JP2021133990A - 断熱容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で保温・保冷性能に優れる断熱容器を提供する。【解決手段】一端が開口した外容器2及び内容器3を有し、外容器2の内側に内容器3を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、外容器2と内容器3との間に断熱層4が設けられ、外容器2及び内容器3の少なくとも一方が合成樹脂製であり、少なくとも合成樹脂製の容器の、断熱層4と対向する表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜からなるガスバリア層6を有する、断熱容器1を選択する。【選択図】図1
Description
本発明は、断熱容器に関する。
魔法瓶や保温弁当箱には、保温や保冷といった機能を有する断熱容器が用いられる。このような断熱容器としては、金属製の内容器を外容器の内側に配し、これらの容器を口元で一体化した金属製の二重断熱容器が知られている。
金属製の二重断熱容器の場合、内容器と外容器との間に設けた空隙を高真空にできるために断熱性能が高いが、金属ゆえに製品が重くなるという課題や、内容器と外容器との接合部における熱伝導によって熱の流出入が多くなり、断熱性能が低下するという課題がある。
上記課題の解決方法として、合成樹脂製の真空断熱容器を使用する方法がある。例えば、特許文献1には、合成樹脂製の断熱容器の空隙内に封入された低熱伝導ガスによる断熱効果が記載されている。しかしながら、合成樹脂製の真空断熱容器は、空気中の酸素や窒素、水蒸気透過量が大きいため、時間の経過とともに低熱伝導ガスが容器を透過して断熱性能を失うという課題や、透過した酸素や水蒸気によって内容物が劣化するという課題がある。
上記課題の解決方法として、合成樹脂製の真空断熱容器に、ガスバリア層を設ける方法がある。例えば、特許文献2には、内外容器の表面に金属メッキを蒸着させる方法が開示されている。また、特許文献3には、ガスバリア層としてDLC(Diamond−like Carbon)コート層を設ける方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の内外容器の表面に金属メッキを施した合成樹脂製の断熱容器は、膜の密着性やフレキシブル性が低いため、内容物の充填加工時、保管時および搬送時に多少の外圧が加わったときに破損して、ガスバリア性が低下するおそれがある。
また、特許文献3に記載のDLCコート層を設けた合成樹脂製の断熱容器は、DLCコート層と合成樹脂製の容器との組成が近いために膜の密着性は優れているが、ガスバリア性が十分ではなかった。
また、特許文献3に記載のDLCコート層を設けた合成樹脂製の断熱容器は、DLCコート層と合成樹脂製の容器との組成が近いために膜の密着性は優れているが、ガスバリア性が十分ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、軽量で保温・保冷性能に優れる断熱容器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
[1] 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
少なくとも合成樹脂製の容器の、前記断熱層と対向する表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。
[2] 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
前記外容器の内側の表面、及び前記内容器の外側の表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。
[3] 前記薄膜の膜厚が、5nm以上300nm以下である、前項[1]又は[2]に記載の断熱容器。
[4] 前記薄膜は、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)のそれぞれのガス透過率の合計が0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であり、
水蒸気(H2O)の透過率が0.4[cc/m2/day/atm・air]以下である、前項[1]乃至[3]のいずれかに記載の断熱容器。
[5] 前記断熱層が、1.0×10−2[Pa]以下の真空度を有する、前項[1]乃至[4]のいずれかに記載の断熱容器。
[6] 前記外容器及び前記内容器のうち、一方が合成樹脂製であり、他方が金属製である、前項[1]乃至[5]のいずれかに記載の断熱容器。
[1] 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
少なくとも合成樹脂製の容器の、前記断熱層と対向する表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。
[2] 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
前記外容器の内側の表面、及び前記内容器の外側の表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。
[3] 前記薄膜の膜厚が、5nm以上300nm以下である、前項[1]又は[2]に記載の断熱容器。
[4] 前記薄膜は、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)のそれぞれのガス透過率の合計が0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であり、
水蒸気(H2O)の透過率が0.4[cc/m2/day/atm・air]以下である、前項[1]乃至[3]のいずれかに記載の断熱容器。
[5] 前記断熱層が、1.0×10−2[Pa]以下の真空度を有する、前項[1]乃至[4]のいずれかに記載の断熱容器。
[6] 前記外容器及び前記内容器のうち、一方が合成樹脂製であり、他方が金属製である、前項[1]乃至[5]のいずれかに記載の断熱容器。
本発明の断熱容器は、軽量で保温・保冷性能に優れる。
以下、本発明を適用した一実施形態である断熱容器の構成について、その製造方法と併せて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<断熱容器>
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1に示す断熱容器1について説明する。
なお、図1は、断熱容器1の構成を示す断面図である。
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1に示す断熱容器1について説明する。
なお、図1は、断熱容器1の構成を示す断面図である。
本実施形態の断熱容器1は、図1に示すように、合成樹脂製の外容器2と、例えばステンレス等からなる金属製の内容器3とを備える。断熱容器1は、一端が開口した外容器2の内側に一端が開口した内容器3を収容した状態で、互いの開口端同士が接合されると共に、これら外容器2と内容器3との間に断熱層4が位置する断熱構造を有している。
外容器2は、合成樹脂製であれば、その材質は特に限定されない。合成樹脂の原料としては、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、シクロオレフィンコポリマ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂、及び4−フッ化エチレン樹脂(TFE)等が挙げられる。合成樹脂としては、上述した原料からなる群の中から選択される、単一組成の原料を用いてもよいし、混合組成の原料を用いてもよい。これらの中でも、外容器2の耐熱性の観点から、耐熱温度が室温以上であるポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の熱可塑性樹脂を選択することが好ましく、ポリエチレン樹脂(PE)がより好ましく、ポリプロピレン樹脂(PP)がさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂(PP)等の熱可塑性樹脂は、耐熱温度が100℃以上であるため、後述するガスバリア層6の形成の観点で好ましい。
断熱層4は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器2の底面の中央付近に設けられた脱気孔をろう材によって封止することで形成できる。なお、上記ろう材としては、後述の封止部材5と同様の材料を用いることができる。
断熱層4の真空度は、断熱層4が断熱性能を発揮する程度であれば、特に限定されない。断熱層4の真空度としては、1.0×10−2Pa以下であることが好ましく、1.0×10−3Pa以下であることがより好ましい。断熱層4の真空度が1.0×10−2Pa以下であれば、断熱容器1が真空断熱構造を有することとなる。
断熱容器1では、このような真空断熱構造を有することで、保温や保冷といった機能を発揮できる。
断熱容器1では、このような真空断熱構造を有することで、保温や保冷といった機能を発揮できる。
なお、本実施形態の断熱容器1は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、断熱容器1の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、外容器2の外面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
また、本実施形態の断熱容器1は、外容器2及び内容器3の開口端が封止部材5を介して接合されているが、特に限定されるものではなく、外容器2及び内容器3の互いの開口端同士が溶接等によって直接接合されていてもよい。
封止部材5としては、例えば、金属やガラス等が挙げられる。これらの中でも、後工程の短縮化や低温で封止できる観点で、ガラスを用いることが好ましい。
封止部材5としては、例えば、金属やガラス等が挙げられる。これらの中でも、後工程の短縮化や低温で封止できる観点で、ガラスを用いることが好ましい。
ところで、本実施形態の断熱容器1では、外容器2の内側の表面(内面)及び内容器3の外側の表面(外面)にガスバリア層6がそれぞれ設けられている。
ガスバリア層6は、プラズマ化学気相成長(プラズマCVD)法によって形成される薄膜からなる。ガスバリア層(薄膜)6は、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む。
ガスバリア層6としては、例えば、SiN、SiON、SiCN、SiOCN等の窒素含有珪素系膜を用いることができる。
ガスバリア層6の珪素含有量は、ガスバリア性の観点から、10〜50原子%であることが好ましく、30〜40原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の窒素含有量は、ガスバリア性の観点から、10〜50原子%であることが好ましく、30〜40原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の炭素含有量は、ガスバリア性及び色目の観点から、0〜30原子%であることが好ましく、0〜10原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の酸素含有量は、ガスバリア性及び密着性の観点から、0〜50原子%であることが好ましく、0〜10原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の水素含有量は、ガスバリア性の観点から、5〜40原子%であることが好ましく、5〜30原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の珪素含有量は、ガスバリア性の観点から、10〜50原子%であることが好ましく、30〜40原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の窒素含有量は、ガスバリア性の観点から、10〜50原子%であることが好ましく、30〜40原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の炭素含有量は、ガスバリア性及び色目の観点から、0〜30原子%であることが好ましく、0〜10原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の酸素含有量は、ガスバリア性及び密着性の観点から、0〜50原子%であることが好ましく、0〜10原子%であることが特に好ましい。
ガスバリア層6の水素含有量は、ガスバリア性の観点から、5〜40原子%であることが好ましく、5〜30原子%であることが特に好ましい。
また、ガスバリア層6としては、例えば、金属酸化膜等の酸化アルミニウム系膜や、酸化チタン系膜、窒化チタン系膜を用いることができる。
ガスバリア層6の厚み(薄膜の膜厚)の下限値は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。一方、ガスバリア層6の厚みの上限値は、300nm以下であることが好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。ガスバリア層6の厚みが5nm以上であれば、外容器2の内面及び内容器3の外面と十分に密着し、かつ十分なガスバリア性を発揮する。ガスバリア層6の厚みが300nm以下であれば、透明性や色目に優れ、破壊や剥離が生じにくく、成膜の原料コストを抑制でき経済的である。
ガスバリア層6は緻密な膜であることが好ましい。すなわち、ガスバリア層6の密度(薄膜の密度)は、1.5g/cm3以上が好ましく、2.0g/cm3以上がより好ましく、2.3g/cm3以上がさらに好ましい。ガスバリア層6の密度が上記範囲内であれば、十分なガスバリア性を発揮できる。なお、薄膜の密度は、例えば、X線反射率測定から解析する方法、容器基材を溶剤で十分溶解させて膜を単離させ比重法で測定する方法等により、測定できる。
ガスバリア層(薄膜)6は、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)のそれぞれのガス透過率の合計が、0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であることが好ましく、0.05[cc/m2/day/atm・air]以下であることが好ましい。上記ガス透過率が0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であれば、ガスバリア層6は大気の透過を充分に遮断できる。なお、ガス透過率は、例えば、ガス透過率測定装置を用いて測定できる。具体的には、容器の開口部に当該装置用のアダプターヘッドを装着して、容器当たりのガス透過率を測定する。
ガスバリア層(薄膜)6は、水蒸気(H2O)の透過率が、0.4[cc/m2/day/atm・air]以下であることが好ましく、0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であることがより好ましく、0.02[cc/m2/day/atm・air]以下であることがさらに好ましい。上記水蒸気透過率が0.4[cc/m2/day/atm・air]以下であれば、ガスバリア層6は水分の透過を充分に遮断できる。なお、水蒸気透過率は、例えば、感湿センサ法、赤外線センサ法、ガスクロマトグラフ法等によって測定できる。
ガスバリア層6は、大気成分のガス透過率及び水蒸気透過率といった優れたガスバリア特性を有している。このガスバリア層6を外容器2の内面及び内容器3の外面にそれぞれ設けることにより、外気が断熱容器1の内容物側へ透過することを防ぎ、内容物の炭酸ガスや香味成分等が断熱容器1の外側へ移行することを防ぐことができる。
なお、外容器2の外面あるいは内容器3の内面にガスバリア層6を設けた場合、ガスバリア層6を構成する薄膜と物理的な接触が生じる。これにより、薄膜が剥離してガスバリア性が失われる及びおそれがある。したがって、ガスバリア層6は、外容器2及び内容器3ともに、断熱層4と対向する側の表面に設けることが好ましい。
以上のように、本実施形態の耐熱容器1によれば、外容器2が合成樹脂製であるため、外容器及び内容器ともに金属製である従来の断熱容器よりも軽量化できる。また、本実施形態の耐熱容器1は、合成樹脂製の外容器2の内面及び金属製の内容器3の外面に、ガスバリア特性に優れた薄膜をガスバリア層6として設けているため、保温・保冷といった断熱性能に優れる。
さらに、本実施形態の耐熱容器1によれば、外容器2が合成樹脂製であり、外容器2から金属製の内容器3への伝熱が小さいため、保温・保冷といった断熱性能に優れる。
<断熱容器の製造方法>
次に、上述した本実施形態の断熱容器1の製造方法について、説明する。
本実施形態の断熱容器1の製造方法では、外容器2の内側の表面(内面)及び内容器3の外側の表面(外面)に、プラズマ化学気相成長(プラズマCVD)法を用いて、薄膜を堆積させてガスバリア層6を形成する。
なお、ガスバリア層6の形成には、公知の高周波電源またはマイクロ波電源を用いたプラズマCVD成膜装置を用いることが出来る。
次に、上述した本実施形態の断熱容器1の製造方法について、説明する。
本実施形態の断熱容器1の製造方法では、外容器2の内側の表面(内面)及び内容器3の外側の表面(外面)に、プラズマ化学気相成長(プラズマCVD)法を用いて、薄膜を堆積させてガスバリア層6を形成する。
なお、ガスバリア層6の形成には、公知の高周波電源またはマイクロ波電源を用いたプラズマCVD成膜装置を用いることが出来る。
具体的には、先ず、断熱容器1を形成する前(開口端同士を接合する前)の、外容器2及び内容器3をそれぞれ準備する。
次に、外容器2及び内容器3をプラズマCVD成膜装置の成膜室(チャンバー)の内側に設けられた金属製の冶具にそれぞれ設置する。ここで、上記冶具は、外容器2及び内容器3の成膜面をそれぞれ露出し、成膜面以外を被覆する形状となっている。このような冶具としては、特に限定はされないが、公知技術(例えば、特開2008−050020号公報、等)として開示されている冶具等を用いることができる。
次いで、成膜室の内部を真空引きにより減圧状態とし、カソード側の冶具とアノード側の補助電極との間で電圧を印加した状態とする。なお、外容器2及び内容器3が設置された冶具は金属製であるため、カソードとして機能する。
このとき、高周波電源の周波数は、0.5MHz以上30MHz以下であることが好ましく、5MHz以上15MHz以下であることがより好ましい。
高周波電源の電力は、容器容量やガス流量と適合させた電力であればよく、例えば、10W〜5kWを印加することが好ましい。
プラズマ密度は、0.1W/cm3以上5.0W/cm3以下が好ましく、0.5W/cm3以上2.5W/cm3以下がより好ましい。
高周波電源の電力は、容器容量やガス流量と適合させた電力であればよく、例えば、10W〜5kWを印加することが好ましい。
プラズマ密度は、0.1W/cm3以上5.0W/cm3以下が好ましく、0.5W/cm3以上2.5W/cm3以下がより好ましい。
また、成膜室内の真空度は、原料ガスをプラズマ化できる真空度であれば特に限定されない。このような真空度としては、例えば、1Pa以上350Pa以下が好ましく、5Pa以上100Pa以下がより好ましく、10Pa以上50Pa以下がさらに好ましい。
なお、外容器2が合成樹脂製であることから、容器基材中の水分含有率や容器表面に付着した水分を低減、排除するために、成膜する前に、容器を減圧下で数分〜数時間にわたって静置してもよい。また、外容器2が熱変形しない温度範囲で加温したり、乾燥ガスを流したり、アルゴン等の不活性ガスによって表面を真空エッチングしたりしてもよい。
また、合成樹脂と薄膜との密着性の向上や、緻密な成膜のために、予め外容器2の表面に公知のプラズマ処理、コロナ処理、コート処理などの表面処理を施しても良い。
また、成膜室内をヒーター等によって加熱し、外容器2を加温した後に成膜してもよい。この際、外容器2の耐熱温度を超えないように留意する。例えば、熱可塑性樹脂製の外容器2を用いる場合では、加熱温度は80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、常温がさらに好ましい。
次に、上述の前処理後、成膜室内に原料ガスと反応ガスとを同時に導入して、プラズマ放電する。成膜室内に導入された原料ガスはプラズマ状態となり、原料ガスと反応ガスとの生成物が外容器2の内面及び内容器3の外面に堆積して薄膜が形成される。
具体的に、ガスバリア層6として窒素含有珪素系膜を用いる場合、ガスバリア層6の原料ガスとして、例えば、有機シランガスを用いることができる。また、有機シランガスとしては、例えば、有機シラザンガス、アミノシランガスが挙げられる。
ここで、アミノシランは、1分子中に複数のSi−N結合を有するため、ガスバリア性の観点で、原料ガスに由来する薄膜中の窒素(N)及びケイ素(Si)の含有比率を高くし易い。
また、ガスバリア性と色目の観点で、薄膜中の炭素(C)の含有比率を低減させるためには、アミノシランのN−C結合の結合解離エネルギーの方が有機シラザンのSi−C結合の結合解離エネルギーよりも小さく、プラズマ中の化学反応や成膜後の膜処理に有利である。
そのため、原料ガスとしてアミノシランガスを用いることで、より低い反応エネルギー、つまり成膜時に加温しなくとも望ましい膜を成膜できるため、金属製の内容器3だけでなく、合成樹脂製の外容器2の表面に対しても薄膜を成膜できる。また、原料ガスとしてアミノシランガスを用いることで、プラズマ化学反応において緻密(すなわち密度が高い)で、優れたガスバリア性を有する窒素含有珪素系膜を形成できる。
また、ガスバリア性と色目の観点で、薄膜中の炭素(C)の含有比率を低減させるためには、アミノシランのN−C結合の結合解離エネルギーの方が有機シラザンのSi−C結合の結合解離エネルギーよりも小さく、プラズマ中の化学反応や成膜後の膜処理に有利である。
そのため、原料ガスとしてアミノシランガスを用いることで、より低い反応エネルギー、つまり成膜時に加温しなくとも望ましい膜を成膜できるため、金属製の内容器3だけでなく、合成樹脂製の外容器2の表面に対しても薄膜を成膜できる。また、原料ガスとしてアミノシランガスを用いることで、プラズマ化学反応において緻密(すなわち密度が高い)で、優れたガスバリア性を有する窒素含有珪素系膜を形成できる。
アミノシランとしては、例えば、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、テトラキス(エチルメチルアミノ)シラン、トリス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ジメチルアミノシラン等が挙げられる。これらの中でも、吸着性能が高く、低温で成膜可能であることから、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シランが好ましい。
なお、化合物中のSi−N結合解離エネルギーとN−C結合解離エネルギーのバランスと、プラズマ化学蒸着条件との相対関係が、薄膜の組成比や成膜速度に影響するため、これらを考慮した上で原料ガスを適宜選択することが好ましい。また、原料ガスは、何れか1種の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
なお、沸点の低い化合物を原料として用いる場合、公知の方法によって原料液体を気化させた後に成膜室へ導入する。例えば、常温(20℃)において液体のアミノシランを原料ガスとして用いる場合、80℃〜120℃の温度範囲で加熱して気化できる。この場合、気化室から成膜室(チャンバー)までの配管を80℃〜120℃に保持して気化させたガスを流入することが好ましい。
原料ガスと反応させる反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、水素、アンモニア、アミン、炭化水素、および水蒸気等が挙げられる。これらの中でも、反応ガスとしては、酸素、窒素、水素が好ましい。これらの反応ガスによれば、原料ガス成分に対してプラズマ下で酸化、窒化、水素化、脱炭素化の反応を行い、ガスバリア性と無色化とを両立させる膜組成とすることができる。
なお、反応ガスは、何れか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
なお、反応ガスは、何れか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
また、酸化度の高い薄膜を形成するには、反応ガスとして酸素ガスを用いることが好ましい。一方、窒化度の高い薄膜を形成するには、反応ガスとして窒素ガス、水素ガス、あるいはアンモニアガスのいずれかを用いることが好ましい。
例えば、原料ガスとしてアミノシランガスを用い、反応ガスとして酸素ガスを用いた場合、原料ガス及び反応ガスの総和流量に対する反応ガス流量の比率は、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。これにより、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)が透過しにくい酸化膜が得られる。
また、原料ガスとしてアミノシランガスを用い、反応ガスとして窒素および水素の一方又は両方を用いた場合、原料ガス及び反応ガスの総和流量に対する反応ガス流量の比率は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。これにより、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)、および水蒸気(H2O)を透過しにくい窒化膜が得られる。
また、原料ガスとしてアミノシランガスを用い、反応ガスとして窒素および水素の一方又は両方を用いた場合、原料ガス及び反応ガスの総和流量に対する反応ガス流量の比率は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。これにより、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)、および水蒸気(H2O)を透過しにくい窒化膜が得られる。
なお、成膜室に導入する総ガス流量に対して原料ガス流量の比率を低減することで、少量ずつ緻密な膜を形成できる。一方、総ガス流量に対して反応ガス流量の比率を増加することで、高い反応率で窒素含有珪素系膜を生成できる。
また、成膜室に導入するガスとして、原料ガス及び反応ガスの他に希釈ガスを用いてもよい。希釈ガスとしては、プラズマ化学反応や成膜の均質化、均等化などの観点から、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが挙げられる。
また、成膜室に導入するガスとして、原料ガス及び反応ガスの他に希釈ガスを用いてもよい。希釈ガスとしては、プラズマ化学反応や成膜の均質化、均等化などの観点から、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが挙げられる。
上述したように、ガスバリア層6の厚み(薄膜の膜厚)を5nm以上300nm以下とすることで、外容器2の内面及び内容器3の外面と十分に密着し、かつ十分なガスバリア性を発揮できる。
次に、成膜室の内部に窒素(N2)ガス等を導入し、成膜室の内部圧力を常圧とした後に成膜室を開放し、外容器2及び内容器3を取り出す。
次に、ガスバリア層6が形成された外容器2及び内容器3の開口端同士を、封止部材5を用いて接合する。次いで、開口端を接合した外容器2及び内容器3をチャンバー内に設置し、高真空に減圧(真空引き)した後、外容器2の底面中央付近に設けられた脱気孔をろう材によって封止して断熱層4を形成する。
以上のような工程を経ることで、外容器2の内面及び内容器3の外面にガスバリア層6が設けられた断熱容器1を製造することができる。
以上のような工程を経ることで、外容器2の内面及び内容器3の外面にガスバリア層6が設けられた断熱容器1を製造することができる。
以上のように、本実施形態の断熱容器1の製造方法では、合成樹脂製の外容器2の表面にガスバリア性に優れた薄膜を低温で成形できるため、従来の金属製の断熱容器と比較して同程度の保温・保冷性能を有し、かつ従来よりも軽量な断熱容器1を製造できる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態の断熱容器1では、合成樹脂製の外容器2の内面及び金属製の内容器3の外面に、それぞれガスバリア層6を有する構成を一例として説明したが、合成樹脂製の外容器2の内面にのみガスバリア層6を設け、金属製の内容器3の外面にはガスバリア層6を設けない構成としてもよい。このように、樹脂製の容器の表面にのみガスバリア層6を設けた構成の断熱容器であっても、軽量で保温・保冷性能に優れるという、上記実施形態の断熱容器1と同様の効果が得られる。
例えば、上記実施形態の断熱容器1では、合成樹脂製の外容器2の内面及び金属製の内容器3の外面に、それぞれガスバリア層6を有する構成を一例として説明したが、合成樹脂製の外容器2の内面にのみガスバリア層6を設け、金属製の内容器3の外面にはガスバリア層6を設けない構成としてもよい。このように、樹脂製の容器の表面にのみガスバリア層6を設けた構成の断熱容器であっても、軽量で保温・保冷性能に優れるという、上記実施形態の断熱容器1と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態の断熱容器1では、外容器2が合成樹脂製であり、内容器3が金属製である構成を一例として説明したが、これに限定されない。
例えば、図2に示すように、外容器22が金属製、内容器23が合成樹脂製であり、外容器22の内面及び内容器23の外面にガスバリア層6をそれぞれ有する断熱容器21であってもよい。このような構成の断熱容器21によれば、上記実施形態の断熱容器1と同様に、軽量で保温・保冷性能に優れる。
例えば、図2に示すように、外容器22が金属製、内容器23が合成樹脂製であり、外容器22の内面及び内容器23の外面にガスバリア層6をそれぞれ有する断熱容器21であってもよい。このような構成の断熱容器21によれば、上記実施形態の断熱容器1と同様に、軽量で保温・保冷性能に優れる。
さらに、図3に示すように、外容器32及び内容器23の両方が合成樹脂製であり、外容器32の内面及び内容器33の外面にガスバリア層6をそれぞれ有する断熱容器31であってもよい。このような構成の断熱容器31によれば、上述した断熱容器1および断熱容器21よりも軽量で、保温・保冷性能も同等である。なお、内容物が温かい場合には、耐熱性の観点から、外容器2が合成樹脂製であり、内容器3が金属製である断熱容器1の構成とすることが好ましい。
また、上記実施形態の断熱容器1では、外容器2及び内容器3の表面のうち、断熱層4と対向する面にのみガスバリア層6を設ける構成を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、外容器2及び内容器3のそれぞれ全ての表面にガスバリア層6を設ける構成としてもよい。このような構成によれば、ガスバリア性の効果に加えて、色相に優れる効果も得られる。
また、上記実施形態の断熱容器1では、ガスバリア層6として単層の薄膜を設ける構成を一例として説明したが、これに限定されない。外容器及び内容器の表面に2以上の積層膜を設けてガスバリア層とする構成であってもよい。
また、ガスバリア層を構成する薄膜は、均一な組成である場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、ガスバリア特性や色相の観点から、単層の薄膜、及び積層膜の各層を構成する薄膜は、膜厚方向に沿って組成比に勾配が設けられていてもよい。
また、ガスバリア層を構成する薄膜は、均一な組成である場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、ガスバリア特性や色相の観点から、単層の薄膜、及び積層膜の各層を構成する薄膜は、膜厚方向に沿って組成比に勾配が設けられていてもよい。
なお、上記実施形態の断熱容器1は、この断熱容器1に対して螺合により脱着される蓋体(図示略)により、この断熱容器1の上部開口部を開閉することが可能な、蓋付き容器であってもよい。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明の効果を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例および比較例の記載に限定されるものではない。
(材質)
実施例および比較例の断熱容器を構成する内容器(直径:φ60mm)および外容器(直径:φ80mm)に用いる材質は、以下の通り。
・ステンレス:SUS304を厚さ1mm厚の有底円筒状に延伸して作製した。
・合成樹脂(プラスチック):ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)の合成樹脂材料を射出成型法により、厚さ5mm厚となるように作製した。
実施例および比較例の断熱容器を構成する内容器(直径:φ60mm)および外容器(直径:φ80mm)に用いる材質は、以下の通り。
・ステンレス:SUS304を厚さ1mm厚の有底円筒状に延伸して作製した。
・合成樹脂(プラスチック):ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)の合成樹脂材料を射出成型法により、厚さ5mm厚となるように作製した。
(ガスバリア層)
ガスバリア膜の成膜には、被成膜ボトルの内側に配置する内部電極、被成膜ボトルの外側に配置する外部電極、および13.56MHz高周波電源から構成されるプラズマ化学蒸着(PECVD)装置を使用した。なお、PECVD装置の内部電極、外部電極ともに側面に複数の貫通孔があり、被成膜ボトルの側面に対してガスを吹き付けられる構造とした。
また、外容器の内側に成膜する場合はφ10mmの内部電極とφ100mmの外部電極を、内容器の外側に成膜する場合はφ30mmの内部電極とφ100mmの外部電極を、それぞれ使用した。なお、内部電極の差し込みは、ボトル内部の全高約50%の位置までとした。
先ず、外部電極の内側に被成膜ボトルを装てんした後、被成膜ボトルの開口部から内部電極を挿入した。次に、チャンバー内(外部電極と内部電極の間の空間)を、1Pa未満になるまで真空引きしてから原料ガスを導入し、13.56MHz高周波電力を印加した。以下の実施例1〜9では、気化させたトリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)と同時に、添加ガスを導入した。なお、以下の実施例1〜9では、水素(H2)を添加ガスとして使用し、3DMASの100倍流量を流した。また、成膜中の圧力は、いずれの実施例においても20Paとした。
ガスバリア膜の成膜には、被成膜ボトルの内側に配置する内部電極、被成膜ボトルの外側に配置する外部電極、および13.56MHz高周波電源から構成されるプラズマ化学蒸着(PECVD)装置を使用した。なお、PECVD装置の内部電極、外部電極ともに側面に複数の貫通孔があり、被成膜ボトルの側面に対してガスを吹き付けられる構造とした。
また、外容器の内側に成膜する場合はφ10mmの内部電極とφ100mmの外部電極を、内容器の外側に成膜する場合はφ30mmの内部電極とφ100mmの外部電極を、それぞれ使用した。なお、内部電極の差し込みは、ボトル内部の全高約50%の位置までとした。
先ず、外部電極の内側に被成膜ボトルを装てんした後、被成膜ボトルの開口部から内部電極を挿入した。次に、チャンバー内(外部電極と内部電極の間の空間)を、1Pa未満になるまで真空引きしてから原料ガスを導入し、13.56MHz高周波電力を印加した。以下の実施例1〜9では、気化させたトリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)と同時に、添加ガスを導入した。なお、以下の実施例1〜9では、水素(H2)を添加ガスとして使用し、3DMASの100倍流量を流した。また、成膜中の圧力は、いずれの実施例においても20Paとした。
(断熱容器)
先ず、外容器の内側に内容器を配し、内容器の口部と外容器の口部とを全周にわたってろう材によって接合し、内容器と外容器とが一体となった二重壁構造の容器を形成した。なお、接合用のろう材としては、Sn又はSnとAg、Cu、Ni、Bi或いはZnの合金からなる金属ろう材を適宜選択して用いた。
次に、外容器の底部中央に形成され、外容器の内外を連通する排気孔を介して内容器と外容器との空隙を排気した後、排気孔をろう材によって封止した。この真空化処理を経て、内容器と外容器との空隙に真空断熱層を形成した。なお、封止用のろう材としては、ガラスろう材を用いた。
先ず、外容器の内側に内容器を配し、内容器の口部と外容器の口部とを全周にわたってろう材によって接合し、内容器と外容器とが一体となった二重壁構造の容器を形成した。なお、接合用のろう材としては、Sn又はSnとAg、Cu、Ni、Bi或いはZnの合金からなる金属ろう材を適宜選択して用いた。
次に、外容器の底部中央に形成され、外容器の内外を連通する排気孔を介して内容器と外容器との空隙を排気した後、排気孔をろう材によって封止した。この真空化処理を経て、内容器と外容器との空隙に真空断熱層を形成した。なお、封止用のろう材としては、ガラスろう材を用いた。
(ガス透過度)
実施例および比較例の酸素透過度は、MOCON社製OX−TRAN2/61機を用い、各例で得られた断熱容器の開口部に当該装置用のアダプターヘッドを装着し、23℃相対湿度50%条件下で、容器個体当たりのN2,O2,及びArの合計のガス透過度を測定した。
実施例および比較例の酸素透過度は、MOCON社製OX−TRAN2/61機を用い、各例で得られた断熱容器の開口部に当該装置用のアダプターヘッドを装着し、23℃相対湿度50%条件下で、容器個体当たりのN2,O2,及びArの合計のガス透過度を測定した。
(水蒸気透過度)
実施例および比較例の水蒸気透過度は、炭酸カルシウムを断熱容器に入れて、ガラス板で容器口を密封し、40℃相対湿度90%条件下で、重量法により容器個体当たりのH2Oのガス透過度(水蒸気透過度)を測定した。
実施例および比較例の水蒸気透過度は、炭酸カルシウムを断熱容器に入れて、ガラス板で容器口を密封し、40℃相対湿度90%条件下で、重量法により容器個体当たりのH2Oのガス透過度(水蒸気透過度)を測定した。
<比較例1〜4>
内容器および外容器の材質を表1に示す組合せとして、比較例1〜4の断熱容器を作製した。なお、比較例1〜4の断熱容器は、内容器および外容器のいずれにもガスバリア層を設けなかった。
比較例1〜4の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表1に示す。
内容器および外容器の材質を表1に示す組合せとして、比較例1〜4の断熱容器を作製した。なお、比較例1〜4の断熱容器は、内容器および外容器のいずれにもガスバリア層を設けなかった。
比較例1〜4の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表1に示す。
<実施例1>
PET製の外容器と、ステンレス製の内容器とを用意し、PET製の外容器の内側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例1の断熱容器を作製した。
実施例1の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
PET製の外容器と、ステンレス製の内容器とを用意し、PET製の外容器の内側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例1の断熱容器を作製した。
実施例1の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
<実施例2>
ステンレス製の外容器と、PET製の内容器とを用意し、PET製の内容器の外側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例2の断熱容器を作製した。
実施例2の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
ステンレス製の外容器と、PET製の内容器とを用意し、PET製の内容器の外側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例2の断熱容器を作製した。
実施例2の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
<実施例3>
PET製の外容器および内容器を用意し、外容器の内側および内容器の外側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例3の断熱容器を作製した。
実施例3の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
PET製の外容器および内容器を用意し、外容器の内側および内容器の外側にバリア膜としてSiOCNを成膜した。次いで、外容器の内側に内容器を配して接合し、容器全体を真空引きした後、ろう材で封止して、実施例3の断熱容器を作製した。
実施例3の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
<実施例4〜6>
実施例1のPET製の外容器をPEN製の外容器に変更して、実施例4の断熱容器を作製した。
実施例2のPET製の内容器をPEN製の内容器に変更して、実施例5の断熱容器を作製した。
実施例3のPET製の外容器および内容器をPEN製の外容器および内容器に変更して、実施例6の断熱容器を作製した。
実施例4〜6の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
実施例1のPET製の外容器をPEN製の外容器に変更して、実施例4の断熱容器を作製した。
実施例2のPET製の内容器をPEN製の内容器に変更して、実施例5の断熱容器を作製した。
実施例3のPET製の外容器および内容器をPEN製の外容器および内容器に変更して、実施例6の断熱容器を作製した。
実施例4〜6の断熱容器について、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果を表2に示す。
<実施例7〜9>
実施例1のPET製の外容器をPP製の外容器に変更して、実施例7の断熱容器を作製した。
実施例2のPET製の内容器をPP製の内容器に変更して、実施例8の断熱容器を作製した。
実施例1のPET製の外容器をPP製の外容器に変更して、実施例7の断熱容器を作製した。
実施例2のPET製の内容器をPP製の内容器に変更して、実施例8の断熱容器を作製した。
表1に示すように、比較例1の断熱容器では、ステンレス製の外容器および内容器を用いており、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果のいずれも優れていた(ガスバリア性に優れる)。
一方、比較例2〜4の断熱容器では、合成樹脂(PET)製の外容器および内容器のいずれにもガスバリア層を設けていないため、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果のいずれも比較例1より劣っていた。
これに対して、実施例1〜9の断熱容器では、合成樹脂製の外容器および内容器のいずれにもガスバリア層が設けられているため、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果のいずれも比較例1と同程度であった(ガスバリア性に優れる)。
一方、比較例2〜4の断熱容器では、合成樹脂(PET)製の外容器および内容器のいずれにもガスバリア層を設けていないため、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果のいずれも比較例1より劣っていた。
これに対して、実施例1〜9の断熱容器では、合成樹脂製の外容器および内容器のいずれにもガスバリア層が設けられているため、N2,O2,Arのガス透過度を測定した結果、及びH2Oのガス透過度を測定した結果のいずれも比較例1と同程度であった(ガスバリア性に優れる)。
本発明の断熱容器は、魔法瓶や保温弁当箱等の保温や保冷といった機能を有する断熱容器として利用可能性を有する。
1,21,31・・・断熱容器
2,22,32・・・外容器
3,23,33・・・内容器
4・・・断熱層
5・・・封止部材
6・・・ガスバリア層(薄膜)
2,22,32・・・外容器
3,23,33・・・内容器
4・・・断熱層
5・・・封止部材
6・・・ガスバリア層(薄膜)
Claims (6)
- 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
少なくとも合成樹脂製の容器の、前記断熱層と対向する表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。 - 一端が開口した外容器及び内容器を有し、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端が接合されるとともに、前記外容器と前記内容器との間に断熱層を有する断熱容器であって、
前記外容器及び前記内容器の一方又は両方が合成樹脂製であり、
前記外容器の内側の表面、及び前記内容器の外側の表面に、珪素(Si)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、及び水素(H)からなる群のうち、何れか2種以上の元素を含む薄膜を有する、断熱容器。 - 前記薄膜の膜厚が、5nm以上300nm以下である、請求項1又は2に記載の断熱容器。
- 前記薄膜は、窒素(N2)、酸素(O2)及びアルゴン(Ar)のそれぞれのガス透過率の合計が0.1[cc/m2/day/atm・air]以下であり、
水蒸気(H2O)の透過率が0.4[cc/m2/day/atm・air]以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の断熱容器。 - 前記断熱層が、1.0×10−2[Pa]以下の真空度を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の断熱容器。
- 前記外容器及び前記内容器のうち、一方が合成樹脂製であり、他方が金属製である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の断熱容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020033845A JP2021133990A (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | 断熱容器 |
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JP2020033845A Pending JP2021133990A (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | 断熱容器 |
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