. 前記第1の成分は、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、前記第1の成分の全固形分を基準にして、0.5質量%以上10質量%以下の量で含むことを特徴とする、請求項6に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  8. 前記偏芯芯鞘型複合繊維は、前記第1の成分を、前記偏芯芯鞘型複合繊維の全固形分を基準として10質量%以上40質量%以下の量で含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  9. 前記第1の成分及び前記第2の成分は、それぞれ各成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  10. 前記第1の成分及び前記第2の成分は、それぞれポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  11. 前記第1の成分はポリプロピレンを主成分とし、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は長鎖分岐構造ポリプロピレンであることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
  12. 前記第1の成分または前記第2の成分の少なくとも一方に、下記a)からg)、
    a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下であり、
    b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たし、
    c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超え、
    d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、及びトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たし、
    e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下であり、
    f)前記重量平均分子量[Mw]及び数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たし、
    g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である、
    を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の偏芯芯鞘不織布の製造装置。
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