JP2021130140A - コレット、工作機械及びコレットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1に示すように、工作機械1は、ワークWを加工する旋盤である。詳しくは、工作機械1は、ワークWを把持した状態でワークWを軸回転させる主軸10と、主軸10により回転軸Axを中心に軸回転させられるワークWに接触することによりワークWを加工する工具5と、を備える。
コレットスリーブ13は、コレット20の外周に位置し、円筒状をなす。コレットスリーブ13は、図示しないエアシリンダ等の駆動源により、主軸10の回転軸Axに沿って移動可能に設けられる。
図1に示すように、コレット20は、円筒状に形成される基材24と、基材24の内周面に固定される把持材25と、を備える。基材24及び把持材25は、それぞれ3つの片部23a,23b,23cに分割されている。
把持面25aの算術平均粗さは、例えば、0.3μm〜0.8μmに設定されることが好ましい。これにより、把持面25aは微少な凹凸状に形成される。把持面25aが微少な凹凸状に形成されることにより、把持面25aのワークWの外周面への接触面積が減少し、把持材25がワークWを把持する把持力を高めることができる。また、把持面25aの凹凸は微少であるため、把持材25がワークWを把持する際に把持面25aがワークWを傷つけることが抑制される。
また、把持面25aは、ブラスト(ショットブラスト)処理により粒状の投射材8(図5参照)が衝突することにより塑性変形して加工硬化した状態となる。すなわち、把持面25aは、複数の投射材8が衝突した衝突痕として凹凸状に形成される。把持面25aが加工硬化した状態にあるため、把持材25がワークWをより安定的に把持することができる。
さらに、ブラスト処理によれば、把持面に溝を加工する必要がないため、簡単に、かつ安価に、把持面25aを凹凸状に形成することができる。
まず、図4に示すように、コレット20の把持面25aは、図示しない研磨装置により平面状に研磨される。例えば、把持面25aにトラバース研磨が行われ、把持材25が超硬材からなる場合、トラバース切り込み量を少なくし、トラバース回数を多くする必要がある。このため、平面状に研磨された把持面25aの算術平均の表面粗さは0.1μm以下となる。この場合、平面状の把持面25aとワークWの接触面積が増え、ワークWが平面状の把持面25aに対して滑るおそれがある。
投射材8は、白色溶融アルミナで粒度♯120のものが使用される。投射材8の投射圧は2MPaに設定される。また、投射材8の投射時間は30秒に設定される。また、コレット20の把持径は直径30mmである。これらの条件のもと、算術平均の表面粗さが0.05μmである平面状の把持面25aにブラスト処理が施されると、把持面25aの算術平均の表面粗さは0.366μmとなった。ブラスト処理が施される前の算術平均の表面粗さが0.05μmである把持面25aにてワークWを把持した状態で、図示しないロードセルを用いて推力を測定すると、3773Nにて把持面25aに対するワークWの滑りが発生した。一方、ブラスト処理が施された後の算術平均の表面粗さが0.366μmである把持面25aにてワークWを把持した状態では、6000N以上の推力を加えても、把持面25aに対するワークWの滑りが発生しなかった。よって、ブラスト処理によるワークWの滑りの抑制効果が確認された。
また、ブラスト処理が施される前の把持面25aに、ブラスト処理ではなく、粗い砥石による研磨により算術平均の表面粗さを0.551μmとした。この場合では、4954Nにて把持面25aに対するワークWの滑りが発生した。よって、表面粗さを粗くする手法としては、粗い砥石による研磨よりもブラスト処理がワークWの滑りを抑制するために好適であることが確認された。
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)コレット20は、把持対象物の一例であるワークWを把持する把持材25を備える。把持材25は、ワークWに接触し、複数の投射材8が衝突した衝突痕として凹凸状に形成される把持面25aを備える。
この構成によれば、把持面25aが凹凸状に形成されることにより、把持面25aのワークWへの接触面積が減少し、把持材25がワークWを把持する把持力を高めることができる。よって、ワークWが把持面25aに対して滑ることが抑制される。このため、把持材25がワークWをより安定的に把持することができる。
また、把持面25aが加工硬化した状態にある。これによっても、把持材25がワークWをより安定的に把持することができる。
この構成によれば、把持材25がワークWをより安定的に把持することができる。
この構成によれば、把持面25aは、微少の凹凸状に形成されるため、把持面に凹状の溝を加工する場合に比べて、把持材25がワークWを把持する際に把持面25aがワークWを傷つけることが抑制される。
この構成によれば、工具5からワークWに加わる切削力が大きくなった場合でも、把持面25aが凹凸状に形成されるため、ワークWが把持面25aに対して滑ることが抑制される。よって、工具5のワークWへの1回の切り込み量を増やすことができ、1つのワークWを加工するのに要するサイクルタイムを短縮することができる。
この製造方法によれば、把持面25aが凹凸状に形成されることにより、把持面25aがワークWをより安定的に把持することができる。
また、コレット20の製造方法は、ブラスト処理工程の前に、把持面25aを研磨する研磨工程を含んでもよい。
この製造方法によれば、ブラスト処理工程の前に、把持面25aが研磨されるため、ブラスト処理による把持面25aの表面粗さをコントロールしやすい。
上記実施形態においては、把持材25は、基材24よりも硬い超硬合金により形成されていたが、これに限らず、基材24と同一の材質により形成されてもよい。
Claims (5)
- 把持対象物を把持する把持材を備え、
前記把持材は、前記把持対象物に接触し、複数の投射材が衝突した衝突痕として凹凸状に形成される把持面を備える、
コレット。 - 前記把持材を内周面に保持する筒状の基材を備え、
前記把持材は、前記基材よりも硬い超硬合金により形成される、
請求項1に記載のコレット。 - 前記把持面は、前記把持面の表面粗さが0.3μm〜0.8μmに設定されることにより凹凸状に形成される、
請求項1又は2に記載のコレット。 - 請求項1から3の何れか1項に記載のコレットと、
前記把持対象物であるワークを把持する前記コレットを縮径又は拡径させるコレットスリーブと、
前記コレット及び前記コレットスリーブとともに軸回転する主軸部と、
前記主軸部により軸回転される前記コレットに把持された前記ワークに接触することにより前記ワークを加工する工具と、を備える、
工作機械。 - コレットにおける把持対象物を把持するための把持面に複数の投射材が投射されることにより前記把持面を凹凸状に形成するブラスト処理工程を含む、
コレットの製造方法。
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