JP4444470B2 - 多層ポリオレフィン発泡シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層ポリオレフィン発泡シートに関するものであり、具体的には真空成形性に優れ、また同種ないしは異種のシートを積層して複層化する場合のラミネート性、もしくは容器とした場合の蓋シートとのラミネート性にも優れた多層ポリオレフィン発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
カップ、トレー、その他電子レンジにて加熱する調理食品であるホームミールリプレースメント(HMR)の容器としては、軽量性、加熱後に手で触れることができるように断熱性を考慮して樹脂発泡体が使用され、現在はポリスチレン発泡体が使用されている。
【0003】
しかし、ポリスチレンの耐熱性は未だ十分ではなく、これに代わるものとしてポリオレフィン系樹脂発泡体、とりわけ耐熱性の高いポリプロピレン発泡体への関心が高まっている。
【0004】
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの発泡体は公知である。公知のポリオレフィン発泡体としては、アゾジカルボンアミド系化合物、ニトロソ化合物等の化学発泡剤を使用した発泡体、プロパンやブタン等の低沸点脂肪族炭化水素を発泡剤として使用した発泡体、炭酸ガスを使用した発泡体が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、化学発泡剤の使用はコスト的に好ましいものではない。一方、炭酸ガスを発泡剤として使用すると発泡工程において破泡しやすく、発泡体を製造すること自体が難しい。発泡体を製造することが容易なポリプロピレンも知られているが、そのようなポリプロピレンを使用して炭酸ガス発泡により得られた発泡体シートは真空成形性が十分でないために例えば食品容器を真空成形すると破泡が起こる等の問題がある。また表面の粗度が高いものしか得られないために、同種ないしは異種のシートを積層して複層化する場合のラミネート性が満足できるものではなく、またHMR等の食品容器とした場合、蓋シートとの間のシールに問題が生じやすいという問題も有している。
【0006】
表面に非発泡層を設け、外観を改善して表装材、ブックケース等に使用する発泡ポリオレフィンシートは公知である(特許第2820611号)。しかし、この方法は、非発泡層に粉状の充填剤を添加することを特徴とするものであり、確かに表面外観は改善されるが、真空成形性等の2次加工性が悪く、容器等に使用することができるものではない。
【0007】
本発明の目的は、表面の平滑性が高くて真空成形性等の2次加工性にも優れ、かつそれ自体の積層複層化や他材料とのラミネート性、ヒートシール性等の2次加工性に優れた多層ポリオレフィン発泡シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層ポリオレフィン発泡シートは、発泡層及び非発泡層を有し、前記発泡層はポリオレフィン発泡層であり、前記非発泡層は長鎖分岐を有するポリオレフィン系接着性樹脂にて形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記の構成とすることによって、真空成形性に優れた多層ポリオレフィン発泡シートを得ることが可能となった。しかも非発泡層としてポリオレフィン系接着性樹脂を使用しているためにこの非発泡層を加熱すると、この層を介して多層ポリオレフィン発泡シートを積層してより多層のポリオレフィン発泡シートを形成することもでき、また他のフィルム材料等とのラミネート性が向上し、真空成形して容器とした場合の蓋シートとのシール性も優れたものとなる。
【0010】
上述のポリオレフィン系接着性樹脂は、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を充たすものであることが好適である。
【0011】
分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を充たす長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂は溶融状態での強度が高く、この長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂により構成された非発泡樹脂層を表面に設けることにより、内部の発泡層において発泡剤により形成された気泡(セル)に起因する凹凸、またセルの破壊による凹凸の発生を防止する効果が発現される結果、表面平滑性が高く、真空成形性等の2次加工性にも優れた多層ポリオレフィン発泡シートが得られるものと考えられる。
【0012】
長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂の分岐度指数[A]は、0.30≦[A]≦0.90の範囲にあることがより好ましく、0.40≦[A]≦0.80の範囲にあることが、表面平滑性、真空成形性等の2次加工性がさらに優れた多層ポリオレフィン発泡シートが得られ、特に好ましい。
【0013】
長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂とは、分岐した長鎖にカルボキシル基、水酸基等の官能基を有する樹脂であり、極性が高いためにポリオレフィン系接着性樹脂同士、またポリオレフィン系接着性樹脂と他の材料、例えばホットメルト接着剤やフィルム基材等との接着性に優れたものとなる。
【0014】
なお、分岐度指数は長鎖分岐の程度を示すものであり、下記の式において定義される数値である。
分岐度指数 [A] =〔η〕Br/〔η〕Lin
ここで、〔η〕Brは長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linは重量平均分子量が実質的に同じである対応する直鎖状ポリオレフィンの固有粘度である。例えば、長鎖分岐ポリエチレン系接着性樹脂の場合、〔η〕Brはその長鎖分岐ポリエチレン系接着性樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linはその長鎖分岐ポリエチレン系接着性樹脂と重量平均分子量が実質的に同じである高密度ポリエチレンの固有粘度である。また、長鎖分岐ポリプロピレン系接着性樹脂の場合、〔η〕Brはその長鎖分岐ポリプロピレン系接着性樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linはその長鎖分岐ポリプロピレン系接着性樹脂と重量平均分子量が実質的に同じである、主としてアイソタクチックの半結晶性直鎖状ポリプロピレンの固有粘度である。
【0015】
固有粘度は極限粘度数としても知られており、その最も一般的な意味において、ポリマー分子の溶液粘度を増強する能力の尺度である。固有粘度は溶解されるポリマー分子の大きさと形に依存する。従って、非直鎖状ポリマーを実質的に同じ重量平均分子量の直鎖状ポリマーと比較する時、固有粘度は非直鎖状ポリマー分子のコンフィギュレーションを示す数値である。即ち、上記の固有粘度の比は非直鎖状ポリマーの枝別れ分岐度の尺度を示すものであり、分岐度指数とした。長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂の固有粘度の測定方法は、エリオット等〔J.App.Poly.Sci.,14,2947-2963(1970)〕が記載されている。本明細書中に於いて、各場合の固有粘度は、テトラリン又はオルトジクロロベンゼンに溶解した試料について135℃において測定したものである。
【0016】
なお、重量平均分子量(Mw)は種々の方法で測定できる。好ましく用いられる方法はGPC法やM.L.McConnelによって、American Laboratory,May,63-75(1978) に発表されている方法、即ち、低角度レーザー光散乱光度測定法である。
【0017】
平滑性の高い多層ポリオレフィン発泡シートは、発泡層及び非発泡層をそれぞれ少なくとも1層有していればよいが、好ましくは非発泡層/発泡層/非発泡層の3層構造を有したものである。このような構造を有するシートは、シート両面が非発泡層にて形成されているために、いずれの面の平滑性も高く、真空成形性に優れている。
【0018】
本発明の多層ポリオレフィン発泡シートは、前記非発泡層が少なくとも3層形成されていることが好ましい。
【0019】
発泡層の間に非発泡層が形成されることによって、真空成形性がより改善された多層ポリオレフィン発泡シートとなる。
【0020】
ここに非発泡層とは、発泡倍率が1.0倍以上1.5倍以下、好ましくは1.0〜1.1倍の層であり、発泡層とは発泡倍率が1.5倍を超え、好ましくは2.5〜40倍の層である。発泡倍率が2.5倍未満であれば発泡体としての特性、具体的には軽量性、断熱性等が十分ではなくなり、40倍を超えると製造が困難になると共に真空成形の際の破泡が抑制できなくなる。発泡倍率は、使用する発泡剤の添加量、発泡体シート成形後の減圧加工等により調整可能である。
【0021】
前記ポリオレフィン発泡層は、ポリプロピレン発泡体にて形成されたものであることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
発泡層を構成するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテンなどの単独重合体又はこれらの二種以上のモノマーを使用した共重合体、さらにはこれらのモノマーの少なくとも1種と他のモノマーとの共重合体があげられる。共重合体の例としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが例示される。
【0023】
ポリエチレン(PE)ないしはエチレンと他のモノマーの共重合体、即ちエチレン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの、一種以上のビニルモノマーから誘導される繰り返し単位とエチレンから誘導される繰り返し単位とからなるエチレン系共重合体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0024】
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体などのプロピレン系重合体及びそれらの混合物が挙げられる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィンとしては、例えばエチレン、ブテン−1、オクテン−1等の炭素数2、4〜10のα−オレフィンが挙げられる。
【0025】
上記に例示されたポリオレフィンのなかでも、発泡体の均一性が高く、本発明の多層ポリオレフィン発泡シートとして真空成形性が特に優れたものが得られることから、(a)長鎖分岐ポリプロピレン(PP)、(b)第1段階で固有粘度が5dl/g以上の結晶性PPを合成し、第2段階で固有粘度が3dl/g未満の結晶性PPを連続的に合成し、第1段階のPPが0.05〜25wt%で、全体として固有粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満のポリプロピレン等が好適な原料として例示できる。上記(a)の市販品としてはポリプロピレンPF−814(モンテル社製)がある。
【0026】
ポリオレフィン発泡層を構成するポリオレフィンは、1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。また、ポリオレフィン発泡層は、本発明の効果が著しく損なわれない限り、熱可塑性エラストマーを含有してもよい。
【0027】
発泡層を形成するために使用する発泡剤は、環境への影響等を考慮すると、水、炭酸ガス等の不活性物質であることが好適である。特に発泡層構成樹脂としてポリプロピレンを使用する場合は、炭酸ガスの使用が好適である。
【0028】
非発泡層を形成する長鎖分岐を有するポリオレフィン系接着性樹脂としては、1)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エポキシ基含有ビニルモノマー、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステルから構成されるモノマー群から選ばれる1種以上のモノマーとオレフィンモノマーとの共重合体、2)不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト化した酸変性オレフィン系重合体等が例示される。
【0029】
前記1)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エポキシ基含有ビニルモノマー、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステルから構成されるモノマー群から選ばれる1種以上のモノマーとオレフィンモノマーとの共重合体の例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体金属架橋物、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が例示される。
【0030】
また、前記2)不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト化した酸変性オレフィン系重合体の例としては、無水マレイン酸グラフト変性エチレン系重合体、無水マレイン酸グラフト変性プロピレン系重合体が例示される。
【0031】
非発泡層を構成する長鎖分岐を有するポリオレフィン系接着性樹脂は、1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。また、当該非発泡層は、本発明の効果が著しく損なわれない限り、熱可塑性エラストマーを含有してもよい。
【0032】
非発泡層の厚さは、表面の平滑性、即ち外観が良好であれば特に限定されるものではないが、1μm以上であり、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上であることが好適である。厚みの上限値は、多層発泡ポリオレフィンシート全体の厚み、用途等に応じて適宜設定される。厚過ぎると発泡層の特性が十分発揮されなくなる。
【0033】
本発明の多層発泡ポリオレフィンシートには、適当な他の添加剤を配合することが好適である。このような添加剤の例としては、日本科学情報により出版されている「ポリマー添加剤の分離・分析技術 別冊」に記載されているような各種添加剤が使用でき、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、防霧剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、核剤、あるいは他の高分子化合物を挙げることができる。これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲内で配合することができる。
【0034】
酸化防止剤としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4' −チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2' −メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3' ,5' −ジ−t−ブチル−4' −ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4' −チオビス−(6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、フェニルジイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4' −イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシル)フォスファイト、5−t−ブチルフェニルブタンフェニルジ(トリデシル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤、ジラウリル 3,3' −チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル 3,3' −チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル 3,3' −チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル 3,3' −チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル 3,3' −チオジプロピオン酸エステル、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールなどのイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
【0035】
本発明の多層発泡ポリオレフィンシートの製造方法の1例を図面により説明する。この例は、発泡層として炭酸ガスを発泡剤として使用したポリプロピレンを使用し、非発泡層としては、長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂を使用し、非発泡層/発泡層/非発泡層の3層構造の発泡ポリプロピレンシートの製造例を示したものである。
【0036】
図1は本発明の多層発泡ポリオレフィンシートの製造装置の1例を示したものである。製造装置1は、発泡層を押し出す押出機3、非発泡層を押し出す押出機5、押出ダイ(以下、単にダイと記すことがある)7、マンドレル9、及び引取ローラー11を備えている。
【0037】
押出機3には、発泡剤である炭酸ガスを供給するポンプ6が設けられている。ホッパーから押出機3のシリンダー内に投入されたポリプロピレン樹脂は、スクリューによりダイ7方向に送られつつ溶融される。炭酸ガスは十分に樹脂の溶融がされた時点で溶融樹脂に供給され、さらに均一に分散されてダイ7に送り込まれる。押出機に公知のベント型押出機を使用し、ベント孔から炭酸ガスを加圧供給する構成は、特に押出機の改良が必要なく、好適な態様である。
【0038】
非発泡層を構成する長鎖分岐ポリオレフィン系接着性樹脂は押出機5により溶融されてダイ7に送り込まれる。ダイ7は、内部構造が多層シート形成に適した構造であれば、特にその種類は限定されず、Tダイ、コートハンガーダイ等のフラットダイ、ストレート型ダイ、クロスヘッドダイ等のサーキュラーダイ等が例示される。
【0039】
なお、発泡層構成材料と非発泡層構成材料は、ダイ7内で溶融状態で積層されて押し出されるが、積層後の押出ダイ7内の滞留時間は0.1〜20秒が好適であり、0.5〜15秒であることがより好ましい。
【0040】
ダイ7からチューブ状で送り出された多層発泡シートは、マンドレル9により所定の直径のチューブ15に成形され、冷却後引取ローラー11により折り畳んで引き取られる。これを折り畳み部2箇所にて切開すると2枚の3層構造の発泡体シートが得られる。また、チューブ状の多層発泡シートを1箇所において切開することによって、幅の広い1枚のシートを得ることができる。
【0041】
得られた3層構造の発泡シートを2枚重ねて貼り合わせると、非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層、ないし非発泡層/発泡層/非発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層の構造を有する、非発泡層を3層ないし4層有する発泡シートが得られる。上記3層ないし4層構造の発泡シートには、表面に接着性樹脂により形成される非発泡層が存在するために、これを2枚貼り合わせることにより強固に接着された5層構造ないし6層構造の発泡シートが得られる。さらに積層して多層構造としてもかまわない。
【0042】
ダイの構造の好適な実施形態を図2に断面を示した。
この例において使用したダイは、サーキュラーダイである。ダイ7には、発泡層を形成する樹脂の流路23a、23bと、非発泡層を形成する樹脂の流路24、24a、24b、24c、24dが形成されている。
【0043】
ダイ7の樹脂流路方向の源流側端部には押出機3のヘッド21が接続され、源流側側部には押出機5のヘッド22が接続されている。ヘッド21から供給された発泡層を形成する溶融樹脂は、まず流路23aに入り、ダイ出口方向に送られる。その途中でパスPを通過して分岐され、流路23bに送られる。
【0044】
一方、非発泡層を形成する溶融樹脂は押出機5のヘッド22から供給され、流路24にて24a、24bに分割され、発泡層の両面を被覆するように流路23bの両面に積層するように供給され、25aにおいて複層化される。流路24a、24bに供給される溶融樹脂は、パスPに類似した分割流路(図示せず)を通して、流路23aの発泡層の両面を被覆するように24c、24dに供給され、25bにおいて複層化される。
【0045】
25a、25bにおいて3層構造の円筒状となった溶融樹脂は、ダイ出口26から押し出される。この大気圧への開放により、発泡層構成樹脂中の炭酸ガスが膨張し、気泡が形成されて発泡層が形成される。
【0046】
発泡倍率を高めるために、ダイより押し出されたシートないしチューブを真空チャンバーを通過させてさらに発泡をすすめることも好適な態様である。
【0047】
上記の例においては、いずれも単軸押出機を使用した例を示したが、少なくとも一方、好ましくは発泡層構成材料を押し出す押出機に2軸押出機等を使用することも可能である。
【0048】
本発明の多層ポリオレフィン発泡シートは、各種の用途に使用可能であり、具体的には、電子レンジ対応容器(HMR)を含む食品容器、断熱材、スポーツ用具や梱包材等の緩衝材、絶縁材、車両天井材等の自動車部品、シール材、建材、航空宇宙産業分野における軽量性、断熱性等が要求される樹脂を使用する用途等が例示される。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
〔実施例〕
(発泡層構成材料)
発泡層構成材料は、2段階重合法によるポリプロピレンを使用した。以下にその重合方法を説明する。
【0050】
(1)固体触媒の合成
攪拌機付きの200Lステンレス製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.6kg/Lになるようにトルエンを加えた後、n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル酸クロライドを20.8モル加え110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン90Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.0kgを得た。
【0051】
固体触媒成分はチタン原子1.9重量%、マグネシウム原子20重量%、フタル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.21重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
【0052】
(2)固体触媒成分の予備活性化
内容積3Lのステンレス製、攪拌機付きオートクレーブに十分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモル、、上記固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給して予備活性化を行った。
【0053】
(3)プロピレン系重合体の重合
第1段階
SUS製の内容積300Lの第1重合槽において、重合温度60℃、重合圧力27kg/cm2 Gを保持するように液状プロピレンを57kg/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム1.3ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン0.13ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分0.51g/hを連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、2.0kg/hの重合体が得られた。この時の重合体生成量は触媒1g当たり3920gであり、その一部をサンプリングして分析した結果、固有粘度は7.7dL/gであった。得られた重合体は失活することなく第2重合槽に連続的に移送した。
【0054】
第2段階
内容積の1m3 の攪拌機付き流動床反応器(第2重合槽)において、重合温度80℃、重合圧力18kg/cm2 G、気相部の水素濃度8vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給しながら、第1重合槽より移送された触媒含有重合体およびトリエチルアルミニウム60ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6ミリモル/hを供給しながらプロピレン重合を連続的に継続することにより18.2kg/hの重合体が得られた。この重合体の固有粘度は1.9dL/gであった。
【0055】
以上の結果から第2段階重合時の重合体生成量は触媒1gあたり31760gであり、第1重合槽と第2重合槽の重合重量比は11:89であり、第2段階の重合反応にて形成される部分の重合体の固有粘度は1.2dL/gと求められた。
【0056】
(4)重合体のペレット化
上記2段階反応により得られた重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、MFRが12g/10分のペレットを得た。
【0057】
(非発泡層構成材料)
非発泡層構成材料としては、長鎖分岐を有するポリオレフィン系接着性樹脂である接着性樹脂アドマーLF500(三井石油化学工業社製)(融点135℃、密度0.89g/cm3 、MFR 5.7g/10分)を使用した。
【0058】
〔比較例〕
発泡層構成材料は実施例と同じ材料を使用した。
非発泡層構成材料としては、長鎖分岐を有しないポリオレフィン系接着性樹脂である接着性樹脂(融点120℃、密度0.92g/cm3 、MFR 3.5g/10分)を使用した。
【0059】
〔押出発泡試験〕
50mmΦ2軸押出機(3)と32mmΦ単軸押出機(5)に90mmΦサーキュラーダイス(7)を取り付けた装置を使用した。発泡層に用いたプロピレン系重合体100重量部に対して1重量部の核剤(ベイリンガーインゲルハイムケミカルズ社製 ハイドロセロール)をブレンドした原料を押出機(3)のホッパーに投入し、溶融が進んだ位置から炭酸ガス1重量部を注入し、原料と炭酸ガスを十分混練溶融しダイス(7)に送り込んだ。上記の発泡層となる溶融混合物と押出機(5)により送り込まれる非発泡層となる溶融樹脂をダイ内で積層後押出し、直後に設置されたマンドレル(9)に沿って拡大し、かつ冷却した。後にこの円筒状発泡シートにカッターでスリットを入れ、円筒を開いて平板状シートとし、引取ローラー(11)にて引き取った。
【0060】
〔真空成形〕
得られた多層ポリオレフィン発泡シートを遠赤外ヒーターにて発泡体の表面温度が130℃〜160℃になるように設定し、円柱状の雌金型を用いて真空成形を行い、外観を評価した。
【0061】
〔外観評価〕
真空成形品の全表面積に対して、窪み、厚みむら等の外観不良が認められる面積の割合
(成形品外観不良面積/成形品全面積)
を求めた。この比の値が高いものほど外観が不良であり、値が低いほど外観が良好である。実施例、比較例の結果を表1に示した。
【0062】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】多層発泡ポリオレフィンシートの製造装置の好適な構成態様をモデル的に示した図
【図2】多層発泡ポリオレフィンシートの製造装置におけるヘッドの好適な構成を例示した断面図
Claims (6)
- 発泡層及び非発泡層を有し、前記発泡層は第1段階で固有粘度が5dl/g以上の結晶性長鎖分岐ポリプロピレンを合成し、第2段階で固有粘度が3dl/g未満の結晶性長鎖分岐ポリプロピレンを連続的に合成し、第1段階の長鎖分岐ポリプロピレンが0.05〜25wt%で、全体として固有粘度が3dl/g未満、分子量分散比[Mw/Mn]が10未満のポリプロピレン発泡層であり、前記非発泡層は長鎖分岐を有するポリオレフィン系接着性樹脂にて形成されていることを特徴とする多層ポリオレフィン発泡シート。
- 前記ポリオレフィン系接着性樹脂は、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を充たすものである請求項1に記載の多層ポリオレフィン発泡シート。
- 前記非発泡層は少なくとも2層であり、非発泡層/発泡層/非発泡層構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層ポリオレフィン発泡シート。
- 前記非発泡層が少なくとも3層設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層ポリオレフィン発泡シート。
- 前記発泡層の発泡倍率が2.5〜40倍である請求項1〜4のいずれかに記載の多層ポリオレフィン発泡シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多層ポリオレフィン発泡シートの製造方法であって、
第1段階において、プロピレンおよび固体触媒成分を連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、第1段階の重合体を生成し、
得られた該重合体を失活させることなく第2段階に連続的に移送するとともに、
第2段階において、前記重合体および固体触媒成分にプロピレンおよび水素を供給しながらプロピレン重合を連続的に継続し、第2段階の重合体を生成する、という2段階のプロピレン系重合体の重合プロセスを有し、得られた該重合体によって、発泡層を形成することを特徴とする多層ポリオレフィン発泡シートの製造方法。
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