JP2021142510A - 有機性排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水をより効率良く得ることが可能な有機性排水の処理方法及び処理装置を提供する。【解決手段】浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、分離液を貯留し、貯留後の分離液に対し、第2の固液分離を行い、第2の固液分離の分離汚泥を第1の固液分離前に戻し、第2の固液分離で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行った後、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する有機性排水の処理方法及び処理装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、有機性排水の処理方法及び処理装置に関し、特に、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を処理し、処理水として下水道放流する水処理への適用に好適な有機性排水の処理方法及び処理装置に関する。
浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を含む原水を処理して得られる処理水を下水道放流するためには下水排除基準を満足する必要があるが、下水排除基準は、一般的には、公共用水域への放流基準よりも基準が緩いことが知られている。例えば、公共用水域への放流基準としてBOD(生物化学的酸素要求量)10mg/L、N(窒素)が10mg/L、SS(浮遊物質)が10mg/Lとされているのに対し、下水排除基準はBODが600mg/L、T-Nが240mg/L、SSが600mg/Lである。
下水道放流水の従来の処理方法として、例えば、し尿等に含まれるごみ(し渣)を取り除き、下水排除基準まで希釈して放流する方法が知られている。この場合、一般的に希釈倍率は10〜20倍程度となり、希釈水量及び下水道放流量が過剰となる。
別の処理方法として、し尿等を脱水機で固液分離し、脱水分離液を希釈して下水道放流する方式がある。この場合、脱水分離液は除渣し尿と比較してBOD、SS、窒素等の成分が大幅に低減されるため、希釈倍率は一般に3〜8倍程度とすることができるが、脱水分離液の水質には変動が見られるため、希釈水量も水質によって大きく変動するという問題がある。
また、し尿等を脱水機で固液分離する方法も、結局は、搬入量に対して4〜9倍量を放流することとなるため、下水道放流量の低減効果は限定的である。固液分離では溶解性成分が除去されにくいため、し尿等に溶解性成分が多く含まれる場合には、脱水分離液の水質が悪化し、希釈水量を増加する必要性が生じる場合もある。放流水量の規制により下水排除基準を満足できない場合もある。
希釈水量及び放流水量をより確実に削減する別の方法として、固液分離と生物処理とを組み合わせる方法が考えられる。例えば、特開昭61−50691号公報(特許文献1)には、浄化槽汚泥を固液分離した固形分を、し尿系汚水と混合して凝集処理を行い、その分離液を生物処理する方法が記載されている。
特開昭61−50691号公報
特許文献1に記載される方法では、生物処理した水の放流先についての記載はないが、実施例1の処理液のBODが10mg/L以下まで処理されることなどから、公共用水域への放流を前提とした処理方式であることが推察できる。しかしながら、前述の通り、公共用水域への放流基準と比較すると、下水排除基準は緩い傾向にあるため、下水道放流する処理水に対しては、特許文献1で言及されるような水質までは必要とされていない。
一方で、引用文献1に記載されるような固液分離と生物処理とを組み合わせる水処理においては、下水排除基準を満たす程度に中途半端な処理を行うことが難しいという問題がある。例えば、生物処理として硝化脱窒処理を行う場合、窒素を全量ではなく例えば6割程度処理する方法、或いは、脱水分離液中に含まれるアンモニア性窒素を全量硝化した後にその6割だけ脱窒処理する方法等が考えられる。
しかしながら、窒素を6割程度処理する場合は4割程度の硝酸性窒素が残留することになるため、後段の沈殿槽において嫌気状態となったところで再度脱窒が起こり、発生した窒素ガスによって汚泥が浮上し、沈殿槽で固液分離が十分に行えない場合がある。沈殿槽で固液分離ができない場合は、硝化脱窒槽のMLSS(活性汚泥濃度)が維持できず、処理そのものが悪化する。脱水分離液中に含まれるアンモニア性窒素を全量硝化する場合は、水槽容量が過大となること、硝化に必要な曝気風量が過大となること、脱窒に必要なメタノールやエタノール等の水素供与体の添加が必要となること等があり、求められる処理水質に対して設備及び運用コストが過大となる。
浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を効率良く処理する別の手法として、活性汚泥法を用いた生物処理によって、処理水の水質が下水排除基準未満となるまで粗処理を行い、希釈して下水道放流する方法も考えられる。しかしながら、活性汚泥法を用いた生物処理のために大型の水槽容量が必要となり、更に高BOD負荷に対応するための曝気風量も過大となるため、処理効率的に良好な手段であるとはいえない。
浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を効率良く処理する更に別の手法として、本発明者らは、処理水を固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、分離液の少なくとも一部に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行い、得られた生物処理水を希釈して下水道放流する方法が有効であるとの知見を得た。
しかしながら、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を処理する場合、一般に、固液分離後の分離液は貯留槽に1日程度貯められた後に、生物処理が行われる。貯留後の分離液は、水温15〜20℃の環境下で1日程度貯留されることにより、硫酸還元反応が進み、硫化水素が発生する。発生した硫化水素は分離液中の鉄塩と反応して硫化鉄が生成するため、分離液中には懸濁物質(SS)の濃度が高くなる。SS濃度が高まった分離液を生物処理へ導入すると、不活性なSS分が生物膜に含まれることとなるため、BOD処理成績の低下、或いはろ材閉塞などの問題等の処理上の問題が生じる場合がある。
また、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う場合、流入水のBOD容積負荷が高いと、生物膜中の細菌はBOD細菌が優占種となり、硝化菌が増殖できない環境下となる。その結果、流入水中の窒素がBODで消費される分、総窒素(T−N)除去率が低くなってしまう。良好な生物処理を行うためには、生物処理のBOD容積負荷を低く設定する必要があるが、BOD容積負荷を低くしようとすると、生物処理槽の容量が大きくなり、装置の大型化が進み、建設費等のコスト高にもつながる。
上記課題を鑑み、本発明は、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水をより効率良く得ることが可能な有機性排水の処理方法及び処理装置を提供する。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水を固液分離して得られる分離液の貯蔵液に対して所定の前処理を行った後に、無閉塞型の生物膜法による生物処理を行うことが有効であるとの知見を得た。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態は一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、分離液を貯留し、貯留後の分離液に対し、第2の固液分離を行い、第2の固液分離の分離汚泥を第1の固液分離前に戻し、第2の固液分離で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行った後、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを特徴とする有機性排水の処理方法である。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理方法は一実施態様において、第2の固液分離を上向流で行うことを含む。
本発明の実施の形態は別の一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、分離液を貯留し、貯留後の分離液に対し、嫌気性処理を行い、嫌気性処理で得られる濃縮汚泥を第1の固液分離前に戻し、嫌気性処理で得られる嫌気性処理水に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行い、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを特徴とする有機性排水の処理方法である。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理方法は一実施態様において、嫌気性処理において上向流嫌気性処理を行うことを含む。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理方法は別の一実施態様において、嫌気性処理により発生するバイオガスを生物学的に酸化処理することを含む。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理方法は更に別の一実施態様において、嫌気性処理により発生するバイオガスを直接、或いは脱硫後、水性媒体と気液接触させ、水性媒体中にバイオガス中のメタンガスを溶解させ、メタンガスが溶解した水性媒体を水素供与体として、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理の脱窒工程に供給する。
本発明の実施の形態は別の一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する第1の固液分離装置と、分離液を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留された分離液に対して第2の固液分離を行う第2の固液分離装置と、第2の固液分離で得られる分離汚泥を第1の固液分離前に戻す返送手段と、第2の固液分離装置で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽と、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽とを備える有機性排水の処理装置である。
本発明の実施の形態は更に別の一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する第1の固液分離装置と、分離液を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留された分離液に対して嫌気性処理を行う嫌気性処理装置と、嫌気性処理装置で得られる濃縮汚泥を第1の固液分離前に戻す返送手段と、嫌気性処理装置で得られる嫌気性処理水に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽と、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽とを備える有機性排水の処理装置である。
本発明によれば、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水をより効率良く得ることが可能な有機性排水の処理方法及び処理装置が提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを示す概略図である。 図2(a)〜図2(d)は、第1の実施の形態に係る第2の固液分離装置として利用可能な上向流固液分離槽の例を表す概略図である。 本発明の実施の形態に係る生物処理槽に利用可能な膜状担体の構成例を説明する概略図である。 図5の膜状担体の平面図である。 図5(a)〜図5(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理フローの具体的処理例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを表す概略図である。 第2の実施の形態に係る嫌気性処理装置として利用可能な上向流嫌気性処理装置の例を表す概略図である。 第2の実施の形態に係る嫌気性処理装置として利用可能な上向流嫌気性処理装置の別の例を表す概略図である。 本発明の第3の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを示す概略図である。 第3の実施の形態に係る気液接触装置の例を表す概略図である。 第3の実施の形態に係る気液接触装置の別の例を表す概略図である。 上向流固液分離試験の通水速度とSS除去率との関係を表すグラフである。 第1試験例に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを表す概略図である。 第2試験例に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを表す概略図である。 比較例に係る有機性排水の処理装置及び処理フローを表す概略図である。 第2試験例に係る有機性排水の処理装置の詳細例を表す概略図である。 第2試験例に係る有機性排水の処理装置及び処理フローの変形例を表す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置は、図1に示すように、被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する第1の固液分離装置1と、分離液を貯留する貯留槽2と、貯留槽2に貯留された分離液に対して第2の固液分離を行う第2の固液分離装置20と、第2の固液分離で得られる分離汚泥を第1の固液分離前に戻す返送手段4と、第2の固液分離装置20で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽5と、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽6とを備える。
被処理水としては、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含むものであれば特に限定されない。例えばし尿系汚泥と浄化槽汚泥の混合液を被処理水として利用する場合には、し尿系汚泥と浄化槽汚泥とに対してそれぞれ別々に第1の固液分離を行うことにより、固液分離性能を向上でき分離液のSS濃度を全体として低減することができる。
第1の固液分離装置1としては、種々の固液分離装置を用いることができる。例えば、第1の固液分離装置1としては、脱水機等の脱水装置を用いて分離汚泥と分離液とに固液分離することが、設備及び運用コスト面から好ましい。第1の固液分離前の被処理水に対しては濃縮処理を行うことが好ましい。濃縮方式としては、重力濃縮、機械濃縮の何れも有効な濃縮方式である。
例えば、第1の固液分離処理(脱水処理)前に高分子凝集剤を添加した濃縮処理を行うことにより、濃縮汚泥の汚泥濃度(TS)を最大10〜12質量%程度にまで濃縮することができる。高濃度に濃縮された濃縮汚泥に対して更に脱水装置を用いて脱水処理を行えば、含水率70%以下の低含水率の脱水汚泥(分離汚泥)が得られるため、より顕著な汚泥減容効果が得られる。この低含水率の脱水汚泥のカロリーは高いため、焼却処理において補助燃料無しでの自燃が可能であり、省エネ、低コストとなる。
第1の固液分離で得られた分離液は貯留槽2において貯留される。貯留期間は特に限定されないが、し尿等の収集量の変動、週休2日運転等を考慮し、後段の生物処理に分離液をより均一に供給する観点から、貯留期間は1〜3日、最低でも1日とすることができる。貯留時の環境にもよるが、室温15℃以上の環境において1日以上分離液を貯留すると、貯留槽2内で硫酸還元反応が進み、硫化水素が発生し、分離液中のSS濃度が高くなる。貯留槽2内で貯留後の分離液は、第2の固液分離装置20へ送られる。
第2の固液分離としては、自重による沈殿、ろ過、浮上分離、膜分離、遠心分離、上向流固液分離を用いることができる。貯留後の分離液中のSSは、有機成分が多く、重力沈降、凝集沈殿法を適用した場合、沈殿・濃縮汚泥が腐敗しガスにより浮上することがある。また、分離液中には、細粒砂が少量含まれる場合がある。このような性状の分離液を効率良く分離除去する方法としては、第2の固液分離を上向流で行うことが好ましい。
第2の固液分離を上向流で行うための第2の固液分離装置20としては、図2(a)〜図2(d)に示す第1〜第4の上向流固液分離槽20a〜20dが利用可能である。例えば、図2(a)に示すように、第1の上向流固液分離槽20aは、槽本体21aと、槽底部に設けられている有機性排水導入管22aと、槽上部に設けられている越流水排水口23aと、槽下部に設けられている排泥管24aを備えることができる。
第1の上向流固液分離槽20aによれば、無機物粒子を含む被処理水を槽底部より上向流にて通水し、沈降速度の大きい無機物粒子(無機性SS)を槽下部に堆積させ、沈降速度の小さい有機性汚泥(有機性SS)を槽上部に流動させながら越流面からオーバーフローさせ、越流水を後段の生物処理に導入することができる。このような構成を具備することにより、その後の生物処理において処理に時間がかかる有機分を簡易且つ小型な設備で容易に除去することができる。その結果、第1の上向流固液分離槽20aの後段に接続される生物処理槽5における処理をより安定的且つ効率的に行うことができる。また、第1の上向流固液分離槽20aを用いることにより、生物処理槽5へ混入しないように浄化槽汚泥又はし尿系汚泥に含まれる細粒砂を底部に沈殿させて除去することができるため、生物処理槽5の生物膜の膜閉塞等のトラブルを抑制することができる。
上向流固液分離槽20aの通水速度は、10mm/min〜50mm/minとすることが好ましく、より好ましくは15mm/min〜25mm/minである。上向流固液分離槽20aにおける固液分離の際には、凝集剤(無機凝集剤及び/又は高分子凝集剤)を添加して有機性汚泥を凝集汚泥として分離してもよい。凝集剤を添加した場合の上向流固液分離装置の通水速度は、50mm/min〜200mm/minであることが好ましく、より好ましくは80mm/min〜140mm/minである。
凝集剤の添加及び混合方法としては、撹拌槽、管内注入及び管内混合(迂流管による混合、管内ミキサー混合など)のいずれも利用することができる。なお、第1の上向流固液分離槽20aの下部に堆積した細粒砂を含む汚泥は、槽下部に設けられている排泥管24aより排泥され、第1の固液分離装置1或いは第1の固液分離装置1の前段の配管又は貯留槽(図示せず)に返送手段4を介して返送される。
或いは、図2(b)に示すように、第2の固液分離装置20として、処理総水位Hを有し、槽の下部に下部沈降部(図中「h2」で示す)を有し、槽の上部に上向流分級部(図中「h1」で示す)を有する第2の上向流固液分離槽20bを利用することもできる。有機性排水導入管22bは、槽の底部から高さP2の位置に接続され、有機性排水導入管22bの接続部から上方が上向流分級部h1となる。上向流分級部h1の頂部には図2(a)に示す装置と同様に、越流水排水口(図示せず)が設けられている。槽の底部は、漏斗状に形成されており、漏斗出口に排泥管24bが接続されている。
有機性排水に含まれる無機物粒子が粒径の大きな土砂と粒径の小さなシルト土等の混在物である場合、沈降性の良い粒径の大きな土砂は、下部沈降部h2に沈降し、細粒砂及び有機性固形物は、上向流分級部h1に上向流に随伴されて上昇する。この際、無機粒子と有機性固形物との上昇速度が相違するため、図1の上向流固液分離槽20aに比べてより効率良く分級できる。
或いは、図2(c)に示すように、第2の固液分離装置20として第3の上向流固液分離槽20cを利用してもよい。第3の上向流固液分離槽20cは、上向流分級部h1が、底部から順番に小径部a1、拡径部a2及び大径部a3を有する点以外は図2(b)に示す第2の上向流固液分離槽20bと同じ構造である。有機性排水導入管22cは槽の底部から高さP2の位置に接続され、有機性排水導入管22cの接続部から上方が上向流分級部h1となる。槽の底部は、漏斗状に形成されており、漏斗出口に排泥管24cが接続されている。
浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水をより少ない希釈水量でより効率良く得るためには、大径部a3の直径D2と小径部a1の直径D1の比、すなわちD2/D1を1.22〜1.41とし、大径部a3の断面積S2と小径部a1の断面積S1の比、すなわちS2/S1を1.5〜2.0程度とすることが好ましい。例えば、大径部a3の通水速度が15mm/min〜25mm/minの時、S2/S1比2.0で小径部a1の通水速度は30mm/min〜50mm/minとなる。このように上向流分級部h1の上方に拡径部a2及び大径部a3を設けて通水速度を変化させることで、細粒砂と有機性固形物とを効率良く分級することができる。
或いは、図2(d)に示すように、第2の固液分離装置20として、第4の上向流固液分離槽20dを利用してもよい。第4の上向流固液分離槽20dは、上向流分級部h1に撹拌機25dを有し、下部沈降部h2に汚泥かき寄せ機26dを有する点を除けば、図2(b)に示す第2の上向流固液分離槽20bと同じ構造である。浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水を効率良く固液分離処理するために、上向流分級部h1の撹拌機25dの回転数は1〜60rpm、好ましくは5〜30rpmであり、下部沈降部h2の汚泥かき寄せ機26dの回転数は0.5〜5回転/Hr(時間)、好ましくは1〜3回転/Hr(時間)と非常に緩速とする。
撹拌機25dの撹拌翼は、プロペラ、パドル型等種々のタイプを使用できるが、低速型のパドルが適している。撹拌機25dの撹拌翼は有機性排水導入管22dの高さP2から鉛直方向上向きに撹拌翼設置高さh3の位置に取り付けることが好ましい。h3とh1は、h1に対してh3が0.2〜0.7倍、好ましくは0.4〜0.6倍の寸法となるように構成することが望ましい。上向流分級部h1での緩やかな撹拌を与えることにより、粒径の小さな細粒砂と有機性固形物を上向流分級部h1で効率良く分級することができる。
なお、撹拌機25dの代わりに、槽本体21dの中央部に上下に延在するドラフトチューブを設置し、ドラフトチューブの下方から散気管により気泡を送り込むように構成してもよい。散気管により空気を吹き込むことによって、ドラフトチューブ内において粒径の小さな細粒砂と有機性固形物を効率良く分級することが可能となる。分級された細粒砂はドラフトチューブの外側より下部沈降部h2に下降し、有機性固形物は上向流分級部h1の上部より越流される。空気吹込み量は0.1〜0.5m3/m2/min、好ましくは0.2〜0.35m3/m2/minとすることが好ましい。
上述したように、図1に示す有機性排水の処理装置においては、第1の固液分離装置1における脱水処理等の固液分離により得られた分離液が、貯留槽2において一定期間貯留される。脱水処理後の分離液中に含まれる溶解性有機物の大半は、酢酸、プロピオン酸等の揮発性有機酸が大半を占める。また、脱水処理時にポリ硫酸第二鉄等の無機凝集剤が使用されると、貯留槽2に貯留される分離液のSO4 2-濃度が400〜1000mg/Lと高くなる場合がある。このようなSO4 2-濃度の高い分離液が水温15〜20℃以上の期間において一定期間以上貯留されると、硫酸還元反応により硫化水素が発生し、これが分離液中の鉄塩と反応して分離液中のSS濃度が高くなる。
貯留槽2では、一般的に空気撹拌が行われるため、一部の有機物が酸化されて余剰汚泥となる。特に、週末等のように被処理水の供給が行われずに貯留槽2の水位が下がると、余剰汚泥の発生が顕著になる。その結果、貯留槽2の貯留による分離液中のSS濃度は、100〜1000mg/Lの範囲で変動し得る。このような余剰汚泥を含む分離液を生物処理槽5へ供給して生物処理を行うと、生物処理に非常に時間がかかる上、BOD処理実績の低下、生物処理膜の閉塞等の種々の問題が生じ得る。
また、生物処理槽5として、比較的安定的な処理が可能な、後述する「無閉塞型の生物膜法」を用いた生物処理を行う場合、より安定的な処理を行うためには、流入水のBOD容積負荷を一定範囲に制御する必要がある。貯留槽2で腐敗が進んだ分離液を生物処理槽5に供給する場合には、流入水のBOD容積負荷の調整のために生物処理槽5の設備を大きくしなければならず、生物処理槽5における処理に大きな負担がかかる場合がある。
本発明の第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理方法によれば、貯留後の分離液に対し、第1〜第4の上向流固液分離槽20a〜20dに例示されるような装置を用いて上向流固液分離処理を行い、生物処理槽5での生物処理に負担がかかる有機物を予め除去する。これにより、生物処理槽5による生物処理にかかる処理負担を小さくすることができる。また、貯留後の分離液を、第1〜第4の上向流固液分離槽20a〜20dに例示されるような小型且つ簡易な装置を導入して処理するだけで、生物処理槽5の大型化を防ぐことができるため、装置全体としての小型化が望める。
なお、第1〜第4の上向流固液分離槽20a〜20dでのSS除去率を更に増加させ、後段の生物処理でSS負荷及びBOD負荷を低減するためには、上向流固液分離槽20a〜20dに導入前の貯留後の分離液に対し、ポリマ、無機凝集剤、pH調整剤等を含む薬剤を供給することが好ましい。また、第1〜第4の上向流固液分離槽20a〜20dにおいては、槽内に汚泥ブランケットを維持する必要があるため、沈降性が良好な沈降速度100mm/min以上のフロック形成が必要である。但し、分離液の腐敗が進んでいる場合、分離液中の分離汚泥にガスが付着している可能性があり、凝集汚泥のフロックが上向流固液分離槽20a〜20dで浮上する恐れがある。その場合は、上向流固液分離槽20a〜20dの前段に脱気装置を設けて脱気処理することが好ましい。脱気処理としては、撹拌機による混合、減圧脱気等があるが、設備の簡素化から撹拌機を使用することが好ましい。例えば、カチオンポリマを対SSで1wt%添加し、通水速度7.0m/hで上向流固液分離処理することで、SS除去率90%以上、濃縮汚泥濃度3wt%を達成することができ、処理水SS34mg/L、BOD959mg/L、T−N636mg/Lを達成できる。
図1に示す生物処理槽5では、生物膜を用いた処理が行われる。生物膜を用いた生物処理は、大きく分けて担体の定期的な洗浄工程を必要とするものと、生物膜量が処理の中で自律的にコントロールされるものとに分けることができる。前者には、生物膜ろ過法等が該当する。後者には、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法(接触酸化法)が該当する。
中でも、本発明の実施の形態に係る生物処理としては、生物膜量が処理の中で自律的にコントロールされるタイプの生物膜法を利用することが好ましく、これを本明細書においては「無閉塞型の生物膜法」と定義する。特に、無閉塞型の生物膜法の中でも、散水ろ床法、流動担体法は、BOD容積負荷1kgBOD/m3/d以上でも安定して運転することが可能であり、敷地面積が限られる場合に特に有効である。この「無閉塞型の生物膜法」に包含される生物処理の具体例を以下に説明する。
−散水ろ床法−
散水ろ床法は、好気性生物化学的処理法の一つであり、ろ材の表面に付着した微生物の作用によって、散布される被処理水(分離液)中の有機物を分解することにより、生物処理水を得る方法である。散水ろ床法は、一般的に、生物膜の表面が好気的、生物膜の内部が嫌気的になることが知られている。このため、硝化が進行可能な負荷で散水ろ床の運転を実施すると、生物膜の表面では硝化反応が進行し、生物膜の内部では脱窒反応が進行するという特徴があり、窒素除去効率の面で優れている。
散水ろ床に用いられる担体、散水部等の具体的構成に特に制限はない。担体の素材は、微生物が付着すればどのような素材でも良く、代表的なものとしては、プラスチック、砕石等が用いられる。担体の形状は、プレート状、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよい。また、反応槽の容量に対する担体の充填率としては、40〜80%、望ましくは50〜70%が好ましい。膜状担体の場合は、反応槽の容量に対する膜の表面の面積として、0.05〜0.15 m2/m3となるように充填することが好ましい。
−膜状担体−
より効率良く且つ安定的に散水ろ床法を用いた生物処理を行うためには、散水ろ床に供給される固液分離後の分離液と散水ろ床内の酸素とが膜面を挟んで対向して浸透する構造を有する、例えば図3に示すような、膜状担体50が反応槽内に配置されることが好ましい。
図3及び図4に示すように、膜状担体50は、支持体51と支持体51に支持される膜52を備え、膜52が支持体51を覆うループ形状を有しており、分離液がループ形状の膜52の外面から浸透し、酸素がループ形状の膜52の内面に形成された空間53から膜52の外面へ浸透するように構成されている。膜52は支持体51の外側で湾曲する湾曲部52aと、湾曲部52aの両端から互いに略平行に延伸する延伸部52b、52cとを備え、膜52の下端側、即ち、膜52を収容する槽の底面と対向する側に、膜52の内面に堆積してその後剥離する汚泥(不図示)を空間53の外へ排出するための開口部52dが形成されている。
図3及び図4に示す構造の膜状担体50が配置されることにより、分離液供給側である膜状担体50の膜52の外側はBODが豊富で酸素が乏しいエリアとなる一方で、膜52の内側の酸素供給側はBODが乏しく酸素が豊富なエリアとなる。そのため、分離液の供給側に脱窒反応の進行に適した条件を作り出しながら、酸素供給側に硝化反応に適した条件を作り出すことができるため、種々の担体の中でも特に優れた窒素除去性能を発揮する点においてより好適である。
一方、通常の粒状担体を使用する場合、BOD、窒素、および酸素が同じ方向から担体表面の生物膜に供給されるため、1〜1.5kg−BOD/m3/dの負荷では酸素はBODの酸化で消費しきってしまい、硝化−脱窒反応が進みにくくなる場合もある。膜状担体50は、他の形状の担体を使用する処理方式と比較して、1.5kg−BOD/m3/d以上の高負荷条件でも閉塞せず安定して運転できるという利点を有している。これは、膜状担体50を用いた場合は、生物膜が担体垂直方向に並べられ、担体から剥離した生物膜が担体間で閉塞することなく槽外に排出されるためである。
固液分離後の分離液の散水ろ床への流入は、ポンプ、サイフォン等を用いて散水ろ床の上方へ移送された後に行われる。散水にあたっては、ろ床全体に分離液が散水されればよく、多孔板、スプリンクラー型、スパイラル型のノズル、自走式の回転散水機等の任意の散水装置を用いることができる。
−流動担体法−
流動担体法は、生物処理槽内に担体を収容し、担体が生物処理槽内で流動することにより微生物を被処理液中の有機物や酸素などと接触させて生物処理水を得る方法である。流動担体法を利用する生物処理槽は新設してもよいし、既存の貯留槽等に担体、散気装置等を導入してもよい。流動担体に使用される担体には特に制限はないが、代表的なものとして以下のものが挙げられる。
使用する担体は、微生物が付着し、かつ曝気により流動する担体であればどのような担体でも良い。担体の素材としては、曝気により流動すればどのような担体でも良く、例えば、プラスチック、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、木製チップ、砂、等が利用される。担体の性状は、スポンジ状、ゲル状、固形状等であり得る。担体の形状は、球状、立方体状、円筒状、ハニカム状等の任意の形状とすることができる。
中でも担体の外表面に微生物を付着させる結合固定化担体を利用することにより、生物処理槽内の環境に適した微生物を担体に付着させることができ、流入水の性状変動の影響を受けにくくより安定した生物処理を行うことができる。担体の充填率としては、流動性と性能の観点から、20〜40%が好ましい。充填率を20%以上とすることで槽内に多量の微生物を保持することができ、40%以下として適切な空隙をつくることで流動性を良好に保つことができるのである。流動担体法のBOD負荷としては、0.5〜5.0kg−BOD/m3/d、望ましくは1.0〜3.0kg−BOD/m3/dが好ましい。流動担体法は既設活性汚泥の曝気槽を利用する場合などに適している。
−回転円板法−
回転円板法は、回転する円板の一部を被処理水と外気に触れさせることによって、円板の表面に生物膜を形成させ、被処理水(分離液)中の有機分を分解させて生物処理水を得る方法である。曝気、エアレーションを行なわないため、風量調整が必要なブロワの設置が不要で、活性汚泥法等のように返送汚泥を供給する必要も無いため、より簡易な設備を供給できる点で有利である。回転円板法のBOD負荷としては、0.1〜1.5kg−BOD/m3/dが好ましく、過剰な負荷をかけると、円板に過剰に微生物が付着し、回転軸が破損するという問題が発生する場合がある。
円板の材質及び具体的形状に特に制限は無く、任意の装置を用いることができる。例えば、円板の材質としては発泡スチロール、プラスチック、塩化ビニル、耐水ベニヤ、アルミニウム等の金属板が利用でき、直径1〜3m、厚さ0.7〜20mmの円板状にして使用することができる。
―固定床法(接触酸化法)―
接触酸化法は、反応槽に固定床担体を浸漬させ、被処理水を通水させながら曝気を行うことによって、担体表面に生物膜を形成させ、被処理水(分離液)中の有機分を分解させて生物処理水を得る方法である。担体に付着した生物膜によって処理を行うため、活性汚泥法のように返送による汚泥量のコントロールが不要であり、維持管理が容易となる。BOD負荷としては、0.1〜1.0kg−BOD/m3/dが好ましく、高負荷で運転すると生物膜が肥大して接触材が目詰まりすることがある。
接触酸化法の担体の材質及び具体的形状に特に制限は無く、任意の装置を用いることができる。担体の材質としては、ポリエチレン、プラスチック等が利用でき、形状としてはチューブ型、ひも状、網状、平板状、ボール状、等の任意の形状とすることができる。
希釈槽6は、生物処理によって得られた生物処理水を希釈水と混合するための槽であり、ここでは、下水排除基準を満たすように希釈される。本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理方法によれば、希釈倍率を典型的には1〜4倍、より典型的には1〜3倍、さらには1〜2倍とすることにより、下水排除基準を満たす量とすることができる。希釈は常時行っても良いし、下水排除基準を満たすために必要な場合にのみ行っても良い。これにより、従来の手法に比べてより少ない希釈水量で、下水道放流のための水質基準に応じたより効率的且つ適切な処理が行える。
上述の無閉塞型の生物膜法を利用した生物処理を行うことにより、生物処理水の希釈を行わなくてもよい程度にまで生物処理水が処理される場合もある。その場合は、分離液の少なくとも一部に対し、散水ろ床法または流動担体法のいずれかを含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行った後の生物処理水に対し、希釈を行うことなくそのまま下水道放流を行ってもよいことは勿論である。
このように、第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理方法によれば、小型且つ簡易な第2の固液分離装置20を用いて、貯留槽2において貯留された分離液中の溶解性有機物を生物処理槽5へ供給する前に小型の設備で容易に除去することができるため、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水を、少ない希釈水でより効率良く得ることが可能となる。
(処理例)
第1の実施の形態に係る有機性排水の処理装置及び処理方法は、被処理水の性状に応じて、図5(a)〜図5(d)に示すような処理を適宜選択することにより、生物処理を最適化でき、これにより、希釈槽6で添加する希釈水量を少なくでき、効率の良い処理を行うことができる。
図5(a)及び図5(b)に示す例は、貯留槽2で貯留した後の分離液の性状が、窒素濃度(アンモニア性窒素濃度)に比べてBODが高い場合、例えば、アンモニア性窒素濃度(NH4−N)が600〜800mg/Lで、BODが1500〜2200mg/Lで、BOD/NH4−N比が2〜3程度となるような分離液に特に好適な処理の例を示す。この場合は、希釈倍率生物処理水中のBODが、希釈倍率を決定する場合の基準となる処理(BOD除去型)である。
図5(a)に示す処理では、第1の固液分離装置1として脱水装置を備え、貯留槽2で貯留された分離液を固液分離する第2の固液分離装置20として上向流固液分離槽を備え、生物処理槽5として散水ろ床を備え、散水ろ床で処理された生物処理水を希釈槽6において下水排除基準を満たすように希釈する。散水ろ床の処理条件としては、例えば、BOD容積負荷を0.5〜7.5kg−BOD/m3/dとすることが好ましく、1.0〜5.0kg−BOD/m3/dとすることが更に好ましい。
図5(b)に示す処理では、第1の固液分離装置1として脱水装置を備え、貯留槽2で貯留された分離液を固液分離する第2の固液分離装置20として上向流固液分離槽を備え、生物処理槽5として流動担体槽を備え、流動担体槽で処理された生物処理水を希釈槽6において下水排除基準を満たすように希釈する。
従来の活性汚泥処理では曝気槽のMLSS濃度を調整するために返送汚泥量を調整する必要がある。一方、図5(a)及び図5(b)に示す変形例によれば、貯留槽2で貯留した後の分離液の性状に応じて、散水ろ床法又は流動担体法による処理を行うことにより、返送汚泥量を調整する必要がなく、希釈水量が1〜2倍程度で済むため、希釈水の使用量を抑制しながら浄化槽汚泥又はし尿系汚泥をより簡易な処理によって放流することができる。
図5(c)及び図5(d)に示す変形例は、貯留槽2で貯留した後の分離液の性状が、窒素(アンモニア性窒素)に比べてBODが低い場合で、生物処理水中の窒素濃度が希釈倍率を決定する場合の基準となる処理(窒素除去型)である。
図5(c)の例では、第1の固液分離装置1として脱水装置を備え、貯留槽2で貯留された分離液を固液分離する第2の固液分離装置20として上向流固液分離槽を備え、生物処理槽5として、第一段目の散水ろ床5aと第二段目の散水ろ床5bとを備え、散水ろ床5a、5bによる生物処理後の生物処理水を希釈槽6において下水排除基準を満たすように希釈する。
第一段目の散水ろ床5aの処理条件としては、BOD容積負荷3〜10kg/m3/d、好ましくは4〜6kg/m3/dとし、水温25℃でBOD除去率が65〜80%となるような処理を行うことが好ましい。第二段目の散水ろ床5bの処理条件としては、BOD容積負荷0.3〜2kg/m3/d、好ましくは0.5〜1kg/m3/dとし、水温25℃でBOD除去率が75〜85%、T−N除去率が35〜50%となるような処理を行うことが好ましい。
生物学的窒素処理の場合、脱窒槽と硝化槽に分けて、硝化液を脱窒槽に循環するのが一般的である。図5(c)の例によれば、二段階の散水ろ床5a、5bを備えることにより、第一段目の散水ろ床5aでBODの粗処理を行い、第二段目の散水ろ床5bでBOD負荷を低減しながら、特に槽下段部において硝化反応を進めることができる。特に、散水ろ床5a、5bとして膜状担体50を用いると、生物膜内部が嫌気的条件となるため、NH4−Nから硝化されたNO2−N、NO3−Nが容易に脱窒処理される。その結果、二段階の散水ろ床5a、5bを備え、かつ膜状担体50を利用することにより、従来のプラスチックろ材を用いた他の散水ろ床法に比べてさらに硝化脱窒性能をより高くできる。
図5(d)の例では、第1の固液分離装置1として脱水装置を備え、貯留槽2で貯留された分離液を固液分離する第2の固液分離装置20として上向流固液分離槽を備え、生物処理槽5として、第一段目に散水ろ床5cを備え、第二段目に流動担体槽5dを備え、流動担体槽5dで得られる生物処理水の少なくとも一部を散水ろ床5cへ循環させる循環手段5eを備える。そして、散水ろ床5c及び流動担体槽5dにより処理された生物処理水を希釈槽6において下水排除基準を満たすように希釈する。
図5(d)の散水ろ床5cの処理条件としては、BOD容積負荷3〜10kg/m3/d、好ましくは4〜6kg/m3/dであり、水温25℃でBOD除去率65〜80%となるような処理を行うことが好ましい。流動担体槽5dによる処理条件としては、BOD容積負荷0.3〜2kg/m3/d、好ましくは0.5〜1kg/m3/dとし、水温25℃でBOD除去率75〜85%、NH4−N硝化率35〜50%となるような処理を行うことが好ましい。また、循環手段5eにおける循環液比は0.5Q〜2Qの範囲となるように設定することが好ましい。
図5(d)に示す処理によれば、第一段目の散水ろ床5cにおいてBOD酸化処理とNOx−Nの脱窒処理を行った後、流動担体槽5dを用いた処理においてBOD酸化処理に加えてNH4−Nの硝化反応を進め、流動担体槽5dで得られる硝化液を、循環手段5eを介して散水ろ床5cへ返送することにより、生物処理をより安定的にすすめて希釈槽6における希釈水の使用量を低減することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る有機性排水の処理装置は、図6に示すように、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する固液分離装置1と、第1固液分離で得られた分離液を貯留する貯留槽2と、貯留後の分離液に対し、嫌気性処理を行う嫌気性処理装置30と、嫌気性処理で得られる濃縮汚泥の少なくとも一部を第1の固液分離前に戻す返送手段4と、嫌気性処理で得られる嫌気性処理水に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽5と、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽6と、嫌気性処理装置30で発生したバイオガスを処理するガス処理設備9とを備える。
第1の固液分離装置1、貯留槽2、生物処理槽5及び希釈槽6の構成は、第1の実施の形態で説明した構成と実質的に同様の構成を利用できるため重複する説明を省略する。
嫌気性処理装置30としては、完全混合型嫌気性処理(機械混合、ガス混合)、固定床式嫌気性処理(上向流、下向流)、流動床嫌気性処理(上向流、下向流)、膜分離嫌気性処理、上向流汚泥床法(UASB)等いずれかの嫌気性処理法を利用する装置が利用できる。中でも嫌気性処理装置30の後段の生物処理槽5での生物処理を考慮すると、嫌気性処理装置30として上向流嫌気性処理装置(UASB、流動床)の利用が好ましい。上向流嫌気性処理装置の処理条件としては、水温25℃とした場合に、CODCr容積負荷3〜10kg/m3/d、好ましくは4〜7kg/m3/d、CODCr除去率20〜50%、BOD容積負荷1〜5kg/m3/d、好ましくは2〜4kg/m3/d、BOD除去率40〜70%となるような処理を行うことが好ましい。
図7は、嫌気性処理装置30として、上向流嫌気性汚泥床法(Upflow anaerobic Sludge Blanket :UASB)を利用したUASB槽の例を示す。有機性排水は、UASB槽30の底部から導入され、汚泥床32に拡散される。汚泥床32の下部では、グラニュール汚泥が流動床を構成している。汚泥床32に拡散された有機性排水中の溶解性有機物や有機酸(酢酸・プロピオン酸など)は、グラニュール汚泥に保持されている嫌気性菌によってメタンガスと二酸化炭素ガスに分解される。グラニュール汚泥及びメタンガスは処理水と共に浮上し、気固液分離部(GSS)33にて、メタンガス、グラニュール汚泥、嫌気性処理水に分離される。メタンガスは、発生ガス排出管37を通して排出され、エネルギー源として利用することができる。嫌気性処理水は、嫌気性処理水排出管38を通して後段の好気性生物処理に送られる。嫌気性処理後の汚泥は、排泥管39を通して第一段目の固液分離装置(脱水機)前に送ることができる。図7に示す構成のUASB槽は、発生するメタンガス量が多い場合に適している。
図8は、図7に示すUASB槽とは別のタイプのUASB槽を示す例である。図8のUASB槽(メタン発酵装置)は、気固液分離部を設けず、気体を透過しない材料からなる屋根材36で槽の上部を密閉被覆し、屋根材36にガス排気口及び発生ガス排出管37を設けている点を除いて、図7に示すUASB槽と同様の構成を有する。図8に示す構成のUASB槽は、発生するメタンガス量が少ない場合に適している。
貯留槽2で貯留される分離液中の溶解性有機物の大半は、酢酸、プロピオン酸等の揮発性有機酸である。そのため、図7及び図8に示す上向流嫌気性処理では、グラニュール汚泥を形成したものだけでなく、砂、活性炭等の担体にメタン菌を主体とした嫌気性菌を付着させることでも良い。また、固定床式嫌気性処理、完全混合型嫌気性消化槽(ガス混合、機械混合等)いずれの嫌気性処理方式も適用することができる。
ガス処理設備9は、嫌気性処理装置30による嫌気性処理で発生するバイオガス、特に、余剰メタンガス及び硫化水素ガスを生物学的に酸化処理することを含み、図6に示すように、高濃度臭気と混合して生物脱臭する工程と、薬液洗浄する工程と、活性炭処理する工程とを含むことができる。
また、ガス処理設備9には、バイオガス中の硫化水素除去を行うための脱硫塔、余剰ガスを処分するための余剰ガス燃焼装置、脱硫後のバイオガスを貯留するためのガスホルダー及び熱源としてバイオガスを有効利用する場合はボイラー設備等、電気エネルギーに変換して利用する場合はガス発電設備等を含むことができる。
嫌気性処理の発生ガス中には、主にメタン、二酸化炭素、硫化水素が含まれる。しかしながら、嫌気性処理の発生ガスは、そのまま大気排出ができないため、通常は、メタンガス、硫化水素ガスは脱硫後、余剰ガス燃焼装置で処理され、メタンガス、硫化水素ガスは好気処理で容易に酸化処理される。し尿処理設備においては、既存の脱臭設備が備えられている。し尿処理各設備の臭気ガス量に比べて、嫌気性処理で発生するガス量は少ないため、嫌気性処理で発生したガスの処理のために、既存の脱臭設備を利用することで、設備の簡略化が図れる。
第2の実施の形態に係る有機性排水の処理装置によれば、貯留後の分離液に対し、嫌気性処理を行う嫌気性処理装置30を備えることにより、貯留後の分離液からバイオガスを発生させてエネルギーを回収するとともに、後段の生物処理により好適となる性状の処理水を得ることができる。その結果、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む被処理水から下水排除基準を満足する処理水をより効率良く得ることが可能となる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る有機性排水の処理装置は、図9に示すように、嫌気性処理装置30における嫌気性処理により発生するバイオガスを直接、或いは脱硫後、水性媒体と気液接触させる気液接触装置7を更に備える点が、図6に示す有機性排水の処理装置と異なる。
気液接触装置7は、流動担体槽5dで処理された消化液の一部を循環させる循環手段5eと、嫌気性処理装置30で発生したバイオガスを供給する供給管との間に接続されている。嫌気性処理により発生するバイオガスは、必要に応じて直接、或いは図示しない脱硫装置等により脱硫した後、水性媒体である流動担体槽5dからの消化液である水性媒体と気液接触させ、水性媒体中にバイオガス中のメタンガスを溶解させる。このメタンガスが溶解した水性媒体を散水ろ床5cへ循環させ、水素供与体として、散水ろ床5cにおける無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理の脱窒工程へ供給することで、生物処理を効率良く行い、希釈槽6へ送られる生物処理水の性状を良好なものとすることができる。なお、図9の例では、生物処理槽5として、散水ろ床5c及び流動担体槽5dを用いる例を示しているが、散水ろ床5c及び流動担体槽5dの代わりに回転円板法、固定床法を利用してもよいことは勿論である。
嫌気性処理装置30から発生するバイオガスは、メタン(60〜80vol%)及び二酸化炭素(20〜40vol%)の他に硫化水素(200〜2000ppm)を含む。そのため、必要に応じて脱硫して脱硫後バイオガスとして、エネルギー源として利用してもよいし、水性媒体と気液接触させてバイオガス中のメタンガスを溶解させて、溶存メタンを含む水素供与源として生物処理槽5における生物処理に供給することができる。
バイオガスと水性媒体とを接触させる気液接触装置7は、図10に示すような槽タイプであっても、図11に示すような塔タイプであってもいずれでもよい。気液接触効率を高めるため、液面高さは4m〜10mが好ましい。図11に示す塔タイプではプラスチックろ材、繊維ろ材又は磁性ろ材などの充填材を充填することが好ましい。気液接触装置7内には、散気板、散気塔、メンブレン膜等の気泡発生手段を水中に浸漬させ、水中に供給するバイオガスの気泡径をできる限り微細にすることが好ましい。気液接触装置へのバイオガスの供給は、脱硫塔と気液接触装置とを密閉された配管で接続して行うことができる。また、水性媒体へのメタンガスの溶解度は水温に依存するため、水性媒体の温度を調節する。
気液接触装置7内では散気板、散気塔、メンブレン膜等の気泡発生手段を水中に浸漬させ、水中に供給するバイオガスの気泡径をできる限り細かくするのが好ましい。このような気液接触装置7で、生物処理水とバイオガスとを気液接触させると、バイオガス中のメタンガス及び二酸化炭素ガスの一部が生物学的窒素処理水(水性媒体)に溶解する。この際、気液接触させる生物処理水の水温を調整することで、気液接触後のメタン溶解量を調整することができる。すなわち、水温が低くなるとメタンの水に対する溶解度は高くなり、水温が下がるとメタン溶解量は増え、水温が上がるとメタン溶解量は減るため、気液接触させる生物処理水の水温を調整することで、気液接触後のメタン溶解量を調整することができる。
生物処理水の溶解性BOD/NH4−N比が高い場合は、気液接触装置7内の水温を上げ、生物処理水の溶解性BOD/NH4−N比が低い場合、例えばBOD/NH4−N比が3未満である場合は、気液接触装置7の水温を下げてメタン溶解量を増やすようにするのが好ましい。そのため、気液接触装置7は液温制御手段を備えているか、生物処理水の供給管の途中に液温制御手段を配設するのが好ましい。
このようにしてメタンが溶解した水性媒体、すなわち溶存メタンを含む気液接触処理水を、配管を通じて生物処理槽5の脱窒処理に供給し、他方、気液接触後に回収されるガスはガスホルダー(不図示)で貯留した後に有効利用すればよい。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
−上向流固液分離による生物処理原水の性状変化−
し尿、浄化槽汚泥を脱水装置で混合脱水処理した分離液を1日間、貯留槽で滞留させた貯留水を原水とし、この原水を上向流固液分離装置(直径45cm、有効容量533L)に通水して処理水(以下「生物処理原水」という)を得た。原水性状を表1に示す。
Figure 2021142510
この原水を、上述の上向流固液分離装置に対し、通水速度1.8、4.0、7.0、10m/hで通水して得られた生物処理原水のSS除去率と通水速度との関係を評価した。結果を表2及び図12に示す。図12に示すように、通水速度の増加とともにSS除去率が低下する傾向にあり、通水速度4.0m/h以下であればSS除去率は50%以上となることが分かった。これより、通水速度は4m/h以下とすることで、後段の無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理に好適な生物処理原水が得られることが分かった。また、上向流固液分離装置で得られた分離汚泥は、通水速度1.8〜7.0m/hでは約2wt%、通水速度10m/hでは1〜1.5wt%となり、第1の固液分離前に返送する汚泥濃度(1wt%以上)として問題がないことが確認できた。
Figure 2021142510
表2に示すように、貯留後の分離液に対して上向流固液分離を行うことで生物処理原水性状はSS濃度、BOD濃度ともに低下した。生物処理原水を生物処理(散水ろ床、有効容量2m3)でのBOD容積負荷3kg/m3/dに通水すると、生物処理原水水量は、固液分離しない場合は5.3m3/dとなるのに対し、上向流固液分離を行う(1)〜(4)のいずれの態様においては5.4〜5.9m3/dとなり1割程度水量を増加できていることから、その分だけ生物処理後の希釈水量を軽減できることが分かる。また、上向流固液分離装置で分離される汚泥中には細粒砂が含まれていたが、上向流固液分離を行うことでその後の生物処理における散水ろ床の循環槽での砂の堆積はなかった。一方、固液分離しない場合は、循環槽に砂が堆積し、2〜3か月に1回の頻度で堆積砂の除去が必要であった。
(実施例2)
−生物処理前に上向流嫌気性処理を行うことによる処理水の性状変化−
実施例1と同じ原水を使用し、生物処理前の嫌気性処理としてUASBメタン発酵処理を採用し実験を行った。UASB実験装置は有効容量100L(高さ2.5m、直径25cm)の透明塩ビ製のものを使用した。上向流嫌気性処理装置の後段の生物処理は散水ろ床処理を用い、1槽の有効容量は35L(L20cm×D20cm×H88cm)とした。散水ろ床に図3及び図4に示す膜状担体を収容して処理を行った。
表3に、嫌気性処理の運転条件と有機物除去率を示す。UASBリアクタ−は無加温で行い、水温24℃で、CODCr容積負荷4.5kg/m3/d、CODCr除去率30%、BOD容積負荷2.3kg/m3/d、BOD除去率60%であった。
Figure 2021142510
図13に示す処理フロー(試験例1)、図14に示す処理フロー(試験例2)及び第2の固液分離を行わない図15に示す従来のフロー(比較例)に従って有機性排水の処理を行った。試験例1、2及び比較例のいずれも生物処理として上述の散水ろ床法による処理を二段で行った。試験例2では、図16に示すように、第二段目の散水ろ床の循環槽から散水ろ床へ循環水を送る配管経路に気液接触装置7を接続し、嫌気性処理装置30で発生したバイオガスを気液接触装置7へ通し、循環液(硝化液)と接触させた。結果を表4に示す。表4中「原水」は嫌気性処理槽流入前の貯留槽2で貯留した分離液を意味し、「処理水1」は第一段目の散水ろ床処理後の生物処理水を意味し、「処理水2」は第二段目の散水ろ床処理後の生物処理水を示す。なお、原水水量は94〜100L/dとした。
Figure 2021142510
第2の固液分離処理(嫌気性処理)を行わない比較例では、原水BOD1440mg/L、T−N655mg/Lに対し、処理水2のS−BODが19mg/L、処理水2のT−Nが332mg/Lであった。一方、試験例1では原水BOD457mg/L、T−N686mg/Lに対し、処理水2のS−BODが6mg/L、T−Nが282mg/Lであった。試験例2では、原水BOD457mg/L、T−N686mg/Lに対し、処理水2のS−BODが6mg/L、T−Nが252mg/Lであった。
試験例1ではメタン発酵処理で有機物を除去することで、後段の生物処理のBOD容積負荷を下げることにより、硝化反応を促進することができたため、窒素除去率が比較例より高くなった。また試験例2では、気液接触装置でメタンガスを溶存させることで、脱窒素用の水素供与体を増やすことでT−N除去率が増加した。以上の結果より希釈倍率は比較例では1.4倍となるのに対し、試験例1では1.2倍、試験例2では1.1倍に下げることが可能となった。
なお、実施例2の試験例1、2におけるUASBメタン発酵処理では無加温で行ったためBOD容積負荷、BOD除去率は低い値を示したが、加温源(蒸気、温水等)がある場合はUASBメタン発酵処理は最適温度の35℃前後に加温すれば、本実施例(無加温24℃)の2倍以上の処理結果が期待でき(BOD容積負荷5kg/m3/dでBOD除去率80%)、後段生物処理のBOD処理、窒素処理をさらに向上できる。
例えば、水温35℃の場合、CODCr容積負荷10kg/m3/d、CODCr除去率60%、BOD容積負荷5kg/m3/d、BOD除去率80%の処理結果が得られた。この場合、嫌気性処理水のBODは90mg/L、NH4−Nは560mg/Lとなり、後段生物処理のBOD容積負荷は1kg/m3/d以下に下がるため、散水ろ床1段で窒素処理(硝化、脱窒)が可能となる。試験例2のように嫌気性処理の発生ガス中のメタンを気液接触装置で溶解させることで脱窒素用の水素供与体を増やすことで窒素処理成績の増加が可能となる。この場合は希釈水なしで下水排除基準を満たすことも可能となる。
本発明は上記の実施の形態及び実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、試験例2では、図16に示す処理フローに沿って試験を行ったが、図17に示すように、散水ろ床と流動担体槽とを組み合わせた生物処理にも適用可能であることは勿論である。このように、本発明は、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲において変形し具体化し得るものである。
1、20…固液分離装置
2…貯留槽
4…返送手段
5…生物処理槽
5a、5b、5c…散水ろ床
5d…流動担体槽
5e…循環手段
6…希釈槽
7…気液接触装置
9…ガス処理設備
20a、20b、20c、20d…上向流固液分離槽
21a、21d…槽本体
22a、22b、22c、22d…有機性排水導入管
23a…越流水排水口
24a、24b、24c、24d…排泥管
25d…撹拌機
26d…汚泥かき寄せ機
30…嫌気性処理装置
32…汚泥床
33…気固液分離部(GSS)
34…受け部
35…上面
36…屋根材
37…発生ガス排出管
38…嫌気性処理水排出管
39…排泥管
50…膜状担体
51…支持体
52…膜
52a…湾曲部
52b、52c…延伸部
52d…開口部
53…空間
a1…小径部
a2…拡径部
a3…大径部
h1…上向流分級部
h2…下部沈降部
h3…撹拌翼設置高さ
D1…小径部の直径
D2…大径部の直径
H…処理総水位

Claims (6)

  1. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、前記分離液を貯留し、貯留後の前記分離液に対し、第2の固液分離を行い、前記第2の固液分離の分離汚泥を前記第1の固液分離前に戻し、前記第2の固液分離で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行った後、前記生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  2. 前記第2の固液分離を上向流で行うことを特徴とする請求項1に記載の有機性排水の処理方法。
  3. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離し、前記分離液を貯留し、貯留後の前記分離液に対し、嫌気性処理を行い、前記嫌気性処理で得られる濃縮汚泥を前記第1の固液分離前に戻し、前記嫌気性処理で得られる嫌気性処理水に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行い、前記生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  4. 前記嫌気性処理により発生するバイオガスを生物学的に酸化処理することを特徴とする請求項3に記載の有機性排水の処理方法。
  5. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する第1の固液分離装置と、
    前記分離液を貯留する貯留槽と、
    前記貯留槽に貯留された前記分離液に対して第2の固液分離を行う第2の固液分離装置と、
    前記第2の固液分離で得られる分離汚泥を前記第1の固液分離前に戻す返送手段と、
    前記第2の固液分離装置で得られる分離液に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽と、
    前記生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽と
    を備えることを特徴とする有機性排水の処理装置。
  6. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む被処理水を第1の固液分離により分離汚泥と分離液とに分離する第1の固液分離装置と、
    前記分離液を貯留する貯留槽と、
    前記貯留槽に貯留された前記分離液に対して嫌気性処理を行う嫌気性処理装置と、
    前記嫌気性処理装置で得られる濃縮汚泥を前記第1の固液分離前に戻す返送手段と、
    前記嫌気性処理装置で得られる嫌気性処理水に対し、散水ろ床法、流動担体法、回転円板法、固定床法のいずれかを少なくとも含む無閉塞型の生物膜法を用いた生物処理を行う生物処理槽と、
    前記生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽と
    を備えることを特徴とする有機性排水の処理装置。
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