以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下、各実施形態の説明において、加熱装置として、トナーを熱により定着させる定着装置として説明する。
図1に示すモノクロの画像形成装置1には、感光体ドラム10が設けられている。感光体ドラム10は、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体であり、図の矢印方向に回転する。感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラ7等を備えた現像装置12と、感光体ドラム10の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード13等で構成されている。なお、画像形成装置1は後述するように、用紙Pの搬送方向と交差する方向の長さが異なる複数の用紙に対して画像形成動作を行うことができる。たとえば、A4サイズ、A3サイズ、B4サイズに画像形成が可能である。
感光体ドラム10の上方には、露光部3が配置されている。露光部3が画像データに基づいて発したレーザ光Lbが、ミラー14を介して感光体ドラム10の表面に照射される。
また、感光体ドラム10に対向する位置に配置され、転写チャージャを備えた転写手段15が配置されている。転写手段15は、感光体ドラム10表面上の画像を用紙Pに転写する。
画像形成装置1の下部には給紙部4が位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット16や、給紙カセット16から用紙Pを搬送路5へ搬出する給紙ローラ17等からなっている。給紙ローラ17の搬送方向下流側にはレジストローラ18が配置されている。
定着装置9は、後述する加熱部材によって加熱される定着ベルト20、その定着ベルト20を加圧可能な加圧ローラ21等を有している。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム10が帯電ローラ11によってその表面を帯電される。そして、画像データに基づいて露光部3からレーザービームLbが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム10には、現像装置12から表面部分にトナーが供給され、トナー画像(現像剤像)として可視像化される。そして、転写後の感光体ドラム10に残されたトナー等は、クリーニングブレード13によって取り除かれる。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部4の給紙ローラ17が回転駆動することによって、給紙カセット16に収容された用紙Pが搬送路5に送り出される。
搬送路5に送り出された用紙Pは、レジストローラ18によってタイミングを計られ、感光体ドラム10表面上のトナー画像と向かい合うタイミングで転写手段15と感光体ドラム10との対向部である転写部へ搬送され、転写手段15による転写バイアス印加によりトナー画像が転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、加熱されている定着ベルト20と加圧ローラ21とによって加熱および加圧されて、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト20から分離され、定着装置9の下流側に設けられた搬送ローラ対によって搬送され、装置外側に設けられた排紙トレイへと排出される。なお、図1では便宜上、転写位置から定着装置9に至るまでの搬送路5を直線状としているが、実際には、後述するように搬送方向が変化しており、定着入口ガイドにより定着装置9へ案内されるようになっている。
続いて、定着装置9のより詳細な構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、回転部材あるいは定着部材としての定着ベルト20と、定着ベルト20の外周面に接触してニップ部Nを形成する、対向部材あるいは加圧部材としての加圧ローラ21と、定着ベルト20を加熱する加熱ユニット19と、を備えている。また、加熱ユニット19は、加熱部材としての面状のヒータ22と、ヒータ22を保持する保持部材としてのヒータホルダ23と、ヒータホルダ23を支持する支持部材としてのステー24と、定着入口ガイド板34等を有する。
定着ベルト20は、無端状のベルト部材で構成され、例えば外径が25mmで厚みが40〜120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト20の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5〜50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50〜500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト20の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト20の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
加圧ローラ21は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金21aと、この芯金21aの表面に形成された弾性層21bと、弾性層21bの外側に形成された離型層21cとで構成されている。弾性層21bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層21bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層21cを形成するのが望ましい。
定着ベルト20と加圧ローラ21は、後述の付勢部材としてのバネによって互いに圧接されている。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ21は、画像形成装置本体に設けられた駆動手段から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動ローラとして機能する。一方、定着ベルト20は、加圧ローラ21の回転に伴って従動回転するように構成されている。定着ベルト20が回転すると、定着ベルト20はヒータ22に対して摺動するため、定着ベルト20の摺動性を高めるために、ヒータ22と定着ベルト20との間にオイルやグリースなどの潤滑剤を介在させてもよい。
ヒータ22は、定着ベルト20の回転軸方向あるいは長手方向(図2の紙面に直交する方向で、ヒータ22や定着装置9の長手方向でもある。また、用紙の搬送方向に交差する方向で、用紙の幅方向でもある。以下、「ベルト長手方向」あるいは単に長手方向ともいう。)に渡って長手状に設けられ、加圧ローラ21に対応する位置で定着ベルト20の内周面に接触している。ヒータ22は、被加熱部材としての定着ベルト20を加熱し、定着ベルト20を所定の定着温度まで加熱するための部材である。
本実施形態とは異なり、発熱部60を基材50の定着ベルト20側とは反対側(ヒータホルダ23側)に設けてもよい。その場合、発熱部60の熱が基材50を介して定着ベルト20に伝達されることになるため、基材50は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で構成されることが望ましい。また、本実施形態に係るヒータ22の構成において、さらに基材50の定着ベルト20とは反対側(ヒータホルダ23側)の面に、絶縁層を設けてもよい。
ヒータ22は、定着ベルト20に対して、非接触あるいは低摩擦シートなどを介して間接的に接触する場合であってもよいが、定着ベルト20への熱伝達効率を高めるには、本実施形態のように、ヒータ22を定着ベルト20に対して直に接触させる方が好ましい。また、ヒータ22を定着ベルト20の外周面に接触させることもできるが、定着ベルト20の外周面がヒータ22との接触により傷付くと定着品質が低下する虞があるため、ヒータ22が接触する面は定着ベルト20の内周面とすることが望ましい。
ヒータホルダ23およびステー24は、定着ベルト20の内側に配置されている。ステー24は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置9の両側壁部に支持されている。ステー24によってヒータホルダ23のヒータ22側とは反対側の面が支持されていることで、ヒータ22およびヒータホルダ23は加圧ローラ21の加圧力に対して大きく撓むことなく保たれ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。
ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ23をLCPなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト20を加熱することができる。
定着入口ガイド板34は、ニップ部Nの用紙搬送方向上流側に配置され、定着装置9の側へ搬送されてきた用紙Pを、ニップ部Nの側へガイドする。
ニップ部Nよりも用紙搬送方向上流側および下流側には、それぞれ、用紙Pを検知するための定着入口センサー35および定着出口センサー36が設けられる。これらのセンサーにより、用紙Pがニップ部Nに進入するタイミングや抜け出すタイミングを検知することができる。
画像形成動作が開始されると、ヒータ22に電力が供給されることで、発熱部60が発熱し、定着ベルト20が加熱される。また、加圧ローラ21が回転駆動され、定着ベルト20が従動回転を開始する。そして、定着ベルト20の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、図2に示すように、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に搬送される(図2の矢印A方向参照)ことで、未定着トナー画像が加熱および加圧されて用紙Pに定着される。
図3は、定着装置の斜視図、図4は、その分解斜視図である。
図3および図4に示すように、定着装置9の装置フレーム40は、一対の側壁部28と前壁部27とから成る第1装置フレーム25と、後壁部29から成る第2装置フレーム26と、を備えている。一対の側壁部28は、ベルト長手方向の一端部側と他端部側とに配置されており、両側壁部28によって、定着ベルト20、加圧ローラ21および加熱ユニット19の両端部側が支持される。各側壁部28には、複数の係合突起28aが設けられ、各係合突起28aが後壁部29に設けられた係合孔29aに係合することで、第1装置フレーム25と第2装置フレーム26とが組み付けられる。
また、各側壁部28は、加圧ローラ21の回転軸などを挿通させるための挿通溝28bが設けられている。挿通溝28bは、後壁部29側で開口し、これとは反対側では開口しない突き当て部となっている。この突き当て部側の端部には、加圧ローラ21の回転軸を支持する軸受30が設けられている。加圧ローラ21は、その回転軸の両端部がそれぞれ軸受30に装着されることで、両側壁部28によって回転可能に支持される。
また、加圧ローラ21の回転軸の一端部側には、駆動伝達部材としての駆動伝達ギヤ31が設けられている。駆動伝達ギヤ31は、加圧ローラ21が両側壁部28に支持された状態で、側壁部28よりも外側に露出した状態で配置される。これにより、定着装置9が画像形成装置本体に搭載された際、駆動伝達ギヤ31が画像形成装置本体に設けられているギヤと連結し、駆動源からの駆動力を伝達可能な状態となる。なお、加圧ローラ21に駆動力を伝達する駆動伝達部材としては、駆動伝達ギヤ31のほか、駆動伝達ベルトを張架するプーリやカップリング機構などであってもよい。
加熱ユニット19の長手方向の両端部には、定着ベルト20やヒータホルダ23、ステー24などを支持する一対のフランジ32が設けられている。各フランジ32には、ガイド溝32aが設けられている。このガイド溝32aを側壁部28の挿通溝28bの縁に沿って進入させることで、フランジ32が側壁部28に対して組み付けられる。
また、各フランジ32と後壁部29との間には、付勢部材としての一対のバネ33が設けられている。各バネ33によってステー24やフランジ32が加圧ローラ21側に付勢されることで、定着ベルト20が加圧ローラ21に押し当てられ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部が形成される。
また、図4に示すように、第2装置フレーム26を構成する後壁部29の長手方向の一端部側には、画像形成装置本体に対する定着装置本体の位置決めを行う位置決め部としての孔部29bが設けられている。一方、画像形成装置本体には、位置決め部としての突起101が設けられている。この突起101が、定着装置9の孔部29bに対して挿入されることで、突起101と孔部29bが嵌合し、画像形成装置本体に対する定着装置本体のベルト長手方向の位置決めがなされる。なお、後壁部29の孔部29bが設けられた端部側とは反対の端部側には、位置決め部は設けられていない。これにより、温度変化に伴う定着装置本体のベルト長手方向の伸縮が拘束されないようにしている。
図5は、加熱ユニット19の斜視図、図6は、その分解斜視図である。
図5および図6に示すように、ヒータホルダ23の定着ベルト側の面(図5および図6における手前側の面)には、ヒータ22を収容するための矩形の収容凹部23aが設けられている。収容凹部23aは、ヒータ22とほぼ同等の形状およびサイズに形成されているが、収容凹部23aの長手方向寸法L2はヒータ22の長手方向寸法L1よりも若干長く設定されている。このように、収容凹部23aがヒータ22よりも若干長く形成されていることで、熱膨張によりヒータ22がその長手方向に伸びても、ヒータ22と収容凹部23aとが干渉しないように構成されている。また、ヒータ22は、この収容凹部23a内に収容された状態で、給電部材としての後述のコネクタによってヒータホルダ23と一緒に挟まれて保持される。
一対のフランジ32は、定着ベルト20の内側に挿入されて定着ベルト20を支持するC字状のベルト支持部32bと、定着ベルト20の端面に接触してベルト長手方向の移動(片寄り)を規制するフランジ状のベルト規制部32cと、ヒータホルダ23およびステー24の両端部側が挿入されてこれらを支持する支持凹部32dと、を有している。定着ベルト20は、その両端部側にベルト支持部32bが挿入されることで、ベルト非回転時においては基本的に周方向(ベルト回転方向)の張力は生じない、いわゆるフリーベルト方式で支持される。
図5および図6に示すように、ヒータホルダ23の長手方向一端部側には、位置決め部としての位置決め凹部23eが設けられている。この位置決め凹部23eに対して、図5および図6の左側に示されるフランジ32の嵌合部32eが嵌合することで、ヒータホルダ23とフランジ32とのベルト長手方向の位置決めがなされる。一方、図5および図6の右側に示されるフランジ32には、嵌合部32eは設けられておらず、ヒータホルダ23とのベルト長手方向の位置決めはされない。このように、フランジ32に対するヒータホルダ23の位置決めをベルト長手方向の片側のみとすることで、温度変化に伴ってヒータホルダ23がベルト長手方向へ伸縮したとしても、その伸縮が拘束されないようにしている。
また、図6に示すように、ステー24の長手方向の両端部側には、各フランジ32に対するステー24の移動を規制する段差部24aが設けられている。各段差部24aはフランジ32に突き当たることでフランジ32に対するステー24の長手方向の移動を規制する。ただし、これら段差部24aのうち少なくとも一方は、フランジ32に対して隙間(ガタ)を介して配置される。このように、少なくとも一方の段差部24aがフランジ32に対して隙間を介して配置されることで、温度変化に伴ってステー24がベルト長手方向に伸縮したとしても、その伸縮が拘束されないようにしている。
図7は、ヒータ22の平面図、図8は、その分解斜視図である。
図8に示すように、ヒータ22は、基材50と、基材50上に設けられた第1絶縁層51と、第1絶縁層51上に設けられた発熱部60などを有する導体層52と、導体層52を被覆する第2絶縁層53と、を有している。本実施形態では、定着ベルト20側(ニップ部N側)に向かって、基材50、第1絶縁層51、導体層52(発熱部60)、第2絶縁層53の順で積層されており、発熱部60から発された熱は、第2絶縁層53を介して定着ベルト20へと伝達される(図2参照)。
基材50は、ステンレス(SUS)や鉄、アルミニウム等の金属材料で構成された長手状の板材である。また、基材50の材料として、金属材料のほか、セラミック、ガラス等を用いることも可能である。基材50にセラミックなどの絶縁材料を用いた場合は、基材50と導体層52との間の第1絶縁層51を省略することが可能である。一方、金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、低コスト化を図るのに好適である。金属材料の中でも、特にアルミニウムや銅は熱伝導性が高く、温度むらが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスはこれらに比べて安価に製造できる利点がある。
各絶縁層51,53は、耐熱性ガラスなどの絶縁性を有する材料で構成されている。また、これらの材料として、セラミックあるいはポリイミド(PI)等を用いてもよい。
導体層52は、複数の抵抗発熱体59を有する発熱部60と、複数の電極部61と、これらを電気的に接続する複数の、導電体としての給電線62と、で構成されている。各抵抗発熱体59は、基材50上に設けられた複数の給電線62を介して3つの電極部61のいずれか2つに対して電気的に並列接続されている。
抵抗発熱体59は、給電線62よりも抵抗値が高い導電部となっている。抵抗発熱体59は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷等により基材50に塗工し、その後、当該基材50を焼成することによって形成される。抵抗発熱体59の材料として、これら以外に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。
給電線62は、抵抗発熱体59よりも小さい抵抗値の導体で構成されている。給電線62や電極部61の材料としては、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)などを用いることができ、このような材料をスクリーン印刷するなどによって給電線62や電極部61が形成されている。
図9は、ヒータ22にコネクタ70が接続された状態を示す斜視図である。
図9に示すように、コネクタ70は、樹脂製のハウジング71と、ハウジング71に設けられた複数のコンタクト端子72と、を有している。各コンタクト端子72は、板バネで構成され、給電用のハーネス73が接続されている。
図9に示すように、コネクタ70は、ヒータ22とヒータホルダ23とを表側と裏側から一緒に挟むようにして取り付けられる。この状態で、各コンタクト端子72の先端に設けられた接触部72aが、それぞれ対応する電極部61に弾性的に接触(圧接)することで、コネクタ70を介して発熱部60と画像形成装置に設けられた電源とが電気的に接続される。これにより、電源から発熱部60へ電力が供給可能な状態となる。なお、各電極部61は、コネクタ70との接続を確保するため、少なくとも一部が第2絶縁層53に被覆されておらず、露出した状態になっている(図7参照)。
図10に示すように、本実施形態では、基材50の長手方向に並ぶ複数の抵抗発熱体59のうち、両端以外の各抵抗発熱体59で構成される第1の発熱部60A(または定着装置に通紙される用紙の幅方向中央側を内側とした時の内側に配置される抵抗発熱体59で構成される第1の抵抗発熱体群)と、両端の各抵抗発熱体59で構成される第2の発熱部60B(または、定着装置に通紙される用紙の幅方向端部側を外側とした時の外側の両側に配置される抵抗発熱体59で構成される第2の抵抗発熱体群)とは、それぞれ独立して発熱制御可能に構成されている。具体的に、第1の発熱部60Aを構成する両端以外の各抵抗発熱体59は、それぞれ基材50の長手方向の一端部側に設けられた第1の電極部61Aに対して第1の給電線62Aを介して接続されている。また、第1の発熱部60Aを構成する各抵抗発熱体59は、第1の電極部61A側とは反対の端部側に設けられた第2の電極部61Bに対して第2の給電線62Bを介して接続されている。一方、第2の発熱部60Bを構成する両端の各抵抗発熱体59は、基材50の長手方向の一端部側に設けられた(第1の電極部61Aとは別の)第3の電極部61Cに対して第3の給電線62C又は第4の給電線62Dを介して接続されている。また、これら両端の各抵抗発熱体59は、第1の発熱部60Aの各抵抗発熱体59と同様に第2の給電線62Bを介して第2の電極部61Bに接続されている。
また、それぞれの電極部61A〜61Cは、前述のコネクタ70を介して電源64に接続され、電源64から電力を供給される。第1の電極部61Aは、電源64との間に、切替え部としてのスイッチ65Aが設けられており、スイッチ65AのONOFFにより、電圧の印加の有無を切り替えることができる。同様に、第3の電極部61Cは、電源64との間に、切替え部としてのスイッチ65Cが設けられており、スイッチ65CのONOFFにより、電圧の印加の有無を切り替えることができる。さらに、これらのスイッチ65A,65CのONOFFやヒータ22への電力供給のタイミングは、画像形成装置1の制御回路66によって制御されている。また制御回路66は、画像形成装置1内の各種センサーの検知結果に基づいて、ヒータ22への電力の供給やスイッチの切り替えの制御を行う。例えば前述の定着入口センサーや定着出口センサーの検知結果に基づいて用紙の通紙タイミングを判断し、ヒータ22への電力の供給の有無やスイッチ65A,65Cの切り替えを行うことができる。
第1の電極部61Aおよび第2の電極部61Bに電圧を印加した場合は、両端以外の各抵抗発熱体59が通電することで、第1の発熱部60Aのみが発熱する。一方、第2の電極部61Bおよび第3の電極部61Cに電圧を印加した場合は、両端の各抵抗発熱体59が通電することで、第2の発熱部60Bのみが発熱する。また、全ての電極部61A〜61Cに電圧を印加すれば、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bの両方の(全ての)抵抗発熱体59を発熱させることができる。例えば、A4サイズ(通紙幅:210mm)以下の比較的小さい幅サイズの用紙を通紙する場合は、第1の発熱部60Aのみを発熱させ、A4サイズ(通紙幅:210mm)を超える比較的大きい幅サイズの用紙、例えばA3縦、B4縦、A4横通紙の場合は、第1の発熱部60Aに加え第2の発熱部60Bも発熱させることで、用紙幅に応じた発熱領域とすることができる。
ところで、画像形成装置や定着装置のさらなる小型化を図るにあたっては、定着ベルトの内側に配置される部材の一つであるヒータの小型化が重要である。すなわち、ヒータをその短手方向(図10中の矢印Y方向:ヒータ22の発熱部60A,60Bが設けられている面に沿って長手方向と交差する方向)に小さくすることで、定着ベルトを小径化することができ、ひいては定着装置および画像形成装置の小型化を実現できるようになる。具体的に、ヒータを短手方向に小さくする方法として、例えば次の3つの方法が挙げられる。
1つは、発熱部(抵抗発熱体)を短手方向に小さくする方法である。しかしながら、発熱部を短手方向に小さくすると、定着ベルトが加熱される加熱領域の幅が小さくなるため、定着ベルトに与える熱量を同様に確保しようとした場合に、昇温ピーク値が高くなるといった問題が生じる。昇温ピーク値が高くなると、ヒータの裏面に設けられているサーモスタットやヒューズなどの過昇温検知装置の温度が耐熱温度を超えたり、過昇温検知装置が誤作動したりする虞がある。また、昇温ピーク値が高くなると、ヒータから定着ベルトへの伝熱効率も低下するため、エネルギー効率の観点からも好ましくない。このように、発熱部を短手方向に小さくする方法は採用し難い事情がある。
2つ目の方法として、発熱部や電極部、給電線が設けられていない部分を短手方向に小さくする方法がある。しかしながら、この方法では、発熱部と給電線との間や電極部と給電線との間の間隔が小さくなるため、絶縁性の確保ができなくなる虞がある。現状のヒータの構造から鑑みれば、発熱部と給電線との間や電極部と給電線との間の間隔をさらに小さくすることは厳しい状況にある。
残る3つ目の方法としては、給電線を短手方向に小さくする方法である。この方法は、上記2つの方法に比べて実現の余地がある。ただし、給電線を短手方向に小さくすると、給電線の抵抗値が大きくなるため、ヒータの導電経路上で意図しない分流が発生する虞がある。特に、画像形成装置の高速化に対応すべく発熱部の発熱量を増大させるために、発熱部の抵抗値を小さくすると、給電線の抵抗値と発熱部の抵抗値が相対的に近づくため、意図しない分流が発生しやすくなる。このような意図しない分流を回避する方法として、給電線を短手方向に小さくした分、反対に厚さ方向(長手方向および短手方向に交差する方向)に大きくすることで、断面積を確保し、給電線の抵抗値が大きくなるのを抑制することも考えられる。しかしながら、その場合、給電線をスクリーン印刷することが困難になり、給電線の形成方法の変更を強いられることになる。このため、給電線を厚くする解決策は採用し難い。従って、ヒータの短手方向の小型化を実現するには、抵抗値が上昇するのを見越したうえで給電線を短手方向に小さくし、これに伴って発生し得る意図しない分流に対しては別途対策を講じる必要がある。
以下、上述のヒータ22と同じレイアウトのヒータを例に、意図しない分流と、これによる弊害について説明する。
図11に示すヒータ22において、第1の発熱部60Aの各抵抗発熱体59のみを発熱させるために第1の電極部61Aと第2の電極部61Bとに電圧を印加すると、通常、電流は、第1の給電線62Aに流れ、両端以外の各抵抗発熱体59を通過して、第2の給電線62Bに流れる(以下、このような通電を部分通電と呼ぶ)。
しかしながら、上述の小型化に伴う給電線の抵抗値の増大や、発熱量向上に伴う発熱部の抵抗値の低下によって、給電線と発熱部のそれぞれの抵抗値の差が小さくなると、図12に示すように、意図しない経路の分流が発生する。すなわち、図12における左から2番目の抵抗発熱体59を通過した電流の一部が、その先の第2の給電線62Bの分岐部Xにて第2の電極部61B側とは反対側に流れる。そして、分流した電流は、図12における左端の抵抗発熱体59を通過し、さらに、第3の給電線62C、第3の電極部61C、第4の給電線62D、右端の抵抗発熱体59を順に通過した後、第2の給電線62Bに合流する。
このように、図12に示すヒータ22において、第2の給電線62Bのうち分岐部Xから図の左側に伸びる部分と、第2の発熱部60Bを構成する両端の各抵抗発熱体59と、第3の電極部61Cと、第3の給電線62Cおよび第4の給電線62Dを含む部分は、意図しない経路で電流を流す分岐導電経路E3を構成する。
また、このような意図しない分流は、ヒータ22の導電経路が、第1の発熱部60Aと第1の電極部61Aとを接続する第1の導電部E1と、第1の発熱部60Aからヒータ22の長手方向のうち第1の方向S1(図12の右側)に伸びて第2の電極部61Bに接続される第2の導電部E2と、第2の導電部E2から第1の方向S1とは反対の第2の方向S2(図12の左側)に分岐して第1の導電部E1を介さずに第2の導電部E2又は第2の電極部61Bに接続される分岐導電経路E3と、を少なくとも有する構成であれば、第1の発熱部60Aに通電した際に生じ得る。本実施形態では、分岐導電経路E3上に、第2の発熱部60Bと第3の電極部61Cとが設けられているが、第2の発熱部60Bおよび第3の電極部61Cが設けられていない導電経路や、これら以外の導電部材が設けられた導電経路であっても、意図しない分流は生じる可能性がある。
そして、意図しない分流が生じた場合、これまで想定されていなかった経路で電流が流れるため、給電線の発熱によりヒータ22の温度分布にばらつきが発生する。例えば、図13に示すヒータ22において、第1の電極部61Aから第1の発熱部60Aの各抵抗発熱体59へ電流が20%ずつ均等に流れ、このうち図の左から2番目の抵抗発熱体59を通過する電流が、その先の分岐部Xにおいて5%分流した場合、抵抗発熱体59ごとに区画された各ブロック内で発生する給電線の発熱量は、同図中の表に示すようになる。
ここでは、各給電線のヒータ22の短手方向に伸びる部分は短く、その部分における発熱量はわずかであることからその発熱量は無視し、各給電線のヒータ22の長手方向に伸びる部分で発生する発熱量のみを算出している。具体的には、第1の給電線62Aと、第2の給電線62Bと、第4の給電線62Dの、それぞれのヒータ22の長手方向に伸びる部分で発生する発熱量を算出している。また、発熱量(W)は下記式(1)で表されることから、図13の表に示す発熱量は、便宜的に各給電線に流れる電流(I)の二乗として算出している。よって、図13の表に示す発熱量の数値は、あくまで簡易的に算出された値であり、実際の発熱量とは異なるものである。
図13に基づき、発熱量の算出方法について具体的に説明すると、第1ブロックにおいては、第1の給電線62Aに流れる電流が100%、第4の給電線62Dに流れる電流が5%であるので、それぞれの二乗の合計値である10025(10000+25)が第1ブロックにおける給電線の合計発熱量となる。また、第2ブロックにおいては、第1の給電線62Aに流れる電流が80%、第2の給電線62Bに流れる電流が5%、第4の給電線62Dに流れる電流が5%であるので、これらの二乗の合計値である6450(6400+25+25)が第2ブロックにおける給電線の合計発熱量となる。また、他のブロックにおいても、同様にして発熱量を算出している。
そして、図13の表に示す各ブロックの合計発熱量をグラフ化したものが図14である。図14に示すように、各ブロックの合計発熱量は、上記の意図しない分流の影響により、発熱領域中央の第4ブロックを基準に左右非対称となる。
このような左右非対称になる給電線の発熱量のばらつきは、ヒータ22の長手方向に渡る温度のばらつきの原因となる。ヒータ22の温度が長手方向に渡ってばらつくと、用紙に定着される画像が温度の高い部分で光沢度が高く、温度の低い部分では反対に光沢度が低くなるので、全体的に光沢むらが発生し、画質の低下につながる虞がある。なお、本実施形態では、小サイズ紙と大サイズ紙を均等に加熱できるように、各ブロックの長さは同じに設けている。
次に、全ての発熱部に通電した場合(以下、全通電の場合と呼ぶ)の各ブロックにおける給電線の発熱量にについて説明する。
図15に示すように、全ての発熱部に通電した場合、左右両端の抵抗発熱体59、および、これに接続された給電線62C,62Dにも20%の電流が流れる点が前述の場合と異なる。対して、第1の給電線62Aに流れる電流の値は先ほどと同様である。この場合、第1ブロックにおいては、第1の給電線62Aに流れる電流が100%、第4の給電線62Dに流れる電流が20%であるので、それぞれの二乗の合計値である10400(10000+400)が第1ブロックにおける給電線の合計発熱量となる。また、第2ブロックにおいては、第1の給電線62Aに流れる電流が80%、第2の給電線62Bに流れる電流が20%、第4の給電線62Dに流れる電流が20%であるので、これらの二乗の合計値である7200(6400+400+400)が第2ブロックにおける給電線の合計発熱量となる。また、他のブロックにおいても、同様にして発熱量を算出している。
そして、図16に示すように、各ブロックの合計発熱量は、発熱領域中央の第4ブロックを基準に左右非対称となる。特に、全ての抵抗発熱体59に接続された第2の給電線62Bが、その下流側、つまり第7ブロックで電流値が120%と大きくなり、左右の発熱量に差が生じている。
本実施形態では、上記の部分通電の場合(小サイズ紙を通紙する場合)について、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する、加熱装置の温度むらや加熱むらを抑制するために、ジョブの実行動作中に発熱状態を変化させている。つまり、小サイズ紙の幅に対応した発熱領域である第1の発熱部60Aのみに通電する部分通電による発熱(第1の発熱状態)により定着ベルト20を加熱すると共に、所定のタイミングで、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電する全通電による発熱(第2の発熱状態)を行わせている。言い換えると本実施形態では、ヒータ22が、後述する所定のタイミングで、用紙幅に対応する範囲よりも広い範囲での加熱を行っている。以下、この部分通電と全通電との切り替えについてより詳細に説明する。
図17に示すように、小サイズの用紙に対する画像形成動作時には、前述のように長手方向の一方側(図の左側)でヒータ22の発熱量が大きくなり、図17の下側に示すように、定着ベルト20の温度Tも図の左側で大きくなる。ここで、ヒータ22の発熱量とは、ヒータ22単体での発熱量を意味する。
上記の左右の温度偏差に対して、本実施形態では、後述する所定のタイミングで全通電に切り替えることで温度偏差を抑制する。具体的には、図18に示すように、スイッチ65CがON状態に切り替えられ、第1の発熱部60Aだけでなく第2の発熱部60Bにも通電される。これにより、ヒータ22は、小サイズ(A4横サイズ)の通紙範囲B1に加えて、その外側の非通紙範囲B2が、抵抗発熱体59による発熱領域になる。
前述のように、全通電時には、長手方向他方側の発熱量が一方側に比べて大きくなる(図15および図16参照)。従って、所定のタイミングでヒータ22を全通電することにより、図17で示した長手方向一方側の温度が他方側に比べて大きい左肩上がりの温度分布が解消され、図18の下側に示すように、温度分布の左右偏差を抑制できる。これによりヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する加熱装置の温度むらや加熱むらを抑制することができる。つまり、定着装置においては、長手方向一方側と他方側とでの定着性や光沢性の差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
次に、全通電を行うタイミングについて、複数の実施例を順番に説明する。
図19は、搬送方向と交差する方向のサイズが同じ複数枚(たとえば、A4サイズ)の用紙に画像形成動作を行う際の、画像形成装置内の各動作を示すタイミングチャートである。なお、図19の点線部は、チャートの変化を省略して記載した部分である。
図19に示すように、画像形成装置に印刷指令がなされる(つまり、画像形成装置に画像形成動作の命令を行うジョブが到達する)と、まず、画像形成装置が印刷される用紙のサイズを認識する(図19の1段目参照)。本実施形態では、図19の1段目に示すように、小サイズの用紙に連続して印刷するジョブである。次に、画像形成動作が開始されて1枚目の用紙が画像形成装置内の搬送路5(図1参照)に給紙され、用紙にトナー画像が形成される(図19の2段目、3段目参照)。そして、1枚目の用紙が定着装置9に到達すると、定着装置9が定着動作を開始する(図19の4段目参照)。定着装置9では、画像形成動作開始と同時に定着準備動作が行われており、スイッチ65AがONになってヒータ22による加熱動作が開始し(図19の8段目参照)、定着ベルト20が定着温度まで加熱されている。
定着装置9への用紙の到達は、定着入口センサー35(図2参照)により判断される。つまり、搬送路5の定着入口センサー35に対向する位置に用紙の先端が到達すると定着入口センサー35がONになり(図19の5段目参照)、画像形成装置本体が、定着装置9に用紙が到達することを認識する。
そして、定着出口センサー36(図2参照)が用紙後端を検知すると、その用紙への定着動作が終了したと認識され、枚数カウンターがONになる。具体的には、定着入口センサー35がONになった後、定着出口センサー36の信号が一度ONになってからOFFになると(図19の5、6段目参照)、用紙の後端が搬送路5の定着出口センサー36に対向する位置を通過したと判断し、枚数カウンターがONになる(図19の7段目参照)。そして、枚数カウンターが予め設定したC枚目をカウントした時点でスイッチ65CがONになり、全通電が行われる(図19の9段目参照)。
本実施形態では、全通電を行う時間は予め設定されたC1枚分が定着ニップNを通過するまでの時間と定められる。つまり、枚数カウンターがC枚目をカウントしてからC+C1枚目をカウントするまでの間、スイッチ65CがONになっている(図19の7段目、9段目参照)。
最後の用紙が画像形成装置本体から排紙された後、各搬送ローラなどが停止して画像形成動作が終了する。なお、スイッチ65Aは画像形成動作が開始してから、ジョブの最終の用紙が画像形成装置本体から排出されるまでの間ONになっており、小サイズの用紙の通紙領域に対応する定着ベルトの位置を加熱している(図19の8段目参照)。また、ここでいう画像形成動作とは、上記のように画像形成装置にジョブが到達し、印刷のための各種動作(定着ベルトの定着温度までの加熱や、用紙を搬送する各種ローラの回転動作など)を開始してから、最後の用紙に印刷が終了して装置外に排紙され、印刷のための各種動作を終了するまでを言う。また、この画像形成動作はジョブの実行動作でもある。
C枚通紙後に全通電に切り替える設定とし、小サイズの用紙に連続して印刷するジョブの実行動作中に全通電に切り替えている。これにより、定着ベルト20に、長手方向の一方側と他方側とに一定以上の温度差が生じた段階で全通電に切り替えることができる。従って、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
また、全通電時間をC1枚の用紙が通過する区間に限定することで、定着ベルト20の温度分布が、その長手方向他方側の温度が一方側よりも大きい右肩上がりとなることを防止でき、非通紙範囲B2(図18参照)の過昇温を防止することもできる。
上記の実施形態では、定着装置9を通過した用紙の枚数をカウントして全通電のタイミングを設定するものとしたが、これに限らず、C枚目の用紙が機外に排紙された後や定着装置の入口側を通過した後等にしてもよい。対応する位置にセンサーを設けることで、これらのタイミングを選択することができる。
また、用紙の枚数をカウントするだけでなく、画像形成動作時間によって全通電のタイミングを設定することもできる。例えば図20に示すように、本実施形態では、図の7段目に示すように、画像形成動作を開始してからD秒が経過した時点で、スイッチ65CがONになり、全通電を開始する。全通電時間は、予め設定されたD1秒である。
本実施形態においても、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制し、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。また、全通電時間をD1秒間に限定することで、長手方向他方側の温度が大きくなりすぎることや非通紙領域の過昇温を防止できる。
D時間については、画像形成動作開始時からに限らず、最初の用紙が所定のレジストローラを通過した時からや定着装置に到達した時から等のタイミングを選択することができる。
なお、C枚やD時間は、画像形成装置の生産性や定着ベルトの熱容量、用紙の線速や用紙厚さなどに応じて最適な値を選択することができ、例えばC=10枚、C1=5枚、D=30秒、D1=15秒に設定することができる。
また、図21に示すように、画像形成動作の開始時から定着装置9に最初の用紙が通紙されるまで全通電を行うこともできる(図21の9段目参照)。つまり、画像形成動作(ジョブの実行動作)の一部である定着装置9の準備動作中に全通電を行うことができる。なお、定着装置9に最初の用紙が通紙されるタイミングは、定着入口センサーが最初にONになるタイミングによって判断される(図21の5段目参照)。
本実施形態のように画像形成動作の開始直後に全通電を行うことにより、画像形成動作の開始直後(つまり、ジョブが到着した直後)は図22のように長手方向他方側の温度を一方側に比べて大きくすることができる。従って、その後に生じる温度偏差を緩和することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。なお、本実施形態では画像形成動作の開始直後およびC枚通紙後に全通電に切り替えるものとしたが、画像形成動作の開始直後のみ全通電を行ってもよいし、前述のようにD時間経過後の全通電への切り替えと組み合わせてもよい。
また、小サイズ紙の連続通紙時の紙間、つまり定着装置9に通紙されていないタイミングで全通電に切り替えることもできる。例えば、図23に示すように、定着装置9を用紙の後端が通過したタイミングおよび用紙の先端が定着装置9に到達したタイミングが紙間カウンターによりカウントされ(図23の7段目参照)、その区間でスイッチ65CがONになる(図23の10段目参照)。
次に、このような紙間カウンターをONにするタイミングと定着装置を通過する用紙の位置との関係について、より詳細に説明する。具体的には、図23の5段目の点G1〜G4のそれぞれの時点での定着装置内での用紙の位置を図24〜図27を用いて説明する。
まず、点G1の位置、つまり、定着入口センサー35の検知状態(ON状態)が継続し、それが終了した時点で、紙間カウンターの出力が切り替わる。この点G1の位置は、図24に示すように、用紙P1の後端が定着入口センサー35を通過した直後のタイミングである。
そして、点G1から所定の時間後の点G2において、紙間カウンターがONになってカウントがされる。図25に示すように、点G2のタイミングは、用紙P1の後端が定着ニップNを通過した直後である。
その後、再び定着入口センサー35が検知状態になった点G3のタイミングで紙間カウンターの出力が切り替わる。点G3の位置は、図26に示すように、次の用紙P2の先端が定着入口センサー35に到達したタイミングである。なお、最初の用紙Pが定着入口センサー35に到達した時点、つまり、最初に定着入口センサー35がON状態になった時にはカウントされない設定になっている。
そして、点G3から所定の時間後の点G4において、紙間カウンターがONになって2回目のカウントがされる。図27に示すように、点G4のタイミングは、用紙P2の先端が定着ニップNに到達する直前のタイミングである。
以上の点G2〜点G4の区間を紙間と判断して、この区間でスイッチ65CがONになる(図23の10段目参照)。つまり、点G2の時点でスイッチ65CをONにし、点G4の時点でスイッチ65CをOFFにする。これにより、用紙P1が定着装置を通過した直後から次の用紙P2が到達するまでのタイミング(つまり、定着動作間のタイミング)で全通電を行うことができる。なお、点G1から点G2までの時間、および点G3から点G4までの時間は、用紙の搬送速度や定着入口センサー35から定着ニップNまでの距離等により、図25および図27のタイミングになるように決定される。
このように本実施形態では、紙間での全通電を行っている。紙間であっても、上述した画像形成動作の期間中であり、ジョブの実行動作の期間中でもある。この区間で全通電を行うことで、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。紙間での全通電を行う場合に関しても、D時間経過後の全通電への切り替えと組み合わせるなど、適宜、その組み合わせを選択することができる。
また、定着ベルト20の温度を検知する温度検知手段の検知温度に基づいて、全通電に切り替えるタイミングを決定することもできる。
例えば図28に示すように、本実施形態では、定着ベルト20の外周面に対向する位置で、長手方向において、通紙される用紙の中央位置よりも一方側と他方側とにそれぞれ温度検知手段41a、41bが設けられる。より詳細には、温度検知手段41a、41bは、ヒータ22の長手方向において、定着ニップに通紙される小サイズの用紙Pの長手方向一方側端部および他方側端部に対応する位置、言い換えると、図13の第2ブロックと第6ブロックに対応する位置にそれぞれ設けられる。温度検知手段41a、41bとしては、例えばサーミスタを採用することができ、その他、公知の温度検知手段を適宜用いることもできる。
この温度検知手段41a、41bにより検知した温度Taと温度Tbとの差Ta−Tb(図28の下側のグラフ参照)により、全通電と部分通電との切り替えのタイミングを決定する。
具体的には、図29に示すように、継続して検知される温度Ta、Tbにより算出された温度差Ta−Tb(図29の6段目参照)が、上限側の温度差閾値T1を超えた時点で、スイッチ65CをONにして全通電へ切り替える。これにより、長手方向他方側の温度を上昇させる。
また温度差Ta−Tbが下限側の温度差閾値T2を下回った時点でスイッチ65CをOFFにして再び部分通電に切り替える。これにより、再び長手方向一方側の温度を上昇させる。
温度検知手段41a、41bによって実際に検知した定着ベルト20の通紙領域内の温度Ta、Tbに基づいて、部分通電と全通電との切り替えのタイミングを決定することで、より適切なタイミングでの切り替えが可能になる。特に本実施形態では、長手方向一方側の温度が大きくなった場合と長手方向他方側の温度が大きくなった場合のそれぞれに閾値T1,T2を設けることで、部分通電から全通電への切り替え、および、全通電から部分通電への切り替えの双方を適切なタイミングで行うことができる。従って、定着ベルトの温度分布の左右偏差を効果的に抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。また、非通紙領域の過昇温を防止できる。
温度T1は、画像の光沢むらや定着性のむらを効果的に防止するために、20deg以下に設定することが好ましい。また温度T1は、温度検知手段41a、41bの温度検知誤差や配置の誤差、定着ニップに対する用紙搬送位置のばらつきや各抵抗発熱体59の配置の誤差を考慮して設定する必要がある。つまり、これらの要因による誤検知を抑制するために、温度T1は10deg程度に設定することが好ましい。また同様の理由により、温度T2は−20deg以上、より好ましくは−10deg程度に設定するのが好ましい。
次に、図28とは異なる位置に温度検知手段を配置した実施形態について、図30を用いて説明する。
図30に示すように、本実施形態では、長手方向一方側、つまり、部分通電時に発熱量の大きい側に配置する温度検知手段41aを、前述した実施形態と同様、第1の発熱部60Aの長手方向一端側の抵抗発熱体59(図13の第2ブロック)に対応する位置である位置Haに配置する。また、長手方向他方側、つまり、全通電時に発熱量の大きい側の温度検知手段41bを、小サイズの用紙の通紙領域外で、長手方向の他端に配置された抵抗発熱体59に対応する位置(図13の第7ブロックに相当する位置)である位置Hbに配置する。
本実施形態では、温度検知手段41aの検知した温度Taと温度検知手段41bが検知した温度Tbの双方に閾値を設けて、部分通電と全通電との切り替えのタイミングを決定する。
具体的には、図31に示すように、温度検知手段41bの検知した温度Tbが下限側閾値T5未満で、かつ、温度検知手段41aの検知した温度Taが閾値T3を超えた図31の点Gaの位置で、スイッチ65CをONにして部分通電から全通電に切り替える(図31の6段目、7段目、9段目参照)。
定着ベルト20の長手方向一方側の温度Taが相当の温度になった場合、つまり閾値T3を超えた場合には、例えば図32(a)に示すように、長手方向一方側と他方側とで相応の温度差が生じている。従って、この場合に全通電を一定時間継続することで、例えば図31の点Gbの位置では、図32(b)に示すように、長手方向一方側と他方側との温度偏差が解消される。これにより、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。
さらに全通電の状態を継続すると、長手方向他方側の温度、特に非通紙領域の温度が上昇してくる。具体的には、全通電が継続して温度Tbが上限側閾値T4を超えた図31の点Gcの位置では、図32(c)に示すように、長手方向他方側の温度が一方側よりも大きくなり、特に長手方向他方側の非通紙領域の温度が大きくなっている。本実施形態では、温度Tbが上限側閾値T4を超えた時点で、スイッチ65CをOFFにして全通電から部分通電に切り替える。部分通電に切り替えることで、長手方向他方側よりも一方側の発熱量が大きくなり、また、非通紙領域での抵抗発熱体59による発熱が行われなくなる。この部分通電を一定時間継続することにより、例えば、図31の点Gdでは、図32(d)に示すように、長手方向一方側と他方側の温度偏差が再び抑制され、特に長手方向他方側の非通紙領域の温度が低下する。
このように、温度Tbに上限側の閾値T4を設けて部分通電への切り替え条件とすることで、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制できると共に、非通紙領域の温度が過昇温することを防止できる。例えば、過昇温を防止可能な温度として、定着ベルト20や加圧ローラ21の耐熱性を考慮し、温度T4を210℃に設定することができる。
その後、部分通電が継続すると、長手方向他方側の温度、特に非通紙領域の温度が下がり続け、例えば図31の点Geでは、図32(e)に示すように、長手方向他方側の温度が一方側に比べて再び小さくなる。
前述のように、部分通電状態で、温度Tbが閾値T5未満(かつ、温度Taが閾値T3より大きく)になった時点で再び全通電に切り替える。これにより、再び長手方向他方側の発熱量が大きくなり、長手方向一方側と他方側の温度偏差が抑制される。
以上のように本実施形態では、温度検知手段41a、41bの検知した温度Ta、Tbそれぞれに閾値を設けて、全通電と部分通電とを切り替えることで、それぞれの切り替えを適切なタイミングで行うことができる。従って、定着ベルトの温度分布の左右偏差を効果的に抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。また、非通紙領域の過昇温を防止できる。また温度検知手段41a、41bの検知した温度を用いた切り替えのタイミングに、前述した画像形成動作の開始時(定着装置の準備動作中)に全通電に切り替えるなどのタイミングを適宜組み合わせてもよい。
以上のように本発明の実施形態では、小サイズの複数枚の用紙へ連続して画像形成を行うジョブの実行動作時(画像形成動作時)に、ヒータ22の長手方向一方側の温度と他方側の温度との間に差が生じたタイミングで全通電と部分通電との切り替えを行っている。具体的には、小サイズ紙の幅に対応した発熱領域である第1の発熱部60Aのみに通電する部分通電による発熱(第1の発熱状態)を行うとともに、所定のタイミングで、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電する全通電による発熱(第2の発熱状態)を行わせている。これにより、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する、加熱装置の温度むらや加熱むらを抑制することができる。特に、定着装置9においては、定着ベルト20の長手方向の左右の温度偏差を抑制することができる。従って、温度偏差に起因する画像光沢むらや定着むらを抑制することができる。
また、ヒータ22に設けられる抵抗発熱体59は、図7に示すブロック状のものに限らない。例えば図43に示すように、各抵抗発熱体59が折り返しの線状部によって平行四辺形状をなす構成であってもよい。本実施形態では、各抵抗発熱体59を構成する線部が長手方向に奇数回(3回)折り返している。これにより、各抵抗発熱体59の第1の給電線62A、第3の給電線62C、および、第4の給電線62Dに対する接続位置G1と、各抵抗発熱体59の第2の給電線62Bに対する接続位置G2とは、抵抗発熱体59の長手方向中央位置AAに対して他方側に配置される。つまり、接続位置G1と接続位置G2はいずれも、抵抗発熱体59の長手方向中央位置AAに対して同じ側に配置されている。
本実施形態でも、図43のように第1の発熱部60Aにのみ通電した場合(部分通電の場合)には、意図しない分流が生じ、長手方向一方側(図の左側)の発熱量が大きくなって定着ベルト20の温度Tも長手方向一方側が大きくなる。また図44に示すように、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電した場合(全通電の場合)には、長手方向他方側(図の右側)の発熱量が大きくなり、定着ベルト20の温度Tも長手方向他方側が大きくなる。
具体的には、各抵抗発熱体59へ電流が20%ずつ均等に流れるものとすると、部分通電の場合には、図45に示すように、第1の発熱部60Aの抵抗発熱体59による加熱領域のうち、第2ブロックの給電線の発熱量が最も大きくなる。また図46に示すように、全通電の場合には、第7ブロックの発熱量が最も大きくなる。
本実施形態のヒータ22においても、前述の実施形態と同様の制御を実施できる。具体的には図19に示すように、画像形成装置に、小サイズの用紙に連続して印刷するジョブの指令がなされた後、枚数カウンターがC枚目をカウントすると、スイッチ65CがONになり、全通電が行われる。全通電は、C+C1枚目がカウントされるまで行われる(図19の7段目、9段目参照)。これにより、定着ベルト20に、長手方向の一方側と他方側とに一定以上の温度差が生じた段階で全通電に切り替えることができる。従って、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
また前述の実施形態と同様、図20に示すように、時間カウンターにより特定の時間帯で全通電に切り替えることもできる。例えば、画像形成動作を開始してからD秒の時点からD+D1秒の時点まで全通電に切り替えることができる(図20の7段目参照)。これにより、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
また図21に示すように、画像形成動作の開始直後に全通電を行うこともできる(図21の9段目参照)。画像形成動作の開始直後に全通電を行うことにより、画像形成動作の開始直後(つまり、ジョブが到着した直後)は図47のように長手方向他方側の温度を一方側に比べて大きくすることができる。従って、その後に生じる温度偏差を緩和することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
さらに、前述のように、紙間で全通電に切り替えることもできる。具体的には、図23に示すように、前述の点G2〜点G4の区間で全通電に切り替えることができる(図23の5段目、10段目参照)。この区間で全通電を行うことで、定着ベルトの温度分布の左右偏差を抑制することができ、用紙に形成された画像の定着むらや光沢むらを抑制することができる。
また図48に示すように、本実施形態では、定着ベルト20の外周面に対向する位置で、長手方向において、通紙される用紙の中央位置よりも一方側と他方側とにそれぞれ温度検知手段41a、41bが設けられる。より詳細には、温度検知手段41a、41bは、ヒータ22の長手方向において、定着ニップに通紙される小サイズの用紙Pの長手方向一方側端部および他方側端部に対応する位置、言い換えると、図13の第2ブロックと第6ブロックに対応する位置にそれぞれ設けられる。
この温度検知手段41a、41bにより検知した温度Taと温度Tbとの差Ta−Tbにより、全通電と部分通電との切り替えのタイミングを決定する。 具体的には、図29に示すように、継続して検知される温度Ta、Tbにより算出された温度差Ta−Tb(図29の6段目参照)が、上限側の温度差閾値T1を超えた時点で、スイッチ65CをONにして全通電へ切り替える。これにより、長手方向他方側の温度を上昇させる。また温度差Ta−Tbが下限側の温度差閾値T2を下回った時点でスイッチ65CをOFFにして再び部分通電に切り替える。これにより、再び長手方向一方側の温度を上昇させる。
温度検知手段41a、41bによって実際に検知した定着ベルト20の通紙領域内の温度Ta、Tbに基づいて、部分通電と全通電との切り替えのタイミングを決定することで、より適切なタイミングでの切り替えが可能になる。これにより、定着ベルトの温度分布の左右偏差を効果的に抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。また、非通紙領域の過昇温を防止できる。
図49に示すように、本実施形態では、長手方向一方側、つまり、部分通電時に発熱量の大きい側に配置する温度検知手段41aを、前述した実施形態と同様、第1の発熱部60Aの長手方向一端側の抵抗発熱体59に対応する位置である位置Haに配置する。また、長手方向他方側、つまり、全通電時に発熱量の大きい側の温度検知手段41bを、小サイズの用紙の通紙領域外で、長手方向の他端に配置された抵抗発熱体59に対応する位置である位置Hbに配置する。
本実施形態では、前述の実施形態と同様、図31に示すように、温度検知手段41bの検知した温度Tbが下限側閾値T5未満で、かつ、温度検知手段41aの検知した温度Taが閾値T3を超えた図31の点Gaの位置で、スイッチ65CをONにして部分通電から全通電に切り替える(図31の6段目、7段目、9段目参照)。これにより、長手方向一方側と他方側との温度偏差を抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。
また、温度Tbが上限側閾値T4を超えた時点で、スイッチ65CをOFFにして全通電から部分通電に切り替える。部分通電に切り替えることで、長手方向他方側よりも一方側の発熱量が大きくなり、また、非通紙領域での抵抗発熱体59による発熱が行われなくなる。これにより、長手方向一方側と他方側の温度偏差が再び抑制され、特に長手方向他方側の非通紙領域の温度が低下する。
このように、温度Tbに上限側の閾値T4を設けて部分通電への切り替え条件とすることで、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制できると共に、非通紙領域の温度が過昇温することを防止できる。
以上のように本実施形態では、温度検知手段41a、41bの検知した温度Ta、Tbそれぞれに閾値を設けて、全通電と部分通電とを切り替えることで、それぞれの切り替えを適切なタイミングで行うことができる。従って、定着ベルトの温度分布の左右偏差を効果的に抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。
以上の実施形態では、第1の給電線62Aおよび第2の給電線62Bが、それぞれヒータ22の短手方向Yに伸びる部分を有しており、その短手方向Yに伸びる部分が各抵抗発熱体59に接続されているが、各給電線62A,62Bと各抵抗発熱体59とを接続するヒータ22の短手方向Yに伸びる部分は、各給電線62A,62Bの一部である場合に限らず、図50に示す例のように、各抵抗発熱体59の一部であってもよい。
また、各抵抗発熱体59の折り返し数(曲げ部の数)は、複数である場合に限らず、図51および図52に示す例のように、1つであってもよい。また、各給電線62A,62Bと各抵抗発熱体59との接続位置G1,G2は、図51に示すように、各抵抗発熱体59の端部における角であってもよいし、図52に示すように、各抵抗発熱体59の端部における短手方向Yに伸びる縁全体であってもよい。
以上の各ヒータ22においても、小サイズの用紙に連続して印刷するジョブの指令がなされた場合に、前述したタイミングで全通電に切り替えることで、定着ベルトの温度分布の左右偏差を効果的に抑制し、用紙に形成された画像の光沢むらや定着むらを抑制することができる。
本発明は、特に短手方向に小型化したヒータに好適である。つまり、前述のようにヒータ22の短手方向寸法を小さくしようとした場合、給電線の短手方向の寸法が小さくする必要があり、給電線からの発熱量が相対的に大きくなってその影響も大きくなるためである。具体的には、図33あるいは図53に示すヒータ22(基材50)の短手方向寸法Qに対する抵抗発熱体59の短手方向寸法Rの比(R/Q)が25%以上となるヒータ22に本発明を適用することが好ましい。さらに、本発明は、前記短手方向の寸法比(R/Q)が40%以上となるヒータ22に適用されることが好ましい。このような小型のヒータ22に本発明を適用することでより大きな効果を期待できる。
次に、上記の短手方向寸法の比(R/Q)を変化させた場合の、ヒータ22の長手方向中央側と端部側との間に生じる温度偏差の実験結果について説明する。実験では、前述した構成のヒータ22について、上記の短手方向寸法比(R/Q)が、20%以上25%未満、25%以上40%未満、40%以上70%未満、70%以上80%未満のものをそれぞれ用意し、ヒータ単体の条件下でヒータの全ての抵抗発熱体に所定の電圧で通電し、ヒータの長手方向中央および端部のそれぞれの表面温度をフリアシステムズ社製の赤外線サーモグラフィ FLIR T620を用いて測定した。以上の実験結果を表2に示す。表2の結果は、中央側と端部側の温度差が2℃未満のものを○、2℃以上5℃未満のものを△、5℃以上のものを×とした。なお、短手方向寸法の比(R/Q)を80%以上とすると、ヒータの短手方向寸法を極端に大きくする等しない限り、給電線を配置するスペースがなくなるため、実験の対象にはしていない。
表1に示すように、短手方向寸法の比(R/Q)が大きくなるほど、ヒータの中央と端部の温度差も大きくなった。具体的には、20%以上25%未満では〇であるのに対して、25%以上40%未満では△に変化し、40%以上70%未満、および、70%以上80%未満では×に変化した。この結果からわかるように、ヒータの長手方向の温度むらは、短手方向寸法の比(R/Q)が25%以上で顕著になり、40%以上で特に顕著になる。従って、このような寸法比のヒータに対して、本実施形態の上記構成を適用してその温度偏差を抑制することが好適である。
図53に示す例では、ヒータ22の基材50が長方形であるため、ヒータ22の短手方向寸法Qはどの長手方向位置でも同じ寸法であるが、図54に示す例のように、基材50の縁に凹凸がある場合は、長手方向位置によって短手方向寸法Qが変化する。このような場合は、全ての抵抗発熱体59が配置されている発熱領域H内で、ヒータ22が短手方向Yに最小となる寸法を、上記ヒータ22の短手方向寸法Qとする。
また、本発明は、ヒータ22の長手方向寸法Laに対するヒータ22の短手方向寸法Qの比(Q/La)が、1.5%より大きく、6%未満となるヒータ22や、ヒータ22の短手方向寸法Qに対する給電線62A,62Bの短手方向寸法Wbの比(Wb/Q)が、2%より大きく、20%未満となるヒータ22に対しても、適用可能である。なお、図54に示す例のように、基材50の長手方向寸法がその部分によって異なる場合は、ヒータ22が長手方向Uに最大となる寸法を、上記ヒータ22の長手方向寸法Laとする。また、給電線62A,62Bの短手方向寸法Wbは、給電線62A,62Bがヒータ22の長手方向Uに伸びる線状部分の太さを意味し、抵抗発熱体59に接続するためにヒータ22の短手方向Yに折れ曲がった部分を含まない。また、図54に示すように、給電線62A,62Bの太さがヒータ22の長手方向位置によって変化する場合は、発熱領域Lb内での第1の給電線62Aまたは第2の給電線62Bの最小の短手方向寸法を、給電線62A,62Bの短手方向寸法Wbとする。
また、前述のヒータ22の温度のばらつきを抑制するために、PTC特性を有する抵抗発熱体を用いてもよい。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。PTC特性を有する発熱部とすることで、低温では高出力によって高速で立ち上がり、高温では低出力により過昇温を抑制することができる。例えば、PTC特性のTCR係数を300〜4000ppm/度程度にすれば、ヒータに必要な抵抗値を確保しながら、低コスト化を図れる。より好ましくは、TCR係数を500〜2000ppm/度とするのがよい。
抵抗温度係数(TCR)は、下記式(2)を用いて算出することができる。式(2)中のT0は基準温度、T1は任意温度、R0は基準温度T0における抵抗値、R1は任意温度T1における抵抗値である。例えば、図7に示す上述のヒータ22において、第1の電極部61Aと第2の電極部61Bとの間の抵抗値が、25℃(基準温度T0)で10Ω(抵抗値R0)であり、125℃(任意温度T1)で12Ω(抵抗値R1)であった場合は、式(2)から抵抗温度係数は2000ppm/℃となる。
また、本発明を適用するヒータは、図7などに示すようなブロック状(四角形状)の抵抗発熱体59を有するヒータ22に限らず、例えば、図34(a)あるいは図34(b)に示すような、直線を折り返したような形状の抵抗発熱体59を有するヒータ22や、その他の形状の抵抗発熱体を有するヒータにも適用可能である。なお、図中において、着色した箇所が抵抗発熱体59を示している。図34(a)では、ヒータ22の長手方向に沿って形成されている給電線62A、62Dから、長手方向と交差する方向に給電線が一部延びている例である。一方、図34(b)は、ヒータ22の長手方向に沿って形成されている給電線62A、62Dから長手方向と交差する方向に折れ曲がった領域も含めて抵抗発熱体59として形成されている例である。
上述のように、本発明によれば、抵抗発熱体に対する各給電線の接続位置が同じ側のヒータにおいて、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側の温度偏差に起因する不具合を抑制することができるので、このような接続位置が同じ側であるヒータを積極的に採用することができるようになる。これにより、以下のような利点が得られるようになる。
一般的に、面状のヒータを備える定着装置においては、ヒータの温度を検知する加熱部材温度検知手段として、図55に示すように、サーミスタなどの温度検知手段44が設けられている。この温度検知手段44は、例えば、ヒータ22の発熱部60が設けられている面とは反対側の裏面などに接触するように設けられ、ヒータ22または定着ベルト20の温度制御を行うためにヒータ22の温度を検知する。通常、ヒータ22の温度は、その短手方向Yにおける発熱部60の端部側よりも中央側の方が高くなるので、ヒータ22の過昇温を未然に防ぐため、温度検知手段44はヒータ22の短手方向Yにおける発熱部60の中央Kに対応する位置(以下、単に「短手方向中央位置」という)に設けられる。
ここで、図55に示す例のように、抵抗発熱体59に対する各給電線62A,62Bの接続位置G1,G2が互いに反対側であるヒータ22においては、抵抗発熱体59の折り返された線状部分の1つが発熱部60の短手方向中央位置Kに配置されるので、上記のように、温度検知手段44を発熱部60の短手方向中央位置Kに配置すると、温度検知手段44の温度検知部44aが、発熱部60の短手方向中央位置Kにある抵抗発熱体59上に配置される。なお、ここでいう「抵抗発熱体上」とは、ヒータ22の長手方向Uおよび短手方向Yに対して交差する方向である厚さ方向において、抵抗発熱体と互いに重なる位置を意味する。
そして、この場合、図56に示すように、抵抗発熱体59が配置された発熱部60の短手方向中央位置Kでの温度が最も高いピーク値となるので、このピーク値の温度が温度検知手段44によって検知される。しかしながら、ピーク値の近傍では、ヒータ22の温度が非常に狭い範囲で大きく変化するため、温度検知手段44の配置がヒータ22の短手方向Yに少しでもずれると、検知温度が大きく変化し、適切に温度を検知することができなくなる虞がある。
これに対して、図57に示す例のように、抵抗発熱体59に対する各給電線62A,62Bの接続位置G1,G2が同じ側である場合は、温度検知部44aが、抵抗発熱体59上ではなく、抵抗発熱体59におけるヒータ22の長手方向Uに伸びる部分の間(抵抗発熱体59が設けられていない部分)に対応する位置に配置される。なお、ここでいう「長手方向に伸びる部分の間に対応する位置」とは、抵抗発熱体59におけるヒータ22の長手方向Uに伸びる部分の間の位置に対して、ヒータ22の上記厚さ方向で重なる位置を意味する。
この場合、図58に示すように、温度検知手段44によって、ヒータ22の隣り合うピーク値同士の間の温度が検知される。このような隣り合うピーク値同士の間では温度が比較的広い範囲で緩やかに変化するため、温度検知手段44の配置がヒータ22の短手方向Yにずれたとしても、検知温度は変化しにくい。従って、この場合は、温度検知手段44の配置がずれたときの検知温度のばらつきを低減できる利点がある。また、温度検知手段44の配置がずれたとしても検知温度のばらつきが生じにくいことから、温度検知手段44の設置を高精度に行わなくてもよいので、温度検知手段44の設置作業性が向上する。
なお、図55に示すヒータ22においても、図57に示すヒータ22と同様に、温度検知部44aを、隣り合うピーク値同士の間に配置することも可能である。しかしながら、その場合は、隣り合うピーク値の一方と他方とで温度の高さが異なるので(図56参照)、温度検知手段44がどちらのピーク値寄りにずれるかによって、検知温度の変化量も異なってくる。従って、検知温度のばらつきを抑制する観点からすれば、やはり、各給電線の接続位置が互いに反対側である構成よりも、同じ側である構成の方が好ましい。
このように、抵抗発熱体に対する各給電線の接続位置が同じ側である構成においては、接続位置が互いに反対側である構成に比べて、ヒータ22の短手方向Yにおける温度検知手段44の配置の点で有利となる。
また、ヒータ22の長手方向Uにおける温度検知手段44の配置は、下記の点に注意して行うことが望ましい。
図59に示すように、本実施形態では、ヒータ22の長手方向Uにおける各抵抗発熱体59の両端部が、通紙方向(図59の上下方向)に対して傾斜しており、互いに隣り合う抵抗発熱体59の端部の少なくとも一部が、ヒータ22の長手方向Uに渡って互いに重複(オーバーラップ)している。すなわち、互いに隣り合う抵抗発熱体59の端部の少なくとも一部は、ヒータ22の長手方向Uにおける同じ領域Z内に配置されており、抵抗発熱体59は、隣り合う他の抵抗発熱体59とヒータ22の長手方向Uにおいて同じ領域Z内に配置される重複部59aと、隣り合う他の抵抗発熱体59とヒータ22の長手方向Uにおいて同じ領域Z内に配置されない非重複部59bとを有する。
このような重複部59aがある場合は、隣り合う抵抗発熱体59同士の間での温度低下を抑制できる。しかしながら、重複部59aでは、非重複部59bに比べて、位置ごとの温度のばらつきが大きくなる傾向がある。そのため、図59に示すように、温度検知手段44の温度検知部44aは、重複部59aではなく、非重複部59bに対応する位置に配置されることが好ましい。なお、ここでいう「非重複部に対応する位置」とは、非重複部59bに対して、ヒータ22の上記厚さ方向で重なる位置を意味する。
また、本発明は、前述の定着装置のほか、図35〜図37に示すような定着装置にも適用可能である。以下、図35〜図37に示す各定着装置の構成について簡単に説明する。
まず、図35に示す定着装置9は、定着ベルト20に対して加圧ローラ21側とは反対側に、押圧ローラ90が配置されており、この押圧ローラ90とヒータ22とによって定着ベルト20を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ21側では、定着ベルト20の内周にニップ形成部材91が配置されている。ニップ形成部材91は、ステー24によって支持されており、ニップ形成部材91と加圧ローラ21とによって定着ベルト20を挟んでニップ部Nを形成している。
図35に示す定着装置9においても、前述の実施形態で説明したように、ヒータ22の温度偏差に対して、前述した対策を実施している。つまり、小サイズの複数枚の用紙へ連続して画像形成を行うジョブの実行動作時に、ヒータ22に、小サイズ紙の幅に対応した発熱領域を発熱させる、部分通電による発熱(第1の発熱状態)を行うと共に、所定のタイミングで、全通電による発熱(第2の発熱状態)を行わせている。これにより、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する、定着装置9の温度むらや加熱むらを抑制することができる。特に、定着装置9においては、定着ベルト20の長手方向の左右の温度偏差を抑制することができ、温度偏差に起因する画像光沢むらや定着むらを抑制することができる。
次に、図36に示す定着装置9では、前述の押圧ローラ90が省略されており、定着ベルト20とヒータ22との周方向接触長さを確保するために、ヒータ22が定着ベルト20の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、図35に示す定着装置9と同じ構成である。
最後に、図37に示す定着装置9について説明する。定着装置9は、加熱アセンブリ92、回転部材(定着部材)である定着ローラ93、対向部材である加圧アセンブリ94からなる。加熱アセンブリ92は、先の実施形態で説明したヒータ22および加熱ユニット19、加熱ベルト120を有する。また、定着ローラ93は、中実の鉄製芯金93aと、この芯金93aの表面に形成された弾性層93bと、弾性層93bの外側に形成された離型層93cとで構成されている。また、定着ローラ93に対して加熱アセンブリ92側とは反対側に、加圧アセンブリ94が設けられている。加圧アセンブリ94は、ニップ形成部材95とステー96とを配置し、これらニップ形成部材95とステー96を内包するように加圧ベルト97を回転可能に配置している。そして、加圧ベルト97と定着ローラ93との間の定着ニップN2に用紙Pを通紙して加熱および加圧して画像を定着する。
前述のようにヒータ22の長手方向(図の奥行方向)において一方側と他方側と発熱量の偏差があると、加熱ベルト120の長手方向の一方側と他方側とで温度の偏差が生じる。また図37に示す定着装置9において、加熱アセンブリ92は定着ローラ93を加熱するため、定着ローラ93においても、長手方向の一方側と他方側とで温度の偏差が生じる。
そこで、図37に示す定着装置9においても、小サイズの複数枚の用紙へ連続して画像形成を行うジョブの実行動作時に、ヒータ22に、小サイズ紙の幅に対応した発熱領域を発熱させる、部分通電による発熱(第1の発熱状態)を行うと共に、所定のタイミングで、全通電による発熱(第2の発熱状態)を行わせている。これにより、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する、定着装置9の温度むらや加熱むらを抑制することができる。特に、定着装置9においては、加熱ベルト120や定着ローラ93の長手方向の左右の温度偏差を抑制することができ、温度偏差に起因する画像光沢むらや定着むらを抑制することができる。
また、ヒータ22の基材50上に配置される電極部等のレイアウトについても、上記の実施形態に限らず、前述した小サイズ紙への加熱動作時に長手方向の一方側と他方側とで温度偏差が生じるヒータに対して本発明を適用することができる。
例えば、本発明を適用するその他のヒータの例として、図38に示すヒータ22は、前述の実施形態と異なり、全ての電極部が長手方向の一方側に設けられる。つまり、図10等のヒータ22と比較すると、第2の電極部61Bが長手方向一方側に設けられる点が異なる。また、図38に示すように、第2の電極部61Bが長手方向一方側に設けられるため、第2の電極部61Bに直に接続される給電線が長手方向他方側まで延在して折り返し、各抵抗発熱体59に接続されている。本実施形態では、これらの第2の電極部61Bと各抵抗発熱体59を接続する給電線のうち、各抵抗発熱体59に接続される部分から長手方向他方側の折り返し部分までを第2の給電線62Bと称し、折り返し部分に連続した長手方向一方側へ延在する部分から第2の電極部61Bまでの部分を第5の給電線(導電体)62Eと称する。
このようなヒータ22においても、第1の発熱部60Aのみに通電した場合、そして、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電した場合のそれぞれについて、前述したような長手方向の温度偏差が生じる。
まず、第1の発熱部60Aのみに通電した場合には、図39および図40に示すように、意図しない分流が第3の給電線62Cの側へ生じる。従って、各ブロックの合計発熱量は、発熱領域中央の第4ブロックを基準に左右非対称となり、長手方向一方側の発熱量が他方側に比べて大きくなる。また、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電した場合にも、図41および図42に示すように、第4ブロックを基準に合計発熱量が左右非対称となり、長手方向他方側の発熱量が一方側に比べて大きくなる。
また全ての電極部を長手方向の一方側に配置する構成のヒータ22において、図60に示すように、各抵抗発熱体59に、線部を長手方向に折り返す構成を採用してもよい。本実施形態でも、部分通電の場合に意図しない分流が生じる点は同様である。そして、図61に示すように部分通電の場合には、第1の発熱部60Aの抵抗発熱体59による加熱領域のうち、第2ブロックの給電線の発熱量が最も大きくなり、長手方向一方側の発熱量が他方側よりも大きくなる。また図62に示すように、全通電の場合には、第7ブロックの発熱量が最も大きくなり、長手方向他方側の発熱量が一方側よりも大きくなる。
そして前述の図10等の実施形態と同様、これらの実施形態のヒータ22においても、小サイズの複数枚の用紙へ連続して画像形成を行うジョブの実行動作時に、小サイズ紙の幅に対応した発熱領域である第1の発熱部60Aのみに通電する部分通電による発熱(第1の発熱状態)を行うと共に、所定のタイミングで、第1の発熱部60Aおよび第2の発熱部60Bに通電する全通電による発熱(第2の発熱状態)を行わせている。これにより、ヒータ22の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する、定着装置9の温度むらや加熱むらを抑制することができる。特に、定着装置9においては、定着ベルト20の長手方向の左右の温度偏差を抑制することができ、温度偏差に起因する画像光沢むらや定着むらを抑制することができる。
また、本発明は、上記の実施形態で説明したような定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクを乾燥させる乾燥装置、さらには、被覆部材としてのフィルムを用紙等のシートの表面に熱圧着するラミネータや、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの熱圧着装置にも適用可能である。このような装置にも本発明を適用することで、これらの装置においても加熱部材の長手方向の一方側と他方側との温度偏差に起因する加熱装置の温度むらや加熱むらを抑制することができる。
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。