以下、本発明の不揮発性記憶装置、半導体集積回路装置および電子機器の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図1は、第1実施形態に係る不揮発性記憶装置を示すブロック図である。図2および図3は、それぞれ、図1の不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図4は、図2の不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。なお、図2および図4では、互いに直交する2つの軸として、X軸およびY軸を設定している。そして、X軸の延在方向を「第1の方向」といい、Y軸の延在方向を「第2の方向」という。また、図2の左上から右下に至る方向を「第3の方向」という。
不揮発性記憶装置としては、例えば、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型のフラッシュメモリー、フローティングゲート型のフラッシュメモリー等が挙げられるが、ここでは、一例として、MONOS型のフラッシュメモリーについて説明する。
1.1.不揮発性記憶装置の概要
図1に示す不揮発性記憶装置1は、メモリーセルアレイ10と、電源回路20と、ワード線駆動回路30と、ソース線駆動回路40a、40bと、スイッチ回路50と、メモリー制御回路60と、を備えている。図1に示す不揮発性記憶装置1は、後述する半導体集積回路装置に単体で内蔵されていてもよいし、プロセッサーまたは所定の機能を有する回路ブロック等とともに半導体集積回路装置に内蔵されてマイクロコンピューター等を構成していてもよい。
メモリーセルアレイ10は、第1の方向(図1のX軸方向)および第2の方向(図1のY軸方向)に配置された複数のメモリーセルMCを有している。図1には、一例として、4×4の2次元マトリクス状に配置された16個のメモリーセルMCが示されている。なお、図1では、メモリーセルMCや配線が簡略化されている。
また、不揮発性記憶装置1は、図2および図4に示すように、複数のワード線WL0、WL1、・・・と、複数のソース線SL0、SL1、・・・と、複数のビット線BL0、BL1、・・・と、を備えている。複数のワード線WL0、WL1、・・・は、第1の方向に並ぶメモリーセルの列にそれぞれ接続されている。複数のソース線SL0、SL1、・・・は、第1の方向および第2の方向と交差する第3の方向に並ぶメモリーセルの列にそれぞれ接続されている。複数のビット線BL0、BL1、・・・は、第2の方向に並ぶメモリーセルの列にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態に係る第3の方向は、第1の方向に対して315°の角度をなす方向とする。なお、第3の方向は、第1の方向および第2の方向の双方と交差する方向であればよく、したがって、第1の方向に対する第3の方向の角度はこれに限定されない。
電源回路20には、基準電源電位VSSと、データ書き込みおよびデータ消去用の高電源電位VPPと、ロジック回路用のロジック電源電位VDDと、負電源電位VNNと、が外部から供給される。本実施形態では、一例として、基準電源電位VSSが接地電位0Vであり、高電源電位VPPが5V〜10Vであり、ロジック電源電位VDDが1.2V〜1.8Vであり、負電源電位VNNが−5.0V〜−3.0Vである。
また、電源回路20は、外部から供給される電源電位を昇圧または降圧し、他の電源電位を生成する機能を有していてもよい。この場合、電源回路20は、メモリー制御回路60の制御の下、例えば、高電源電位VPP、ロジック電源電位VDD、または、ロジック電源電位VDDを昇圧して得られる昇圧電位を、必要に応じて不揮発性記憶装置1の各部に供給する。
ワード線駆動回路30は、複数のワード線WL0、WL1、・・・に接続されており、メモリー制御回路60の制御の下、複数のワード線WL0、WL1、・・・を駆動する。ソース線駆動回路40a、40bは、複数のソース線SL0、SL1、・・・に接続されており、メモリー制御回路60の制御の下、複数のソース線SL0、SL1、・・・を駆動する。
なお、複数のソース線SL0、SL1、・・・は、それぞれ、第1の方向および第2の方向の双方に交差する斜め方向(第3の方向)に延在する部分を有しているので、ソース線駆動回路40a、40bは、メモリーセルアレイ10の両側、つまり、図1の左右両側に分離して配置されている。また、ソース線駆動回路40a、40bを一体化する場合には、メモリーセルアレイ10の片側において、例えば、図1中の上下方向に長いソース線駆動回路を設けるようにすればよい。
スイッチ回路50は、例えば、複数のビット線BL0、BL1、・・・とメモリー制御回路60とにそれぞれ接続された複数のトランジスターと、複数のビット線BL0、BL1、・・・と基準電源電位VSSの配線とにそれぞれ接続された複数のトランジスターと、複数のビット線BL0、BL1、・・・とロジック電源電位VDDの配線とにそれぞれ接続された複数のトランジスターと、を含んでいる。これらのトランジスターは、メモリー制御回路60の制御の下、オン状態またはオフ状態となる。
メモリー制御回路60は、スイッチ回路50を介して複数のビット線BL0、BL1、・・・に接続されたセンスアンプ61と、不揮発性記憶装置1の各部を制御するロジック回路と、を含んでいる。ここで、ワード線駆動回路30、ソース線駆動回路40a、40b、スイッチ回路50、および、センスアンプ61は、複数のメモリーセルMCを駆動するためのメモリー駆動回路を構成している。メモリー制御回路60のロジック回路は、複数のメモリーセルMCに書き込み動作(プログラム)、消去動作(イレース)、または、読み出し動作(リード)を行わせるように、メモリー駆動回路および電源回路20を制御する。
メモリー制御回路60には、チップセレクト信号CS、モードセレクト信号MS、クロック信号CK、および、アドレス信号ADが供給される。メモリー制御回路60は、チップセレクト信号CSによって不揮発性記憶装置1が選択されたときに、モードセレクト信号MSにしたがって、不揮発性記憶装置1を書き込みモード、消去モード、または、読み出しモードに設定し、クロック信号CKに同期して制御動作を行う。
書き込みモードでは、メモリー制御回路60は、書き込みデータの入力を受け付け、アドレス信号ADにしたがって選択されたメモリーセルMCにデータを書き込むように不揮発性記憶装置1の各部の作動を制御する。
消去モードでは、メモリー制御回路60は、アドレス信号ADにしたがって選択されたメモリーセルMCのデータを消去するように不揮発性記憶装置1の各部の作動を制御する。
読み出しモードでは、メモリー制御回路60は、アドレス信号ADにしたがって選択されたメモリーセルMCからデータを読み出すように不揮発性記憶装置1の各部の作動を制御し、読み出しデータを出力する。例えば、メモリー制御回路60は、スイッチ回路50を制御することにより、選択されたメモリーセルMCに接続されているビット線をセンスアンプ61に接続する。
センスアンプ61は、選択されたメモリーセルMCに接続されているビット線にビット線選択電圧を印加して、選択されたメモリーセルMCに流れる読み出し電流をリファレンスセルに流れる電流と比較することにより、そのメモリーセルMCに記憶されているデータが「1」であるか「0」であるかを判定する。
1.2.メモリーセルと配線との接続
図2には、図1に示すメモリーセルアレイ10の一部の領域に配置された16個のメモリーセルMC00、MC02、・・・と、ワード線WL0、WL1、・・・と、ソース線SL0、SL1、・・・と、ビット線BL0、BL1、・・・と、が示されている。なお、図2では、図示の都合上、図4に示す連結線CL0、CL1、・・・・の図示を省略している。
メモリーセルMC00、MC02、・・・は、それぞれ、半導体基板上に配置された第1の酸化シリコン膜と、第1の酸化シリコン膜上に配置された窒化シリコン膜と、窒化シリコン膜上に配置された第2の酸化シリコン膜と、第2の酸化シリコン膜上に配置されたゲート電極Gと、ゲート電極Gの両側の半導体基板内に配置された第1の不純物領域および第2の不純物領域(ソース領域Sおよびドレイン領域D)と、を含むメモリーセルトランジスターで構成される。以下、メモリーセルトランジスターを、単に「トランジスター」ともいう。
半導体基板は、例えば、P型の不純物を含有するシリコンで構成され、ゲート電極Gは、不純物がドープされて導電性を有するポリシリコンで構成されている。また、ソース領域Sおよびドレイン領域Dは、それぞれ、例えば、N型の不純物がドープされたシリコンで構成されている。
このようなメモリーセルMC00、MC02、・・・では、第1の酸化シリコン膜(トンネル膜)との界面近傍の窒化シリコン膜に存在する離散トラップにおいて、電荷(電子)を蓄積する。それにより、トランジスターの閾値電圧が変化するので、それに基づいてデータを記憶することができる。このようなチャージトラップ型のメモリーセルの場合には、絶縁膜である窒化シリコン膜に電荷が蓄積されるので、トンネル膜の膜厚を薄くすることにより、データの書き込み電圧を低くすることができる。
例えば、ワード線WL1は、第1の方向に並ぶ複数のメモリーセルMC10、MC12、MC14、・・・のトランジスターのゲート電極Gに接続されている。同様に、他のワード線も、第1の方向に並ぶ複数のメモリーセルのトランジスターのゲート電極Gに接続されている。
例えば、ソース線SL1は、第3の方向に並ぶ複数のメモリーセルMC10およびMC02のトランジスターのソース領域Sに接続されている。同様に、他のソース線も、第3の方向に並ぶ複数のメモリーセルのトランジスターのソース領域Sに接続されている。
例えば、ビット線BL0は、第2の方向に並ぶ複数のメモリーセルMC00、MC10、・・・のトランジスターのドレイン領域Dに接続されている。同様に、他のビット線も、第2の方向に配置された複数のメモリーセルのトランジスターのドレイン領域Dに接続されている。
1.3.メモリーセルおよび配線のレイアウト
図4には、図2の回路図に対応するレイアウトの例が示されている。すなわち、図4には、16個のメモリーセルMC00、MC02、・・・と、ワード線WL0、WL1、・・・と、ソース線SL0、SL1、・・・と、ビット線BL0、BL1、・・・と、配線層としての連結線CL0、CL1、・・・と、が示されている。なお、図4では、絶縁膜の図示を省略している。
図4においては、メモリーセルMC00、MC10、・・・のトランジスターのソース領域およびドレイン領域にハッチングを施している。ソース領域およびドレイン領域は、第2の方向に並び、列をなしている。また、その列は、第1の方向に並んでいる。
ワード線WL0、WL1、・・・は、それぞれ、第1の方向(図4のX軸方向)に並ぶ複数のメモリーセルのトランジスターのゲート電極を第1の方向に延長することによって構成されている。
ソース線SL0、SL1、・・・および連結線CL0、CL1、・・・は、それぞれ、第1の配線層に設けられたメタル配線で構成されている。この第1の配線層は、ゲート電極等が形成された半導体基板上に、第1の層間絶縁膜を介して配置されている。
ビット線BL0、BL1、・・・は、それぞれ、第2の配線層に設けられたメタル配線で構成されている。この第2の配線層は、第1の配線層等が形成された半導体基板上に第2の層間絶縁膜を介して配置されている。
なお、ソース線SL0、SL1、・・・および連結線CL0、CL1、・・・と、ビット線BL0、BL1、・・・の配置は、必要に応じて、上記の配置とは異なっていてもよい。つまり、配置順序が上記と逆であってもよい。
また、第3の配線層には、図1に示すスイッチ回路50に接続される複数のビット線BL0、BL1、・・・の中継部分の他、図示しないリファレンスセルのトランジスターのドレイン領域を図1に示すセンスアンプ61に接続するメタル配線や、リファレンスセルのトランジスターのソース領域を基準電源電位VSSの配線に接続するメタル配線等が設けられている。この第3の配線層は、第2の配線層等が形成された半導体基板上に第3の層間絶縁膜を介して配置されている。
ここで、連結線CL0、CL1、・・・は、図4のY軸方向(第2の方向)に並ぶ2つのメモリーセルの、互いに離間するソース領域同士を電気的に接続する配線層である。本実施形態では、図4に示す16個のメモリーセルMC00、MC02、・・・のうち、メモリーセルMC10を第1メモリーセルとし、そのY軸方向に隣り合うメモリーセルMC21を第2メモリーセルとする。
メモリーセルMC10(第1メモリーセル)は、第1ゲート電極G1、第1ソース領域S1および第1ドレイン領域D1を有する。
メモリーセルMC21(第2メモリーセル)は、第2ゲート電極G2、第2ソース領域S2および第2ドレイン領域D2を有する。
そして、第1ゲート電極G1および第2ゲート電極G2は、互いに分離されている。同様に、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2も、互いに分離されている。なお、メモリーセルMC10、MC21以外のメモリーセルについても、これと同様の構成を有している。
また、第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とを電気的に接続する配線層として、第2の方向に延在する連結線CL1が設けられている。この連結線CL1を設けることにより、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2は、互いに分離されているものの、電気的には同電位になっている。
なお、本実施形態では、連結線CL0、CL1、・・・が、ソース線SL0、SL1、・・・の一部と重複している。これにより、ソース線SL0、SL1、・・・は、斜め方向(第3の方向)に延在する部分と、連結線CL0、CL1、・・・と重複し、第2の方向に延在する部分と、を含む。
1.4.不揮発性記憶装置の動作
次に、不揮発性記憶装置1の動作について説明する。
不揮発性記憶装置1のスタンバイ時には、メモリー駆動回路は、複数のワード線WL0、WL1、・・・、複数のソース線SL0、SL1、・・・、および、複数のビット線BL0、BL1、・・・の全てを、ハイインピーダンス状態(オープン状態)または接地電位0Vに設定する。これにより、全てのメモリーセルにおいて、トランジスターがオフ状態となり、トランジスターには電流が流れない。
データの書き換え時には、メモリー駆動回路は、複数のワード線WL0、WL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたワード線にワード線選択電圧を印加する。また、それとともに、メモリー駆動回路は、複数のワード線WL0、WL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたワード線以外のワード線にワード線非選択電圧を印加する。
さらに、メモリー駆動回路は、複数のソース線SL0、SL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたソース線にソース線選択電圧を印加する。また、それとともに、メモリー駆動回路は、複数のソース線SL0、SL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたソース線以外のソース線にソース線非選択電圧を印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
さらに、メモリー駆動回路は、複数のビット線BL0、BL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたビット線にビット線選択電圧を印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。また、それとともに、複数のビット線BL0、BL1、・・・のうち、選択されたメモリーセルに接続されたビット線以外のビット線にビット線非選択電圧を印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
なお、メモリーセルに流れる電流を低減するためには、非選択のソース線および非選択のビット線のうち、少なくとも一方をハイインピーダンス状態にすることが望ましい。
前述したように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1では、ワード線WL0、WL1、・・・、ソース線SL0、SL1、・・・、および、ビット線BL0、BL1、・・・が、互いに異なる方向に並ぶメモリーセルMCの列に接続されている。このため、ワード線WL0、WL1、・・・、ソース線SL0、SL1、・・・、および、ビット線BL0、BL1、・・・に選択電圧を印加して1つのメモリーセルを選択することにより、メモリーセル単位でデータの消去を可能とし、プリプログラムを不要として、1ビット単位で短時間にデータを書き換えることができる。
また、選択されたメモリーセルにおいてデータの書き換えを行う際に、選択されていないメモリーセルに接続されたワード線WL0、WL1、・・・、ソース線SL0、SL1、・・・、および、ビット線BL0、BL1、・・・のうち、少なくとも2つには選択電圧が印加されないので、選択されていないメモリーセルに対するストレスが緩和される。これにより、選択されていないメモリーセルのデータの意図しない変化や、メモリーセルの劣化等を抑制することができる。
なお、メモリー駆動回路は、第1の書き換えモードにおいて、同時に1つのメモリーセルを選択し、第2の書き換えモードにおいて、同時に複数のメモリーセルを選択するように動作してもよい。これにより、第1の書き換えモードにおいては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)と同様にメモリーセル単位でデータを書き換えることによってプリプログラムを不要とし、第2の書き換えモードにおいては、従来のフラッシュメモリーと同様にブロック単位でデータを書き換えることができる。書き換えモードは、書き込みモードと消去モードとを含んでいる。以下、書き込みモード、消去モード、および、読み出しモードにおける不揮発性記憶装置1の動作について説明する。
1.4.1.書き込みモード
図2は、メモリーセルMC10を選択した例である。メモリーセルMC10を選択するためには、メモリーセルMC10に接続されたワード線WL1、ソース線SL1およびビット線BL0がそれぞれ選択状態に設定される。図2では、選択状態にある配線の符号を枠で囲んでいる。データの書き込み時には、ワード線駆動回路30は、ワード線WL1を書き込みモードの選択状態に設定するため、ワード線WL1にワード線選択電圧として、例えば7.5Vを印加する。一方、非選択のワード線にはワード線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加する。
また、ソース線駆動回路40a、40bは、ソース線SL1を書き込みモードの選択状態に設定するため、ソース線SL1にソース線選択電圧として、例えば7.5Vを印加する。一方、非選択のソース線にはソース線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
さらに、スイッチ回路50は、ビット線BL0を書き込みモードの選択状態に設定するため、ビット線BL0にビット線選択電圧として、例えば0Vを印加する。一方、非選択のビット線にはビット線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
したがって、メモリー駆動回路は、データの書き込み時、複数のメモリーセルのうち、選択されたメモリーセルMC10のゲート電極G、ソース領域Sおよびドレイン領域Dに、例えば選択電圧を印加する。一方、複数のメモリーセルのうち、選択されたメモリーセルMC10以外のメモリーセルのゲート電極G、ソース領域Sおよびドレイン領域Dのうち、少なくとも2つに選択電圧を印加しない。
以上により、選択されたメモリーセルMC10において、トランジスターのゲート電極Gに例えばワード線選択電圧が印加され、ソース領域Sに例えばソース線選択電圧が印加され、ドレイン領域Dに例えばビット線選択電圧が印加される。
その結果、トランジスターがオン状態となり、トランジスターのソース領域Sからドレイン領域Dに向けて電流が流れる。その電流によって発生したホットキャリア(電子)がトランジスターの窒化シリコン膜に注入されることにより、窒化シリコン膜に負の電荷が蓄積されるので、トランジスターの閾値電圧が上昇する。このようにして、選択されたメモリーセルMC10にデータ「0」が書き込まれる。
一方、選択されていないメモリーセルにおいては、トランジスターのゲート電極G、ソース領域Sおよびドレイン領域Dのうち、少なくとも2つには選択電圧が印加されないので、ソース領域Sとドレイン領域Dとの間に電流が流れず、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
1.4.2.第1の消去モード
メモリーセルMC10におけるデータの第1の消去モード時には、ワード線駆動回路30は、ワード線WL1を第1の消去モードの選択状態に設定するため、選択されたワード線WL1にワード線選択電圧として、例えば−3.0Vを印加する。一方、非選択のワード線にはワード線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加する。
また、ソース線駆動回路40a、40bは、ソース線SL1を第1の消去モードの選択状態に設定するため、選択されたソース線SL1にソース線選択電圧として、例えば7.5Vを印加する。一方、非選択のソース線にはソース線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
さらに、スイッチ回路50は、ビット線BL0を第1の消去モードの選択状態に設定するため、選択されたビット線BL0にビット線選択電圧として、例えば0Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態を設定する。一方、非選択のビット線にはビット線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。なお、メモリーセルMC10に流れる電流を低減するためには、選択されたビット線BL0をハイインピーダンス状態に設定することが望ましい。
以上により、選択されたメモリーセルMC10において、トランジスターのゲート電極Gに例えばワード線選択電圧が印加され、ソース領域Sに例えばソース線選択電圧が印加され、ドレイン領域Dにビット線選択電圧が印加されるか、または、ハイインピーダンス状態に設定される。
その結果、トランジスターのソース領域Sの電圧に対してゲート電極Gに低い電圧が印加され、それらの差が所定の値を超えることにより、トランジスターの窒化シリコン膜に蓄積されている負の電荷(電子)がソース領域S側に放出されるので、トランジスターの閾値電圧が低下する。このようにして、選択されたメモリーセルMC10のデータが消去状態を表す「1」になる。
一方、選択されていないメモリーセルにおいては、トランジスターのゲート電極G、ソース領域Sおよびドレイン領域Dのうち、少なくとも2つには選択電圧が印加されないので、ソース領域Sの電圧とゲート電極Gの電圧との差が所定の値を超えず、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
1.4.3.第2の消去モード
第2の消去モード時には、図3に示す例において、1ワード分のメモリーセルMC10、MC12、MC14、MC16が選択されている。したがって、第2の消去モード時には、メモリーセルMC10、MC12、MC14、MC16に接続されたワード線WL1、および、全てのソース線が選択される。図3では、選択状態にある配線の符号を枠で囲んでいる。
1ワード分のメモリーセルMC10、MC12、MC14、MC16におけるデータの一括消去時には、ワード線駆動回路30は、ワード線WL1を第2の消去モードの選択状態に設定するため、選択されたワード線WL1にワード線選択電圧として、例えば−3.0Vを印加する。一方、非選択のワード線にはワード線非選択電圧として、例えば1.8Vを印加する。
また、ソース線駆動回路40a、40bは、全てのソース線を第2の消去モードの選択状態に設定するため、全てのソース線にソース線選択電圧として、例えば7.5Vを印加する。
さらに、スイッチ回路50は、全てのビット線をハイインピーダンス状態に設定する。
以上により、選択された1ワード分のメモリーセルMC10、MC12、MC14、MC16において、トランジスターのゲート電極Gに例えばワード線選択電圧が印加され、ソース領域Sに例えばソース線選択電圧が印加され、ドレイン領域Dが例えばハイインピーダンス状態に設定される。
その結果、トランジスターのソース領域Sの電圧よりも低い電圧がゲート電極Gに印加され、それらの差が所定の値を超えることにより、トランジスターの窒化シリコン膜に蓄積されていた負の電荷(電子)がソース領域S側に放出されるので、トランジスターの閾値電圧が低下する。このようにして、選択された1ワード分のメモリーセルMC10、MC12、MC14、MC16のデータが消去状態を表す「1」になる。
一方、非選択のメモリーセルにおいては、トランジスターのソース領域Sにソース線選択電圧が印加されるが、ゲート電極Gおよびドレイン領域Dには選択電圧が印加されない。その結果、トランジスターのソース領域Sの電圧よりも低い電圧がゲート電極Gに印加されても、それらの差が所定の値を超えないので、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
データの書き換え時に、非選択のワード線に基準電源電位VSS(0V)を印加してもよいが、非選択のメモリーセルにおいてトランジスターのソース領域Sにソース線選択電圧、例えば、7.5Vが印加される場合には、メモリーセルが消去状態になり易く、メモリーセルの劣化によって書き換え可能回数が制限されてしまう。
そこで、非選択のワード線に基準電源電位VSSよりも高くワード線選択電圧よりも低い中間的なワード線非選択電圧、例えば、1.8Vを印加することにより、非選択のメモリーセルに過剰な電圧ストレスが加わらないようにすることができる。なお、ワード線非選択電圧は、非選択のメモリーセルにおいてトランジスターがオン状態とならない電圧にする必要がある。
1.4.4.読み出しモード
データの読み出し時には、ワード線駆動回路30は、ワード線WL1を読み出しモードの選択状態に設定するため、選択されたワード線WL1にワード線選択電圧として、例えば1.8Vを印加する。一方、非選択のワード線にはワード線非選択電圧として、例えば0Vを印加するか、または、ハイインピーダンス状態に設定する。
また、ソース線駆動回路40a、40bは、ソース線SL1を読み出しモードの選択状態に設定するため、選択されたソース線SL1にソース線選択電圧として、例えば0Vを印加する。一方、非選択のソース線をハイインピーダンス状態に設定する。
さらに、スイッチ回路50およびセンスアンプ61は、選択されたビット線BL1にビット線選択電圧として、例えば1Vを印加する。一方、非選択のビット線をハイインピーダンス状態に設定する。
これにより、選択されたメモリーセルMC10において、トランジスターのゲート電極Gに例えばワード線選択電圧が印加され、ソース領域Sに例えばソース線選択電圧が印加され、ドレイン領域Dに例えばビット線選択電圧が印加される。
その結果、トランジスターのドレイン領域Dからソース領域Sに向けてドレイン電流が流れる。ドレイン電流の大きさは、トランジスターの窒化シリコン膜に蓄積されている負の電荷の量によって異なるので、センスアンプ61は、ドレイン電流の大きさに基づいてメモリーセルMC10からデータを読み出すことができる。
1.5.ソース領域の分離
ここで、従来の不揮発性記憶装置では、前述したように、隣り合うメモリーセルのソース領域同士が1つのソース領域を共有していた。この場合、この共通のソース領域に接続されたソース線に選択電圧が印加されると、共通のソース領域に電荷が生成、蓄積される。そして、2つのメモリーセルのうち、例えば、ワード線に選択電圧が印加された一方のメモリーセルだけでなく、ワード線に選択電圧が印加されていない他方のメモリーセルにも、電荷が流入し、ゲート領域(窒化シリコン膜)に捕獲されてしまうという現象が生じていた。この現象が、ディスターブの原因の1つであると考えられる。
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、互いに隣り合うメモリーセルMC10(第1メモリーセル)およびメモリーセルMC21(第2メモリーセル)において、第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とが分離されている。そして、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2は、互いに連結線CL1で電気的に接続されている。
図5は、図4に示す不揮発性記憶装置の一部の断面を模式的に示す図である。
図5に示すメモリーセルMC10(第1メモリーセル)は、第1ソース領域S1とソース線SL1とを電気的に接続する第1コンタクト部CNT1を有する。図5に示すメモリーセルMC21(第2メモリーセル)は、第2ソース領域S2とソース線SL1とを電気的に接続する第2コンタクト部CNT2を有する。
例えば、図5に示すソース線SL1に選択電圧が印加され、第1ソース領域S1または第2ソース領域S2の一方に電荷が生成、蓄積されたとしても、他方への電荷の移動が抑制される。このような作用が生じる理由の1つとしては、第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とが連結線CL1を介して電気的に接続されていたとしても、他方のソース領域から電荷が流れ出る先が存在しなければ、一方のソース領域からソース線SL1に流れ出した電荷が、他方のソース領域に流れ込むことなく電源回路20に流れ込む、ということが挙げられる。
また、第1コンタクト部CNT1および第2コンタクト部CNT2の電気抵抗がソース線SL1の電気抵抗より高い場合には、その抵抗の差も、他方への電荷の移動が抑制される理由となる。図5に示すように、第1コンタクト部CNT1および第2コンタクト部CNT2は、それぞれ、例えば10Ω程度の電気抵抗を有している。一方、第1コンタクト部CNT1と第2コンタクト部CNT2とを接続するソース線SL1(連結線CL1)の電気抵抗は、例えば1Ω程度である。このような場合、他方のソース領域への電荷の移動が抑制されやすい。
これらの理由により、選択されていないメモリーセルのゲート領域(窒化シリコン膜)に電荷が捕獲されてしまうという現象が抑制される。その結果、ディスターブが抑制され、選択されていないメモリーセルに記憶されているデータが変化してしまうという問題の発生を抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1は、複数のメモリーセルMCと、複数のワード線WL0、WL1、・・・と、複数のソース線SL0、SL1、・・・と、複数のビット線BL0、BL1、・・・と、配線層である複数の連結線CL0、CL1、・・・と、を備えている。複数のメモリーセルMCは、第1の方向(図1のX軸方向)および第2の方向(図1のY軸方向)に配置されている。複数のワード線WL0、WL1、・・・は、第1の方向に並ぶメモリーセルMCのゲート電極Gにそれぞれ接続されている。複数のソース線SL0、SL1、・・・は、第1の方向および第2の方向と交差する第3の方向に並ぶメモリーセルMCのソース領域Sにそれぞれ接続されている。複数のビット線BL0、BL1、・・・は、第1の方向および第3の方向と交差する方向(第2の方向)に並ぶメモリーセルMCのドレイン領域Dにそれぞれ接続されている。
また、複数のメモリーセルMCは、メモリーセルMC10(第1メモリーセル)と、メモリーセルMC21(第2メモリーセル)と、を含んでいる。このうち、メモリーセルMC10は、第1ゲート電極G1、第1ソース領域S1および第1ドレイン領域D1を有する。また、メモリーセルMC21は、第2ゲート電極G2、第2ソース領域S2および第2ドレイン領域D2を有する。さらに、第1ゲート電極G1および第2ゲート電極G2は、互いに分離され、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2も、互いに分離されている。そして、複数の連結線CL0、CL1、・・・は、第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とを電気的に接続している。
このような構成によれば、選択されていないメモリーセルのゲート領域に電荷が捕獲されてしまうという現象が抑制される。このため、ディスターブが抑制され、選択されていないメモリーセルに記憶されているデータが変化してしまうという問題の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、図4に示すように、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2が、第2の方向(図4のY軸方向)に並んでいる。このため、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセルMC10、MC21を、1本の共通のソース線SL1に接続させることができる。これらのメモリーセルMC10、MC21以外についても、同様である。このような構成により、複数のメモリーセルを高集積化して、単位面積当りの記憶容量を増加させることができる。
一方、本実施形態では、図4に示すように、例えば、メモリーセルMC31とメモリーセルMC21との間で、1つのドレイン領域を共有している。具体的には、メモリーセルMC31は、第3ゲート電極G3、第3ソース領域S3および第3ドレイン領域D3を有する。そして、メモリーセルMC31の第3ドレイン領域D3と、メモリーセルMC21の第2ドレイン領域D2と、が1つのドレイン領域を共有している。これにより、共有していない場合に比べて、メモリーセルMC31およびメモリーセルMC21が占めるレイアウト面積を縮小することができる。これらのメモリーセルMC31、MC21以外についても、同様である。その結果、メモリーセルアレイ10の高集積化が図られ、単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
また、本実施形態では、ビット線BL0、BL1、・・・が接続されているメモリーセルのドレイン領域は、第2の方向(図4のY軸方向)に並んでいる。つまり、本実施形態では、ビット線BL0、BL1、・・・が第2の方向に延在している。これにより、ビット線BL0、BL1、・・・が接続された、図1に示すスイッチ回路50を、メモリーセルアレイ10の片側に集約することができる。その結果、不揮発性記憶装置1の小型化を図ることができる。
さらに、ビット線BL0、BL1、・・・は、第2の方向に延在しているが、連結線CL0、CL1、・・・で接続されたソース領域を有する2つのメモリーセルは、互いに異なるビット線に接続されている。例えば、図4に示すメモリーセルMC10の第1ドレイン領域D1は、ビット線BL0に接続されている。一方、図4に示すメモリーセルMC21の第2ドレイン領域D2は、ビット線BL1に接続されている。このようにして、メモリーセルMC10、MC21でビット線を分けることにより、前述したようにして連結線CL1を介して第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とを電気的に接続した場合でも、選択されていないメモリーセルに接続されたワード線、ソース線およびビット線のうち、2本以上が選択状態になるのを避けることができる。これにより、1つのメモリーセルが選択されたとき、それに隣り合っていて、かつ選択されていないメモリーセルにディスターブが発生するのを抑制することができる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図6は、第2実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図7は、図6に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図6および図7において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
前述した第1実施形態に係る不揮発性記憶装置1では、図2および図4に示すように、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、ソース領域の第2の方向における位置が互いに同じである。そして、図4に示すソース線SL0、SL1、・・・は、全体として第3の方向に延在しているものの、一部が連結線CL0、CL1、・・・と重複しているため、直線状にはならず、ジグザグになっている。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Aでは、図6および図7に示すように、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしている。これにより、ソース領域の第2の方向における位置も互いにずれている。このため、このソース領域に接続されるソース線SL0、SL1、・・・は、図7に示すように、直線状をなし、かつ、連結線CL0、CL1、・・・と重複しない。これにより、ソース線SL0、SL1、・・・をジグザグにしなくて済むため、配置しやすくなり、メモリーセルアレイ10の面積縮小を図ることができる。
一方、本実施形態では、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしているため、ゲート領域の位置も第2の方向にずれることになる。それを踏まえ、本実施形態では、第1実施形態に比べてワード線が追加されている。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図8は、第3実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図9は、図8に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8および図9において、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
前述した第2実施形態に係る不揮発性記憶装置1Aでは、図7に示すように、第2の方向に隣り合うメモリーセルMC20の第1ドレイン領域D1とメモリーセルMC30の第2ドレイン領域D2とで、1つのドレイン領域を共有している。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Bでは、図8および図9に示すように、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、ドレイン領域を分離している。本実施形態では、図8に示す16個のメモリーセルMC00、MC05、・・・のうち、メモリーセルMC00を第1メモリーセルとし、そのY軸方向に隣り合うメモリーセルMC21を第2メモリーセルとする。
メモリーセルMC00(第1メモリーセル)は、第1ゲート電極G1、第1ソース領域S1および第1ドレイン領域D1を有する。
メモリーセルMC21(第2メモリーセル)は、第2ゲート電極G2、第2ソース領域S2および第2ドレイン領域D2を有する。
そして、第1ゲート電極G1および第2ゲート電極G2は、互いに分離されている。同様に、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2も、互いに分離されている。
さらに、本実施形態では、Y軸方向(第2の方向)に並ぶメモリーセルのドレイン領域が互いに分離されている。具体的には、図9に示すように、Y軸方向に隣り合う2つのメモリーセルMC21、MC40に着目する。メモリーセルMC40は、第3ゲート電極G3、第3ソース領域S3および第3ドレイン領域D3を有する。このとき、第2ドレイン領域D2および第3ドレイン領域D33は、図9に示すように、互いに分離されている。
これにより、第2ドレイン領域D2および第3ドレイン領域D3を、互いに異なるビット線BL0、BL1に接続することができる。メモリーセルMC21、MC40以外のメモリーセルについても、これと同様の構成を有している。その結果、ソース線およびビット線の接続を切り替えることにより、各メモリーセルにおいてマルチビット記録を実現することができる。そして、2つのメモリーセルで、ソース領域およびドレイン領域がそれぞれ分離されているため、接続を切り替えても、ディスターブの発生が抑制される。なお、マルチビット記録は、特開2019−117673号公報に基づいて行うことができる。
一方、本実施形態では、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしているため、ゲート領域の位置も第2の方向にずれることになる。それを踏まえ、本実施形態では、第2実施形態に比べてワード線が追加されている。これにより、選択されていないメモリーセルに接続されたワード線、ソース線およびビット線のうち、2本以上が選択状態になるのを避けることができる。
以上のような第3実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図10は、第4実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図11は、図10に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図10および図11において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
前述した第1実施形態に係る不揮発性記憶装置1では、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセル、例えば、図2に示すメモリーセルMC10のソース領域SとメモリーセルMC21のソース領域Sとが、互いに同じソース線SL1に接続されている。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Cでは、図10に示すように、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、接続されているソース線が互いに異なっている。具体的には、例えば、図10に示すメモリーセルMC10のソース領域Sには、ソース線SL1が接続され、メモリーセルMC20のソース領域Sには、ソース線SL2が接続されている。
また、前述した第1実施形態に係る不揮発性記憶装置1では、図2に示すメモリーセルMC10のドレイン領域DとメモリーセルMC21のドレイン領域Dとが、互いに異なるビット線に接続されている。具体的には、メモリーセルMC10のドレイン領域Dは、ビット線BL0に接続され、メモリーセルMC21のドレイン領域Dは、ビット線BL1に接続されている。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Cでは、図10に示すメモリーセルMC00のドレイン領域D、および、メモリーセルMC10のドレイン領域Dは、共通のビット線BL0に接続されている。
以上のように、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、ビット線を共通にした場合、今度はソース線を分けるようにすればよい。これにより、選択されていないメモリーセルに接続されたワード線、ソース線およびビット線のうち、2本以上が選択状態になるのを避けることができる。これにより、1つのメモリーセルが選択されたとき、それに隣り合っていて、かつ選択されていないメモリーセルにディスターブが発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、図11に示す16個のメモリーセルMC00、MC01、・・・のうち、メモリーセルMC11を第1メモリーセルとし、その第3の方向に隣り合うメモリーセルMC20を第2メモリーセルとする。
メモリーセルMC11(第1メモリーセル)は、第1ゲート電極G1、第1ソース領域S1および第1ドレイン領域D1を有する。
メモリーセルMC20(第2メモリーセル)は、第2ゲート電極G2、第2ソース領域S2および第2ドレイン領域D2を有する。
そして、第1ゲート電極G1および第2ゲート電極G2は、互いに分離されている。同様に、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2も、互いに分離されている。
また、第1ソース領域S1と第2ソース領域S2とを電気的に接続する配線層として、第3の方向に延在する連結線CL2が設けられている。この連結線CL2を設けることにより、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2は、互いに分離されているものの、電気的には同電位になっている。
なお、本実施形態では、連結線CL0、CL2、・・・が、ソース線SL0、SL2、・・・の一部と重複している。これにより、ソース線SL0、SL2、・・・は、連結線CL0、CL2、・・・と重複し、斜め方向(第3の方向)に延在する部分と、第2の方向に延在する部分と、を含む。
さらに、本実施形態では、図11に示すように、第1ソース領域S1および第2ソース領域S2が、第3の方向に並んでいる。このため、第3の方向に隣り合う2つのメモリーセルMC20、MC11を、1本の共通のソース線SL2に接続させることができる。これらのメモリーセルMC20、MC11以外についても、同様である。このような構成により、複数のメモリーセルを高集積化して、単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
以上のような第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図12は、第5実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図13は、図12に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図12および図13において、第4実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
前述した第4実施形態に係る不揮発性記憶装置1Cでは、図10および図11に示すように、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、ソース領域の第2の方向における位置が互いに同じである。そして、図11に示すソース線SL0、SL1、・・・は、全体として第3の方向に延在しているものの、直線状にはならず、ジグザグになっている。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Dでは、図12および図13に示すように、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしている。これにより、ソース領域の第2の方向における位置も互いにずれている。このため、このソース領域に接続されるソース線SL0、SL1、・・・は、図13に示すように、直線状をなしている。これにより、ソース線SL0、SL1、・・・をジグザグにしなくて済むため、配置しやすくなり、メモリーセルアレイ10の面積縮小を図ることができる。
一方、本実施形態では、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしているため、ゲート領域の位置も第2の方向にずれることになる。それを踏まえ、本実施形態では、第4実施形態に比べてワード線が追加されている。
以上のような第5実施形態においても、第4実施形態と同様の効果が得られる。
6.第6実施形態
次に、第6実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図14は、第6実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図15は、図14に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第6実施形態について説明するが、以下の説明では、第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図14および図15において、第5実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
前述した第5実施形態に係る不揮発性記憶装置1Dでは、図12に示すように、第2の方向に隣り合うメモリーセルMC30のドレイン領域DとメモリーセルMC20のドレイン領域Dとで、1つのドレイン領域を共有している。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Eでは、図14および図15に示すように、第2の方向に隣り合う2つのメモリーセルMC20、MC40で、ドレイン領域を分離している。メモリーセルMC20、MC40以外のメモリーセルについても、これと同様の構成を有している。その結果、ソース線およびビット線の接続を切り替えることにより、各メモリーセルにおいてマルチビット記録を実現することができる。そして、2つのメモリーセルで、ソース領域およびドレイン領域がそれぞれ分離されているため、接続を切り替えても、ディスターブの発生が抑制される。
一方、本実施形態では、第1の方向に隣り合う2つのメモリーセルで、その第2の方向における位置を互いにずらしているため、ゲート領域の位置も第2の方向にずれることになる。それを踏まえ、本実施形態では、第5実施形態に比べてワード線が追加されている。これにより、選択されていないメモリーセルに接続されたワード線、ソース線およびビット線のうち、2本以上が選択状態になるのを避けることができる。
以上のような第6実施形態においても、第5実施形態と同様の効果が得られる。
7.第7実施形態
次に、第7実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
図16は、第7実施形態に係る不揮発性記憶装置におけるメモリーセルと配線との接続状態を示す回路図である。図17は、図16に示す不揮発性記憶装置におけるメモリーセルアレイのレイアウト図である。
以下、第7実施形態について説明するが、以下の説明では、第6実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図16および図17において、第6実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
本実施形態に係る不揮発性記憶装置1Fでは、図16および図17に示すように、複数のビット線BL0、BL1、・・・が、第1の方向、第2の方向および第3の方向と交差する第4の方向に延在している。したがって、図16および図17では、ビット線BL0、BL1、・・・が接続されているメモリーセルのドレイン領域は、第4の方向に並んでいる。なお、本実施形態に係る第4の方向は、第1の方向に対して45°の角度をなす方向とする。第4の方向は、第1の方向、第2の方向および第3の方向のいずれとも交差する方向であればよく、したがって、第1の方向に対する第3の方向の角度はこれに限定されない。
このような構成によれば、ソース線SL0、SL1、・・・およびビット線BL0、BL1、・・・が、それぞれ第1の方向と第2の方向の双方に交差する方向に延在している。そして、ソース線SL0、SL1、・・・が延在する第3の方向、および、ビット線BL0、BL1、・・・が延在する第4の方向を、第2の方向について線対称の関係を満たすように構成することで、ソース線SL0、SL1、・・・およびビット線BL0、BL1、・・・は、互いに対称性を有するものとなる。これにより、双方の電気抵抗のばらつきを小さくすることができる。その結果、マルチビット記録を行う際、ソース線とビット線とで接続を切り替えても、動作特性のばらつきを抑えることができる。
また、本実施形態では、ビット線BL0、BL1、・・・が第4の方向に延在しているため、ソース線駆動回路40a、40bだけでなく、図1に示すスイッチ回路50についても、メモリーセルアレイ10の両側に分離して配置する必要がある。したがって、本実施形態では、図示しないものの、メモリーセルアレイ10の上下に分離してスイッチ回路を配置するようにすればよい。その場合、ソース線およびビット線の対称性が高くなることで、メモリーセルアレイ10の周辺に設けられる各種回路についても、ソース線側とビット線側とで回路構成も同等にすることができる。その結果、回路の動作特性のばらつきも抑えることができる。
以上のような第7実施形態においても、第6実施形態と同様の効果が得られる。
8.電子機器
次に、実施形態に係る電子機器について説明する。
図18は、実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。
図18に示す電子機器1000は、実施形態に係る半導体集積回路装置100と、操作部150と、通信部160と、表示部170と、音声出力部180と、を含んでいる。
半導体集積回路装置100は、プロセッサーであるCPU110と、前記実施形態に係る不揮発性記憶装置1と、ROM130(Read Only Memory)と、RAM140(Random Access Memory)と、を内蔵している。なお、図18に示す構成要素の一部を省略または変更してもよいし、あるいは、図18に示す構成要素に他の構成要素が付加されていてもよい。
CPU110は、不揮発性記憶装置1またはROM130に記憶されているプログラムにしたがって、不揮発性記憶装置1等から供給されるデータ等を用いて各種の演算処理や制御処理を行う。例えば、CPU110は、操作部150から供給される操作信号に応じて各種のデータ処理を行ったり、外部との間でデータ通信を行うために通信部160を制御したり、表示部170に各種の画像を表示させるための画像信号を生成したり、音声出力部180に各種の音声を出力させるための音声信号を生成したりする。
不揮発性記憶装置1およびROM130は、CPU110が各種の演算処理や制御処理を行うためのプログラムまたはデータ等を記憶している。また、RAM140は、CPU110の作業領域として用いられ、不揮発性記憶装置1またはROM130から読み出されたプログラムやデータ、操作部150を用いて入力されたデータ、または、CPU110がプログラムにしたがって実行した演算結果等を一時的に記憶する。
操作部150は、例えば、操作キーやボタンスイッチ等を含む入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU110に出力する。通信部160は、例えば、アナログ回路およびデジタル回路で構成され、CPU110と外部装置との間のデータ通信を行う。表示部170は、例えば、表示ドライバー回路およびLCD(液晶表示装置)等を含み、CPU110から供給される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。また、音声出力部180は、例えば、音声回路およびスピーカー等を含み、CPU110から供給される音声信号に基づいて音声を出力する。
このような電子機器1000としては、例えば、スマートカード、電卓、電子辞書、電子ゲーム機器、携帯電話機等の移動端末、デジタルスチルカメラ、デジタルムービー、テレビ、テレビ電話、防犯用テレビモニター、ヘッドマウント・ディスプレイ、パーソナルコンピューター、プリンター、ネットワーク機器、カーナビゲーション装置、測定機器、医療機器等が挙げられる。このうち、医療機器としては、例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等が挙げられる。
本実施形態によれば、1ビット単位で短時間にデータを書き換えることができ、選択されていないメモリーセルにおけるデータの変化が抑制された不揮発性記憶装置1を用いて、高速動作が可能で信頼性が高い半導体集積回路装置100または電子機器1000を提供することができる。
以上、本発明の不揮発性記憶装置、半導体集積回路装置および電子機器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の不揮発性記憶装置、半導体集積回路装置および電子機器は、前記実施形態の各部の構成を、同様の機能を有する任意の構成に置換したものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。