JP4670401B2 - 液滴噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、メインタンクからの液体を一旦貯蔵するサブタンクとそのサブタンクからの液体を液滴としてノズルから噴射させる噴射ヘッドとを有するヘッドユニットを移動させつつ、噴射ヘッドから液滴を噴射させる液滴噴射装置に関する。
従来、この種の液滴噴射装置では、噴射ヘッドのノズル中に気泡や異物が詰まったり、長時間使用しなかったことによりノズル内の液体が乾燥してその成分が固体状或いはスラリー状でノズル内に付着するなどして、正常な噴射を行うことができなくなる場合がある。
このような問題が生じる液滴噴射装置の具体的な例として、サブタンクに一旦貯蔵されたインクを記録ヘッド(上記の噴射ヘッドに相当)から噴射させることにより記録媒体への画像等の記録を行うインクジェット記録装置が挙げられる。インクジェット記録装置においてノズル中に異物等が詰まったり、ノズル内のインクが乾燥したりすると、インクの噴射が正常に行われなくなり、良好な画像(記録結果)が得られなくなるおそれがある。
そのため、インクジェット記録装置においては、例えば一定時間間隔でノズル中のインクや異物等を除去して正常にインクの噴射が行われる状態に回復させる回復機能を備えることが一般的となっている。
回復機能を実現する具体的方法の一つとして、記録ヘッドのノズルにキャップを被せ、その状態でノズルからインクや異物等を吸引する負圧吸引方式が知られている。しかしこの方法だと、インクを多く吸引してしまうため、回復動作を行う度に多量のインクが画像の記録に用いられることなく消費されて廃棄されてしまうといった問題があった。
そこで、記録ヘッドよりもインク供給経路の上流側からインクに圧力(正圧)を加えることでノズルからインク等を吐出させる正圧パージ方式が提案されている。そして、正圧パージ方式の具体例として、空気加圧ポンプを用いてサブタンク内部の空気を圧縮することによりサブタンク内のインクに圧力を加え、その圧力でインクを下流側に押し流して記録ヘッドからインクを吐出させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、別の例として、インクを貯蔵するインク袋を収納したヘッドケースが、少なくとも一部が可撓性部材から構成されヘッドケース内に連通するように設けられた加圧室を有しており、この加圧室を構成する可撓性部材を指で押圧してヘッドケース内の容積を変化させることにより、内部のインク袋に圧力を印加してノズルからインクを吐出させる方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)
特開平5−92578号公報(図1) 特開平7−232436号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法のように空気加圧ポンプを用いてサブタンク内の空気を圧縮し、ノズルを回復させる方法だと、回復機能の実現のために別途加圧ポンプが必要になるのに加え、その加圧ポンプ専用の駆動源や駆動力伝達用の連結機構なども必要となり、装置全体の大型化やコストアップ、更には機構に対して高負荷を招来する等の問題があった。
また、上記特許文献2に記載の方法のように、可撓性部材を押圧してケース内部を加圧(延いてはインク袋を加圧)することによりノズルを回復させる方法だと、空気ポンプ等の機器は不要となるものの、回復動作の度にユーザが自ら可撓性部材を押圧する必要があるため、ユーザにとってその作業は非常に煩雑であり、使い勝手の悪化を招くという問題があった。
このような問題は、インクジェット記録装置に限らず、サブタンクに一旦貯蔵された液体を噴射ヘッドのノズルから噴射させるよう構成された種々の液滴噴射装置において起こりうる共通の問題である。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、回復動作のための装置追加を抑えつつ、簡単な構成でしかもユーザの手を煩わせることなく、正圧パージ方式によるノズルの回復動作を行うことが可能な液滴噴射装置を提供することを目的とする。
本願発明者は、上記課題を解決するにあたり、ヘッドユニットを移動させつつ噴射ヘッドから液体を噴射させる構成の液滴噴射装置にはヘッドユニットを移動させるための手段がもともと備えられているという点に着目した。そして、この手段によりヘッドユニットが移動されているときの運動エネルギーを利用して回復動作を実現できないかという発想から、本願発明に至った。
即ち、上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、液体が収容されたメインタンクと、そのメインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、そのヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段とを備え、ヘッドユニット移動手段がヘッドユニットを移動させつつ噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成されたものである。
本発明のサブタンクは、液体が貯蔵される内部空間における内壁の一部が、ヘッドユニットの外部からの荷重により内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材によって構成されている。また、ヘッドユニット移動手段によるヘッドユニットの移動時に弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置には、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられている。
そして、ヘッドユニットの移動に伴って弾性加圧部材が押圧部材に当接しながら移動するときにその弾性加圧部材に加わる荷重によって、その弾性加圧部材がサブタンクの内部空間側へ弾性変形してその内部空間が加圧されることにより、噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されている(ここまでの構成を、以下「基本構成」とも称す)
そして、押圧部材は、ヘッドユニットの移動により押圧位置にて弾性加圧部材が当接するとともにその当接による荷重によって回転可能な回転体と、この回転体を回転可能な状態で支持する支持軸と、を備えている。
上記のように構成された液滴噴射装置では、ヘッドユニット移動手段によりヘッドユニットが移動して押圧位置近傍を通過する際、サブタンクの弾性加圧部材がその押圧位置に設けられた押圧部材に当接する。その当接後、ヘッドユニットが引き続き移動を続けると、弾性加圧部材は押圧部材から荷重を受けることになり、その荷重によって弾性加圧部材はサブタンク内部空間側へ弾性変形する。
この弾性変形によってサブタンクの内部空間の容積が減少し、その内部空間が加圧される。この加圧によって噴射ヘッドのノズルから液滴や異物等が強制的に排出されることとなり、これにより回復機能(正圧パージ)が実現される。そして、ヘッドユニットが引き続き移動することで、弾性加圧部材が押圧部材から離れ、弾性加圧部材は元の形状に復元することになる。
つまり、ヘッドユニットが移動しているときの運動エネルギーによって、移動中に弾性加圧部材が押圧部材に当接すると弾性加圧部材に荷重が加わるため、弾性加圧部材が弾性変形することとなり、延いてはサブタンクの内部空間が加圧されてノズルから液滴が吐出するのである。
従って、上記構成の液滴噴射装置によれば、サブタンクの内壁の一部を弾性加圧部材で形成するとともに、当該装置が元々備えるヘッドユニット移動手段によるヘッドユニットの移動時に弾性加圧部材を押圧部材に当接させて弾性変形させ、サブタンクの内部空間を加圧するようにしているため、回復動作のための空気加圧ポンプやその駆動源、駆動連結機構等の設置を抑えつつ、簡単な構成でしかもユーザの手を煩わせることなく、正圧パージ方式によるノズルの回復動作を行うことが可能となる。
また、押圧部材を上記のように構成することで、弾性加圧部材が押圧部材に当接している間、弾性加圧部材には少なくとも回転体の回転側面が接触し、その回転体が、弾性加圧部材から受ける回転方向の荷重によって回転しながらその弾性加圧部材を押圧・弾性変形させることになる。そのため、押圧部材および弾性加圧部材の双方の耐久性を向上させることが可能となる。
なお、弾性加圧部材を弾性変形させる際のヘッドユニットの移動速度(換言すれば、弾性変形する速度)は、弾性変形したとき、サブタンクの内部空間に、噴射ヘッドから液滴を吐出させるのに最低限必要な圧力が加わるような速度以上とする必要がある。仮にその速度未満でヘッドユニットを移動させた場合は、サブタンク内部が十分に加圧されず、ノズルから液滴が吐出しないことになる。
また、弾性加圧部材は、それ自体が弾性変形するものに限らず、例えば、弾性変形はしないものの可撓性のある部材と、その可撓性のある部材を弾性支持する弾性支持手段とにより構成されたものであってもよい。この場合、可撓性のある部材は、押圧部材に当接して内部空間側に変形した(凹んだ)とき、それ自身の力では元の形状に戻らないものの、それを支持している弾性支持手段の付勢力によって元の形状に復元する方向の付勢力を受けて、元の形状に復元することになる。
更に弾性加圧部材は、気体透過性のない材質或いは気体透過性の低い材質によって構成するのが好ましい。気体透過性を有する材質を用いる場合は、弾性変形による内部空間加圧時に当該弾性加圧部材から内部空間の気体が外部に透過することにより生じる圧力損失分が、ノズルからの液滴吐出を妨げない程度の、低い気体透過性を有する材質にて形成すればよい。このような気体透過性の低い材質としては、例えば、ブチルゴムやフッ素ゴムなどが挙げられる。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1と同様、上述した基本構成を備えている。そして、ヘッドユニット移動手段は、弾性加圧部材が押圧部材に当接してから再び離れるまでの移動区間内において、予め設定された一又は複数の停止位置の中から選択されたいずれかの停止位置でヘッドユニットを停止可能に構成されている。
弾性加圧部材は、押圧部材に当接開始後、ヘッドユニットの移動と共に徐々に弾性変形が進んでいき、ある段階(位置)で変形量が最も大きい状態となる。そして、更にヘッドユニットの移動が進むと、弾性加圧部材は徐々に元の形状に復元していくことになる。そのため、弾性加圧部材が押圧部材に当接開始した後、弾性変形していく途中の複数の位置のいずれかでヘッドユニットを選択的に停止させることができれば、その停止時の弾性変形量に応じて液滴が吐出されることとなる。
このように、当接中にヘッドユニットを停止可能とすると共にその停止位置を複数種類の位置の中から選択可能とすることによっても、回復動作時の液滴吐出量を複数種類に設定できるため、ノズルの状態に応じた適切な弾性変形量(加圧圧力)での回復動作が可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1と同様、上述した基本構成を備えている。そして、 ヘッドユニット移動手段は、弾性加圧部材が押圧部材に当接して弾性変形する際のヘッドユニットの移動速度を複数種類に変更できるよう構成されている。
このように構成された液滴噴射装置によっても、ヘッドユニットの移動速度に応じて回復動作時の液滴吐出量を複数種類に設定できるため、ノズルの状態に応じた適切な弾性変形量(加圧圧力)での回復動作が可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
ところで、上記基本構成を備えた液滴噴射装置においては、メインタンクからサブタンクへの液体の供給方式として、例えば、両者をチューブ等により常時接続しておくことによって、噴射ヘッドから液滴が噴射・吐出される毎にその分を常時メインタンクから供給できるようにする方式や、ヘッドユニットの移動時はメインタンクからの液体供給経路を遮断しておき、ヘッドユニットがある特定の位置で停止したときにメインタンクとサブタンクとをチューブ等で接続して液体を供給する方式などがある。
そして、後者の場合、ヘッドユニットの移動中は、メインタンクから液体の供給を受けるための流入口が密閉されるのが一般的である。そのためサブタンクには、貯蔵された液体が噴射ヘッド側に供給されていくに従って内部の負圧が増加することのないよう、内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔を設けるのが一般的である。
このように、上述した基本構成を備えると共にサブタンクに大気連通孔が設けられた液滴噴射装置において、良好な回復動作を実現するためには、例えば請求項4に記載のように構成するとよい。
即ち、請求項4に記載の発明は、請求項1と同様、上述した基本構成を備えている。そして、サブタンクは、ヘッドユニット移動手段によって移動されている間は、メインタンクから供給される液体を内部空間に流入させるための流入口が密閉されてメインタンクからの液体供給が遮断されるよう構成されている。そして、弾性加圧部材には、サブタンクの内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔が形成されており、この大気連通孔は、弾性加圧部材が押圧位置にて押圧部材に当接して弾性変形する際に、その押圧部材によって塞がれるように形成されている。
このように構成された液滴噴射装置によれば、大気連通孔が弾性加圧部材に形成されると共にそれが押圧部材によって塞がれるように構成されているため、押圧部材により弾性加圧部材が弾性変形する際に、サブタンク内部の気体がサブタンク外部に漏れるのが防止される。そのため、弾性加圧部材の弾性変形時にサブタンク内部を十分に加圧することができ、良好な回復動作結果を得ることができる。
ここで、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴噴射装置は、メインタンクから供給される液体がサブタンクに一旦貯蔵される構成となっている。そのため、メインタンクからサブタンクに至る液体供給経路の構成によっては、弾性加圧部材が弾性変形してサブタンクの内部が加圧されたときにサブタンク内の液体がメインタンク側に逆流し、ノズル側が十分に加圧されずに十分な回復動作が行われなくなるおそれがある。
そこで、例えば請求項に記載のように、メインタンクからサブタンクに至る液体供給経路に、サブタンク側からメインタンクへの液体の逆流を阻止するための逆流阻止手段を設けるようにするとよい。
このように構成された液滴噴射装置によれば、サブタンク内部の加圧時の液体逆流が阻止されるため、逆流による圧力損失を抑えることができ、回復動作を効率的に行うことが可能となる。
ところで、上記請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の液滴噴射装置は、弾性加圧部材の弾性変形によりサブタンク内部の容積を変化(減少)させて回復動作を実現する構成である。そのため、例えば弾性加圧部材と内部の液体との間に空気が存在すると、まずサブタンク内部の空気が圧縮され、その圧力がサブタンクに貯蔵された液体の液面に伝達することで液体に圧力が加わっていくことになるため、圧力損失が生じて効率の低下を招くおそれがある。
そこで、より効率的な回復動作を実現するために、サブタンク内部を例えば請求項6に記載のように構成することができる。
即ち、請求項6に記載の発明は、請求項1と同様、液体が収容されたメインタンクと、そのメインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、そのヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段とを備え、ヘッドユニット移動手段がヘッドユニットを移動させつつ噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置である。
そして、本発明(請求項)では、サブタンクが、メインタンクから供給される液体を内部空間に流入させるための流入口と、その流入口から噴射ヘッドに至る液体供給経路における流入口よりも下流側において液体供給経路を遮るように設けられたプレス部材と、液体が貯蔵される内部空間におけるプレス部材よりも上流側の内壁の一部を構成するものであって、ヘッドユニットの外部からの荷重により内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材と、プレス部材および弾性加圧部材の双方を連結する部材であって、弾性加圧部材が内部空間側へ弾性変形することによりプレス部材を押圧して下流側に移動させるための連結部材とを備えている。
サブタンクが備える上記プレス部材は、液体供給経路における当該部材の上流側と下流側との間で液体が通過可能な液体流路が少なくとも一つ形成されているとともに液体を直接押圧可能なものである。また、ヘッドユニット移動手段によるヘッドユニットの移動時に弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置には、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられている。
そして、ヘッドユニットの移動に伴って弾性加圧部材が押圧部材に当接しながら移動するときに加わる荷重によってその弾性加圧部材がサブタンクの内部空間側へ弾性変形することにより、連結部材がプレス部材を押圧し、その連結部材からの押圧を受けてプレス部材が液体を直接押圧しながら下流側に移動することにより、噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されている。
上記のように構成された液滴噴射装置では、弾性加圧部材の弾性変形により連結部材を介してプレス部材が押圧され、そのプレス部材が下流側に移動すると、プレス部材よりも下流側の液体は、プレス部材に形成された液体流路を介して上流側に流れ込むものの、液体流路の流路抵抗によって加圧される。そのため、この加圧によって噴射ヘッドのノズルから液滴や異物等が強制的に排出されることとなり、これにより回復機能(正圧パージ)が実現される。
つまり、サブタンク内で液体供給経路を遮断するようにプレス部材が備えられているのであるが、完全に遮断しているわけではなく、液体流路を設けることで液体が供給元からノズル側に供給される状態を保持している。その上で、プレス部材が液体を直接押圧させつつ下流側へ移動したときは、液体流路の流路抵抗によって下流側が加圧され、回復動作されるように構成されているのである。
プレス部材は、液体供給経路の下流側に、即ち、プレス部材の下流側に流入口が存在しないように備えられている。そのため、プレス部材が下流側に移動して下流側が加圧されても、その上流側(即ち流入口側)は加圧されないため、回復動作時に流入口から液体が上流側(メインタンク側)へ逆流するおそれはない。
従って、上記構成の液滴噴射装置によれば、ヘッドユニットの移動によって弾性加圧部材が押圧部材に当接して弾性変形したときに、連結部材を介してプレス部材を押圧して下流側に移動させるようにするという簡単な構成で、サブタンク内の液体を直接加圧することによる回復動作が実現できる。そのため、回復動作時の圧力損失や液体の消費量が抑えられ、効率的かつ確実に液滴を吐出させることができる。しかも、プレス部材には液体流路が形成されているため、通常の液滴噴射動作中も常に液体流路を介して液体を噴射ヘッド側へ供給することができる。また、弾性加圧部材が元の形状に復元することによってプレス部材が元の位置(上流側)に戻されても、液体流路を介して液体が下流側に流れるため、ノズルからの液体の逆流を防止できる。
なお、弾性加圧部材を弾性変形させる際のヘッドユニットの移動速度は、弾性加圧部材の弾性変形によってプレス部材が押圧(移動)されたとき、プレス部材の下流側領域に、噴射ヘッドから液滴を吐出させるのに最低限必要な圧力が加わるような速度以上にすればよい。この速度は、プレス部材に形成された液体流路の数や断面積(内径)、位置などを考慮して、押圧したときにノズルから液滴が吐出して回復機能が実現されるように適宜決めればよい。
また、プレス部材と連結部材とは、必ずしも機械的部品等で連結されている必要はなく、例えば接着剤によって接着された状態であったり、或いは、両者が一体的に形成されたものであってもよく、弾性加圧部材が弾性変形したときに結果としてプレス部材が下流側に移動するように連結されている限り、連結の具体的態様は種々の態様を採りうる。また、両者の連結は、直接的な連結であっても間接的な連結であってもよい。弾性加圧部材と連結部材との連結・接続についても同様である。
更に、プレス部材の具体的構成は、プレス部材全体の形状(外周形状)や、液体流路の断面積(内径)、数、形状、形成位置などにより、多種多様のものが考えられる。その一例として、同じ断面積の液体流路が複数形成されたものや、同心楕円状に等間隔で液体流路が形成されたもの、或いは、複数の液体流路がメッシュ状に形成されたものなどが挙げられる。
なお、本発明でいう「噴射」とは、噴射ヘッド自身の動作によって液滴がノズルから噴出されることを意味し、「吐出」とは、噴射ヘッドよりも上流側での動作によって液体が噴射ヘッドへ送り込まれることによりノズルから液滴が強制的に噴出されることを意味する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の液滴噴射装置であって、サブタンクは、ヘッドユニット移動手段によって移動されている間は、メインタンクから供給される液体を内部空間に流入させるための流入口が密閉されてメインタンクからの液体供給が遮断されるよう構成されている。そして、弾性加圧部材には、サブタンクの内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔が形成されており、この大気連通孔は、弾性加圧部材が押圧位置にて押圧部材に当接して弾性変形する際に、その押圧部材によって塞がれるように形成されている。
このように構成された液滴噴射装置によれば、請求項4と同様、大気連通孔が弾性加圧部材に形成されると共にそれが押圧部材によって塞がれるように構成されているため、押圧部材により弾性加圧部材が弾性変形する際に、サブタンク内部の気体がサブタンク外部に漏れるのが防止される。そのため、弾性加圧部材の弾性変形時にサブタンク内部を十分に加圧することができ、良好な回復動作結果を得ることができる。
ここで、押圧部材は、ある一定の押圧位置にて固定設定されたものであってもよいが、例えば請求項8に記載のように、押圧部材を、ヘッドユニットがその移動範囲内を移動しても当該押圧部材が弾性加圧部材に当接することがない退避位置と上記押圧位置との間で移動させるための第1駆動手段を備えるようにしてもよい。
このように構成された液滴噴射装置によれば、ヘッドユニットが押圧部材の設置位置をを通過する度に液滴の強制吐出が行われることなく、回復動作が不要の場合は押圧部材を退避位置に移動させ、回復動作が必要なときに押圧位置に移動させることができるため、液体が無駄に消費されるのを防ぐことができ、より効率的な回復動作の実現が可能となる。
そして、上記請求項のように液滴噴射装置が第1駆動手段を備えている場合は、更に請求項9に記載のように構成することができる。即ち、請求項9に記載の液滴噴射装置は、ヘッドユニットが、ヘッドユニット移動手段により移動される移動方向に沿って設けられた複数のサブタンクを有しており、その複数のサブタンクのうち、弾性加圧部材を押圧部材に当接させるべき押圧対象サブタンクを設定する押圧対象サブタンク設定手段を備えている。そして、第1駆動手段は、ヘッドユニットの移動に伴って押圧対象サブタンクにおける弾性加圧部材が押圧位置を通過する際に、その弾性加圧部材が押圧部材に当接して弾性変形するよう、押圧部材を押圧位置に移動させる。
このように構成された液滴噴射装置によれば、移動方向に沿って設けられた複数のサブタンクが押圧位置を順次通過する際に、回復動作すべきサブタンク(押圧対象サブタンク)の弾性加圧部材が通過するときのみ押圧部材を押圧位置に移動させ、それ以外のサブタンクが通過する際は押圧部材を退避位置に退避させておくことが可能となるため、複数のサブタンクを備えた液滴噴射装置における回復動作をより効率的に行うことが可能となる。
更に、例えば請求項10に記載のように、押圧位置として、弾性加圧部材が押圧部材に当接したときの弾性変形の程度がそれぞれ異なる複数の押圧位置を設定し、第2駆動手段が、押圧部材をその複数の押圧位置のいずれかに選択的に移動させるように構成してもよい。
つまり、第2駆動手段によって押圧部材の押圧位置を変化可能とすることにより、各押圧位置毎に、その押圧位置に応じた弾性加圧部材の弾性変形量が実現されるのである。そのため、例えば、回復動作時の液滴吐出量を少なめに抑えるために必要な弾性変形量(変形の程度が小さい)に応じた押圧位置と、回復動作時の液滴吐出量を多めにするために必要な弾性変形量(変形の程度が大きい)に応じた押圧位置との2種類のうちいずれか一方に押圧部材を移動させて、液滴吐出量を調節できるようにするといったことが可能となる。
従って、上記構成の液滴噴射装置によれば、回復動作時の液滴吐出量を複数種類に設定できるため、ノズルの状態に応じた適切な弾性変形量(加圧圧力)での回復動作が可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
なお、本実施形態は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等を備えたいわゆる多機能装置を構成するインクジェット記録装置に本発明を適用したものである。
<多機能装置1の全体構成>
図1及び図2に示すように、本実施形態の多機能装置1は、ケース1aの上部にスキャナ2が設けられ、その下部(ケース1a内の上部)に、上記各種機能において記録用紙20への記録(画像形成)を行うためのインクジェット記録装置7が設けられている。ケース1a内の下部には、給紙装置30が設けられている。
また、ケース1a内の後方であって給紙装置30よりも上方には、箱型の金属製のフレーム5が配置されている。フレーム5は左右方向に長いほぼ直方体形状であり、伸びた状態でケース1aの内部に固定される。
フレーム5内の上部にはインクジェット記録装置7が配置され、フレーム5の後方には、給紙装置30の後方からインクジェット記録装置7へと記録用紙20を案内する搬送路5aが形成されている。インクジェット記録装置7は、搬送路5aの出口に隣接する箇所に搬送ローラ7aを有し、画像の記録された記録用紙20を排出する箇所に排出ローラ7bを有する。この搬送ローラ7aは用紙搬送モータ123(図2には図示せず。図7参照。)の回転駆動力を受けて回転する。インクジェット記録装置7の具体的構成は図3に示す通りであるが、その詳細については後述する。
給紙装置30は、ケース1aの開口部1bから挿入されてセットされた給紙カセット3を備えている。この給紙カセット3には、積み重ねた記録用紙20を収納する用紙収納部3aが設けられ、給紙カセット3がケース1a内に挿入されると、用紙収納部3a内の記録用紙20はケース1a内の後方に配置される。
そして、用紙収納部3aの最上層に積層されている記録用紙20は、給紙ローラ8が回転することにより、搬送路5aを経てインクジェット記録装置7へ送り出される。なお、給紙ローラ8は、駆動軸9に軸支された長尺状のアーム10の先端部に回転可能に保持されており、駆動軸9が給紙モータ122(図2には図示せず。図7参照。)の回転駆動力を受けて回転することによりその回転が伝達されて回転するよう構成されている。
また、多機能装置1の上部前面には、各種操作ボタンや液晶パネルなどからなる操作パネル6が設けられている。この操作パネル6により、ユーザは、当該多機能装置1の各種機能における各種設定項目を設定したり、ファクシミリ番号などの必要事項を入力したり、動作状況や通信履歴などを確認したりすることができる。
<インクジェット記録装置7の構成>
次に、多機能装置1内に搭載されたインクジェット記録装置7の具体的構成について、図3に基づいて説明する。このインクジェット記録装置7が本発明の液滴噴射装置に相当するものである。
図3に示すように、このインクジェット記録装置7においては、ガイドバー24が、搬送ローラ7a等により搬送されてくる記録用紙20の幅方向に設置され、このガイドバー24に、ヘッドユニット11を搭載したキャリッジ4が挿通されている。ヘッドユニット11は、インクカートリッジ71(図4(b)参照)から供給される4色のインクを記録ヘッド69の各ノズル37,47,57,67(図4(a)参照)から液滴として噴射させて記録用紙20への記録を行うものであり、その具体的構成については後述する。
キャリッジ4は、ガイドバー24に沿って設けられた無端ベルト25に連結され、その無端ベルト25は、ガイドバー24の一端側に設置されたキャリッジモータ28のプーリ26と、ガイドバー24の他端側に設置されたアイドルプーリ27との間に掛け止められている。
つまり、キャリッジ4は、無端ベルト25を介して伝達されるキャリッジモータ28の駆動力により、ガイドバー24に沿って記録用紙20の幅方向に往復運動するように構成されている。
また、ガイドバー24の近傍には、一定間隔ごとに一定幅のスリットを形成したタイミングスリット29が、ガイドバー24に沿って設置されている。
また、キャリッジ4の下部には、タイミングスリット29を挟んで発光素子と受光素子とが対面するように配置されたフォトインタラプタからなる検出部(図示略)が備えられており、上述のタイミングスリット29と共にリニアエンコーダ(キャリッジ送り用エンコーダ)118(図7参照)を構成している。このキャリッジ送り用エンコーダ118により、キャリッジ4(ヘッドユニット11)の移動量(位置)が検出される。
ここで、ガイドバー24に沿ってキャリッジ4が往復運動する領域は、図示の如く、記録用紙20への記録が行われる記録領域と、記録が行われない領域である待機領域および間隙調整領域との、3つの領域に分けられる。
このうち待機領域は、ガイドバー24のプーリ26側端付近に設定され、記録やメンテナンス等が行われていない期間にキャリッジ4が待機するホームポジション(図3の右端位置)を含み、メンテナンス動作の一つである各ノズル37,47,57,67の開口面の拭き取り(以下「ワイピング」ともいう)や、各ノズル内で乾燥したインクや混入した異物などを除去して正常なインク噴射が行われるようにする回復動作(正圧パージ)などが行われる領域である。
間隙調整領域は、図示しない間隙調整装置を動作させることが可能な領域であり、この間隙調整装置を動作させることにより、記録ヘッド69の各ノズル37,47,57,67(図4参照)と記録用紙20との間隙(ギャップ)を調整することができる。
待機領域には、キャリッジ4がホームポジションで停止しているときの記録ヘッド69と対向する位置にキャップ21が設けられている。このキャップ21は、記録ヘッド69の全てのノズル37,47,57,67を覆ってインクの乾燥を防止するキャッピングを行うためのものであり、キャップ駆動部22により駆動される。
即ち、キャリッジ4がホームポジションで停止している間は、キャップ21が上昇してヘッドユニット11の下部の記録ヘッド69が覆われており、記録動作時やメンテナンス時のようにキャリッジ4を移動させる場合は、キャッピング中のキャップ21が下降して各ノズル37,47,57,67を露出させ、キャリッジ4が移動可能状態となる。
また、キャップ21の位置からキャリッジ4の移動方向に隣接した位置には、回復動作時に各ノズル37,47,57,67から吐出されたインクを受けるための廃インク受皿16と、各ノズル37,47,57,67の開口面に付着したインク等を拭き取るためのワイパーブレード18が設けられている。ワイパーブレード18は、ワイパー駆動部19によって図3の上下方向に移動できるよう構成され、通常時はワイパー駆動部19側に下降した状態であるが、回復動作時には上昇して、回復動作後の各ノズル37,47,57,67のワイピングを行う。
つまり、詳細は後述するが、回復動作時には、各ノズル37,47,57,67がそれぞれ廃インク受皿16と対向する位置に移動してきたときに、対応するノズルからインクが吐出され、回復動作により各ノズルの開口面に付着したインク等がワイパーブレード18により拭き取られるのである。
さらに待機領域には、ヘッドユニット11の上部(記録ヘッド69とは反対側)に、押圧ローラ駆動装置12が設けられている。この押圧ローラ駆動装置12は、先端側に押圧ローラ14が回転可能に取り付けられたローラ軸13aをローラ軸駆動部13が上下方向に駆動するよう構成されたものである。そして、回復動作が行われない通常時には、押圧ローラ14がヘッドユニット11と接触することがないように押圧ローラ14の位置が調整されているが、回復動作時には、キャリッジ4の移動に伴って押圧ローラ14がヘッドユニット11の上部に設けられた各弾性支持部材35,45,55,65(図4参照)に当接するよう、ローラ軸13aが下降(つまり押圧ローラ14が下降)する。
このように構成されたインクジェット記録装置7において、ホームポジションで停止中のキャリッジ4は、記録動作あるいはメンテナンス動作等が開始されると、記録ヘッド69を覆っていたキャップ21が外された後、記録領域に向かって移動開始する。
このとき、メンテナンス動作の場合、あるいは記録動作ではあるがその前にメンテナンス動作を行う必要のある場合(例えば前回の記録動作時から一定期間以上経過している場合など)は、押圧ローラ駆動装置12の押圧ローラ14が下降し、キャリッジ4の移動に伴ってヘッドユニット11上部の各弾性支持部材35,45,55,65がこの押圧ローラ14により押圧されて回復動作が行われる。この間、各ノズル37,47,57,67から吐出されたインク等は、既述の通り廃インク受皿16に溜められる。
そして、回復動作の終了後は、キャリッジ4が更に記録領域に向かって移動し、各ノズル37,47,57,67の開口面に付着したインク等がワイパーブレード18により拭き取られる。なお、ワイピング後は、各ノズル37,47,57,67の開口面全体が、各色のインクが全て混ざった状態となり、そのまま放置しておくと、各ノズルの開口面から当該ノズルに対応した色以外の他色のインクが入り込んで混色が生じてしまう。そのため、ワイピング後は一旦キャリッジ4を廃インク受皿16と対向する位置に戻し、実際に記録用紙20に記録させるときと同様にして記録ヘッド69を駆動させ、各ノズル37,47,57,67からインクを噴射させる。これがいわゆる予備噴射(予備吐出とも呼ばれる)又はフラッシングと呼ばれるものである。
このフラッシングが終わると、メンテナンス動作のみの場合は再びホームポジションに戻ってキャップ21により記録ヘッド69がキャッピングされるが、記録動作の場合は、キャリッジ4は記録領域に向けて移動し、記録動作が開始される。但し、記録動作の開始時には、キャリッジ4を間隙調整領域まで移動させてその端部(図3の左端)に当接させた後、所定距離だけ記録領域側に移動させて(戻して)一旦停止させることにより、記録開始の初期位置にセットするようにしている。
<ヘッドユニット11の構成>
次に、ヘッドユニット11の具体的構成について、図4に基づいて説明する。ヘッドユニットの詳細構成を示す図であり、(a)は正面方向からみた場合の断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図4(a)に示すように、ヘッドユニット11は、下部に記録ヘッド69を備え、この記録ヘッド69の上部に、各色(4色)のインクがそれぞれ貯蔵されるサブタンク31,41,51,61が設けられた構成となっている。具体的には、図4(a)の左から順に、サブタンク31にはブラックのインク36が貯蔵され、その隣のサブタンク41にはシアンのインク46が貯蔵され、その隣のサブタンク51にはイエローのインク56が貯蔵され、その隣(図の最右側)のサブタンク61にはマゼンダのインク66が貯蔵されている。
そして、記録ヘッド69における各サブタンク31,41,51,61の下部には、それぞれ対応するサブタンク内のインクを記録用紙20へ噴射させるためのノズル37,47,57,67が形成されている。記録ヘッド69は、圧電素子の伸縮に伴って各ノズルからインク滴を噴射する周知のピエゾ方式のものであるため、その詳細構成については説明を省略する。
次に、各サブタンク31,41,51,61の内部構成についてより詳細に説明するが、各サブタンク31,41,51,61の構成は、貯蔵するインクの色が異なること以外は基本的に全く同じである。そのため、以下の説明では、主として、ブラックのインク36が貯蔵されるサブタンク31(図4の最左側)について説明し、他の3つのサブタンク41,51,61についての詳細説明は割愛する。
ブラックのインク36が貯蔵されているサブタンク31は、図4(a)及び同図(b)に示す如く、下部にインク流出口31bが形成され、側面の上部にインク流入口31aが形成されている。インク流入口31aは、ジョイント73により可撓性のインク供給チューブ72と接続されており、このインク供給チューブ72はブラックのインク36が収容されたインクカートリッジ71に接続されている。
この構成により、インクカートリッジ71内のインク(ブラック)がインク供給チューブ72を介して供給され、インク流入口31aからサブタンク31内部に流入する。この流入したインク36はサブタンク31内で一旦貯蔵され、記録時や回復動作時などノズル37からインク36を噴射・吐出させる際に、下部のインク流出口31bから記録ヘッド69側へ供給されてノズル37から噴射・吐出される。
サブタンク31内には、通常、図示の如くインク流入口31aよりもやや上位の深さまでインク36が貯蔵されており、ノズル37からインクが噴射・吐出される毎に、その噴射・吐出した分のインクがインクカートリッジ71からインク供給チューブ72を介して供給されるようになっている。
そして本実施形態では、サブタンク31に、回復動作を行うための正圧付与部39と、この正圧付与部39を支持(厳密には連結軸34の端部を支持)する弾性支持部材35とが備えられている。
正圧付与部39は、板状のメッシュプレス部材32と、このメッシュプレス部材32と弾性支持部材35とを連結する連結部材38とにより構成されている。連結部材38は更に、メッシュプレス部材32に接着された支持板33と、一端がこの支持板33に接続され他端が弾性支持部材35に接続された連結軸34とにより構成されている。
図5に、正圧付与部39を構成するメッシュプレス部材32および連結部材38のより詳細な構成を示す。まず、図5(a)はメッシュプレス部材32の平面図および正面図である。図示の如く、メッシュプレス部材32は、全体として楕円形状の板状部材であり、その板面全体に渡って同じ断面積の複数のインク流路32a(矩形の穴)がメッシュ状に形成されている。
また、図5(b)は連結部材38の平面図および正面図である。図示の如く、連結部材38は、外周全体がメッシュプレス部材32と同じ大きさ、同じ形状に形成された支持板33の中心部に連結軸34が垂直に立設された形状となっている。支持板33には、四つの貫通孔33a,33b,33c,33dが形成されている。各貫通孔33a〜33dはいずれも同じ形状である。
このように構成された正圧付与部39は、サブタンク内において、インク流入口31aよりもインク供給経路(本発明の液体供給経路)の下流側に配置されるよう、弾性支持部材35により支持されている。即ち、メッシュプレス部材32は、静止状態では、当該メッシュプレス部材32よりもインク供給経路の下流側にはインク流入口31aが存在せず、且つその下流側にはインクが充填された状態となるような位置に配置される。
また、図5に示したように、メッシュプレス部材32は外周が楕円形状となっているが、この形状や大きさはサブタンク31の内壁の断面形状とほぼ同じである。つまり、メッシュプレス部材32はその外周全体がサブタンク31の内壁に接するように、言い換えれば、サブタンク31内のインク供給経路を遮るように形成・配置されているのである。但し、メッシュプレス部材32にはその全面に渡って複数のインク流路32aがメッシュ状に形成されているため、このメッシュプレス部材32の上流側・下流側でインクが完全に遮断されるわけではなく、複数のインク流路32aを介してインクが通過可能となっている。
一方、連結軸34の他端に接続された弾性支持部材35は、ブチルゴムやフッ素ゴム等の気体透過性の低い弾性体によって球面状に形成されたものであり、その外周がサブタンク31に接着されると共に、サブタンク31に対向する面の中心部に、サブタンク31上部の穴から突出した連結軸34の先端が接着剤等で接続されている。これにより、サブタンク31の内部空間、即ちインク36が貯蔵される内部空間の内壁の一部は、弾性支持部材35によって構成されることとなる。
このように連結軸34の先端(他端)が弾性支持部材35に接続されていることにより、通常時は図4に示したような状態で正圧付与部39がサブタンク31内で静止状態にされる。そして、弾性支持部材35がその上部から下方向に荷重を受けると、弾性支持部材35はサブタンク31の内部空間側へ凹むように弾性変形し、これにより連結軸34も下方向に押し下げられ、メッシュプレス部材32は押圧されて下方向(インク供給経路の下流側)に移動する。
そして、弾性支持部材35への荷重がなくなって自由状態になると、それまで凹んでいた弾性支持部材35はその弾性力によって元の形に復元することになる。これにより、下流側に移動されていたメッシュプレス部材32も、再び上流側に移動して元の静止状態の位置に戻ることとなる。
<回復動作の流れ>
このように構成されたインクジェット記録装置7における、回復動作(正圧パージ)の流れについて、図6に基づいて説明する。図6に示すように、まず回復動作が開始される前の第1STEPでは、押圧ローラ駆動装置12における押圧ローラ14が弾性支持部材35の頂部よりも高い退避位置にあり、メッシュプレス部材32は静止状態の位置にある。この静止状態の位置は、図4に示した位置と同じである。
そして、回復動作が開始された第2STEPでは、ローラ軸駆動部13がローラ軸13aを下方向に延ばすことで、押圧ローラ14をサブタンク31に接近、固定させる。この第2STEPにてローラ軸駆動部13がローラ軸13aを下方向に延ばして固定させたときの押圧ローラ14の位置(図6の第2STEPおよび第3STEPに示される位置)が、本発明の押圧位置に相当する。
その後、第3STEPでは、キャリッジ4が記録領域方向に移動(即ちヘッドユニット11が記録領域方向に移動)することでサブタンク31の上部に設けられた弾性支持部材35が押圧ローラ14に接近していき、ついには両者が当接する。そして、キャリッジ4が進むにつれて(つまり図6においてサブタンク31が左方向に進むにつれて)弾性支持部材35は押圧ローラ14から荷重を受けてサブタンク31の内部空間側に凹むように弾性変形し、連結軸34を押下させ、延いてはメッシュプレス部材32を押圧して下流側に移動させる。
このとき、メッシュプレス部材32の移動速度はキャリッジ4の移動速度に依存することになるが、本実施形態では、メッシュプレス部材32が下流側に移動した時、メッシュプレス部材32の下流側領域に、記録ヘッド69のノズル37からインク36を吐出させるのに必要な圧力が加わるよう、キャリッジ4の移動速度を決めている。具体的には、メッシュプレス部材32に形成されたインク流路32aの数や断面積などに基づいて、どの程度の速度でメッシュプレス部材32を下流側に移動させれば各インク流路32aに十分な流路抵抗が生じて下流側が十分に加圧されるかを考慮しつつ、キャリッジ4の移動速度を決めればよい。
そのため、キャリッジ4の移動により弾性支持部材35が弾性変形して連結軸34を押下させることにより連結部材38がメッシュプレス部材32を押圧し、その連結部材38からの押圧を受けてメッシュプレス部材32がインクを直接押圧しながら下流側に移動すると、メッシュプレス部材32に形成された複数のインク流路32aを介してインクが上流側に流れ込むものの、その際、インク流路32aの流路抵抗が生じることにより、メッシュプレス部材32の下流側は加圧される。そのため、この加圧によって記録ヘッド69のノズル37からインクや異物等が強制的に吐出され、これにより回復機能(正圧パージ)が実現されることとなる。
回復動作が行われた後、更にキャリッジ4の移動が進んだ第4STEPでは、押圧ローラ14が弾性支持部材35から離れ、押圧ローラ14自身も再び元の退避位置(第1STEPの位置)にまで戻る。そのため、それまで押圧ローラ14からの荷重を受けて凹んでいた弾性支持部材35はその荷重から開放されて自由状態となり、再び元の形状(第1STEPの形状)に戻ろうとする。このときの復元力が、連結軸34を上方に引き上げてメッシュプレス部材32を元の静止状態の位置に戻すための付勢力となり、弾性支持部材35が元の形状に戻るのに従ってメッシュプレス部材32も元の静止状態の位置に戻っていく。
このとき、メッシュプレス部材32が急激に上昇すると、その速度によっては、メッシュプレス部材32の下流側の負圧が大きくなって、ノズル37におけるインクのメニスカスが維持されなくなるおそれがある。そのため本実施形態では、ノズル37内のメニスカスが維持される範囲内の速度でメッシュプレス部材32が上昇していくように弾性支持部材35の材質・形状等を選択している。つまり、弾性支持部材35は、メッシュプレス部材32の上昇により下流側に負圧が生じてもノズル37内のメニスカスが維持されるように連結軸34を付勢(延いてはメッシュプレス部材32を付勢)するのである。
以上、図4〜図6を用いてブラックのインク36が貯蔵されるサブタンク31の構成とその回復動作について説明したが、他の3つのサブタンク41,51,61についても、その構成や回復動作の流れは、貯蔵されるインクの色が異なることを除き、上述したサブタンク31と全く同じである。
具体的には、図4(a)に示す如く、シアンのインク46が貯蔵されたサブタンク41には、メッシュプレス部材42と、連結軸44および支持板43からなる連結部材と、連結軸44の先端に接続された弾性支持部材45とが備えられている。また、イエローのインク56が貯蔵されたサブタンク51には、メッシュプレス部材52と、連結軸54および支持板53からなる連結部材と、連結軸54の先端に接続された弾性支持部材55とが備えられている。また、マゼンダのインク66が貯蔵されたサブタンク61には、メッシュプレス部材62と、連結軸64および支持板63からなる連結部材と、連結軸64の先端に接続された弾性支持部材65とが備えられている。
そして、これら各サブタンク41,51,61も、図示は省略するものの、それぞれ対応する色のインクが収容されたインクカートリッジにインク供給チューブを介して接続されており、そのインクカートリッジから対応するサブタンクへインクが供給される。
<回復処理>
ここで、インクジェット記録装置7の電気的構成について、図7のブロック図を用いて説明する。図7に示すように、インクジェット記録装置7は、CPU111、ROM112、RAM113及びEEPROM114を有する制御装置110を備えている。
この制御装置110は、記録用紙20の有無やその先端部、後端部、幅方向における端縁などを検出可能な周知のメディアセンサやレジストセンサなどからなる各種センサ群116、記録用紙20の搬送量(位置)を検出する用紙搬送用エンコーダ117、操作パネル6、キャリッジ送り用エンコーダ118などと電気的に接続されている。
そして更に、制御装置110は、給紙モータ122を駆動するための給紙モータ駆動回路120a、用紙搬送モータ123を駆動するための搬送モータ駆動回路120b、キャリッジモータ28を駆動するためのキャリッジモータ駆動回路120c、記録ヘッド69を駆動(インクを噴射)するための記録ヘッド駆動回路120d、ローラ軸駆動部13を駆動するためのローラ軸駆動回路120e、キャップ駆動部22を駆動するためのキャップ駆動回路120f、およびワイパー駆動部19を駆動するためのワイパー駆動回路120gの各々と電気的に接続されている。
そして、ROM112やEEPROM114に格納された各種プログラムに従ってCPU111が各駆動回路120a〜120gを制御することで、それぞれの駆動対象が駆動・制御されることとなる。なお、既述の通り、給紙モータ122の回転により給紙ローラ8が駆動され、用紙搬送モータ123の回転により搬送ローラ7aが駆動される。
また、本実施形態において、制御装置110は、パーソナルコンピュータ(以下「PC」と略す)125と通信可能に接続されており、PC125からの記録指示に従い、この記録指示と共に送られてくる画像データの表わす画像を記録用紙20に記録するための周知の記録処理を行う。そして、この記録処理の中で、必要に応じて上述した回復動作が実行される。
以下、この記録処理について説明する。図8は、CPU111にて実行される記録処理を表すフローチャートである。多機能装置1では、PC125からの記録指示受信時やファクシミリデータの受信時、或いはコピー機能における記録動作が行われる際など、記録用紙20への画像記録が必要となったタイミングで、CPU111がROM112から記録処理プログラムを読み出し、このプログラムに従って処理を実行する。この記録処理は画像記録を行うタイミング毎に行われるものである。
この処理が開始されると、まずステップ(以下「S」と略す)110にて、キャップ駆動部22によりキャップ21が駆動されて記録ヘッド69から外される。そして、S120にて回復動作実行タイミングか否かが判断される。この判断は、例えば、前回この記録処理を行ってから所定時間が経過したか否かによって行うことができ、回復動作実行タイミングでなければそのままS200に移行して画像記録を行う。つまり、回復動作を行うことなく画像記録を開始するのである。
一方、回復動作実行タイミングであれば、S130に進み、押圧ローラ14が降下される。つまり、押圧ローラ駆動装置12が図6中の第2STEPの状態となる。そしてS140にて、パージ圧力が「強」又は「弱」のいずれに設定されているかが判断される。この設定は、予めデフォルトでどちらか一方に設定され、ユーザが操作パネル6を操作して設定変更できるものであってもよいし、前回記録処理を行ってからの経過時間の大小に基づいて自動的に選択設定されるものであってもよい。後者の場合、例えばある一定の閾時間以上経過していた場合はパージ圧力を「強」にし、閾時間まで経過していない場合はパージ圧力を「弱」に設定するようにしてもよい。
そして、S140の処理で「強」と判定された場合は、S150に移行し、キャリッジ4を速度aで記録領域方向に移動させることで正圧パージ(回復動作)を実行する。一方、S140の処理で「弱」と判定された場合は、S160に移行し、キャリッジ4を速度bで記録領域方向に移動させて正圧パージを実行する。ここで、速度aと速度bとは、a>bの関係にある。つまり、「強」設定の場合はキャリッジ4の移動速度を速くして各メッシュプレス部材32,42,52,62の下流側への圧力を大きくし、より強くインクを吐出させる。逆に「弱」設定の場合はキャリッジ4の移動速度を遅くして各メッシュプレス部材32,42,52,62の下流側への圧力を小さくし、弱めにインクを吐出させる。
このように、本実施形態では、弾性支持部材35が押圧ローラ14に当接して弾性変形する際のキャリッジ4の移動速度(即ちヘッドユニット11の移動速度)をaまたはbのいずれかに変更できるよう構成されているのである。
図9に、キャリッジ4の移動速度とメッシュプレス部材32の下流側の加圧値との関係を示す。図示の如く、キャリッジ4の移動速度が速くなるほど加圧値も上昇していく。ただし、ある速度を超えると加圧値は一定値に収束する。そのため、キャリッジ移動速度がaである「強」設定の場合の加圧値は、キャリッジ速度がb(<a)である「弱」設定の場合の加圧値よりも大きくなってインク吐出量も多くなるのである。
上記S150又はS160の処理により4つのサブタンク31,41,51,61の全てについて回復動作がなされた後は、S170にて既述のワイピングが実行され、S180にて押圧ローラ14が元の退避位置に戻される。そしてS190にて、キャリッジ4を再びホームポジション方向に移動させて記録ヘッド69を廃インク受皿16に対向させ、既述のフラッシングが行われる。
このようにして回復動作およびそれに付随する各種動作が行われた後は、S200に移行して画像記録が行われる。そして、画像記録終了によりキャリッジ4がホームポジションに戻された後は、S210にて、記録ヘッド69がキャップ21によって再びキャッピングされる。
<本実施形態の効果等>
以上説明した本実施形態のインクジェット記録装置7によれば、サブタンク31の内壁の一部が弾性支持部材35で形成されるとともに、当該装置が元々備えるキャリッジモータ28やキャリッジ4などからなるヘッドユニット11を移動させるための機構を利用して、ヘッドユニット11の移動時に弾性支持部材35を押圧ローラ14に当接させて弾性変形させ、これにより連結部材38を介してメッシュプレス部材32を下流側に移動させるようにしている。そして、このメッシュプレス部材32の移動により下流側のインクが直接押圧され、下流側が加圧されてインクがノズル37から吐出して回復動作が実現される。
そのため、回復動作のための空気加圧ポンプやその駆動源、駆動連結機構等の設置を抑えつつ、簡単な構成でしかもユーザの手を煩わせることなく、正圧パージ方式によるノズル37の回復動作を行うことが可能となる。
しかも、連結部材38を介してメッシュプレス部材32を下流側に移動させるだけの簡単な構成で、サブタンク31内のインク36を直接加圧することによる回復動作が実現できるため、圧力損失や回復動作時のインクの消費量が抑えられ、効率的かつ確実にインクを吐出させることができる。さらに、メッシュプレス部材32にはインク流路32aが複数形成されているため、通常の記録媒体への記録中も常にインク流路32aを介してインク36を記録ヘッド69側へ供給することができる。また、回復動作後にメッシュプレス部材32が元の静止状態の位置(上流側)に戻されても、インク流路32aを介してインク36が下流側に流れるため、ノズル37からのインク逆流を防止できる。
また、連結軸34の先端が弾性支持部材35に接続されて支持されており、回復動作時にはこの弾性支持部材35が外力を受けて変形する(下方に凹む)ことでメッシュプレス部材32が下流側に移動し、回復動作後に弾性支持部材35への外力が取り除かれると弾性支持部材35は元の形状に復元して、その復元時の付勢力によってメッシュプレス部材32は元の静止状態の位置に戻る。そのため、ユーザの手を煩わすことなく、しかも簡単な構成で、メッシュプレス部材32の支持および移動後の復帰を行うことができる。
更に、メッシュプレス部材32は、形状・断面積の等しいインク流路32aがメッシュ状に複数形成された構成であるため、インク36中を下流側に移動させたときの各インク流路32aの流路抵抗がメッシュプレス部材32の全面に渡って均一となり、下流側のインク充填領域全体を均等に加圧できる。そのため、下流側をバランス良く加圧することができ、より効率的な回復動作を行わせることが可能となる。
更にまた、弾性支持部材35は、回転体である押圧ローラ14に当接することによってその荷重を受けて弾性変形する。しかもその弾性支持部材35の移動方向は、押圧ローラ14の回転方向とほぼ同じであって、弾性支持部材35が押圧ローラ14に当接しながら移動している間、押圧ローラ14は弾性支持部材35から受ける回転方向の荷重によって回転しながら弾性支持部材35に当接することになる。そのため、押圧ローラ14および弾性支持部材35の双方の耐久性を向上させることが可能となる。
そして、回復動作タイミングのときのみ、押圧ローラ14を降下させて回復動作を実行させ、それ以外は、押圧ローラ14を退避位置に退避させて弾性支持部材35が押圧ローラ14に当接しないようにしている。そのため、回復動作実行タイミングでないにもかかわらずヘッドユニット11が押圧ローラ14の位置近傍を通過する度に回復動作が行われることなく、インクの無駄な消費が防止され、より効率的な回復動作の実現が可能となる。
また、ヘッドユニット11の移動速度に応じて回復動作時のパージ圧力を「強」又は「弱」のいずれかに選択できる(つまり、液滴吐出量を二種類のうちいずれか一方に設定できる)ため、ノズルの状態に応じた適切な弾性変形量(加圧圧力)での回復動作が可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
なお、本実施形態において、記録ヘッド69は本発明の噴射ヘッドに相当し、インクカートリッジ71は本発明のメインタンクに相当し、インク流路32aは本発明の液体流路に相当し、キャリッジ4、ガイドバー24、キャリッジモータ28、及び無端ベルト25からなる、ヘッドユニット11を移動(往復移動)させるための構成が本発明のヘッドユニット移動手段に相当し、弾性支持部材35は本発明(請求項3)の弾性加圧部材に相当し、ローラ軸駆動部13は本発明の第1駆動手段に相当し、押圧ローラ14は本発明の回転体に相当し、ローラ軸13aは本発明の支持軸に相当する。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、図8の記録処理で説明したように、回復動作タイミングで回復動作を行う際、押圧ローラ14を所定の押圧位置に降下させると、そのまま4つの全てのサブタンク31,41,51,61が通過するまで降下させたままの状態とし、全てのサブタンク31,41,51,61が通過して各サブタンクの回復動作が行われた後に、押圧ローラ14を再び退避位置に退避させるようにしていた。
これに対し、本実施形態では、各サブタンク31,41,51,61のそれぞれについて押圧ローラ14を押圧位置へ降下させるか否かを選択できるようにしている。それ以外の構成は、上記第1実施形態のインクジェット記録装置7と全く同じであるため、本実施形態ではインクジェット記録装置7の各部構成についての説明は省略する。そして、本実施形態が上記第1実施形態と異なる回復動作時の処理内容について、図10に基づいて説明する。
図10は、本実施形態のクリーニング処理を表すフローチャートである。本実施形態では、ユーザが記録ヘッド69の状態をチェックしたい場合に多機能装置1の操作パネル6で所定の操作をすることによりこのクリーニング処理が開始される。
この処理が開始されると、まずS310にて、テストパターンが記録用紙20に記録される。これは、キャリッジ4を移動させつつ記録ヘッド69から各色のインクを噴射することにより、所定のパターンを記録するものである。そして、テストパターンの記録後、ユーザに対してクリーニングを実行するか否かを問い合わせる。この問い合わせは、例えば、操作パネル6にてメッセージを表示するようにしてもよいし、また例えば、当該多機能装置1と接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置が備える表示装置(図示略)にメッセージを表示させるようにしてもよい。
ユーザは、テストパターンの記録結果をみて、記録ヘッド69のクリーニングが必要が否か、即ち、正圧パージによる回復動作を実行させるべきか否かを判断する。そして、テストパターンが正常に記録されていてクリーニングの必要はないと判断し、その旨を操作パネル6あるいは記述の情報処理装置にて入力した場合は、S330にて否定判定され、そのままこのクリーニング処理が終了する。
一方、テストパターンが正常に印刷されておらず、クリーニングが必要であるとユーザが判断してその旨を操作パネル6あるいは記述の情報処理装置にて入力した場合は、S330からS340に進み、クリーニング(回復動作)を行うべきインクの色を選択するよう指示される。この指示も、例えば操作パネル6或いは情報処理装置においてメッセージを表示するようにして実現できる。
そして、ユーザがクリーニングすべき色を選択・入力すると(S350:YES)、S360に進み、キャリッジ4の移動が開始され、これにより各色のサブタンク31,41,51,61の移動が開始される。そして、続くS370にて、選択された色のインクが貯蔵されたサブタンクがパージ開始前の位置(そのサブタンクが備える弾性支持部材が押圧ローラ14に当接する前の所定の位置)に到達したか否かが判断される。この判断や、後述するS390の判断は、いずれも、キャリッジ送り用エンコーダ118にて検出されるキャリッジ位置に基づいて行われる。
そして、パージ開始前位置に到達したときに(S370:YES)、押圧ローラ14を押圧位置まで降下させる(S380)。これにより、選択された色のサブタンクに対する回復動作の準備が整うこととなる。
その後、キャリッジ4が移動を続けると、ついにはその選択された色のサブタンクが備える弾性支持部材に押圧ローラ14が当接し、弾性支持部材が弾性変形していく。これにより、メッシュプレス部材32が押圧されて下流側に移動し、そのサブタンクに対応したノズルからインクが吐出して、回復動作が実現されることとなる。
その回復動作が終了して弾性支持部材が押圧ローラ14から離れると(S390:YES)、押圧ローラ14は再び退避位置に退避される(S400)。そして、S410にて、選択された全ての色に対応したサブタンクにつき回復動作が終了したか否かが判断され、終了していなければS370に戻ってS370以下の処理を繰り返すことになるが、終了していれば、S420にて既述のワイピングが実行され、さらにS430にて既述のフラッシングが行われて、このクリーニング処理が終了する。なお、フラッシング後は記録ヘッド69がキャップ21で覆われることになる。
この処理により、例えば回復動作させるべき色としてシアンとイエローが選択された場合は、キャリッジ4の移動によりまず最初に押圧ローラ14に接近するサブタンク31(ブラックのインクが貯蔵)に対しては押圧ローラ14は降下せず退避位置のままである。
そして、続くサブタンク41(シアンのインクが貯蔵)の弾性支持部材45がパージ開始前位置に到達すると(S370:YES)、押圧ローラ14が降下する。そのため、この弾性支持部材45はキャリッジ4の移動に伴って押圧ローラ14に当接し、これにより受ける荷重によって弾性支持部材45が弾性変形してメッシュプレス部材42が下流側に移動する。この結果、シアンのインクがノズル47から吐出し、回復動作が実現されることとなる。
その後、押圧ローラ14は一旦退避位置に退避されるものの(S400)、イエローのインクが貯蔵されたサブタンク51の弾性支持部材55がパージ開始前位置に到達すると(S370:YES)、押圧ローラ14が再び降下し、シアンの場合と同様に回復動作が実現される。これにより、選択された色全てについて回復動作が終了したことになるため、押圧ローラ14は退避位置に戻される。
以上説明した第2実施形態によれば、キャリッジ4の移動方向(ヘッドユニット11の移動方向)に沿って設けられた複数のサブタンク31,41,51,61が押圧ローラ14の近傍を順次通過する際に、回復動作させるべきサブタンクの弾性支持部材が通過するときのみ押圧ローラ14を降下させて押圧位置に移動させ、それ以外のサブタンクが通過する際は押圧ローラ14を退避位置に退避させておくことが可能となるため、回復動作を必要に応じてより効率的に行うことが可能となる。
なお、上述したクリーニング処理のようにインク色毎に回復動作させるべきものと回復動作の必要がないものとに分けて選択的に回復動作を行わせるような処理は、クリーニング処理時のみに限るものではない。例えば、上記第1実施形態の図8で説明した記録処理において回復動作タイミングで回復動作を実行する際も、回復動作を実行する必要のある色のサブタンクのみを回復動作させる(即ちそのサブタンク通過時のみ押圧ローラ14を降下させる)ようにしてもよい。その際、回復動作させるべきサブタンクとそうでないサブタンクとの区別は、例えば、インクジェット記録装置7が、色毎のインクの使用頻度を自動的に判別して、使用頻度の低いインクのサブタンクのみを回復動作させるようにしてもよいし、また例えば、回復動作に移行する際にユーザに問い合わせて、ユーザに選択させるようにしてもよい。
本実施形態において、S340およびS350により本発明の押圧対象サブタンク設定手段が構成される。また、このS340およびS350にて選択された色のインクが貯蔵されたサブタンクが、本発明の押圧対象サブタンクに相当する。
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、図8の記録処理で説明したように、回復動作タイミングで回復動作を行う際、キャリッジ4の移動速度をaまたはbのいずれかに設定することでインクの吐出量を調節できるようにした。
これに対し、本実施形態では、サブタンクが備える弾性支持部材が押圧ローラ14に当接した後、そのまま押圧ローラ14が離れるまで完全に通過させるか、或いは、押圧ローラ14と当接して弾性変形していく途中で押圧ローラ14を退避位置に退避させるかのいずれかによって、正圧パージ時の圧力を調節し、ひいては回復動作によるインクの吐出量を調節できるようにしている。それ以外の構成は、上記第1実施形態のインクジェット記録装置7と全く同じであるため、本実施形態でもインクジェット記録装置7の各部構成についての説明は省略する。そして、本実施形態が上記第1実施形態と異なる回復動作時の処理内容について、図11〜図14に基づいて説明する。
まず図11は、本実施形態におけるヘッドユニット11と押圧ローラ14との相対的位置関係を説明するための説明図である。本実施形態では、正圧パージを行う際のパージ圧力を、上記第1実施形態と同じように「強」又は「弱」のいずれかに設定できるようにされている。このうち、パージ圧力が「強」の場合は、各弾性支持部材35,45,55,65が通過する間、常に押圧ローラ14を押圧位置に降下させる。
一方、パージ圧力が「弱」の場合は、各弾性支持部材35、45,55,65の全てにつき、押圧ローラ14は、当接開始から所定距離移動した時点で退避位置に退避される。 具体的には、図11に示す如く、ヘッドユニット11が押圧ローラ14に近づく方向(図11の左方向)に移動していくことにより、押圧ローラ14の位置Ppgにサブタンク31の端部位置P10が到達すると、押圧ローラ14が下降する。そして、そのまま移動が進み、押圧ローラ14の位置Ppgにサブタンク31における停止位置P11が到達すると、まだ弾性支持部材35が弾性変形させられている途中であるものの押圧ローラ14を退避位置に退避させるのである。
その後、同様にして、サブタンク41の端部位置P20にて押圧ローラ14が再び降下した後、そのサブタンク41における停止位置P21にて押圧ローラ14が再び退避し、更に、サブタンク51の端部位置P30にて押圧ローラ14が降下→サブタンク51における停止位置P31にて押圧ローラ14が退避→サブタンク61の端部位置P40にて押圧ローラ14が降下→サブタンク61における停止位置P41にて押圧ローラ14が退避、というように、押圧ローラ14が退避位置と押圧位置との間で繰り返し移動されることとなる。
押圧ローラ14の位置Ppgにサブタンク31の停止位置P11が到達したときの状態を図12(a)に示す。また、図12(b)は、押圧ローラ14の位置Ppgにサブタンク31の中心位置(即ち弾性支持部材35の頂点位置)Pcが到達したときの状態を表す。
図11および図12に示す如く、押圧ローラ14の位置Ppgに停止位置P11が到達したときは、弾性支持部材35は押圧ローラ14によってある程度は弾性変形されている。しかし、押圧ローラ14が中心位置Pcに到達したときは、当然ながら停止位置P11に到達した状態よりもさらに大きくサブタンク内部空間側へ弾性変形されている。
即ち、パージ圧力が「強」に設定されているときは、各弾性支持部材31,41,51,61はいずれも押圧ローラ14を完全に通過するため、図12(b)に示したように十分に弾性変形することになる。一方、パージ圧力が「弱」に設定されているときは、各弾性支持部材31,41,51,61はいずれも、対応する停止位置P11,P21,P31,P41にて押圧ローラ14が退避するため、弾性変形の程度は小さくなる。
このように、弾性支持部材に対する押圧ローラ14の位置によって弾性変形の程度が異なり、ひいては加圧値が異なってくることを表しているのが図13のグラフである。図13の横軸において、最も左側の「始点」は、弾性支持部材の中で押圧ローラ14の当接が開始される点を示す。即ち、図11における端部位置P10,P20,P30,P40のそれぞれよりも若干移動が進んで各弾性支持部材35,45,55,65における端部(図11では左端部)に当接し始める点がこの「始点」に相当する。
そして、押圧ローラ14の当接位置がこの「始点」から徐々に弾性支持部材の中心位置方向に移動していくに従い、加圧値(即ちメッシュプレス部材32,42,52,62の下流側の加圧値)は徐々に増加していく。この加圧値は、押圧ローラ14が弾性支持部材の「中心点」まで到達して弾性支持部材の弾性変形量が最も大きくなったときに最大値をとる。この「中心点」を超えて押圧ローラ14が弾性支持部材の端部(図11における右側の端部)である「終点」に近づくにつれ、弾性支持部材は徐々に元の形状に復元していくため、加圧値も徐々に小さくなっていく。そして、押圧ローラ14が弾性支持部材から離れる「終点」において加圧値は0となる。
そのため、弾性支持部材35が押圧ローラ14に当接した後、停止位置P11まで進んだところでキャリッジ4の移動を停止させた場合(図12(a)参照)よりも、停止させずに少なくとも弾性支持部材35の中心位置Pcまで移動させた場合(図12(b)参照)の方が、より大きく加圧することができ、勢いよくインクを吐出させることができるのである。なお、図13のグラフでは、押し量(押圧位置)の異なる三種類のグラフが描かれているが、これら三種類のグラフの違いについては、後述の第4実施形態で説明する。
次に、上記のように停止位置が設定された本実施形態におけるクリーニング処理について、図14に基づいて説明する。このクリーニング処理は、図10で説明した第2実施形態のクリーニング処理と同様、ユーザが記録ヘッド69の状態をチェックしたい場合に多機能装置1の操作パネル6で所定の操作をすることにより開始されるものである。そして、開始後のS510〜S530までの処理は、図10におけるS310〜S330までの処理と全く同じであるため、ここではその説明を省略する。
そして、テストパターンが正常に印刷されておらず、クリーニングが必要であるとユーザが判断してその旨を操作パネル6あるいは記述の情報処理装置にて入力したことにより、S540に進むと、パージ圧力が「強」又は「弱」のいずれに設定されているかが判断される。この判断は、図8に示した第1実施形態の記録処理におけるS140の処理と同じである。
このとき、「強」に設定されている場合は、押圧ローラ14を降下させたまま各弾性支持部材35,45,55,65の全てを通過させればよい。そのため、S550にて押圧ローラ14を押圧位置に降下させ、続くS560にてキャリッジ4の移動を開始させて正圧パージを行う。そして、押圧ローラ14が全ての弾性支持部材35,45,55,65に当接してこれらを最大量弾性変形させ、各ノズル37,47,57,67につき正圧パージがなされた後は、S565にて押圧ローラ14を退避位置に退避させる。退避後は、S680にて既述のワイピングを行い、さらにS690にて既述のフラッシングを行った後、記録ヘッド69をキャップ21でキャッピングしてこのクリーニング処理を終了する。
一方、パージ圧力が「弱」に設定されていた場合は、S540からS570に進み、変数sに1を代入するとともに変数tに0を代入する。そして、S580にてキャリッジ4の移動を開始させる。
キャリッジ4の移動開始後、S590にて、ヘッドユニット11における位置Pstが、押圧ローラ14の存在する位置であるPpgに到達したか否かが判断される。この判断は、キャリッジ送り用エンコーダ118にて検出されるキャリッジ位置に基づいて行われる。
はじめてS590の判断処理が行われるときは、s=1、t=0にセットされているため、P10(図11参照)がPpgに到達したか否かが判断されることとなる。そして、到達した場合は、S600にて押圧ローラ14を押圧位置に降下させ、S610でtに1を代入する。この時点で、s=1、t=1にセットされたこととなる。その後、S620にて、Pst(=P11)がPpgに到達したか否か、即ちサブタンク31における停止位置P11がPpgに到達したか否かが判断される。
到達したと判断された場合、S630にてキャリッジ4を停止させ、S640にて押圧ローラ14を退避させる。そして、S650にて、s=4であるか否かが判断される。これは即ち、最後の(四番目の)サブタンク61の弾性支持部材65における停止位置P41が押圧ローラ14まで達したか否かが判断されることを意味する。
s=4でない場合は、S660に進んで、現在のsの値に1を加えたものを新たなsとするとともに、tに0を代入する。その後に、S670にてキャリッジ4の移動を再開させて、再びS590以降の処理を行う。S650でs=4と判断された場合は、既述のS680以降の処理に進むことになる。
以上説明した本実施形態によれば、パージ圧力が「弱」の場合は、押圧ローラ14が弾性支持部材に当接して弾性変形させている途中の停止位置(P11,P21,P31,P41)で押圧ローラ14を退避させるようにし、パージ圧力が「強」の場合は退避させずに押圧ローラ14を当接させたまま完全に移動させるようにしているため、記録ヘッド69のノズルの状態に応じた適切な弾性変形量(加圧圧力)で回復動作させることが可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
なお、本実施形態において、各サブタンク31,41,51,61に対してそれぞれ一つ設定された、キャリッジ4を停止させる停止位置P11,P21,P31,P41が、いずれも本発明の停止位置に相当するものである。この停止位置は、各サブタンクにつきそれぞれ一つ設定するのに限らず、異なる二つの停止位置或いは三つ以上の停止位置を設定して、停止位置に応じてパージ圧力を多段階に調節できるようにしてもよい。
[第4実施形態]
上記第1〜第3実施形態ではいずれも、押圧ローラ14を退避位置または一定の押圧位置のいずれかに移動させることができるよう構成されていたが、本実施形態では、押圧ローラが弾性支持部材35,45,55,65に当接する際の押圧位置を3種類のいずれかに選択できるように構成されている。言い換えれば、3種類の押圧位置を設定することで、3種類の加圧値いずれかを選択できるように構成されている。
これにより、本実施形態が上記各実施形態と異なるのは、押圧ローラ14を含む押圧ローラ駆動装置12の構成であり、それ以外は上記各実施形態と同じである。そのため、以下の説明では、押圧ローラ14を移動させる機構とクリーニング処理について、図15および図16に基づいて説明する。
図15は、本実施形態における、押圧ローラ14の位置の変化を説明するための説明図である。図15に示す如く、本実施形態の押圧ローラ駆動機構は、ローラ軸13aの端部を支持・固定するローラ固定部材130と、このローラ固定部材130を上下方向に移動させるための偏心カム132と、この偏心カム132の回転軸133に回転駆動力を伝達するとともに選択された所定の角度だけ回転させることが可能な回転制御装置(図示略)とを備えている。ローラ固定部材130は、図示しないバネ等の弾性部材によって常時上方向(偏心カム132方向)の付勢力を受けている。
そして、偏心カム132は、図15(a)〜同図(d)に示した4種類の回転位置のいずれかに回転させて停止させることができるよう構成されている。このうち、図15(a)に示す状態は、ローラ固定部材130の頂部の位置がs10となるとともに、押圧ローラ14の最下面の位置がs20となっている状態である。即ち、4種類の位置のうち最も上方である退避位置にある状態を示している。
これに対し、偏心カム132を反時計回りに約90°回転させると、図15(b)の状態になる。この状態では、ローラ固定部材130の頂部の位置がs11に降下するとともに押圧ローラ14の最下面の位置がs21(第1押圧位置とも称す)まで降下する。
この状態からさらに偏心カム132を反時計回りに約45°回転させると、図15(c)の状態になる。この状態では、ローラ固定部材130の頂部の位置がs12に降下するとともに押圧ローラ14の最下面の位置がs22(第2押圧位置とも称す)まで降下する。
この状態からさらに偏心カム132を反時計回りに約45°回転させると、図15(d)の状態になる。この状態では、ローラ固定部材130の頂部の位置がs13に降下するとともに押圧ローラ14の最下面の位置がs23(第3押圧位置とも称す)まで降下する。
つまり、偏心カム132の回転位置によって、押圧ローラ14を退避位置と3種類の押圧位置(第1押圧位置、第2押圧位置、第3押圧位置)のいずれかに選択的に移動させることができるのである。そして、押圧ローラ14の位置がs21,s22,s23と降下する毎に、弾性支持部材35,45,55,65が当接して移動する際の弾性変形量が大きくなり、加圧値も大きくなる。
この様子が、図13に示されている。即ち、図13に示す如く、押圧ローラ14による押し量(即ち弾性支持部材を弾性変形させてメッシュプレス部材を下流側に移動させる移動量)が大きいほど、加圧値も大きくなっている。
次に、本実施形態のクリーニング処理について、図16に基づいて説明する。本処理において、S710〜S730の処理は、図10におけるS310〜S330までの処理と全く同じであるため、ここではその説明を省略する。
そして、テストパターンが正常に印刷されておらず、クリーニングが必要であるとユーザが判断してその旨を操作パネル6あるいは記述の情報処理装置にて入力したことにより、S540に進むと、パージ圧力が「強」、「中」、又は「弱」のいずれに設定されているかが判断される。
このとき、「強」に設定されていれば、S750にて偏心カム132を図15(d)の状態に回転させることにより、押圧ローラ14を第3押圧位置s23に移動させる。また、「中」に設定されていれば、S760にて偏心カム132を図15(c)の状態に回転させることにより、押圧ローラ14を第2押圧位置s22に移動させる。また、「弱」に設定されていれば、S770にて偏心カム132を図15(b)の状態に回転させることにより、押圧ローラ14を第1押圧位置s21に移動させる。
このように押圧ローラ14を設定されたいずれかの押圧位置に移動させた後、S780にてキャリッジの移動が開始される。そして、全ての弾性支持部材35,45,55,65が押圧ローラ14を通過して各ノズル37,47,57,67の回復動作が終了すると(S790:YES)、S800にて押圧ローラを退避位置s20に退避させる。そして、S810にて既述のワイピングを行い、さらにS820にて既述のフラッシングを行った後、記録ヘッド69をキャップ21でキャッピングしてこのクリーニング処理を終了する。
以上説明した本実施形態によれば、押圧位置を複数種類(本例では3種類)に設定することで、回復動作時の液滴吐出量をその複数種類のいずれかに対応した量に調節することができるため、ノズルの状態に応じた適切な加圧値での回復動作が可能となり、回復動作をより効率的に行うことができる。
なお、押圧ローラ14を第1押圧位置、第2押圧位置、第3押圧位置のいずれかに移動させるための、ローラ固定部材130、偏心カム132、回転軸133、およびこの回転軸133を介して偏心カム132の回転を制御する回転制御装置からなる構成が、本発明の第2駆動手段に相当するものである。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記各実施形態では、サブタンク31の内部にメッシュプレス部材などからなる正圧付与部39を設け、メッシュプレス部材32が下流側へ移動されるときの流路抵抗によって下流側が加圧されることにより、効率的な回復動作を実現するようにしたが(他のサブタンク41,51,61も同様)、例えば図17に示すように、正圧付与部を有しない各サブタンク141,142,143,144の上部にそれぞれ弾性加圧部材146,147,148,149が形成されただけの構成としてもよい。
この弾性加圧部材146,147,148,149は、基本的に上記各実施形態における弾性支持部材35,45,55,65と同じものであり、押圧ローラ14に当接してその荷重を受けることでサブタンク内部空間側へ弾性変形し、押圧ローラ14が離れると再び元の形状に復元する。
そして、例えばサブタンク141が備える弾性加圧部材146がキャリッジ4の移動に伴って押圧ローラ14に当接すると、弾性加圧部材146はサブタンク141の内部空間側に弾性変形し、内部空間の容積が減少する。これにより、内部空間が加圧されてその圧力がインク36に伝わり、インク36が下流側に押圧されて、ノズル37からインク36が液滴として強制的に吐出されることになる。
なお、図17(b)に示すように、サブタンク141におけるインクカートリッジ71からのインクが流入するインク流入口31aの上流側には、サブタンク内のインク36がインクカートリッジ71側に逆流するのを防止するための逆止弁150が設けられている。これにより、弾性加圧部材146が弾性変形して内部空間が加圧されても、インク36が逆流するおそれがない。この逆止弁150は、本発明の逆流阻止手段に相当するものである。
また、上記各実施形態では、インクカートリッジ71からインク供給チューブ72を介して、キャリッジ4に搭載されたヘッドユニット11内のサブタンク31へインク36を常時供給できるよう構成された常時供給型のインクジェット記録装置7を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、インク供給時のみインクカートリッジとサブタンクとをインク供給チューブで接続してインクを供給するよう構成されたステーション供給型のインクジェット記録装置に対しても適用可能である。
このようなステーション供給型のインクジェット記録装置の場合、ヘッドユニットの移動中は、インクカートリッジからインクの供給を受けるためのインク流入口が密閉されるのが一般的である。そのためサブタンクには、貯蔵されたインクが記録ヘッド側に供給されていくに従って内部の負圧が増加することのないよう、内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔を設けるのが一般的である。
ステーション供給型におけるサブタンクの構成および回復動作の流れを、図18に基づいて概略説明する。なお、図18の回復動作の流れは、弾性加圧部材162の形状が異なることを除けば、図6に示した第1実施形態の回復動作の流れと基本的に同じである。
図18のサブタンク161は、図17のサブタンク141と比較して、上部に設けられている弾性加圧部材の形状のみが異なっている。即ち、図18に示すように、サブタンク161に設けられた弾性加圧部材162における、頂部からヘッドユニット移動方向へわずかに離れた位置に、大気連通孔163が形成されているのである。
そして、回復動作が開始され、押圧ローラ14が下降した後にサブタンク161が移動開始すると(第2STEP)、弾性加圧部材162が押圧ローラ14に当接し、その荷重を受けてサブタンク161の内部空間側へ弾性変形する(第3STEP)。このとき、図18の第3STEPの状態に示すように、弾性加圧部材162は、その大気連通孔163が押圧ローラ14によって塞がれつつ弾性変形することになる。
そのため、弾性変形による内部空間の加圧によって内部の気体が大気連通孔163から外部に漏れるのが防止され、内部空間が十分に加圧されることとなり、良好な回復動作結果を得ることができる。回復動作実行後、押圧ローラ14が離れると(第4STEP)、大気連通孔163は再び開放され、サブタンク161の内部空間は大気圧と同等に維持される。
また例えば、上記各実施形態では、インクを直接加圧して正圧パージを行わせる正圧付与部39を、複数のインク流路32aがメッシュ状に形成された板状部材であるメッシュプレス部材32とこれを支持する連結部材38とにより構成したが、この構成はあくまでも一例であり、インク36の中を下流側へ移動させることで下流側領域を加圧でき、しかも通常の画像記録時にはインクを上流側から下流側へ供給できるようインク流路が形成されたものであれば何でもよい。一例として、同じ断面積のインク流路が同心楕円状に等間隔で形成されたものなどが挙げられる。
更に、上記実施形態では、記録用紙20への画像記録を行う記録処理の中で、必要に応じて回復動作が行われるもの、或いは、ユーザの入力操作により行われるクリーニング処理の中で必要に応じて回復動作が行われるものとして説明したが、回復動作の実行タイミングはこれに限定されるものではなく、例えば、前回回復動作を行ってから所定時間が経過する毎に回復動作を実行するようにしてもよいし、記録処理が所定回数行われる毎に回復動作を実行するようにしてもよいなど、適宜設定することができる。記録動作とは関係なく一定期間毎に実行してもよい。
更にまた、本発明の適用は、上述したインクジェット記録装置に限られるものでないことはいうまでもなく、例えば、溶融半田をノズルから噴射させることによって各種プリント配線板等への半田付けを自動で行う半田付け装置や、有機ELディスプレイを製造する際に、高分子有機材料(発光体)をインクジェット方式により噴射することによって有機膜を形成するための装置、或いは、樹脂をスラリー化してノズルから噴射させる装置などのように、サブタンクに貯蔵された液体をノズルから液滴として噴射するよう構成された様々な液滴噴射装置に対して適用可能である。
第1実施形態の、インクジェット方式の記録装置を備えた多機能装置の外観を表す斜視図である。 図1に示す多機能装置の断面図である。 図1に示す多機能装置が具備するインクジェット記録装置の概略構成を表す説明図である。 ヘッドユニットの詳細構成を示す図であり、(a)は正面方向からみた場合の断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 正圧付与部を構成するメッシュプレス部材および連結部材の説明図であり、(a)はメッシュプレス部材の平面図と正面図、(b)は連結部材の平面図と正面図である。 回復動作の流れを表す説明図である。 制御装置の概略構成を表すブロック図である。 記録処理を表すフローチャートである。 キャリッジの移動速度と加圧値との関係を表すグラフである。 第2実施形態のクリーニング処理を表すフローチャートである。 第3実施形態におけるヘッドユニットと押圧ローラとの相対的位置関係を説明するための説明図である。 弾性支持部材と押圧ローラの相対的位置関係の違いによる弾性支持部材の弾性変形の違いを説明するための説明図である。 弾性支持部材に対する押圧ローラの当接位置と加圧値との関係を表すグラフである。 第3実施形態のクリーニング処理を表すフローチャートである。 第4実施形態における、押圧ローラの位置の変化を説明するための説明図である。 第4実施形態のクリーニング処理を表すフローチャートである。 他の実施形態のヘッドユニットの詳細構成を示す図であり、(a)は正面方向からみた場合の断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 他の実施形態の回復動作の流れを表す説明図である。
符号の説明
1…多機能装置、2…スキャナ、3…給紙カセット、4…キャリッジ、6…操作パネル、7…インクジェット記録装置、8…給紙ローラ、11…ヘッドユニット、12…押圧ローラ駆動装置、13…ローラ軸駆動部、13a…ローラ軸、14…押圧ローラ、16…廃インク受皿、18…ワイパーブレード、20…記録用紙、21…キャップ、28…キャリッジモータ、30…給紙装置、31,41,51,61,141,142,143,144,161…サブタンク、31a…インク流入口、31b…インク流出口、32,42,52,62…メッシュプレス部材、32a…インク流路、33,43,53,63…支持板、33a,33b,33c,33d…貫通孔、34,44,54,64…連結軸、35,45,55,65…弾性支持部材、36,46,56,66…インク、37…ノズル、38…連結部材、39…正圧付与部、69…記録ヘッド、71…インクカートリッジ、72…インク供給チューブ、73…ジョイント、110…制御装置、130…ローラ固定部材、132…偏心カム、133…回転軸、140…ヘッドユニット、146,147,148,149,162…弾性加圧部材、150…逆止弁、162…弾性加圧部材、163…大気連通孔

Claims (10)

  1. 液体が収容されたメインタンクと、
    前記メインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段と
    を備え、前記ヘッドユニット移動手段が前記ヘッドユニットを移動させつつ前記噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、液体が貯蔵される内部空間における内壁の一部が、前記ヘッドユニットの外部からの荷重により前記内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材によって構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段による前記ヘッドユニットの移動時に前記弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置に、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられ、
    前記ヘッドユニットの移動に伴って前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接しながら移動するときにその弾性加圧部材に加わる荷重によって、その弾性加圧部材が前記サブタンクの内部空間側へ弾性変形してその内部空間が加圧されることにより、前記噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されており、
    前記押圧部材は、
    前記ヘッドユニットの移動により前記押圧位置にて前記弾性加圧部材が当接するとともにその当接による荷重によって回転可能な回転体と、
    前記回転体を回転可能な状態で支持する支持軸と、
    を備えていることを特徴とする液滴噴射装置。
  2. 液体が収容されたメインタンクと、
    前記メインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段と
    を備え、前記ヘッドユニット移動手段が前記ヘッドユニットを移動させつつ前記噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、液体が貯蔵される内部空間における内壁の一部が、前記ヘッドユニットの外部からの荷重により前記内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材によって構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段による前記ヘッドユニットの移動時に前記弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置に、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられ、
    前記ヘッドユニットの移動に伴って前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接しながら移動するときにその弾性加圧部材に加わる荷重によって、その弾性加圧部材が前記サブタンクの内部空間側へ弾性変形してその内部空間が加圧されることにより、前記噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段は、前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接してから再び離れるまでの移動区間内において、予め設定された一又は複数の停止位置の中から選択されたいずれかの停止位置で前記ヘッドユニットを停止可能に構成されている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  3. 液体が収容されたメインタンクと、
    前記メインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段と
    を備え、前記ヘッドユニット移動手段が前記ヘッドユニットを移動させつつ前記噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、液体が貯蔵される内部空間における内壁の一部が、前記ヘッドユニットの外部からの荷重により前記内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材によって構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段による前記ヘッドユニットの移動時に前記弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置に、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられ、
    前記ヘッドユニットの移動に伴って前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接しながら移動するときにその弾性加圧部材に加わる荷重によって、その弾性加圧部材が前記サブタンクの内部空間側へ弾性変形してその内部空間が加圧されることにより、前記噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段は、前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接して弾性変形する際の前記ヘッドユニットの移動速度を複数種類に変更できるよう構成されている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  4. 液体が収容されたメインタンクと、
    前記メインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段と
    を備え、前記ヘッドユニット移動手段が前記ヘッドユニットを移動させつつ前記噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、液体が貯蔵される内部空間における内壁の一部が、前記ヘッドユニットの外部からの荷重により前記内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材によって構成されており、
    前記ヘッドユニット移動手段による前記ヘッドユニットの移動時に前記弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置に、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられ、
    前記ヘッドユニットの移動に伴って前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接しながら移動するときにその弾性加圧部材に加わる荷重によって、その弾性加圧部材が前記サブタンクの内部空間側へ弾性変形してその内部空間が加圧されることにより、前記噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されており、
    前記サブタンクは、前記ヘッドユニット移動手段によって移動されている間は、前記メインタンクから供給される液体を内部空間に流入させるための流入口が密閉されて前記メインタンクからの液体供給が遮断されるよう構成されており、
    前記弾性加圧部材には、前記サブタンクの内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔が形成されており、
    前記大気連通孔は、前記弾性加圧部材が前記押圧位置にて前記押圧部材に当接して弾性変形する際に、その押圧部材によって塞がれるように形成されている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴噴射装置であって、
    前記メインタンクから前記サブタンクに至る液体供給経路に、前記サブタンク側から前記メインタンクへの液体の逆流を阻止するための逆流阻止手段が設けられている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  6. 液体が収容されたメインタンクと、
    前記メインタンクから供給される液体を一旦貯蔵するサブタンク、及びそのサブタンクから供給される液体を液滴としてノズルから噴射可能な噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを予め定められた範囲内で移動させるためのヘッドユニット移動手段と
    を備え、前記ヘッドユニット移動手段が前記ヘッドユニットを移動させつつ前記噴射ヘッドがノズルから液滴を噴射するよう構成された液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、
    前記メインタンクから供給される液体を前記内部空間に流入させるための流入口と、
    前記流入口から前記噴射ヘッドに至る液体供給経路における前記流入口よりも下流側において前記液体供給経路を遮るように設けられた部材であって、前記液体供給経路における当該部材の上流側と下流側との間で液体が通過可能な液体流路が少なくとも一つ形成されているとともに液体を直接押圧可能なプレス部材と、
    液体が貯蔵される内部空間における前記プレス部材よりも前記上流側の内壁の一部を構成するものであって、前記ヘッドユニットの外部からの荷重により前記内部空間側へ弾性変形可能な弾性加圧部材と、
    前記プレス部材および前記弾性加圧部材の双方を連結する部材であって、前記弾性加圧部材が前記内部空間側へ弾性変形することにより前記プレス部材を押圧して前記下流側に移動させるための連結部材と
    を備え、
    前記ヘッドユニット移動手段による前記ヘッドユニットの移動時に前記弾性加圧部材が当接可能な位置である押圧位置に、その弾性加圧部材を弾性変形させるための押圧部材が設けられ、
    前記ヘッドユニットの移動に伴って前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接しながら移動するときに加わる荷重によってその弾性加圧部材が前記サブタンクの内部空間側へ弾性変形することにより、前記連結部材が前記プレス部材を押圧し、その連結部材からの押圧を受けて前記プレス部材が液体を直接押圧しながら前記下流側に移動することにより、前記噴射ヘッドのノズルから液滴が強制的に吐出されるよう構成されている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  7. 請求項に記載の液滴噴射装置であって、
    前記サブタンクは、前記ヘッドユニット移動手段によって移動されている間は、前記メインタンクから供給される液体を内部空間に流入させるための流入口が密閉されて前記メインタンクからの液体供給が遮断されるよう構成されており、
    前記弾性加圧部材には、前記サブタンクの内部空間を大気圧に維持するための大気連通孔が形成されており、
    前記大気連通孔は、前記弾性加圧部材が前記押圧位置にて前記押圧部材に当接して弾性変形する際に、その押圧部材によって塞がれるように形成されている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の液滴噴射装置であって、
    前記押圧部材を、前記ヘッドユニットが前記範囲内を移動しても当該押圧部材が前記弾性加圧部材に当接することがない退避位置と、前記押圧位置との間で移動させるための第1駆動手段を備えている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  9. 請求項に記載の液滴噴射装置であって、
    前記ヘッドユニットは、前記ヘッドユニット移動手段により移動される移動方向に沿って設けられた複数の前記サブタンクを有し、
    前記複数のサブタンクのうち、前記弾性加圧部材を前記押圧部材に当接させるべき押圧対象サブタンクを設定する押圧対象サブタンク設定手段を備え、
    前記第1駆動手段は、前記ヘッドユニットの移動に伴って前記押圧対象サブタンクにおける前記弾性加圧部材が前記押圧位置を通過する際に、その弾性加圧部材が前記押圧部材に当接して弾性変形するよう、前記押圧部材を前記押圧位置に移動させる
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の液滴噴射装置であって、
    前記押圧位置として、前記弾性加圧部材が前記押圧部材に当接したときの前記弾性変形の程度がそれぞれ異なる複数の押圧位置が設定されており、
    前記押圧部材を前記複数の押圧位置のいずれかに選択的に移動させるための第2駆動手段を備えている
    ことを特徴とする液滴噴射装置。
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