JP2021138130A - 発泡積層シートおよび該発泡積層シートを用いた包装用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性、耐熱性、耐寒性を備え、且つ包装用容器の形態とした場合にヒートシールし易いように表面が平滑であり、ヒートシールされたトップシールフィルムを剥離し易い発泡積層シートを提供する。【解決手段】発泡層と、前記発泡層の両面側に設けられた補強層とを備えた発泡積層シートであって、前記発泡層は、1.0倍超、20倍以下の発泡倍率を有するポリプロピレン系樹脂から構成され、前記補強層は、ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、30〜200質量部のポリエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡積層シートおよび該発泡積層シートを用いた包装用容器に関する。
食品等の包装に用いられる包装用容器の材料として、熱可塑性樹脂からなるシートが使用されており、そのなかでも断熱性に優れ容器重量も軽い発泡樹脂シートからなる包装用容器が広く普及している。近年、冷凍食品や電子レンジの普及により、冷凍保存された食品を電子レンジで加熱して解凍、調理することが行われるようになってきたため、食品を冷凍保存用の包装用容器に入れたまま電子レンジで加熱できれば、冷凍食品の移し替えや加熱用容器を別途準備する手間が省ける。そのため、冷凍食品をそのまま電子レンジ調理できる発泡樹脂シートからなる包装用容器が開発されている。
電子レンジ加熱適性を有する容器としては、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡層を、ポリプロピレン系樹脂からなる補強層で挟持した層構成を有する発泡多層シートからなる包装用容器が知られている。発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂発泡体は電子レンジ加熱可能な耐熱性を有するが、ポリスチレン系樹脂発泡体に比べて剛性が低いといった問題がある。この問題を解決するため、例えば特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂発泡層に無機フィラーを添加することにより、断熱性、耐熱性、耐油性、電子レンジで加熱可能な耐熱性を有し、容器剛性や表面平滑性も改善された発泡積層シートが開示されている。
特開2008−207843号公報
しかしながら、上記の発泡多層シートは発泡層が無機フィラーを比較的多く含むため、成形時の樹脂温度の制御が難しいといった問題ある。また、ポリプロピレン系樹脂を使用しているため耐熱性(電子レンジ加熱適性)を有する一方、ポリエチレン系樹脂発泡体と比較して耐寒性に劣るため、食品を包装した容器を冷凍状態のまま流通させる過程で容器が破損する懸念がある。そのため、断熱性、耐熱性、耐寒性を備えた包装用容器が強く要望されている。
また、最近では蓋材に代えて、トップシールフィルムと呼ばれるイージーピール性を有するフィルムを包装用容器の開口端部にヒートシールした容器形態が普及し始めており、この容器形態ではヒートシールし易いように包装用容器の表面平滑性が要求される。また、トップシールフィルムの剥が易さも必要である。
したがって、本発明の目的は、断熱性、耐熱性、耐寒性を備え、且つ包装用容器の形態とした場合にヒートシールし易いように表面が平滑であり、ヒートシールされたトップシールフィルムを剥離し易い発泡積層シートを提供することである。
また、本発明の他の目的は、該発泡積層シートを用いた包装用容器を提供することにある。
本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡層を、ポリプロピレン系樹脂からなる補強層で挟持した層構成を有する発泡多層シートにおいて、表皮層のポリプロピレン系樹脂に加えて、所定量のポリエチレン系樹脂を配合することにより、断熱性、耐熱性、耐寒性を備え、且つ包装用容器の形態とした場合にヒートシールし易いように表面が平滑であり、ヒートシールされたトップシールフィルムを剥離し易い発泡積層シートが得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]発泡層と、前記発泡層の両面側に設けられた補強層とを備えた発泡積層シートであって、
前記発泡層は、1.0倍超、20倍以下の発泡倍率を有するポリプロピレン系樹脂から構成され、
前記補強層は、ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、30〜200質量部のポリエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする、発泡積層シート。
[2]前記補強層は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して20〜200質量部の無機フィラーをさらに含む、[1]に記載の発泡積層シート。
[3]前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の発泡積層シート。
[4]前記補強層の外側表面に、ポリプロピレン系樹脂から構成される表皮層が設けられてなる、[1]〜[3]のいずれかに記載の発泡積層シート。
[5]前記発泡層の厚みが0.3〜3mmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の発泡積層シート。
[6]前記補強層の厚みが0.1〜0.5mmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の発泡積層シート。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の発泡積層シートを熱成形して得られた包装用容器。
[8]開口部を備え、前記開口部の端部がトップシールフィルムでラミネートされている、[7]に記載の包装用容器。
本発明によれば、発泡層と、前記発泡層の両面側に設けられた補強層とを備えた発泡積層シートにおいて、発泡層をポリプロピレン系樹脂により構成し、補強層をポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを所定割合で含む樹脂から構成することにより、断熱性、耐熱性、耐寒性を備え、且つ包装用容器の形態とした場合にヒートシールし易いように表面が平滑であり、ヒートシールされたトップシールフィルムを剥離し易い発泡積層シートを実現することができる。
本発明の一実施形態による発泡積層シートの断面概略図。 本発明の他の実施形態による発泡積層シートの断面概略図。
[発泡積層シート]
本発明による発泡積層シートについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態による発泡積層シート1の断面概略図である。一実施形態による発泡積層シート1は、発泡層10と、発泡層10の両面側に設けられた補強層20A、20Bとを備えている。また、本発明の他の実施形態による発泡積層シート1は、補強層20A、20Bの外側表面に、表皮層30A、30Bが設けられている。なお、図2に示すように、補強層20A、20Bの両側に設けられていてもよいが、いずれか一方の外側表面にのみ設けられていてもよい(図示せず)。以下、本発明の発泡積層シートを構成する各層について詳述する。
<発泡層>
本発明による発泡積層シートの発泡層は、ポリプロピレン系樹脂から構成されている。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティクポリプロピレン、シンジオタクティクポリプロピレン、アタックティクポリプロピレンなどのポリプロピレンを使用することができる。また、上記したプロピレン単独重合のポリプロピレンに限られず、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体)、ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば無水マレイン酸)変性物等であってもよいが、これら共重合体を使用する場合はプロピレン単位を50モル%以上含むことが好ましい。なお、本発明においては、プロピレン単独重合体およびプロピレン単位を50モル%以上含む共重合体を総称して「ポリプロピレン系樹脂」と称呼する。
発泡層には、剛性を高めるために、ポリプロピレン系樹脂にポリスチレン系樹脂やゴム系樹脂をブレンドしてもよい。
発泡層は1.0倍超、20倍以下の発泡倍率を有する。発泡層が所定の発泡倍率を有することにより、軽量性やソフトな感触が得られ、容器成形後に、包装用容器として必要な表面硬さや腰の強さを確保することができる。発泡層の好ましい発泡倍率は1.5倍以上、15倍以下であり、より好ましい発泡倍率は2.0倍以上、10倍以下である。なお、発泡層の発泡倍率fは、下記式により算出される値である。
f=[ρ×t]/[ρ×t−(ρ×t+ρ×t)]
式中、ρは発泡層の固形成分の比重、tは発泡層の厚み(mm)、ρは発泡積層シートの見かけ比重、tは積層シートの厚み(mm)、ρは補強層の比重、tは補強層の厚み(mm)、ρは表面層の比重、tは表面層の厚み(mm)を表す。なお、発泡層厚みtは、t=t−(t+t)から算出できる。
発泡層は、上記したポリプロピレン系樹脂に二酸化炭素を含浸させ、スチーム等を用いて加熱することにより発泡させることができる。ポリプロピレン系樹脂は、球状、円柱状、あるいは直方体状等の任意の形状に成形した、長径が5mm以下の樹脂粒子として使用することが好ましく、例えば、ストランドカッター、あるいはアンダーウオーターカッターにより切断された円柱状のペレット、あるいはシートを縦横に切断して得られる直方体状の成形片等を用いることができる。長径が5mmを超える粒子では、二酸化炭素の含浸速度が遅くなることによって長い含浸時間を必要とすると共に発泡径が不揃いとなって好ましくない。
ポリプロピレン系樹脂に二酸化炭素を含浸させるには、高圧の気体状の二酸化炭素を用いる。その含浸圧力は二酸化炭素の臨界圧力未満の5〜80kg/cmが好ましい。また、その含浸温度は−10〜50℃が好ましく、特に0〜30℃が好ましい。液体状の二酸化炭素を用いても発泡成形を行なうことができるが、樹脂粒子の内部と表層部の二酸化炭素の含浸量が不均一となることにより、発泡径が不揃いとなって好ましくない。
上記のようにして二酸化炭素を内部に含浸させたポリプロピレン系樹脂粒子を加熱して樹脂の溶融発泡を行う。発泡温度は、スチームを用いる場合はその圧力を制御することによって調整することができる。1℃未満では独立気泡率が低下し、40℃以上では発泡倍率が低下して好ましくない。
また、二酸化炭素に代えてまたは併用して発泡剤を使用してもよい。発泡剤としては、揮発性発泡剤や化学発泡剤などがある。揮発性発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気などのガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の揮発性炭化水素;塩化メチル、フレオン(登録商標)類などのハロゲン化炭化水素などが例示される。化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、無水クエン酸モノナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が例示される。
発泡剤の配合量は、発泡層の発泡倍率が1.0倍超、20倍以下となるように適宜調整される。
また、発泡剤に加えて気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤としては、炭酸水素ナトリウム−クエン酸系化合物などの無機有機複合系気泡調整剤;タルク、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、ホウ酸などの無機系気泡調整剤;セルロース粉末、木粉、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウムやステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩、尿素、ジブチル錫ジマレート等の有機錫化合物などの有機系気泡調整剤等が挙げられる。
気泡調整剤の配合量は特に制限されないが、気泡調整剤の配合量が多すぎると、成形品の強度が低下して割れやすくなり、また発泡積層シートの質量が増加する。
本発明の発泡積層シートにおいて、発泡層の厚みは0.3〜3mmの範囲であることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましい。発泡層が薄すぎると断熱性が不十分となるばかりか、シート密度が上がり過ぎて軽量化しにくくなる。一方、発泡層が厚すぎると、他の層と積層するときに発泡層の気泡が連続気泡化しやすく、またシート全体の厚みが厚くなり成形時に容器形状を維持しにくくなる。
<補強層>
本発明による発泡積層シートの補強層は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む。従来、耐熱性や表面平滑性を向上させるために、ポリプロピレン系樹脂を用いて補強層が形成されていたが、耐寒性が不十分であった。本発明においては、補強層を構成する樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に加えてポリエチレン系樹脂が特定の割合で含まれることにより、断熱性、耐熱性、耐寒性を備え、且つ包装用容器の形態とした場合にヒートシールし易いように表面が平滑であり、ヒートシールされたトップシールフィルムを剥離し易い発泡積層シートを実現することができる。
補強層中、ポリエチレン系樹脂はポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、30〜200質量部の割合で配合される。ポリエチレン系樹脂の割合が30部より少ないと、耐寒性が不十分となる。一方、200質量部を超える割合でポリエチレン系樹脂が含まれると耐寒性は向上するものの、耐熱性が低下する。好ましいポリエチレン系樹脂の配合割合は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して45〜155質量部である。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用することができるが、耐寒性、耐熱性の両方を高次元で両立させる観点からは、高密度ポリエチレン(HDPE)または線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を好適に使用することができる。また、他のポリエチレン系樹脂がブレンドされていてもよく、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを適当な配合比で混合して調製してもよい。
上記したような密度や分岐の異なる種々のポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得ることができる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
シングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種または二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。
助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられる。また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。
また、エチレンと他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。エチレン共重合体としては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体が挙げられ、炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3ーメチルー1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、6−メチル−1−ヘプテン等が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。
上記したポリエチレン系樹脂は、石油由来のポリエチレン以外にもバイオマス由来のポリエチレンを使用してもよい。バイオマス由来のポリエチレンとは、バイオエタノールから合成されたエチレンを含むモノマーを重合したものである。バイオエタノールは、天然原料であるサトウキビから得られる糖質を発酵剤である酵母サッカロマイセス・セレビシエを用いて発酵させることにより得られる。バイオマス由来のポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよく、石油由来のエチレンが含まれていてもよい。なお、バイオマス由来のポリエチレンは、石油由来のポリエチレンとモノマーが異なるだけでありポリエチレンの製造方法は同一である。
ポリエチレン系樹脂中のバイオマス由来のポリエチレンの割合(即ち、バイオマス度)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定することで求めることができる。大気中の二酸化炭素にはC14が一定割合(107pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も107pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。従って、樹脂中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。具体的には、樹脂製品(発泡積層シート)のバイオマス度は、樹脂製品中のC14の含有量をPc14とした場合に、下記式により求めることができる。
バイオマス度(%)=100×Pc14/107
製品(発泡積層シート)全体としてバイオマス度が高いほど環境負荷を低減していることになる。
補強層は、無機フィラーが含まれていてもよい。補強層に無機フィラーが含まれることにより、発泡積層シートの剛性が向上する。無機フィラーとしては特に制限されず、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。これらの中でも、平均粒径1〜30μmのタルクが特に好ましい。これらの無機フィラーは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いて使用してもよい。発泡積層シートの表面平滑性等の観点から、平均粒径が2〜8μmの無機フィラーを使用することが好ましい。
無機フィラーの配合量は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して20〜90質量部であることが好ましく、30〜80質量部であることがより好ましい。無機フィラーの配合量が増加するほど発泡積層シートの剛性は向上するものの、シート表面が荒れるため、後記する表皮層が必要になる。
補強層の厚みは、0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3mmの範囲である。補強層が薄すぎると発泡積層シートの剛性が不足し、厚すぎると、容器形状に成形するのが困難となるとともに、断熱性も低下する。
<表皮層>
本発明の発泡積層シートは表皮層を備えていてもよい。表皮層は、発泡積層シートの表面を平滑にするための層であり、包装用容器の開口部端部をトップシールフィルムでラミネートした際に、剥離性が向上する。
表皮層は、ポリオレフィンン系樹脂で構成されていてよいが、そのなかでもポリプロピレン系樹脂を好適に使用することができる。
発泡積層シートに剛性が必要なときは、補強層と同様に、無機フィラーを配合してもよい。
表皮層の厚みは、特に限定されるものではないが0.005〜0.05mmの範囲であることが好ましく、0.01〜0.03mmの範囲であることがより好ましい。
上記した各層には、使用目的等に応じて、カーボンブラックや酸化チタン等の着色剤や酸化防止剤、界面活性剤、分散剤、滑剤等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明による発泡積層シートを製造する方法としては、各層シートを成形した後に、各層シートを熱圧着や各層を接着剤を挟んで接着する方法もあるが、各層をそれぞれの押出機を用い、共通のダイを用いて共押出する方法が、効率的、食品衛生性の観点から好ましい。すなわち、各層の構成成分を予め公知のバンバリーミキサー、単軸・二軸混練機等を用いて溶融混練し、得られたペレットを、各層それぞれの押出機を用い、共通のダイを用いて共押出すればよい。このような共押出法は、熱圧着による貼り合わせ法に比べて、成形の際に亀裂が生じたり、シートが破断することが少なく、効率的、食品衛生性にも優れている。
発泡積層シートの厚みは、使用用途によって適宜調整されるものであるが、通常、0.5〜4mmの範囲であり、特に包装用容器として使用する場合は、0.7〜2mm程度である。
[包装用容器]
上記した発泡積層シートは、熱成形することにより所望の包装用容器の形状とすることができる。熱成形方法としては特に制限はなく、真空プレス成形,プラグアシスト真空成形,真空成形,圧空成形等が挙げられるが、特に真空プレス成形が好ましい。なお、成形条件としては特に制限はなく、通常の成形条件でよい。
包装用容器は、形状や大きさに関して特に限定されず、平面視四辺形、円形、楕円形、多角形などの種々の形状とすることができ、また立体形状についても、箱形(特に弁当箱状)、トレー状、丼状などの種々の形状とすることができる。さらに、本発明の包装用容器は、蓋と容器本体が別個のタイプの他、蓋と容器本体とがヒンジ部となる側壁の一部を介して連結された蓋付き容器タイプであってもよいし、包装用容器の開口部の端部がトップシールフィルムでラミネートされている形態であってもよい。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<発泡積層シートの作製>
下記表1および2に示す割合で各成分を混合し、押出機によりペレット化した。発泡層用のペレット、補強層用のペレット、および表皮層用のペレットを共押出機に供給し、Tダイから押出することにより、発泡層の両面に補強層および表皮層が積層された4種5層構造の発泡積層シートを製造した(実施例1〜5)。また、比較として、下記表1に示す割合で各成分を混合した樹脂を用いて2種3層構造の発泡積層シート(比較例1)、ならびに3層共押の非発泡積層シート(比較例2)を作製した。なお、表1および2中、各原料は下記のとおりである。
BC3BRFA:ポリプロピレン系樹脂
HFS−62−NFK:タルク配合PPマスターバッチ
SHE150:高密度ポリエチレン(バイオマス由来)
PEM2065BK:黒顔料
FTS4000:ポリプロピレン系樹脂
B5803:高密度ポリエチレン(石油由来)
VB370A:ポリプロピレン系樹脂
EX4000:ポリプロピレン系樹脂
MG03BF:ポリプロピレン系樹脂
Figure 2021138130
Figure 2021138130
<包装用容器の作製>
次いで、発泡積層シートを真空圧空成形し、開口部を有する略四辺形の容器を成形した。
<耐寒性の評価>
得られた発泡積層シートをシート状に成形した試験片を、液体窒素に5分間浸漬し、その後、試験片を取り出したあと直ちに、ダートインパクトテスター(TESTER SANGYO製)にセットし、非接触温度計(Testo製)でサンプルの表面温度を確認しながら、表面温度が−20℃の温度に達したときに重りを落下し、試験片の破損状況を確認した。この操作を5回繰り返し、試験片が破損した回数をカウントした。カウント数が多いものほど耐寒性が低く、破壊数が少ないものほど耐寒性が優れることを意味する。
評価結果は下記表3に示されるとおりであった。なお、表中の「5/5」等の表記は、5回の測定のうち、5回とも試験片が破損したことを意味する。
<断熱性の評価>
上記のように作製した包装用容器の開口部から300gの水(水温20℃)を容器に投入し、電子レンジで500W・4分の加熱調理を行った。そのあと直ちに電子レンジから容器を取り出し、水温と、容器外面の温度を測定した。容器外面の温度測定には、非接触温度計(Testo製)を用いた。評価結果は下記表3に示されるとおりであった。
<シール適性>
得られた発泡積層シートをシート状に成形した試験片の表面に、ラミネートフィルム(PET12/EP30)を、ヒートシールテスター(TESTER SANGYO製)を用いて、0.2MPaのシール圧力にて下記表3に示すシール温度およびシール時間でヒートシールを行い、シール部分の外観状態を目視にて確認を行った。シール適性は下記の評価基準とした。
○:美麗なシールがされている
△:シール部に僅かなシワが確認される
×:シール部にシワが確認され、シート表面に非発泡層の剥離が確認される
評価結果は下記表3に示されるとおりであった。
Figure 2021138130
1 発泡積層シート
10 発泡層
20A、20B 補強層
30A、30B 表皮層

Claims (8)

  1. 発泡層と、前記発泡層の両面側に設けられた補強層とを備えた発泡積層シートであって、
    前記発泡層は、1.0倍超、20倍以下の発泡倍率を有するポリプロピレン系樹脂から構成され、
    前記補強層は、ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、30〜200質量部のポリエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする、発泡積層シート。
  2. 前記補強層は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して20〜200質量部の無機フィラーをさらに含む、請求項1に記載の発泡積層シート。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の発泡積層シート。
  4. 前記補強層の外側表面に、ポリプロピレン系樹脂から構成される表皮層が設けられてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡積層シート。
  5. 前記発泡層の厚みが0.3〜3mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡積層シート。
  6. 前記補強層の厚みが0.1〜0.5mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡積層シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡積層シートを熱成形して得られた包装用容器。
  8. 開口部を備え、前記開口部の端部がトップシールフィルムでラミネートされている、請求項7に記載の包装用容器。
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