JP2016138834A - 構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の構造体及びその製造方法は、煩雑で生産性が悪いという問題があった。【解決手段】シリコンを主成分とするひげぜんまい10におけるてん真(図示せず)と嵌合する貫通穴15と、貫通穴15の縁部に形成されるシリコンの(111)面が露出する第1の面(斜面)13とを備えことで、貫通穴15にてん真を嵌合しやすくなり、生産性を向上させることができる。また、嵌合穴15に、てん真を嵌合した際に第1の面(斜面)13の部分を嵌合穴15とてん真とを接着するための接着剤溜まりとして利用することができるため接着面積が増加する。これにより、接着強度が増大しひげぜんまい10とてん真との固定力を向上させることができる。【選択図】図1
Description
本発明は他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体及びその製造方法に関する。
近年、シリコンの異方性エッチングや等方性エッチングにおける各エッチング技術の研究が進められている。例えば、深掘りRIE(D−RIE:Deep−Reactive
Ion Etching)技術である。この深掘りRIE技術は、異方性エッチングの中でも特にアスペクト比が高いエッチングが可能なことから、これらの技術を用いてシリコンを主成分とする構造体の製造が試みられている。近年は、時計用部品に適用した例も開示されている。
Ion Etching)技術である。この深掘りRIE技術は、異方性エッチングの中でも特にアスペクト比が高いエッチングが可能なことから、これらの技術を用いてシリコンを主成分とする構造体の製造が試みられている。近年は、時計用部品に適用した例も開示されている。
従来、時計部品の製造では、例えば、てんぷを構成するてん輪やひげぜんまいのような部品をてん真と呼ばれる軸に押し込む圧入によって、部品を軸に取り付け固定することが知られている。
しかし、従来の圧入による部品の固定方法は、部品の材質が互いに金属材料である場合には適するが、一方がシリコン製の部品の場合は、シリコン製の部品が破損する危険性があるので、圧入によって部品同士を固定することが不可能であるという問題があった。
そこで、これらを防止するため、シリコン製の部品を破損することなく、他の部品に固定する技術が提案されている。一例をあげると、シリコン製のひげぜんまいに、てん真を取り付ける際に、シリコン製のひげぜんまいを破損することなく、固定する技術である(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示されているシリコン製のひげぜんまいの従来技術について説明する。
従来技術のシリコン製のひげぜんまいは、渦巻き状の形状をなす渦巻きばねであり、単結晶シリコンからなる板材をドライエッチングすることにより製造される。このシリコン製のひげぜんまいの中心付近に、てん真を嵌合するための軸穴を有するひげ玉が設けられており、この軸穴の一部に貫通しない凹部が形成されている。
前述のシリコン製のひげぜんまいに、てん真を取り付ける場合は、ひげ玉の軸穴に、金属製のてん真を所定の位置まで嵌合して、レーザ源による高エネルギー放射を使用して、軸を局部的に溶解する、またははんだを溶解して、軸穴に設けた凹部に溶融金属を充填して、その後、冷却することによりシリコン製のひげぜんまいと、てん真とを固定する。
これにより、シリコン製のひげぜんまいに、てん真を取り付ける際に、シリコン製のひげぜんまいを破損することなく、固定することができるようにしたものである。
しかし、特許文献1に示した従来技術は、ひげぜんまいの軸穴には、てん真を嵌合する
ための案内部が設けられておらず、軸穴に、てん真を嵌合する際にてん真が傾いて嵌め込まれることがあった。てん真が少しでも傾くと嵌合が難しいばかりか、ひげぜんまいの伸縮運動時に偏心が発生することがある。このため、生産性が悪いという問題があった。
ための案内部が設けられておらず、軸穴に、てん真を嵌合する際にてん真が傾いて嵌め込まれることがあった。てん真が少しでも傾くと嵌合が難しいばかりか、ひげぜんまいの伸縮運動時に偏心が発生することがある。このため、生産性が悪いという問題があった。
さらに、ひげぜんまいに、てん真を接合する部分にある接着剤等が入り込む部分は、軸穴の一部に設ける凹部である。この凹部は一方向に削り取られたような形状であると共に、サイズも小さい。このため、接着剤等を多く充填することができず、固定力が不充分となるおそれがあった。
以上、説明したように、特許文献1に示した従来技術を、他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体として用いることは難しい。
本発明の目的は、上記課題を解決するものである。構造体と他の部材との嵌合を容易にし、生産性を向上させることができる。また、構造体に他の部材を嵌合した際に接着強度を増大させることもできる。
上記課題を解決するため、本発明の構造体は、下記記載の構成を採用する。
他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体であって、構造体は、第1の平面とこれに対向する第2の平面とを有し、第1の平面は、シリコンの(100)面であり、他の部材と当接又は嵌合する部分は、第1の平面から第2の平面に向かって、シリコンの(111)面が露出する第1の面と、第1の面の途中から角度を変えて第2の平面方向に向かう第2の面とを備えることを特徴とする。
これにより、第1の面が構造体に他の部材を嵌合するときの案内部となり、構造体に他の部材が嵌合しやすくなり、生産性を向上させることができる。また、第1の面を構造体と他の部材とを接着するための接着剤溜まりとして利用することができるという効果も奏することができる。
また、第1の面は、第1の平面から所定の角度で傾斜する斜面であるとしてもよい。
また、第1の面は、シリコンの結晶方位面に沿った面であるとしてもよい。
また、他の部材と当接又は嵌合する部分は、第1の面から第2の面に向かって凹む穴部又は貫通する貫通穴であるとしてもよい。
第1の面が斜面であるため、構造体と他の部材がより嵌合しやすくなるという効果を奏することができる。さらに斜面の部分は、穴部または貫通穴の全周に亘って形成されているため、接着面積が増加し接着強度が増大し、構造体と他の部材との固定力が確実になるという効果を奏することができる。
また、シリコンの結晶方位面に沿った面は、エッチングで簡単に作成できる。
さらに、上述のような構成にすれば、この構造体は、貫通穴を設けて軸を通す部材やガイド部材などに応用できる。
また、第2の平面は、シリコンの(100)面であり、第2の平面に、第2の平面から第1の平面に向かかって、シリコンの(111)面が露出する第3の面をさらに有するとしてもよい。
これにより、一方の斜面(第1の面)の部分を構造体と他の部材とを接着するための接着剤溜まりとし、他方の斜面(第3の面)の部分を穴部または貫通穴に他の部材を嵌合する際の案内部として利用することができる。このため、穴部または貫通穴に他の部材を嵌合した後に、一方の斜面(第1の面)の部分に接着剤を充填することができ、接着作業が安定し、生産性が向上するとともに穴部または貫通穴と他の部材との固定が確実となるという効果を奏することができる。
上記課題を解決するため、本発明の構造体の製造方法は、下記記載の構成を採用する。
他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体の製造方法において、シリコンの(100)面である第1の平面とこれに対向する第2の平面とを有するシリコンを主成分とする基板の第1の平面の所定部分にマスクを形成するマスク形成工程と、マスクにより露出している第1の平面にシリコンの(111)面が露出する第1の面を形成する第1の面形成工程と、第1の面の途中から角度を変えて第2の平面方向に向かう第2の面を形成する第2の面形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、他の部材を嵌合するときに第1の面が案内部となる構造体を容易に製造できる。また、他の部材と当接又は嵌合する第2の面とを備えたシリコンを主成分とする構造体を形成し、構造体と他の部材との嵌合を容易にし、生産性を向上させることができる。
また、第1の面形成工程は、マスクを設ける基板を所定のエッチング液に浸漬してなるウエットエッチングで形成するとしてもよい。
これにより、所定のエッチング液に浸漬するだけで、シリコンの(111)面が露出する第1の面を容易に形成できる。
また、第2の面形成工程は、マスクを設ける基板を所定のガス雰囲気に曝してなる反応性イオンエッチングで形成するとしてもよい。
これにより、所定のガスを用い、そのガス雰囲気を用いた反応性イオンエッチングを行うことで、シリコンの(111)面が露出する第1の面の途中から角度を変えて第2の平面方向に向かう第2の面を容易に形成できる。
また、第1の面形成工程と第2の面形成工程とは、同一の加工装置を用い、加工装置からに基板を排出することなく連続して加工を行うとしてもよい。
例えば、イオンの進行方向を変えることができる反応性イオンエッチング装置を用いることで、同一の加工装置で第1の面形成工程と第2の面形成工程とを連続して行うことができる。
また、加工装置は、電子サイクロトロン共鳴により発生したプラズマを用いるエッチング装置であり、基板に印加する高周波電圧を変えることで、第1の面形成工程では基板に対して等方性エッチングを行い、第2の面形成工程では基板に対して異方性エッチングを行うとしてもよい。
これにより、他の部材と当接又は嵌合する穴部と、穴部の縁部に形成されるシリコンの(111)面が露出する面とを備えたシリコンを主成分とする構造体をより効率よく製造することができるという効果を奏することができる。
本発明によれば、シリコンの(100)面から所定の角度で傾斜するシリコンの(111)面が露出する第1の面と、この面から角度を変えてなる第2の面と、を有することで、他の部材と嵌合しやすく、互いを強固に固定できる構造体とすることができる。
本実施形態の構造体は、他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体であって、第1の平面とこれに対向する第2の平面とを有し、これらの平面は、シリコンの(100)面である。
他の部材と当接又は嵌合する部分は、第1の平面から第2の平面に向かって、シリコンの(111)面が露出する第1の面と、第1の面の途中から角度を変えて第2の平面方向に向かう第2の面とを備えている。
第1の面は、第1の平面から所定の角度で傾斜する斜面であり、構造体が他の部材と当接又は嵌合する場合は、この斜面が他の部材を案内する案内面とすることができる。また、他の部材との接着剤溜りとすることもできる。第2の面により第1の平面から第2の平面に向かう凹みや貫通穴を構成することができ、この部分と他の部材とを嵌合することができる。
このような構成であるから、凹みや貫通穴に他の部材を嵌合しやすくなり、生産性も向上させることができる。
次に、構造体の実施形態を説明する。説明にあっては、発明に不要な部分を省略した模式図を元にした図面を用いて説明する。また各構成要素には符号を付与しているが、同一の構成には同一の番号を付与している。
[第1の実施形態の説明:図1〜図2]
以下、図1、図2を用いて、構造体の第1の実施形態を詳述する。
[第1の実施形態の説明:図1〜図2]
以下、図1、図2を用いて、構造体の第1の実施形態を詳述する。
第1の実施形態における構造体については、時計用のぜんまいとして用いられる、てんぷを構成するひげぜんまいを例にして説明する。まず、図1及び図2を用いてひげぜんまいの構成と、これをてん真に固定させる例とを説明する。
図1は、ひげぜんまいを示す平面図及び断面図である。図2は、ひげぜんまいにてん真を固定する方法を説明するための概略断面図である。
[第1の実施形態の構成説明:図1、図2]
まず、図1を用いて第1の実施形態のひげぜんまいの構成について説明する。
[第1の実施形態の構成説明:図1、図2]
まず、図1を用いて第1の実施形態のひげぜんまいの構成について説明する。
図1(a)は、ひげぜんまいを示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A´断面を示す部分拡大断面図である。
図1(a)に示すように、ひげぜんまい10は、渦巻き状のぜんまい部11と、ぜんまい部11の中心近傍において、ぜんまい部11の一方端と一体に形成されているひげ玉12と、ひげ玉12の周囲を巻回するぜんまい部11の他方端に一体に形成されるひげ持19を備えている。
図1(b)に示すように、ひげぜんまい10は、単結晶シリコンの板材をエッチング加工することにより形成される渦巻きばねであり、第1の平面17と、これに対向する第2の平面18とを有し、第1の平面17及び第2の平面18は、いずれもシリコンの(100)面である。
ひげ玉12の中心には、ひげぜんまい10の回転軸となるてん真(図示せず)と勘合する四角形形状の貫通穴15が設けられている。この貫通穴15の、第1の平面17における開口部の各辺のそれぞれに面取状の傾斜面である第1の面13が設けられ、この第1の面13により貫通穴15の開口部の周囲に傾斜部23が形成されている。
この傾斜部23と貫通穴15とは、図1(a)に示すように、平面的に見たとき、互いの中心が同一となるように形成されている。なお、ひげぜんまい10にてん真を嵌合して固定する方法については後述する。
第1の面13は、第1の平面17から第2の平面18に向かってシリコンの(111)面が露出している面であり、図1に示すように傾斜面を構成する。第2の面16は、第1の面13の途中から角度を変えて第2の平面18の方向に向かう面であり、図1に示すように貫通穴15の内壁の縦端面を構成する。
第1の面13は、第1の平面17から所定の角度で傾斜している。例えば、70度である。この角度は自由に決めることができるが、他の部材、この場合は、てん真を嵌め込み易くすることが重要である。
ひげぜんまい10やてん真の形状やサイズは、このひげぜんまい10を搭載する時計のサイズや仕様などにより決まるから、第1の平面17に対する第1の面13の角度も、それに合わせて自由に決めることができる。
また、第1の面13をシリコンの結晶方位面に沿った面とすることもできる。つまり、第1の面13の傾斜面すべてが、シリコンの(111)面が露出しているのである。このときの第1の平面17と第1の面13との角度は、54.74度である。
このような第1の面13の形成方法についての詳細は後述するが、第1の平面17から所定の角度で傾斜する第1の面13は、深掘りRIE技術を応用した公知のドライエッチング手法により形成することができる。
例えば、ひげぜんまい10の母材となる単結晶シリコンの板材における第1の平面17に、第1の面13を形成したい部分を開口したマスクを施し、そして、第1の平面17から深掘りRIE技術によるドライエッチングを行う。このときのガスは、エッチング用のガスであるSF6(六フッ化硫黄)とデポ用のガスであるC4F8(八フッ化シクロブタン)との混合ガス(SF6+C4F8)である。
一般に深掘りRIE技術では、エッチング中にデポ用ガスの流量を少なくする、さらに酸素(O2)ガスを加えるなどの公知の技術を用いることで、エッチングする物体に対してその深さ方向に傾斜を付けられることが知られている。この技術を用いれば、第1の平面17から所定の角度(この場合は、例えば70度)で第1の面13を形成できる。
また、第1の面13と第1の平面17との角度を、例えば54.74度にしたいときは、エッチング液にKOH(水酸化カリウム)を用いたウエットエッチングを行えばよい。
良く知られるように、KOHによるウエットエッチングは結晶異方性エッチングの性質を有し、シリコンの(111)面は(110)面に比べて100倍程度エッチング速度が遅い(エッチングされ難い)。このため、結果として結晶面に沿った正確な角度である54.74度を有する斜面が形成できるのである。
[ひげぜんまいとてん真との固定方法についての説明:図2]
次に、図2を用いて、ひげぜんまいにてん真を固定する方法について説明する。
[ひげぜんまいとてん真との固定方法についての説明:図2]
次に、図2を用いて、ひげぜんまいにてん真を固定する方法について説明する。
図2は、ひげぜんまいに、てん真を固定する方法を説明する部分拡大断面図で、図2(a)は、ひげぜんまいにてん真を固定する前の状態を示す断面図であり、図2(b)は、ひげぜんまいにてん真を固定した後の状態を示す断面図である。なお、この図2においては、ひげぜんまい10は図1と図面における上下が逆になっている。
図2において、符号26は接着剤、符号28はてん真、符号29はてん真のフランジ部分となる段部である。図2(a)に示すように、てん真28から段部29が突出する根元となる部分の周囲に接着剤26を塗布した状態で、てん真28をひげぜんまい10のひげ玉12の貫通穴15の第1の面13側から挿入する。このとき、第1の面13がてん真28の挿入時の案内部として作用するため、仮にてん真28の中心と貫通穴15の中心とが多少ずれていても、てん真28が貫通穴15へ挿入し易くなる。これにより、挿入時においてひげぜんまいは破損なくてん真に嵌め込むことができる。
なお、第1の面13がウエットエッチングで形成されたシリコンの(111)面であれば、その表面は非常に平滑であるので、てん真28が引っかかることなくスムーズに貫通穴15に誘導され、より挿入しやすくなる。
そして、図2(b)に示すように、ひげぜんまい10をてん真の段部29に当接させることで挿入は止まり、段部29とひげ玉12とが接する。その後、接着剤を硬化させることで、ひげぜんまい10とてん真28とは固定される。このとき、ひげぜんまい10の第1の面13とてん真28及び段部29とによって形成される空間が接着剤溜まりとして作
用する。
用する。
なお、接着剤26は、温度硬化型、時間で硬化する時間硬化型、又は空気を遮断することで硬化する嫌気性接着剤など、公知の接着剤を用いることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ひげぜんまい10の第1の面13が、てん真28の挿入時の案内部として作用するため、てん真28が貫通穴15へ挿入し易くなる。さらに、第1の面13は、貫通穴15の全周に亘って形成されているため、接着面積が増加し接着強度が増大し、ひげぜんまい10とてん真28との固定力を確実にすることができる。
[第2の実施形態の説明:図3、図4]
次に、図3、図4を用いて構造体の第2の実施形態として時計用のひげぜんまいについて説明する。
[第2の実施形態の説明:図3、図4]
次に、図3、図4を用いて構造体の第2の実施形態として時計用のひげぜんまいについて説明する。
図3は、第2の実施形態のひげぜんまいのひげ玉を示す部分拡大断面図であって、図1(b)と同じ方向から見た図である。図4は、ひげぜんまいに、てん真を固定した状態を示す断面図である。
図3、図4において、符号14は第3の面、符号20はひげぜんまいである。第2の実施形態のひげぜんまい20は、シリコンの(100)面である第2の平面18に、第2の平面18から第1の平面17に向かかって、シリコンの(111)面が露出する第3の面14を設けた点が特徴であり、その他は前述の第1の実施形態と同様である。
図3に示すように、第2の実施形態のひげぜんまい20は、貫通穴15における第1の平面17側に設けた第1の面13に加えて、貫通穴15の第2の平面18側の開口部の各辺のそれぞれに面取状の斜面である第3の面14を有している。
第3の面14により、貫通穴15の第2の平面18側の開口部の周囲に形成される傾斜部と貫通穴15とは、平面的に見たとき、互いの中心が同一となるように形成されている。なお、その他の点は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
次に、ひげぜんまい20に、てん真28を固定する方法について図4を用いて説明する。
図4は、図3に示すひげぜんまい20に、てん真28を固定した状態を示す断面図である。
図4に示すように、てん真28をひげぜんまい20のひげ玉12の貫通穴15の第2の面14側からに挿入する。このとき、第2の面(斜面)14がてん真28の挿入時の案内部として作用するため、てん真28が貫通穴15へ挿入し易くなる。これにより、挿入時におけるひげぜんまい20の破損を防止することができる。
ひげぜんまい20をてん真の段部29に当接させることで挿入は止まり、段部29とひげ玉12とが接する。その後、ひげぜんまい20の第1の面13と、てん真28との隙間に接着剤26を塗布する。その後、接着剤を硬化させ、ひげぜんまい20のひげ玉12に、てん真28を固定する。このとき、ひげぜんまいの第1の面13とてん真28とによって形成される隙間が接着剤溜まりとして作用する。
これにより、一方の斜面である第1の面13をひげぜんまい20とてん真28とを接着するための接着剤溜まりとし、他方の斜面である第3の面14を貫通穴15にてん真28
を嵌合する際の案内部として利用することができる。このため、貫通穴15にてん真28を嵌合した後に、一方の斜面である第1の面13に接着剤を充填することができ、接着作業が安定し、生産性が向上するとともに貫通穴15とてん真28との固定をより確実なものとすることができる。
を嵌合する際の案内部として利用することができる。このため、貫通穴15にてん真28を嵌合した後に、一方の斜面である第1の面13に接着剤を充填することができ、接着作業が安定し、生産性が向上するとともに貫通穴15とてん真28との固定をより確実なものとすることができる。
なお、この例にあっては、接着剤26は、上述の接着剤の例である嫌気性接着剤に変え、紫外線硬化型の接着剤を用いるとよい。ひげぜんまい20をてん真28に嵌合した後、充填した接着剤26に所定の波長の紫外線を発生する紫外線ランプ等を用いて硬化させるのである。
[第3の実施形態の構成説明:図5]
次に、図5を用いて構造体の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態における構造体については、時計に用いられる、がんぎ歯車を例にして説明する。
[第3の実施形態の構成説明:図5]
次に、図5を用いて構造体の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態における構造体については、時計に用いられる、がんぎ歯車を例にして説明する。
図5(a)は、がんぎ歯車を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるB−B´断面を示す断面図、図5(c)は、図5(a)の領域Wを示す部分拡大斜視図である。
図5に示すように、がんぎ歯車30は、回転軸となるがんぎかな(図示せず)と嵌合する貫通穴35が設けられた基部32と、基部32を周回するように配置された多数のがんぎ歯31とを有し、各がんぎ歯31は、停止面31a及び衝撃面31bを備え、各がんぎ歯31の先端部には油溜まり面(斜面)39が設けられている。
さらに、基部32に設ける四角形形状の貫通穴35における第1の平面37側の開口部の各辺のそれぞれには、面取状の斜面である第1の面33が設けられ、貫通穴35における第2の平面38側の開口部の各辺のそれぞれに面取状の斜面である第3の面34が設けられている。この第1の面33によって貫通穴35の開口部の周囲に形成される一方の傾斜部と、第3の面34によって形成される他方の傾斜部と、貫通穴35とは、平面的に見たとき、互いの中心が同一となるように形成されている。
また、がんぎ歯車30は、単結晶シリコンの板材をエッチング加工することにより形成され、第1の平面37と、これに対向する第2の平面38とは、いずれもシリコンの(100)面である。
第1の面33は、第1の平面37から第2の平面38に向かって、所定の角度で傾斜する斜面であり、シリコンの(111)面が露出する、シリコンの結晶方位面に沿って形成される面である。第2の面36は、第1の面33の途中から角度を変えて第2の平面38方向に向かう面であり、貫通穴35の内壁の縦端面を構成する。
第3の面34は、第2の平面38から第1の平面37に向かって、所定の角度で傾斜する斜面であり、シリコンの(111)面が露出する、シリコンの結晶方位面に沿って形成される面である。
さらに、各がんぎ歯31の先端部には第1の平面37から第2の平面38に向かって油溜り面39が設けてある。この油溜り面39は、所定の角度で傾斜する斜面である。このようにがんぎ歯車は、その刃先に斜面を設けることで、そこが油溜りとなり摺動性などが向上することが知られている。
なお、がんぎ歯車30に、がんぎかな(図示せず)を嵌合して固定する方法については、第2実施形態において、図4に基づいて説明したひげぜんまい20にてん真28を固定する方法と同様であるため説明を省略する。
本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、一方の斜面である第1の面33を、がんぎ歯車30と、がんぎかな(図示せず)とを接着するための接着剤溜まりとし、他方の斜面である第3の面34を貫通穴35に、がんぎかなを嵌合する際の案内部として利用することができる。このため、貫通穴35に、がんぎかな(図示せず)を嵌合した後に、一方の斜面である第1の面33に接着剤を充填することができ、接着作業が安定し、生産性が向上するとともに貫通穴35とがんぎかなとの固定をより確実なものとすることができる。
[第4の実施形態の構成説明:図6]
次に、図6を用いて構造体の第4の実施形態を詳述する。第4の実施形態における構造体については、軸受部材を例にして説明する。
[第4の実施形態の構成説明:図6]
次に、図6を用いて構造体の第4の実施形態を詳述する。第4の実施形態における構造体については、軸受部材を例にして説明する。
図6(a)は、軸受部材を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)におけるC−C´断面を示す断面図である。
図5に示すように、軸受部材40は、軸受本体42に、他の部材としての軸(図示せず)を勘合するための四角形形状の貫通穴45が設けられており、この貫通穴45の軸受本体42の第1の平面47の開口部の各辺のそれぞれに面取状の斜面である第1の面43が設けられ、貫通穴35の開口部の周囲に傾斜部を構成している。この傾斜部と貫通穴45とは、平面的に見たとき、互いの中心が同一となるように形成されている。
軸受部材40は、単結晶シリコンの板材をエッチング加工することにより形成され、第1の平面47と、これに対向する第2の平面48とを有し、第1の平面47及び第2の平面48は、いずれもシリコンの(100)面である。
第1の面43は、第1の平面47から第2の平面48に向かって、所定の角度で傾斜する斜面であり、シリコンの(111)面が露出する、シリコンの結晶方位面に沿って形成される面である。第2の面46は、第1の面43の途中から角度を変えて第2の平面48方向に向かう面であり、貫通穴45の内壁の縦端面を構成する。
なお、軸受部材40に、軸(図示せず)を嵌合して固定する方法については、第1実施形態において、図2に基づいて説明したひげぜんまい10にてん真28を固定する方法と同様であるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態によれば、軸受部材40の貫通穴45に、軸(図示せず)を嵌合した後に、第1の面43に接着剤を充填することができ、接着作業が安定し、生産性が向上するとともに貫通穴45と軸との固定をより確実なものとすることができる。
[第5の実施形態の構成説明:図7]
次に、図7を用いて第5の実施形態の構造体について説明する。第5の実施形態における構造体については、軸受部材を例にして説明する。
[第5の実施形態の構成説明:図7]
次に、図7を用いて第5の実施形態の構造体について説明する。第5の実施形態における構造体については、軸受部材を例にして説明する。
図7(a)は、軸受部材を示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)における領域Xを模式的に示す部分拡大図である。
図7に示す第5の実施形態の軸受部材50は、第1の面53が、前述の第4の実施形態と異なり、その斜面が凹形状に湾曲している。その他は同様である。
図7(a)に示すように、軸受部材50は、シリコンの(100)面である第1の平面47に、第1の平面47から第2の平面48に向かって、僅かに凹形状に湾曲して傾斜する第1の面53が形成されている。符号51はシリコンの(111)面を表す仮想線であ
って、第1の面53の一部の領域53aにおいて、湾曲する第1の面53の表面とこの仮想線51とが一致している。すなわち、この領域53aにおいて、シリコンの(111)面が露出している。
って、第1の面53の一部の領域53aにおいて、湾曲する第1の面53の表面とこの仮想線51とが一致している。すなわち、この領域53aにおいて、シリコンの(111)面が露出している。
図7に示す軸受部材50のように、第1の面を湾曲させることで、より多くの接着剤をこの部分に充填できるようになる。その結果、軸(図示せず)を嵌合した後に、より強固に双方を接着できる。
なお、このような湾曲した面の形成方法については、後述する。
[第4、第5の実施形態の変形例の説明:図8]
次に、図8を用いて第4、第5の実施形態の構造体の変形例について説明する。この変形例は、貫通していない穴部を有する例であり、軸受部材を例にして説明する。
[第4、第5の実施形態の変形例の説明:図8]
次に、図8を用いて第4、第5の実施形態の構造体の変形例について説明する。この変形例は、貫通していない穴部を有する例であり、軸受部材を例にして説明する。
図8(a)は、図6に示す第4の実施形態の変形例であって、図8(b)は、図7に示す第5の実施形態の変形例である。したがって、軸受部材60aは軸受部材40に、軸受部材60bは軸受部材50に、それぞれ対応する。
図8に示すように、穴部55は第2の平面48まで貫通しておらず、底部55a、55bを有する凹形状である。このような形状を有する軸受部材60a、60bは、例えば、図示しない軸を固定する軸受けや、他の構造体を固定するためのピンなどを上下から押さえる部材にも適用できる。
[構造体の製造方法の説明]
次に、第6の実施形態として、構造体の製造方法を説明する。第1の製造方法は、図3及び図4に示す第2の実施形態のひげぜんまい20を例にして、図9を用いて説明する。そして第2の製造方法は、図7に示す第5の実施形態における軸受部材50を例にして、図10及び図11を用いて説明する。
[第1の製造方法の説明:図9]
図9は、ひげぜんまいの製造工程を示す概略断面図であって、第1の面と第2の面とを形成する部分を拡大した図である。
[構造体の製造方法の説明]
次に、第6の実施形態として、構造体の製造方法を説明する。第1の製造方法は、図3及び図4に示す第2の実施形態のひげぜんまい20を例にして、図9を用いて説明する。そして第2の製造方法は、図7に示す第5の実施形態における軸受部材50を例にして、図10及び図11を用いて説明する。
[第1の製造方法の説明:図9]
図9は、ひげぜんまいの製造工程を示す概略断面図であって、第1の面と第2の面とを形成する部分を拡大した図である。
図9(a)は、ひげぜんまい20を形成するための母材となる単結晶シリコンの基板71に第1、第2のマスクを形成する、マスク形成工程を説明する図である。この基板71は、図面視上方となる第1の平面72と図面視で下方となる第2の平面73とが、シリコンの(100)面となっている。
図9(a)に示すように、第1の平面72に所定部分を覆う第1のマスク81を形成する。この第1のマスク81は、前述の図3及び図4に示す、ひげぜんまい20の平面形状を反映したパターン形状となっている。また、第2の平面73に、その全面を覆う第2のマスク82を形成する。第1のマスク81及び第2のマスク82は、例えば、シリコン酸化膜である。
図9(b)は、前述の第1のマスク81及び第2のマスク82の上に、第3のマスク83と第4のマスク84とをそれぞれ形成する工程を説明する図である。この第3のマスク83及び第4のマスク84は、例えば、フォトレジストである。
この第3のマスク83の開口部のうちの一部の開口部83aの内径bは、第1マスク81の開口部81aの内径aに比較して大きい値に設定されている。この部分は、加工が進んだ後に、ひげぜんまい20のひげ玉12の貫通穴15及び第1の面13に対応する部分である。その他の開口部89の大きさは、第1、第3のマスクに共通の内径cである。また、第2のマスク82の表面上にも第4のマスク84を形成するが、この第4のマスク8
4のマスクパターンは、第3のマスク83のマスクパターンと同じである。
4のマスクパターンは、第3のマスク83のマスクパターンと同じである。
図9(c)は、マスクにより露出している基板71の第1の平面72をドライエッチングする工程を示す図である。
図示するように、第1のマスク81をエッチングマスクとして、基板71を第1の平面72側から異方性エッチング(ドライエッチング)する。これにより、開口部81a及び開口部89の形成領域の単結晶シリコンを除去して、ひげぜんまい20の形状を形成する。
なお、ドライエッチングの方法は特に制限されないが、エッチングガスの直進性が高く、微細なパターニングが可能であることから、反応ガスをプラズマによりイオン化、ラジカル化してエッチングを施す反応性イオンエッチングのうち、深掘りRIE、誘導結合方式の反応性イオンエッチングであるICP−RIE(Inductive Coupled Plasma−RIE)などを用いるとよい。また、エッチングガスとしては、エッチング用のSF6(六フッ化硫黄)とデポ用のC4F8(八フッ化シクロブタン)との混合ガス(SF6+C4F8)を用いるとよい。
図9(d)は、第1、第2のマスクの一部を除去する工程を示す図である。
前述の図9(c)における第1マスク81、第2のマスク82の一部を除去することにより、図9(d)に示すように、第3のマスク83の開口部83aと同じ内径bの開口部85aを有する第5のマスク85を形成する。この第5のマスク85は、第1のマスク81を加工してなるが、便宜上符号85を付与している。
また、第4のマスク84の開口部84aと同じ内径bの開口部86aを有する第6のマスク86を形成する。この第6のマスク86は、第2のマスク82を加工してなるが、便宜上符号86を付与している。これにより、第1の平面17、第2の平面18の一部が露出される。
図9(e)は、第5のマスク85、第6のマスク86により露出している第1の平面17、第2の平面18をウエットエッチングする工程を示す図である。第5のマスク85をエッチングマスクとして、結晶異方性エッチングであるウエットエッチングを行う。このときのエッチング液は、例えば、KOHである。
そうすると、シリコンの(111)面が露出すると共に、第1の平面17側から結晶面に沿った正確な角度である54.74度の傾斜を有する第1の面13が形成され、同様に、シリコンの(111)面が露出すると共に、第2の平面18側から54.74度の傾斜を有する第3の面14が形成される。
シリコンのウエットエッチングは結晶異方性エッチングであり、シリコンの(111)面はそれ以外の結晶面に比べてエッチング速度が非常に遅いために、上述のような傾斜を有する第1の面13、第3の面14が形成される。その一方で、基板71に開口した貫通穴15はシリコンの(111)面ではないので、エッチングは進み、その内径が広がる。貫通穴15は、図4に示すてん真28が嵌合する部分であるから、その内径はてん真28の径と一致する。つまり、図9(b)に示す第1マスク81の開口部81aの内径aは、予めエッチングにより貫通穴15の内径が広がることに鑑みてその値を決めるのである。
この第1の面13は、第1の平面17から所定の角度で傾斜する斜面であり、シリコンの結晶方位面に沿った斜面である。また、第2の面16は、貫通穴15の内面である。し
たがって、本工程の終了時点で、第1の平面17にシリコンの(111)面が露出する第1の面13と、第1の面13の途中から角度を変えて第2の平面18方向に向かう第2の面16が形成される。なお、第3の面14についても同様である。
たがって、本工程の終了時点で、第1の平面17にシリコンの(111)面が露出する第1の面13と、第1の面13の途中から角度を変えて第2の平面18方向に向かう第2の面16が形成される。なお、第3の面14についても同様である。
最後に、第3、第4、第5、第6のマスクを除去して、図9(f)に示すように第2の実施形態におけるひげぜんまい20が完成する。
以上のように、第1の製造方法は、異方性エッチングであるドライエッチングと結晶異方性エッチングであるウエットエッチングとを用いることで、構造体としてのひげぜんまい20の第1の面13及び第3の面14をシリコンの結晶方位面に沿った面として形成し、これらの面の途中から角度が変わる第2の面16を容易に形成できる。
なお、この第1の製造方法は、構造体として、図3及び図4に示すひげぜんまい20を例として説明したが、これに限定されるものではなく、その他の構造体、例えば、がんぎ歯車、軸受部材、ノズル等、多くの構造体にも適応することができる。
[第2の製造方法の説明:図10、図11]
次に、図10、図11を用いて第2の製造方法について説明する。
[第2の製造方法の説明:図10、図11]
次に、図10、図11を用いて第2の製造方法について説明する。
本実施形態における構造体の製造方法は、第1の面(第3の面を有する場合はこの第3の面)と第2の面との加工を同一の加工装置で用い、加工装置からシリコン単結晶の基板を排出することなく連続して加工するものである。
図10は、構造体としての、軸受部材50の製造工程を示す概略断面図で、図11は、本実施形態でドライエッチング加工に用いるECR装置(電子サイクロトロン共鳴装置)を説明する概略図である。
[ECR装置及び制御の説明:図11]
まず初めに、図11を用いて、ECR装置及び本発明におけるECR装置の制御について説明する。
[ECR装置及び制御の説明:図11]
まず初めに、図11を用いて、ECR装置及び本発明におけるECR装置の制御について説明する。
ECR装置は、電子サイクロトロン共鳴イオン源を利用したイオンビームエッチング装置であって、マイクロ波プラズマエッチング装置の一種である。直線的なイオンの流れ(イオンビーム)を形成し、アスペクト比が高いエッチングができる装置として広く知られている。
図11に示すように、このECR装置100を用いてエッチング加工を行う場合は、まず、ガラスチャンバー102内を所定の真空度にする。そこにエッチングガス106(SF6、CL2、HBrなど)を導入し、マイクロ波発生源104からマイクロ波(2.45GHz程度)を照射して、基台(RF用電極)101に載置した試料(エッチングされる物体)108上面の空間にプラズマ107を発生させる。
このプラズマ107の発生空間には、ソレノイドコイル103による磁場が形成しており、この磁場とマイクロ波による電場との相互作用により電子が螺旋を描きドリフト運動をおこなう(サイクロトロン共鳴)。
次に、高周波(RF)発生源105を作動させ、試料108を所定の電圧でバイアスする。これにより、イオン109が試料108方向に引っ張られ(直線的に移動し)、異方性エッチングが行われる。
次に、このようなECR装置を用いて、図7に示す第5の実施形態における軸受部材50を例にして、その形状を加工する手法について説明する。
上述のように、第1の面と第2の面との加工を、ECR装置からに基板を排出することなく連続して行うには、イオンビームの制御を行うのである。
すなわち、プラズマ107を発生させるとき(又は発生させた直後)、高周波(RF)発生源105を停止する。このようにすれば、試料(構造体)108はバイアスされなくなり、イオン109は試料108方向に引っ張られなくなる。つまり、イオンビームは直進性を失う。これにより通常のドライエッチング装置を用いた等方性エッチングとすることができる。
このような環境で等方性エッチングを実施し、第1の面を形成した後、高周波(RF)発生源105を稼働させて試料(構造体)108をバイアスすれば、イオンビームは試料108に直線的に照射され、第2の面が形成できるのである。
このように、ECR装置を用いて、イオンビームの直進性を変えることで、第1の面と第2の面との加工を、ECR装置からに基板を排出することなく連続して行うことができる。
[第2の製造方法の具体的な説明:図10、図11]
次に、上述したECR装置を用いた製造方法を、図10及び図11を用いて詳述する。
[第2の製造方法の具体的な説明:図10、図11]
次に、上述したECR装置を用いた製造方法を、図10及び図11を用いて詳述する。
なお、図10(a)から図10(d)は、図7と同一の方向から見た断面図ではあるが、エッチングの様子を説明しやすいように端面の様子を表した断面図としている。
図10(a)は、マスクを形成した単結晶シリコンの基板91をECR装置の基台(RF用電極)上に載置した様子を表す図である。
図10(a)は、マスク形成工程及びその後に基板を装置に載置する様子を説明する図である。
まず、シリコンの(100)面である第1の平面97とこれに対向するシリコンの(100)面である第2の平面98とを有する単結晶シリコンの基板91を用意する。この基板91の第1の平面97に、所定部分を覆うマスク92を形成する。マスク92は、前述の図7に示した、軸受部材50平面形状を反映したパターンであって、マスク92の開口部93の大きさは、後の軸受け部材の貫通穴45の内径に相当する。次に、この基板91をECR装置の基台(RF用電極)101上に載置する。
図10(b)は、第1ステップのエッチング工程を示す図である。
第1ステップのエッチング工程においては、高周波(RF)発生源105を停止した状態で、エッチング加工を行う。
基板91が載置されているガラスチャンバー102内にプラズマ107を発生させる。高周波(RF)発生源105が停止しているため、図10(b)に示すように、基板91はバイアスされてはおらず、イオン109は、ばらばらな動きをし、基板91には様々な方向からイオン109が衝突する。これにより、等方性エッチングが行われる。
この第1ステップのエッチング工程は、マスク92をエッチングマスクとして、基板91を第1の平面97側から等方性エッチングすることにより、マスク92により規定されている開口部93におけるシリコンを除去して、第1の平面97に、第1の平面97から第2の平面98に向かって、第1の面53が形成される。この第1の面53は、等方性エ
ッチングであるから第1の平面97から僅かに凹形状に湾曲して傾斜する斜面となる。
ッチングであるから第1の平面97から僅かに凹形状に湾曲して傾斜する斜面となる。
第1の面53は、その一部の領域53a(図7を参照)において、シリコンの(111)面が露出している。また、等方性エッチングであるから、マスク92の下部にもエッチングが進み、第1の面53の開口部の形状fは、マスク92開口部93の形状eより大きく形成される。
図10(c)は、第2ステップのエッチング工程を示す図である。
第2ステップのエッチング工程においては、高周波(RF)発生源105を作動させ、基板91を所定の電圧でバイアスする。これにより、図10(c)に示すように、イオン109は基板91の方向に直線的に移動し、異方性エッチングが行われる。
この第2ステップのエッチング工程は、図10(c)に示すように、マスク92をエッチングマスクとして、基板91を第1の平面47側から異方性エッチングすることにより貫通穴45(図7を参照)の形成領域におけるシリコンを除去して、第1の面53の途中から角度を変えて第2の平面48方向に向かう第2の面46を形成する。
最後に、マスク92を除去して、図10(d)に示すように第5の実施形態における軸受部材50が完成する。
以上のように、第2の製造方法によれば、同一の加工装置を用い、加工装置からに基板を排出することなく等方性と異方性との2つのエッチングを連続して行い、第1の面と第2の面とを加工することができる。
これにより、真空度を保ったまま同一の装置で連続して加工ができるから製造時間の短縮となるばかりか、加工装置から排出し搬送する工程が省略できるので、排出や搬送中に意図せず発生するごみの付着や落下や衝突と行った搬送中のトラブルを排除することができる。
なお、本実施形態においては、構造体として、軸受部材を例として説明したが、これに限定されるものではなく、その他の構造体、例えば、機械式時計の輪列受(機械式時計の主要な輪列群を位置決めし支持する板状部材)等にも適応することができる。
以上、本発明の構造体及びその製造方法について説明した。もちろん、説明したそれぞれの実施形態は、例示した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば任意に変更することができることはいうまでもない。
例えば、なお、各実施形態において、穴部、貫通穴、第1の面、第3の面の平面形状を四角形形状とした例で説明したが、これに限定されるものではなく、例えば円形形状としても良い。
本発明の構造体は、他の部材との嵌合を容易にし、互いを強固に固定できる。また、生産性を向上させることができるので、時計などの小型精密機器に好適である。
10 ひげぜんまい
11 ぜんまい部
12 ひげ玉
13 ひげぜんまいの第1の面
14 ひげぜんまいの第3の面
15 ひげぜんまいの貫通穴
16 ひげぜんまいの第2の面(貫通穴の内面)
17 ひげぜんまいの第1の平面
18 ひげぜんまいの第2の平面
19 ひげ持
23 第1の面の傾斜部
24 第3の面の傾斜部
11 ぜんまい部
12 ひげ玉
13 ひげぜんまいの第1の面
14 ひげぜんまいの第3の面
15 ひげぜんまいの貫通穴
16 ひげぜんまいの第2の面(貫通穴の内面)
17 ひげぜんまいの第1の平面
18 ひげぜんまいの第2の平面
19 ひげ持
23 第1の面の傾斜部
24 第3の面の傾斜部
Claims (10)
- 他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体であって、
前記構造体は、第1の平面とこれに対向する第2の平面とを有し、
前記第1の平面は、シリコンの(100)面であり、
前記部分は、前記第1の平面から前記第2の平面に向かって、シリコンの(111)面が露出する第1の面と、該第1の面の途中から角度を変えて前記第2の平面方向に向かう第2の面と、を備える
ことを特徴とする構造体。 - 前記第1の面は、前記第1の平面から所定の角度で傾斜する斜面である
ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。 - 前記第1の面は、シリコンの結晶方位面に沿った面である
ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。 - 前記部分は、前記第1の面から第2の面に向かって凹む穴部又は貫通する貫通穴である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の構造体。 - 前記第2の平面は、シリコンの(100)面であり、
前記第2の平面に、前記第2の平面から前記第1の平面に向かかって、シリコンの(111)面が露出する第3の面をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の構造体。 - 他の部材と当接又は嵌合する部分を有するシリコンを主成分とする構造体の製造方法において、
シリコンの(100)面である第1の平面とこれに対向する第2の平面とを有するシリコンを主成分とする基板の、前記第1の平面の所定部分にマスクを形成するマスク形成工程と、
前記マスクにより露出している前記第1の平面に、シリコンの(111)面が露出する第1の面を形成する第1の面形成工程と、
前記第1の面の途中から角度を変えて前記第2の平面方向に向かう第2の面を形成する第2の面形成工程と、
を有することを特徴とする構造体の製造方法。 - 前記第1の面形成工程は、前記マスクを設ける前記基板を所定のエッチング液に浸漬してなるウエットエッチングで形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の構造体の製造方法。 - 前記第2の面形成工程は、前記マスクを設ける前記基板を所定のガス雰囲気に曝してなる反応性イオンエッチングで形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の構造体の製造方法。 - 前記第1の面形成工程と前記第2の面形成工程とは、同一の加工装置を用い、該加工装置からに前記基板を排出することなく連続して加工を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の構造体の製造方法。 - 前記加工装置は、電子サイクロトロン共鳴により発生したプラズマを用いるエッチング装置であり、前記基板に印加する高周波電圧を変えることで、前記第1の面形成工程では前記基板に対して等方性エッチングを行い、前記第2の面形成工程では前記基板に対して
異方性エッチングを行う
ことを特徴とする請求項9に記載の構造体の製造方法。
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CN113267983A (zh) * | 2020-01-29 | 2021-08-17 | 精工时计株式会社 | 钟表用零件、摆轮游丝机构、机芯和钟表 |
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-
2015
- 2015-01-28 JP JP2015014478A patent/JP2016138834A/ja active Pending
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