JP2021139841A - 蒸気排出機構を備えた温度計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 劣化したシール材などから温度計の保護管内に入り込んだ水分を外部に排出することが可能な温度計を提供する。【解決手段】オートクレーブ1の缶体の内部温度を測定する温度センサである熱電対8aと、該熱電対8aを保護する保護管8bとから構成される温度計8であって、該保護管8bはその先端部とは反対側の端部が該缶体の外側に露出した状態で取り付けられており、この露出する部分が少なくとも部分的にT字管10で構成されており、好ましくはT字管10の3つの端部のうちの2つの端部には該熱電対8aが挿通されており、残る1つの端部は開閉弁11を介して大気に開放されており、該T字管10の開放されている端部にL字管12が下向きに屈曲するように接続されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、温度計の保護管内に滞留した蒸気を排出する機構を備えた温度計に関し、特に、高温高圧下でニッケル等の浸出処理を行う圧力容器であるオートクレーブに設置される温度計の保護管内にシール部等から侵入した水分が蒸発することで生じる蒸気を大気放出するための機構を備えた温度計に関する。
非鉄金属製錬においては、金属硫化物に水を加えて原料スラリーを調製した後、高温加圧下で酸化浸出して金属硫酸塩水溶液を生成する湿式製錬法が採用されている。例えば、特許文献1には、内部が隔壁で区画された横長の高圧反応装置であるオートクレーブに、ニッケル硫化物に水を加えて調製した原料スラリーを連続供給すると共に、該原料スラリーに高圧空気を吹き込んで加圧酸化浸出処理を施すことで、硫酸ニッケル水溶液を生成する技術が開示されている。
上記のオートクレーブは、例えば直径1〜2m程度、長さ8〜10m程度の略円筒形の容器を横向きにした缶体構造を有しており、屋外に設置されることが一般的である。また、オートクレーブには、缶内温度のモニタリングや温度制御のため温度計が設けられており、一般的にはその温度センサに熱電対が用いられている。上記の加圧酸化浸出処理を行うオートクレーブの缶内は厳しい腐食及び浸食環境に晒されており、該温度センサを保護するため保護管(サーモウェル)が用いられる。すなわち、オートクレーブの缶内の液相部に先端部が浸漬するように保護管が差し込まれており、この保護管の内側に熱電対が挿入されて密封されている。
特開2016−011442号公報
上記のようにオートクレーブは屋外に設置されているため、長期間操業を続けるうちに上記の保護管の内側を密封するシール材が劣化し、雨水が保護管内に入り込むことがあった。通常操業中の上記オートクレーブは缶内温度が140〜200℃程度に維持されており、上記保護管内もほぼ上記缶内温度まで加熱されるため、該保護管内に入り込んだ水分は、ほとんど蒸発して水蒸気の形態で該劣化したシール材部分から排出される。
しかしながら、一部の水蒸気は僅かとはいえ保護管内に滞留(残留)するので、操業停止時にオートクレーブが常圧常温まで冷却したときに凝縮し、保護管内で水分となって滞留する。また、操業停止中に上記劣化したシール材等から雨水が入り込んだ場合は、上記の凝縮による水分の量にこの入り込んだ雨水が加わった量が保護管内で滞留することになる。
上記のように、保護管内に水分が滞留した状態のままオートクレーブの運転を再開すると、上記通常操業の運転圧力及び温度まで昇圧昇温されて安定的な運転状態が維持されている場合は保護管内の水分は全て水蒸気になっているので特に問題はないが、該通常操業に到達するまでの立ち上げの段階では、保護管内に滞留している水分が温度エレメントである熱電対に接触したり、蒸発により周囲から気化熱を奪ったりするので温度測定に悪影響を及ぼし、オートクレーブの缶内温度が正しく表示されないことがあった。
本発明は上記の実状に鑑みてなされたものであり、劣化したシール材などから温度計の保護管内に入り込んだ水分を外部に排出することが可能な温度計を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る蒸気排出機構を備えた温度計は、オートクレーブの缶体の内部温度を測定する温度センサと、該温度センサを保護する保護管とから構成される温度計であって、前記保護管はその先端部とは反対側の端部が前記缶体の外側に露出した状態で取り付けられており、この露出する部分が少なくとも部分的にT字管で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、温度計の保護管内に入り込んだ水分を外部に排出することができるので、該温度計が設けられている設備の立ち上げ時においても正しく温度を測定することが可能になる。
硫酸ニッケル結晶の製造プロセスの工程図である。 本発明の実施形態の蒸気排出機構を備えた温度計がオートクレーブに設置されている状態を示す断面図である。 図2のオートクレーブをA−A面で切断したときの断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る蒸気排出機構を備えた温度計について詳細に説明する。先ず、本発明の実施形態に係る温度計が好適に設置されるオートクレーブで加圧酸化浸出処理を行う硫酸ニッケル結晶の製造プロセスについて説明する。図1に示すように、硫酸ニッケル結晶の製造プロセスは、レパルプ工程S1、加圧酸化浸出工程S2、脱鉄工程S3、溶媒抽出工程S4、晶析工程S5、溶解工程S6、及び希釈工程S7からなり、原料にはニッケル硫化物が用いられる。このニッケル硫化物からなる原料には、コバルト硫化物などの他の金属硫化物が含まれることがあり例えばコバルトを含むニッケル硫化物としてニッケル・コバルト混合硫化物(MS:Mixed Sulfide)を挙げることができる。
1.ニッケル・コバルト混合硫化物の製造方法
上記ニッケル・コバルト混合硫化物は、一般的には、HPAL(High Pressure Acid Leaching)法と称する加圧酸浸出法を含んだ湿式製錬法により生成することができる。具体的には、原料の低品位ラテライト鉱などのニッケル酸化鉱石を上記加圧酸浸出法で処理することでニッケル及びコバルトを含んだ浸出液を得る。この浸出液に対して中和や溶媒抽出を行うことで鉄などの不純物を除去した後、硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせる。これにより、ニッケル・コバルト混合硫化物を析出させることができる。
上記の加圧酸浸出法を含んだ湿式製錬法で得られるニッケル・コバルト混合硫化物は、一般的にNiの品位が45〜60質量%、Coの品位が4〜6質量%、Sの品位が35〜39質量%(いずれも乾燥量基準)である。このニッケル・コバルト混合硫化物は、更に鉄、銅、亜鉛などの不純物を含んでいる。
2.硫酸ニッケル結晶の製造方法
レパルプ工程S1では、上記のニッケル・コバルト混合硫化物に代表されるニッケル硫化物からなる原料に対して所定量のレパルプ水を混合することで原料スラリーを調製する。このレパルプ水には、例えば、一般的な工業用水を用いてもよいが、後述する希釈工程S7でニッケル薄液を希釈することで得られる希釈水が好適に用いられる。
このレパルプ工程S1では、原料スラリーの固形分濃度が200〜300g/Lとなるようにレパルプ水の添加量を調整するのが好ましい。また、該原料スラリーはニッケル濃度が10g/L以下であるのが好ましく、3g/L以下であるのがより好ましい。なお、このレパルプ工程S1は、後述する希釈工程S7で用いる希釈用の槽を共用することで、希釈工程S7と同時に行ってもよい。
加圧酸化浸出工程S2では、上記レパルプ工程S1で調製した原料スラリーをオートクレーブの缶内に導入すると共に、高圧空気を吹き込んで原料のニッケル硫化物に加圧酸化浸出処理を施す。これにより、硫酸ニッケル水溶液を主成分とする浸出液が得られる。この硫酸ニッケル水溶液からなる浸出液には、ニッケルのほか、コバルトその他の不純物が含まれる。
脱鉄工程S3では、上記加圧酸化浸出工程S2で得た浸出液に例えば消石灰からなる中和剤を添加して中和処理を行う。これにより、該浸出液に含まれる主に鉄からなる不純物を中和澱物として析出させる。この中和澱物を固液分離により除去することで脱鉄終液が得られる。この脱鉄終液にはニッケルのほか、コバルトなどの不純物が含まれているので、後工程の溶媒抽出工程S4で該不純物が除去される。一方、この脱鉄工程S3から排出される中和澱物はニッケル水酸化物を含んでいるので、その回収のために後工程の溶解工程S6で処理される。
上記のように脱鉄工程S3で得た脱鉄終液は不純物を含んでいるので、溶媒抽出工程S4では、溶媒抽出を行うことによりコバルト及び不純物を除去して高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。この溶媒抽出工程S4は、抽出段、洗浄段、交換段、ニッケル回収段、コバルト回収段、及び逆抽出段からなり、各々、多段連続向流型のミキサセトラを用いて有機相と水相とを互いに向流させて抽出処理を行うのが好ましい。
抽出段では上記脱鉄終液に含まれるニッケルを逆抽出段で処理した有機相に抽出し、ニッケル保持有機相を得る。洗浄段では該ニッケル保持有機相に含まれる水相のエントレメントを洗浄液で回収する。交換段では上記洗浄段で洗浄されたニッケル保持有機相と不純物を含む硫酸水溶液とを接触させて、ニッケル保持有機相中のニッケルと該硫酸水溶液中の不純物とを置換し、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る。上記交換段で処理された有機相は、ニッケル回収段及びコバルト回収段で順次処理されることで、有機相に保持されているニッケル及びコバルトがそれぞれ回収され、最後に逆抽出段で処理されて不純物が除去される。このように逆抽出段で清浄化された有機相は上記の抽出段に繰り返される。
晶析工程S5では、上記溶媒抽出工程S4で得た高純度硫酸ニッケル水溶液を晶析設備に導入する。そして、該高純度硫酸ニッケル水溶液を減圧雰囲気で加熱することにより濃縮し、硫酸ニッケル結晶を析出させる。この硫酸ニッケル結晶を含むスラリーを抜き出して固液分離により液相分を除去し、更に必要に応じて乾燥することで製品としての硫酸ニッケル結晶が得られる。
溶解工程S6では、上記の脱鉄工程S3から排出される中和澱物に硫酸水溶液を添加することで該中和澱物に随伴されるニッケル水酸化物を溶解する。その後、この溶解処理した処理液を固液分離することで二次中和澱物を除去する。これにより、ニッケルをニッケル濃度10〜30g/L程度の比較的低濃度で含む水溶液からなるニッケル薄液が得られる。
希釈工程S7では、上記溶解工程S6で得たニッケル薄液を希釈液で希釈して、上記レパルプ工程S1用のニッケル濃度が低く調整されたレパルプ水を調製する。このようにニッケル薄液の希釈液をレパルプ水として再利用することで、ニッケルのロスを低減することができる。このレパルプ水のニッケル濃度は10g/L以下が好ましく、3g/L以下がより好ましい。上記の希釈液には、一般的な工業用水や上記晶析工程S5で用いる晶析設備から発生する水蒸気の凝縮水などのように、上記ニッケル薄液よりもニッケル濃度の低い水を用いる。なお上記のレパルプ水には、上記のニッケル薄液に代えて又は上記のニッケル薄液に加えて、加圧酸化浸出工程S2の後工程の例えば溶媒抽出工程S4のニッケル回収段で回収されるニッケル回収液を用いてもよい。
3.オートクレーブ
次に、上記の加圧酸化浸出工程S2で用いるオートクレーブの一具体例を図2を参照しながら説明する。この図2に示すオートクレーブ1は、略円筒状の圧力容器を横向きにした横長の缶体構造を有しており、その両端部に原料スラリーを供給する供給口2a及び浸出液を排出する排出口2bがそれぞれ設けられている。このオートクレーブ1の缶体内部は、長手方向に等間隔に並ぶ複数の隔壁3によって複数の反応室4a〜4eに仕切られている。なお、図2に示すオートクレーブ1は4枚の隔壁3で5つの反応室4a〜4eに仕切られているが、反応室の数はこれに限定されるものではない。
これら反応室4a〜4eの各々には、図示しない高圧空気吹込用の供給管が設けられており、また、冷却水供給管6が設けられている。更に、効率よく浸出処理を行うため、撹拌機5が設けられている。かかる構成により、原料スラリーは、第1の反応室4aに設けられている供給口2aを介して第1の反応室4aに連続的に導入され、ここで空気吹込管を通して該原料スラリーに吹き込まれる高圧空気によってニッケル硫化物と酸素とが接触してニッケル硫化物が酸化される。これにより、硫酸ニッケル水溶液が生成される。
上記のニッケル硫化物の酸化反応は発熱反応であるため、オートクレーブ1の缶内のスラリー温度が高くなりすぎるのを抑えるため、上記の冷却水供給管6から冷却水が供給される。すなわち、缶内に供給される冷却水の蒸発により周囲のスラリーから気化熱を奪うので、該スラリーを冷却することができる。この冷却水及び原料スラリーに元々含まれている一部の水分の蒸発により水蒸気が生じるので、この水蒸気を排出してオートクレーブ1の缶内圧力を所定の圧力に維持するため、オートクレーブ1の上部には圧力調整弁7が設けられている。
このようにして、最も上流側に位置する第1の反応室4aで処理された原料スラリーは、隔壁3の上縁部をオーバーフローして隣接する下流側の第2の反応室4bに移送され、同様に浸出処理が行われる。以降、最も下流側に位置する第5の反応室4eにスラリーが到達するまで隔壁3のオーバーフロー及び各反応室での浸出処理が順次行われる。このようにして徐々に進行する加圧酸化浸出反応によって、硫酸ニッケル水溶液を主成分とし、浸出残渣を含む浸出液がニッケル硫化物から生成される。この浸出液のpHは一般的には1.0〜2.0であり、Niの濃度は110〜150g/L、Coの濃度は5〜15g/L、Feの濃度は0.5〜1.5g/L程度である。
上記のように第1の反応室4aから第5の反応室4eにおける浸出処理で生成された浸出液は、第5の反応室4eに設けられている排出口2bから連続的に抜き出され、オートクレーブ1の直ぐ下流側に位置する図示しないフラッシュタンクに導入される。ここでほぼ大気圧まで降圧された後、更に下流側に位置する図示しない冷却槽で約60℃未満まで冷却される。この冷却槽では、オートクレーブ1における浸出率の指標となる浸出液の酸化還元電位が測定される。加圧酸化浸出処理の際に原料の酸化が不十分であると浸出液の酸化還元電位が低くなるので、浸出液の酸化還元電位が管理基準値よりも低い場合は、オートクレーブ1の運転条件が設定値を下回っている等の理由により浸出率が低下していると判断することができる。
なお、上記の浸出率とは、原料のうち酸化浸出に寄与したものの割合であり、例えばニッケルの浸出率N[%]は、単位時間にオートクレーブ1に供給される原料の流量をFi[m/sec]、単位時間にオートクレーブ1から抜き出される浸出液の流量をFo[m/sec]、原料のニッケル濃度をDi[kg/m]、浸出液のニッケル濃度をDo[kg/m]とすると、下記式1から求めることができる。
[式1]
N=(Fo・Do/Fi・Di)×100
このオートクレーブの運転条件としては、原料スラリーの供給量、各反応室4a〜4eへの高圧空気の供給量、オートクレーブ1の缶内温度及び缶内圧力などを挙げることができる。これら条件は操業効率等を考慮して適宜調整される。例えば、オートクレーブ1の缶内温度(すなわちスラリーの液温)は140〜200℃程度、オートクレーブ1の缶内圧力はゲージ圧で1〜2MPaGに調整することが一般的である。上記のオートクレーブ1内のスラリーの液温を測定するため、オートクレーブ1には温度計8が設けられている。なお、図2には、オートクレーブ1の第1の反応室4aのスラリーの液温を測定する位置に1個の温度計8が設けられているが、温度計8の個数及び設置位置はこれに限定されるものではない。
4.蒸気排出機構を備えた温度計
次に、上記の温度計8に使用する本発明の実施形態に係る蒸気排出機構を備えた温度計について図3を参照しながら説明する。この本発明の実施形態に係る温度計8は、温度センサである熱電対8aと、これを保護する保護管8bとから構成される。該保護管8bは、オートクレーブ1の壁部に設けられているノズル1aからオートクレーブ1の内側に挿入されている。
上記の保護管8bは、その先端部とは反対側の他端部がオートクレーブ1の缶体の外側に露出しており、この他端部の末端に設けた端子箱8cから温度センサである熱電対8aが挿入されている。これら保護管8bや端子箱8c等は例えばネジ込みやフランジにより接続されており、この接続部分はシールテープやパッキン等の封止部材でシールされている。
上記のネジ込みやフランジによる接続部分は、保護管が設置される場所の温度変化や圧力変動の影響を受けやすく、シール部材自身の経年劣化も加わって封止機能が早期に損なわれることがあった。その結果、この接続部分から雨水が保護管8b内に侵入する場合があり、前述したように、操業停止後のオートクレーブ1の立ち上げ時に保護管8b内に滞留した水分が蒸発することで周囲の気化熱を奪い、温度計8の表示が、オートクレーブ1の缶内のスラリーの実際の温度より低い方に振れることがあった。
そのため、温度計の表示値に基づいて運転を行っているオペレータ又は制御装置は、オートクレーブ1の缶内のスラリーの昇温速度が実際よりも遅いと誤って判断し、例えば必要以上に原料スラリーを加熱したり冷却水の供給量を抑えたりする操作を行うことになる。その結果、原料スラリーに対する加熱量が過多となり、缶内の原料スラリーの水分が過度に蒸発する。これにより、缶内の原料スラリーの量が減少して昇温速度が逆に早くなるので、これを抑えるために上記操作とは逆の操作を行うことが必要になる。このように、保護管8b内に水分が滞留したまま放置すると、オートクレーブ1の缶内温度が不安定になるので立ち上げに手間と時間が掛かり、操業効率が低下することがあった。
そこで、本発明の実施形態に係る温度計8は、保護管8bのうちオートクレーブ1の缶体の外部に露出している部分が少なくとも部分的にT字管10で構成されている。具体的には、図3に示すように、保護管8bのうち、缶体の外部に露出している部分が部分的にT字管10の直管部で代替されており、この直管部の内側に熱電対8aが挿通されている。このT字管10の直管部の両端は各々例えばネジ込みにより対応する部材と接続するのが好ましい。また、T字管10の該直管部の長手方向の中央部から垂直方向に分岐する分岐部の先は大気開放されているのが好ましい。
かかる構成により、上記温度計8の保護管8bの内部に侵入した雨水は、オートクレーブ1の缶内温度が通常の操業温度まで昇温する前に、水分のままの状態か、又は缶内の原料で熱せられて水蒸気の状態で上記T字管10の分岐部を介して保護管8bの外部に排出される。なお、上記のT字管10の直管部は鉛直方向に延在するように取り付けるのが好ましく、これにより上記分岐部を水平方向に延在させることができるので、温度計8の保護管8b内に雨水が容易に流入するのを防ぐことができる。
また、上記T字管10の分岐部の先端部には、開閉弁11を備えることが好ましく、通常操業時にはこの開閉弁11を開状態にするのがより好ましい。これにより、万一、オートクレーブ1内に挿入した温度計8の保護管8bが破損しても、開閉弁11を閉じることにより、該オートクレーブ1内のスラリーがT字管10の上記分岐部の先の開放口から噴出するのを防止することができる。この開閉弁11は遠隔操作可能な自動弁であるのが好ましく、これにより作業員が開閉弁11の開閉操作のために開閉弁11に接近する必要がなくなるので、オートクレーブ1内から噴出した蒸気やスラリーに接触するリスクを減らすことができる。
また、上記T字管10の分岐部の先端部又は開閉弁11の開放側にはL字管12を設けるのが好ましく、該L字管12を下方に向けて屈曲するように接続するのがより好ましい。これにより、開放口が床面を向いているので、作業員に向かってオートクレーブ1内から蒸気やスラリーが噴出するリスクを減らすことができる。また、上記したようにオートクレーブ1の缶内のスラリーが万一噴出したときに、そのリスクが及ぶ範囲を狭い範囲に限定することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態の蒸気排出機構を備えた温度計を用いることで、保護管内に侵入した水分をT字管を介して外部に排出することができるので、オートクレーブ缶内の温度を正しく測定することができる。また、オートクレーブの立ち上げ時の昇温速度が過去の運転データと比べて不自然に低いと考えられる場合であっても、作業員が少ない夜や休日出勤時は早急に対応することが困難であったが、このような問題が生じなくなる。更に、保護管内に水分があると判断した場合に従来行っていた現場作業(例えば保護管のシール部を外して、該保護管内にエアを吹き込むことなどにより水分を除去する作業)が不要になるため、高温状態にあるオートクレーブに接近する必要がなくなる。
[実施例]
原料のニッケル・コバルト混合硫化物に対して図1に示す製造プロセスに沿って硫酸ニッケル結晶を製造した。その際、加圧酸化浸出工程S2に、図2に示すようなオートクレーブ1を採用した。このオートクレーブ1の温度計8に、図3に示すような本発明の要件を満たす蒸気排出機構を備えた温度計を用いて、操業停止後の常温常圧状態からの立ち上げや通常操業を行った。その結果、当該温度計8の指示値の不良による点検作業や取り替え作業などは発生しなかった。
[比較例]
上記実施例の蒸気排出機構を備えた温度計を用いずに、従来の温度計を用いて上記実施例と同様に操業停止後の常温常圧状態からの立ち上げや通常操業を行った。その結果、操業停止後の常温常圧状態からの立ち上げ毎に1〜2回の頻度で温度計の指示値の不良が発生し、現場における温度計の点検作業や取り替え作業が必要になった。
S1 レパルプ工程
S2 加圧酸化浸出工程
S3 脱鉄工程
S4 溶媒抽出工程
S5 晶析工程
S6 溶解工程
S7 希釈工程
1 オートクレーブ
1a ノズル
2a 供給口
2b 排出口
3 隔壁
4a〜4e 反応室
5 撹拌機
6 冷却水供給管
7 圧力調整弁
8 温度計
8a 熱電対
8b 温度計保護管
8c 端子箱
10 T字管
11 開閉弁
12 L字管

Claims (4)

  1. オートクレーブの缶体の内部温度を測定する温度センサと、該温度センサを保護する保護管とから構成される温度計であって、前記保護管はその先端部とは反対側の端部が前記缶体の外側に露出した状態で取り付けられており、この露出する部分が少なくとも部分的にT字管で構成されていることを特徴とする蒸気排出機構を備えた温度計。
  2. 前記T字管の3つの端部のうちの2つの端部には前記温度センサが挿通されており、残る1つの端部は開閉弁を介して大気に開放されていることを特徴とする、請求項1に記載の蒸気排出機構を備えた温度計。
  3. 前記T字管の開放されている端部にL字管が下向きに屈曲するように接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の蒸気排出機構を備えた温度計。
  4. 前記開閉弁は遠隔操作が可能な自動弁であり、通常操業時には前記開閉弁は開状態にあることを特徴とする、請求項2又は3に記載の蒸気排出機構を備えた温度計。
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