JPH0768645B2 - 極細合成繊維の溶融紡糸方法 - Google Patents

極細合成繊維の溶融紡糸方法

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JPH0768645B2
JPH0768645B2 JP62193683A JP19368387A JPH0768645B2 JP H0768645 B2 JPH0768645 B2 JP H0768645B2 JP 62193683 A JP62193683 A JP 62193683A JP 19368387 A JP19368387 A JP 19368387A JP H0768645 B2 JPH0768645 B2 JP H0768645B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は熱可塑性重合体の極細繊維を溶融紡糸する方法
に関する。さらに詳しくは、1細孔当たり0.3g/分以下
の吐出量により極細合成繊維を安定して溶融紡糸する方
法に関する。
〔従来の技術〕
極細合成繊維は合成皮革,高密度織物,高級起毛布帛な
どの様々な衣料用および産業用の用途に広く利用され
る。このような極細合成繊維を溶融紡糸により得る方法
は数多くあるが、このうち最もシンプルな方法は、紡糸
口金の1細孔当たりの吐出量を減少させて紡糸する方法
である。第2の方法うは、溶出型複合繊維を用いるもの
で、所謂海島型複合繊維の海成分を溶剤により溶出し、
島成分のみを極細の繊維として得るようにするものであ
る。第3の方法は、分割型複合繊維を用いるもので、互
いに非相溶性の重合体からなる成分を薬液や衝撃などの
作用によりバラバラに分割して、極細の繊維にするもの
である。
しかし、これらのうち第2,第3の方法は、溶融紡糸の段
階で複数成分を必要とすること、複雑な構造の特殊の紡
糸口金が必要であること、溶出や分割などの特殊な工程
が必要であることなどのために、生産コストが極めて高
くなるという欠点がある。これに対し第1の方法は単一
の熱可塑性重合体を通常の紡糸口金から紡糸すればよい
ためコストが安いという利点はあるものの、1細孔当た
りの吐出量を減少させた状態の場合には、以下に説明す
るように安定した紡糸が難しくなり、高品質の極細繊維
を得ることが非常に難しいという技術上の問題があっ
た。
すなわち、溶融紡糸方法とは、熱可塑性重合体を溶融し
て紡糸原液となし、これを計量して紡糸口金から吐出す
ると共に冷却固化させて引き取る方法である。ここで冷
却は糸の長手方向の太さ斑を抑えることであり、それに
よって繊維の物性斑を小さくすることができる。このよ
うな冷却のためには、細孔から吐出された溶融状態ある
いは半溶融状態の糸条を糸揺れによる融着や糸切れを起
こさない程度に積極的に冷却風を送ってやることが必要
である。しかし、極細繊維の溶融紡糸のように1細孔当
たり0.3g/分以下の極めて少ない吐出量にした場合に
は、吐出糸の熱容量が小さいため紡糸口金の近くで冷却
されてしまうため、冷却風の吹付け位置を紡糸口金に近
づけて行わないと太さ斑を小さくすることが難しくな
り、また融着や糸切れが頻発するようになる。
しかしながら、単に紡糸口金直下に冷却風を送る冷却強
化は紡糸口金の温度を低くするため、紡糸口金直前まで
一定の高温に保たれていた熱可塑性重合体は、紡糸口金
部で急激に冷やされつつ吐出されることになる。このた
め、吐出後の熱可塑性重合体の細化冷却は不安定とな
り、紡糸困難となるのである。
これを回避するには、予め紡糸機の制御温度を熱可塑性
重合体の紡糸に不適切な範囲まで高くすることが必要に
なる。しかし、このようにすると、熱可塑性重合体の熱
分解などによる品質劣化は避けられず、このため紡糸口
金付近を局部的に高温にする方法がいくつか考えられて
いる。
実公昭47−34247号公報は紡糸口金パック中の濾過部と
紡糸口金との間に二重円管の隙間状の通路を設け、その
通路を熱媒により加熱するようにしたものである。しか
し、この技術では、二重円管の管壁からの距離に従って
流速が異なるため、熱履歴の大きく異なった紡糸原液を
紡糸口金に供給することになる。このため紡糸原液の溶
融粘度にバラツキが発生し、各吐出孔間で吐出量のバラ
ツキを引起こすようになり、繊維の染色斑を引き起こす
ようになる。また、一部の紡糸原液は熱劣化が激しくな
ってしまうことによって、細孔出口における紡糸原液の
“曲がり”現象や糸切れを引き起こすようになる。
また、特公昭46−37777号公報は紡糸口金パックの外周
に加熱器を取り付け、熱伝導により紡糸口金を加熱する
ようにしたものである。しかし、この技術では、熱伝導
と冷却雰囲気への放熱とを防止口金面内で均一にバラン
スさせることが難しく、紡糸口金中央部ほど温度が低く
なってしまう現象が起こる。このため、この温度差によ
って吐出直前の紡糸原液の粘度のバラツキを引き起こ
し、上記と同様の問題を引き起こすようになる。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解決し、1
細孔当たり0.3g/分以下の吐出量にする極細繊維の溶融
紡糸において、高温度に制御された紡糸原液を紡糸口金
から冷却強化された雰囲気に吐出するものでありなが
ら、紡糸原液の熱劣化が小さく、かつ熱履歴や糸斑が均
一で強度低下のない高品位の極細繊維が得られる溶融紡
糸方法を提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明は、かかる目的を達成するために、溶融した熱可
塑性重合体を複数の細孔をもつ紡糸口金から1細孔当た
り0.3g/分以下の吐出量で吐出し、単糸デニールが0.5デ
ニール以下の極細繊維を溶融紡糸するに際し、 前記紡糸口金の上流側直前に静的混練素子を設けると共
に、該静的混練素子に沿って密接する加熱器を設け、該
加熱器の加熱温度を前記熱可塑性重合体の融点+20℃以
上にして前記熱可塑性重合体を前記静的混練素子により
分割、回転、合流を複数回繰り返すように混練した後、
前記紡糸口金から吐出し、該吐出糸条に該紡糸口金面の
下方5cm以内の位置で冷却風を接触させて冷却すること
により熱履歴、糸斑の均一な極細繊維にすることを特徴
とするものである。
第1図は、上述のような本発明による溶融紡糸方法を実
施する紡糸口金パックの一例を概略的に示すものであ
り、1は濾過部、2は静的混練素子、3は紡糸口金、14
は冷却風を供給をするチムニーである。
濾過部1は、サンドと呼ばれる細粒状の濾材4を金網あ
るいは金属不織布などのフィルター5で支持し、さらに
多数の平行孔を有する整流板6で支持することにより構
成されている。静的混練素子2は、その周囲に沿って加
熱器7が密接するように設けられている。加熱器7は断
熱材11,12,13によって囲まれ、電熱加熱器によって上記
静的混練素子2を熱可塑性重合体の融点+20℃以上の温
度で加熱するようになっている。このような構成に対
し、図示しない溶融部で溶融された熱可塑性重合体は、
一定量を計量されつつ入口通路9から濾過部1に導かれ
て濾過され、次いで通路10を経て静的混練素子2を通過
し、その際混練と加熱とが行われたのち、紡糸口金3の
多数の細孔8から糸状に吐出される。ここで、熱可塑性
重合体は溶融し、静的混練素子で混練する必要がある。
熱可塑性重合体を固体状態で供給すると、静的混練素子
と紡糸口金の組み合わせ毎に溶融部が必要となり、複雑
で高価な設備となってしまう。したがって、本発明で
は、溶融した熱可塑性重合体の混合操作を行うために静
的混練素子を使用するが、例えば混練操作を動的混練機
で行おうとすると、駆動伝達部分から溶融した熱可塑性
重合体が漏れるのを防止することが困難になる。
また静的混練素子2は紡糸口金3の上流側直前に設ける
必要があり、例えばサンド濾過層のような紡糸原液の通
過時間を長くする部材を設けてはならない。しかし、紡
糸原液の通過時間を短くするための案内部材15や口金の
詰まりを防ぐための平板状フィルター等は設けてもよ
い。このような部材の配置を採用することにより初め
て、静的混練素子により短時間で加熱した紡糸原液を実
質的に熱劣化を起こさない程度に速やかに吐出すること
が可能になるのである。
また、紡糸口金3の下面と上記チムニー14の送風口縁と
の距離lは5cm以内になるように設定されており、それ
によって紡糸口金から吐出された糸条が5cm以内で冷却
風に接触し、冷却固化されるようになっている。
このような本発明に適用される熱可塑性重合体としては
特に限定されないが、好ましくはポリエステル,ポリア
ミド,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,
ポリ塩化ビニリデンなどが使用される。特に、エチレン
テレフタレートを主成分とするポリエステル、すなわち
90%以上をエチレンテレフタレートユニットで構成され
たものであって、必要により10%未満の範囲で他の共重
合成分が共重合されているようなポリエステルが好まし
く使用される。
本発明でいう紡糸口金とは、平板状の金属板に複数の細
孔を穿ったものであり、細孔は上流側の紡糸原液の流入
孔と吐出側の吐出孔から形成されている。吐出孔の形状
は円形,Y形,T形,扁平形,その他の特殊断面形状のいず
れも使用可能である。このような吐出孔の形状は、同一
の紡糸口金内では実質的に同一形状のものを複数個配置
するようにしたものが好ましく用いられる。つだ、紡糸
口金における細孔の配置は、特に限定されるものではな
いが、互いに隣接する細孔間の距離を好ましくは1mm以
上10mm以下、さらに好ましくは1.5mm以上10mm以下に配
置するのがよい。このような配置により、吐出した糸条
間の融着を防ぐと共に、生産性を向上させることができ
る。
本発明において1細孔当たりの吐出量とは、細孔1個か
ら1分間当たりに吐出される紡糸原液の重量を意味し、
かつ一つの紡糸口金に大きさの異なる複数の細孔を設け
たときは、吐出量の最も少ない値のものを採用するもの
とする。本発明では、単糸デニールが0.5デニール以
下、さらに好ましくは0.2デニール以下の極細繊維を得
るようにするため、1細孔当たりの吐出量を0.3g/分以
下にするものである。また、この吐出量の下限値は、吐
出糸条の曳糸性の下限となる0.005g/分が望ましい。
本発明において静的混練素子とは、外部から動的な混合
操作を与えられることなく、通路内に静置された流路変
換素子により、流体を分割,回転,合流させる操作を繰
り返して混練作用を行うようにするものである。
第2図は、このような静的混練素子の一例を示すもの
で、流体を通過させるパイプ20の内部に、右側に捩じら
れた螺旋状の流路変換素子21と左側に捩じられた螺旋状
の流路変換素子22とが交互に、かつ両端のエッジ21a,21
b;22a,22bを互いに直交されるように接続されている。
このように組立てられた静的混練素子の左側に紡糸原液
の流れが流入すると、最初の流路変換素子21の前端のエ
ッジ21aにより、流れはA,B二つに分割され、さらに分割
後の流れのそれぞれが螺旋状の壁面に沿うとき回転を与
えられ、約180度の反転を行って後端のエッジ21bにおい
て再び合流する。すなわち、前端のエッジ21aにおいて
パイプ20の壁面付近(外層)にあった流れは後端のエッ
ジ21bでは中心部(内層)になり、逆に前端のエッジ21a
で中心部にあった流れは後端のエッジ21bではパイプ20
の壁面付近になるように、内外層が入れ換わった状態で
再合流する。
これを断面の変化の状態で表すと、第3図のIのように
なる。この合流直後に、その下流の流路変換素子22の前
端のエッジ22aによって、第3図のI′のようにA,Bの合
面と直交する方向で分割され、この二つの分割流は、そ
れぞれ流路変換素子22の螺旋状壁面に沿うとき回転し、
約180度反転したのち後端のエッジ22bで再合流する。し
たがって、この再合流によって、上記最初のA,Bの部分
は第3図のIIのような縞状に合体した状態になる。次い
で、この流れは、上記同様にその下流の次の流路変換素
子21の前端エッジ21aによって第3図のII′のように分
割され、さらにそれぞれが180度反転して後端のエッジ2
1bで再合流すると、第3図のIIIのようになる。
このような分割,回転,合流を何段も繰り返すことによ
って、流れの分割数は指数関数的に増加していき、その
混練度を高めていく。このときの総分割数をSとし、か
つ段数をnとすると、S=2nで表すことができる。上述
の例は、1段当たりの分割数を2とするものであるが、
これを4分割や6分割にするものであってもよい。この
ような場合には、段数nによる総分割数Sは、前者の4
分割ではS=4nであり、また後者の6分割ではS=6n
なる。例えば、1段当たり4分割の素子を使用した場
合、5段の組合わせで45=1024分割となる。
上述のような作用を有する静的混練素子は、種々のもの
が市販されており、例えばケニックス社製「スタティッ
クミキサー」,桜製作所製「スケアミキサー」,プラコ
ー社製「ISGミキサー」,スルザーブラザース社製「ス
ルザータイプ」,巽工業社製「ハニカムミキサー」,東
レ社製「ハイミキサー」などがある。これらいずれのも
のも本発明に適用可能である。
本発明の静的混練素子は、上述したように加熱器との併
用設置によっで通常の混練の目的だけでなく、紡糸原液
に対する加熱器の熱交換効率を向上させる作用を行うよ
うにしている。したがって、静的混練素子の入口から出
口までの総分割数は、加熱器の熱交換効率を支配する重
要な要因になっている。この意味で、本発明の静的混練
素子による総分割数は、1024以上にすることが好まし
い。
加熱器は静的混練素子を通過する紡糸原液を加熱するも
のであるから、この静的混練素子に密接して設置する必
要がある。ここでいう密接とは、加熱器に静的混練素子
を完全に組込んで一体化している状態、あるいは完全一
体でないときはクリアランスが5mm以内の非常に近接し
た状態をいう。後者の場合は、第1図のように、紡糸口
金パック内に加熱器および静的混練素子を組込んだ場
合、紡糸口金パックを紡糸機から取外したとき各部品を
解体洗浄する必要があるため、メンテナンス上から若干
のクリアランスが必要になるが、その許容範囲として5m
m以内にするということである。これに対し、静的混練
素子を紡糸機に直接組込む場合には、加熱器になる紡糸
機と静的混練素子とが一体になることが好ましい。
本発明において、加熱器は静的混練素子の長さ方向にす
べてにわたって密接する必要はなく、一部分に沿うよう
なものであってもよい。このような部分密接の場合であ
っても、加熱器は総分割数1024以上にする長さの素子に
対して密接するようにすることが好ましい。
また、加熱器は電気エネルギーをジュール熱に直接交換
する電熱式加熱器、例えば、アルミや真鍮などの鋳込み
ヒーター,バンドヒーター,リボンヒーターなど、熱媒
を循環させる加熱器、熱媒を封じ込めた加熱器あるいは
誘導加熱方式による加熱器などいずれも好ましく使用す
ることができる。また、この加熱器には、熱効率の点か
ら、第1図のように周囲を断熱材11,12,13によって囲む
ようにするとよい。
本発明の溶融紡糸方法では、上記加熱器の温度を熱可塑
性重合体の融点+20℃以上とする必要があり、また熱可
塑性重合体の融点+200℃以下とすることが熱劣化防止
の面から好ましい。この下限温度より低い場合は、紡糸
口金の温度が冷却雰囲気への放熱により過剰に冷やされ
るため、紡糸口金直前で紡糸原液を昇温しても、細孔の
詰まりや糸切れを引起こすようになる。より好ましく
は、この加熱器の温度としては熱可塑性重合体の融点+
30℃以上、+200℃以下であり、さらに好ましくは熱可
塑性重合体の融点+50℃以上、+120℃以下を採用する
のがよい。
また、本発明では、紡糸口金から紡糸原液が吐出後5cm
以内で冷却風の吹出しを開始するようにすることが必要
である。このように紡糸口金から吐出後5cm以内で冷却
風の吹出しがないと、1細孔当たりの吐出量を0.3g/分
以下にするような極細繊維の溶融紡糸の場合には冷却能
力が不足し、それによって繊維の太さ斑を大きくした
り、或いは紡糸糸切れを頻発するなどするようになる。
冷却風の吹出し装置は、冷却風を一方向に吹き出すも
の、対向する二方向から吹き出すもの、糸条が通過する
周囲を環状に囲み、内側に向かって吹き出すもの、糸条
中央部に存在し、外周方向に向かって吹き出すものな
ど、いずれも好ましく使用できる。冷却風の吹出し面
は、ハニカム状の整流板、金網、多孔質金属体など、い
ずれも好ましく使用することができる。冷却風の吹出し
方向は、糸条に対し直交する方向、糸条に平行または斜
めに沿って上流側に向かう方向が好ましく適用される。
冷却風は紡糸対象の熱可塑性重合体に対して不活性であ
る空気、水蒸気、チッ素などが適用でき、特に空気が好
ましく用いられる。冷却風の温度は、その目的からして
熱可塑性重合体の融点よりも低くなければならないが、
零下60℃以上、熱可塑性重合体の融点−100℃以下が好
ましく用いられる。さらに好ましくは、0℃以上40℃以
下が特に好ましい。また、冷却風の風速は、冷却風吹出
し面で測定して0.1m/分以上30m/分以下が好ましく、よ
り好ましくは0.3m/分以上15m/分以下とするのがよい。
上述した本発明の溶融紡糸方法では、静的混練素子に沿
って加熱器を密接して設けるため、静的混練素子内を通
る紡糸原液の外周部が加熱される一方で、紡糸原液は静
的混練素子を通過するとき分割,回転、合流を行って内
外層の入れ換わりを繰り返す。そのため、熱可塑性重合
体の融点+20℃以上に加熱された上記加熱器から与えら
れる熱は、紡糸原液の全体に均等に分布させられ、熱履
歴の均一な状態にすることができ、かつ熱交換を非常に
効率的に行うことができる。また、このような効率的な
熱交換によって、紡糸原液は短時間のうちに高温かつ均
一に加熱され、また加熱された紡糸原液を速やかに吐出
することができるため、高温長時間の滞留が無く均一で
実質的に熱劣化のない紡糸原液を紡糸口金に供給するこ
とができる。さらに極細繊維の紡糸には、冷却を強化し
た雰囲気に吐出する必要があるが、紡糸口金面の下方5c
m以内の位置から冷却風を吹き出しても、上記加熱され
た紡糸原液により紡糸口金が冷却されることがないので
安定した状態で製糸することが可能となり、強度や糸斑
に優れた極めて均質で高品位な極細繊維を得ることがで
きる。
したがってまた、このようにして得られた高品位の極細
繊維は、合成皮革、高密度織物、高級起毛布帛などの用
途に高い品質を与えることができる。
〔実施例、比較例〕
以下に実施例および比較例を説明するが、ここで評価に
使用した物性値は次のようにして測定されたものであ
る。
強度:東洋ボールドウィン社製テンシロン引張試験機を
用いて、試料長200mm,引張速度100mm/分,チャート速度
200mm/分で荷重伸長曲線を求めて、糸が破断する力を測
定し、この力を繊度で除した値を強度とした。
糸斑:ツェルベーガー社製ウスター斑試験機により、糸
速25m/分、レンジ±12.5%,チャート速度5cm/分とし、
繊維軸方向の太さ斑を3分間測定したU%値を糸斑とし
た。
実施例1 オルソクロロフェノール25℃で測定した極限粘度0.64,
融点265℃で、酸化チタン0.5重量%を含有したポリエチ
レンテレフタレートチップを、280℃に制御された熱板
を有するプレッシャーメルター型紡糸機により溶融し、
同じく280℃に制御された紡糸機内の配管を通過させ、
計量ポンプによる1細孔当たりの吐出量および加熱器に
よる温度をそれぞれ第1表のNo.1〜9に示すような水準
に設定して、第1図に示すような紡糸口金パックに供給
し、濾過部では濾層4および絶対濾過径15μの金属不織
布フィルター5により濾過し、さらに4分割×10段の静
的混練素子2により約100万に分割しつつ、真鍮製鋳込
み加熱器7により加熱して紡糸口金3から吐出した。
紡糸口金の細孔は孔数144、最小孔間隔4.0mmで、吐出孔
の大きさを孔径0.1mm、孔深度0.2mmにした。また、冷却
風は紡糸口金から2〜7cmの間で一方向から糸条に直交
するように風速9m/分、風温20℃で吹出した。吐出糸条
を冷却した後、給油ガイドを用いて紡糸口金下70cmで糸
条を集束し、ゴデーローラにより紡糸速度1350m/分で引
き取り、引き続いて張力0.1g/dで巻き取った。
その結果、No.1〜9の各水準につき、それぞれ第1表に
示すような紡糸口金下面の温度、紡糸調子、強度、糸斑
の結果を得た。
第1表から明らかなように、No.6は加熱器の温度が融点
+20℃より低いため紡糸調子が不良であったが、他は問
題なく、特に加熱器の温度を融点+50℃以上,+120℃
以下にしたものが良好であった。
また、No.6を除く他の紡出糸条を延伸することにより、
いずれもが単糸デニール0.5以下の極細糸条を得ること
ができた。特にNo.5からは単糸デニールが0.15デニール
の超極細延伸糸を得ることができた。
実施例2 冷却風の吹出し位置を第2表のNo.10〜12の3水準に変
えた以外は、実施例1のNo.3と同一条件で紡糸した。ま
た、吹出し位置までは保温筒を設けた。
その結果、それぞれの水準について紡糸口金下面の温
度、紡糸調子、強度、糸斑につき第2表のような結果を
得た。
第2表から明らかなように、No.11の冷却風吹出し開始
位置が紡糸口金下5cm以内にない本発明の条件から外れ
る場合は、紡糸調子が不良となった。しかし、本発明の
条件範囲のNo.10,12のものは紡糸調子が良好であり、強
度、糸斑も良好であった。
比較例 実施例1における静的混練素子および加熱器を設けない
従来の紡糸口金パックを使用し、実施例1と同一のポリ
エチレンテレフタレートチップを305℃に制御された紡
糸機内で溶融計量し、1細孔当たり吐出量0.1g/分で吐
出し、実施例1と同一の冷却条件、引取り条件で巻き取
った。
その結果、紡糸口金下面の温度は268℃であり、糸切れ
が頻発した。また、得られた糸条は強度1.2g/d,糸斑1.8
%であり、品質が非常に劣るものであった。
実施例3 熱可塑性重合体として、常法により水分率を調整しつつ
乾燥した相対粘度2.6のナイロン66チップ(融点265℃)
を用い、実施例1のNo.3と同じ条件で紡糸し、900m/分
で引き取った。
その結果、紡糸口金下面の温度290℃、紡糸調子は良好
であり、強度1.7g/d,糸斑0.9%の良好な物性の未延伸糸
を得た。
実施例4 熱可塑性重合体として、相対粘度2.6のナイロン6チッ
プ(融点220℃)を用い、熱板温度,紡糸温度を240℃と
し、加熱器の温度を300℃とした以外は実施例1のNo.3
と同じ条件で紡糸し、900m/分で引き取った。
その結果、紡糸口金下面の温度254℃、紡糸調子は良好
であり、強度1.8g/d、糸斑0.8%の良好な物性の未延伸
糸を得た。
〔発明の効果〕 本発明は、上述のように静的混練素子に沿って密接する
ように加熱器を設け、紡糸原液の内外層を微細に入れ換
え、混練させた状態で加熱するので、熱履歴の均一な高
温状態にして紡糸することができ、極細繊維紡糸のため
に冷却強化されている雰囲気に吐出しても紡糸調子を良
好にし、強度が高く糸斑のない均一で高品位の糸条を得
ることができる。
また、複合繊維をベースとする方法のように複雑な後処
理が不要であるため、低コストでの製造を可能にする。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施する紡糸口金パックの一例を示す
概略断面図、第2図は同溶融紡糸に適用する静的混練素
子の一例を概略的に示す斜視図、第3図は同静的混練素
子の作用を説明する説明図である。 1……濾過部、2……静的混練素子、3……紡糸口金、
7……加熱器、14……チムニー(冷却風吹出し装置)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融した熱可塑性重合体を複数の細孔をも
    つ紡糸口金から1細孔当たり0.3g/分以下の吐出量で吐
    出し、単糸デニールが0.5デニール以下の極細繊維を溶
    融紡糸するに際し、 前記紡糸口金の上流側直前に静的混練素子を設けると共
    に、該静的混練素子に沿って密接する加熱器を設け、該
    加熱器の加熱温度を前記熱可塑性重合体の融点+20℃以
    上にして前記熱可塑性重合体を前記静的混練素子により
    分割、回転、合流を複数回繰り返すように混練した後、
    前記紡糸口金から吐出し、該吐出糸条に該紡糸口金面の
    下方5cm以内の位置で冷却風を接触させて冷却すること
    により熱履歴、糸斑の均一な極細繊維にすることを特徴
    とする極細合成繊維の溶融紡糸方法。
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