JP2021142621A - 液圧式打撃装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空打防止機構を選択可能な液圧式打撃装置において作業性の改善、安定性の向上、および再始動が容易な液圧式打撃装置を提供する。【解決手段】この液圧式打撃装置は、低圧ポート109が、ピストン120を前進行程から後退行程へと切換える際に、ピストン120の大径部121、122の軸方向中央に設けられた円環溝125によって第1制御弁連通ポート106と低圧回路111とを接続する位置に開口する第1低圧ポート107と、第1低圧ポート107よりも軸方向後方であってピストン120が前死点まで前進した状態でピストン120の大径部121、122によってピストン後室102とは遮断される位置に開口する第2低圧ポート108と、で構成するとともに、第二低圧ポート108の通過流量を、第一低圧ポート107の通過流量よりも小さく調整する絞り131が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、さく岩機やブレーカ等の液圧式打撃装置に係り、特に、ピストンが所定の打撃位置を超えて前進したときにその作動を停止する空打防止機構を備えた液圧式打撃装置に関する。
この種の液圧式打撃装置は、ピストンがロッドを打撃しその衝撃エネルギーを破砕対象へと伝えてを破砕する。そして液圧式打撃装置では、一般的に、地山掘削作業においては打撃による破砕は連続的に行われるのに対し、小割作業においては打撃によって破砕対象物が破砕されると、瞬間的にロッドと破砕対象物との密着が不十分な状態でピストンがロッドを打撃する「空打」が発生する。
空打はロッドや液圧式打撃装置本体に掛かる負荷が大きいので空打時の衝撃から液圧式打撃装置を保護することを目的として、所謂「空打防止機構」(「オートストップ機構」ともいう)が種々提案されている。空打防止機構は、空打状態ではロッドが正規の打撃位置を超えて前進しているので、ピストンが正規の打撃位置よりも所定距離前進すると液圧式打撃装置の作動を強制的に停止するというものである。
本出願人は、空打防止機構を備えた液圧式打撃装置として、図5に示す技術を提案している。すなわち、シリンダ100内に、バルブ201の前後進切換えを行うバルブ制御ポート220にバルブ制御通路114、226で接続される第一制御弁連通ポート106を、ピストン120が後退したときピストン前室101を介して高圧回路110と連通する位置に設け、第一制御弁連通ポート106の後方に低圧回路111と連通する低圧ポート119を設け、第一制御弁連通ポート106の前方に第二制御弁連通ポート105を設け、ピストン120が前進したとき打撃位置の手前で第一制御弁連通ポート106と低圧ポート119とを連通させ且つピストン120が打撃位置を越えて更に所定距離前進したときに第一制御弁連通ポート106と第二制御弁連通ポート105とを連通させる円環溝125をピストンの大径部121、122の外周に設け、第二制御弁連通ポート105を第二制御弁300を介して高圧通路314とストローク調整通路315とに選択的に連通可能に接続するというものである(特許文献1)。
図5の基本的な構成は前室常時高圧接続−後室高低圧切換式の液圧式打撃装置であり、その作動機序についての説明は省略する。
第二制御弁300には、ストローク調整スプール310と空打防止スプール320を選択的に装着するようになっており、ストローク調整スプール310を装着すると空打を許容し、空打防止スプール320を装着すると空打を防止する。
第二制御弁300にストローク調整スプール310を装着した状態でプランジャ305を操作すると、第二制御弁連通ポート105〜第二制御弁連通路115〜シリンダ連通ポート307〜テーパ部312〜ストローク調整ポート308〜ストローク調整通路315からなる経路(以下、「ストローク調整経路」という)の通過流量をゼロから上限値まで無段階で調整可能である。
これにより、ピストン120を後退行程から前進行程へと切り換えるタイミングを変更して打撃サイクルをロングストロークからショートストロークへと変化させることが可能である。このように第二制御弁300は周知のストローク調整機構として機能し、以下この作動状態を「ストローク調整モード」という。
第二制御弁300'に空打防止スプール320を装着すると、第二制御弁連通ポート105は、第二制御弁連通路115〜シリンダ連通ポート307〜高圧ポート306〜高圧通路314からなる経路(以下、「空打防止経路」という)を介して常時高圧回路110に接続される。ピストン120が打撃位置を超えてさらに所定距離前進したとき第二制御弁連通ポート105は第一制御弁連通ポート106と連通する。
これにより、第一制御弁連通ポート106は高圧接続され、バルブ制御通路114、226を経てバルブ制御ポート220が高圧接続されるのでバルブ201は前端位置へと切換えられる。
したがって、ピストン後室102は後室ポート104〜後室通路113〜後室ポート222〜中空通路228〜前室通路223を経て高圧回路110に接続されピストン120には前方へと付勢されて前死点で停止する。このように第二制御弁300'は空打防止機構として機能し、以下この作動状態を「空打防止モード」という。
特開平10−80878号公報 特開2017−226065号公報
本出願人は、この液圧式打撃装置を油圧ブレーカに適用する場合においては、破砕作業を開始する際の始動性の改善と、空打防止機構の安定性を向上させる必要があることを見出した。
油圧ブレーカはさく岩機(ブラストホールドリル)と比較すると、バルブ201とピストン120の質量の差が大きくそれぞれを駆動するための消費油量の差も大きいという特徴がある。そして、ピストン120の大径部121,122はシリンダ100の内径にメタル接触によって摺嵌されており、油切れや熱膨張による摺動性の悪化を防止するためにこの部分のクリアランスは大きく設定されている。したがって、ピストン大径部121、122で発生する圧油のリーク量は増大し、これがバルブ201の作動に影響を及ぼすことがある。
この液圧式打撃装置の第一制御弁200はバルブ201の動作方向がピストン120の動作方向と対向する関係にある所謂「逆作動式」の制御弁であり、作業終了時のバルブ201の停止位置は図5に示す通り後端位置である。
油圧ブレーカの作業姿勢は基本的に下向きであり、この姿勢ではバルブ201に軸方向に重力が作用するので、作業終了時の停止位置が後端位置であっても、作業開始にあたって油圧ブレーカを作業姿勢に変更するとバルブ201は正規の停止位置とは異なる前端位置へと移動する場合がある。なお、ピストン120に関してはバックヘッド400に封入されたバックヘッドガスGのガス圧によって常時前方へと付勢されるので停止状態ではその姿勢によらず常に前死点にある。
例えば、図5の液圧式打撃装置であって第二制御弁300にストローク調整スプール310を装着したストローク調整モード(図5(a))、すなわち空打可能な設定において作業を開始する場合を説明する。
作業終了時には、バルブ201はバルブ制御ポート220が低圧接続されており後端位置に停止しているが、上述の通り、作業開始時に油圧ブレーカを作業姿勢に変更するとバルブ201が前端位置へと移動する場合がある。
この状態で高圧回路110にポンプPから圧油が供給されると、バルブ201が後端位置へと移動を完了する前にピストン後室102が高圧接続される場合がある。ピストン後室102に供給された圧油は、その一部が後側大径部122とシリンダ100とのクリアランス(以下、「大径クリアランス」という)からリークして前方へと流出する。
流出したリーク油の大半は、低圧ポート119から低圧回路111へと流れるが、油温が高いときは流出の勢いが強くなるので第一制御弁連通ポート106に到達する。そしてリーク油は、第一制御弁連通ポート106からバルブ制御ポート220へと供給されバルブ201が前端位置へと移動して、ピストン後室102の高圧接続が維持されてピストン120は前死点で停止し続けるので、空打防止機構が作動したような状態となる。
液圧式打撃装置はストローク調整モードで作動する場合は空打状態を許容するが、上述のように作動開始時のリーク油の環流によって空打防止機構が作動したような状態となると、作業者が意図しない作動状況が発現することになるので作業性が悪化する。
また、図5(a)に示すストローク調整モードの液圧式打撃装置においては、作動停止時にはバルブ制御ポート220〜バルブ制御通路226、114〜第一制御弁連通ポート106は閉回路を形成しており、この閉回路に残圧が存在する場合がある。
この状態で液圧式打撃機構の作業を開始すると閉回路内の残圧は、通常であればバルブ201の前進動作に伴い大径クリアランスから低圧ポートへと押し出されるようにリークして第一制御弁200の作動に支障は来さない。このように大径クリアランスは「付帯的残圧解放機構」として作用する。
しかしながら、作動圧が充分に昇圧されない場合や油温が低く流動性が悪い場合は、付帯的残圧解放機構が機能せずに閉回路内の残圧は解放されないため、第一制御弁200が正常に作動せず液圧式打撃装置の作動が不安定となる。
この液圧式打撃装置の作動不安定を確実に解消するために、第一制御弁連通ポート106と低圧ポート119をドレン流量で連通して閉回路内の残圧を開放するドレン溝を後側大径部122に設ける溝付ピストン(図示略、例えば特許文献2参照)が広く用いられる。このドレン溝は「残圧解放機構」として作用する。
残圧解放機構により液圧式打撃装置は、作業開始時における作動不良はより確実に改善される一方で、前述したピストン後室102側からバルブ制御ポート220へのリーク油の環流がより顕著となる傾向にあることから作業者が意図しない作動状況が発現し易くなるので作業性が悪化する。
一方で、図5の液圧式打撃装置であって第二制御弁300'に空打防止スプール320を装着した空打防止モード(図5(b))での作業開始時には、バルブ201、ピストン120ともに空打防止機構が作動した後の所定の挙動となるので作業性に違和感はない。
しかしながら、液圧式打撃装置に溝付ピストンを摺嵌した場合は、空打防止機構が作動する際に第二制御弁連通ポート105側から第一制御弁連通ポート106へと供給される圧油の一部がバルブ制御ポート220へと流れずにドレン溝を通過して低圧ポート119へと流出するため空打防止機構の作動が不安定になる場合もある。
ところで、空打防止機構が作動した後の再始動は、ロッド501を押し込んでピストン120を後退させることによって行うが、このときピストン120にはピストン前室101とピストン後室102の受圧面積差によって発生する圧油の付勢力とバックヘッド400に封入されたバックヘッドガスGのガス圧による付勢力が合算された推力Fが作用しており、再始動時の大きな反力となっているので再始動性に改善の余地がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、空打防止機構を選択可能な液圧式打撃装置において、作業性の改善、安定性の向上および再始動が容易な液圧式打撃装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置は、シリンダと、該シリンダに前後進可能に摺嵌されて、軸方向中央に円環溝が設けられた大径部、大径部前方の中径部および大径部後方の小径部を有するピストンと、を備え、前記シリンダには、前記ピストンの前記大径部によってピストン前室とピストン後室が画成されるとともに、前記ピストン前室と前記ピストン後室との間に前方から後方に向けて、第二制御弁連通ポート、第一制御弁連通ポートおよび低圧ポートがこの順に設けられた液圧式打撃装置であって、前記ピストンの前後進動作を制御する第一制御弁と、前記ピストンのストロークをロングストロークとショートストロークとの間で調整するストローク調整機構と、前記ピストンが打撃位置を超えて所定距離だけ前進すると前記ピストン後室を高圧回路に接続して前記ピストンの作動を停止させる空打防止機構と、前記ストローク調整機構および前記空打防止機構のいずれか一方のモードを選択する第二制御弁と、を備え、前記低圧ポートは、前記ピストンを前進行程から後退行程へと切換える際に、前記ピストンの前記大径部の軸方向中央に設けられた前記円環溝によって前記第一制御弁連通ポートと低圧回路とを接続する位置に開口する第一低圧ポートと、該第一低圧ポートよりも軸方向後方であって前記ピストンが前死点まで前進した状態で前記円環溝よりも後ろ側の前記大径部によって前記ピストン後室とは遮断される位置に開口する第二低圧ポートと、で構成され、前記第二低圧ポートの通過流量を、前記第一低圧ポートの通過流量よりも小さく調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る液圧式打撃装置によれば、第二制御弁によってストローク調整モードに切換えて作業する際に、作業開始時に第一制御弁のバルブが、重力が作用するなどして正規の停止位置に維持されずにピストン後室が高圧接続されて所謂空打防止状態となっても、ピストン後室から大径クリアランスを通過して前方へと向かう圧油の流れは第二低圧ポートから低圧回路へと流出するので、第一制御弁のバルブ制御ポートへと環流することはない。このように第二低圧ポートは「環流防止機構」として作用する。
バルブ制御ポートへ圧油が供給されなければ、バルブは正規の停止位置へと復帰するので、程なく空打防止状態は解消されて、ピストン後室は低圧接続されてピストンは後退動作へと移行する。したがって、本来、空打を許容するストローク調整モードを選択しているにもかかわらず、始動時に空打防止状態となる不具合が発生することを防止できる。
ここで、第一低圧ポートの通過流量と第二低圧ポートの通過流量の関係について考察する。
液圧式打撃装置がストローク調整モードに設定され作業を開始する場合において、第一低圧ポートは、バルブ制御ポート〜バルブ制御通路〜第一制御弁連通ポートが形成する閉回路内の残圧を解放する付帯的残圧解放機構に関与しているのに対し、第二低圧ポートは、前述した通り環流防止機構として機能する。
これら付帯的残圧解放機構と環流防止機構は両立しなければならない。しかし、第二低圧ポートを通過する圧油の流量が過多であると、第一低圧ポートが第二低圧ポートと合流する箇所において一時的な昇圧状態が出現し、第一低圧ポートから低圧ポートへと向かうドレン流が阻止され付帯的残圧解放機構が作用しない場合がある。
これに対し、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置では、第二低圧ポートの通過流量を第一低圧ポートの通過流量よりも小さく調整する流量調整手段を備えているので、第一低圧ポートが第二低圧ポートと合流する箇所での一時的な昇圧状態を回避し、付帯的残圧解放機構と環流防止機構を両立させることが可能である。
このように、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置によれば、始動時の作動の安定性を向上させながらも、本来、空打を許容するストローク調整モードを選択しているにもかかわらず、始動時に空打防止状態となる不具合を防止できる。
本発明の一態様に係る液圧式打撃装置において、前記流量調整手段は、前記第一低圧ポートの通過流量を調整する第一流量調整手段と、前記第二低圧ポートの通過流量を調整する第二流量調整手段と、で構成されていることは好ましい。
ここで、大径クリアランスのクリアランス量について考察する。
大径クリアランスのクリアランス量は、前述した通り、一義的には、通常の打撃サイクルにおいて相反する関係にあるカジリ防止と油圧効率低下という課題をバランスさせるように適宜設定されている。
さらに、大径クリアランスにおいては、付帯的残圧解放機構として前方から後方へ向かい第一低圧ポートを経て低圧ポートへと至る圧油の流れと、環流防止機構として後方から前方へと向かい第二低圧ポートを経て低圧ポートへと至る圧油の流れが混在する場合があり、この二つの圧油の流れも相反する関係にある。
このように、それぞれが相反する課題や機能を全て満足させるためには、制御パラメータ毎に調整手段を備えることが好ましい。そこで、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置では、カジリ防止と油圧効率の低下は大径クリアランス、付帯的残圧解放機構は第一流量調整手段、および、環流防止機構は第二流量調整手段によって調整することで、それぞれ最適な状態で作動させることが可能である。
なお、そもそもクリアランス量は、大物部材であるピストンの外径加工とシリンダの内径加工とによって定まるのであって、リーク流量の微調整のような繊細な制御には不向きな箇所といえる。
また、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置において、前記ピストンが前死点で停止したときに、前記第一制御弁連通ポートと前記第一低圧ポートとを第一ドレン流量で連通する第一連通手段を、前記ピストンの後側大径部の外周面に設けることができる。
このような構成であれば、第一連通手段は、ストローク調整モードにおける始動時に、第一制御弁連通ポートと第一低圧ポートをドレン流量で連通することでバルブ制御ポート〜バルブ制御通路〜第一制御弁連通ポートが形成する閉回路内の残圧を解放してバルブの作動をより確実に安定させる。このように、第一連通手段は、前述した付帯的残圧解放機構をより効果的に発揮させるものであって「残圧解放機構」として作用する。
したがって、このような構成の、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置によれば、第二制御弁によってストローク調整モードに切換えて作業する際に、作業開始時に残圧解放機構と環流防止機構を高いレベルで両立することが可能である。
一方で、第二制御弁によって空打防止モードに切換えて作業する際に、空打防止機構が作動する局面において、この第一連通手段は、空打防止経路からバルブ制御ポートへと供給されるはずの圧油が第一低圧ポートから低圧回路へ流出する経路となり、ドレン流量が過多となると空打防止機構の作動が不安定となる場合がある。
すなわち、第一連通手段のドレン流量は、ストローク調整モードでは多く設定することが好ましく、空打防止モードでは少なく設定することが好ましいことから、両モードでは相反する関係にありドレン流量の設定はクリティカルなものとなる。
そこで有効となるのが、第一低圧ポートの通過流量を調整する第一流量調整手段である。
第一流量調整手段は、第二流量調整手段と協同して第二低圧ポートの通過流量を第一低圧ポートの通過流量よりも小さく調整するものであるが、第一低圧ポートの通過流量を最適に調整することも可能である。
よって、このような構成であれば、第二制御弁によってストローク調整モードに切換えて作業する際に、作業開始時に残圧解放機構と環流防止機構を高いレベルで両立することが可能であるとともに、第二制御弁によって空打防止モードに切換えて作業する際に、空打防止機構が作動する局面において作動が安定する。
また、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置において、前記第一連通手段は、前記ピストンの後側大径部(前記円環溝よりも後ろ側の前記大径部)の前端に前縁部を残して形成された円環溝とすることができる。
つまり、ピストンの大径部は、通常の打撃サイクルにおいてはピストン前室と後室とを画成し、バルブ制御通路の圧油給排を切換えるところ、これは、大径クリアランスに備わるシール機能が転嫁してもたらされる作用効果といえる。
これに対し、このような前縁部を後側大径部に設ければ、ストローク調整モードと空打防止モードの両モードにおける通常の打撃サイクルでは、ピストンの後側大径部のシール機能を担保して、空打防止モードにおける空打防止機構の作動する直前までシール機能を維持するので、油圧効率の低下を抑制するとともに空打防止機構の作動するピストン前進位置を安定させる上で好適である。
また、本発明の一態様に係る液圧式打撃装置において、前記ピストンが前死点で停止したときに、前記ピストン後室と前記第二低圧ポートとを第二ドレン流量で連通する第二連通手段が、前記ピストンの後側大径部の外周面およびシリンダ内周面の少なくとも一方に設けることができる。
つまり、空打防止モードに設定された場合で、空打防止機構が作動した後の再始動は、ロッドを押込んでピストンを後退させることによって行う。このとき、ピストンには、ピストン前室とピストン後室との受圧面積差によって発生する圧油の付勢力とバックヘッドのガス圧による付勢力とが合算された推力が作用しており、再始動の大きな反力となっていたのに対し、第二低圧ポートと第二連通手段とをドレン流量で連通させると、液圧式打撃装置全体のシステム圧を低下させて再始動時の反力を低減し、空打防止機構作動からの再始動性を良好とする上でより好適である。このように、第二連通手段は「再始動性改善機構」として作用する。
上述のように、本発明によれば、空打防止機構を選択可能な液圧式打撃装置において、作業性の改善、安定性の向上、および再始動が容易な液圧式打撃装置を提供できる。
本発明の一態様に係る液圧式打撃装置の一実施形態の縦断面図であって、同図では、ストローク調整モードに設定された状態を示している。 本発明の他の実施形態に係る液圧式打撃装置の縦断面図であって、同図では、第一連通手段と第二連通手段を備え、ストローク調整モードに設定された状態を示している。 本発明の他の実施形態に係る液圧式打撃装置の縦断面図であって、同図では、第一連通手段と第二連通手段を備え、空打防止モードに設定された状態を示している。 本発明の他の実施形態に係る液圧式打撃装置における第二制御弁の部分の縦断面図であって、同図では、第二制御弁に、空打防止部とストローク調整部を備えた共通スプールが装填された状態を示している。 従来の液圧式打撃装置の一例を示す縦断面図であって、同図中、(a)はストローク調整モードを、(b)は空打防止モードを示している。
以下、本発明の第一の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
この液圧式打撃装置は、図1に示すように、シリンダ100およびピストン120を備えるとともに、第一制御弁200と第二制御弁300とがシリンダ100とは別体に設けられている。第一制御弁200の内部には、バルブ201が摺嵌されており、第二制御弁300の内部には、ストローク調整スプール310が摺嵌されている。
シリンダ100の後部にはバックヘッド400が装着されている。バックヘッド400には高圧のバックヘッドガスGが封入されている。また、シリンダ100の前部にはフロントヘッド500が装着されている。フロントヘッド500の内部にはロッド501が摺嵌されている。
ピストン120は、中実の円筒体であり、その略中央に2つの大径部として、前側大径部121および後側大径部122を有する。前側大径部121の前方には中径部123が設けられ、後側大径部122の後方には小径部124が設けられ、前側大径部121と後側大径部122との間には円環溝125が設けられている。
このピストン120が、シリンダ100の内部に摺嵌されることで、シリンダ100内の前後に、ピストン前室101とピストン後室102とがそれぞれ画成されている。ピストン前室101には、前室ポート103が設けられ、前室ポート103は、前室通路112を介して高圧回路110に常時接続されている。
ピストン後室102には、後室ポート104が設けられている。後室ポート104と第一制御弁200は、後室通路113によって接続されている。ピストン後室102は、第一制御弁200のバルブ201による前後進切換えによって、高圧回路110と低圧回路111とにそれぞれ交互に連通可能になっている。なお、高圧回路110の適所には、アキュムレータ(不図示)が設けられている。
中径部123の外径は、小径部124の外径よりも大きく設定されている。これにより、ピストン前室101およびピストン後室102におけるピストン120の受圧面積、すなわち、前側大径部121と中径部123の径差、および後側大径部122と小径部124の径差はピストン後室102側の方が大きくなっている。
これにより、ピストン後室102がバルブ201の作動により高圧接続されると受圧面積差によってピストン120が前進し、ピストン後室102がバルブ201の作動により低圧接続されるとピストン120が後退するようになっている。
シリンダ100には、前室ポート103と後室ポート104との間に前方から後方へ向けて順に、第二制御弁連通ポート105、第一制御弁連通ポート106、および低圧ポート109が、軸方向に互いに離隔した位置に設けられている。低圧ポート109は前方の第一低圧ポート107と後方の第二低圧ポート108とで構成されている。
第一低圧ポート107には第一低圧通路117が接続され、第二低圧ポート108は第二低圧通路118が接続され、第一低圧通路117および第二低圧通路118は低圧通路116に合流して低圧回路111に接続されている。そして第二低圧通路118には絞り130が設けられている。
第一制御弁200は、ピストン120と非同軸に形成されたバルブ室212が内部に形成され、このバルブ室212にバルブ201が摺嵌されている。バルブ室212は、前方から後方へ向けて順に、中径のバルブ前室213、大径のバルブ主室214、および小径のバルブ後室215を有する。バルブ前室213には、高圧回路110と常時連通する前室通路223が接続されている。
バルブ主室214には、前方から後方へ向けて順に、前側低圧ポート218およびバルブ制御ポート220が設けられ、バルブ後室215には後側低圧ポート221および後室ポート222が設けられている。前側低圧ポート218は、前側低圧通路224を介して低圧回路111に常時連通し、後側低圧ポート221は後側低圧通路227を介して低圧回路111に常時連通している。バルブ制御ポート220と第一制御弁連通ポート106は、バルブ制御通路114、226を介して連通している。後室ポート222と後室ポート104は、後室通路113を介して連通している。
バルブ201は、中空の円筒体であり、前方から後方へ向けて順に、中径部202、大径部203および小径部204を有する。円筒内部の中空通路228が前室通路223を介して高圧回路110と常時連通している。バルブ201には、小径部204の略中央の外周面に、ピストン後室102を高圧と低圧に切り替えるための排油溝205が円環状に設けられている。
バルブ201は、中径部202と小径部204の受圧面積差により常時後方へと付勢されており、バルブ制御ポート220に高圧油が供給されると、大径部203の後側段付面209の受圧面積が加算されて前方へと移動するようになっている。
バルブ201が後端位置、すなわち、後端面207が弁室後端面217に当接した場合には、後室ポート222は、排油溝205によって後側低圧ポート221および後側低圧通路227を介して低圧回路111に連通するので、ピストン後室102は低圧接続される。
一方、バルブ201が前端位置、すなわち、前端面206が弁室前端面216に当接した場合には、後室ポート222は、後側低圧ポート221との連通が遮断されるとともに、後端面207と弁室後端面217との間、および中空通路228を介して高圧接続されたバルブ室212と連通するので、ピストン後室102が高圧接続されるようになっている。
第二制御弁300は、略直方体状のハウジング301内に、スリーブ302が装填されており、その内径によってスプール室302aが形成されている。スリーブ302は、ハウジング301の上部開口に螺着されるプラグ303を締め込むことによって、軸方向の位置が固定されている。
スプール室302aにストローク調整スプール310がスライド移動可能に摺嵌されており、すなわち、図1に示す液圧式打撃装置はストローク調整モードで作動する。
ストローク調整スプール310は、中実の円筒体であり上側大径部311、上方から下方へ向けて縮径するテーパ部312および下側大径部313を有する。ストローク調整スプール310の上方にはプランジャ305がプラグ303に螺着され、プランジャ305はロックナット304によってその締め込み位置を維持して固定される。
ストローク調整スプール310の下方には図示しない付勢手段が備えられており、プランジャ305の締め込み位置を変化させるとストローク調整スプール310はスプール室302a内で図中上下方向に移動して保持される。
ハウジング301には上方から下方へ向けて順に高圧ポート306、シリンダ連通ポート307およびストローク調整ポート308がそれぞれ離隔して設けられている。高圧ポート306は高圧通路314を介して高圧回路110と連通しており、シリンダ連通ポート307は第二制御弁連通路115を介して第二制御弁連通ポート105と連通しており、ストローク調整ポート308はストローク調整通路315およびバルブ制御通路226を介してバルブ制御ポート220と連通している。
第二制御弁300は、ストローク調整スプール310が下端位置にあるときは、シリンダ連通ポート307は上側大径部311によって閉止されているが、プランジャ305によってストローク調整スプール310が上方へと移動すると、テーパ部312によってシリンダ連通ポート307とストローク調整ポート308とが連通を開始し、ストローク調整スプール310の上方への移動量に対応して連通流量が増大する。
なお、第二制御弁300はストローク調整スプール310を装填すると上側大径部311によって高圧ポート306は常時閉止される。
このように、第二制御弁300はストローク調整モードにおいては、プランジャ305を操作すると、第二制御弁連通ポート105〜第二制御弁連通路115〜第二制御弁連通路115〜シリンダ連通ポート307〜テーパ部312〜ストローク調整ポート308〜ストローク調整通路315〜バルブ制御通路226〜バルブ制御ポート220とからなるストローク調整経路の通過流量をゼロから上限値まで無段階で調整可能である。
これによりピストン120を後退行程から前進行程へと切換えるタイミングを変更して打撃サイクルをロングストロークからショートストロークへと変化させることが可能である。このように第二制御弁300は周知のストローク調整機構として機能する。
次に、この液圧式打撃装置をストローク調整モードで作動させる場合の動作、および作用・効果について説明する。ただし、この液圧式打撃装置の基本的な構成は前室常時高圧接続−後室高低圧切換式の打撃機構であり、その作動機序についての説明は省略する。
液圧式打撃装置は、図1に示すように、稼働前の状態では、ピストン120はバックヘッド400に封入されたバックヘッドガスGのガス圧により前方への推力Fが作用している。そのため、ピストン120は前死点の位置で停止する。
作業終了時には、バルブ制御ポート220が低圧接続されておりバルブ201は後端位置に停止しているが、油圧ブレーカの一般的な作業姿勢は下向きでありこの姿勢ではバルブ201には軸方向の図中左方から重力が作用するので、作業開始にあたって油圧ブレーカを作業姿勢に変更するとバルブ201は正規の停止位置である後端位置から前端位置へと移動する場合がある。
この状態で高圧回路110にポンプPから圧油が供給されると、バルブ201が後端位置に移動を完了する前にピストン後室102が高圧接続される場合がある。ピストン後室102の供給された圧油は、その一部が後側大径部122とシリンダ100との隙間からリークして前方への流れが生じるが第二低圧ポート108が後室と至近の位置に開口しており圧油は第二低圧通路118および低圧通路116を経て低圧回路111へと送られる。このように第二低圧ポート108は環流防止機構として作用する。
したがって、リーク油が第一低圧ポート107を超えて第一制御弁連通ポート106に流入してバルブ制御通路114、226を介してバルブ制御ポート220へと環流することはない。バルブ制御ポート220へ圧油の供給がなされなければバルブ201は正規の停止位置である後端位置へと復帰し、後室102は低圧接続されてピストン120は後退を開始する。
液圧式打撃装置はストローク調整モードで作動する場合は空打状態を許容するが、ピストン120が前死点において後室102が高圧接続される状態は空打防止機構が作動した状態に相当することから、作業者が意図しない作動状況が発現することになるので作業性は悪化するが、本発明によれば、空打防止状態は瞬時に解消されるので作業性は良好である。
また、図1に示すストローク調整モードの液圧式打撃装置においては、作動停止時にはバルブ制御ポート220〜バルブ制御通路226、114〜第一制御弁連通ポート106は閉回路を形成しており、この閉回路に残圧が存在する場合がある。
この状態で液圧式打撃機構の作業を開始すると閉回路内の残圧は、通常であればバルブ201の前進動作に伴い大径クリアランスから第一低圧ポート107および第一低圧通路117を経て低圧通路116へと押し出されるようにリークして第一制御弁200の作動に支障は来さない。このように大径クリアランスは「付帯的残圧解放機構」として作用する。
ここで、第一低圧ポート107の通過流量と第二低圧ポート108の通過流量の関係について考察する。
液圧式打撃装置がストローク調整モードに設定され作業を開始する場合において、第一低圧ポート107は付帯的残圧解放機構に関与しているのに対し、第二低圧ポート108は環流防止機構として機能する。
これら付帯的残圧解放機構と環流防止機構は両立しなければならないが、第二低圧ポート108を通過する圧油の流量が過多であると、第一低圧通路117が第二低圧通路118と合流する合流部116aにおいて一時的な昇圧状態が出現し、第一低圧ポート107から低圧通路116へと向かうドレン流が阻止され付帯的残圧解放機構が作用しない場合がある。
本発明の液圧式打撃装置では、第二低圧ポート108の通過流量を第一低圧ポート107の通過流量よりも小さく調整する流量調整手段として第二低圧通路118に絞り131を備えているので、第一低圧通路117が第二低圧通路118と合流する合流部116aでの一時的な昇圧状態を回避し、付帯的残圧解放機構と環流防止機構を両立させることが可能である。
このように、本発明の液圧式打撃装置によれば、始動時の作動の安定性を向上させながらも、本来、空打を許容するストローク調整モードを選択しているにもかかわらず、始動時に空打防止状態となる不具合を防止することが可能である。
図2は本発明の他の実施形態の液圧式打撃装置を示しており、図1の実施形態との差異は、通常のシリンダ100およびピストン120の代わりに始動性の改善のために、ドレンスリット141を備えたシリンダ100'に、ドレン溝140を備えたピストン120'を摺嵌した点である。
ピストン120'の基本的な構成はピストン120と共通しており、これに後側大径部122の外周面に、ピストン120'が前死点で停止したときに、第一制御弁連通ポート106と第一低圧ポート107とをドレン流量で連通するドレン溝140を設けている。
より詳しくは、ドレン溝140は、ピストン120'の後側大径部122の前端に、前縁部122aを残して形成される第二の円環溝である。
シリンダ100'の基本的な構成はシリンダ100と共通しており、ピストン120'が前死点で停止したときに、後室102と第二低圧ポート108とをドレン流量で連通するドレンスリット141を設けている。ドレン溝140が本発明の第一連通手段に相当し、ドレンスリット141が本発明の第二連通手段に相当する。
このドレン溝140は、作動停止時にはバルブ制御ポート220〜バルブ制御通路226、114〜第一制御弁連通ポート106は閉回路を形成しているところ、この閉回路に残圧がある場合はバルブ201が正常に作動しないので、閉回路内の残圧を解放してバルブの作動を安定させるために設けるものである。このように、ドレン溝140は前述した付帯的残圧解放機構をより効果的に発揮するものであり残圧解放機構として作用する。
前縁部122aは、ストローク調整モードと空打防止モードの両モードにおける通常の打撃サイクルでは、ピストン120'の後側大径部122のシール機能を担保しており、空打防止モードにおける空打防止機構の作動する直前までシール機能を維持するので、油圧効率の低下を抑制するとともに空打防止機構の作動するピストン前進位置が安定する。
液圧式打撃装置がストローク調整モードで作動する場合の作業開始時において、このドレン溝140により閉回路を形成するバルブ制御経路に残圧が存在してバルブが正常に動作しない状態となることをより効果的に防止するが、仮に、第二低圧ポート108が存在しないと仮定するとピストン後室102からバルブ制御ポート220へと向かう圧油の環流の発生が顕著になる。しかしながら、第二低圧ポート108を設けることにより環流の発生を抑制することが可能である。
図3は本発明の他の実施形態の液圧式打撃装置を示しており、図2の実施形態との差異は、ストローク調整スプール310の代わりに空打防止スプール320を摺嵌して第二制御弁300'とした点である。すなわち、図3の液圧式打撃装置は空打防止モードで作動する。
第二制御弁300'の基本的な構成は第二制御弁300と共通しており、これに空打防止スプール320を摺嵌している。空打防止スプール320は、中実の円筒体であり大径部321および小径部322を有する。
第二制御弁300'は、空打防止スプール320が下端位置にあるときは小径部322によって高圧ポート306とシリンダ連通ポート307が連通しおり、プランジャ305によって空打防止スプール320が上方へと移動すると、大径部321によってこの連通状態は断絶される。
なお、第二制御弁300'は空打防止スプール320を装填すると大径部321によってストローク調整ポート308は常時閉止される。
このように、第二制御弁300'は空打防止モードにおいては、プランジャ305を操作すると、第二制御弁連通ポート105〜第二制御弁連通路115〜シリンダ連通ポート307〜小径部322〜高圧ポート306〜高圧通路314からなる空打防止経路と高圧回路110との連通を可能とする。
空打防止経路が高圧回路110と連通した状態において、ピストン120'が打撃位置を超えて所定距離前進すると、第一制御弁連通ポート106と第二制御弁連通ポート105が円環溝125によって接続され、これに伴い、それまで低圧状態であったバルブ制御ポート220に空打防止経路から圧油が供給される。
バルブ制御ポート220が高圧接続されると、図3の通り、バルブ201が前端位置に移動してピストン後室102が高圧接続され、ピストン120'は前方へと付勢され前死点で停止する。このように第二制御弁300'は空打防止機構として機能する。なお、第二制御弁300'のプランジャ305を操作して高圧ポート306とシリンダ連通ポートの連通を遮断すると空打防止機構は機能停止する。
この第二制御弁300'とピストン120'を備えた液圧式打撃装置で空打防止機構が作動した場合において、ドレン溝140は空打防止経路からバルブ制御ポート220へ供給される圧油が流出する経路となり、ドレン流量が過多となると空打防止機構の作動が不安定となる場合がある。
したがって、ドレン溝140のドレン流量は、ストローク調整モードでは多く設定するのが好ましく空打防止モードでは少なく設定するのが好ましいことから、両モードでは相反する関係にあり、ドレン流量の設定はクリティカルものとなる。
しかしながら、本実施形態では、第二低圧ポート108、絞り130、および絞り131を備えているので、ストローク調整モードでは、残圧解放機構と環流防止機構の両方が効果的に作動して作業開始時に第一制御弁200の作動が安定するとともに意図しない空打防止状態となることを防止し、空打防止モードでは空打防止機構の作動が安定する。
空打防止モードに設定された場合で、空打防止機構が作動した後の再始動は、ロッド501を押し込んで溝・スリット付ピストン120を後退させることによって行う。このとき、溝・スリット付ピストン120には、ピストン前室101とピストン後室102の受圧面積差によって発生する圧油の付勢力とバックヘッド400に封入されたバックヘッドガスGのガス圧による付勢力が合算された推力Fが作用しており再始動時の大きな反力となっていたが、第二低圧ポート108とドレンスリット141が連通すると液圧式打撃装置全体のシステム圧を低下させて再始動時の反力を低減し、空打防止機構作動からの再始動性が良好となる。このように、ドレンスリット141は再始動性改善機構として作用し、再始動性改善機構は絞り131によって制御することが可能である。
本実施形態では、第二連通手段をシリンダ100'側に設けているが、ピストン120'が前死点で停止したときに、後室102と第二低圧ポート108とをドレン流量で連通する溝またはスリットを後側大径部122の外周面に設けても良い。
第二連通手段の設置箇所は、加工上はピストン120'側の方が容易であるが、ピストン120'側に設けとピストン120'が後退から前進へ転じる際に第二連通手段によって制動力が低下する。
図4は本発明の他の実施形態の液圧式打撃装置を示しており、空打防止部335およびストローク調整部331を備えた共通スプール330を摺嵌した第二制御弁300''の断面図である。共通スプール330は、中実の円筒体で上方から下方へ向けて順に、小径部336、上側大径部332、テーパ部333および下側大径部334を有する。
第二制御弁300''は、共通スプール330が下端位置にあるときは小径部336によって高圧ポート306とシリンダ連通ポート307が連通している。すなわち、第二制御弁300''は空打防止機構として作動する。
そして、第二制御弁300''は、プランジャ305によって共通スプール330が上方へと移動すると、上側大径部332によってこの連通状態は断絶され空打防止機構は作動を停止する。
さらに、プランジャ305によって共通スプール330が上方へと移動すると、テーパ部333によってシリンダ連通ポート307とストローク調整ポート308とが連通を開始し、ストローク調整スプール310の上方への移動量に対応して連通流量が増大する。したがって、第二制御弁300''はストローク調整機構として作動する。
このように、第二制御弁300''は、プランジャ305の操作によって空打防止機構とストローク調整機構とを切換えて作動させることが可能であることから、これまで説明した実施態様のように、作動モードの切換えをスプールの差替操作なしにシームレスに実現可能であるので多様な作業に容易に対応ができる。
そして、第二制御弁300''は、ストローク調整モードにおける空打防止状態の発生の防止、空打防止モードにおける空打防止機構の作動の安定、および空打防止モードにおける再始動性の改善というそれぞれが密接に影響し合い時にトレードオフの関係にある本発明の作用効果がすべて充足出来ていることを確認するのに好適な機構であると言える。
なお、本発明に係る液圧式打撃装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、ピストン120'のドレン溝140は前方が開放された溝形状でも良く、ドレンスリット141と同様に軸方向に延びるスロット形状でも良い。ドレンスリット141は図2に示すように軸方向に延びるスロット形状の他にドレン溝140と同様に後方が開放された溝形状でもよい。
また、必ずしもピストン120'にドレン溝140、および、シリンダ100'にドレンスリット141のように、連通手段を両方に備える必要は無く、求められる作業内容によってどちらか一方を備えていればよい。
さらには、本発明の各実施態様はソリッドなシリンダ100(100')を例に説明をしたが、ピストン120とシリンダ100(100')にライナを介装するライナ式の液圧式打撃装置であってもよい。
100、100' シリンダ
101 ピストン前室
102 ピストン後室
103 前室ポート
104 後室ポート
105 第二制御弁連通ポート
106 第一制御弁連通ポート
107 第一低圧ポート
108 第二低圧ポート
109 低圧ポート
110 高圧回路
111 低圧回路
112 前室通路
113 後室通路
114 バルブ制御通路
115 第二制御弁連通路
116 低圧通路
116a 合流部
117 第一低圧通路
118 第二低圧通路
119 低圧ポート
120、120' ピストン
121 前側大径部
122 後側大径部
122a 前縁部
123 中径部
124 小径部
125 円環溝
130 絞り(第一流量調整手段)
131 絞り(第二流量調整手段)
140 ドレン溝(第一連通手段)
141 ドレンスリット(第二連通手段)
200 第一制御弁
201 バルブ
202 中径部
203 大径部
204 小径部
205 排油溝
206 前端面
207 後端面
209 段付面
212 バルブ室
213 バルブ前室
214 バルブ主室
215 バルブ後室
216 バルブ室前端面
217 バルブ室後端面
218 前側低圧ポート
220 バルブ制御ポート
221 後側低圧ポート
222 後室ポート
223 前室通路
224 前側低圧通路
226 バルブ制御通路
227 後側低圧通路
228 中空通路
300、300'、300'' 第二制御弁
301 ハウジング
302 スリーブ
302a スプール室
303 プラグ
304 ロックナット
305 プランジャ
306 高圧ポート
307 シリンダ連通ポート
308 ストローク調整ポート
310 ストローク調整スプール
311 上側大径部
312 テーパ部
313 下側大径部
314 高圧通路
315 ストローク調整通路
320 空打防止スプール
321 大径部
322 小径部
330 共通スプール
331 ストローク調整部
332 上側大径部
333 テーパ部
334 下側大径部
335 空打防止部
336 小径部
400 バックヘッド
500 フロントヘッド
501 ロッド
F 推力
G バックヘッドガス
P ポンプ
T タンク

Claims (5)

  1. シリンダと、該シリンダに前後進可能に摺嵌されて、軸方向中央に円環溝が設けられた大径部、大径部前方の中径部および大径部後方の小径部を有するピストンと、を備え、前記シリンダには、前記ピストンの前記大径部によってピストン前室とピストン後室が画成されるとともに、前記ピストン前室と前記ピストン後室との間に前方から後方に向けて、第二制御弁連通ポート、第一制御弁連通ポートおよび低圧ポートがこの順に設けられた液圧式打撃装置であって、
    前記ピストンの前後進動作を制御する第一制御弁と、
    前記ピストンのストロークをロングストロークとショートストロークとの間で調整するストローク調整機構と、
    前記ピストンが打撃位置を超えて所定距離だけ前進すると前記ピストン後室を高圧回路に接続して前記ピストンの作動を停止させる空打防止機構と、
    前記ストローク調整機構および前記空打防止機構のいずれか一方のモードを選択する第二制御弁と、を備え、
    前記低圧ポートは、
    前記ピストンを前進行程から後退行程へと切換える際に、前記ピストンの前記大径部の軸方向中央に設けられた前記円環溝によって前記第一制御弁連通ポートと低圧回路とを接続する位置に開口する第一低圧ポートと、
    該第一低圧ポートよりも軸方向後方であって前記ピストンが前死点まで前進した状態で前記円環溝よりも後ろ側の前記大径部によって前記ピストン後室とは遮断される位置に開口する第二低圧ポートと、で構成され、
    前記第二低圧ポートの通過流量を、前記第一低圧ポートの通過流量よりも小さく調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする液圧式打撃装置。
  2. 前記流量調整手段は、前記第一低圧ポートの通過流量を調整する第一流量調整手段と、前記第二低圧ポートの通過流量を調整する第二流量調整手段と、で構成されている請求項1に記載の液圧式打撃装置。
  3. 前記ピストンが前死点で停止したときに、前記第一制御弁連通ポートと前記第一低圧ポートとを第一ドレン流量で連通する第一連通手段が、前記円環溝よりも後ろ側の大径部の外周面に設けられている請求項1または2に記載の液圧式打撃装置。
  4. 前記第一連通手段は、前記円環溝よりも後ろ側の大径部の前端に、該後ろ側の大径部の前縁部を残して形成された第二の円環溝である請求項3に記載の液圧式打撃装置。
  5. 前記ピストンが前死点で停止したときに、前記ピストン後室と前記第二低圧ポートとを第二ドレン流量で連通する第二連通手段が、前記後ろ側の大径部の外周面およびシリンダ内周面の少なくとも一方に設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の液圧式打撃装置。
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