JP2021135378A - クリーニングブレード及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、永久変形がなく、連続印刷時のクリーニング性能及び耐摩耗性に優れたクリーニングブレード及びそれを有する画像形成装置を提供することである。【解決手段】本発明のクリーニングブレードは、像担持体の表面から付着物を除去するクリーニングブレードであって、弾性を有するとともに、前記像担持体の表面に当接するエッジ部を有する板状部材を具備し、少なくとも、前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、クリーニングブレード及び画像形成装置に関し、より詳しくは、永久変形がなく、連続印刷時のクリーニング性能及び耐摩耗性に優れたクリーニングブレード等に関する。
ウレタンゴムは、耐摩耗性に優れるゴム材として知られており、相手材表面の清掃や異物除去等のために摩擦・摺動させて用いるクリーニングブレードとしての用途で利用されている。例えば、電子写真印刷方式において、転写残トナーを除去するクリーニング工程においては、板状のウレタンゴム部材のエッジを対象部材に当接させてトナーを掻き落とす方法が広く採用されている。
電子写真印刷機などにおいては、ユニットの高耐久化などのニーズが年々高まっており、クリーニングブレードに対しては、さらなる摩耗の低減が求められている。摩耗が進行することにより、部材のクリーニング機能が低下し、クリーニングの信頼性が低下してしまうためである。
一般的には、ゴム部材の架橋密度を増やすことにより強度(硬度や弾性)を高めることが摩耗に有利と考えられているが、クリーニングブレードとしての用途においては、架橋密度を増やしても摩耗低減の効果は必ずしも得られず、逆に悪化する場合があることが判明した。
上記問題に対し、ブレード摩耗低減手段として、ダイヤモンドライクカーボン膜(以下、「DLC膜」ともいう。)を適用した画像形成装置用摺擦部材(以下、「クリーニングブレード」ともいう。)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1によれば、sp3結合(ダイヤモンド型)構造を有する炭素を含む炭素含有領域を被接触部材との接触側を有する基材に形成する構成とすることにより、当該炭素含有領域が超高硬度であることと、sp2結合(グラファイト型構造・層状構造)に由来する滑り性を合わせ持つため、耐摩耗性に優れているとされている。
しかしながら、クリーニング工程において、クリーニングブレードのエッジ部が引き込まれた姿勢において、DLC膜が永久変形し、元の形状に復元しなくなることが生じる。すなわち、DLC膜は超高硬度であるため、相対的に柔軟なゴム等で構成されている基材との伸縮性の差異が大きくなり、両者の界面に応力が集中することになる。さらに、DLC膜はsp2結合に由来する延展性も併せ持つため、応力による変形を受けた際には、特に、エッジ部における形状復元性が低下して、エッジ部の形状が復元しない永久変形が生じる。この永久変形が発生した結果、ニップ幅が増大し、ニップ部の面圧が低下するため、トナーのすり抜けが発生し、トナーの拭き残しが発生する。
特許文献1においては、DLC膜とゴム基材の境界領域にsp3炭素を、濃度傾斜をつけて注入することについて言及されている。しかし、特に、高速化及び長寿命化が求められるハイエンド向けの画像形成装置においては、永久変形抑制の改善効果としては不十分であった。
特開2016−090974号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、板状部材上にフッ素元素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜を有し、永久変形がなく、連続印刷時のクリーニング性能及び耐摩耗性に優れたクリーニングブレードと、それを具備した画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、弾性を有する板状部材の前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜を有するクリーニングブレードにより、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦力が低減し、ブレードの引き込み量が小さくなることにより、永久変形がなく、連続印刷時のクリーニング性能及び耐摩耗性に優れたクリーニングブレードを実現することができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
1.像担持体の表面から付着物を除去するクリーニングブレードであって、
弾性を有するとともに、前記像担持体の表面に当接するエッジ部を有する板状部材を具備し、
少なくとも、前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜を有し、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とするクリーニングブレード。
2.前記ダイヤモンドライクカーボン膜のフッ素元素濃度が、膜厚方向で階段状又は連続的に変化し、当該ダイヤモンドカーボン膜の前記板状部材との界面領域に対し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記像担持体との接触部のフッ素元素濃度が高いことを特徴とする第1項に記載のクリーニングブレード。
3.前記ダイヤモンドライクカーボン膜の前記像担持体との接触部におけるフッ素元素濃度が、5〜50atm%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のクレーニングブレード。
4.前記ダイヤモンドライクカーボン膜の膜厚が、1.0〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のクレーニングブレード。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のクリーニングブレードを具備したことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、板状部材上にフッ素元素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜を有し、永久変形がなく、連続印刷時のクリーニング性能及び耐摩耗性に優れたクリーニングブレード等を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来、クリーニングブレードの摩耗低減手段として、板状部材、例えば、ウレタンゴム上にDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)を形成する方法が、特許文献1等に開示されている。
ここで適用されているDLC膜は、sp3結合(ダイヤモンド型)構造を有するため超高硬度であることと、sp2結合(グラファイト型構造・層状構造)に由来する滑り性を合わせ持つため、耐摩耗性に優れている。
しかしながら、DLC膜を有するクリーニングブレードを電子写真用の画像形成装置に適用した場合、クリーニングブレードが引き込まれた姿勢において、DLC膜が永久変形し、元の形状に復元しなくなる現象が生じ、その結果、クリーニング不良が発生する。
DLC膜は超高度であるが、sp2結合に由来する延展性も併せ持つため、応力による変形に対して形状復元性を有する。しかし、DLC膜と柔軟なウレタンゴム基板の伸縮性との間には差異があり、ブレードの引き込み量が大きくなりすぎると、ウレタンゴム基板の変形に対してDLC膜の形状復元性が追従できず、永久変形してしまう。ブレードの永久変形が発生すると、ニップ幅が増大し、ニップ部の面圧が低下するため、トナーのすり抜けが発生する。
特許文献1に記載の発明では、DLCとウレタンゴム基板の境界領域にsp3炭素を、濃度傾斜をつけて注入する方法が開示されている。しかしながら、特に高線速・長寿命の求められるハイエンドモデルにおいては永久変形抑制の効果が不十分であった。
本発明では、上記問題に対し、像担持体と接触するクリーニングブレードの表面に、膜中に低表面エネルギーのフッ素元素を含有するダイヤモンドライクカーボン膜を形成することにより、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦力が低減し、クリーニングブレードの引き込み量が小さくなるので、永久変形が抑えられる。
加えて、本発明のクリーニングブレードを電子写真用の画像形成装置に適用することにより、クリーニングブレード特有の相乗効果も発現する。
図1は、フッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの外添剤粒子の整流効果の一例を示す模式図である。
図1で示すクリーニング工程において、本発明のフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレード1を画像形成装置に適用すると、トナー6から離脱してクリーニングブレード1のニップ部Nの上流側に堆積した外添剤粒子7による静止層が形成され、蓄積した当該外添剤粒子7がエッジ部Eでクリーニングブレード1の表面に形成されているフッ素元素を含有するDLC膜3から排出されて、ブレードニップ部Nを通過し、本発明のクリーニングブレード1と像担持体5(感光体)間の摩擦力が低減することにより、先端引き込み量が低減するため、永久変形や摩耗がより抑えられる。特に、DLC膜3が疎水性材料であるため、外添剤粒子7が付着しにくいため、上記の外添剤粒子の整流作用に優れた効果を発揮し、連続印刷時の拭き残しが低減し、クリーニング性能が向上する。
フッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの外添剤粒子の整流効果の一例を示す模式図 板状部材表面に、均一濃度でフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図(実施形態1) 板状部材表面に、階段状にフッ素元素が変化する構成のDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図(実施形態2) 板状部材表面に、連続的にフッ素元素が変化する構成のDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図(実施形態3) 本発明の画像形成装置の構成の一例を模式的に示す図 実施例の評価における摩耗幅を説明するための模式図 実施例の評価における永久変形幅を説明するための模式図
本発明のクリーニングブレードは、像担持体の表面から付着物を除去するクリーニングブレードであって、弾性を有するとともに、前記像担持体の表面に当接するエッジ部を有する板状部材を具備し、少なくとも、前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記ダイヤモンドライクカーボン膜のフッ素元素濃度が、膜厚方向で階段状又は連続的に変化し、当該ダイヤモンドカーボン膜の前記板状部材との界面領域に対し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記像担持体との接触部のフッ素元素濃度が高い構成であることが好ましい。
また、本発明においては、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の前記像担持体との接触面におけるフッ素元素濃度が、5〜50atm%の範囲内であることが、摩擦力の低減及び耐摩耗性の観点から好ましい形態である。
また、本発明においては、ダイヤモンドライクカーボン膜の膜厚が、1.0〜2.0μmの範囲内であることが、生産性を適正化することができる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《クリーニングブレードの概要》
本発明の像担持体の表面から付着物を除去する機能を有するクリーニングブレードは、弾性を有するとともに、前記像担持体の表面に当接するエッジ部を有する板状部材を具備し、少なくとも、前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とする。
本発明でいう「エッジ部の上流側」とは、図2の4で示すようにクリーニングブレードのエッジ部Eから短尺幅方向をいう。
〔実施形態1:均一フッ素元素濃度構成のDLC膜〕
はじめに、膜厚方向(以下、層厚方向ともいう。)でフッ素元素を均一濃度で含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの構成である実施形態1について説明する。
図2は、板状部材表面に、均一濃度でフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図である。
図2の(a)で示すクリーニングブレード1は、板状部材2のエッジ部Eから上流部4及び下流部の両領域に、連続している帯状膜であるDLC膜3を有する構成である。本発明でいうエッジ部Eとは、像担持体5の表面に当接するクリーニングブレード1の端部をいう。
本発明においては、当該DLC膜が少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とする。さらには、DLC膜の像担持体との接触面(エッジ部)におけるフッ素元素濃度が、5〜50atm%の範囲内であることが好ましい。すなわち、DLC膜中のフッ素元素による摩擦力低減効果は、フッ素元素濃度が高くなるほどその効果は大きくなり、所望の摩擦力低減効果を得るためには、フッ素元素濃度として、5atm%以上が必要である。一方、フッ素元素濃度が50atm%以下であれば、DLC膜の耐摩耗性の低下を防止し、強靭な膜とすることができる点で好ましい。
また、DLC膜の膜厚(以下、層厚ともいう。)は、1.0〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。詳しくは、長時間にわたるクリーニング操作においては、DLC膜もわずかではあるが摩耗が生じるため、1.0μm以上であることが耐久性の観点から好ましい。また、2.0μm以下とすることが、DLC膜の成膜時間を過度に長くすることなく、製造コストの点で好ましい。
図2の(b)では、膜厚方向でフッ素元素を均一濃度で含有するDLC膜におけるフッ素元素濃度プロファイルを示してある。図2の(b)で示すフッ素元素濃度プロファイルは、図2の(a)に記載のDLC膜3のA−A´切断面におけるフッ素元素濃度を示してある。
図2の(b)で示すフッ素元素濃度グラフでは、縦軸にフッ素元素濃度(atm%)を、横軸にDLC膜の表面側から、板状部材2の表面部における膜厚(μm)を記載し、DLC膜の膜厚方向におけるフッ素元素濃度をプロットしており、図2の(b)では、DLC膜の全層において、均一のフッ素元素濃度を有している構成(実施形態1)を示してある。この時、フッ素元素濃度としては、5〜50atm%の範囲内で制御する。
本発明において、DLC膜の膜厚方向におけるフッ素元素濃度の測定は、特に制限はないが、従来公知の元素分析方法を適用することができる。本発明においては、DLC膜の膜厚方向におけるフッ素元素濃度は、X線光電子分光装置「K−Alpha」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、膜厚方向に選択元素としてフッ素、炭素、酸素を定量分析したときのフッ素の測定量である。
また、本発明において、DLC膜の膜厚は、クリーニングブレードのエッジ部先端部に形成されているDLC膜の断面をレーザー顕微鏡にて観察して測定することで求まることができる。
本発明のクリーニングブレードの具体的な製造方法の詳細については後述する。
本発明においては、ダイヤモンドライクカーボン膜のフッ素元素濃度が、膜厚方向で階段状又は連続的に変化し、当該ダイヤモンドカーボン膜の前記板状部材との界面領域に対し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記像担持体との接触部のフッ素元素濃度が高いことが好ましい形態である。
本発明でいう「ダイヤモンドカーボン膜の前記板状部材との界面領域におけるフッ素元素濃度」とは、ダイヤモンドカーボン膜の板状部材に接する面側のフッ素元素濃度をいい、例えば、後述の図3で示すような階段状の構成では、DLC膜の最も板状部材側に位置しているDLC膜3Aにおけるフッ素元素濃度といい、図4で示すような連続的にフッ素元素濃度が変化する構成では、DLC膜3Dの板状部材と接触する面から、層厚の10%までの領域におけるフッ素元素濃度という。
また、ダイヤモンドライクカーボン膜と像担持体との接触部におけるフッ素元素濃度とは、例えば、後述の図3で示すような階段状の構成では、DLC膜の最も表面側に位置しているDLC膜3Cにおけるフッ素元素濃度といい、図4で示すような連続的にフッ素元素濃度が変化する構成では、DLC膜3Dの像担持体との接触部(エッジ部)から、層厚の10%までの領域におけるフッ素元素濃度という。
本発明に係るダイヤモンドライクカーボン膜は、主には、蒸着法、より具体的には、プラズマCVD法で形成することが好ましいが、当該プラズマCVD法においては、プラズマ中に運動エネルギーが大きいCFイオン濃度が高いと、エッチング効果により、板状部材の構成材料、例えば、ウレタンゴムのウレタン結合を切断してしまう。ウレタン結合が切断されると、ウレタンゴムの復元性が損なわれるため永久変形が大きくなる。クリーニングブレードと像担持体の摩擦力をより小さくするにはDLC膜中のフッ素元素濃度を高くすることが有効であるが、プラズマCVD法におけるDLC膜形成の初期はCFイオンが多く発生しないように原料のフルオロカーボンガス濃度を低く設定する必要がある。したがって、像担持体との接触面の膜中のフッ素元素濃度を5%よりも大きくするには、ウレタンゴム界面の膜中のフッ素元素濃度5%以下に抑制し、階段状又は連続的にフッ素元素濃度を変化させ、像担持体との接触面(クリーニングブレードの表面部)に近い程フッ素元素濃度を大きくさせることが必要となる。
〔実施形態2:階段状にフッ素元素濃度が変化する構成のDLC膜〕
図3は、階段状にフッ素元素が変化する構成のDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図である。
図3の(a)に示すクリーニングブレード1においては、板状基板2のエッジ部E、上流側及び下流側に、フッ素元素濃度が相対的に低い第1のDLC膜3Cを形成し、次いで、その上に、フッ素元素濃度が第1のDLC膜3Cより高い第2のDLC膜3Bを積層し、最表層に、フッ素元素濃度が最も高い第3のDLC膜3Aを積層して、板状基板2界面からDLC膜表面領域に対し、フッ素元素濃度が階段状に変化する構成を有するDLC膜3を形成することができる。
フッ素元素濃度が異なるDLC膜の形成方法については、例えば、蒸着法(例えば、プラズマCVD法)で形成する際のDLC膜形成用ガス、例えば、メタンガスと、フッ素元素供給用ガス、例えば、フッ化メタンガスの流量比(混合比)を適宜選択して、それぞれバッチ方式で、順次形成することにより得ることができる。
図3の(b)は、膜厚方向で階段上にフッ素元素濃度が異なるDLC膜3A〜3Cにおけるフッ素元素濃度プロファイルを示してある。図3の(b)で示すフッ素元素濃度プロファイルは、図3の(a)に記載のDLC膜3のA−A´切断面におけるフッ素元素濃度を示してある。
図3の(b)で示すフッ素元素濃度グラフでは、図2の(b)と同様に、縦軸にフッ素元素濃度(atm%)を、横軸にDLC膜の表面側から、板状部材2の表面部における膜厚(μm)を記載し、DLC膜を構成している第1のDLC膜3A、第2のDLC膜3B及び第3のDLC膜3Cの膜厚方向におけるフッ素元素濃度をプロットしており、図3の(b)では、上記のように、板状基板2界面からDLC膜表面領域に対し、フッ素元素濃度がDLC膜3A、3B及び3Cの順に低くなる構成を示してある。
この時、板状基板2界面に形成されている第1のDLC膜のフッ素元素濃度としては、DLC膜形成時のCFイオンのエッチング効果により、板状基板を構成するウレタンゴムのウレタン結合が切断され、永久変形が大きくなるのを防止する観点から、5atm%未満として成膜することが好ましい。
一方、最表層を構成し、像担持体と接触する第3のDLC膜のフッ素元素濃度としては、クリーニングブレードと像担持体との摩擦力を極力小さくする観点から、フッ素元素濃度として高濃度に設定することが好ましく、具体的には、5〜50atm%の範囲内とすることが好ましい。
〔実施形態3:膜厚方向で連続的にフッ素元素濃度が変化する構成のDLC膜〕
図4は、膜厚方向で連続的にフッ素元素が変化する構成(グラジエント構造)のDLC膜を有するクリーニングブレードの構成の一例を示す概略図である。
図4の(a)に示すクリーニングブレード1においては、板状基板2のエッジ部E、上流側及び下流側に、フッ素元素濃度が膜内で連続的に変化する特性を有するDLC膜3Dが形成されている。
フッ素元素濃度が異なるDLC膜の形成方法については、例えば、蒸着法(例えば、プラズマCVD法)で形成する際のDLC膜形成用ガス、例えば、メタンガスと、フッ素元素供給用ガス、例えば、フッ化メタンガスの流量比(混合比)を、連続して所望の条件で変化させて成膜することに形成することができる。
図4の(b)は、膜厚方向で連続的にフッ素元素濃度が変化するDLC膜3Dにおけるフッ素元素濃度プロファイルを示してある。図4の(b)で示すフッ素元素濃度プロファイルは、図4の(a)に記載のDLC膜3のA−A´切断面におけるフッ素元素濃度を示してある。
図4の(b)で示すフッ素元素濃度グラフでは、図2の(b)と同様に、縦軸にフッ素元素濃度(atm%)を、横軸にDLC膜の表面側から、板状部材2の表面部における膜厚(μm)を記載し、DLC膜3Dの板状基板2界面におけるフッ素元素濃度としては、DLC膜形成時のCFイオンのエッチング効果により、板状基板を構成するウレタンゴムのウレタン結合が切断され、永久変形が大きくなるのを防止する観点から、5atm%未満として成膜することが好ましい。
一方、最表層近傍領域においては、像担持体と接触するDLC膜3Dのフッ素元素濃度としては、クリーニングブレードと像担持体との摩擦力を極力小さくする観点から、フッ素元素濃度として高濃度に設定することが好ましく、具体的には、5〜50atm%の範囲内とすることが好ましい。
《クリーニングブレードの構成材料》
本発明のクリーニングブレードは、弾性を有する板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、DLC膜を有し、前記DLC膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とする。
以下、本発明のクリーニングブレードの各構成材料の詳細について説明する。
〔板状部材〕
本発明に係る板状部材には、電子写真方式の画像形成装置において、クリーニングブレードに用いられる公知の部材を適用することが可能である。
本発明に適用可能な板状部材は、例えば、像担持体の表面の軸方向(幅手方向)における長さを有する直方体形状のゴム製の板であってよく、板状部材のエッジ部は、長手方向における一側縁であってよい。
本発明のクリーニングブレードを構成する板状部材の材料としては、ゴムであることが好ましい。ブレードクリーニングにおいて、板状部材としては、クリーニングニップ部で像担持体の表面の凹凸に追随して密着するための柔軟性を有することが好ましく、また擦過による摩耗を低減するために、適度な強度を有することが好ましい。従って、板状部材の材料としてゴム材料を選択することが、板状部材として柔軟性と強度とを両立することができる点で好ましい。
本発明に係る板状部材の硬度は、JIS−Aの硬度として60〜80度の範囲内であることが好ましく、65〜75度の範囲内であることがより好ましい。上記硬度が低すぎると、板状部材の変形量が大きくなり、塑性変形を生じやすくなるリスクがある。また、硬度が高すぎる場合、柔軟性が低下するため、像担持体に対する追従性が不足し、クリーニング性が悪化するリスクがある。
また、本発明に係る板状部材の反発弾性は、25℃で測定された反発弾性係数で、10〜80%の範囲内であることが好ましく、20〜60%の範囲内であることがより好ましい。反発弾性係数が低すぎる場合、板状部材の形状復元性が不足し、塑性変形が発生しやすくなる場合がある。また、高すぎる場合、クリーニングブレードが振動しやすくなり、塑性変形が発生しやすくなる場合がある。
本発明に係る板状部材において、上記硬度及び反発弾性は、それぞれ、板状部材の材料の構成比率や材料の種類、分子量などを制御することにより、所望特性値を得ることができる。
本発明に係る板状部材を構成する材料としては、エッジ部の寸法精度及びその強度の観点から、ポリウレタンゴムであることが好ましい。
当該ポリウレタンゴム製の板状部材は、公知の技術で作製することが可能である。例えば、ポリウレタンゴム製の板状部材は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いてポリウレタンプレポリマーを調製し、当該ポリウレタンプレポリマーに硬化剤、及び必要に応じて硬化触媒、を加えて、所定の型内にて上記ポリウレタンプレポリマーを架橋させ、炉内にて後架橋させ、遠心成型によりシート状に成型し、得られたシートを常温で放置して熟成し、所定の寸法で平板状に裁断することにより、板状部材を製造することができる。
上記ポリオール化合物は、一種でもそれ以上でもよく、目的に応じて適宜選択することができ、その例には、高分子量ポリオール及び低分子量ポリオール等を挙げることができる。
上記高分子量ポリオールの例としては、アルキレングリコールとアジピン酸などの脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール、及び、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール及びポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオール、が含まれる。上記アルキレングリコールの例には、エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、及びエチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオール等を挙げることができる。
上記低分子量ポリオールの例としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタンなどの二価アルコール、及び、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価又はそれ以上の多価アルコール等を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート化合物は、一種でもそれ以上でもよく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等を挙げることができる。
上記硬化触媒は、一種でもそれ以上でもよく、目的に応じて適宜選択することができ、その例には、2−メチルイミダゾール及び1,2−ジメチルイミダゾール等を挙げることができる。
上記硬化触媒の含有量は、目的に応じて適宜選択することができ、0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.3質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明おいて、エッジ部は、上記板状部材の断面形状において外側に突出する部分であり、像担持体の表面に当接させる部分である。上記エッジ部は、像担持体の軸方向における表面の全長に十分に当接する長さを有していればよく、例えば、板状部材の長手方向を横断する断面の形状における角(一側縁)とすることができる。
〔ダイヤモンドライクカーボン膜:DLC膜〕
本発明に係るDLC膜は、ダイヤモンドとグラファイト(黒鉛)の両方の炭素−炭素結合を併せ持つ炭素を主成分とした物質で作られた薄膜である。本発明に係るDLC膜は、は、板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に形成され、少なくとも像担持体との接触部(エッジ部)にフッ素元素を含有することを特徴とする。
本発明に係るDLC膜の好ましい形態の一つとしては、端縁の位置が、エッジ部から10〜100μmの位置であることが好ましい。上記エッジ部からの上記端縁の位置が100μm以上であれば、像担持体のブレードクリーニング時における静止層中の大半の粒子が摩擦力の低いDLC膜に接触することになるため、静止層におけるトナー粒子の対流が生じやすくなり、トナー粒子からの外添剤粒子の離脱が十分となる。
また、エッジ部からのDLC膜端縁の位置が10μm以上であれば、像担持体のブレードクリーニング時にクリーニングブレードが異物の噛み込みなどでクリーニングニップ部に突発的に大きく引き込まれることを防止し、長期耐久でDLC膜がわずかに摩耗することを防止でき、上記端縁を起点とするDLC膜の剥がれを防止し、クリーニングブレードの摩耗が急速に進行することを防ぐことができる。
DLC膜は、比較的厚い場合においても、クリーニングブレードとしてのブレードクリーニング効果に問題なく使用することができる。DLC膜の厚さは、1.0〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。DLC膜の厚さが1.0μm以上であることが、長期使用に伴うDLC膜の摩耗及びそれに伴うDLC膜の剥離を抑制する観点から好ましい。また、2.0μm以下であれば、上記クリーニングニップ部における長期使用に伴う塑性変形によりクリーニングニップ部の接触面積が増加することによるクリーニング性の低下を抑制する観点からより好ましい。DLC膜の厚さは、例えば、後述のDLC膜を成膜する際の成膜時間により調整することが可能である。
(DLC膜へのフッ素元素の導入)
本発明に係るDLC膜においては、像担持体との接触部(エッジ部)にフッ素元素を含有することを特徴とする。
本発明において、DLC膜にフッ素元素を導入する方法としては、例えば、蒸着法(例えば、CVD法)により、DLC膜形成用ガス、例えば、メタンガスと、フッ素元素供給用ガス、例えば、フッ化メタンガスの流量比(混合比)を適宜選択して、前記図2〜図4に記載のプロファイルを有するフッ素元素を含有するDLC膜を形成することができる。
例えば、CVD法によりフッ素元素を導入する場合には、特開平6−9803号公報に記載のように、真空雰囲気において13〜130Paで、DLC膜形成用ガスとフッ素元素供給用ガスの存在下で、0.5〜2.5kVの直流電圧を印加することにより生成されるプラズマを、板状基板であるウレタンゴムの表面に照射することにより、ウレタンゴムの表面に、フッ素元素を含有するDLC膜を形成することができる。
フッ素元素供給用ガスとしては、CF、NF、SF、C、Cなどのフッ素化合物を用い、これらのガスをプラズマ化してフッ素元素を含有するDLC膜を形成することができる。
(DLC膜の形成方法)
本発明に係るフッ素元素を含有するDLC膜は、公知の薄膜形成方法により成膜することが可能である。DLC膜の具体的な成膜方法としては、例えば、主に固体カーボンを原料とし、物理的手法により薄膜を堆積させるPVD法(物理気相成長法)と、主にDLC膜形成用ガス、例えば、メタンガスと、フッ素元素供給用ガス、例えば、フッ化メタンガスを原料とし、化学反応により薄膜を堆積させるCVD法(化学気相成長法)とが含まれる。
PVD法の例には、UBMS法(アンバランスドマグネトロンスパッタリング法)などのスパッタリング法、FCVA法(フィルター型カソーディック真空アーク法)などのアークイオンプレーティング法、及びイオン化蒸着法等が挙げられる。CVD法の例には、原料ガスをプラズマ化し、生成したプラズマイオンを基材、例えば、板状部材上へ電圧印加により堆積させるプラズマCVD法、が含まれる。上記DLC膜の成膜方法は、ゴム製の板状部材の耐熱温度以下の温度で成膜できる方法が好ましい観点、膜厚の均一性の観点、及び板状部材であるゴム材への密着性の観点から、プラズマCVD法であることが好ましい。
本発明において、DLC膜の成膜方法は、プラズマCVD法の中でも、特に、特開2001−026887号公報に開示されているような、高周波、高電圧パルス重畳型方式のプラズマCVD法であることが好ましい。
本発明において、DLC膜の形成にプラズマCVD法と適用することは、クリーニングブレードにおけるエッジ部の永久変形を効果的に抑制することができる点で好ましい。すなわち、プラズマCVD法を適用することが、形成されるDLC膜の材料組成として水素原子の含有率が高いものとなり板状部材であるウレタンゴム基材とDLC膜との親和性がPVD法で生膜したより高くなるため、永久変形の抑制効果が顕著に発現する。
一般に、プラズマCVD法においては、DLC膜形成用ガスとフッ素元素供給用ガスをプラズマ化する工程と、発生したプラズマイオンをサンプルに誘引して堆積させる工程と、を含み、これら2つの工程は別々の電極を用いて離れた場所で行われる。
これに対して、上記の高周波、高電圧パルス重畳型のプラズマCVD法は、プラズマ発生のための電圧を直接サンプル(板状部材)に印加し、サンプル自身がプラズマ発生用電極を兼ね備えることを特徴とする。これにより、板状部材近傍においてより高い密度のプラズマを生成することができるため、膜厚が不均一となりやすいエッジ部への成膜においても、より均一な膜を生成することができる点で好ましい。
具体的な成膜方法を以下に示すが、これらは一例であり、ここで説明する方法に限定されるものではない。
例えば、プラズマ発生用高周波電源と、高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の板状部材に接続しておき、チャンバー内に成膜用ガスを導入する。上記プラズマ発生用高周波電源から板状部材に高周波パルス(パルスRF電圧)を印加し、板状部材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させる。そして、そのプラズマ中又はアフターグロープラズマ中に、高電圧パルス発生用電源から板状部材に負の高電圧パルス(DCパルス電圧)を少なくとも1回印加し、プラズマイオンを板状部材の表面の所望の部分に誘引して付着させる。これら高周波パルスの印加と負の高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、上記所望の部分にDLC膜を堆積する。成膜用ガスには、トルエンガス又はアセチレンガスが好適に用いられる。
また、上記高周波、高電圧パルス重畳型の方法では、フッ素元素を含有するDLC膜と板状部材との密着性を高めるために、成膜の前処理工程として、板状部材の表面を洗浄する工程、及び、板状部材の表面にフッ素元素を含有するDLC膜に対する接着層を形成する工程、を導入することが好ましい。
表面を洗浄する工程は、プラズマイオンの注入により表面の汚染を除去する工程であり、原材料ガスとしては、アルゴンガス又は水素ガスが好適に用いられる。
接着層を形成する工程は、炭化水素プラズマイオンを板状部材の内部に注入することにより、板状部材とフッ素元素を含有するDLC膜との親和性を向上させる工程である。
上記高周波、高電圧パルス重畳型の方法における高電圧パルスの電圧値は、前処理工程では大きく、成膜工程では小さくすることが好ましい。上記電圧値が小さい場合は、プラズマイオンの堆積による膜成長がより支配的となり、上記電圧値の大きい場合は、板状部材へのイオン注入がより支配的となるためである。
なお、ゴム製の板状部材の側縁などのエッジ部にフッ素元素を含有するDLC膜を成膜する場合では、一般にゴム製の部材は絶縁体であり、プラズマ発生源とならないため、導電性を有する支持基板などにゴム材を取り付け、成膜を実施する。
また、上記板状部材のエッジ部の周囲を被覆し、その被覆される範囲を変えることにより、フッ素元素を含有するDLC膜が作製される範囲を制御することができる。上記の被覆の方法の例には、被覆すべき部にテープを張り付ける方法、及び、板状部材のエッジ部近傍以外の部分に型を密着させる方法、が含まれる。
上記クリーニングブレードでは、その形態の効果が得られる範囲において、前述した板状部材及びDLC膜以外の他の構成をさらに有していてもよい。他の構成の例には、像担持体に対するクリーニングブレードの取り付け位置を特定する構造が含まれ、その例には、クリーニングブレードの像担持体に対する当接方向を示すマーク、像担持体に対する特定の位置にクリーニングブレードを支持するための支持部材、及び、貫通孔などの、当該支持部材をクリーニングブレードに取り付けるための構造、が含まれる。
本発明のクリーニングブレードは、本発明に係るフッ素元素を含有するDLC膜を介して上記像担持体の表面に少なくとも上記エッジ部で当接して上記像担持体の表面から付着物を除去するための部材として使用することが可能である。すなわち、本発明のクリーニングブレードは、電子写真方式の画像形成におけるブレードクリーニング方式でのクリーニングブレードとして使用することが可能である。上記電子写真方式の画像形成方法は、トナー画像を担持し転写するための像担持体と、トナー画像を転写した後の上記像担持体の表面に当接して上記表面に残存するトナー粒子を上記表面から除去するためのクリーニングブレードとを有する公知の電子写真方式の画像形成装置により行うことが可能である。
本発明のクリーニングブレードは、像担持体の表面の移動方向の上流側に位置するように上記エッジ部で像担持体に当接させることにより、公知の電子写真方式の画像形成装置におけるクリーニングブレードとして用いられる。
《画像形成装置》
次いで、本発明のクレーニングブレードを具備することができる画像形成装置について説明する。
図5は、本発明の画像形成装置の構成の一例を模式的に示す概略構成図である。
この画像形成装置は、図5において矢印の方向に回転されるドラム状の像担持体110(以下、感光体ともいう。)と、各々、この像担持体110の外周面領域に、その回転方向に沿って並ぶよう配設された、像担持体110の表面を帯電させる帯電装置111、感光体110の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置112、トナーを含む現像剤により静電潜像を顕在化させてトナー像を形成する現像器113、像担持体110上に形成されたトナー像を転写領域において転写材Pに転写する転写装置114、像担持体110から転写材Pを分離させる分離装置115、及び転写領域を通過した像担持体110上の残留トナーを除去するクリーニング装置120を具えてなる。116は、転写領域より搬送される転写材P上の未定着トナー像を定着させて画像を形成する定着装置である。
像担持体110は、ドラム状の金属基体と、この金属基体の外周面に形成された有機光導電性化合物よりなる感光層とにより構成されており、図5において紙面に対して垂直な方向に伸びる状態で配設されている。
金属基体は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、その他の金属よりなるものである。像担持体110である感光体において外周面に形成される感光層は、例えば、フッ素を含有するポリカーボネート樹脂よりなり、その表面における純水の接触角は95°以上であることが好まし。ここでいう「純水の接触角」とは、純水の液滴の自由表面と像担持体110の表面とのなす角と定義され、例えば、像担持体110の表面エネルギーの低下に伴い、この純水の接触角は大きくなる。純水の接触角は、例えば、「接触角計」(協和界面科学社製)により測定することができる。
帯電装置111は、例えば制御グリッドと帯電極とを有するスコロトロン帯電器よりなり、露光装置112は、例えばレーザー照射装置よりなる。
現像器113は、例えば、マグネットを内蔵し、現像剤を保持して回転する現像スリーブ131及び感光体110とこの現像スリーブ131との間に直流又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置(図示せず)が設けられてなるものである。
転写装置114は、例えば、コロナ転写方式のものである。
分離装置115は、像担持体110に密着した状態にある転写材Pの電荷を除去することにより転写材Pを像担持体110から分離させるものであり、例えば、コロトロン帯電器よりなるものが用いられる。
定着装置116は、例えば、内部に加熱源を具えた加熱ローラ161と、この加熱ローラ161に定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラ162とにより構成されてなる熱ローラ定着方式のものである。
クリーニング装置120は、先端部分が像担持体110の回転方向における転写領域より下流側の位置で像担持体110の表面に当接されるよう設けられた、本発明のフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレード201を外匣205内に備えてなるものである。
この本発明のフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレード201は、ウレタンゴムなどの弾性体よりなり、その基端部分が支持部材によって支持されると共に、先端部分が像担持体110の表面に当接されるよう設けられており、このフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレード201の基端側から伸びる方向は、当接個所における像担持体110の回転による移動方向と反対方向である、いわゆるカウンター方向とされている。
本発明においては、フッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレード201の像担持体110に対する押圧力は、17〜35N/mの範囲内であることが好ましく、21〜30N/mの範囲内であることがより好ましい。押圧力が低すぎる場合は、トナーのすり抜けが生じやすくなる。また、押圧力が高すぎる場合には、クリーニングブレードと像担持体の摩擦力が大きくなり、永久変形しやすくなる。
また、画像形成装置におけるフッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの像担持体に対する当接角としては、10〜30°の範囲内であることが好ましく、15〜27°の範囲内であることがより好ましい。当該当接角が低すぎると、クリーニングブレードのニップ部に対して搬送方向下流側の面が像担持体に当接した状態となり、ニップ幅が増大する結果、トナーすり抜けを生じる場合がある。一方、当接角が高すぎる場合には、フッ素元素を含有するDLC膜を有するクリーニングブレードの引き込み量が大きくなり、永久変形が発生しやすくなる。
《トナー粒子》
本発明において、画像形成方法に適用可能なトナー粒子は、例えば、結着樹脂、ワックス及び着色剤が含有されるトナー母体と、外添剤から構成される。外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電極性が改良される。
〈結着樹脂〉
トナー粒子を構成する結着樹脂(以下、単に樹脂ともいう。)としては、ビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製される重合体が代表的なものである。
また、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
さらに、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
〈ワックス〉
トナー粒子の作製で用いられるワックスとしては、従来公知のものが挙げられ、好ましくは、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
ワックスの融点は、好ましくは40℃以上160℃以下であり、より好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましくは60℃以上90℃以下である。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー粒子のワックス含有量は、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
〈着色剤〉
トナー粒子を構成する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。好ましくは、以下の着色剤を挙げることができる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド48;3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
上記の着色剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤の添加量はトナー粒子に対して1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
また、着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが好ましく用いることができる。
〈荷電制御剤〉
本発明に係るトナー粒子中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
〈外添剤〉
本発明に係るトナー粒子は、必要に応じ外添剤を混合して用いることもできる。
外添剤の粒径は、トナー粒子の個数基準におけるメディアン径(D50)の0.14倍以下の粒径のものが好ましい。
外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電極性が改良される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム等の微粒子が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
シリカ微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の有機微粒子を使用することができる。好ましくは、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を挙げることができる。
また、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウターミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
〈クリーニング助剤の準備〉
クリーニング助剤としては、トナー粒子と帯電極性が同極性で、特定の粒径、特定の平均円形度を有する粒子を用いる。
トナー粒子と帯電極性が同極性を有する化合物としては、チタン酸カルシウム粒子、トナー粒子と帯電極性が同極性になるよう表面処理したチタン酸ストロンチウム粒子やチタン酸マグネシウム粒子を挙げることができる。
表面処理してトナー粒子と帯電極性が同極性を有するクリーニング助剤を作製する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。
本発明で規定している個数基準におけるメディアン径(D50)、平均円形度のクリーニング助剤は、クリーニング助剤の製造工程をコントロールすることにより得ることができる。
なお、クリーニング助剤は、トナー粒子と同様、外添剤を添加して作製されたものでも良い。
《現像剤》
本発明に係るトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能であるが、二成分現像剤が高画質のプリント画像を得るのには好ましい。
本発明において、二成分現像剤は、キャリア100質量部にトナー3〜10質量部を混合して調製することができる。
混合方法は、特に限定されず公知の混合機を用いて混合することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄やフェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂などによって被覆した樹脂被覆キャリア、あるいは樹脂と磁性粉とを混合して得られる樹脂分散型キャリアいずれのものでも良い。キャリアの平均粒径は個数平均粒径で30〜150μm程度が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
《クリーニングブレードの作製》
〔クリーニングブレード1の作製〕
画像形成装置「Bizhub Pro C1100」(コニカミノルタ社製)搭載のドラムユニットから、基板部材としてポリウレタンゴム部材が、導電性を有する金属支持板に接着されたクリーニングブレード一体部品を取り外した。
(板状基板の準備)
取り外したクリーニングブレードの金属支持板一体部品をチャンバーに設置し、表面洗浄を行った後、チャンバー内にアルゴンガスを充てんさせた。次いで、13.6MHz、1〜3kWの高周波パルスと、−5〜−10kVの高電圧パルスを、クリーニングブレードの金属支持板に印加した。これにより、アルゴンプラズマを板状基板であるクリーニングブレードと金属支持板一体部品に注入させ、表面の付着物を除去した。
(接着層の形成)
次に、接着層の形成を行った。チャンバー内にメタンガス(CH)を充てんさせ、13.6MHz、1〜3kWの高周波パルスと、−4〜−8kVの高電圧パルスを、上記金属支持板に10分間重畳して付与した。これにより、炭化水素プラズマを板状基材に注入して、接着層を形成した。
(DLC下層の形成)
次いで、上記接着層上にDLC下層を形成した。チャンバー内にメタンガス(CH)を充てんさせ、13.6MHz、1〜3kWの高周波パルスと、上記接着層形成工程より弱い−1.5〜−3kVの高電圧パルスを、上記金属支持板に60分間重畳して付与した。これにより、フッ素元素を含有していない層厚が0.5μmのDLC下層を形成した。
(DLC表層の形成)
次いで、DLC下層上に、フッ素元素を含有するDLC表層を形成した。チャンバー内にメタンガス(CH)とフッ化メタンガス(CF)を流量比として2:1で充てんさせ、13.6MHz、1〜3kWの高周波パルスと、−1.5〜−3kVの高電圧パルスを、上記金属支持板に180分間重畳して付与した。これにより、フッ素元素を11.5atm%で含有する層厚が0.8μmのDLC表層を形成した。
〔クリーニングブレード2及び3の作製〕
上記クリーニングブレード1の作製において、DLC下層成膜時にフッ化メタンガス(CF)を導入し、DLC下層形成時のフッ化メタンガス(CF)の流量比と、DLC表層形成時のフッ化メタンガス(CF)の流量比と成膜時間を適宜変更した以外は同様にして、DLC下層及びDLC表層ともにフッ素元素を表Iに記載の条件で含有するクリーニングブレード2及び3を作製した。
〔クリーニングブレード4の作製〕
上記クリーニングブレード1の作製において、DLC下層の形成は行わずに、DLC表層のみ、メタンガス(CH)とフッ化メタンガス(CF)を流量比と成膜時間を適宜変更した以外は同様にして、フッ素元素含有量が5.0atm%で、層厚が1.3μmのDLC表層を単独で有するクリーニングブレード4を作製した。
〔クリーニングブレード5〜8の作製〕
上記クリーニングブレード4の作製において、DLC表層形成時のメタンガス(CH)とフッ化メタンガス(CF)の流量比と成膜時間を適宜変更した以外は同様にして、表Iに記載のフッ素元素含有濃度(atm%)と膜厚からなるDLC表層を有するクリーニングブレード5〜8を作製した。
〔クリーニングブレード9の作製〕
上記クリーニングブレード1の作製において、DLC膜(DLC下層及びDLC表層)の形成を行わなかった以外は同様にして、クリーニングブレード9を作製した。
〔クリーニングブレード10の作製〕
上記クリーニングブレード5の作製において、DLC表層の形成をフッ化メタンガス(CF)のみで行った以外は同様にして、フッ素元素を含有しない層厚が1.2μmのDLC表層を有するクリーニングブレード10を作製した。
〔クリーニングブレード11の作製〕
上記クリーニングブレード5の作製において、DLC表層の形成をフッ化メタンガス(CF)のみで行った以外は同様にして、DLC下層及びDLC表層が共にフッ素元素を含有しないクリーニングブレード11を作製した。
〔クリーニングブレード12の作製〕
上記クリーニングブレード11の作製において、DLC下層をメタンガス(CH)とフッ化メタンガス(CF)を用い、流量比と成膜時間を適宜変更し、フッ素元素含有量が4.8atm%で、層厚が0.5μmのDLC下層を形成した以外は同様にして、クリーニングブレード12を作製した。
《クリーニングブレードの評価》
〔画像形成装置〕
画像形成装置として、「Bizhub Pro C1100」(コニカミノルタ社製、「Bizhub」は同社の登録商標)のドラムユニットを取り外し、標準搭載されているクリーニングブレード一体部品を、上記方法にて作製したフッ素元素含有ダイヤモンドライクカーボン膜をコーティングしたものと交換した。上記ドラムユニットを、上記画像形成装置に搭載した。なお、クリーニングブレードの当接荷重は26N/m、剛体当接角は20°に設定した。
印刷画像出力は、印字率3%の画像チャートをA3両面100,000枚連続印刷した。画像チャートは、より具体的には、搬送方向に対し垂直な方向に12.6mm幅の帯を1本有するものを用いた。印刷時の温湿度条件は、すり抜けが発生しやすい低温低湿条件(温度10℃、湿度20%RH)とした。
〔クリーニング耐性の評価〕
クリーニングブレードの当接荷重を10N/mに変更したのち、印字率100%の画像を100枚出力した。トナーがすり抜けた場合、クリーニングブレードに対して回転方向下流の当接部材がすり抜けたトナーで汚染される。当接部材の長手方向の長さに対して、トナー汚染された部分の面積を測定し、これを「拭き残し面積比率」を求めた。次いで、トナーの拭き残し面積比率が小さいほどクリーニング性が良好であり、拭き残し面積比率が50%以下であれば合格(〇)、50%を超えた場合を不合格(×)と判定した。
〔耐摩耗性の評価:摩耗幅の測定〕
上記に記載の方法に従ってクリーニング耐性の評価を行った後、各クリーニングブレードのエッジ部Eの摩耗幅(μm)を測定し、これを耐摩耗性の尺度とした。
具体的には、図6を用いて説明する。図6は、耐摩耗性の評価における摩耗幅を説明するための模式図である。図6において、クリーニングブレード1の長手方向を横断する断面において、ブレード先端部(エッジ部E)の表面に対して45°で交わる線を基準線とし、当該基準線に平行な方向における、ブレード先端部の表面とブレードの摩耗によって欠けた部分との境界間の距離Lを求め、これを摩耗幅(μm)とした。
〔永久変形幅の測定〕
上記クリーニング耐性の評価を行った後のクリーニングブレードのブレード先端部(エッジ部)の永久変形幅を、レーザー顕微鏡観察により測定した。
永久変形幅とは、表面に欠けはないものの板状部材の表面の形状が変形した部分の幅であり、具体的には、図7に示されるように、クリーニングブレード1の長手方向を横断する断面において、クリーニングブレード1の先端面における変形した部分のうちの、上記基準線に対する角度が先端面に比べて緩やかになる部分の、当該基準線に平行な方向における長さ(Wpd)を測定し、これを永久変形幅(μm)として求めた。
以上により得られた結果を、表Iに示す。
Figure 2021135378
表Iに記載の結果より明らかなように、フッ素元素含有ダイヤモンドライクカーボン膜を具備している本発明のクリーニング部材であるクリーニングブレードは、比較例に対し、長期間にわたるクリーニング性(拭き残し耐性)に優れ、かつエッジ部の耐摩耗性に優れ、永久変形耐性が生じにくいことが分る。
1 クリーニングブレード
2 板状部材
3、3A、3B、3C、3D DLC膜
4 上流側
5 像担持体
6 トナー粒子
7 外添剤粒子
110 像担持体(感光体)
111 帯電装置
112 露光装置
113 現像装置
114 転写装置
115 分離装置
116 定着装置
120 クリーニング装置
201 クリーニングブレード
205 クリーニング容器
E エッジ部
d 溝幅
h 溝深さ
L 永久変形幅
N ブレードニップ部
S 静止層
w 溝周期

Claims (5)

  1. 像担持体の表面から付着物を除去するクリーニングブレードであって、
    弾性を有するとともに、前記像担持体の表面に当接するエッジ部を有する板状部材を具備し、
    少なくとも、前記板状部材のエッジ部及び当該エッジ部の上流側の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜を有し、
    前記ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくとも前記像担持体との接触部にフッ素元素を含有することを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜のフッ素元素濃度が、膜厚方向で階段状又は連続的に変化し、当該ダイヤモンドカーボン膜の前記板状部材との界面領域に対し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記像担持体との接触部のフッ素元素濃度が高いことを特徴とする請求項1に記載のクリーニングブレード。
  3. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の前記像担持体との接触部におけるフッ素元素濃度が、5〜50atm%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクレーニングブレード。
  4. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の膜厚が、1.0〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のクレーニングブレード。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のクリーニングブレードを具備したことを特徴とする画像形成装置。
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