JP2021138044A - 画像形成装置、画像形成装置のメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッドのノズル形成面にキャッピングに起因する画像不良の発生を低減する技術を提供する。【解決手段】記録媒体にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、ヘッドが所定位置にあるときに当該ヘッドのノズル形成面を覆うキャップと、ヘッドのノズル形成面にキャップを当接させ、またはノズル形成面からキャップを離脱させる昇降機構と、キャップがヘッドのノズル形成面に当接しているときに、キャップを介してヘッド内のインクを吸引する吸引手段と、昇降機構および前記吸引手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、キャップがヘッドのノズル形成面に当接しているときに行われる第一吸引動作に加え、ヘッドが所定位置にあるとき、キャップがノズル形成面からの離脱を開始してから当該離脱が完了するまでの間に第二吸引動作を行うように、吸引手段を制御する画像形成装置による。【選択図】図6
Description
本発明は、画像形成装置、画像形成装置のメンテナンス方法に関する。
従来、インクジェットプリンタ等のインクを吐出する装置において、インクを吐出するノズルを備えるヘッドをメンテナンスするための装置がある。ヘッドは、複数のノズルが配列されているので、メンテナンス装置は、ノズルの配列を覆う程度の大きさのキャップをノズルの配列部分(ノズル面)に当接させて、キャップ内を負圧にして各ノズルに滞留しているインクをキャップ内に強制的に吸引し排出させる。この動作を「クリーニング動作」と称する。キャップには吸引ポンプが連結されている。ノズルからのインクの吸引は、この吸引ポンプが稼働による。
また、上記のようなクリーニング動作において、吸引ポンプを稼働させてインクの吸引を終了させた後に、ノズル配列面からキャップを離脱させて、その後、ノズル面を払拭部材にて払拭する技術も既に知られている。
また、メンテナンス動作に係る吸引動作を維持する目的で、ヘッドのノズル形成面に対してキャップが非接触となる間、間欠的に吸引動作を実行する構成が開示されている(例えば特許文献1)。
従来のメンテナンス装置では、ノズル面からキャップが離脱する際、キャップにインクが充満しているので、キャップの離脱によってノズル面との間でインクが伸びて、ノズル面側とキャップ側にインクが残っている状態である。この状態のまま、ヘッドを搭載したキャリッジが主走査方向に動くと、ノズル面とキャップとの間のインクが主走査方向に伸びて、最終的には切り離される。
このとき、ノズル面を覆うように被せられたキャップの縁部分に相当し、キャップとノズル面が接触していた部分(以下、「ニップ部」とする。)の外側にインクが残留することがある。キャップのニップ部の外側に残留したインク(付着したインク)は、吸引ポンプを用いた吸引動作では排出されない状態になる。そうすると、メンテナンス装置の動作を繰り返すことで、ニップ部の外側にインクが堆積していくこととなる。
このようにインクがニップ部の外側に堆積した状態で、メンテナンス動作のために、ノズル面にキャッピングすると、キャップのニップ部に堆積したインクがノズル面に転写してしまい、キャッピングの痕が残る。このキャッピングの痕が堆積して、画像形成時に記録媒体と擦れると、記録媒体にインクが付着してしまい、画像不良が発生する。これに加えて、ノズル面へのキャッピング時においては、ノズル面とキャップのニップ部と間に隙間が生じ(キャップ不良)、ノズル面の保湿、吸引が正しく行えない。
また特許文献1の技術においても、上記の課題を解消することができない。
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、ヘッドのノズル形成面にキャッピングの痕が残ることによる画像不良の発生を低減する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記ヘッドが所定位置にあるときに当該ヘッドのノズル形成面を覆うキャップと、前記ヘッドのノズル形成面に前記キャップを当接させ、または前記ノズル形成面から前記キャップを離脱させる昇降機構と、前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに、前記キャップを介して前記ヘッド内のインクを吸引する吸引手段と、前記昇降機構及び前記吸引手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに行われる第一吸引動作に加え、前記ヘッドが前記所定位置にあるとき、前記キャップが前記ノズル形成面からの離脱を開始してから当該離脱が完了するまでの間に第二吸引動作を行うように、前記吸引手段を制御することを特徴とする。
本発明により、ヘッドのノズル形成面にキャッピングの痕が残ることによる画像不良の発生を低減することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。尚、以下に参照する各図面においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
図1は、実施形態の画像形成装置100の平面図(上図)、および側面図(下図)を示している。画像形成装置100は、インクジェット方式のシリアル型画像形成装置である。
キャリッジ25は、左右側板101a、101bに架け渡した主ガイドステー102、103により、矢印方向の主走査方向に移動可能に保持されている。このキャリッジ25には、インクの吐出を行うヘッド20a、20b、20cが搭載されている。キャリッジ25が、記録媒体Pの上部を主走査方向の矢印方向に往復移動し、これに伴いヘッド20a、20b、20cが移動しつつ記録媒体Pにインクを吐出することで、記録媒体Pに画像が形成される。
画像形成装置100は、記録媒体Pを矢印方向の搬送方向に搬送するための搬送手段を備えている。搬送手段には、ヘッド20a、20b、20cのノズル形成面に対向するプラテン部材143などを構成に含んでいる。プラテン部材143には、複数の吸引孔143aが設けられ、エアーを取り込むことで記録媒体Pを吸着させて搬送している。吸引孔143aはプラテン部材143の全面に複数設けられている。
記録媒体Pの画像領域外となる主走査方向一方側には、ヘッド20a、20b、20cのノズルからの吐出を正常に維持するためのメンテナンス装置89が配置されている。メンテナンス装置89は、ヘッド20a、20b、20cのノズル形成面を払拭する払拭機構91と、その隣接位置にヘッド20a、20b、20cのそれぞれに対応して所定位置に配置されたキャップ1a、1b、1cを有するキャップ機構90が備えられている。このキャップ1a、1b、1cには、ヘッド20a、20b、20cのノズルからインクを吸引可能する吸引手段(後述の吸引ポンプ5)が備えられている。また、ヘッド20a、20b、20cからインクを吐出せずに待機する場合には、このキャップ1a、1b、1cがヘッド20a、20b、20cのノズル形成面に所定の当接力で当接し、ノズルの乾燥を防止する。また、キャリッジ25は、記録媒体Pの厚み、種類に応じて、ヘッド20a、20b、20cのノズル形成面と記録媒体Pとの隙間を好適な距離になるように調整するために、昇降可能に構成されている。
キャリッジ25には、周囲の温度を検出する温度センサ80(温度検出手段)が設けられている。なお温度センサ80は、メンテナンス装置89に設けられてもよい。ヘッド20から吐出するインクは、外気の環境(特に温度)によって粘性が変動する。したがって、温度センサ80によって周囲の温度(外気の環境)を検出し、その検出結果に基づいてメンテナンス装置89はメンテナンスの実行タイミングや実行頻度を判定する。したがって、メンテナンス装置89は、温度センサ80から得られる温度の値に応じてメンテナンスの制御を行うことができる。
画像形成装置100には、各色のインクを収容した複数のメインタンク(インクカートリッジ)120、および交換可能に装着されるカートリッジホルダ121が配置されている。このメインタンク120から、供給ポンプ、供給経路などによってキャリッジ25内のヘッド20a、20b、20cへとインクが供給される。
キャリッジ25を主走査方向に移動させながら印刷信号に応じてヘッド20a、20b、20cが駆動することで、停止している記録媒体Pの面上に所要のインクが吐出される。これにより1ライン分の画像が形成される。次いで記録媒体Pが所定量搬送されて次のラインの画像形成が行われる。このラインごとの画像形成が繰り返し行われることで、記録媒体Pの面上に所望の画像が形成される。
本実施形態において、ヘッド20a、20b、20cの3つのインク吐出ヘッドを配置しているが、キャリッジ25における配置はこれに限定されるものではない。例えばヘッドの配置は千鳥配置でもよい。ヘッドの配置に対応するようにキャップ1も配置される。
尚、本実施形態に係るメンテナンス装置89の動作の制御は、図1に示すコントローラ70(制御手段)により統括的に制御される。コントローラ70は、例えばCPUなどの演算処理装置、メモリやHDDなどの記憶部、外部機器と通信するためのネットワークインターフェイスを有する。またコントローラ70は、画像形成装置100内に設けられたセンサなどから検知信号を入力したり、各部位や機構に対して制御信号を出力したりするI/Oインターフェイスを有している。
図2(A)は、メンテナンス装置89に備えられるキャップユニットの概略図である。キャップユニット200は、ヘッド20a、20b、20c(以降、特定する必要のない場合は、「ヘッド20」と表記する。)のノズル形成面に当接するニップ部11と、キャップ筐体12とを有する。ニップ部11は、ノズル形成面との密着を要するため弾力を有し、かつ、キャップ筐体12と未着してもキャップ筐体12との間に隙間を形成しない材質により形成されている。ニップ部11の材質は、例えばゴム材質などである。
図2(A)に示すように、キャップユニット200は、圧縮バネ2、ホルダ3、チューブ4、吸引ポンプ5も含んでいる。キャップ筐体12とホルダ3との間には、圧縮バネ2が配置されている。圧縮バネ2の付勢によって、ノズル形成面に所定圧でニップ部11が当接する。このような動作や状態を「キャッピング」、「キャッピング状態」と称する。吸引ポンプ5は、キャップ1やチューブ4を介してヘッド20内のインクを吸引するために搭載されている。
図2(B)は、ヘッド20とキャップユニット200とが当接しているキャッピング状態を示している。所定の当接力(または密着力)でキャップユニット200がヘッド20のノズル形成面に当接し、吸引ポンプ5を駆動モータによって稼働することで、ヘッド20内のインクがキャップ1やチューブ4を介して矢印方向に吸引排出され、最終的に廃液タンク内に排出される。
吸引ポンプ5は、チュービングポンプの機構を備え、所定の回転速度で回転する駆動モータによって吸引力を発生させるように稼働する。この回転速度は、様々な条件に応じて可変可能となっている。また、吸引ポンプ5の機構としては、チュービングポンプに限らずダイアフラムポンプなどであってもよい。
本実施形態のヘッド20を図3に示す。図3(A)はインク吐出方向から見た平面図である。ヘッド20には、インクを吐出可能となる複数のノズル列20−1、20−2、20−3、20−4の4列が配置されているが、ノズル数やヘッドの位置は、図3(A)の例示に限らない。
図3(B)は、先に説明したキャップユニット200によってヘッドノズル形成面が覆われた状態を太線21で示した図である。図3(B)に示すように、ノズル列20−1〜20−4の外側周辺をニップ部11が覆う。尚、太線21は、換言すると、ヘッドノズル形成面にキャップユニット200のニップ部11が当接したときの痕(キャップ痕)でもある。
ここで、本実施形態の特徴及び効果を説明するために対比例となる従来例について図4を用いて説明する。図4は、従来のヘッドメンテナンス時のキャップ動作を説明するための図である。各動作の遷移を図4(A)から図4(F)に示している。
図4(A)は、キャップ1(ニップ部11とキャップ筐体12とが一体形成された構成)を示しており、ノズル形成面22にニップ部11が当接した状態を図示している。尚、図4の模式図では、ノズル形成面22と当接するキャップ1の端部をニップ部11として示している。図4(A)の状態で、吸引ポンプ5が所定の時間稼働すると、キャップ1内およびヘッド20内が負圧状態となり、ヘッド20内のインク7がキャップ1内を通じて、チューブ4を介して吸引ポンプ5に向けて排出される(図4(B))。
吸引ポンプ5が停止した後、キャップ1はノズル形成面22から離脱する。なお、この離脱動作や離脱状態を「デキャップ」、「デキャップ状態」と称する。デキャップ、デキャップ状態のとき、ノズル形成面22とキャップ1との間に存在するインク7は、上下に伸びた状態になる(図4(C))。
図4(C)の状態でヘッド20が次のシーケンスに移行するため、キャップ1から左右方向(主走査方向)に離れていく。この移動に伴い、ノズル形成面22とキャップ1との間のインク7は、左右方向に引き伸ばされる(図4(D))。
ヘッド20がさらにキャップ1から左右方向に離れていくと、インク7が切り離される。このとき、切り離されたインク7の中の一部のインク7aが、雫となってキャップ1のニップ部11付近に飛び散ってしまい、ニップ部11の頂点部や、ニップ外周面にインク7aが付着してしまう(図4(E))。
この動作が繰り返し行われることで、キャップ1のニップ部11付近にインク7bが堆積する(図4(F))。この状態でキャッピングを行うと、ノズル形成面22にキャップ1のニップ部11の痕であるインク7cが多く付着してしまう。
ノズル形成面22にインク7cが多く付着すると、画像形成動作時にインク7cが記録媒体Pに付着して汚したり、画像形成面にインク7cが接して画像を汚したり、などを起こす懸念がある。本実施形態に係るメンテナンス装置89は、キャッピングを繰り返し行っても記録媒体Pや画像形成面を汚す状態にならないように、キャッピングの制御に特徴を有している。
図5は、本実施形態のメンテナンス装置89の概略を示す図である。ヘッド20a、20b、20cの位置に対向した位置に設けられるキャップ1a、1b、1cが、キャップベース41に取り付けられている。側板42、43、ベース44からなる筐体は、駆動軸52を介してカム機構46を支持しており、キャップベース41の全体は、カム機構46の回転によって上昇下降する。
カム機構46は、駆動軸52と接続しており、筐体の側板42、43の外側のリンク機構部51と、駆動軸52を介して接続している。カム機構46の回転駆動源はモータ45であり、タイミングベルト50、タイミングプーリを介して動力が駆動軸52に伝達される。すなわち、モータ45の稼働によってカム機構46が回転し、キャップベース41の全体が上昇する。
このとき、駆動軸52に取り付けられた上昇下降位置検出手段となるフィラー47が、キャッピング位置を検出するセンサ48の位置となり、これによりキャッピング位置に到達したことを検出することができる。一方、ノズル形成面22からキャップが離脱するデキャップのときには、モータ45を逆回転させて、カム機構46によってキャップベース41の全体が下降する。そして、デキャップ位置に設けられたセンサ49が、フィラー47を検出すると、当該デキャップ位置で停止するようになっている。
尚、キャップユニット200の昇降機構に関しては、ここで説明した構成に限定されない。ヘッド20のノズル形成面22にキャップ1を当接させ、またはノズル形成面22からキャップ1を離脱させる機構であれば、どのような昇降機構であってもよい。
図6は、本実施形態におけるヘッドメンテナンス時の動作を説明するための図である。各動作の遷移は、図6(A)から図6(F)に示されている。
図6(A)、図6(B)は、上記の図4(A)、図4(B)と同じ状態である。すなわち、図6(A)は、ノズル形成面22とキャップ1のニップ部11が当接した状態を図示しており、図6(B)は、キャップ1の内部およびヘッド20の内部が負圧状態となってインク7が吸引ポンプ5の方に排出されている状態を示している。
吸引ポンプ5が所定の時間稼働した後、吸引ポンプ5は停止してキャップ1がノズル形成面22から離脱する。この時、ノズル形成面22とキャップ1との間に存在するインク7が上下に伸びた状態になる。本実施形態では、このタイミングにて吸引ポンプ5を再び稼働し、このインク7を強制的にキャップ1内に吸引排出させる(図6(C))。
図6(C)のタイミングで吸引動作を開始したことにより、インク7はキャップ1内へと吸引排出されていく(図6(D))。
ノズル形成面22とキャップ1との間に引き伸ばされたインク7は、キャップ1内に吸引排出される。これにより、ノズル形成面22とキャップ1との間でインク7が切り離される(図6(E))。
吸引動作が完了すると、次のシーケンスへと移行するため、ヘッド20はキャリッジ25の移動とともに左右方向(主走査方向)に移動する(図6(F))。
この図6を用いて説明したデキャップ動作(図6(C)〜図6(E))の際、吸引ポンプ5を再稼働させることで、ノズル形成面22とキャップ1との間のインク7を強制的にキャップ1内に吸引させることができる。これにより、ヘッド20を搭載したキャリッジ25が主走査方向に移動する際に、インク7がニップ部11の外側に付着することがなくなり、ニップ部11に付着するインク7の量を低減することができる。従って、次回のキャッピング動作にて、ノズル形成面22にニップ部11の痕が転写することなく、キャッピングを行うことができる。すなわち、ノズル形成面22にキャッピング痕が形成されなくなり、画像形成の際には記録媒体Pにインク7(インク)が付着することが無くなって、画像不良の発生を抑制することができる。
また、ニップ部11にインクが付着しないため、ノズル形成面22へのキャッピングにおいて、保湿、吸引が正しく実施できることとなり、ヘッド20を正常な状態に保つことができる。
図7は、本実施形態のメンテナンス動作のフローチャートであり、図8はキャップ1の位置および吸引ポンプ5の動作タイミングを例示したタイミングチャートである。また図8(A)は、従来動作におけるタイミングチャートであり、図8(B)は本実施形態におけるタイミングチャート、すなわち図7のフローチャートの動作を行ったときのタイミングチャートである。尚、図7に示すフローチャートや、後述する図10、図11に示すフローチャートは、コントローラ70の記憶部に事前に導入されているプログラムを、コントローラ70の演算処理装置が実行し、各部位に制御信号を出力することで行われる。
ヘッド20を搭載したキャリッジ25は、ヘッドメンテナンスを実施するためにキャップ1の設置位置まで移動する(S701)。キャリッジ25に設けられるヘッド20がキャップ1と対向位置に到達したならば、キャップ1を昇降させるためのキャップ昇降モータ(上記のモータ45)が駆動することで、キャップ1が上昇する(S702)。キャップ1は、ノズル形成面22に所定圧の当接力で当接するまで上昇し、その後キャップ昇降モータが停止する(S703)。
次に、ヘッド20の内部のインクを排出するために、吸引ポンプ5が所定の回転速度で稼働して吸引動作を行い(この吸引動作を、ここでは「ヘッド吸引」と称する)(S704)、所定の時間が経過した後に停止する(S705)。図8のタイミングチャートでは、S801のキャッピング状態から吸引ポンプ5が稼働(ON)し、所定時間経過後に停止(OFF)する。この吸引動作を「第一吸引動作」とする。
ヘッド吸引された直後の状態では、キャップ1内およびヘッド20内が高い負圧状態となっている。この負圧状態のままキャップ1を離脱してしまうと、ヘッド20内が大気気圧の状態に急激に変動するため、ヘッド20内にインクが吸い込まれてしまい、正常な吐出状態を維持できなくなる。そのため本実施形態では、第一吸引動作によるヘッド吸引後は、吸引を一旦停止させることで、ヘッド20内の高まった負圧状態を元の気圧状態(大気気圧)に戻す。
次に、キャップ1を下降するために、キャップ昇降モータが稼働する(S706)。このS706の動作が行われている最中に、すなわちノズル形成面22からキャップ1が完全に離脱する前に、吸引ポンプ5が再び稼働(ON)してキャップ1内の吸引を開始する(キャップ吸引)(S707)。このS706、S707は、図8(B)のタイミングチャートでは、S810として図示している。従来の動作では、負圧状態を元の状態に戻すための時間が経過した後は、デキャップを開始するのみであった(図8(A)のS802)。これに対し、本実施形態では、負圧状態を元の状態に戻すための時間を経過させた後に、デキャップを開始しながら再び吸引を開始する(図8(B)のS810)。この吸引動作を「第二吸引動作」とする。このS810の詳細については図9を用いて後述する。
キャップ1の降下が完了してキャップ昇降モータが停止し(S708)、吸引ポンプ5が停止したならば、キャップ1内のインクを完全に排出するためにキャップ空吸引を実施する(S709)。このS709は、図8(B)(もしくは図8(A))に示すS803のタイミングとなる。
上記のとおり、ヘッド20が搭載されたキャリッジ25は、記録媒体Pの種類に応じて、ノズル形成面22と記録媒体Pとの隙間の調整(キャリッジ25の高さ方向の調整)を行う画像形成装置も存在する。すなわち、このような画像形成装置に本実施形態の態様を適用する場合、キャリッジ25に取り付けられているヘッド20(ノズル形成面22)とキャップ1との間隔も、記録媒体Pの種類に応じて変わることとなる。本実施形態では、このノズル形成面22とキャップ1との間隔の変化に追随するため、記録媒体Pの種類に応じて、第二吸引動作における吸引ポンプ5が吸引を開始する吸引開始時間(S810)を調整することが可能である。さらに、この第二吸引動作における吸引時間(図8(B)の時間t)や吸引ポンプ回転数(速度)も調整することができる。尚、吸引ポンプ5の設定変更可能なパラメータとしては、上記の第二吸引動作における吸引開始時間、吸引時間、吸引ポンプ回転数(速度)があり(これらの一部でもよく、全てでもよい)、利用者は、任意にパラメータを設定することができる。また、記録媒体Pの種類に応じてパラメータを事前に定義付けておき、コントローラ70は、記録媒体Pの種類が指定されると、この種類に対応付けられたパラメータをHDDから読み出して設定してもよい。この場合、コントローラ70は、設定したパラメータに従い吸引ポンプ5を制御する。
また、ヘッド20内に入っているインクは、インクの種類(インクを提供するメーカの型式や色)に応じて異なった粘性を持っていることから、コントローラ70は、インクの種類に応じて、第二吸引動作における吸引開始時間、吸引時間、吸引ポンプ回転数(速度)の各パラメータを設定可能としてもよい。インクの粘性が高い場合は、粘性の低いインクに比べて吸引する力がさらに必要になる。よって、インクの粘性が高い場合は、ポンプ回転数を上げるか、もしくは吸引時間を長く設定することで(両方を行ってもよい)、適正な吸引ポンプ5の稼働パラメータを設定することが可能である。
また、ヘッド20内のインクは外気の環境(特に温度)によっても粘性が変動する。よって、コントローラ70は、温度センサ80の読取り値を取得し、この値に基づいて、第二吸引動作における吸引開始時間、吸引時間、吸引ポンプ回転数(速度)の各パラメータを可変に設定することも可能となる。外気の温度が上昇すれば、ヘッド20内のインクの粘度は下がり流動性が増すことから、吸引ポンプ5の吸引力を小さくすることができる。このことからコントローラ70は、外気の温度が上昇すれば、吸引ポンプの回転数、吸引時間などを小さく設定することで、好適なパラメータで運用することができる。
次に図8(B)のS810で示した、キャップ1が下降するタイミングと吸引ポンプ5が稼働するタイミングの詳細について、図9のタイミングチャートを用いて説明する。尚、ここで図9(A)は、キャップ1のキャッピングおよびデキャップのタイミングを示すタイミングチャートであり、図9(B)、図9(C)は吸引ポンプ5のONおよびOFFのタイミングを示すタイミングチャートである。吸引ポンプ5のタイミングについては、図9(B)、図9(C)の2つのタイミング動作例を示している。
キャップ1は、キャッピング状態であるときに(図9(A)の「所定の当接圧」)、コントローラ70からキャップ下降の信号を入力すると、デキャップを開始する。
一方、吸引ポンプ5は、狙いの吸引圧に到着するまで立ち上がるが、9(B)のタイミングチャートにおいては、キャッピング状態からデキャップ状態に移行を開始するタイミングで狙いの吸引圧に到達するように、吸引ポンプ5が立ち上がる。
図9(C)のタイミングチャートにおいては、デキャップ開始のタイミングから完全離脱するまでの間に、狙いの吸引圧に到着するように、吸引ポンプ5が立ち上がる。また図9(C)の例では、この吸引ポンプ5の立ち上がりのタイミング(吸引ポンプ5の稼働開始のタイミング)と、デキャップ開始のタイミングとが一致していることも示している。
コントローラ70は、記録媒体Pの種類に応じて、図9(B)や図9(C)に示す吸引ポンプ5の吸引開始タイミングを制御する。これにより、上記のように記録媒体Pの種類に応じてキャリッジ25の高さ方向の調整が行われる画像形成装置にも対応することができる。
先の図7のフローチャートは、画像形成装置100がメンテナンスモードで動作している場合のキャッピング動作やデキャップ動作、および吸引ポンプ5の吸引動作を例示した。このメンテナンスモード以外でも、例えば画像形成が終了したときにも吸引ポンプ5の吸引動作を行ってもよい。一方で、メンテナンスモード以外のキャッピング、デキャップにおいては、必ずしも吸引ポンプ5を稼働させる必要が無い場合もある。この場合、吸引ポンプ5の製品寿命などの観点で、吸引ポンプ5を稼働させない方がよい。
以下、電源オン時やスリープモードから立ち上がる時など、メンテナンスモード以外における吸引ポンプ5を稼働させないキャッピング動作、およびデキャップ動作について説明する。
図10は、メンテナンスモード以外におけるキャッピングのフローチャートを示す図である。ヘッド20が搭載されているキャリッジ25は、インクの乾燥防止のためにキャップと対向する位置まで移動する(S1001)。キャリッジ25がキャップ1と対向位置に到達したならば、キャップ1が上昇してノズル形成面22に所定圧の当接力を持って当接し、キャップ昇降モータが停止する(S1002、S1003)。
図11は、メンテナンスモード以外におけるデキャップのフローチャートを示す図である。ノズル形成面22に所定の当接力で当接されたキャッピング状態から、離脱するよう信号が入った場合、キャップ昇降モータが稼働してキャップ1がノズル形成面22から離脱する(S1101)。キャップ1が離脱して最下限位置まで到達したならば、キャップ昇降モータが停止してデキャップ状態となる(S1102)。キャップ1は、次のシーケンスへ移行するまでこのデキャップ状態で待機する。
図12は、先に図8(B)で説明したタイミングチャートに加え、次のシーケンスに移行するキャリッジ25の動作タイミングを含めたタイミングチャートである。
図8(B)で説明したように、キャッピング状態で吸引ポンプ5が稼働することで(S801)、第一吸引動作が行われる。吸引ポンプ5は、稼働してから所定時間が経過した後に停止(OFF)する。そしてS810において、キャップ1を下降させるために、キャップ昇降モータが稼働する。このS810のタイミングで、キャップ1が完全に離脱するまでの間に吸引ポンプ5が再び稼働して(S810)、第二吸引動作が行われる。
吸引ポンプ5が稼働することで、ノズル形成面22とキャップ1との間に引き伸ばされたインクがキャップ1内に排出される。デキャップが完了し、吸引ポンプ5が所定時間吸引した後、ノズル形成面22とキャップ1との間のインクは無くなることから、ヘッド20を移動させても問題ない。よって図12の例では、この吸引ポンプ5が所定時間吸引した後のタイミング、且つ吸引が終了するまでの間に、キャリッジ25を主走査方向に移動させる(S1201)。
このように吸引の開始から規定時間経過した後、且つ吸引が終了する前までに、キャリッジ25を移動させることで、次のシーケンスへの移行を短時間に実施することができる。
また、ノズル形成面22とキャップ1との間にインクが無くなったことを検出可能な検出手段(例えば反射型センサなど)によって、インクが途切れたこと(無くなったこと)を検出し、その情報をもとに、キャリッジ移動信号を入れてキャリッジ25を移動させてもよい。
以上、本実施形態により、ヘッドのノズル形成面にキャッピングの痕が残ることによる画像不良の発生を低減することができる。
1、1a、1b、1c:キャップ
5:吸引ポンプ
7、7a、7b、7c:インク
11:ニップ部
12:キャップ筐体
20、20a、20b、20c:ヘッド
22:ノズル形成面
25:キャリッジ
70:コントローラ
80:温度センサ
89:メンテナンス装置
90:キャップ機構
91:払拭機構
100:画像形成装置
200:キャップユニット
P:記録媒体
5:吸引ポンプ
7、7a、7b、7c:インク
11:ニップ部
12:キャップ筐体
20、20a、20b、20c:ヘッド
22:ノズル形成面
25:キャリッジ
70:コントローラ
80:温度センサ
89:メンテナンス装置
90:キャップ機構
91:払拭機構
100:画像形成装置
200:キャップユニット
P:記録媒体
Claims (7)
- 記録媒体にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記ヘッドが所定位置にあるときに当該ヘッドのノズル形成面を覆うキャップと、
前記ヘッドのノズル形成面に前記キャップを当接させ、または前記ノズル形成面から前記キャップを離脱させる昇降機構と、
前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに、前記キャップを介して前記ヘッド内のインクを吸引する吸引手段と、
前記昇降機構及び前記吸引手段を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに行われる第一吸引動作に加え、前記ヘッドが前記所定位置にあるとき、前記キャップが前記ノズル形成面からの離脱を開始してから当該離脱が完了するまでの間に第二吸引動作を行うように、前記吸引手段を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記第二吸引動作における吸引の開始から規定時間経過した後、且つ前記第二吸引動作における吸引が終了する前までに、前記ヘッドを移動させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記第二吸引動作における前記吸引手段の吸引開始時間、吸引時間、回転速度の一部もしくは全てのパラメータを設定変更可能に記憶し、当該パラメータに従い前記吸引手段が動作するように制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
- さらに、温度を検出する温度検出手段を有し、
前記制御手段は、前記温度検出手段により得られた温度の値に基づいて、前記パラメータを設定することを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記ヘッド内のインクの種類に基づいて、前記パラメータを設定することを特徴とする、請求項3または4に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記記録媒体の種類に基づいて、前記パラメータを設定することを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- キャリッジに搭載されており、当該キャリッジの主走査方向の移動に応じて移動しながら記録媒体にインクを吐出することで、画像形成を行うヘッドと、
前記ヘッドが所定位置で待機しているときに、当該ヘッドのノズル形成面を覆うキャップと、
前記ヘッドのノズル形成面に前記キャップを当接させ、または前記ノズル形成面から前記キャップを離脱させる昇降機構と、
前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに、前記キャップを介して、前記ヘッド内のインクを吸引する吸引手段と、
を有する画像形成装置のメンテナンス方法であって、
前記キャップが前記ヘッドのノズル形成面に当接しているときに第一吸引動作を行い、
前記キャップが前記ノズル形成面からの離脱を開始してから当該離脱が完了するまでの間に第二吸引動作を行う、
ことを特徴とする、画像形成装置のメンテナンス方法。
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JP2020037617A JP2021138044A (ja) | 2020-03-05 | 2020-03-05 | 画像形成装置、画像形成装置のメンテナンス方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2021181017A (ja) * | 2018-11-30 | 2021-11-25 | 京楽産業.株式会社 | 遊技機 |
JP2021181015A (ja) * | 2018-11-30 | 2021-11-25 | 京楽産業.株式会社 | 遊技機 |
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2020
- 2020-03-05 JP JP2020037617A patent/JP2021138044A/ja active Pending
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