JP7398601B1 - 有機性排水処理装置および有機性排水処理方法 - Google Patents

有機性排水処理装置および有機性排水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜分離メタン発酵槽で有機性排水を嫌気処理したとき、膜ろ過水中に溶存するメタン量の低減を図り、回収メタン量の増大を図ることができる有機性排水処理装置および有機性排水処理方法を提供する。【解決手段】浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水W1を嫌気条件下でメタン発酵するとともに、精密ろ過膜または限外ろ過膜を用いて膜ろ過を行って膜ろ過水W2を得る第1処理装置20と、第1処理装置20の後段側に設けられ、膜ろ過水W2中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置32を備えた第2処理装置30と、第2処理装置30の後段側に設けられ、後処理する第3処理装置40とを、備える。【選択図】図2A

Description

本発明は、有機性排水を高度に処理すると共に、バイオガスの回収量の増大を図る有機性排水処理装置および有機性排水処理方法に関する。
現在、生活排水、産業排水、下水、またはこれらのうちの少なくとも1つを用いて混合した排水などの有機物および窒素成分を含んだ有機性排水(以下、これらを総称して単に「有機性排水」と呼称する)は、活性汚泥法に代表される好気性微生物を用いる方式で処理されることが多い。活性汚泥法は、微生物を水中に浮遊させた状態で用いる方法である。活性汚泥は、有機性排水に空気を吹き込み、攪拌することにより、有機性排水中の有機物を利用して種々の微生物が繁殖し、凝集性のあるフロックを形成したものである。活性汚泥には、細菌類、原生動物、後生動物などの微生物のほかに、非生物性の無機物や有機物が含まれている。
ここで、活性汚泥法による下水処理(有機性排水処理)は、実用化されてから約百年が経過しており、標準活性汚泥法や循環式硝化脱窒法などの様々な手法が開発されている。
標準活性汚泥法は、下水中の有機物を活性汚泥により酸化分解するためのエアレーションタンク(曝気(ばっき)槽)と、活性汚泥を重力分離するための沈殿池とを組み合わせたプロセスにより下水を処理する技術である。
循環式硝化脱窒法は、生物反応槽を無酸素槽(脱窒槽)と、好気槽(硝化槽)との順に配置し、好気槽の硝化混合液の一部を無酸素槽へ循環して処理する方式で、生物学的に窒素を除去する技術である。
従来の活性汚泥法、例えば、前記した循環式硝化脱窒法には、好気槽(硝化槽)で大量の空気と動力を用いて曝気を行う必要があり、多大なエネルギーを必要とするという問題があり、これを解決する技術としてエネルギー消費量および余剰活性汚泥の発生量を少なくすることができる一槽式アナモックス処理装置を備えた有機性排水処理装置が提案されている(特許文献1)。
特開2019-25438号
しかしながら、特許文献1の技術において、膜分離メタン発酵槽(嫌気性MBR)の後段で主として窒素除去目的で一槽式アナモックス処理装置を設置するような場合、導入された嫌気性膜ろ過水中にはバイオガスとしてメタンガスが溶存されているので、メタンガスを効率よく回収することができない、という問題がある。
すなわち、嫌気性膜ろ過水に含まれるアンモニアの約半量を亜硝酸態窒素に酸化するために後段側において、空気曝気処理を行う場合には、溶存されているメタンが曝気空気とともに大気に拡散され、結果として温室効果の高いメタンガスを大気に放出してしまうからである。
本発明は、膜分離メタン発酵槽(嫌気性MBR)で有機性排水を嫌気処理したとき、嫌気性膜ろ過水中に溶存するメタン量の低減を図り、回収メタン量の増大を図ることができる有機性排水処理装置および有機性排水処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る有機性排水処理装置は、浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水を嫌気条件下でメタン発酵するとともに、膜ろ過を行って膜ろ過水を得る第1処理装置と、
前記第1処理装置の後段側に設けられ、前記膜ろ過水中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置を備えた第2処理装置と、
前記第2処理装置の後段側に設けられ、後処理する第3処理装置とを、備え
前記真空脱気装置は、第2処理槽の上部気相部を閉塞して密閉状態とする閉塞部と、前記閉塞部の上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒と、前記脱気用外筒の内部に一端部が膜ろ過水中に配され、他端部が脱気用外筒内の上部ガス溜まり内に配される内筒と、前記脱気用外筒の頂部に接続され、真空ポンプが介装されたメタン回収ラインと、からなることを特徴とする。
本発明の第2態様に係る有機性排水処理方法は、浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水を嫌気条件下でメタン発酵するとともに膜ろ過を行って膜ろ過水を得る第1処理工程と、
前記第1処理工程で得られた前記膜ろ過水中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置を備えた第2処理工程と、
前記第2処理工程で得られた処理水を後処理する第3処理工程とを、有し、
前記第2処理工程において、
前記真空脱気装置が、第2処理槽の上部を閉塞して密閉状態とする閉塞部と、前記閉塞部の上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒と、前記脱気用外筒の内部に一端部が膜ろ過水中に配され、他端部が脱気用外筒内の上部ガス溜まり内に配される内筒と、前記脱気用外筒の頂部に接続され、真空ポンプが介装されたメタン回収ラインとからなり、所定の真空度で膜ろ過水中の溶存メタンを回収することを特徴とする。
本発明によれば、嫌気性膜ろ過水中の溶存メタン量の低減を図ることができると共に、バイオガスであるメタンの回収量の増大を図ることができる。
本実施形態に係る有機性排水処理装置の概要を示す説明図である。 第1実施形態にかかる有機性排水処理装置の概略構成図である。 第1実施形態にかかる第2処理装置の概略構成図である。 第2実施形態にかかる有機性排水処理装置の概略構成図である。 担体を示す斜視図である。 第3実施形態にかかる有機性排水処理装置の概略構成図である。 第4実施形態にかかる有機性排水処理装置の概略構成図である。 第5実施形態にかかる有機性排水処理装置の概略構成図である。 本実施形態に係る有機性排水処理方法の内容を説明するフロー図である。 本実施形態に係る他の有機性排水処理方法の内容を説明するフロー図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[有機性排水処理装置]
図1は、本実施形態に係る有機性排水処理装置100の概要を説明する説明図である。
本実施形態に係る有機性排水処理装置100は、例えば生活排水、産業排水、下水、またはこれらのうちの少なくとも1つを用いて混合した排水などの有機物および窒素成分を含む有機性排水W1を高度に処理する装置である。
図1に示すように、本実施形態に係る有機性排水処理装置100は、第1処理装置20と、第2処理装置30と、第3処理装置40とを有する。
ここで、生活排水とは、例えば炊事、洗濯、入浴などの一般的な人間の生活に伴って生じ、排出される水をいう。生活排水には、し尿や雨水が含まれていることもある。
産業排水とは、農林漁業(第一次産業)、鉱工業(第二次産業)からの排水をいう。
下水とは、生活排水が主体で、これに産業排水や場合によって雨水などが加わったものをいう。なお、本明細書においては、埋立処分場からの浸出水も有機性排水として扱うことができる。
有機物は、有機化合物とも呼ばれており、炭素原子間の共有結合を基本として構成される化合物をいう。
窒素成分としては、遊離アンモニア(NH3)、アンモニウムイオン(NH4 +)、アンモニア性窒素(NH4-N)、亜硝酸性窒素(NO2-N)、硝酸性窒素(NO3-N)が挙げられる。アンモニア性窒素とは、アンモニアの形になっている窒素をいい、亜硝酸性窒素とは、亜硝酸の形になっている窒素をいい、硝酸性窒素とは、硝酸の形になっている窒素をいう。
高度に処理するとは、前記した有機物を除去することに加えて、前記した窒素成分を除去(脱窒)することをいう。
本実施形態に係る有機性排水処理装置では後記する手段を有しているため、有機性排水中の有機物の濃度の高低や窒素成分の濃度の高低に関わらず処理できる。
(流量調整槽10)
有機性排水処理装置100は、第1処理装置20の前段に第1処理装置20への有機性排水W1の流入量を調整する流量調整槽10を設けることができる。なお、流量調整槽10は必要に応じて設けることができるものであり、設けなくてもよい。
(第1実施形態)
図2Aは、第1実施形態にかかる有機性排水処理装置100Aの構成を説明する概略構成図である。
図2Aに示すように、本実施形態にかかる有機性排水処理装置100Aは、浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水W1を嫌気条件下でメタン発酵するとともに、精密ろ過膜または限外ろ過膜を用いて膜ろ過を行って膜ろ過水W2を得る第1処理装置20と、第1処理装置20の後段側に設けられ、膜ろ過水W2中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置32を備えた第2処理装置30と、第2処理装置30の後段側に設けられ、後処理する第3処理装置40とを、備える。
流量調整槽10から第1処理装置20への有機性排水の流入量の調整は、例えば、流量調整槽10と第1処理装置20との間に設けられた流量調整槽ポンプP1の出力を調整することで行うことができる。流量調整槽10への有機性排水の流入は、有機性排水処理場施設との間に設けられたポンプ(図示せず)で行うことができる。流量調整槽10は有機性排水W1を攪拌する攪拌機11を備えていてもよい。M1は撹拌機11を駆動するモータ等の駆動装置である。
なお、符号50は最終沈殿槽、符号W1は有機性排水、W2は膜ろ過水、W3はメタン除去処理水、W4処理水、W5は放流水、符号L1は流入ライン、L2~L5は排水又は処理水を移送する排水ライン、L6は流出ラインを、B1~B2はブロア、P1~P5はポンプを各々示している。
(第1処理装置20)
第1処理装置20は、前記した有機性排水W1を嫌気条件下でメタン発酵するとともに膜ろ過を行って膜ろ過水W2を得る装置である。つまり、第1処理装置20によって、有機性排水W1中に含まれている有機物の大部分を分解することができ、メタン(CH4)を生成することができる。
ここで、メタン発酵とは、様々な微生物による有機物の分解反応と、メタン生成古細菌が最終的にメタン(CH4)を生成するメタン生成反応との総称である。
この第1処理装置20で発生した発生メタンはバイオガスG1としてバイオガス排出ラインL11を介して別途回収される。回収されたメタンは、図示しないガスホルダに貯蔵され、電気や熱の生成に用いられる。また、膜ろ過を行うので、膜ろ過水W2に浮遊物質が含まれることもない。有機物や浮遊物質は、第3処理装置40において活性汚泥の発生源となる。つまり、第3処理装置40に脱窒細菌が含まれている場合に活性汚泥が発生し易くなる。そのため、この第1処理装置20で有機物や浮遊物質をなるべく多く分解したり除去したりするのが好ましい。
メタンの生成は、メタン生成古細菌(メタン生成アーキア)による働きで行われる。メタン生成古細菌とは、嫌気条件でメタンを生成する微生物群の総称であり、その全ては古細菌に分類される。メタン生成古細菌は、嫌気条件下、複数種の微生物によって有機物が完全に分解されて生成した水素、二酸化炭素、ギ酸、酢酸、メチルアミン類などを基質としてメタンを生成する。メタンの生成プロセスについて複数提案されているが、天然において多量のメタンが生成する可能性があるプロセスとして、次の2つの式(1)、式(2)が挙げられている。
CH3COO-+H++OH-→CH4+CO2+OH-…(1)
CO2+8H++8e-→CH4+2H2O…(2)
本実施形態では、水素資化性メタン生成古細菌や酢酸資化性メタン生成古細菌などを用いることができる。本実施形態で用いることのできるメタン生成古細菌としては、例えば、Methanobacterium属、Methanobrevibacter属、Methanosphaera属、Methanothermus属、Methanococcus属、Methanolacinia属、Methanomicrobium属、Methanogenium属、Methanospirillum属、Methanoculleus属、Methanoplanus属、Methanosarcina属、Methanolobus属、Methanococcoides属、Methanothrix(Methanosaeta)属、Methanoregula属、Methanolinea属、Methanohalophilus属、Methanohalobium属、Methanocorpusculum属などが挙げられる。なお、本実施形態においてはこれらに限定されることなく、メタンを生成できる細菌であればどのようなものも用いることができる。メタン生成古細菌および前記した有機物を分解する様々な微生物は、既存の消化タンクなどから容易に得ることができる。
第1処理装置20としては、膜ろ過を行う膜モジュール22を備えた膜分離メタン発酵槽20aを用いることが好ましい。このような構成とすることで、有機性排水処理装置100Aは、従来の活性汚泥法に係る装置と比較してコンパクト化でき、建設費用を低コスト化できる。また、活性汚泥法のように大量の酸素(空気)で曝気する必要がないので、エネルギー消費量を少なくでき、ランニングコストを低くできる。
膜分離メタン発酵槽20aは、懸濁性嫌気性菌(メタン生成古細菌を含む)を保持するメタン発酵槽、または嫌気性グラニュール汚泥を保持するメタン発酵槽とすることができる。なお、懸濁性嫌気性菌とは、グラニュール(粒状)を形成しない嫌気性菌を意味している。
前者のメタン発酵槽内における嫌気性菌の保持は、例えば、単に有機性排水中に嫌気性菌を懸濁させておくことや、ポリエチレングリコール(PEG)系のプレポリマーを用いて所定の大きさに作製したゲル担体に嫌気性菌を付着固定化させておくことなどで行うことができる。付着固定化すると、膜ろ過において膜へのファウリングを生じ難くすることができる。
また、後者のメタン発酵槽における嫌気性グラニュール汚泥とは、嫌気性菌の自己凝集(aggregation)と造粒(granulation)する性質を利用して形成された粒状化汚泥をいう。嫌気性グラニュール汚泥に含まれるグラニュールとは、一般的に粒径が例えば0.2mm以上の大きさで形成されたものをいうが、本実施形態ではこれに限定されるものではなく、粒径が0.2mm未満のものであっても造粒体を形成していればグラニュールとして扱うことができる。嫌気性グラニュール汚泥とした場合も、膜ろ過において膜へのファウリングを生じ難くすることができる。
嫌気条件は、外部から空気が流入しない密閉構造の槽を用いて処理を行うことで作り出すことができる。嫌気条件とするため、必要に応じて槽の気相(ヘッドスペース)に二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)ガスなどを導入してもよい。ここで導入するCO2やN2ガスは、有機性排水処理装置100Aで生成したものを用いることができる。
膜ろ過としては、例えば精密ろ過(Microfiltration;MF)膜、限外ろ過(Ultrafiltration;UF)膜、ナノろ過(Nanofiltration;NF)膜、逆浸透(Reverse Osmosis;RO)膜のうちの少なくとも一つを用いて行うことができる。このようにすると、所定の大きさの有機物は透過できないので、後述する第3処理装置40における活性汚泥の発生量を少なくすることができる。
本実施形態では、前記した中でも、MF膜またはUF膜を用いるのが好ましい。MF膜やUF膜を用いてろ過すると、固形の有機物だけでなく、メタン生成古細菌などの微生物を含まない有機性排水(膜ろ過水)を後述する第3処理装置40に供給することができる。つまり、MF膜やUF膜を用いることによって、有機性排水処理装置100Aは、第1処理装置20からのメタン生成古細菌の流失を防ぎ、第1処理装置20内におけるメタン生成古細菌の生細胞数を高く維持できる。本実施形態では、孔径が例えば1μm以下のMF膜を用いるのがより好ましい。このようにすると、NF膜やRO膜を用いる場合と比較して、ろ過に使用する膜ろ過ポンプP2の動力を抑えることができる。
膜ろ過に用いる膜は、塩素化ビニル樹脂(CPVC)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成されたものを用いることができる。膜ろ過に用いる膜の形態は、平膜、管状膜、中空糸膜(内径が例えば5mm以下、好ましくは3mm以下の管状膜)のいずれも採用することができる。
以上に説明した第1処理装置20として用いられる膜分離メタン発酵槽(嫌気性MBR)としては、例えば、クロスフロー型嫌気性膜バイオリアクター(Membrane Bioreactor;MBR)、浸漬型嫌気性MBR(槽別置型)や浸漬型嫌気性MBR(一体型)などを用いることができる。なお、図2Aには、浸漬型嫌気性MBR(一体型)21を例示している。
クロスフロー型嫌気性MBRは、メタン発酵させるメタン発酵槽と、汚泥を膜で分離する膜分離装置とを独立して設置し、膜分離装置の膜モジュール内部に高い圧力を加えて汚泥を流して膜ろ過を行うものである。
浸漬型嫌気性MBR(槽別置型)と浸漬型嫌気性MBR(一体型)21は、膜ろ過ポンプP2で吸引することによって膜分離、すなわち膜ろ過を行うものである。浸漬型嫌気性MBR(槽別置型)は、メタン発酵槽と膜分離装置とを独立して設置したものであり、浸漬型嫌気性MBR(一体型)21は、メタン発酵槽内に膜分離装置を設置したものである。
本実施形態では、前記したいずれの膜分離メタン発酵槽も採用可能であるが、図2Aに示すように、浸漬型嫌気性MBR(一体型)21を採用するのが好ましい。これは浸漬型嫌気性MBR(一体型)21を採用すると、槽内に膜モジュール22を収めるので、設置面積が減り、装置をよりコンパクト化できるからである。また、浸漬型嫌気性MBR(一体型)21を採用すると、ポンプ(膜ろ過ポンプP2)の設置数を少なくすることができる。そのため、有機性排水処理装置100は、建設費用やランニングコストを低コスト化でき、さらに省エネルギー化できる。なお、浸漬型嫌気性MBR(槽別置型)を採用した場合、浸漬型嫌気性MBR(一体型)21と比較すると、膜の洗浄が容易になる。
第1処理装置20として用いる膜分離メタン発酵槽(嫌気性MBR)のメタン発酵槽20aを生物反応器の形式でみると、有機性排水中に含まれる浮遊物質が少ない排水に対しては、完全混合法、流動床法、嫌気性接触法、嫌気性濾床法等を挙げることができる。また、浮遊物質が多い排水(固形物廃棄物)を対象とする場合には、例えば完全混合法、嫌気性接触法、嫌気性バッフル反応器(Anaerobic Baffled Reactor:ABR)法等を挙げることができるが本発明はこれに限定されるものではない。
第1処理装置20には、メタン生成古細菌の活性を維持することを目的として、カルシウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、コバルト、カリウム、ナトリウム、亜鉛、セレン、タングステン、モリブデン、銅、マンガン、アルミニウムなどの無機塩(金属)を添加する装置(図示せず)を設けることができる。また、第1処理装置20には、水温を調節するための加熱装置(図示せず)を設けることができる。当該加熱装置は、第1処理装置20で得られたメタンガスを燃焼させて得られた熱や電気を利用することができる。第1処理装置20には、pH計、溶存炭酸ガス計、温度計などのセンサSr1を設けることができる。なお、センサは、計測対象ごとに個別に設けられるものである。
(第2処理装置30)
図2Bに第2処理装置の概略構成図を示す。第2処理装置30は、第1処理装置20の後段側に設けられ、膜ろ過水W2中の溶存メタンの一部を除去して回収処理する真空脱気装置32を備えたメタン回収処理装置である。
図2Bに示すように、この第2処理装置30は、膜ろ過水W2が流入する第2処理槽31と、真空脱気装置32とから構成される。
この真空脱気装置32は、第2処理槽31の上部を閉塞して密閉状態とする閉塞部31aと、閉塞部31aの上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒(以下「外筒」という)33と、脱気用外筒33の内部に一端部34aが第2処理槽31内の膜ろ過水W2中に配され、他端部34bが脱気用外筒33内の上部ガス溜まりS内に配される内筒34と、外筒33の頂部に接続され、真空ポンプVPが介装されたメタン回収ラインL12とから構成される。なお、外筒33の底部側側面にはメタン除去処理水W3を後処理する第3処理装置40に移送する排出ラインL4が接続されている。
このような真空脱気装置32を用いて、真空ポンプVPを駆動し、ガス溜まりS内を所定の真空度(X)に保つようにすることで、第2処理槽31内の膜ろ過水W2を吸い上げて内筒34の内部を上昇させ、内筒34の他端部34bからオーバーフローさせて、外筒33と内筒34との間に落下させる。この際、真空ポンプVPにより減圧処理されていることで膜ろ過水W2に溶存している溶存メタンがガスとして気液分離され、メタンが除去されたメタン除去処理水W3を落下させている。このメタン除去処理水W3は外筒33の側面に設けた排出ラインL4から第3処理装置40に送られる。ここで、本発明で脱気処理とは、真空ポンプVPを使用して液体(膜ろ過水W2)にかかる圧力を下げて、溶存ガス(メタンガスなど)を気液分離して放出させることをいう。なお、真空ポンプVPは、例えば水封式とし、モータは防爆仕様としている。
その後、分離・回収された回収メタンガスであるバイオガスG2は、メタン回収ラインL12を介して除去され、バイオガス排出ラインL11側のバイオガスG1と合流(G=G1+G2)される。
ここで、本実施形態では、下水(流入水質:BOD200mg/L、CODCr 440mg/L、SS200mg/L、全窒素33mg/L)を水温20℃で、膜分離メタン発酵槽として浸漬型嫌気性MBR(一体型)でメタン発酵処理して得た膜ろ過水を対象とし、真空脱気装置32における真空度(VD:vacuum degree)としては、例えば30kPa(≒0.3気圧)の条件下の場合では、膜ろ過水W2に溶存するメタンの脱気・回収割合は約75%となる。また、真空度(VD)が例えば20kPa(≒0.2気圧)条件下では、膜ろ過水W2に溶存するメタンの脱気・回収割合は約85%になる。
また、第2処理槽31内の膜ろ過液W2の比重を1.0とし、真空脱気装置32における真空度を例えば30kPaとする場合には、第2処理槽31の上部気相部圧力を大気圧としたとき、第2処理槽31の水面(WL)から内筒34の他端部34bまでの高さ(H1)を約7.3mとすることで、溶存メタンの75%を回収することができる。この際、上部ガス溜まりSのフリーボード部の高さ(H2)は消泡等の空間を考慮して2m程度としている。
さらに、第2処理槽31の上部気相部圧力を例えば4kPaとしたときには、第2処理槽31の水面(WL)から内筒34の他端部34bまでの高さ(H1)を約7.7mとすることで、溶存メタンの75%を回収することができる。この際、上部ガス溜まりSのフリーボード部の高さ(H2)は2m程度としている
また、真空脱気装置32における真空度が20kPa(≒0.2気圧)とする場合には、第2処理槽31の上部気相部圧力を大気圧としたとき、第2処理槽31の水面(WL)から内筒34の他端部34bまでの高さ(H1)を約8.3mとすることで、溶存メタンの85%を回収することができる。
さらに、第2処理槽31の上部気相部圧力を例えば4kPaとしたときには、第2処理槽31の水面(WL)から内筒34の他端部34bまでの高さ(H1)を約8.7mとすることで、溶存メタンの85%を回収することができる。
なお、真空ポンプVPの圧力(又は真空)は、外筒33上部気相部S又はメタン回収ラインL12に設けた圧力指示調節器(PIC)で調整している。
なお、第2処理槽31の水面(WL)から内筒34の他端部34bまでの高さ(H1)は、第2処理槽31内の膜ろ過水W2の例えば比重、内筒34の内面の上昇流に対する例えば抵抗等により、適宜調整する。
このように、真空ポンプVPにより所定の真空度(例えば30kPa)に保つことで、第2処理槽31内の膜ろ過水W2は真空で吸い上げられ、内筒34内を上昇し、内筒34の他端部34bからオーバーフローして外筒33と内筒34との間に落下する。膜ろ過水W2の溶存ガスであるメタンガスはこの筒内の減圧下で気液分離されて除去される。その後メタンが除去されたメタン除去処理水W3は第3処理装置40に排出ラインL4を介して送られる。
本実施形態では好ましい例示として真空度を20kPaと30kPaとの例示をしたが、本発明における真空度はこれらに限定されるものではなく、例えば10kPaから50kPaとすることができる。
また、内筒34を上昇する膜ろ過水W2の上昇部流速(F1)は、例えば0.3m/秒以下(好ましくは0.2m/秒)とし、内筒34と外筒33との間のメタン除去処理水W3の下降部流速(F2)は、例えば0.1m/秒以下(好ましくは0.07m/秒)とするのが好ましい。
これは、下降部線速(F2)があまりにも早い場合には、折角気液分離されたメタンガスが下降流に引き込まれ、後段の第3処理装置40に送られ、回収メタン量が損失するので、これを防止するようにしている。
このため、上昇部流速(F1)が例えば0.3m/秒以下0.15m/秒以上、下降部流速(F2)が0.1m/秒以下0.05m/秒以上とするように、外筒の径と内筒の径及び、内筒と外筒との間の隙間径を設定することが好ましい。
(第3処理装置40)
第3処理装置40は、メタン除去処理水W3をその地域における放流規制に適した状態とする後処理装置であり、例えばメタン除去処理水に含まれている窒素成分を嫌気性アンモニア酸化反応により脱窒するアナモックス処理装置、メタン除去処理水を曝気処理することで酸化還元電位を上げて酸化し且つ残存BOD成分を除去する曝気処理装置や生物膜ろ過処理装置などを挙げることができる。
本実施形態では、メタンが除去されたメタン除去処理水W3を後処理装置としてアナモックス処理するアナモックス処理装置を設置している。
ここで、アナモックス処理装置は、メタン除去処理水W3に含まれている窒素成分を嫌気性アンモニア酸化(anaerobic ammonium oxidation;Anammox、アナモックス)反応により脱窒する。アナモックス反応は、嫌気条件下でアナモックス細菌がNH4-NとNO2-Nとを基質としてN2を生成する反応であり、次のような反応式(3)が示されている。
1.0NH4 ++1.32NO2 -+0.066HCO3 -+0.13H+
1.02N2+0.26NO3 -+0.066CH20.50.15+2.03H2O…(3)
アナモックス細菌は、Bacteria界Planctomycetes門Brocadiales目に帰属される細菌を用いることができる。アナモックス細菌は現在のところ純粋培養がなされていないため、系統分類には全て“Candidatus”が付けられている。本実施形態で用いることのできるアナモックス細菌として、具体的には、Candidatus Brocadia、Candidatus Kuenenia、Candidatus Jettenia、Candidatus Anammoxoglobus、Candidatus Scalindua、Candidatus Anammoximicrobiumなどが挙げられる。なお、本実施形態においては分類名や学名に限定されることなく、アナモックス反応ができる細菌であればどのようなものも用いることができる。アナモックス細菌は、既存の廃水処理装置から採取した活性汚泥や余剰活性汚泥を種汚泥とし、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を含む培地または下水などの有機性排水で長期間培養することによって得ることができる。また、アナモックス細菌は、下記組成のアナモックス培地で前記した種汚泥を培養することで得ることもできる。
〔アナモックス培地の組成〕
・NaNO2:0~300mg/L
・NH4Clまたは(NH42SO4:0~300mg/L
・KH2PO4:54mg/L
・KHCO3:125mg/L
・Micro Fe/EDTA♯1:1mL/L
(♯1の組成:FeSO4・7H2O 9g、EDTA・2Na 5g)
前記反応式(3)に示すように、アナモックス反応を行うメタン除去処理水に含まれているNH4-NとNO2-Nとは、モル比が約1:1~1:1.5であるのが好ましく、約1:1.32であるのがより好ましい。しかしながら、原水である有機性排水や膜ろ過水の状態にもよるが、膜ろ過水のNH4-Nの含有量は高い一方で、NO2-Nの含有量は低い場合が多く、モル比が前記したものにならないことが多い。そのため、メタン除去処理水に含まれているNH4-Nの一部を硝化細菌(アンモニア酸化細菌)で酸化させ、NO2-Nを生成するのが好ましい。これは、膜ろ過水中のNH4-Nの一部をNO2-Nに変換するので、「部分亜硝酸化」などと呼ばれている。すなわち、本実施形態では“嫌気性”アンモニア酸化反応(アナモックス反応)を行うものであるが、メタン除去処理水について酸素を全く含まない状態とする必要はない。本実施形態では、膜ろ過水に含まれているNH4-Nの一部をアンモニア酸化細菌がNO2-Nに変換するのに必要な程度の酸素を含ませておくことができる。つまり、前記した“嫌気性”とは、第3処理装置40を完全に嫌気条件とすることを意味するものではなく、単にアナモックス反応が行われる条件が(すなわち、アナモックス反応が行われる限られた一部の範囲が)嫌気条件であればよいことを示すものである。
従って、第3処理装置40中のメタン除去処理水W3に部分亜硝酸化を行うのに十分な酸素が含まれていない場合、図2Aに示すように、ブロワB2を使用して曝気を行うことができる。第3処理装置40中の槽内液の酸素濃度は、溶存酸素計DOS(図示せず)で測定することができる。
部分亜硝酸化は原理上、NH4-Nの約半分をNO2-Nに変換するだけでよいので、従来の活性汚泥法におけるNH4-Nの全量をNO2-Nに硝化する反応と比較して、接触させる空気量を約半分にできる。従って、本実施形態においては、NH4-NをNO2-Nに硝化するのに曝気動力を用いる場合は、従来の活性汚泥法と比較して、必要な曝気動力を半分に削減できる。そのため、このような場合における電気量などのエネルギー消費量も約半分に低減できる。
アンモニア酸化細菌としては、例えば、Nitrosomonas属、Nitrosococcus属、Nitrosospira属、Nitrosolobus属、Nitrosovibrio属などに属する細菌を用いることができるが、これらに限定されない。
NO2-Nの生成は、アナモックス反応を行う槽と同じ槽で行ってもよいし、別の槽で行ってもよい。なお、NO2-Nの生成とアナモックス反応を同じ槽で行うものを「一槽式アナモックス槽」といい、別の槽で行うものを「二槽式アナモックス槽」という。
本実施形態においては、図2Aに示すように、一槽式アナモックス槽41を用いるのが好ましい。一槽式アナモックス槽を用いると二槽式アナモックス槽(図示せず)の場合と比較して省スペース化や建設費用の低コスト化を図ることができる。
なお、二槽式アナモックス槽を用いると、アナモックス細菌とアンモニア酸化細菌とを別個の槽で管理できることから、各細菌の管理や反応の制御が容易である。また、二槽式アナモックス槽を用いると、アンモニア酸化細菌で生成したNO2-Nを含む膜ろ過水のNO2 -濃度と流量を調節してアナモックス反応を行う槽に導入することができるので、NH4-NとNO2-Nとのモル比を前記したものとし易い。
アナモックス反応ではNO3-Nが少量生成される。そのため、第3処理装置40には、生成したNO3-Nを還元してN2にする脱窒細菌が含まれているのが好ましい。このようにすると、最終的にアナモックス細菌と脱窒細菌とにより、有機性排水に含まれていたNH4 +やNH4-Nの大部分を環境に害のないN2に変換できる。
脱窒細菌としては、例えば、Pseudomonas denitrificans、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas mendocina、Comamonas testosteroni、Paracoccus denitrificans、Alcaligenes faecalisなどを用いることができるが、これらに限定されない。脱窒細菌による処理は、第3処理装置40とは別の装置(槽)で行うようにしてもよい。
なお、アンモニア酸化細菌と脱窒細菌は、既存の廃水処理装置から採取した活性汚泥や余剰活性汚泥から容易に得ることができる。
アナモックス細菌およびアンモニア酸化細菌は増殖に有機物を利用しない独立栄養細菌であるので、メタン除去処理水に溶解性の有機物が含まれていたとしても大量に増殖することはない。そのため、本実施形態では、アナモックス細菌およびアンモニア酸化細菌に由来する活性汚泥の生成量を低減できる。
一方、脱窒細菌は有機物を電子供与体にしてNO3-NをN2に変換するが、有機物を利用して増殖する従属栄養細菌である。そのため、本実施形態では、脱窒細菌に由来する活性汚泥は生成されるものの、前述した第1処理装置20で既に有機物の大部分がメタンに分解されており、メタン除去処理水に残存している有機物の濃度は低くなっている。従って、本実施形態では、従来の活性汚泥法と比較すると脱窒細菌が増殖してなる活性汚泥の生成量を低減できる。また、本実施形態においては、第3処理装置40において、脱窒細菌をはじめとする従属栄養細菌の増殖が抑えられることから、アナモックス細菌の優占化を図ることができる。そのため、アナモックス細菌の高濃度化と、効率的なアナモックス反応とを行うことができる。なお、本実施形態においては、脱窒細菌によるNO3 からN2への変換を十分に行わせるため、メタノール以外の有機物を添加することができる。
一槽式アナモックス槽41は、内径が例えば3~30mm、長さが例えば3~30mmであり、両端が開口した中空筒からなる担体42を含むことが好ましい。
図3は、この担体42の斜視図を示している。このような担体42を用いることにより、担体42の外側42aにはアンモニア酸化細菌が保持されることとなるので、一槽式アナモックス槽41に通気した空気などに由来する溶存酸素が消費される。そのため、担体42の内側42bは嫌気条件となり易い。従って、担体42の内側42bはアナモックス細菌が増殖し易く、保持も行い易いものとなる。
また、担体42の内側42bはアナモックス細菌による嫌気性アンモニア酸化反応を好適に行うことができる。
本実施形態においては、より好適なアナモックス細菌の増殖・保持とアナモックス細菌による嫌気性アンモニア酸化反応とを行わせる観点から、中空筒の担体42の内径は例えば5~15mmとするのが好ましく、例えば長さは5~15mmとするのが好ましい。
中空筒は円柱状が好ましいが、三角柱状、四角柱状など任意の形状とすることができる。担体42は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などの任意の樹脂で形成することができる。なお、担体42の外径は特に限定されない。担体42の投与量は、一槽式アナモックス槽41の容積に対して容積比で、例えば、10~30%とすることができ、好ましくは20%とすることができるが、これに限定されない。
また、担体42を投入した一槽式アナモックス槽41は、空気吹き込みおよび機械攪拌のうちの少なくとも一方の装置で膜ろ過水が供給された槽内液を攪拌し、槽内液の溶存酸素濃度を例えば0.5mg/L以下に制御することが好ましい。このようにすると、担体42の外側に保持させたアンモニア酸化細菌に対しては必要最小限度から適度な濃度でO2を供給することができ、部分亜硝酸化を行わせることができる。また、前記したように、本実施形態においては、担体42の表面に保持されたアンモニア酸化細菌によってO2が消費される。従って、本実施形態では、担体42の内側42bに保持させたアナモックス細菌に対しては嫌気条件を保つことができ、アナモックス反応を行わせることができる。つまり、溶存酸素濃度を前記したように制御すると、アナモックス細菌によるアナモックス反応に重大な影響を与えることなく、アンモニア酸化細菌による部分亜硝酸化を行うことができる。なお、槽内液の溶存酸素濃度は前記した効果をより確実に得るため、0.3mg/L以下に制御することがより好ましい。
第3処理装置40には、アナモックス細菌、アンモニア酸化細菌、脱窒細菌などの活性を維持することを目的として、例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、コバルト、カリウム、ナトリウム、亜鉛、セレン、タングステン、モリブデン、銅、マンガン、アルミニウムなどの無機塩(金属)を添加する装置(図示せず)を設けることができる。
また、第3処理装置40には、水温を調節するための加熱装置(図示せず)を設けることができる。当該加熱装置は、第1処理装置20で得られたメタンガスを燃焼させて得られた熱や電気を利用することができる。第3処理装置40には、pH計、溶存酸素計DOS、アンモニアセンサ、硝酸センサ、温度計などの各種センサSr2を設けることができる。なお、センサは、計測対象ごとに個別に設けられるものであるが、図2Aでは図示の関係で1つのみ図示している。
第3処理装置40の後段側には、最終沈殿槽50を設置して、最終沈降させて放流水W5として外部へ放流している。なお、最終沈殿槽50の底部からは第3処理装置40に汚泥を返送する返送汚泥ポンプP4が介装されている。
第3処理装置40の窒素除去装置としては、アナモックス処理装置を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。他の汚水処理方法としては、例えば標準活性汚泥法、循環式硝化脱窒法、循環硝化脱窒型膜分離活性法、嫌気好気活性汚泥法、嫌気無酸素好気法等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
[試験例]
有機性排水処理装置100Aを用いて、下水(流入水質:BOD200mg/L、CODCr440mg/L、SS200mg/L、全窒素33mg/L)を用いて、処理量として4,000m3/日の下水を水温17℃、20℃、25℃の各水温で処理したときを試算した。なお、単位消費電力量は0.4kWh/m3である。その結果を下記表1に示す。
Figure 0007398601000002
[表1]に示すように、従来技術のような真空脱気装置を設置しない場合、メタン発生ガスであるバイオガスG1(I「メタン発生量(Nm3-CH4/日)」)は、17℃のときが190Nm3-CH4/日、20℃のときが240Nm3-CH4/日、25℃のときが310Nm3-CH4/日であった。
これに対して、真空脱気装置32を備えた第2処理槽31を設置した場合、メタン回収ガスG2(II「メタン回収量(Nm3-CH4/日)」)は、17℃のときが80Nm3-CH4/日、20℃のときが75Nm3-CH4/日、25℃のときが70Nm3-CH4/日であった。
この結果、表1に示すように、(I)のメタン発生量に(II)メタン回収量を合わせた場合、合計メタン量は17℃のときが270Nm3-CH4/日、20℃のときが315Nm3-CH4/日、25℃のときが380Nm3-CH4/日であった。
なお、温度が高い場合に、メタン回収量が少ないのは、第1処理装置での溶存メタン量が少ないことによる。
以上より、真空脱気装置32を備えた第2処理槽31を設置した場合、第1処理装置での溶存メタンが効率よく回収され、合計の回収メタン量の増大を図ることができることを確認した。
なお、温度が低い(17℃)場合がメタンの溶解度が上がるので、温度が高い(25℃)場合に比べて溶存メタン量が増えているので、回収量は増大している(80Nm-CH4/日)。
(第2実施形態)
図3は、第1実施形態にかかる有機性排水処理装置100Bの構成を説明する概略構成図である。なお、第1実施形態と同一構成の部材については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態の有機性排水処理装置100Bは、第1の実施形態の有機性排水処理装置100Aにおいて、さらに流量調整槽10に導入する有機性排水W1中の固形分を除去する除去装置として、所定目開き(例えば0.5mm~1.0mm)を有するドラムスクリーン12を設けている。なお、分離したし渣13は別途処理される。また、本実施形態においては、流量調整槽10の前段に有機性排水中の土砂などを沈殿させて除く沈砂池(図示せず)を設けることができる。M2はドラムスクリーン12を駆動するモータ等の駆動装置である。
また、図3に示すように、第1処理装置20において、第1処理装置20のメタン発酵で発生したCO2を除去する第4処理装置25を設けている。例えば、生活排水などの有機物および窒素成分の濃度の低い有機性排水がメタン発酵してCO2が生じると、有機性排水のpHが下がってしまうおそれがあるが、前記した第4処理装置25を有し、常時または適時作動させてCO2を除去することにより、そのようなおそれを防ぐことができる。つまり、第4処理装置25でCO2を除去するので、有機性排水のpHを下がり難くすることができる。そのため、得られる膜ろ過水W2のpHを後段の第3処理装置40で行うアナモックス反応に好適なpH7~8.5の範囲に調整するのが容易となる。なお、有機物の濃度が高く、窒素成分(NH4-N)の濃度が低い有機性排水もあるが、そのような有機性排水においても同様の効果を得ることができる。
第4処理装置25としては、例えば、図3に示すように、第4処理装置25のヘッドスペースの気体を循環させることにより、膜へのファウリングを防止する膜洗浄ブロワB1と接続され、内部に水27を収容した所定の大きさの容器26を用い、この水27にCO2を吸収させて除去するCO2除去装置が挙げられる。
大型装置の場合には、例えば、棚段式連続吸収塔を用いて、メタン発酵で発生したバイオガスを上向流で流す一方、水を下向流で散水させて気液接触させ、バイオガス中のCO2を水に吸収させて除去する装置を採用することができる。また、CO2除去剤として、粒状消石灰を用いる充填塔タイプの装置を採用することができる。
また、第4処理装置25としては、例えば、CO2を装置外に排出することによって除去する排出機構(図示せず)なども挙げられる。このような排出機構としては、例えば、CO2選択透過膜(促進輸送膜)などが挙げられる。CO2選択透過膜は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリアミドアミン(PAMAM)などを用いて作製したデンドリマー膜(中心から規則的に分枝した構造を持つ樹状高分子膜)を挙げることができる。また、このようなCO2選択透過膜を用いる場合、吸引ポンプを用いて槽内からのCO2の輸送を促してもよい。
なお、第4処理装置25は前記したものに限定されず、CO2を除去できればどのようなものも用いることができる。
また、図3に示す他の実施形態の有機性排水処理装置100Bのように、第2処理槽31から除去されたメタンガスを回収するメタン回収ラインL12とバイオガスラインL11とが合流する合流部A以前において、外筒33内の上部ガス溜まりS内に回収メタンを戻す戻りガスラインL13を設けている。そして、真空ポンプVPの真空度(X)が所定の設定値(例えば30kPa)より真空度が高いすなわち、内圧が低い場合、切換え弁Vを調整して、外筒33内の上部ガス溜まりS内にラインL13でリサイクルするいわゆる「スピルバック制御」を行うようにしている。
また、真空度が低いすなわち、内圧が高い場合には、スピルバック制御を行わず、切換え弁Vを調整し、真空ポンプVPは系内のガスを、ラインL12によりラインL11側に排気するように制御する。
これに対して、真空ポンプVPの真空度(X)が30kPaを超える場合、PICで判断して、バルブVを切換え、メタンガスG2をリサイクルせず、バイオガス排出ラインL11側に排出し、バイオガスG1と混合してバイオガスG(G1+G2)として排出する。
なお、メタン回収ラインL12の分岐Bと合流部Aとの間において、例えばチェッキ弁を設置し、吐出側の圧力を第1処理装置20の気相部の圧力P1(例えば4kPa)とするようにしている。
また、バイオガス排出ラインL11には、例えば脱硫塔を設置し、ガス中の硫化水素を除去するようにしてもよい。これにより、ガスホルダの腐食を防止するようにしている。
本実施形態では、真空脱気装置32を一つとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数設置するようにしてもよい。この場合、後流側に連れて、真空度を高くするのが好ましい。
特に、有機性排水に発泡しやすい物質が含まれる場合には、真空度を抑えることが必要となるので、複数の真空脱気装置を備えることが好ましい。
また、1つの外筒33の内部に、内筒34を複数配置するようにしてもよい。
さらに、第2処理装置30を複数(30-1,30-2~30-n)設けるようにしてもよい。
この際、真空度を適宜変更することで、対象の処理水によって、発泡する場合に好適となる。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態にかかる有機性排水処理装置100Cの構成を説明する概略構成図である。
図5に示すように有機性排水処理装置100Cは、第1、第2実施形態における第1処理装置20と第2処理装置30との槽を共通とした一体型槽71を用いている。一体型槽71の内部には仕切り壁72が設けられ、有機性排水W1と膜ろ過水W2とを区分けするようにしている。一体型槽71とすることで、2つの槽とすることが不要となり、処理装置の簡素化が可能となる。
また、第1の処理装置20の気相部からメタンをバイオガスとして回収するために、バイオガス排出ラインL11にブロワB3を設置し、そのブロワ吐出圧を例えば2~4KPaとして、メタン発酵により発生した有機性排水W1からの発生メタンG1を回収するようにしている。なお、メタン回収ラインL12の真空ポンプVP1は前述したのと同様に所定の真空度(例えば30kPa又は20kPa)で膜ろ過水W2からのメタンガスの回収をしている。
すわなち、第1実施形態で説明した第1処理装置20を独立槽とする場合には、その気相部の圧力P1(例えば4kPa)は、通常空気の侵入を防いで、嫌気条件を確保するために、微陽圧(通常、例えば4kPa)に保って、この圧力を保つことで、バイオガス(メタン)G1をバイオガスラインL11の後段に設置する、例えば脱硫塔やガスホルダに押し込んでいる。したがって、本実施形態のように、前述した第1処理装置20と第2処理装置30との槽を一体化した一体型槽71とする場合においても、気相部の圧力は微陽圧(通常、4kPa)に保つ必要がある。よって、バイオガス排出ラインL11には第3のブロワB3を設置し、その吐出圧を例えば4kPa以上に変更することで、発生した発生メタンG1の回収を図るようにしている。
本実施形態では第1処理装置20の気相部の微陽圧の圧力として、4kPaを例示したが、本発明における気相部の圧力としては、これに限定されるものではなく、例えば2kPa以上10kPa以下、より好ましくは、4kPa以上5kPa以下とすることができる。
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態にかかる有機性排水処理装置10から0Dの構成を説明する概略構成図である。
図6に示すように有機性排水処理装置100Dは、単なる曝気槽43を設置した場合である。窒素の規制が無いような場合には、アナモックス槽41の処理装置を設けることなく、単に曝気する再曝気槽43を設置することができる。
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態にかかる有機性排水処理装置100Eの構成を説明する概略構成図である。
図7に示すように有機性排水処理装置100Eは、第1~第4実施形態のような最終沈殿槽50を設置しない処理方法である。
第3処理装置として、生物膜ろ過装置80を設置している。この生物膜ろ過装置80の内部には充填層81が配されている。この充填層81は、例えば砕石等の天然材料や各種プラスチック等の成形物を用いるようにしている。なお、生物膜ろ過装置80の天井部80aは、覆蓋屋根付き構造として、メタン除去処理水の大気解放散布による大気への放散を防止している。また、本実施形態においては、メタン除去処理水W3は、生物膜ろ過装置80内の上部気相部又は、生物膜付着ろ材の上部液相のいずれかに供給するようにしている。
第3処理装置40は、槽内の処理の後段に、余剰活性汚泥を沈殿させる沈殿ゾーン(図示せず)が設けられていてもよい。なお、この沈殿ゾーンは任意に設けることができるものであり、設けていなくてもよい。沈殿ゾーンは、担体42を通過させない程度の開き目を有する金属フェンスなどで槽内を区切ることによって設けることができる。この沈殿ゾーンを設けた場合は、沈殿池を省略することができる。
(有機性排水処理装置におけるその他の設備)
本実施形態に係る有機性排水処理装置100は、図1および図2Aに示すように、第1処理装置20から回収した汚泥61を脱水して脱水汚泥63とする脱水装置62を備えていてもよい。脱水装置62としては、例えば、遠心分離機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機などを用いることができる。脱水装置62で脱水された脱水汚泥は搬出され、焼却したり、最終処分場で埋立てに使われたりするなど適宜処理される。図2Aに示すように第1処理装置20から脱水装置62への汚泥の搬送はこれらの間に設けられたポンプ(図示せず)で行うことができる。
図2Aに示すように、第3処理装置40の後段には、第3処理装置40で処理した処理水中の汚泥を沈降分離させ、沈殿させた汚泥と、上澄みのきれいな水(処理水)とに分離して、当該きれいな水(処理水)を排出する最終沈殿槽50が設けられていてもよい。なお、この沈殿槽50は処理水を貯留する機能も有している。
また、第1処理装置20から生じたバイオガス(メタン)G1を外部に排出するバイオガス排出ラインL11管に、当該ガス管の開口端部からの空気の流入を防止するための水封器(図示せず)を設けることができる。さらに、バイオガス排出ラインL11には、バイオガスの生成量を計測するためのガスメータ(図示せず)を設けることができる。また、前記ガス管には、バイオガスG1に含まれている硫化水素を除去するための脱硫塔(図示せず)を設けることができる。水封器、ガスメータおよび脱硫塔は市販されているものを用いることができる。
本実施形態に係る有機性排水処理装置100は、流量調整槽10や脱水装置62などを有している場合であっても、第1処理装置20および第3処理装置40を有しているので、従来の活性汚泥法(例えば、循環式硝化脱窒法)による設備と比較して設備設置面積、コストなどを低減することができる。
以上に説明した本実施形態に係る有機性排水処理装置100A~100Eは、前述したように、第1処理装置20で有機物をメタン発酵するとともに、膜ろ過を行って膜ろ過水を得ることができる。有機物はメタン発酵によって分解されメタンとCO2になるので、膜ろ過水W2に含まれる有機物の濃度を低くできる。なお、膜ろ過水W2に含まれる有機物はほぼ全てが溶解性のものである。また、膜ろ過によってろ過されるので、浮遊物質については全く含まれていない状態になる。
また、第1処理装置20からの第1処理水(膜ろ過水W2)中の溶存メタンを第2処理装置の真空脱気装置で回収処理するので、バイオガスの回収量の増大を図ることができる。
[有機性排水処理方法]
次に、本実施形態に係る有機性排水処理方法について説明する。
本実施形態に係る有機性排水処理方法は、生活排水、産業排水、下水、またはこれらのうちの少なくとも1つを用いて混合した排水などの有機物および窒素成分を含む有機性排水を高度に処理する方法である。本実施形態に係る有機性排水処理方法は、前述した本実施形態に係る有機性排水処理装置100A~100Eで好適に実施することができるので、有機性排水処理装置100Aを例にして以下の説明を行う。従って、本実施形態に係る有機性排水処理方法と本実施形態に係る有機性排水処理装置100Aとで共通する構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8は、本実施形態に係る有機性排水処理方法の内容を説明するフロー図である。図8に示すように、本実施形態に係る有機性排水処理方法は、第1処理工程S11と、第2処理工程S12と、第3処理工程S13とを含み、これらの工程についてはこの順で行う。
(第1処理工程S11)
第1処理工程S11は、前記した有機性排水を嫌気条件下でメタン発酵するとともに膜ろ過を行って膜ろ過水を得る工程である。この第1処理工程S11は、有機性排水処理装置100における第1処理装置20で行うことができる。従って、第1処理工程S11で処理されて得られた膜ろ過水W2には、有機物の濃度が低くなり、浮遊物質も含まれていない。そのため、後段の第3処理工程S13では当該膜ろ過水W2による余剰活性汚泥の発生量を低減できる。
第1処理工程S11は膜分離メタン発酵槽20aで行うのが好ましい。このようにすると、本実施形態では、従来の活性汚泥法と比較して第1処理工程S11で用いる装置をコンパクト化でき、建設費用を低コスト化できる。また、活性汚泥法のように大量の酸素(空気)で曝気する必要がないので、ランニングコストを低コスト化できる。膜分離メタン発酵槽20aは、懸濁性嫌気性菌(メタン生成古細菌を含む)を保持するメタン発酵槽、または嫌気性グラニュール汚泥を保持するメタン発酵槽とすることができる。
また、図9に示すように、この第1処理工程S11においては、発生したCO2を除去する第4処理工程S14を含むのが好ましい。この第4処理工程S14は、有機性排水処理装置100における第4処理装置25で行うことができる。従って、第4処理工程S14を行ってCO2を除去するので、第1処理工程S11(メタン発酵)におけるpHが6.5以下に低下することを避けると共に、膜ろ過水のpHを下がり難くすることができる。そのため、得られる膜ろ過水のpHを後段の第3処理工程S13で行うアナモックス反応に好適なpH7~8.5の範囲に調整することが容易となる。
(第2処理工程S12)
第2処理工程S12は、溶存メタンを回収するメタン回収工程である。
第2処理工程では、図2Aに示す第2処理槽の上部を閉塞して密閉状態とする閉塞部31aと、閉塞部31aの上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒33と、脱気用外筒33の内部に一端部34aが膜ろ過水W2中に配され、他端部34bが脱気用外筒33内の上部ガス溜まりS内に配される内筒34と、脱気用外筒33の頂部33aに接続され、真空ポンプVPが介装されたメタン回収ラインL12とからなる、真空脱気装置を用いて、膜ろ過水W2中に溶存するメタンを回収する。
(第3処理工程S13)
膜ろ過水に含まれている窒素成分を嫌気性アンモニア酸化反応(アナモックス反応)により脱窒する工程である。この第3処理工程S13は、有機性排水処理装置100における第3処理装置40で行うことができる。このとき、必要に応じて膜ろ過水に含まれているNH4-Nの一部をアンモニア酸化細菌で酸化させ、NO2-Nを生成することができる。本実施形態においては、NH4-Nの約半分をNO2-Nに変換するだけでよいので、従来の活性汚泥法におけるNH4-Nの全量をNO2-Nに硝化する反応と比較して、接触させる空気量を約半分にできる。従って、前記したように、本実施形態においては、NH4-NをNO2-Nに硝化するのに必要な曝気動力および電気量等を約半分に低減できる。
第3処理工程S13は、一槽式のアナモックス槽41で行うのが好ましい。一槽式アナモックス槽41を用いると二槽式アナモックス槽と比較して省スペース化や建設費用の低コスト化を図ることができる。
以上に説明した本実施形態に係る有機性排水処理方法は、前述したように、第1処理工程S1で有機物をメタン発酵するとともに、膜ろ過を行って膜ろ過水を得ることができる。有機物はメタン発酵によって分解されメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)になるので、膜ろ過水に含まれる有機物の濃度を低くできる。なお、膜ろ過によってろ過されるので、浮遊物質については全く含まれていない状態になる。従って、後段の第3処理工程S13では当該膜ろ過水による余剰活性汚泥の発生量を低減できる。その一方で、第1処理工程S1で処理した膜ろ過水にはNH4-Nが多く含まれることが多いが、第3処理工程S13でNH4-Nを部分亜硝酸化し、NH4-Nの約半分をNO2-Nに変換することができる。そして、第3処理工程S13ではアナモックス細菌により、NH4-NとNO2-NとからN2を生成する。本実施形態に係る有機性排水処理方法は、部分亜硝酸化で使用する空気量を従来の活性汚泥法におけるNH4-Nの全量をNO2-Nに硝化する反応と比較して約半分にできる。従って、本実施形態においては、NH4-NをNO2-Nに硝化するのに必要な曝気動力および電気量等を約半分に低減できる。つまり、本実施形態に係る有機性排水処理方法によれば、エネルギー消費量を少なくできる。また、前記したように、第1処理工程S1で処理した膜ろ過水には有機物や浮遊物質が殆ど含まれていないので、第3処理工程S13で従属栄養細菌である脱窒細菌がこれらをもとに増殖し難く、余剰活性汚泥の発生量を少なくできる。
この際、第1処理工程S1と第3処理工程S13との間において、第2処理工程S2によって、膜ろ過水W2中の溶存メタンを回収することができるので、バイオガスとしての回収率が増大する。
以上述べたように、本発明によれば、膜分離メタン発酵槽で有機性排水を嫌気処理したとき、膜ろ過水中に溶存するメタン量の低減を図り、回収メタン量の増大を図る有機性排水処理装置および有機性排水処理方法を提供することができる。
本発明は、有機性排水処理装置および有機性排水処理方法全般に利用可能である。
100(100A~100E) 有機性排水処理装置
10 流量調整槽
20 第1処理装置
20a 膜分離メタン発酵槽
21 浸漬型嫌気性MBR(一体型)
25 第4処理装置
30 第2処理装置
31 第2処理槽
31a 閉塞部
32 真空脱気装置
33 脱気用外筒(外筒)
34 内筒
34a 一端部
34b 他端部
40 第3処理装置
41 一槽式アナモックス槽(アナモックス槽)
42 担体
43 再曝気槽
61 汚泥
62 脱水装置
63脱水汚泥
71 一体型槽
80 生物膜ろ過装置
81 充填層
S11 第1処理工程
S12 第2処理工程
S13 第3処理工程
S14 第4処理工程
1、B2 、B3 ブロワ
G、G1、G2 バイオガス(メタン)
1 流入ライン
2~L5 排水ライン
6 流出ライン
8 汚泥返送ライン
7、L9汚泥排出ライン
11 バイオガス排出ライン
12 メタン回収ライン
13 戻りガスライン
1~P6 ポンプ
VP、VP1 真空ポンプ
S 上部ガス溜まり
1 有機性排水
2 膜ろ過水
3 メタン除去処理水
4 処理水
5 放流水

Claims (17)

  1. 浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水を嫌気条件下でメタン発酵するとともに、膜ろ過を行って膜ろ過水を得る第1処理装置と、
    前記第1処理装置の後段側に設けられ、前記膜ろ過水中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置を備えた第2処理装置と、
    前記第2処理装置の後段側に設けられ、後処理する第3処理装置と、を備え
    前記真空脱気装置は、第2処理槽の上部気相部を閉塞して密閉状態とする閉塞部と、前記閉塞部の上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒と、前記脱気用外筒の内部に一端部が膜ろ過水中に配され、他端部が脱気用外筒内の上部ガス溜まり内に配される内筒と、前記脱気用外筒の頂部に接続され、真空ポンプが介装されたメタン回収ラインと、からなることを特徴とする有機性排水処理装置。
  2. 前記真空脱気装置の真空度が10kPa~50kPaであることを特徴とする請求項1に記載の有機性排水処理装置。
  3. 前記第1処理装置は、発生した二酸化炭素を除去する第4処理装置を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  4. 前記第1処理装置が膜分離メタン発酵槽であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  5. 前記第1処理装置と、前記第2処理装置の第2処理槽とを一体型の槽とするとともに、前記有機性排水と前記膜ろ過水とを仕切る仕切り壁を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  6. 前記膜分離メタン発酵槽が、懸濁性嫌気性菌を保持するメタン発酵槽、または嫌気性グラニュール汚泥を保持するメタン発酵槽であることを特徴とする請求項4に記載の有機性排水処理装置。
  7. 前記第3処理装置が、
    前記膜ろ過水から溶存メタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水に含まれている窒素成分をアナモックス槽で嫌気性アンモニア酸化反応を行い、脱窒するアナモックス処理槽である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  8. 前記第3処理装置が、
    前記膜ろ過水から溶存メタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水を曝気処理する曝気処理槽である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  9. 前記第3処理装置が、
    前記膜ろ過水からメタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水を生物膜ろ過処理する生物膜ろ過槽である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水処理装置。
  10. 浮遊物質、有機物および窒素成分を含む有機性排水を嫌気条件下でメタン発酵するとともに膜ろ過を行って膜ろ過水を得る第1処理工程と、
    前記第1処理工程で得られた前記膜ろ過水中の溶存メタンの一部を除去して回収する真空脱気装置を備えた第2処理工程と、
    前記第2処理工程で得られた処理水を後処理する第3処理工程と、を有し、
    前記第2処理工程において、
    前記真空脱気装置が、第2処理槽の上部を閉塞して密閉状態とする閉塞部と、前記閉塞部の上方側に鉛直軸方向に立設された脱気用外筒と、前記脱気用外筒の内部に一端部が膜ろ過水中に配され、他端部が脱気用外筒内の上部ガス溜まり内に配される内筒と、前記脱気用外筒の頂部に接続され、真空ポンプが介装されたメタン回収ラインとからなり、所定の真空度で膜ろ過水中の溶存メタンを回収することを特徴とする有機性排水処理方法。
  11. 前記真空脱気装置の真空度が10kPa~50kPaであることを特徴とする請求項10に記載の有機性排水処理方法。
  12. 前記第1処理工程は、発生した二酸化炭素を除去する第4処理工程を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機性排水処理方法。
  13. 前記第1処理工程を膜分離メタン発酵槽で行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機性排水処理方法。
  14. 前記膜分離メタン発酵槽が、懸濁性嫌気性菌を保持するメタン発酵槽、または嫌気性グラニュール汚泥を保持するメタン発酵槽であることを特徴とする請求項13に記載の有機性排水処理方法。
  15. 前記第3処理工程が、
    前記膜ろ過水から溶存メタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水に含まれている窒素成分をアンモニア酸化細菌、アナモックス細菌、脱窒細菌によって脱窒するアナモックス処理工程である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機性排水処理方法。
  16. 前記第3処理工程が、
    前記膜ろ過水から溶存メタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水を曝気処理する曝気処理工程である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機性排水処理方法。
  17. 前記第3処理工程が、
    前記膜ろ過水から溶存メタンの一部が回収・除去されたメタン除去処理水を生物膜ろ過処理する生物膜ろ過工程である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機性排水処理方法。
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