JPS6235481B2 - - Google Patents
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Description
本発明は熱可塑性重合体の極細繊維の製造方
法、更に詳しくは、通常の溶融紡糸方法を改良し
た方法によつて熱可塑性重合体からなる単繊維繊
度0.30デニール以下の極細連続繊維を製造する方
法に関する。 本発明の目的は、従来の編織工程で編織可能で
且つ品位の高い編織物となり得る、あるいは切断
するのみで不織布を基布としたスエード調人工皮
革の基布原料短繊維となり得る単繊維繊度0.30デ
ニール以下のマルチフイラメントまたはトウの形
態の連続繊維を簡便且安価に製造し得る方法を提
供するにある。 近年衣料の高級化に伴ない、通常の溶融紡糸方
法で得られた単繊維繊度の小さい(1〜0.7デニ
ール程度)合成繊維の編織物およびそれの表面起
毛製品が盛んに製造販売され広く着用されてい
る。単繊維繊度が小さい繊維の編織物は柔らかい
好ましい風合を持ち、表面起毛製品はスウエード
調タツチを持つ。単繊維繊度が更に小さい0.30デ
ニール以下の極細繊維は極めて柔らかい、好まし
い風合を持つ編織物および更に柔らかいタツチの
スウエード調表面起毛製品が得られることが知ら
れている。また、不織布を基布とした本格的スウ
エード調人工皮革に用いる基布原料短繊維の繊度
は0.30デニール以下でなければ好ましい製品には
ならないことが知られている。しかし、従来から
知られている0.30デニール以下の極細繊維は、編
織に使用することが不可能であるか、または可能
であつても編織物の染色工程が複雑あるいは編織
物の品位が悪いなどの欠点がある。人工皮革用の
短繊維を得るにあたつても、その製造工程が複雑
で工業的に有利に製造できないと言う難点があつ
た。従つて、かかる欠点がなく、しかも簡便な方
法で工業的に有利に製造できる極細繊維の製造方
法の出現が望まれていた。 従来、単繊維繊度0.30デニール以下の熱可塑性
重合体極細繊維の製造方法の主なものとして以下
の四つが知られている。 a 海島繊維法(高分子配列体繊維法)(例え
ば、特公昭48−25362号参照): 溶融紡糸法にて海島状断面をもつ未延伸繊維
を紡糸し、この未延伸繊維をその島成分の自然
延伸領域をやや越える延伸比で延伸する。その
後、海部を溶剤で溶解除去して島成分を極細繊
維として得る。これを更に延伸してより細い強
度大なる繊維とすることも可能である。 b ポリマーブレンド繊維法(例えば、特開昭51
−58518): 溶解性が異なり、相溶性が乏しい二種の熱可
塑性重合体の混合物を溶融紡糸して、一方の重
合体が他方へ微分散した海島繊維を得る。これ
を延伸後上記aと同様に海部を溶剤で溶解除去
し、島部を極細短繊維として得る。 c スーパードロー法(例えば特開昭51−55420
参照): 2〜3デニールの単繊維からなるポリエステ
ル未延伸繊維を分子の配向を伴なわないフロー
延伸をし、続いて分子の配向を伴なう配向延伸
(ネツク延伸)することによつて、高延伸比の
延伸を行なつてポリエステル極細繊維を得る。 d 易分割性繊維法(例えば特開昭51−130317参
照): 相溶性の乏しい複数の熱可塑性重合体からな
る複合繊維を紡糸し、続いて延伸して得られる
繊維を編織物とする前あるいは後に機械的ある
いは化学的に分割して極細繊維とする。 上記a、b共に溶剤処理を必要とする工程的不
利を有し、しかも通常の溶剤処理では海成分がわ
ずかながら繊維表面に残存し、且繊維表面が侵さ
れるという欠点を有している。またbからは長繊
維は得られない。cは、フロー延伸が実際には極
めて低速でしかできず、その上二段の延伸である
ため工程的不利は免れない。得られる繊維の繊度
および染めの均一性は極めて悪く、編織への使用
は不可能である。dは得られる繊維が複数の重合
体からなるので、染色工程が複雑で且つ染め汚れ
が生じることがある。またdから円型断面の極細
繊維は得られない。 このような既存の方法は、いずれも溶融紡糸方
法によつているが、通常の溶融紡糸方法によつて
直接に極細繊維を得る方法に比べて工程的に複雑
で不利であり、且得られる繊維は特殊な取扱いを
必要とするかあるいは品質的に劣る。かかる不利
益にもかかわらずこのような複雑な方法が考案さ
れ、工業的にも採用されているのは、特公昭38−
7511に提案された例があるものの、未だ単独の重
合体から通常の溶融紡糸方法を用いて紡糸および
延伸のみであるいは紡糸のみで直接に単繊維繊度
0.30デニール以下の極細繊維を工業的に得る方法
が実質的に見出されていなかつたからである。上
記特公昭38−7511は紡糸口金直下に冷却風を送
り、吐出直後の糸条を急冷する方法であるが、こ
の方法において、吐出量を少量として0.30デニー
ル以下となる細い未延伸繊維を得ようとすると冷
却風が強過ぎて、吐出直後の糸条の破断が多発
し、連続繊維を安定に紡糸することはできず、ま
してこの方法を工業的に採用することは到底不可
能である。 このような事情であるために、簡便な通常の溶
融紡糸方法の改良によつて0.30デニール以下の極
細繊維が得られれば、その利益は大きい。 そこで本発明者らは通常の溶融紡糸法の改良に
よつて、前記a、b、c、dの如き工程的不利お
よび品質的欠点を有さず、単繊維繊度0.30デニー
ル以下の実用的価値の高い極細連続繊維の製造方
法を考案すべく検討した。その結果、通常の溶融
紡糸法によつて直接に単繊維繊度0.30デニール以
下の極細連続繊維が得られない最大の理由は、以
下のとおりであることが判明した。すなわち、通
常の溶融紡糸法によつて直接に極細繊維を得るた
めには紡糸口金の1吐出孔当りの重合体吐出量を
極力小さくして未延伸繊維を紡糸し、できるだけ
高い延伸比で延伸すれば良いことが予想される
が、紡糸口金の1吐出ノズル当りの吐出量を次第
に下げて行き、約0.15g/分になると通常の紡糸
条件では紡糸口金直下で吐出直後の単繊維が繊維
形成過程で破断し始め、延伸後の単繊維繊度が
0.30デニール以下となるべき未延伸連続繊維は得
られないことが判明した。 本発明者らは、さらに、より細い繊維を得るた
めに、紡糸口金1吐出孔当りの吐出量を約0.15
g/分よりも極力下げても連続繊維が紡糸可能で
且つ得られる未延伸連続繊維の最大延伸倍率が大
となるような紡糸方法が必要と考え、それについ
て鋭意研究した。その結果、吐出断面積が比較的
小さな吐出孔より重合体を低溶融粘度で吐出し、
吐出された直後の糸条を低温雰囲気で急冷し、且
紡糸口金から比較的短い距離において集束するこ
とが有効であることを見出し本発明を完成した。 本発明の第1の発明は、「熱可塑性重合体繊維
を溶融紡糸法によつて製造するに際し、1吐出孔
の断面積が3.5×10-4cm2以下である紡糸口金を使
用して、該重合体を溶融粘度950ポイズ以下で吐
出し、紡糸口金部を除く紡糸口金パツク表面を遮
熱板で覆い且つ冷却風を紡糸口金面へ吹きつける
ことによつて閉糸口金下1〜3cmにおける雰囲気
温度を200℃以下に保ちながら吐出糸条を冷却
し、次いで吐出糸条の全単繊維を紡糸口金下10〜
200cmにおいて集束することを特徴とする単繊維
繊度0.30デニール以下の熱可塑性重合体極細連続
繊維の製造方法である。 第2の発明は、「熱可塑性重合体繊維を溶融紡
糸法によつて製造するに際し、1吐出孔当りの吐
出断面積が3.5×10-4cm2以下である紡糸口金を使
用して、該重合体を溶融粘度950ポイズ以下で吐
出し、紡糸口金部を除く紡糸口金パツク表面を遮
熱板で覆い且第1冷却風を紡糸口金パツク表面に
吹き付けることによつて紡糸口金面下1〜3cmに
おける雰囲気の温度を200℃以下に保ちながら吐
出糸条を冷却し、次いで10cm以上に亘る非送風領
域を通過した第2冷却風を糸条に吹き付けること
によつて更に冷却し、しかも糸条の全単繊維を紡
糸口金下10〜200cmにおいて集束することを特徴
とする単繊維繊度0.30デニール以下の熱可塑性重
合体連続繊維の製造方法。」である。 第1の発明は、1吐出孔の吐出断面積が3.5×
10-4cm2以下の紡糸口金を使用すること、重合体を
溶融粘度950ポイズ以下で吐出すること、遮熱板
および冷却風を利用して紡糸口金下1〜3cmの雰
囲気を200℃以下に保持しながら吐出糸条件を冷
却すること、ならびに吐出糸条の全単繊維を紡糸
口金下で集束することを組み合わせる点を主眼と
する方法である。かかる組合わせによつて始めて
紡糸口金1吐出孔当り約0.15g/分以下の吐出量
の紡糸が可能となり、編織物あるいは人工皮革に
供することの出来る単繊維繊度0.30デニール以下
の極細連続繊維が安定して得られるのである。殊
に、本発明によれば、紡糸口金1吐出孔当りの吐
出量0.08g/分以下の紡糸も可能で、単繊維繊度
0.20デニール以下の極細繊維も安定して得られ
る。 第1の発明の第1の特徴は、紡糸口金部を除く
紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い且冷却風を紡
糸口金面へ吹きつけることによつて紡糸口金下1
〜3cmにおける雰囲気温度を200℃以下に保ちな
がら吐出糸条を冷却することである。 一般の溶融紡糸においては、通常紡糸口金直下
は一定範囲にわたつて雰囲気温度は少なくとも
200℃、好ましくは250℃以上に保持される。この
ように紡糸口金直下の雰囲気温度を高くする理由
は紡糸口金を保温し、スラブや単糸切れの発生を
防止し、繊維の配向緩和を促すことによつて延伸
工程での延伸比を増大可能にするためである。 ところが、本発明の如く紡糸口金1吐出孔当り
の吐出量が約0.15g/分以下と小さくなるように
して極細繊維を得るに当つては、紡糸口金直下を
高温雰囲気に保持して徐冷すると、紡糸口金下に
おける繊維形成過程で単糸切れが多発して実質的
に紡糸が不可能という逆効果が現われる。紡糸口
金下1吐出孔当り約0.15g/分以下の吐出量の場
合は一般に溶融紡糸の場合とは異なり、紡糸口金
直下の雰囲気の温度を比較的低温に保持して急冷
して始めて紡糸が可能となる。しかも、安定な紡
糸状態を維持し、編織可能な単繊維繊度0.30デニ
ール以下の極細繊維を得るためには、紡糸口金部
を除く紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い且冷却
部を紡糸口金面へ吹き付けることによつて、紡糸
口金下1〜3cmにおける雰囲気の温度を200℃に
保ちながら吐出糸条を冷却する必要がある。遮熱
板を用いずに冷却風を紡糸口金面へ吹きつけるこ
とのみによつて、紡糸口金下1〜3cmにおける雰
囲気の温度を200℃以下に保つことは可能ではあ
るが、紡糸口金パツク全面が露出しているので、
紡糸口金パツク面からの放熱量が大きいために大
量の冷却風を要し、風速も大となる。その結果、
1吐出孔当り約0.15g/分以下の小吐出量で紡糸
する場合は、強風によつて極めて細い溶融状態の
糸条の破断が頻発する。また大量の冷却風の直撃
によつて紡糸口金パツクの温度が大幅に低下して
紡糸口金の温度低下を引起し、吐出糸条がスラブ
状となり紡糸ができなくなる。更に最悪の事態で
は、吐出孔で重合体が固化し孔詰りを生じて吐出
され不可能となる。遮熱板によつて口金部を除く
紡糸口金パツクの表面を覆うことによつて、紡糸
口金パツクからの放熱量を最小限に抑制すること
ができる。したがつて小量の冷却風で紡糸口金下
1〜3cmにおける雰囲気の温度を200℃以下に保
つことが出来るし且紡糸口金パツクおよび紡糸口
金の温度を紡糸に支障のない程度の高温に保つこ
とが出来る。すなわち遮熱板によつて、冷却風の
みの場合に生じる障害が一挙に取り除かれ、1吐
出孔当りの吐出量が約0.15g/分以下の紡糸が可
能となる。すなわち、本発明の目的は遮熱板と冷
却風を併用することによつて始めて達成されるの
である。 しかし、遮熱板と冷却風を本発明の如く併用し
ても紡糸口金1〜3cmにおける雰囲気の温度が
200℃を越えると、単糸切れが頻発して正常な紡
糸状態は得られない。安定に紡糸できて且、配向
緩和を促し、未延伸繊維の残留伸度を大きくし、
より細い延伸繊維を得るために、紡糸口金下1〜
3cmにおける雰囲気の温度は120〜190℃に保つの
が好ましい。また、紡糸口金下1〜3cmにおける
雰囲気の温度を200℃以下に保つに当つて、冷却
風量を少なくして紡口面の温度を高く維持すると
共に吐出直後の単繊維に対する風圧を小さくする
ために、遮熱板の表面温度は紡糸する重合体の融
点より少なくとも20℃低く保つのが好ましく、更
に好ましくは少なくとも40℃低く保つのが好まし
い。遮熱板は紡糸口金パツクからの放熱を最少限
にする目的のものであるから、紡糸口金面に無用
の放熱量が存在する場合は、糸条の吐出を妨げな
い範囲で、遮熱板を紡糸口金面の周縁部にかかる
ように装着することができる。 また冷却風が吐出直後の全単繊維に均等に且、
適度の風速で当るように、冷却風は送風器を用い
て紡糸口金下10cm以内より吐出糸条の周囲方向か
らまたは吐出糸条を挾んで両側方向から、水平面
に対して5゜〜85゜上向きに紡糸口金面に吹き付
けるのが好ましい。更に、急冷の効果を顕著にし
糸揺れを小さくして吐出直後の単繊維の破断の頻
度を小さくする目的から、冷却風の吹出しは紡糸
口金下4cm以内、冷却風の吹出し角度は55゜〜80
゜であることが特に好ましい。 第1の発明の第2の特徴は、1吐出孔当りの吐
出断面積が比較的小さい紡糸口金を用いることで
ある。吐出孔当り断面積が3.5×10-4cm2以下であ
れば、重合体吐出量、紡糸速度、重合体溶融粘
度、延伸比などの条件を選ぶことによつて単繊維
度0.30デニール以下の延伸繊維を得ることが可能
であるが、3.5×10-4cm2を越えれば不可能であ
る。特に、0.20デニール以下の繊維を得るために
は2×10-4cm2以下のものを用いる必要がある。吐
出孔の断面形状は円型の他に、Y型、五角形、扁
平、C型などの異型であつても良い。 第1の発明の第3の特徴は、重合体溶融粘度を
比較的小さい950ポイズ以下として吐出すること
である。通常の溶融紡糸では1000ポイズ以上であ
ることが多い。重合体溶融粘度が950ポイズを越
すと1吐出孔当りの吐出量を約0.15g/分以下に
すると紡糸口金下での単糸切れが頻発して正常の
紡糸は不可能であり、0.30デニール以下の繊維は
得られない。本発明における重合体溶融粘度は紡
糸口金パツク内の値を言う。溶融粘度950ポイズ
以下で吐出することによつて初めて0.30デニール
以下の繊維が得られる。単繊維繊度が小さくなる
につれて必要な溶融粘度の上限は小さくなり0.25
デニールで750ポイズ以下、0.20デニールで480ポ
イズ以下、0.15デニールで300ポイズ以下、0.10
デニールで200ポイズ以下でなければ紡糸できな
い。重合体の溶融粘度は重合体の固有粘度(重合
度)、溶融温度あるいは可塑剤などの添加剤の有
無によつて決まるが、比較的固有粘度の小さい重
合体を常用の溶融温度で使用することは、重合体
溶融粘度を950ポイズ以下に容易に調整できるの
で最も好ましい方法である。目的によつては可塑
剤などの添加剤を重合体に加えることによつてあ
るいは重合体を比較的高温に保つことによつて重
合体溶融粘度950ポイズ以下に調整することがで
きる。 第1の発明における第4の特徴は、紡出後の繊
維を紡糸口金下10〜200cmにおいて全単繊維を集
束することである。このような集束を行うことの
利点の第1は、若し上述のように紡糸口金近接位
置で集束しない場合は空気抵抗および冷却風によ
る糸揺れのために紡糸口金下で吐出直後の糸条に
応力が加わり単糸切れが生じ、安定して未延伸繊
維が得られないが、紡糸口金からある距離以内の
位置で集束すると、空気抵抗および糸揺れを最少
限にすることができ単糸切れが解消し、連続した
未延伸連続繊維が安定して得られ、且これを延伸
した繊維の繊度斑が小さいことである。第2の利
点は上述のように紡糸口金近接位置で集束しない
場合に比べて未延伸繊維の最大延伸倍率が大きく
なり、従つてより細い延伸繊維が得られることで
ある。全単繊維を紡糸口金から近い距離で集束す
ることによつて糸揺れが最少限に押えられ、且空
気抵抗が減少し、繊維にかかる張力が小さくな
り、そのために配向が緩和されやすくなることが
かかる第2利点の原因と考えられる。 吐出直後の繊維を集束するには公知の方法のい
ずれでも良いが、スネルガイドのように繊維と接
触度の小さいガイドを用いる方法が望ましい。ま
た、集束する位置は紡糸口金に近いほど上記第1
の利点は大きいが、紡糸口金下10cm未満では吐出
糸条が十分固化していないので、単繊維同志の融
着やガイド類との接触による糸切れを生じ易い。
したがつて、紡糸口金下10cm以上離れた位置でな
ければならない。また、上記第2の利点は紡糸口
金下200cm以内の領域のみで認められる。したが
つて集束の位置は紡糸口金下10〜200cmで、好ま
しい範囲は20〜100cmであり、更に好ましくは20
〜70cmである。 紡糸口金の孔数を増大した場合など紡糸口金直
下で急冷されて細化固化された糸条が室温まで下
がり切らないことが多い。その場合に紡糸口金面
に吹き付ける冷却風に加えて更に冷却風(第2冷
却風)を糸条に吹き付けて室温まで冷却する必要
がある。その時、紡糸口金面に吹き付ける冷却風
(第1冷却風)が吐出糸条に当る最下位位置と第
2冷却風が糸条に当る最上位位置との間隔である
非送風領域が10cm以上でなければならない。この
ように、第1の発明に加えて、10cm以上の非送風
領域を設けて第2冷却風を糸条に吹き付けて糸条
を冷却するのが第2の発明である。非送風領域が
10cm未満であると糸条に随伴する気流と第2冷却
風の衝突による乱流が激しく起こり、糸揺れの原
因となり、ひいては紡糸口金直下での単繊維の破
断が多発する。非送風領域が長くなると、紡糸口
金面と床面との間隔が大きくなり、紡糸口金パツ
クの取付け、取りはずしが不便になる。非送風領
域の好ましい範囲は10〜50cmであり、更に好まし
くは15〜30cmである。第2冷却風は糸条に対して
実質的に直角に吹き付けるのが好ましい。 本発明方法において、熱可塑性重合体とは、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリオレフインなどの
溶融紡糸可能な重合体をいう。これらの熱可塑性
重合体は少量の添加剤、例えばつや消剤、着色
剤、安定剤、制電剤などを含有していてもさしつ
かえない。 以下、添附図面について、第1および第2両発
明方法を具体的に説明する。 第1図は従来の溶融紡糸方法および装置の代表
的一例を示す説明図である。熱可塑性重合体の溶
融物4は紡糸口金パツク2に装着された紡糸口金
3の吐出孔より押出される。押出された糸条9
は、一定範囲に亘つて高温(通常、少くとも200
℃、特に250℃以上)に保持されたゾーン8を通
つた後、直交型送風器7によつて糸条走行方向に
実質的に直交する方向から冷却風を糸条9に吹当
て冷却される。冷却された糸条9は冷却されるこ
となくカラム10中を通つた後、油剤付与手段1
1、引取ロール12を経て引取られまたは巻取機
13によつて巻取られる。巻取られた未延伸糸条
は延伸手段(図示せず)によつて延伸され、延伸
繊維となつて実用に供される。 第2図は、第1の発明を実施するための装置の
一具体例を示す説明図である。この溶融紡糸装置
は、遮熱板4を備え且紡糸口金3下方部に上向き
に冷却風を紡糸口金3に吹き付けるための送風器
15およびその下部に吐出糸条9を集束する器具
17を具えている。溶融された重合体4は紡糸口
金パツク2に装着された紡糸口金3より糸条9と
して吐出される。紡糸口金パツク2に紡糸口金部
3を除き遮熱板14が密接して取付けられてい
る。吐出糸条9は紡糸口金下方部に設けられた送
風器15から紡糸口金3面へ向つて吹きつけられ
る冷却風によつて冷却固化され、集束器具17に
よつて集束される。集束された糸条9はカラム1
0中を通つた後、従来法と同様に、油剤付与手段
11、引取ロール12を経て引取られまたは巻取
機13によつて巻取られる。巻取られた未延伸糸
条は延伸手段(図示せず)によつて延伸される。 本発明の実施に用いる溶融紡糸装置の遮熱板1
4に使用する材質は、珪藻土、アスベスト、ガラ
ス繊維などの一般に断熱材料として用いられる材
質から単独または組合わせて選ばれる。遮熱板の
厚みは、使用する材質を積層または充填し、本発
明の製造条件を満足する範囲で任意に設定し得る
が、通常0.5cm〜3cmが取扱いなどから見て好ま
しい。遮熱板は紡糸口金部を除く紡糸口金パツク
の表面に取付けるが、紡糸口金パツク以外に紡糸
頭の一部が露出している場合などには、紡糸頭の
表面にも取り付けられていることが本発明の効果
を阻害しない上からも望ましい。また図示の具体
例では遮熱板と紡糸口金パツクの間は密接してい
るが、わずかに間隙をもつて取付けられても良
い。 本発明で用いる送風器15は、少なくとも一つ
の流体導入口を備えており、上向きに冷却風を吹
出す構造のものであればその形状や大きさ、その
吹き出し口の個数は特に限定されない。ただし、
紡糸口金表面のワイピング時などに簡単に脱着可
能なように小型軽量な環状構造の上部に傾斜した
吹き出し面を有するものが好ましい。 第4図〜第7図は、本発明方法の実施に用いる
送風器の例を示す略図である。第4図〜第7図に
おいて、各図のaは平面図を、bは各a図の−
線に沿う断面図である。ここに例示する送風器
はいずれも環状構造で複数の吹出し口を有する。 第3図は第2の発明の実施に用いる装置の代表
的一例を示す説明図である。この溶融紡糸装置
は、第1の発明の実施に用いる装置に加えて、糸
条走行方向に沿つて10cm以上に亘る非送風領域が
設けられ、この非送風領域に引続いて第2冷却風
の送風器(第2送風器)7が付設される点が特徴
である。第2送風器7は吐出糸条9の周囲からあ
るいは片側から送風する構造のいずれでも良い。
冷却風の吹出し角度は糸条に対して直角が好まし
いが、必要に応じて上、下に適当な角度をもつて
傾斜せる構造にすることもできる。非送風領域の
長さの設定は、第2送風器を上下させるかあるい
は冷却風吹出し部長さを加減することによつて行
なうことができる。16は非送風領域の長さ調節
板である。 本発明方法によつて得られる未延伸繊維は、延
撚機、ドローワインダー、延伸仮撚機などの公知
の延伸手段で延伸され、極細連続繊維として実用
に供することができる。 本発明によれば、従来特殊な方法でしか得られ
なかつた単繊維繊度0.30デニール以下の極細連続
繊維が通常の溶融紡糸法を若干改変した方法によ
つて直接に安定して得られるようになつた。得ら
れる繊維は従来の編織工程において編織可能で且
編織物の品位は高い。本発明により得られる繊維
を切断して得られる短繊維は人工皮革の基布原料
として特に有用である。 実施例 1 第2図に示す紡糸装置を用いて、ポリエチレン
テレフタレートを吐出量および紡糸口金下1〜3
cmの雰囲気の温度を種々変えて紡糸した。得られ
た未延伸繊維は常法に従つて延撚機で延撚した。
送風器としては第4図に示すものを用いて、上向
き60゜の角度で室温の冷却風を紡糸口金面に吹き
つけた。遮熱板は石綿製の厚さ1cmのものを紡糸
口金部を除く紡糸口金パツク面に装着した。また
ポリエチレンテレフタレートを紡糸口金パツク内
で溶融粘度が400ポイズになるように調製して紡
糸した。紡糸条件および延伸条件は下記のとおり
であり、また、紡糸状態および得られた延伸繊維
のデニールは表1に示すとおりであつた。 紡糸条件 紡糸口金孔数 144 同孔断面積(円型) 0.78×10-4cm2 紡糸頭温度 305℃ 紡糸速度 1250m/分 送風器取付位置(冷却風最上位吹出し位置)
紡糸口金面下4cm 送風器吹出し幅 10mm 集束位置 50cm 延伸条件 供給ロール温度 75℃ 熱板温度 140℃ 延伸速度 500m/分 延伸比 各吐出量毎に延伸繊維の破断伸度が約25
%になるように設定
法、更に詳しくは、通常の溶融紡糸方法を改良し
た方法によつて熱可塑性重合体からなる単繊維繊
度0.30デニール以下の極細連続繊維を製造する方
法に関する。 本発明の目的は、従来の編織工程で編織可能で
且つ品位の高い編織物となり得る、あるいは切断
するのみで不織布を基布としたスエード調人工皮
革の基布原料短繊維となり得る単繊維繊度0.30デ
ニール以下のマルチフイラメントまたはトウの形
態の連続繊維を簡便且安価に製造し得る方法を提
供するにある。 近年衣料の高級化に伴ない、通常の溶融紡糸方
法で得られた単繊維繊度の小さい(1〜0.7デニ
ール程度)合成繊維の編織物およびそれの表面起
毛製品が盛んに製造販売され広く着用されてい
る。単繊維繊度が小さい繊維の編織物は柔らかい
好ましい風合を持ち、表面起毛製品はスウエード
調タツチを持つ。単繊維繊度が更に小さい0.30デ
ニール以下の極細繊維は極めて柔らかい、好まし
い風合を持つ編織物および更に柔らかいタツチの
スウエード調表面起毛製品が得られることが知ら
れている。また、不織布を基布とした本格的スウ
エード調人工皮革に用いる基布原料短繊維の繊度
は0.30デニール以下でなければ好ましい製品には
ならないことが知られている。しかし、従来から
知られている0.30デニール以下の極細繊維は、編
織に使用することが不可能であるか、または可能
であつても編織物の染色工程が複雑あるいは編織
物の品位が悪いなどの欠点がある。人工皮革用の
短繊維を得るにあたつても、その製造工程が複雑
で工業的に有利に製造できないと言う難点があつ
た。従つて、かかる欠点がなく、しかも簡便な方
法で工業的に有利に製造できる極細繊維の製造方
法の出現が望まれていた。 従来、単繊維繊度0.30デニール以下の熱可塑性
重合体極細繊維の製造方法の主なものとして以下
の四つが知られている。 a 海島繊維法(高分子配列体繊維法)(例え
ば、特公昭48−25362号参照): 溶融紡糸法にて海島状断面をもつ未延伸繊維
を紡糸し、この未延伸繊維をその島成分の自然
延伸領域をやや越える延伸比で延伸する。その
後、海部を溶剤で溶解除去して島成分を極細繊
維として得る。これを更に延伸してより細い強
度大なる繊維とすることも可能である。 b ポリマーブレンド繊維法(例えば、特開昭51
−58518): 溶解性が異なり、相溶性が乏しい二種の熱可
塑性重合体の混合物を溶融紡糸して、一方の重
合体が他方へ微分散した海島繊維を得る。これ
を延伸後上記aと同様に海部を溶剤で溶解除去
し、島部を極細短繊維として得る。 c スーパードロー法(例えば特開昭51−55420
参照): 2〜3デニールの単繊維からなるポリエステ
ル未延伸繊維を分子の配向を伴なわないフロー
延伸をし、続いて分子の配向を伴なう配向延伸
(ネツク延伸)することによつて、高延伸比の
延伸を行なつてポリエステル極細繊維を得る。 d 易分割性繊維法(例えば特開昭51−130317参
照): 相溶性の乏しい複数の熱可塑性重合体からな
る複合繊維を紡糸し、続いて延伸して得られる
繊維を編織物とする前あるいは後に機械的ある
いは化学的に分割して極細繊維とする。 上記a、b共に溶剤処理を必要とする工程的不
利を有し、しかも通常の溶剤処理では海成分がわ
ずかながら繊維表面に残存し、且繊維表面が侵さ
れるという欠点を有している。またbからは長繊
維は得られない。cは、フロー延伸が実際には極
めて低速でしかできず、その上二段の延伸である
ため工程的不利は免れない。得られる繊維の繊度
および染めの均一性は極めて悪く、編織への使用
は不可能である。dは得られる繊維が複数の重合
体からなるので、染色工程が複雑で且つ染め汚れ
が生じることがある。またdから円型断面の極細
繊維は得られない。 このような既存の方法は、いずれも溶融紡糸方
法によつているが、通常の溶融紡糸方法によつて
直接に極細繊維を得る方法に比べて工程的に複雑
で不利であり、且得られる繊維は特殊な取扱いを
必要とするかあるいは品質的に劣る。かかる不利
益にもかかわらずこのような複雑な方法が考案さ
れ、工業的にも採用されているのは、特公昭38−
7511に提案された例があるものの、未だ単独の重
合体から通常の溶融紡糸方法を用いて紡糸および
延伸のみであるいは紡糸のみで直接に単繊維繊度
0.30デニール以下の極細繊維を工業的に得る方法
が実質的に見出されていなかつたからである。上
記特公昭38−7511は紡糸口金直下に冷却風を送
り、吐出直後の糸条を急冷する方法であるが、こ
の方法において、吐出量を少量として0.30デニー
ル以下となる細い未延伸繊維を得ようとすると冷
却風が強過ぎて、吐出直後の糸条の破断が多発
し、連続繊維を安定に紡糸することはできず、ま
してこの方法を工業的に採用することは到底不可
能である。 このような事情であるために、簡便な通常の溶
融紡糸方法の改良によつて0.30デニール以下の極
細繊維が得られれば、その利益は大きい。 そこで本発明者らは通常の溶融紡糸法の改良に
よつて、前記a、b、c、dの如き工程的不利お
よび品質的欠点を有さず、単繊維繊度0.30デニー
ル以下の実用的価値の高い極細連続繊維の製造方
法を考案すべく検討した。その結果、通常の溶融
紡糸法によつて直接に単繊維繊度0.30デニール以
下の極細連続繊維が得られない最大の理由は、以
下のとおりであることが判明した。すなわち、通
常の溶融紡糸法によつて直接に極細繊維を得るた
めには紡糸口金の1吐出孔当りの重合体吐出量を
極力小さくして未延伸繊維を紡糸し、できるだけ
高い延伸比で延伸すれば良いことが予想される
が、紡糸口金の1吐出ノズル当りの吐出量を次第
に下げて行き、約0.15g/分になると通常の紡糸
条件では紡糸口金直下で吐出直後の単繊維が繊維
形成過程で破断し始め、延伸後の単繊維繊度が
0.30デニール以下となるべき未延伸連続繊維は得
られないことが判明した。 本発明者らは、さらに、より細い繊維を得るた
めに、紡糸口金1吐出孔当りの吐出量を約0.15
g/分よりも極力下げても連続繊維が紡糸可能で
且つ得られる未延伸連続繊維の最大延伸倍率が大
となるような紡糸方法が必要と考え、それについ
て鋭意研究した。その結果、吐出断面積が比較的
小さな吐出孔より重合体を低溶融粘度で吐出し、
吐出された直後の糸条を低温雰囲気で急冷し、且
紡糸口金から比較的短い距離において集束するこ
とが有効であることを見出し本発明を完成した。 本発明の第1の発明は、「熱可塑性重合体繊維
を溶融紡糸法によつて製造するに際し、1吐出孔
の断面積が3.5×10-4cm2以下である紡糸口金を使
用して、該重合体を溶融粘度950ポイズ以下で吐
出し、紡糸口金部を除く紡糸口金パツク表面を遮
熱板で覆い且つ冷却風を紡糸口金面へ吹きつける
ことによつて閉糸口金下1〜3cmにおける雰囲気
温度を200℃以下に保ちながら吐出糸条を冷却
し、次いで吐出糸条の全単繊維を紡糸口金下10〜
200cmにおいて集束することを特徴とする単繊維
繊度0.30デニール以下の熱可塑性重合体極細連続
繊維の製造方法である。 第2の発明は、「熱可塑性重合体繊維を溶融紡
糸法によつて製造するに際し、1吐出孔当りの吐
出断面積が3.5×10-4cm2以下である紡糸口金を使
用して、該重合体を溶融粘度950ポイズ以下で吐
出し、紡糸口金部を除く紡糸口金パツク表面を遮
熱板で覆い且第1冷却風を紡糸口金パツク表面に
吹き付けることによつて紡糸口金面下1〜3cmに
おける雰囲気の温度を200℃以下に保ちながら吐
出糸条を冷却し、次いで10cm以上に亘る非送風領
域を通過した第2冷却風を糸条に吹き付けること
によつて更に冷却し、しかも糸条の全単繊維を紡
糸口金下10〜200cmにおいて集束することを特徴
とする単繊維繊度0.30デニール以下の熱可塑性重
合体連続繊維の製造方法。」である。 第1の発明は、1吐出孔の吐出断面積が3.5×
10-4cm2以下の紡糸口金を使用すること、重合体を
溶融粘度950ポイズ以下で吐出すること、遮熱板
および冷却風を利用して紡糸口金下1〜3cmの雰
囲気を200℃以下に保持しながら吐出糸条件を冷
却すること、ならびに吐出糸条の全単繊維を紡糸
口金下で集束することを組み合わせる点を主眼と
する方法である。かかる組合わせによつて始めて
紡糸口金1吐出孔当り約0.15g/分以下の吐出量
の紡糸が可能となり、編織物あるいは人工皮革に
供することの出来る単繊維繊度0.30デニール以下
の極細連続繊維が安定して得られるのである。殊
に、本発明によれば、紡糸口金1吐出孔当りの吐
出量0.08g/分以下の紡糸も可能で、単繊維繊度
0.20デニール以下の極細繊維も安定して得られ
る。 第1の発明の第1の特徴は、紡糸口金部を除く
紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い且冷却風を紡
糸口金面へ吹きつけることによつて紡糸口金下1
〜3cmにおける雰囲気温度を200℃以下に保ちな
がら吐出糸条を冷却することである。 一般の溶融紡糸においては、通常紡糸口金直下
は一定範囲にわたつて雰囲気温度は少なくとも
200℃、好ましくは250℃以上に保持される。この
ように紡糸口金直下の雰囲気温度を高くする理由
は紡糸口金を保温し、スラブや単糸切れの発生を
防止し、繊維の配向緩和を促すことによつて延伸
工程での延伸比を増大可能にするためである。 ところが、本発明の如く紡糸口金1吐出孔当り
の吐出量が約0.15g/分以下と小さくなるように
して極細繊維を得るに当つては、紡糸口金直下を
高温雰囲気に保持して徐冷すると、紡糸口金下に
おける繊維形成過程で単糸切れが多発して実質的
に紡糸が不可能という逆効果が現われる。紡糸口
金下1吐出孔当り約0.15g/分以下の吐出量の場
合は一般に溶融紡糸の場合とは異なり、紡糸口金
直下の雰囲気の温度を比較的低温に保持して急冷
して始めて紡糸が可能となる。しかも、安定な紡
糸状態を維持し、編織可能な単繊維繊度0.30デニ
ール以下の極細繊維を得るためには、紡糸口金部
を除く紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い且冷却
部を紡糸口金面へ吹き付けることによつて、紡糸
口金下1〜3cmにおける雰囲気の温度を200℃に
保ちながら吐出糸条を冷却する必要がある。遮熱
板を用いずに冷却風を紡糸口金面へ吹きつけるこ
とのみによつて、紡糸口金下1〜3cmにおける雰
囲気の温度を200℃以下に保つことは可能ではあ
るが、紡糸口金パツク全面が露出しているので、
紡糸口金パツク面からの放熱量が大きいために大
量の冷却風を要し、風速も大となる。その結果、
1吐出孔当り約0.15g/分以下の小吐出量で紡糸
する場合は、強風によつて極めて細い溶融状態の
糸条の破断が頻発する。また大量の冷却風の直撃
によつて紡糸口金パツクの温度が大幅に低下して
紡糸口金の温度低下を引起し、吐出糸条がスラブ
状となり紡糸ができなくなる。更に最悪の事態で
は、吐出孔で重合体が固化し孔詰りを生じて吐出
され不可能となる。遮熱板によつて口金部を除く
紡糸口金パツクの表面を覆うことによつて、紡糸
口金パツクからの放熱量を最小限に抑制すること
ができる。したがつて小量の冷却風で紡糸口金下
1〜3cmにおける雰囲気の温度を200℃以下に保
つことが出来るし且紡糸口金パツクおよび紡糸口
金の温度を紡糸に支障のない程度の高温に保つこ
とが出来る。すなわち遮熱板によつて、冷却風の
みの場合に生じる障害が一挙に取り除かれ、1吐
出孔当りの吐出量が約0.15g/分以下の紡糸が可
能となる。すなわち、本発明の目的は遮熱板と冷
却風を併用することによつて始めて達成されるの
である。 しかし、遮熱板と冷却風を本発明の如く併用し
ても紡糸口金1〜3cmにおける雰囲気の温度が
200℃を越えると、単糸切れが頻発して正常な紡
糸状態は得られない。安定に紡糸できて且、配向
緩和を促し、未延伸繊維の残留伸度を大きくし、
より細い延伸繊維を得るために、紡糸口金下1〜
3cmにおける雰囲気の温度は120〜190℃に保つの
が好ましい。また、紡糸口金下1〜3cmにおける
雰囲気の温度を200℃以下に保つに当つて、冷却
風量を少なくして紡口面の温度を高く維持すると
共に吐出直後の単繊維に対する風圧を小さくする
ために、遮熱板の表面温度は紡糸する重合体の融
点より少なくとも20℃低く保つのが好ましく、更
に好ましくは少なくとも40℃低く保つのが好まし
い。遮熱板は紡糸口金パツクからの放熱を最少限
にする目的のものであるから、紡糸口金面に無用
の放熱量が存在する場合は、糸条の吐出を妨げな
い範囲で、遮熱板を紡糸口金面の周縁部にかかる
ように装着することができる。 また冷却風が吐出直後の全単繊維に均等に且、
適度の風速で当るように、冷却風は送風器を用い
て紡糸口金下10cm以内より吐出糸条の周囲方向か
らまたは吐出糸条を挾んで両側方向から、水平面
に対して5゜〜85゜上向きに紡糸口金面に吹き付
けるのが好ましい。更に、急冷の効果を顕著にし
糸揺れを小さくして吐出直後の単繊維の破断の頻
度を小さくする目的から、冷却風の吹出しは紡糸
口金下4cm以内、冷却風の吹出し角度は55゜〜80
゜であることが特に好ましい。 第1の発明の第2の特徴は、1吐出孔当りの吐
出断面積が比較的小さい紡糸口金を用いることで
ある。吐出孔当り断面積が3.5×10-4cm2以下であ
れば、重合体吐出量、紡糸速度、重合体溶融粘
度、延伸比などの条件を選ぶことによつて単繊維
度0.30デニール以下の延伸繊維を得ることが可能
であるが、3.5×10-4cm2を越えれば不可能であ
る。特に、0.20デニール以下の繊維を得るために
は2×10-4cm2以下のものを用いる必要がある。吐
出孔の断面形状は円型の他に、Y型、五角形、扁
平、C型などの異型であつても良い。 第1の発明の第3の特徴は、重合体溶融粘度を
比較的小さい950ポイズ以下として吐出すること
である。通常の溶融紡糸では1000ポイズ以上であ
ることが多い。重合体溶融粘度が950ポイズを越
すと1吐出孔当りの吐出量を約0.15g/分以下に
すると紡糸口金下での単糸切れが頻発して正常の
紡糸は不可能であり、0.30デニール以下の繊維は
得られない。本発明における重合体溶融粘度は紡
糸口金パツク内の値を言う。溶融粘度950ポイズ
以下で吐出することによつて初めて0.30デニール
以下の繊維が得られる。単繊維繊度が小さくなる
につれて必要な溶融粘度の上限は小さくなり0.25
デニールで750ポイズ以下、0.20デニールで480ポ
イズ以下、0.15デニールで300ポイズ以下、0.10
デニールで200ポイズ以下でなければ紡糸できな
い。重合体の溶融粘度は重合体の固有粘度(重合
度)、溶融温度あるいは可塑剤などの添加剤の有
無によつて決まるが、比較的固有粘度の小さい重
合体を常用の溶融温度で使用することは、重合体
溶融粘度を950ポイズ以下に容易に調整できるの
で最も好ましい方法である。目的によつては可塑
剤などの添加剤を重合体に加えることによつてあ
るいは重合体を比較的高温に保つことによつて重
合体溶融粘度950ポイズ以下に調整することがで
きる。 第1の発明における第4の特徴は、紡出後の繊
維を紡糸口金下10〜200cmにおいて全単繊維を集
束することである。このような集束を行うことの
利点の第1は、若し上述のように紡糸口金近接位
置で集束しない場合は空気抵抗および冷却風によ
る糸揺れのために紡糸口金下で吐出直後の糸条に
応力が加わり単糸切れが生じ、安定して未延伸繊
維が得られないが、紡糸口金からある距離以内の
位置で集束すると、空気抵抗および糸揺れを最少
限にすることができ単糸切れが解消し、連続した
未延伸連続繊維が安定して得られ、且これを延伸
した繊維の繊度斑が小さいことである。第2の利
点は上述のように紡糸口金近接位置で集束しない
場合に比べて未延伸繊維の最大延伸倍率が大きく
なり、従つてより細い延伸繊維が得られることで
ある。全単繊維を紡糸口金から近い距離で集束す
ることによつて糸揺れが最少限に押えられ、且空
気抵抗が減少し、繊維にかかる張力が小さくな
り、そのために配向が緩和されやすくなることが
かかる第2利点の原因と考えられる。 吐出直後の繊維を集束するには公知の方法のい
ずれでも良いが、スネルガイドのように繊維と接
触度の小さいガイドを用いる方法が望ましい。ま
た、集束する位置は紡糸口金に近いほど上記第1
の利点は大きいが、紡糸口金下10cm未満では吐出
糸条が十分固化していないので、単繊維同志の融
着やガイド類との接触による糸切れを生じ易い。
したがつて、紡糸口金下10cm以上離れた位置でな
ければならない。また、上記第2の利点は紡糸口
金下200cm以内の領域のみで認められる。したが
つて集束の位置は紡糸口金下10〜200cmで、好ま
しい範囲は20〜100cmであり、更に好ましくは20
〜70cmである。 紡糸口金の孔数を増大した場合など紡糸口金直
下で急冷されて細化固化された糸条が室温まで下
がり切らないことが多い。その場合に紡糸口金面
に吹き付ける冷却風に加えて更に冷却風(第2冷
却風)を糸条に吹き付けて室温まで冷却する必要
がある。その時、紡糸口金面に吹き付ける冷却風
(第1冷却風)が吐出糸条に当る最下位位置と第
2冷却風が糸条に当る最上位位置との間隔である
非送風領域が10cm以上でなければならない。この
ように、第1の発明に加えて、10cm以上の非送風
領域を設けて第2冷却風を糸条に吹き付けて糸条
を冷却するのが第2の発明である。非送風領域が
10cm未満であると糸条に随伴する気流と第2冷却
風の衝突による乱流が激しく起こり、糸揺れの原
因となり、ひいては紡糸口金直下での単繊維の破
断が多発する。非送風領域が長くなると、紡糸口
金面と床面との間隔が大きくなり、紡糸口金パツ
クの取付け、取りはずしが不便になる。非送風領
域の好ましい範囲は10〜50cmであり、更に好まし
くは15〜30cmである。第2冷却風は糸条に対して
実質的に直角に吹き付けるのが好ましい。 本発明方法において、熱可塑性重合体とは、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリオレフインなどの
溶融紡糸可能な重合体をいう。これらの熱可塑性
重合体は少量の添加剤、例えばつや消剤、着色
剤、安定剤、制電剤などを含有していてもさしつ
かえない。 以下、添附図面について、第1および第2両発
明方法を具体的に説明する。 第1図は従来の溶融紡糸方法および装置の代表
的一例を示す説明図である。熱可塑性重合体の溶
融物4は紡糸口金パツク2に装着された紡糸口金
3の吐出孔より押出される。押出された糸条9
は、一定範囲に亘つて高温(通常、少くとも200
℃、特に250℃以上)に保持されたゾーン8を通
つた後、直交型送風器7によつて糸条走行方向に
実質的に直交する方向から冷却風を糸条9に吹当
て冷却される。冷却された糸条9は冷却されるこ
となくカラム10中を通つた後、油剤付与手段1
1、引取ロール12を経て引取られまたは巻取機
13によつて巻取られる。巻取られた未延伸糸条
は延伸手段(図示せず)によつて延伸され、延伸
繊維となつて実用に供される。 第2図は、第1の発明を実施するための装置の
一具体例を示す説明図である。この溶融紡糸装置
は、遮熱板4を備え且紡糸口金3下方部に上向き
に冷却風を紡糸口金3に吹き付けるための送風器
15およびその下部に吐出糸条9を集束する器具
17を具えている。溶融された重合体4は紡糸口
金パツク2に装着された紡糸口金3より糸条9と
して吐出される。紡糸口金パツク2に紡糸口金部
3を除き遮熱板14が密接して取付けられてい
る。吐出糸条9は紡糸口金下方部に設けられた送
風器15から紡糸口金3面へ向つて吹きつけられ
る冷却風によつて冷却固化され、集束器具17に
よつて集束される。集束された糸条9はカラム1
0中を通つた後、従来法と同様に、油剤付与手段
11、引取ロール12を経て引取られまたは巻取
機13によつて巻取られる。巻取られた未延伸糸
条は延伸手段(図示せず)によつて延伸される。 本発明の実施に用いる溶融紡糸装置の遮熱板1
4に使用する材質は、珪藻土、アスベスト、ガラ
ス繊維などの一般に断熱材料として用いられる材
質から単独または組合わせて選ばれる。遮熱板の
厚みは、使用する材質を積層または充填し、本発
明の製造条件を満足する範囲で任意に設定し得る
が、通常0.5cm〜3cmが取扱いなどから見て好ま
しい。遮熱板は紡糸口金部を除く紡糸口金パツク
の表面に取付けるが、紡糸口金パツク以外に紡糸
頭の一部が露出している場合などには、紡糸頭の
表面にも取り付けられていることが本発明の効果
を阻害しない上からも望ましい。また図示の具体
例では遮熱板と紡糸口金パツクの間は密接してい
るが、わずかに間隙をもつて取付けられても良
い。 本発明で用いる送風器15は、少なくとも一つ
の流体導入口を備えており、上向きに冷却風を吹
出す構造のものであればその形状や大きさ、その
吹き出し口の個数は特に限定されない。ただし、
紡糸口金表面のワイピング時などに簡単に脱着可
能なように小型軽量な環状構造の上部に傾斜した
吹き出し面を有するものが好ましい。 第4図〜第7図は、本発明方法の実施に用いる
送風器の例を示す略図である。第4図〜第7図に
おいて、各図のaは平面図を、bは各a図の−
線に沿う断面図である。ここに例示する送風器
はいずれも環状構造で複数の吹出し口を有する。 第3図は第2の発明の実施に用いる装置の代表
的一例を示す説明図である。この溶融紡糸装置
は、第1の発明の実施に用いる装置に加えて、糸
条走行方向に沿つて10cm以上に亘る非送風領域が
設けられ、この非送風領域に引続いて第2冷却風
の送風器(第2送風器)7が付設される点が特徴
である。第2送風器7は吐出糸条9の周囲からあ
るいは片側から送風する構造のいずれでも良い。
冷却風の吹出し角度は糸条に対して直角が好まし
いが、必要に応じて上、下に適当な角度をもつて
傾斜せる構造にすることもできる。非送風領域の
長さの設定は、第2送風器を上下させるかあるい
は冷却風吹出し部長さを加減することによつて行
なうことができる。16は非送風領域の長さ調節
板である。 本発明方法によつて得られる未延伸繊維は、延
撚機、ドローワインダー、延伸仮撚機などの公知
の延伸手段で延伸され、極細連続繊維として実用
に供することができる。 本発明によれば、従来特殊な方法でしか得られ
なかつた単繊維繊度0.30デニール以下の極細連続
繊維が通常の溶融紡糸法を若干改変した方法によ
つて直接に安定して得られるようになつた。得ら
れる繊維は従来の編織工程において編織可能で且
編織物の品位は高い。本発明により得られる繊維
を切断して得られる短繊維は人工皮革の基布原料
として特に有用である。 実施例 1 第2図に示す紡糸装置を用いて、ポリエチレン
テレフタレートを吐出量および紡糸口金下1〜3
cmの雰囲気の温度を種々変えて紡糸した。得られ
た未延伸繊維は常法に従つて延撚機で延撚した。
送風器としては第4図に示すものを用いて、上向
き60゜の角度で室温の冷却風を紡糸口金面に吹き
つけた。遮熱板は石綿製の厚さ1cmのものを紡糸
口金部を除く紡糸口金パツク面に装着した。また
ポリエチレンテレフタレートを紡糸口金パツク内
で溶融粘度が400ポイズになるように調製して紡
糸した。紡糸条件および延伸条件は下記のとおり
であり、また、紡糸状態および得られた延伸繊維
のデニールは表1に示すとおりであつた。 紡糸条件 紡糸口金孔数 144 同孔断面積(円型) 0.78×10-4cm2 紡糸頭温度 305℃ 紡糸速度 1250m/分 送風器取付位置(冷却風最上位吹出し位置)
紡糸口金面下4cm 送風器吹出し幅 10mm 集束位置 50cm 延伸条件 供給ロール温度 75℃ 熱板温度 140℃ 延伸速度 500m/分 延伸比 各吐出量毎に延伸繊維の破断伸度が約25
%になるように設定
【表】
【表】
比較実施例 1
第1図に示す紡糸装置(遮熱板および送風器を
もたない)を用いて、ポリエチレンテレフタレー
トを吐出量を種々変えて紡糸を試みた。横吹き冷
却風の温度は20℃で風速は0.4m/secであつた。
また、その他の製造条件は実施例1と同じにし
た。その結果、紡糸口金1吐出孔当りの吐出量
0.16g/分までは紡糸が可能で単繊維繊度0.45デ
ニールの延伸繊維が得られるが、それより小さい
吐出量では紡糸口金直下での単糸切れが多発して
紡糸不可能であつた。 比較実施例 2 第2図の紡糸装置において遮熱板を除去してポ
リエチレンテレフタレートを紡糸口金1吐出孔当
りの吐出量を種々変えて紡糸を試みた。送風器よ
り冷却風を紡糸口金下1〜3cmにおける雰囲気の
温度が185℃になるように吹付けた。その結果、
1吐出孔当りの吐出量0.15g/分以下では冷却風
によつて吐出直後の繊維が吹き切られて紡糸でき
ず、単繊維繊度0.30デニール以下の繊維は得られ
なかつた。 実施例 2 第2図に示す紡糸装置を用いて、ポリエチレン
テレフタレートを紡糸口金の吐出孔断面積および
吐出量を表2の如く変えて紡糸を試み、得られた
未延伸繊維を常法に従つて延撚機で延伸した。紡
糸口金パツク内の重合体溶融粘度は280ポイズに
調製し、紡糸口金下1〜3cmにおける雰囲気の温
度は実施例1と同じ方法によつて180℃に保つ
た。その他の製造条件は実施例1と同じである。
紡糸状態および得られた延伸繊維の単繊維繊度は
表2に示すとおりであつた。
もたない)を用いて、ポリエチレンテレフタレー
トを吐出量を種々変えて紡糸を試みた。横吹き冷
却風の温度は20℃で風速は0.4m/secであつた。
また、その他の製造条件は実施例1と同じにし
た。その結果、紡糸口金1吐出孔当りの吐出量
0.16g/分までは紡糸が可能で単繊維繊度0.45デ
ニールの延伸繊維が得られるが、それより小さい
吐出量では紡糸口金直下での単糸切れが多発して
紡糸不可能であつた。 比較実施例 2 第2図の紡糸装置において遮熱板を除去してポ
リエチレンテレフタレートを紡糸口金1吐出孔当
りの吐出量を種々変えて紡糸を試みた。送風器よ
り冷却風を紡糸口金下1〜3cmにおける雰囲気の
温度が185℃になるように吹付けた。その結果、
1吐出孔当りの吐出量0.15g/分以下では冷却風
によつて吐出直後の繊維が吹き切られて紡糸でき
ず、単繊維繊度0.30デニール以下の繊維は得られ
なかつた。 実施例 2 第2図に示す紡糸装置を用いて、ポリエチレン
テレフタレートを紡糸口金の吐出孔断面積および
吐出量を表2の如く変えて紡糸を試み、得られた
未延伸繊維を常法に従つて延撚機で延伸した。紡
糸口金パツク内の重合体溶融粘度は280ポイズに
調製し、紡糸口金下1〜3cmにおける雰囲気の温
度は実施例1と同じ方法によつて180℃に保つ
た。その他の製造条件は実施例1と同じである。
紡糸状態および得られた延伸繊維の単繊維繊度は
表2に示すとおりであつた。
【表】
【表】
実施例 3
種々の重合度(ηsp/C)のポリエチレンテ
レフタレートを用いて、紡糸口金パツク内でのポ
リマー溶融粘度を表3のように調製し、第2図に
示す紡糸装置を用いてポリエステル繊維の紡糸を
試みた。紡糸口金下1〜3cmの雰囲気の温度が
190℃になるように冷却風を供給し、安定して紡
糸可能な吐出量の下限およびそのときの延伸繊維
の単繊維繊度を調べた。溶融粘度および吐出量以
外の製造条件は実施例1と同じにした。 安定して紡糸可能な吐出量の下限およびその条
件で得られた未延伸繊維を延撚機で延伸した延伸
繊維の単繊維繊度は表3に示すとおりであつた。
レフタレートを用いて、紡糸口金パツク内でのポ
リマー溶融粘度を表3のように調製し、第2図に
示す紡糸装置を用いてポリエステル繊維の紡糸を
試みた。紡糸口金下1〜3cmの雰囲気の温度が
190℃になるように冷却風を供給し、安定して紡
糸可能な吐出量の下限およびそのときの延伸繊維
の単繊維繊度を調べた。溶融粘度および吐出量以
外の製造条件は実施例1と同じにした。 安定して紡糸可能な吐出量の下限およびその条
件で得られた未延伸繊維を延撚機で延伸した延伸
繊維の単繊維繊度は表3に示すとおりであつた。
【表】
実施例 4
第2図に示す紡糸装置を用いて、ポリエチレン
テレフタレートを、集束位置を表4の如く変えて
紡糸を試み、得られた未延伸繊維の最大延伸倍率
を測定した。また、未延伸繊維を常法に従つて延
撚機で延伸した。紡糸口金1吐出孔当り吐出量は
0.059g/分とし、紡糸口金下1〜3cmにおける
雰囲気の温度は実施例1と同じ方法で180℃とし
た。その他の製造条件は実施例1と同じにした。
集束用器具として酸化チタン製スネルガイドを用
いた。紡糸状態、未延伸繊維の最大延伸倍率およ
び延伸繊維の単繊維繊度は表4に示すとおりであ
つた。
テレフタレートを、集束位置を表4の如く変えて
紡糸を試み、得られた未延伸繊維の最大延伸倍率
を測定した。また、未延伸繊維を常法に従つて延
撚機で延伸した。紡糸口金1吐出孔当り吐出量は
0.059g/分とし、紡糸口金下1〜3cmにおける
雰囲気の温度は実施例1と同じ方法で180℃とし
た。その他の製造条件は実施例1と同じにした。
集束用器具として酸化チタン製スネルガイドを用
いた。紡糸状態、未延伸繊維の最大延伸倍率およ
び延伸繊維の単繊維繊度は表4に示すとおりであ
つた。
【表】
比較実施例 3
実施例4と同じ条件で、オイリングロール直前
(紡糸口金下5.5m)まで集束せずに紡糸を試み
た。その結果、冷却風による糸揺れが激しく、紡
糸口金直下で単糸切れが激発して正常な紡糸は不
可能であつた。 実施例 5 第3図に示す紡糸装置および孔断面積0.78×
10-4cm2の円型の吐出孔を288個有する紡糸口金を
用い、かつ非送風領域を表5の如く変化させてポ
リエチレンテレフタレートを紡糸した。そして得
られた未延伸繊維を常法に従つて延撚機で延伸し
た。その時紡糸口金1吐出孔当りの吐出量は0.05
g/分とし、紡糸口金下の1〜3cmの雰囲気温度
を実施例1と同じ方法で180℃に保ちながら吐出
糸条を冷却し、次いで吐出糸条に直角に0.1m/
secの風速で第2冷却風を吹き付けて更に冷却し
た。その他の製造条件は実施例1と同じにした。
紡糸状態および延伸繊維の単繊維繊度は表5に示
すとおりであつた。
(紡糸口金下5.5m)まで集束せずに紡糸を試み
た。その結果、冷却風による糸揺れが激しく、紡
糸口金直下で単糸切れが激発して正常な紡糸は不
可能であつた。 実施例 5 第3図に示す紡糸装置および孔断面積0.78×
10-4cm2の円型の吐出孔を288個有する紡糸口金を
用い、かつ非送風領域を表5の如く変化させてポ
リエチレンテレフタレートを紡糸した。そして得
られた未延伸繊維を常法に従つて延撚機で延伸し
た。その時紡糸口金1吐出孔当りの吐出量は0.05
g/分とし、紡糸口金下の1〜3cmの雰囲気温度
を実施例1と同じ方法で180℃に保ちながら吐出
糸条を冷却し、次いで吐出糸条に直角に0.1m/
secの風速で第2冷却風を吹き付けて更に冷却し
た。その他の製造条件は実施例1と同じにした。
紡糸状態および延伸繊維の単繊維繊度は表5に示
すとおりであつた。
【表】
実施例 6
第2図に示す紡糸装置を用いて、ナイロン6を
紡糸し、次いで得られた未延伸繊維を延撚機で延
伸して極細繊維を得た。 得られた極細繊維の単繊維デニールおよび物性
は表6に示すとおりであつた。また、得られた繊
維を筒編地とし、染色テストを行なつた。染斑の
水準は合格であつた。 紡糸および延伸条件は次のとおりであつた。 紡糸条件 紡糸口金孔数 144 同孔断面積 0.78×10-4cm2 送風器 第4図のもの 冷却風角度 60゜ 冷却風最上位吹出し位置 紡糸口金面下4cm 紡糸口金下1〜3cm雰囲気温度 150℃ 紡糸速度 1250m/分 集束位置 紡糸口金面下30cm 遮熱板 石綿製厚さ1cm 溶融粘度 250ポイズ 吐出量 0.03g/分・1吐出孔 延伸条件 延伸速度 500m/分 延伸比 1.5
紡糸し、次いで得られた未延伸繊維を延撚機で延
伸して極細繊維を得た。 得られた極細繊維の単繊維デニールおよび物性
は表6に示すとおりであつた。また、得られた繊
維を筒編地とし、染色テストを行なつた。染斑の
水準は合格であつた。 紡糸および延伸条件は次のとおりであつた。 紡糸条件 紡糸口金孔数 144 同孔断面積 0.78×10-4cm2 送風器 第4図のもの 冷却風角度 60゜ 冷却風最上位吹出し位置 紡糸口金面下4cm 紡糸口金下1〜3cm雰囲気温度 150℃ 紡糸速度 1250m/分 集束位置 紡糸口金面下30cm 遮熱板 石綿製厚さ1cm 溶融粘度 250ポイズ 吐出量 0.03g/分・1吐出孔 延伸条件 延伸速度 500m/分 延伸比 1.5
第1図は従来の溶融紡糸装置の一例を示す説明
図であり、第2図および第3図は本発明方法の実
施に用いる溶融紡糸装置の具体例を示す説明図で
ある。第4図〜第7図は本発明方法で用いる送風
器の具体例を示す平面図aおよび断面図bであ
る。第1図、第2図および第3図における参照数
字は次のとおりである。 1……紡糸頭、2……紡糸口金パツク、3……
紡糸口金、4……溶融重合体、5……紡糸頭の保
温部材、6……保温板、7……横吹き送風器(直
交型送風器)、8……高温ゾーン(徐冷ゾーン)、
9……糸条、10……カラム、11……油剤付与
手段(オイリングロール)、12……引取りロー
ル、13……巻取機、14……遮熱板、15……
送風器、16……非送風領域調節板、17……集
束器具。
図であり、第2図および第3図は本発明方法の実
施に用いる溶融紡糸装置の具体例を示す説明図で
ある。第4図〜第7図は本発明方法で用いる送風
器の具体例を示す平面図aおよび断面図bであ
る。第1図、第2図および第3図における参照数
字は次のとおりである。 1……紡糸頭、2……紡糸口金パツク、3……
紡糸口金、4……溶融重合体、5……紡糸頭の保
温部材、6……保温板、7……横吹き送風器(直
交型送風器)、8……高温ゾーン(徐冷ゾーン)、
9……糸条、10……カラム、11……油剤付与
手段(オイリングロール)、12……引取りロー
ル、13……巻取機、14……遮熱板、15……
送風器、16……非送風領域調節板、17……集
束器具。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 熱可塑性重合体繊維を溶融紡糸法によつて製
造するに際し、1吐出孔当りの吐出断面積が3.5
×10-4cm2以下である紡糸口金を使用して、該重合
体を溶融粘度950ポイズ以下で吐出し、紡糸口金
部を除く紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い且冷
却風を紡糸口金面に吹きつけることによつて紡糸
口金面下1〜3cmにおける雰囲気の温度を200℃
以下に保ちながら吐出糸条を冷却し、次いで吐出
糸条の全単繊維を紡糸口金下10〜200cmにおいて
集束することを特徴とする単繊維繊度0.30デニー
ル以下の熱可塑性重合体連続繊維の製造方法。 2 遮熱板の表面温度を紡糸する重合体の融点よ
りも少なくとも20℃低く保ち、且紡糸口金下10cm
以内の吐出糸条の周囲方向からまたは吐出糸条を
挾んで両側方向から水平面に対して5゜〜85゜内
側上向きに冷却風を吹き付ける特許請求の範囲第
1項に記載の製造方法。 3 冷却風吹付け方向が水平面に対して55゜〜80
゜内側上向きである特許請求の範囲第2項に記載
の製造方法。 4 熱可塑性重合体がポリエステル、ポリアミド
またはポリオレフインである特許請求の範囲第1
項ないし第3項のいずれかに記載の製造方法。 5 紡糸する重合体を溶融粘度480ポイズ以下で
吐出する特許請求の範囲第1項ないし第4項のい
ずれかに記載の製造方法。 6 吐出糸条の全単繊維を紡糸口金下20〜100cm
において集束する特許請求の範囲第1項ないし第
5項のいずれかに記載の製造方法。 7 熱可塑性重合体繊維を溶融紡糸法によつて製
造するに際し、1吐出孔当りの吐出断面積が3.5
×10-4cm2以下である紡糸口金を使用して、該重合
体を溶融粘度9.50ポイズ以下で吐出し、紡糸口金
部を除く紡糸口金パツク表面を遮熱板で覆い、第
1冷却風を紡糸口金表面に吹き付けることによつ
て紡糸口金面1〜3cmにおける雰囲気の温度を
200℃以下に保ちながら吐出糸条を冷却し、次い
で10cm以上に亘る非送風領域を通過した糸条に第
2冷却風を吹き付けることによつて更に冷却し、
糸条の全単繊維を紡糸口金下10〜200cmにおいて
集束することを特徴とする単繊維繊度0.3デニー
ル以下の熱可塑性重合体連続繊維の製造方法。 8 熱可塑性重合体がポリエステルポリアミドお
よびポリオレフインであることを特徴とする特許
請求の範囲第7項に記載の単繊維繊度0.3デニー
ル以下の熱可塑性重合体連続繊維の製造方法。 9 遮熱板の表面温度を紡糸する重合体の融点よ
りも少なくとも20℃低く保ち、且紡糸口金下10cm
以内の吐出糸条の周囲方向からまたは吐出糸条を
挾んで両側方向から水平面に対して5゜〜85゜内
側上向きに第1冷却風を吹き付ける特許請求の範
囲第7項または第8項に記載の製造方法。 10 第1冷却風吹付け方向が水平面に対し55゜
〜85゜内側上向きである特許請求の範囲第9項に
記載の製造方法。 11 紡糸する重合体を溶融粘度480゜ポイズ以
下で吐出する特許請求の範囲第7項ないし第10
項のいずれかに記載の製造方法。 12 15cm〜30cmに亘る非送風領域を通過した糸
条に第2冷却風を実質的に直角に吹き付ける特許
請求の範囲第7項ないし第11項のいずれかに記
載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4051979A JPS55132708A (en) | 1979-04-04 | 1979-04-04 | Production of ultrafine thermoplastic polymer filament yarn |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4051979A JPS55132708A (en) | 1979-04-04 | 1979-04-04 | Production of ultrafine thermoplastic polymer filament yarn |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS55132708A JPS55132708A (en) | 1980-10-15 |
JPS6235481B2 true JPS6235481B2 (ja) | 1987-08-03 |
Family
ID=12582753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4051979A Granted JPS55132708A (en) | 1979-04-04 | 1979-04-04 | Production of ultrafine thermoplastic polymer filament yarn |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS55132708A (ja) |
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---|---|---|---|---|
JPH0768645B2 (ja) * | 1987-08-04 | 1995-07-26 | 東レ株式会社 | 極細合成繊維の溶融紡糸方法 |
CN1333119C (zh) * | 2003-04-11 | 2007-08-22 | 南亚塑胶工业股份有限公司 | 细旦聚酯中空长丝的纺制方法 |
CN1306078C (zh) * | 2003-04-14 | 2007-03-21 | 南亚塑胶工业股份有限公司 | 一种细旦聚酯预延伸丝的制造方法 |
US10363153B2 (en) | 2012-03-13 | 2019-07-30 | Asahi Kasei Fibers Corporation | Superfine polyester fiber and tubular seamless fabric |
JP6005294B2 (ja) | 2013-09-12 | 2016-10-12 | 旭化成株式会社 | 極細ポリエステル繊維 |
JP6210422B2 (ja) * | 2015-12-21 | 2017-10-11 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 繊維集合体 |
WO2017110057A1 (ja) * | 2015-12-21 | 2017-06-29 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 繊維集合体 |
CN107937998B (zh) * | 2017-12-14 | 2020-10-13 | 江苏恒力化纤股份有限公司 | 一种聚酯工业丝品质提升方法 |
CN109537073B (zh) * | 2018-12-28 | 2020-06-19 | 西安交通大学 | 一种利用溶液吹纺技术制备定向排列纤维的装置和方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS497109A (ja) * | 1972-05-12 | 1974-01-22 | ||
JPS50148615A (ja) * | 1974-05-20 | 1975-11-28 | ||
JPS50154518A (ja) * | 1974-06-04 | 1975-12-12 |
-
1979
- 1979-04-04 JP JP4051979A patent/JPS55132708A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS497109A (ja) * | 1972-05-12 | 1974-01-22 | ||
JPS50148615A (ja) * | 1974-05-20 | 1975-11-28 | ||
JPS50154518A (ja) * | 1974-06-04 | 1975-12-12 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS55132708A (en) | 1980-10-15 |
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