JP2021137709A - 触媒、グリセルアルデヒドの製造方法およびグリセリン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率が良好な触媒およびグリセルアルデヒドの製造方法を提供する。【解決手段】触媒1は、第1粒子21と、第2粒子22と、第3粒子23と、を含む混合物である。第1粒子21は、白金からなる。第2粒子22は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子23は、セラミックス材料からなる。第1粒子21および第2粒子22は、第3粒子23に担持されている。第1粒子21の少なくとも一部は、第2粒子22に接触している。第1粒子21の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。【選択図】図1
Description
本開示は、触媒、グリセルアルデヒドの製造方法およびグリセリン酸の製造方法に関するものである。
白金(Pt)からなる触媒に界面活性剤およびグリセリンを接触させ、グリセリンを酸化させることにより、グリセリン酸を得る方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
グリセルアルデヒドまたはグリセリン酸の製造においては、グリセリンからグリセルアルデヒドやグリセリン酸をより多く得られる(収率が良い)ことが好ましい。また、グリセリンからグリセルアルデヒドやグリセリン酸を得る際に他の生成物が生成することを低減させる(選択率が良い)ことが好ましい。上記特許文献1では、酸素ガスを流通させつつ、50℃で酸化反応が実施される。グリセルアルデヒドまたはグリセリン酸は、より温和な条件で製造できることが好ましい。
そこで、温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率が良好な触媒およびグリセルアルデヒドの製造方法を提供することを目的の1つとする。また、温和な条件でグリセリンからグリセリン酸を得ることができ、グリセリン酸の収率および選択率が良好な触媒およびグリセリン酸の製造方法を提供することを目的の1つとする。
本開示の第1の局面に従った触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物である。第1粒子は、白金からなる。第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子は、セラミックス材料からなる。第1粒子および第2粒子は、第3粒子に担持されている。第1粒子の少なくとも一部は、第2粒子に接触している。第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。
本開示の第2の局面に従った触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物である。第1粒子は、白金からなる。第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子は、セラミックス材料からなる。第1粒子および第2粒子は、第3粒子に担持されている。第1粒子の少なくとも一部は、第2粒子に接触している。第1粒子の含有率は、6質量%以上12質量%以下である。
上記第1の局面における触媒およびこれを用いたグリセルアルデヒドの製造方法によれば、温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができる。
上記第2の局面における触媒およびこれを用いたグリセリン酸の製造方法によれば、温和な条件でグリセリンからグリセリン酸を得ることができ、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができる。
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の第1の局面の触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物である。第1粒子は、白金からなる。第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子は、セラミックス材料からなる。第1粒子および第2粒子は、第3粒子に担持されている。第1粒子の少なくとも一部は、第2粒子に接触している。第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の第1の局面の触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物である。第1粒子は、白金からなる。第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子は、セラミックス材料からなる。第1粒子および第2粒子は、第3粒子に担持されている。第1粒子の少なくとも一部は、第2粒子に接触している。第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。
本開示の第1の局面の触媒では、白金からなる第1粒子が主触媒として機能する。本開示の第1の局面の触媒では、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる第2粒子が助触媒として機能する。このような酸化物は、結晶格子内の酸化物イオン(O2−)を放出する特性を有する。第1粒子および第2粒子が第3粒子に担持されていることで、第1粒子同士および第2粒子同士が凝集することを抑制し、第1粒子および第2粒子の表面積の低下を抑制することができる。本開示における触媒によれば、触媒にグリセリンを接触させつつ、例えば10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持し、グリセリンを酸化することによって、グリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができる。本開示の触媒を用いることで、上記のような温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができる。
第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。ここで、第1粒子の含有率とは、第1粒子、第2粒子および第3粒子の総量に対する第1粒子の含有量の割合(質量%)をいう。第1粒子の含有率が3質量%未満であると、原料であるグリセリンから生成される生成物の原料に対する割合(グリセリンの転化率)およびグリセルアルデヒドの収率を良好にすることができない。第1粒子の含有率が8.5質量%を超えると、グリセリンの転化率を良好にすることができるものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する。このため、第1粒子の含有率は3質量%以上8.5質量%以下とする必要がある。
上記収率や選択率が良好となるメカニズムは、以下のように考えられる。第1の局面の触媒に対してグリセリン溶液を接触させると、第1粒子と第2粒子とが接触する領域にグリセリン溶液やグリセリンおよび生成物が溶解した反応溶液が触れ、第1粒子と第2粒子とが接触する領域にグリセリンが捕捉される。そして、第2粒子から第1粒子に酸化物イオンが供給され、グリセリンの末端の水酸基の酸化反応を選択的に促進することができる。
本開示の触媒によれば、温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができる。
第1の局面の触媒において、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であってもよい。ここで、第2粒子の含有率とは、第1粒子、第2粒子および第3粒子の総量に対する第2粒子の含有量の割合(質量%)をいう。第2粒子の含有率が8質量%未満
であると、グリセルアルデヒドの収率および選択率が十分に向上しないおそれがある。また、第2粒子の含有率が24質量%を超えると、グリセリンの転化率が向上するものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する場合がある。したがって、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
であると、グリセルアルデヒドの収率および選択率が十分に向上しないおそれがある。また、第2粒子の含有率が24質量%を超えると、グリセリンの転化率が向上するものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する場合がある。したがって、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
第1の局面の触媒において、セラミックス材料は、アルミナ、シリカ、コージェライトおよびムライトからなる群から選択された1種以上であってもよい。上記材料は、第3粒子を構成するセラミック材料として好適である。
本開示のグリセルアルデヒドの製造方法は、グリセリンを準備する工程と、上記触媒にグリセリンを接触させつつ、10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持することによってグリセリンを酸化することにより、グリセルアルデヒドを得る工程と、を含む。本開示の触媒を用い、10℃以上45℃以下の温度域での酸化反応を1.5時間以上5.5時間以内で実施することで、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができる。
本開示の第2の局面の触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物である。第1粒子は、白金からなる。第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる。第3粒子は、セラミックス材料からなる。第1粒子および第2粒子は、第3粒子に担持されている。第1粒子の少なくとも一部は、第2粒子に接触している。第1粒子の含有率は、6質量%以上12質量%以下である。
本開示の第2の局面の触媒では、白金からなる第1粒子が主触媒として機能する。第2の局面の触媒では、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなる第2粒子が助触媒として機能する。このような酸化物は、結晶格子内の酸化物イオン(O2−)を放出する特性を有する。第1粒子および第2粒子が第3粒子に担持されていることで、第1粒子同士および第2粒子同士が凝集することを抑制し、第1粒子および第2粒子の表面積の低下を抑制することができる。本開示における触媒によれば、触媒にグリセリンを接触させつつ、例えば25℃以上45℃以下の温度域に3.5時間以上8時間以内保持し、グリセリンを酸化することによって、グリセリンからグリセリン酸を得ることができる。本開示の触媒を用いることで、上記のような温和な条件でグリセリンからグリセリン酸を得ることができ、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができる。
第1粒子の含有率は、6質量%以上12質量%以下である。第1粒子の含有率が6質量%未満であると、原料であるグリセリンから生成される生成物の原料に対する割合(グリセリンの転化率)およびグリセリン酸の収率を良好にすることができない。第1粒子の含有率が12質量%を超えると、グリセリンの転化率を良好にすることができるものの、グリセリン酸の収率が低下する。このため、第1粒子の含有率は6質量%以上12質量%以下とする必要がある。
上記収率や選択率が良好となるメカニズムは、以下のように考えられる。第2の局面の触媒に対してグリセリン溶液を接触させると、第1粒子と第2粒子とが接触する領域にグリセリン溶液やグリセリンおよび生成物が溶解した反応溶液が触れ、第1粒子と第2粒子とが接触する領域にグリセリンが捕捉される。そして、第2粒子から第1粒子に酸化物イオンが供給され、グリセリンの末端の水酸基の酸化反応を選択的に促進することができる。
本開示の触媒によれば、温和な条件でグリセリンからグリセリン酸を得ることができ、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができる。
第2の局面の触媒において、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であってもよい。第2粒子の含有率が8質量%未満であると、グリセリン酸の収率および選択率が十分に向上しないおそれがある。また、第2粒子の含有率が24質量%を超えると、グリセリンの転化率が向上するものの、グリセリン酸の収率が低下する場合がある。したがって、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
第2の局面の触媒において、セラミックス材料は、アルミナ、シリカ、コージェライトおよびムライトからなる群から選択された1種以上であってもよい。上記材料は、第3粒子を構成するセラミック材料として好適である。
本開示のグリセリン酸の製造方法は、グリセリンを準備する工程と、上記触媒にグリセリンを接触させつつ、25℃以上45℃以下の温度域に3.5時間以上8時間以内保持することによってグリセリンを酸化することにより、グリセリン酸を得る工程と、を含む。本開示の触媒を用い、25℃以上45℃以下の温度域での酸化反応を3.5時間以上8時間以内で実施することで、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができる。
[実施形態の具体例]
次に、本開示の触媒の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
次に、本開示の触媒の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における触媒について説明する。本実施の形態における触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子とを含む混合物である。図1を参照して、本実施の形態における触媒1において、第1粒子21および第2粒子22は、第3粒子23に担持されている。第1粒子21の少なくとも一部は、第2粒子22の表面22Aに接触している。本実施の形態では、第2粒子22は、第3粒子23の表面23Aに接触している。本実施の形態では、第1粒子21は、第2粒子22の表面22Aおよび第3粒子23の表面23Aに接触している粒子と、第2粒子22の表面23Aにのみ接触し、第2粒子22を介して第3粒子23に担持されている粒子と、を含む。
まず、実施の形態1における触媒について説明する。本実施の形態における触媒は、第1粒子と、第2粒子と、第3粒子とを含む混合物である。図1を参照して、本実施の形態における触媒1において、第1粒子21および第2粒子22は、第3粒子23に担持されている。第1粒子21の少なくとも一部は、第2粒子22の表面22Aに接触している。本実施の形態では、第2粒子22は、第3粒子23の表面23Aに接触している。本実施の形態では、第1粒子21は、第2粒子22の表面22Aおよび第3粒子23の表面23Aに接触している粒子と、第2粒子22の表面23Aにのみ接触し、第2粒子22を介して第3粒子23に担持されている粒子と、を含む。
第1粒子は、本実施の形態の触媒における主触媒として機能する。第1粒子を構成する材料は、白金である。第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である。第1粒子の含有率の下限は、好ましくは4質量%であり、より好ましくは5質量%である。第1粒子の含有率の上限は、好ましくは8質量%であり、より好ましくは7質量%である。第1粒子の含有率が3質量%未満であると、グリセリンの転化率およびグルセルアルデヒドの収率を良好にすることができない。第1粒子の含有率が8.5質量%を超えると、グリセリンの転化率を良好にすることができるものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する。このため、第1粒子の含有率は3質量%以上8.5質量%以下とする必要がある。
第2粒子は、本実施の形態の触媒における助触媒として機能する。第2粒子を構成する材料は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物である。このような酸化物は、結晶格子内の酸化物イオン(O2−)を放出する特性を有する。上記酸化物における鉄(Fe)の比率zの下限は、好ましくは0.1である。上記酸化物における鉄の比率zの上限は、好ましくは0.25である。上記酸化物における鉄の比率zが0.05未満であると、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができない。上記酸化物における鉄の比率zが0.3を超えると、グリセリンの転化率は良好にすることができるものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する。したがって、上記酸化物における鉄の比率zは、0.05以上0.3以下とする必要がある。
本実施の形態において、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下である。第2粒子の含有率の下限は、好ましくは9質量%であり、より好ましくは10質量%である。第2粒子の含有率の上限は、好ましくは23.5質量%であり、より好ましくは23.25質量%である。第2粒子の含有率が8質量%未満であると、グリセルアルデヒドの収率および選択率が十分に向上しないおそれがある。第2粒子の含有率が24質量%を超えると、グリセリンの転化率が向上するものの、グリセルアルデヒドの収率が低下する場合がある。したがって、第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
第3粒子は、セラミック材料からなる。本実施の形態において、第3粒子を構成する材料は、シリカである。第3粒子の含有率は、第1粒子および第2粒子の含有率に応じて適宜決定することができる。
次に、本実施の形態における触媒1を用いて、グリセルアルデヒドを得るための手順について説明する。図1は、本実施の形態の触媒1を用いてグリセルアルデヒドを得る方法を示すフローチャートである。図1を参照して、本実施の形態の触媒1を用いてグリセルアルデヒドを得る方法では、まず工程(S10)として、グリセリンを準備する工程が実施される。より具体的には、グリセリンは、例えばグリセリン水溶液として準備される。グリセリン水溶液の濃度は、例えば1質量%以上10質量%以下である。上記グリセリンは、バイオディーゼルの製造の際に副生成物として得られるものであってもよい。
次に、工程(S20)として、グリセルアルデヒドを得る工程が実施される。より具体的には、本開示の触媒1が粉末状の状態で上記グリセリン水溶液に添加されると共に撹拌される。このようにして、本開示の触媒1をグリセリンに接触させることができる。本開示の触媒1の添加量は、例えば0.02g・ml−1以上0.06g・ml−1以下である。そして、触媒1およびグリセリン水溶液が、10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持される。上記温度域の下限は、好ましくは15℃であり、より好ましくは20℃である。上記温度域の上限は、好ましくは40℃である。10℃未満の温度では、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができない。45℃を超える温度では、グリセルアルデヒドの収率および選択率が低下する。また、1.5時間未満であると、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができない。5.5時間を超えると、グリセルアルデヒドの収率および選択率が低下する。したがって、触媒1およびグリセリン水溶液が、10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持される必要がある。本実施の形態では、大気中において工程(S20)が実施される。また、本実施の形態では、酸素ガスを流通させずに工程(S20)が実施される。
ここで、本実施の形態における触媒1によれば、触媒1にグリセリンを接触させつつ、例えば10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持し、グリセリンを酸化することによって、グリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができる。本実施の形態における触媒1を用いることで、上記のような温和な条件でグリセリンからグリセルアルデヒドを得ることができ、グリセルアルデヒドの収率および選択率を良好にすることができる。
本実施の形態における触媒1を用い、グリセリンからグリセルアルデヒドを効率的に得ることで、グリセリンの高付加価値化を達成することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における触媒について説明する。本実施の形態における触媒は、第1粒子21と、第2粒子22と、第3粒子23とを含む混合物である。図1を参照して、本実施の形態における触媒1において、第1粒子21および第2粒子22は、第3粒子23に担持されている。第1粒子21の少なくとも一部は、第2粒子22の表面22Aに接触している。本実施の形態では、第2粒子22は、第3粒子23の表面23Aに接触している。本実施の形態では、第1粒子21は、第2粒子22の表面22Aおよび第3粒子23の表面23Aに接触している粒子と、第2粒子22の表面23Aにのみ接触し、第2粒子22を介して第3粒子23に担持されている粒子と、を含む。
次に、実施の形態2における触媒について説明する。本実施の形態における触媒は、第1粒子21と、第2粒子22と、第3粒子23とを含む混合物である。図1を参照して、本実施の形態における触媒1において、第1粒子21および第2粒子22は、第3粒子23に担持されている。第1粒子21の少なくとも一部は、第2粒子22の表面22Aに接触している。本実施の形態では、第2粒子22は、第3粒子23の表面23Aに接触している。本実施の形態では、第1粒子21は、第2粒子22の表面22Aおよび第3粒子23の表面23Aに接触している粒子と、第2粒子22の表面23Aにのみ接触し、第2粒子22を介して第3粒子23に担持されている粒子と、を含む。
第1粒子21は、本実施の形態の触媒における主触媒として機能する。第1粒子21を構成する材料は、白金である。第1粒子21の含有率は、6質量%以上12質量%以下である。第1粒子21の含有率の下限は、好ましくは6.5質量%であり、より好ましくは7質量%である。第1粒子21の含有率の上限は、好ましくは11質量%であり、より好ましくは10質量%である。第1粒子21の含有率が6質量%未満であると、グリセリンの転化率およびグリセリン酸の収率を良好にすることができない。第1粒子21の含有率が12質量%を超えると、グリセリンの転化率を良好にすることができるものの、グリセリン酸の収率が低下する。このため、第1粒子21の含有率は6質量%以上12質量%以下とする必要がある。
第2粒子22は、本実施の形態の触媒における助触媒として機能する。第2粒子22を構成する材料は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物である。このような酸化物は、結晶格子内の酸化物イオン(O2−)を放出する特性を有する。上記酸化物における鉄(Fe)の比率zの下限は、好ましくは0.1である。上記酸化物における鉄の比率zの上限は、好ましくは0.25である。上記酸化物における鉄の比率zが0.05未満であると、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができない。上記酸化物における鉄の比率zが0.3を超えると、グリセリンの転化率は良好にすることができるものの、グリセリン酸の収率が低下する。したがって、上記酸化物における鉄の比率zは、0.05以上0.3以下とする必要がある。
本実施の形態において、第2粒子22の含有率は、8質量%以上24質量%以下である。第2粒子22の含有率の下限は、好ましくは9質量%であり、より好ましくは10質量%である。第2粒子22の含有率の上限は、好ましくは23.5質量%であり、より好ましくは23.25質量%である。第2粒子22の含有率が8質量%未満であると、グリセリン酸の収率および選択率が十分に向上しないおそれがある。第2粒子22の含有率が24質量%を超えると、グリセリンの転化率が向上するものの、グリセリン酸の収率が低下する場合がある。したがって、第2粒子22の含有率は、8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
第3粒子23は、セラミック材料からなる。本実施の形態において、第3粒子23を構成する材料は、シリカである。第3粒子23の含有率は、第1粒子21および第2粒子22の含有率に応じて適宜決定することができる。
次に、本実施の形態における触媒1を用いて、グリセリン酸を得るための手順について説明する。図3は、本実施の形態の触媒1を用いてグリセリン酸を得る方法を示すフローチャートである。図3を参照して、本実施の形態の触媒1を用いてグリセリン酸を得る方法では、まず工程(S10)として、グリセリンを準備する工程が実施される。より具体的には、グリセリンは、例えばグリセリン水溶液として準備される。グリセリン水溶液の濃度は、例えば1質量%以上10質量%以下である。
次に、工程(S30)として、グリセリン酸を得る工程が実施される。より具体的には、本開示の触媒1が粉末状の状態で上記グリセリン水溶液に添加されると共に撹拌される。このようにして、本開示の触媒1をグリセリンに接触させることができる。本開示の触媒1の添加量は、例えば0.02g・ml−1以上0.06g・ml−1以下である。そして、触媒1およびグリセリン水溶液が、25℃以上45℃以下の温度域に3.5時間以上8時間以内保持される。上記温度域の下限は、好ましくは27.5℃であり、より好ましくは30℃である。上記温度域の上限は、好ましくは40℃である。25℃未満の温度では、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができない。45℃を超える温度では、グリセリン酸の収率および選択率が低下する。また、3.5時間未満であると、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができない。8時間を超えると、グリセリン酸の収率および選択率が低下する。したがって、触媒1およびグリセリン水溶液が、25℃以上45℃以下の温度域に3.5時間以上8時間以内保持される必要がある。本実施の形態では、大気中において工程(S30)が実施される。また、本実施の形態では、酸素ガスを流通させずに工程(S30)が実施される。
ここで、本実施の形態における触媒1によれば、触媒1にグリセリンを接触させつつ、例えば25℃以上45℃以下の温度域に3.5時間以上8時間以内保持し、グリセリンを酸化することによって、グリセリンからグリセリン酸を得ることができる。本実施の形態における触媒1を用いることで、上記のような温和な条件でグリセリンからグリセリン酸を得ることができ、グリセリン酸の収率および選択率を良好にすることができる。
本実施の形態における触媒1を用い、グリセリンからグリセリン酸を効率的に得ることで、グリセリンの高付加価値化を達成することができる。
なお、上記実施の形態において第3粒子23を構成する材料は、シリカである場合について説明したが、これに限られるものではなく、アルミナ、コージェライトおよびムライトからなる群から選択された1種であってもよい。第3粒子23を構成する材料は、アルミナ、シリカ、コージェライトおよびムライトからなる群から選択された1種以上であってもよい。第3粒子23を構成する材料は、シリカを好適に用いることができる。第3粒子を構成する材料としてシリカを用いることで、グリセリンの転化率を向上させることができる共にグリセリンからグリセルアルデヒドやグリセリン酸を得る際の収率を向上させることができる。第3粒子23を構成する材料としてシリカを採用する場合、例えばメソポーラスシリカを用いることができる。このようにメソポーラスシリカを用いることで、第1粒子21および第2粒子22をより多く担持することができる。
上記本開示の触媒のサンプルを作製し、グリセリンからグリセルアルデヒド(GLA)およびグリセリン酸(GA)を得る際の収率や選択率が良好となることを確認する実験を行った。実験の手順は以下の通りである。
(サンプルA)
0.2mоl/lの塩酸90mlに、界面活性剤(Biotium社製、商品名「Plurоnic(登録商標) F−127」)1.6gと、1,3,5−トリメチルベンゼン1.1mlとを添加した混合物を調製した。調製された混合物を35℃で3時間撹拌した。次に、混合物にテトラエトキシシラン7.1mlを添加し、30℃で24時間撹拌した。そして、140℃で24時間水熱処理を実施し、沈殿物を形成した。沈殿物を回収し、空気を流通させながら600℃で4時間焼成した。その結果、沈殿物からメソポーラスシリカ(SBA−16)が得られた。
0.2mоl/lの塩酸90mlに、界面活性剤(Biotium社製、商品名「Plurоnic(登録商標) F−127」)1.6gと、1,3,5−トリメチルベンゼン1.1mlとを添加した混合物を調製した。調製された混合物を35℃で3時間撹拌した。次に、混合物にテトラエトキシシラン7.1mlを添加し、30℃で24時間撹拌した。そして、140℃で24時間水熱処理を実施し、沈殿物を形成した。沈殿物を回収し、空気を流通させながら600℃で4時間焼成した。その結果、沈殿物からメソポーラスシリカ(SBA−16)が得られた。
1mоl/lの硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液0.73mlと、0.1mоl/lのオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液1.83mlと、0.1mоl/lの硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液1.02mlとを混合した混合液に、脱イオン水およびメソポーラスシリカ(SBA−16)を添加した。そして、室温(27℃)において30分間撹拌した。上記混合液にpHが11になるように6体積%のアンモニア水溶液を添加した。そして、室温(27℃)において12時間撹拌し、沈殿物を形成した。沈殿物を回収し、大気中において900℃で1時間焼成した。その結果、沈殿物からCe0.72Zr0.18Fe0.1O1.95の組成式で表される酸化物の粉末と、メソポーラスシリカの粉末とを含む中間粉末が得られた。
エタノールに、上記中間粉末0.4gと、白金とポリビニルピロリドンとを含むコロイドエタノール溶液(白金の濃度が4質量%)0.7527gとを添加した中間体が調製された。中間体を室温(27℃)で6時間撹拌し、その後溶媒を留去し、大気中において500℃で4時間焼成した。その結果、中間体から、白金製の第1粒子21と、Ce0.72Zr0.18Fe0.1O1.95の組成式で表される酸化物製の第2粒子22と、メソポーラスシリカ製の第3粒子23と、を含む粉末状のサンプルAが得られた。サンプルAにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
(サンプルB)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.7mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.72mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を1.52mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルBを作製した。サンプルBの第2粒子22は、Ce0.68Zr0.17Fe0.15O1.925の組成式で表される酸化物製である。サンプルBにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.7mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.72mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を1.52mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルBを作製した。サンプルBの第2粒子22は、Ce0.68Zr0.17Fe0.15O1.925の組成式で表される酸化物製である。サンプルBにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
(サンプルC)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.65mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.63mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.04mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルCを作製した。サンプルCの第2粒子22は、Ce0.64Zr0.16Fe0.2O1.9の組成式で表される酸化物製である。サンプルCにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.65mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.63mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.04mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルCを作製した。サンプルCの第2粒子22は、Ce0.64Zr0.16Fe0.2O1.9の組成式で表される酸化物製である。サンプルCにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
(サンプルD)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.61mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.52mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.54mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルDを作製した。サンプルDの第2粒子22は、Ce0.6Zr0.15Fe0.25O1.875の組成式で表される酸化物製である。サンプルDにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.61mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.52mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.54mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルDを作製した。サンプルDの第2粒子22は、Ce0.6Zr0.15Fe0.25O1.875の組成式で表される酸化物製である。サンプルDにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
(サンプルE)
白金とポリビニルピロリドンとを含むコロイドエタノール溶液(白金の濃度が4質量%)の配合量を0.5263gとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルEを作製した。サンプルEにおいて、第1粒子21の含有率は5質量%であり、第2粒子22の含有率は15.2質量%であり、第3粒子23の含有率は79.8質量%であった。
白金とポリビニルピロリドンとを含むコロイドエタノール溶液(白金の濃度が4質量%)の配合量を0.5263gとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルEを作製した。サンプルEにおいて、第1粒子21の含有率は5質量%であり、第2粒子22の含有率は15.2質量%であり、第3粒子23の含有率は79.8質量%であった。
(サンプルF)
白金とポリビニルピロリドンとを含むコロイドエタノール溶液(白金の濃度が4質量%)の配合量を1.1111gとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルFを作製した。サンプルFにおいて、第1粒子21の含有率は10質量%であり、第2粒子22の含有率は14.4質量%であり、第3粒子23の含有率は75.6質量%であった。
白金とポリビニルピロリドンとを含むコロイドエタノール溶液(白金の濃度が4質量%)の配合量を1.1111gとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルFを作製した。サンプルFにおいて、第1粒子21の含有率は10質量%であり、第2粒子22の含有率は14.4質量%であり、第3粒子23の含有率は75.6質量%であった。
(サンプルG)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.38mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を0.94mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を1.18mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルGを作製した。サンプルGにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は9.3質量%であり、第3粒子23の含有率は83.7質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.38mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を0.94mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を1.18mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルGを作製した。サンプルGにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は9.3質量%であり、第3粒子23の含有率は83.7質量%であった。
(サンプルH)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.86mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を2.12mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.66mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルHを作製した。サンプルHにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は18.6質量%であり、第3粒子23の含有率は74.4質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.86mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を2.12mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を2.66mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルHを作製した。サンプルHにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は18.6質量%であり、第3粒子23の含有率は74.4質量%であった。
(サンプルI)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を1.14mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を2.84mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を3.56mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルIを作製した。サンプルIにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は23.25質量%であり、第3粒子23の含有率は69.75質量%であった。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を1.14mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を2.84mlと、硝酸鉄(Fe(NO3)3)水溶液の配合量を3.56mlとした以外は、サンプルCと同様にしてサンプルIを作製した。サンプルIにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は23.25質量%であり、第3粒子23の含有率は69.75質量%であった。
(サンプルJ)
比較のために、硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.75mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.88mlと、硝酸鉄(FeNO3)3)水溶液の配合量を0mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルJを作製した。サンプルJの第2粒子22は、Ce0.8Zr0.2O2の組成式で表される酸化物製である。サンプルJにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
比較のために、硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液の配合量を0.75mlと、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液の配合量を1.88mlと、硝酸鉄(FeNO3)3)水溶液の配合量を0mlとした以外は、サンプルAと同様にしてサンプルJを作製した。サンプルJの第2粒子22は、Ce0.8Zr0.2O2の組成式で表される酸化物製である。サンプルJにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第2粒子22の含有率は14.88質量%であり、第3粒子23の含有率は78.12質量%であった。
(サンプルK)
比較のために、第2粒子22を含まず、白金製の第1粒子21と、メソポーラスシリカ製の第3粒子23と、を含む粉末状のサンプルKを作製した。サンプルKにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第3粒子23の含有率は93質量%であった。
比較のために、第2粒子22を含まず、白金製の第1粒子21と、メソポーラスシリカ製の第3粒子23と、を含む粉末状のサンプルKを作製した。サンプルKにおいて、第1粒子21の含有率は7質量%であり、第3粒子23の含有率は93質量%であった。
(グリセリン転化率、GLA収率およびGLA選択率、GA収率およびGA選択率)
サンプルA〜サンプルKを用いて、グリセルアルデヒド(GLA)およびグリセリン酸(GA)を製造した。より具体的には、サンプルA〜サンプルKをグリセリン水溶液に添加すると共に大気中において撹拌した。グリセルアルデヒドおよびグリセリン酸を製造する際の条件としては、グリセリン水溶液の濃度を1質量%、グリセリン水溶液の量を10ml、触媒量を0.3g、反応温度を30℃、処理時間を4時間に設定した。そして、各サンプルにおいて、グリセリン転化率、GLA収率、GLA選択率、GA収率およびGA選択率を測定した。
サンプルA〜サンプルKを用いて、グリセルアルデヒド(GLA)およびグリセリン酸(GA)を製造した。より具体的には、サンプルA〜サンプルKをグリセリン水溶液に添加すると共に大気中において撹拌した。グリセルアルデヒドおよびグリセリン酸を製造する際の条件としては、グリセリン水溶液の濃度を1質量%、グリセリン水溶液の量を10ml、触媒量を0.3g、反応温度を30℃、処理時間を4時間に設定した。そして、各サンプルにおいて、グリセリン転化率、GLA収率、GLA選択率、GA収率およびGA選択率を測定した。
ここで、グリセリン転化率(%)は、反応前のグリセリン濃度(質量%)に対する反応前のグリセリン濃度(質量%)から反応後のグリセリン濃度(質量%)を減じた値の割合として算出した。GLA収率(%)は、反応前のグリセリン濃度(質量%)に対する反応後のグリセルアルデヒド濃度(質量%)の割合として算出した。GLA選択率(%)は、上記グリセリン転化率(%)に対する上記GLA収率(%)の割合、すなわち反応前のグリセリン濃度(質量%)から反応後のグリセリン濃度(質量%)を減じた値に対する反応後のグリセルアルデヒド濃度(質量%)の割合として算出した。GA収率(%)は、反応前のグリセリン濃度(質量%)に対する反応後のグリセリン酸濃度(質量%)の割合として算出した。GA選択率(%)は、上記グリセリン転化率(%)に対する上記GA収率(%)の割合、すなわち反応前のグリセリン濃度(質量%)から反応後のグリセリン濃度(質量%)を減じた値に対する反応後のグリセリン酸濃度(質量%)の割合として算出した。反応後のグリセリン濃度、グリセルアルデヒド濃度およびグリセリン酸濃度は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により算出された。高速液体クロマトグラフとしては、日本分光株式会社製「EXTREMA」を用い、カラムとしては昭和電工株式会社製「Shodex(登録商標)SH1011」を用いた。表1、表2および表3に、各サンプルのグリセリン転化率、GLA収率、GLA選択率、GA収率およびGA選択率の結果を示す。
表1、表2および表3を参照して、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物製の第2粒子22を用い、第1粒子21の含有率が3質量%以上8.5質量%以下であるサンプル(サンプルA〜サンプルE、およびサンプルG〜サンプルI)では、第1粒子21の含有率が上記範囲外のサンプルF、上記酸化物とは異なる酸化物製の第2粒子22を用いたサンプルJ、および第2粒子22を含まないサンプルKと比較して、GLA収率およびGLA選択率が共に良好となる。第2粒子22の含有率が8質量%以上24質量%以下であるサンプル(サンプルA〜サンプルE、サンプルG〜サンプルI)では、GLA収率およびGLA選択率がさらに良好となる。このため、第2粒子22の含有率が8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。このように本開示の触媒を用いてグリセリルアルデヒドを得ることにより、グリセリンからグリセリルアルデヒドを得る際の収率および選択率が良好となる。
表1、表2および表3を参照して、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物製の第2粒子22を用い、第1粒子21の含有率が6質量%以上12質量%以下であるサンプル(サンプルA〜サンプルDおよびサンプルF〜サンプルI)は、第1粒子21の含有率が上記範囲外のサンプルE、上記酸化物とは異なる酸化物製の第2粒子22を用いたサンプルJ、および第2粒子22を含まないサンプルKと比較して、GA収率およびGA選択率が共に良好となる。第2粒子22の含有率が8質量%以上24質量%以下であるサンプル(サンプルA〜サンプルDおよびサンプルF〜サンプルI)では、GA収率およびGA選択率がさらに良好となる。このため、第2粒子22の含有率が8質量%以上24質量%以下であることが好ましい。このように本開示の触媒を用いてグリセリン酸を得ることにより、グリセリンからグリセリン酸を得る際の収率および選択率が良好となる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本開示の触媒は、グリセリンからグリセルアルデヒドやグリセリン酸を得る際の触媒として特に有利に適用される。
1 触媒、21 第1粒子、22 第2粒子、23 第3粒子、22A,23A 表面。
Claims (4)
- 第1粒子と、第2粒子と、第3粒子と、を含む混合物であり、
前記第1粒子は、白金からなり、
前記第2粒子は、CexZryFezO(4x+4y+3z)/2の組成式で表され、0.05≦z≦0.3、z=1−(x+y)および2.3×y≦x≦9×yを満たす酸化物からなり、
前記第3粒子は、セラミックス材料からなり、
前記第1粒子および前記第2粒子は、前記第3粒子に担持されており、
前記第1粒子の少なくとも一部は、前記第2粒子に接触し、
前記第1粒子の含有率は、3質量%以上8.5質量%以下である、触媒。 - 前記第2粒子の含有率は、8質量%以上24質量%以下である、請求項1に記載の触媒。
- 前記セラミックス材料は、アルミナ、シリカ、コージェライトおよびムライトからなる群から選択された1種以上である、請求項1または請求項2に記載の触媒。
- グリセリンを準備する工程と、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触媒にグリセリンを接触させつつ、10℃以上45℃以下の温度域に1.5時間以上5.5時間以内保持することによってグリセリンを酸化することにより、グリセルアルデヒドを得る工程と、を含む、グリセルアルデヒドの製造方法。
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