JP2021128019A - 金属部品、金属部品を有する時計用ムーブメント、時計用ムーブメントを有する時計、及び金属部品の製造方法 - Google Patents

金属部品、金属部品を有する時計用ムーブメント、時計用ムーブメントを有する時計、及び金属部品の製造方法 Download PDF

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【課題】寸法精度を上げることができるとともに、他部品を嵌合する際の変形部の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、嵌合力の向上を図ることができる金属部品を提供する。【解決手段】金属部品10は、他部品が挿入されることで嵌合可能な嵌合部80と、嵌合部80に設けられ、厚み方向の一端側から他端側に向けて嵌合部80が幅方向に離間するように傾斜する段状の傾斜部を備え、傾斜部は、嵌合部80における幅方向内側において他部品と嵌合する。【選択図】図2

Description

本発明は、金属部品、金属部品を有する時計用ムーブメント、時計用ムーブメントを有する時計、及び金属部品の製造方法に関する。
UV−LIGA(紫外線を用いたフォトリソグラフィ、電解めっき等による微細加工)や、転写法によるニッケル電鋳部品をはじめとする金属製時計部品の製造がなされている。また、軽量化や非磁性化や精度を求めて、シリコンやニッケル−リン電鋳といった脆性材料による時計部品も広く作られている。また、機械的構造に基づいて、多段構造を有する電鋳部品が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−46147号公報
しかしながら、これらの方法により製造される部品の多くは、歯車等の薄物であることから、比較的少数の歯が形成されたカナと呼ばれる軸が取り付けられることが多い。この場合、開口を有するこれらの部品に軸等を圧入する、又は、接着する等の方法が採られる。
通常のニッケル電鋳の場合、軸に対して硬度が低いため、その塑性変形を利用した圧入嵌合が一般的であるが、圧入により、出口側が盛り上がる場合が有る(図12、図13参照)。また、酷い場合には、部品の変形、破損をもたらすとともに、変形により寸法精度の低下を招くことになる。
また、シリコンやニッケル−リン合金等の脆性材料の場合、軸に対しては隙間を持った嵌合条件の下、接着による固定が主に用いられる。これら脆性材料の部品では、軸等が圧入された場合、部品が破損するため、歯車と軸との嵌合部は、加工公差を考慮した比較的大きな隙間を必要とする。このような場合、接着剤を塗布する際、接続部の量の加減が適正でない場合には、図14及び図15に示すように、接着剤のはみ出しや、部品の傾き等が生じることがあった。
また、アンクルに爪石を固定する場合にも、無理な圧入嵌合をすると、当接する端縁が盛り上がったりする可能性があり、酷い場合には、部品の変形、破損をもたらす場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、寸法精度を上げることができるとともに、他部品を嵌合する際の変形部の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、嵌合力の向上を図ることが可能な金属部品、金属部品を有する時計用ムーブメント、時計用ムーブメントを有する時計、及び金属部品の製造方法を提供することを目的とする。
第1の態様に係る金属部品は、電鋳又は無電解めっきにより所定の厚みに形成された金属部品であって、他部品が挿入されることで嵌合可能な嵌合部と、前記嵌合部に設けられ、前記厚み方向の一端側から他端側に向けて前記嵌合部が幅方向に離間するように傾斜する段状の傾斜部を備え、前記傾斜部は、前記嵌合部における幅方向内側において前記他部品と嵌合する。
第1の態様では、嵌合部に厚み方向の一端側から他端側に向けて傾斜する段状の傾斜部が設けられている。この傾斜部は、嵌合部における幅方向内側で他部品と嵌合する。この傾斜部の一端側は他部品との距離が小さい側(孔であれば小径側)となり、傾斜部の他端側が他部品との距離が大きい側(孔であれば大径側)となる。
第1の態様によれば、嵌合部のはめあい公差は、小径側(他部品との距離が小さい側)で決定されることになるので、大径側(他部品との距離が大きい側)で決定する場合よりも、公差を小さなものに設定することができ、結果として、寸法精度を上げることができる。
また、寸法精度を上げることができることで、結果として、他部品を嵌合する際の変形部の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、嵌合力の向上を図ることができる。さらに、嵌合部に、厚み方向の一端側から他端側に向けて傾斜する傾斜部を備えていることで、金属部品の傾斜部と、嵌合する他部品の表面との間に空間を設けることができる。これにより、他部品を嵌合する際に接着剤を用いる場合には、接着剤を傾斜部と他部品の表面との間の空間に納めることができ、接着効果を高めることができるとともに、外側への接着剤の流出を防ぐことができる。
第2の態様に係る金属部品は、第1の態様において、前記傾斜部は、前記厚み方向の中程から前記他端側にかけて傾斜する第1傾斜部と、前記一端側から前記中程にかけて傾斜する第2傾斜部とを備え、少なくとも前記第1傾斜部の前記一端側が前記他部品と嵌合する。
第2の態様は、嵌合部において第1傾斜部及び第2傾斜部の2段の傾斜部を設けることを特徴とする。ここで、傾斜部のおける傾斜面の位置精度は、金属部品の厚さが小さくなるほど、精度を向上させることができるため、同一の厚さであれば、一つの傾斜面よりも、当該厚さを二分した段状の傾斜面の方が、精度を向上させることができる。
すなわち、二つの傾斜部を有することで、はめあい公差としての寸法許容差を小さくすることができ、一つの傾斜部の場合よりも、寸法精度を向上させることができる。このように寸法精度を向上させることができることで、さらに、他部品を嵌合する際の変形部分の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、さらに嵌合力の向上を図ることができる。
第3の態様に係る金属部品は、第2の態様において、前記他部品は、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部のそれぞれと嵌合する。
第3の態様によれば、第1傾斜部と第2傾斜部との両方の端縁で他部品との嵌合が可能となり、1つの傾斜部の端縁で他部品と嵌合するような場合と比較して、嵌合力の向上を図ることができる。
第4の態様に係る金属部品は、第2の態様又は第3の態様において、前記他部品の挿入方向下流側には、前記他部品と接着させるための接着剤の余りを溜める接着剤溜まり部を備える。
第4の態様では、嵌合部において、第1傾斜部と第2傾斜部との2つの傾斜部を有していることで、他部品との接着に際して次の効果を奏する。すなわち、他部品を嵌合部に挿入する際に接着剤の量が多い場合は、他部品の挿入方向下流側において傾斜部と他部品の表面との間の空間が接着剤貯まり部として機能する。すなわち、第4の態様によれば、他部品の接着効果を高めることができると共に、外側への接着剤の流出を防ぐことができる。
第5の態様に係る金属部品は、第1態様から第4の態様までのいずれか1つの態様において、前記傾斜部の傾斜面の角度は、前記厚み方向に対し、2度以上10度以下である。
傾斜部の各段における傾斜面の角度が厚み方向に対して2度未満であると、厚み方向の一端側と他端側とで、嵌合部の離間距離の差が僅かとなり、一端側と他端側とで寸法精度の向上が期待できず、嵌合力の向上が望めない。一方、各傾斜面の角度が、厚み方向に対して10度を超えると、傾斜部が鋭角に尖った状態となり、強度を維持することができず、簡単に割れたり、破損したりして嵌合力を維持することができない。これに対し、第5の態様によれば、各傾斜面の角度が、厚み方向に対し、2度以上10度以下とすることにより、寸法精度の向上及び割れや破損の抑制を両立させることが可能であって、他部品を嵌合させる嵌合力を向上させることができる。
第6の態様に係る時計用ムーブメントは、第1の態様から第5の態様までのいずれか1つの態様の金属部品を有する。
第6の態様によれば、金属部品と他部品との嵌合力を向上させることができ、低コストで衝撃に強い時計用ムーブメントを提供することができる。
第7の態様に係る時計は、第6の態様の時計用ムーブメントを有する。
第7の態様によれば、金属部品と他部品との嵌合力を向上させることができ、低コストで衝撃に強い時計を提供することができる。
第8の態様は、第1の態様から第5の態様までのいずれか1つの態様の金属部品の製造方法であって、基板上に第1のフォトレジスト層を第1の厚みに塗布する第1の塗布工程と、第1のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層を部分的に露光する第1の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層の上に第2のフォトレジスト層を第2の厚みに塗布する第2の塗布工程と、第2のフォトマスクを通して前記第2のフォトレジスト層を部分的に露光する第2の露光工程と、露光した前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して前記基板を露出させると共に、前記金属部品の外形形状を有する開口部を備えた成形型を形成する現像工程と、前記成形型を電鋳液に浸漬し通電して電鋳処理を行うことで、又は前記成形型を無電解めっき液に浸漬し無電解めっき処理を行うことで、前記開口部の内部に金属を析出させて前記成形型に沿って所望の厚みの金属体を成型する成型工程と、前記金属体の厚みが前記所定の厚みとなるように厚み調整を行う厚み調整工程と、前記フォトレジスト層及び前記基板を除去して金属部品を得る除去工程と、を備える。
第8の態様によれば、第1の露光工程と、第2の露光工程とを備えていることで、段差を有する2段構造を設けた金属部品を製造することができる。
本発明によれば、寸法精度を上げることができるとともに、他部品を嵌合する際の変形部の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、嵌合力の向上を図ることができる。
(A)〜(F)は、本発明の第1の実施形態であって、成形型の製造方法を示す図である。 (A)及び(B)は、本発明の第1の実施形態であって、金属部品の製造方法を示す説明図である。 (A)〜(C)は、本発明の第1の実施形態であって、金属部品にカナ付き軸を打ち込む工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態であって、成形型を示す説明図である。 (A)〜(C)は、本発明の第2の実施形態であって、金属部品に接着剤を用いてカナ付き軸を打ち込む工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態であって、金属部品に接着剤を用いてカナ付き軸を打ち込んだ工程を示す説明図である。 (A)及び(B)は、本発明の第4の実施形態であって、アンクルに爪石を嵌合する前の状態を示す説明図である。 (A)〜(C)は、本発明の第4の実施形態であって、アンクルに爪石を嵌合している状態を示す説明図である。 (A)〜(C)は、本発明の第5の実施形態であって、接着剤を用いてアンクルに爪石を嵌合している状態を示す説明図である。 (A)及び(B)は、本発明の理解を深めるための補足説明を示す説明図である。 (A)〜(C)は、本発明の理解を深めるための補足説明を示す説明図である。 (A)及び(B)は、従来の金属部品にカナを打ち込む工程を示す説明図である。 (A)及び(B)は、従来の金属部品にカナを打ち込む工程を示す説明図である。 (A)及び(B)は、従来の金属部品に接着剤を用いたカナを打ち込む工程を示す説明図である。 (A)及び(B)は、従来の金属部品に接着剤を用いたカナを打ち込む工程を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲がある場合、数値範囲は「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(第1の実施形態)
図1(A)〜(F)を用いて、第1の実施形態に係る成形型64の製造方法、図2(A)(B)を用いて、第1の実施形態に係る金属部品10の製造方法について説明する。本実施形態では成形型64として電鋳型を製造し、成形型64を用いた電鋳により金属部品10を製造している。
本実施形態に係る金属部品10は、例えば、歯車、アンクル、ガンギ車等の時計用ムーブメントの部品に該当する。本実施形態の金属部品10は、第1の塗布工程、第1の露光工程、第2の塗布工程、第2の露光工程、現像工程、成型工程、厚み調整工程、除去・分離工程を経て製造される。以下、これらの各工程について詳細に説明する。
なお、本実施形態に係る金属部品10は、軸体等の他部品が嵌合可能な貫通孔である嵌合部80(図2参照)を備えている。この嵌合部80には、後述するように、下方側から上方側に向けて傾斜し、下方側が他部品と嵌合する傾斜部(第1傾斜部81及び第2傾斜部82)を備えている(図2参照)。ここで、下方側は厚さ方向の一端側に相当し、上方側は厚さ方向の他端側に相当する。
第1の塗布工程では、図1(A)に示すように、シリコンウエハ51の一面に導電膜52を形成して基板50を得る。導電膜52は、例えば、金、銅、クロム、ニッケル、チタン等の金属を用いるが、複数の膜から構成されていてもよい。また、形成方法としても、真空蒸着法、スパッタリング法等の気相めっき法による方法や、無電解めっき法等の湿式めっき法を採用してもよい。さらに、その膜厚は、数nmから数μmの範囲であることが好ましい。
次に、基板50上にフォトレジストを塗布することにより、図1(B)に示す第1の厚さの第1のフォトレジスト層を形成する。本実施形態における第1の厚さは50μmである。塗布方法としては、液状フォトレジストを用いたスピンコート法、印刷法等があるが、フィルム状フォトレジストであるドライフィルムフォトレジストを熱圧着等により貼付する方法もこの工程に採用することができる。また、フォトレジストとしてネガタイプ、ポジタイプのいずれも適用できるが、本実施形態ではネガタイプのフォトレジストを使用した例について述べる。
次に、第1の露光工程を行う。第1の露光工程では、第1のフォトマスク(図示省略)を用いて露光を行うことにより、露光部61を形成する。
次に、第2の塗布工程では、図1(C)に示すように、第1の塗布工程で使用したフォトレジストと同じフォトレジストを第1のフォトレジスト層53上に塗布することにより、第2の厚さの第2のフォトレジスト層54を形成する。本実施形態における第2の厚さは50μmであるが、これに限らず、第1のフォトレジスト層と異なる厚さでもよい。以上のように形成された2層のフォトレジスト層53、54は、図1(D)に示すように、フォトレジストの未露光部62と、露光部61となる。
ここで、露光部61の両側の側端面には、後述する金属部品10の第2傾斜部82に対応する第2テーパー部57が形成されている。第2テーパー部57は、上方に向かうにつれて露光部61に対して幅方向外側に向かうように傾斜しており、その角度は2度以上、且つ10度以下となるように設定されている。
なお、このテーパー(傾斜面)の角度は、後述するように所定の解像度を有する適正な
フォトレジスト材料の選択と、フォトレジスト及びフォトマスクの間隔の調整を行うことにより、得られているものである。
なお、ここで、LIGA法による電鋳型の製造では、X線による露光方法と、紫外線による露光方法が行われている。
X線による露光では、使用される波長が、使用するフォトレジストの厚み等に対して十分短いため、高い解像度を有する電鋳型を提供できる。しかし、X線による露光では、X線源等に高額な設備を必要とする。
紫外線による露光法では、通常のフォトリソグラフィに使用する設備で対応できる。しかし、使用する波長が比較的長いため、紫外線の拡散や干渉等の影響が現れるので解像度において十分でない。フォトレジストとフォトマスクとの間に間隙がある場合、この影響が著しく、特にフォトレジストが厚くなると、フォトレジストの表面に凹凸やうねりが生じやすくなる。そのため、解像度に問題を来す場合がある。また、厚い部品に対して厚さ方向に対して、テーパー(傾斜面)がつく。
本実施形態では、解像度が非常に高くテーパー(傾斜面)の角度が小さくなるエポキシ樹脂タイプのフォトレジストを用いずに、アクリルタイプの適正なフォトレジスト材料を用いている。そして、フォトレジストとフォトマスクとの適正間隔を調整することで、上述した厚さ方向に対して、前記テーパー(傾斜面)の角度が2度以上10度以下となるように設定している。
次に第2の露光工程を行う。第2の露光工程では、第2の露光パターンが描かれた第2のフォトマスク(図示省略)を用いて露光を行うことにより、図1(E)に示すように露光部61と、現像後に金属部品の形状の開口部となる未露光部62とを得る。ここで、幅方向中央付近では、第1のフォトレジスト層53により形成される下段側の露光部61の上に、第2のフォトレジスト層54による略同一形状の上段側の露光部61が、上側に載置されているような状態で形成されている。
なお、第2のフォトレジスト層54により形成される露光部61の両側端面には、上述した第2テーパー部57と同様の形状であって、後述する金属部品10の第1傾斜部81に対応する第1テーパー部56が形成されている。この第1テーパー部56も、上方に向かうにつれて露光部61に対して幅方向外側に向かうように傾斜しており、その角度も、上述した第2テーパー部57と同様に、2度以上、且つ10度以下となるように設定されている。
なお、このテーパー(傾斜面)の角度も、第1テーパー部56と同様に所定の解像度を有する適正なフォトレジスト材料の選択と、フォトレジスト及びフォトマスクの間隔の調整を行うことにより、得られているものである。
次に、現像工程を行う。図1(F)に示すように、現像工程では、図示しない現像液により未露光部62を現像することにより除去する。これにより、底部に導電膜52を露出した金属部品の外径形状を有する開口部55と、これを囲む絶縁体となるフォトレジスト層63が得られ、現像工程が終了すると、電鋳型である成形型64が完成する。
次に、成型工程を行う。まず、成形工程では、成形型64を図示しない無光沢硫酸銅めっき液内に浸漬し、通電することにより、成形型64の開口部55の底面で露出している導電膜52の表面に自乗平均表面荒さ約300nm〜5μmの厚みを有する無光沢銅めっき層を形成する。この無光沢銅めっき層は、導電性を有する部分である導電膜52上のみに形成されるもので、成形型64のフォトレジスト層63の表面に形成されることはない。
次に、上述しためっき層を形成した後、充分水洗いされた成形型64を図示しないスルファミン酸ニッケル系電鋳液内に浸漬し、導電膜52を介して通電することにより成形型64の開口部55の底部で露出している無光沢銅めっき層上にニッケル電鋳を行う。これにより、開口部55の内部にニッケルが析出されて、図2(A)に示す成形型64に沿った、金属体11が形成される。ニッケル電鋳は所望の厚さになるまで、具体的には開口部55を隙間無く充填するまでなされ、金属体11の一部は、フォトレジスト層63上に至るようにする。
次に、厚み調整工程を行う。電鋳工程終了後、金属体11が形成された成形型64を電鋳液から取り出し充分洗浄する。その後、金属体11の表面のうち不要部を研削装置や研磨装置を用いることにより除去し、厚み調整及び表面平滑化を行うことにより、図2(A)に示す厚みや表面状態が整った金属体11を得る。この工程により、金属部品10として形状、厚み等の寸法が整えられたニッケルからなる金属体11と、フォトレジスト層63と、銅めっき層(図示せず)と、基板50とからなる成形基板13を得る。
最後に、除去・分離工程を行う。厚み調整工程を得た成形基板13を洗浄した後、成形基板13を図示しないレジスト剥離液に浸漬してフォトレジスト層63を除去することにより、金属体11と、銅メッキ層(図示せず)と、基板50とからなる成形基板13を得る。
次に、成形基板13を銅エッチング液である過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬することにより、銅めっき層(図示せず)を端面方向からいわゆるサイドエッチングにより除去する。これにより、図2(B)に示すニッケル電鋳体からなる所定の厚さの金属部品10を製造することができる。ここで、所定の厚さは、第1のフォトレジスト層の厚さ(第1の厚さ)と第2のフォトレジスト層の厚さ(第2の厚さ)との和となる。
この金属部品10の幅方向中央に形成された嵌合部80の内面には、金属部品10の厚み方向の下方側から上方側に向けて傾斜し、下方側が他部品と嵌合する傾斜部(具体的には、第1傾斜部81及び第2傾斜部82)を備えている。
この傾斜部は、金属部品10の上方側から中程にかけて傾斜する第1傾斜部81と、中程から下方側にかけて傾斜する第2傾斜部82とを備えている。
ここで、第2傾斜部82の幅方向内側の位置は、第1傾斜部81の幅方向内側の位置に等しい。この場合、金属部品10の厚さ方向を第1傾斜部81と第2傾斜部82とで二分し、傾斜面の角度が同一である場合には、各傾斜部(第1傾斜部81、第2傾斜部82)の下方側の端縁は、縦方向(鉛直方向)の同一線上にあることになり、他部品を嵌合部80に挿入すると、第1傾斜部81及び第2傾斜部82の両方の下方側の端点が他部品と当接して嵌合することになり、1カ所で嵌合するよりも、より強く嵌合することができるものである。
本実施形態では、第1傾斜部81及び第2傾斜部82の幅方向内側の位置が略同一位置に形成されているため、幅方向中央の嵌合部80に軸体等の他部品を挿入すると、第1傾斜部81及び第2傾斜部82の両方が、他部品と当接して嵌合される。もちろん、これに限定されるものではなく、少なくともいずれか一方、具体的には、第1傾斜部81の下側が他部品と嵌合するように形成されてあればよい。
図3(A)〜(C)は、本発明の第1の実施形態であって、上述したように図1(A)〜(F)で説明した成形型64を用いて、図2(B)で説明した金属部品10を製造し、当該金属部品10にカナ付き軸91を打ち込む工程を示すものである。
図3(A)に示す金属部品10に、図3(B)に示すように、下方から他部品としてのカナ付き軸91を打ち込む場合について説明する。
本実施形態に係る嵌合部80は、第1傾斜部81と第2傾斜部82との2段構成となっている。そのため、カナ付き軸91を打ち込んだ場合、第1傾斜部81の下方側と、第2傾斜部82の下方側との2カ所により、強固に締まった状態でカナ付き軸91を保持することが可能となる。
また、第1傾斜部81及び第2傾斜部82は、上方に向けて拡径するように傾斜していることで、下方からカナ付き軸91が押し込まれても、上方に向かって拡径する各傾斜部とカナ付き軸91表面との間の空間に塑性変形した領域が収まる(図3(C)参照)。これのより、金属部品10の上端から、塑性変形した第1傾斜部81の一部がはみ出たり突出してバリを形成することを抑えることができる。
本実施形態は、上述したような構成を有することで下記に示すような作用及び効果を奏する。
本実施形態によれば、嵌合部80には、下方側から上方側に向けて拡径する方向に傾斜し、下方側が軸体等の他部品と嵌合する段状の傾斜部を備えている。すなわち、各傾斜部(第1傾斜部81及び第2傾斜部82)において下方側から上方側にテーパー(傾斜面)が付いていることになり、このテーパー(傾斜面)の下方側がカナ付き軸91に嵌合することになる。このテーパー(傾斜面)の下方側は、他部品であるカナ付き軸91との距離が小さい小径側であり、テーパー(傾斜面)の上方側が、カナ付き軸91との距離が大きい側(大径側)となる。
これにより、嵌合部80のはめあい公差は、小径側(他部品としてのカナ付き軸91との距離が小さい側)で決定されることになるので、大径側(他部品としてのカナ付き軸91との距離が大きい側)で決定する場合よりも、公差を小さなものに設定することができ、結果として、寸法精度を上げることができる。
また、寸法精度を上げることができることで、結果として、他部品としてのカナ付き軸91を嵌合する際の変形部の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、嵌合力の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、嵌合部80を第1傾斜部81と第2傾斜部82との2段構成とすることを特徴としている。ここで、LIGA法による電鋳型である成形型64を用いて製造される金属部品10において、嵌合部80の傾斜面の位置精度は、金属部品10の厚さが小さくなるほど、精度を向上させることができる。そのため、金属部品10の厚さが同一であれば、一つの傾斜面よりも、当該厚さを二分した段状の傾斜面の方が、精度を向上させることができる。
すなわち、本実施形態では二つの傾斜部として第1傾斜部81及び第2傾斜部82を有することで、はめあい公差としての寸法許容差を小さくすることができ、一つの傾斜部の場合よりも、寸法精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、嵌合部80を段状とし、さらに寸法精度を向上させることで、他部品としてのカナ付き軸91を嵌合する際の変形部分の外側へのはみ出しを抑え、部品としての変形を小さくすることができ、さらに嵌合力の向上を図ることができる。例えば、なお、図12は内径が設計誤差以上に縮径している嵌合部80にカナ付き軸91を挿入した場合において、変形部分が嵌合部80からはみ出した例である。また、図13は段状の傾斜面を有しない嵌合部80であって、拡径側からカナ付き軸91を挿入した場合において、変形部分が嵌合部80からはみ出した例である。
また、本実施形態によれば、第1傾斜部81と第2傾斜部82との両方の端縁でカナ付き軸91との嵌合が可能となり、1つの傾斜部の端縁で他部品と嵌合するような場合と比較して、嵌合力の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、第1傾斜部81及び第2傾斜部82の各傾斜面の角度を2度以上10度以下に設定している。各傾斜面の角度が、厚み方向に対して2度未満であると、厚み方向の下方側と上方側とで、幅方向の距離の差が僅かとなり、下方側と上方側とで寸法精度の向上が期待できず、上述したような嵌合力の向上が望めない。一方、各傾斜面の角度が、厚み方向に対して10度を超えると、各傾斜部の端縁が鋭角に尖った状態となり、強度を維持することができず、簡単に割れたり、破損したりして、上述したような嵌合力を維持することができない。これに対し、本実施形態によれば、各傾斜面の角度が、厚み方向に対し、2度以上10度以下とすることにより、寸法精度の向上及び割れや破損の抑制を両立させることが可能であって、他部品を嵌合させる嵌合力を向上させることができる。
なお、各傾斜面の角度は、嵌合部80の変形を伴う本実施形態の嵌合の場合、望ましくは2〜4度に設定することにより、金属部品10の割れが抑制されつつ、嵌合力を確保することができる。
本実施形態の金属部品10を歯車、アンクル、ガンギ車等に適用することにより、時計用ムーブメントを製造することができる。本実施形態によれば、金属部品10と他部品との嵌合力を向上させることができ、低コストで衝撃に強い時計用ムーブメントを提供することができる。また、この時計用ムーブメントにより時計を製造することができる。この場合も低コストで衝撃に強い時計を提供することができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態を示すものであって、第1の実施形態とは、成形型64の形状が異なるものである。また、第1の実施形態では、金属部品10に対してカナ付き軸91を打ち込むことにより、両者を嵌合しているが、本実施形態では、両者を接着することにより固定させている。
具体的には、第1の実施形態では、図示しないフォトマスクの形状により、第1のフォトレジスト層53で形成される露光部61と、第2のフォトレジスト層54で形成される露光部61とが、同一形状であった。これに対し、本実施形態では、第1のフォトレジスト層53で形成される幅方向中央下方側の露光部61が、第2のフォトレジスト層54で形成される幅方向中央上方側の露光部61よりも大きく形成されている。
図4に示す本実施形態に係る成形型64を用いて、金属部品10を製造すると、図5(A)に示すようなものとなる。本実施形態の金属部品10では、他部品としてのカナ付き軸91一端側(図5の下方側)から挿入する場合において、第2傾斜部82間の間隔を、第1傾斜部81の間隔より広く設定している。
このように本実施形態の傾斜部としての嵌合部80を2段構成とすることで、金属部品10の下方側から他部品としてのカナ付き軸91を挿入し、接着剤92で金属部品10とカナ付き軸91とを接着させる場合に以下の作用効果を奏する。具体的に、本実施形態では、第2傾斜部82とカナ付き軸91の表面との間の空間を接着剤92の充填部71として機能させ、第1傾斜部81とカナ付き軸91の表面との間の空間を接着剤92の余りを溜める接着剤溜まり部70としての機能させることができる。
例えば、図5(B)に示すように、接着剤92を軸部の周囲に塗布したカナ付き軸91を下方側から嵌合部80に押し込むと、接着剤92の大部分は、第2傾斜部82とカナ付き軸91の表面との間の充填部71に収めることができる。そして、本実施形態では、充填部71の上方側に接着剤溜まり部70を有していることで、充填部71に納めることができなかった接着剤92の余りを当該接着剤溜まり部70に納めることができる。これにより、金属部品10とカナ付き軸91との接着効果をより高めることができる。
図6は、本実施形態において、図5(C)に示される接着剤92の量よりも少ない接着剤92を用いた場合であって、接着剤溜まり部70の一部だけに余った接着剤92が収まっている状態を示している例である。接着剤92の塗布量が少ない場合であっても、充填部71に満たされる限りにおいては、金属部品10とカナ付き軸91との接着強度を確保することができる。
また、図5(A)に示すように、本実施形態では第1傾斜部81及び第2傾斜部82がカナ付き軸91の引き抜き方向(図の下方側)に向かうにつれて、幅方向内側に傾斜している。そして、図5(C)に示すように、硬化した接着剤92がくさび状形状となっている。これにより、挿入物であるカナ付き軸91が金属部品10から引き抜かれようとした場合、金属部品10に対して接着剤92がくさびとして作用する。本実施形態の金属部品10によれば、カナ付き軸91を接着固定した際の引き抜き強度を向上させることができる。
なお、第1傾斜部81及び第2傾斜部82の角度は、接着剤92を用いる本実施形態の嵌合では、2〜4度に設定することが好ましいが、金属部品10の厚さが薄い場合は、角度が大きい方がくさびとしての効果が大きくなる。
また本実施形態によれば、接着剤92の量の加減が適正でない場合、例えば、接着剤92を適正よりも多く使用した場合であっても、接着剤のはみ出しや、部品の傾き等の発生を抑えることができる。例えば、図14は傾斜面を有しない嵌合部80にカナ付き軸91を挿入した場合において、塗布した接着剤92の量が多く、嵌合部80からはみ出した例である。また、図15は段状の傾斜面を有しない嵌合部80にカナ付き軸91を挿入した場合において、塗布した接着剤92の量が多く、嵌合部80からはみ出した例である。
以上、本実施形態の金属部品10は、第1傾斜部81とカナ付き軸91の表面との間に接着剤溜まり部70を設け、第2傾斜部82とカナ付き軸91の表面との間に充填部71を設けることができる。これにより、他部品としてのカナ付き軸91を嵌合する際に接着剤92を用いる場合において、接着剤92を嵌合部80とカナ付き軸91の表面との間の空間に納めることができる。また、カナ付き軸91を嵌合部80に挿入する際に接着剤92の量が多い場合は、カナ付き軸91の挿入方向下流側である上方側に設けられた接着剤貯まり部70に溢れた接着剤92を収めることができる。すなわち、本実施形態によれば、接着効果を高めることができるとともに、外側への接着剤92の流出を防ぐことができる。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に寸法精度を上げることができる。そして、接着剤92を傾斜部である嵌合部80と他部品としてのカナ付き軸91との間に納めることにより、接着効果を高めるとともに、外側への流出を防ぐことが可能な金属部品10を提供することができる。また本実施形態の金属部品10を用いて時計用ムーブメントや、当該時計用ムーブメントを有する時計を製造した場合、低コストで衝撃に強い時計を提供することができる。
(第3の実施形態)
第2の実施形態の金属部品10は、成形型64を用いた電鋳により製造されていたが、本実施形態の金属部品10は、無電解めっきにより製造するものである。
本実施形態の金属部品10についても上記の実施形態と同様に、第1の塗布工程、第1の露光工程、第2の塗布工程、第2の露光工程、現像工程、成型工程、厚み調整工程、除去・分離工程を経て製造される。第1の塗布工程、第1の露光工程、第2の塗布工程、第2の露光工程及び現像工程の詳細は、第1の実施形態で説明したとおりである。
なお、電鋳により金属部品10を製造する場合は、シリコンウエハ51に導電膜52を形成した基板50を使用したが、無電解めっきにより金属部品10を製造する場合、基板50に対して導電膜52は必須ではない。ただし、無電解めっきの開始を促進するため、導電膜52が存在することが好ましい。また、導電膜52を設けない場合は、除去・分離工程において、金属体11からシリコンウエハ51を分離可能すべく、導電膜52に代えて300nm〜5μm程度の銅めっき層を形成するのが好ましい。これにより、除去・分離工程において、成形基板13を銅エッチング液である過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬することで、銅めっき層である導電膜52を端面方向からいわゆるサイドエッチングにより除去することができ、成形基板13からシリコンウエハ51を分離することができる。
また、本実施形態では、電鋳により金属部品10を製造する場合に対して、成型工程が相違する。成形工程では、充分洗浄された成形型64を図示しないニッケル−リン系無電解めっき液内に浸漬することにより、成形型64における開口部55の底部の基板50上に無電解めっき処理を行う。これにより、開口部55の内部にニッケル−リン合金が析出されて、成形型64に沿った、金属体11が形成される。ニッケル−リン合金は所望の厚さになるまで、具体的には開口部55を隙間無く充填するまで析出させ、金属体11の一部は、フォトレジスト層63上に至るようにする。
その後、厚み調整工程及び除去・分離工程を経て、図5(A)に示すニッケル−リン合金からなる金属部品10が製造される。この金属部品10を構成する金属体11は非晶質であり、磁性的には非磁性である。
無電解めっきにより形成されたニッケルーリン合金は、電解ニッケルめっきと比べて、非磁性ではあるが、脆く、図12に示した従来の構造では、割れ等が発生するため機械的嵌合が困難である。これに対して、本実施形態の金属部品10は、カナ付き軸91を挿入しても割れ等、嵌合に伴う不具合は生じなかった。
本実施形態では、他部品であるカナ付き軸91やその他の主要部品を非磁性材料で製造することにより、低コストで衝撃に強い点に加えて、耐磁性に優れた時計用ムーブメントや、当該時計用ムーブメントを提供することができる。
(第4の実施形態)
図7及び図8は、第4の実施形態であって、ニッケル電鋳により作られる金属部品10としてのアンクル101に接着剤を用いずに爪石102を嵌合する場合の嵌合前後の状態を示す説明図である。アンクル101に爪石102を嵌合する前の状態が図7(A)であって、図7(A)のP1−P1断面図が図8(B)に示されている。
このアンクル101は、機械式腕時計の駆動機構であるムーブメントに用いられるものである。アンクル101は、振り中心となるアンクル軸部103とアンクル101の振動を一定に保つための図示しないひげゼンマイ等からなる機構に繋がっている。アンクル101はアンクル軸部103を中心に振動する際に、図示しないがんぎ車を一方向に回転させるための2個の爪石102を含んでいる。
このアンクル101は、金属部品10であって、他部品としての爪石102を嵌合するための第1の実施形態と略同様な構成を有する嵌合部80を有している。
そして、本実施形態の嵌合部80は、第1の実施形態と同様に第1傾斜部81及び第2傾斜部82を有している。
なお、図7(A)に示すように、本実施形態では、爪石102を嵌合部80の開口側(図7の下方側)から差し込んで嵌合することができるように形成されている。爪石102は、アンクル101の嵌合部80の構造によるバネ力により保持される。
爪石102を嵌合部80に圧入・嵌合している状態が図8(A)であって、図8(A)のQ1−Q1断面図が図8(B)に示され、Q2−Q2断面図が図8(C)に示されている。
本実施形態においても、第1の実施形態と略同様の構成を有し、同様の作用効果を奏することができる。
(第5の実施形態)
本実施形態は、第4の実施形態において、接着剤92を用いて、爪石102を金属部品10としてのアンクル101の嵌合部80に嵌合させている。
爪石102を嵌合部80に嵌合させている状態が図9(A)であって、図9(A)のR1−R1断面図が図9(B)に示され、R2−R2断面図が図9(C)に示されている。
本実施形態においても、第1の実施形態と略同様の構成を有し、同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態においても、接着剤92を充填する充填部71と、接着剤92の余りを溜める接着剤溜まり部70を備えている。したがって、本実施形態においても、接着剤溜まり部70を有する第2の実施形態と略同様の構成を有し、同様の作用効果を奏することができる。
(本発明の理解を深めるための補足説明)
図10(A)及び(B)は、本発明の理解を深めるための補足説明を示す説明図である。金属部品10の製造において、嵌合部80の内径側の端面形状は、平面部に対して完全な垂直ではなく、ある角度を有しており、図10(A)に示すような加工状態の変動により、その端面の傾斜角度はバラツキを有している。
例えば、各実施形態に係るLIGA加工では、露光時の光の回析や強度、現像時の溶解状態等が変動要因となる。
これを図示すると、ばらつきは、部品の厚さtに比例することがわかる。図10(B)は、段状を有さない一の傾斜面からなる嵌合部80を備えた鋳造部品110の例である。図10(B)に示すように、鋳造部品110の嵌合部80における寸法のバラツキは、
φB1−φB2=2t×(tanθ1−tanθ2)となる。
一方、各実施形態の嵌合部80は、多段形成をするため、1段あたりの部品の厚さtが小さくなるため、部品としての合計の厚さを変更することなく、寸法ばらつきを抑制することが可能となる。
具体的には、図10(A)に示すように、金属部品10の嵌合部80寸法のバラツキは、
φA1−φA2=t×(tanθ1−tanθ2)となる。
厚み1/2tの2段品を用いて計算をしてみると、寸法のバラツキが1/2となっていることが分かる。
さらに、各実施形態のように複数の傾斜部を有する多段構成の場合は、それぞれの段において、露光を行うため、それぞれの段のフォトマスク位置が少しでもずれると、別の誤差要因として形状のバラツキとなる。すなわち、図11(B)に示すように上下のバラツキを全く同一にすることは容易ではない。
これを抑制するためには、図11(A)に示すように、複数の段のうち、いずれか1つの段(図11(A)では上段)は、必要な形状とし、その他の段(図11(A)では下段)は、部品にした際に小さくなるような形状とすることで、部品としては常に一の傾斜部の誤差Aの範囲で抑えることができる。
図11(C)は、段状を有さない一の傾斜面からなる嵌合部80を備えた鋳造部品110の例である。図11(C)に示すように嵌合部80を多段構成としない場合、各実施形態の傾斜部と同一角度の誤差が発生しても、誤差Aよりも大きい誤差Bとなる。
なお、第4及び第5の実施形態では、時計部品として、アンクルの例が示されているが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、がんぎ車や、ひげぜんまいや、通常の歯車等の時計部品にも本発明を適用することができる。
なお、実施形態を挙げて本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 金属部品
11 金属体
13 成形基板
50 基板
51 シリコンウエハ
52 導電膜
53 第1のフォトレジスト層
54 第2のフォトレジスト層
55 開口部
56 第1テーパー部
57 第2テーパー部
61 露光部
62 未露光部
63 フォトレジスト層
64 成形型
70 接着剤貯まり部
71 充填部
80 嵌合部
81 第1傾斜部
82 第2傾斜部
91 軸
92 接着剤
101 アンクル
102 爪石
103 アンクル軸部

Claims (8)

  1. 電鋳又は無電解めっきにより所定の厚みに形成された金属部品であって、
    他部品が挿入されることで嵌合可能な嵌合部と、
    前記嵌合部に設けられ、前記厚み方向の一端側から他端側に向けて前記嵌合部が幅方向に離間するように傾斜する段状の傾斜部を備え、
    前記傾斜部は、前記嵌合部における幅方向内側において前記他部品と嵌合する金属部品。
  2. 前記傾斜部は、前記厚み方向の中程から前記他端側にかけて傾斜する第1傾斜部と、前記一端側から前記中程にかけて傾斜する第2傾斜部とを備え、
    少なくとも前記第1傾斜部の前記一端側が前記他部品と嵌合する請求項1に記載の金属部品。
  3. 前記他部品は、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部のそれぞれと嵌合する請求項2に記載の金属部品。
  4. 前記他部品の挿入方向下流側には、前記他部品と接着させるための接着剤の余りを溜める接着剤溜まり部を備える請求項2又は請求項3に記載の金属部品。
  5. 前記傾斜部の傾斜面の角度は、前記厚み方向に対し、2度以上10度以下である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の金属部品。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の金属部品を有する時計用ムーブメント。
  7. 請求項6に記載の時計用ムーブメントを有する時計。
  8. 基板上に第1のフォトレジスト層を第1の厚みに塗布する第1の塗布工程と、
    第1のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層を部分的に露光する第1の露光工程と、
    前記第1のフォトレジスト層の上に第2のフォトレジスト層を第2の厚みに塗布する第2の塗布工程と、
    第2のフォトマスクを通して前記第2のフォトレジスト層を部分的に露光する第2の露光工程と、
    露光した前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して前記基板を露出させると共に、前記金属部品の外形形状を有する開口部を備えた成形型を形成する現像工程と、
    前記成形型を電鋳液に浸漬し通電して電鋳処理を行うことで、又は前記成形型を無電解めっき液に浸漬し無電解めっき処理を行うことで、前記開口部の内部に金属を析出させて前記成形型に沿って所望の厚みの金属体を成型する成型工程と、
    前記金属体の厚みが前記所定の厚みとなるように厚み調整を行う厚み調整工程と、
    前記フォトレジスト層及び前記基板を除去して金属部品を得る除去工程と、を備える請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の金属部品の製造方法。
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