JP2021127990A - 放射性廃液の処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オキソアニオンと炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンが共存する放射性廃液から、オキソアニオンを効率よく除去することができる放射性廃液の処理方法及び装置を提供する。【解決手段】炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成する水溶性金属塩を放射性廃液に添加して炭酸塩沈殿物を析出させ、析出した炭酸塩沈殿物を固液分離することで、放射性廃液中の炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去した後、オキソアニオン吸着剤と接触させてオキソアニオンを該オキソアニオン吸着剤に吸着させて除去する放射性廃液の処理方法。放射性廃液から炭酸塩沈殿物を析出させる析出手段と、炭酸塩沈殿物を固液分離する固液分離手段と、固液分離手段からの分離水をオキソアニオン吸着剤と接触させる接触手段とを有する放射性廃液の処理装置【選択図】図1
Description
本発明は、ヨウ素酸(IO3 −)などのオキソアニオンを含む放射性廃液を処理するための方法及び装置に関する。
特許文献1の0002段落に記載されているように、原子力発電所で発生した事故により、放射性アンチモン、放射性ヨウ素及び放射性ルテニウムを含む放射性廃液が大量に発生している。この放射性廃液には、原子炉圧力容器や格納容器、使用済み燃料プールに注水される冷却水に起因して発生する汚染水や、トレンチ内に滞留しているトレンチ水、原子炉建屋周辺のサブドレンと呼ばれる井戸より汲み上げられるサブドレン水、地下水、海水などがある(以下「放射性廃液」と称す。)。これらの放射性廃液は、サリー(SARRY, Simplified Active Water Retrieve and Recovery System(単純型汚染水処理システム)セシウム除去装置)やアルプス(ALPS, Advanced Liquid Processing System(多核種除去装置))などと呼ばれる処理設備にて放射性物質が除去され、処理された水はタンクに回収されている。
放射性ヨウ素はヨウ素イオン(I−)及びヨウ素酸イオン(IO3 −)の形態で汚染水中に存在すると考えられる。ヨウ素酸の吸着剤として、水酸化セリウム(特許文献1〜3)、水酸化ジルコニウム(特許文献3)が知られている。
上記ALPS処理においては、放射性廃液をアルカリ炭酸凝集処理し、海水等に由来するMgイオン及びCaイオンをMg(OH)2、CaCO3として析出させ、フィルタにより除去した後、吸着塔に通水して各種放射性物質の吸着処理を行う。このようにMgイオンやCaイオンなどのカチオンを除去することで、Srなどの放射性カチオン吸着阻害を抑制し、効率的に放射性カチオンの吸着除去が可能となる。
しかし、上記従来法では、吸着塔の処理水の放射性カチオン濃度が目標値以下に低下しない(告示濃度限度に適合していない)などの問題があった。
本発明者は、前記アルカリ炭酸凝集沈殿処理水に対するオキソアニオン吸着に関して鋭意検討を行った結果、吸着塔の被処理水中に含まれる炭酸イオン(CO3 2−)及び/又は重炭酸イオン(HCO3 −)などがオキソアニオンの吸着に大きく影響を及ぼすこと、炭酸イオン、重炭酸イオンを除去して吸着処理を行うことでオキソアニオンの吸着能力が劇的に向上することを見出し、吸着処理に先立ち、脱炭酸処理により、炭酸イオン、重炭酸イオンを除去する放射性廃液の処理方法及び装置について、先に特許出願した(特許文献4)。
特許文献4の方法であれば、吸着処理に先立ち、炭酸イオン、重炭酸イオンを除去することで、吸着剤によるオキソアニオンの吸着効率を高めることができるが、この方法では、炭酸イオン、重炭酸イオンを除去するために脱炭酸処理を行うため、脱炭酸処理に伴い、ガス状(水蒸気状)のトリチウムが放出されるおそれがあった。
本発明は、トリチウムガスを発生させずに、オキソアニオンを効率よく除去することができる放射性廃液の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の放射性廃液の処理方法は、炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液からオキソアニオンを除去する放射性廃液の処理方法において、該放射性廃液から炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンの除去した後、オキソアニオン吸着剤と接触させてオキソアニオンを該オキソアニオン吸着剤に吸着させる放射性廃液の処理方法であって、該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成する水溶性金属塩を該放射性廃液に添加して炭酸塩沈殿物を析出させ、該炭酸塩沈殿物を固液分離することにより、該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去することを特徴とする。
本発明の放射性廃液の処理装置は、炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液からオキソアニオンを除去する放射性廃液の処理装置において、該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成する水溶性金属塩を該放射性廃液に添加して炭酸塩沈殿物を析出させる析出手段と、該炭酸塩沈殿物の固液分離手段と、該固液分離手段からの分離水をオキソアニオン吸着剤と接触させる接触手段とを有することを特徴とする。
本発明の一態様では、前記水溶性金属塩が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、マンガン及び鉄よりなる群から選ばれる金属の塩化物塩、水酸化物塩又は硫酸塩である。
本発明の一態様では、前記放射性廃液は前記オキソアニオンとしてヨウ素酸を含んでおり、前記オキソアニオン吸着剤は、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、水酸化ランタン及び水酸化ジルコニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む。
本発明の一態様では、前記炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液中のCO3 2−及び/又はHCO3 −イオンに由来するIC(無機体炭素)濃度が10〜5000mg/Lであり、該放射性廃液から炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去した後のCO3 2−及び/又はHCO3 −イオンに由来するIC(無機体炭素)濃度が5mg/L以下である。
本発明の放射性廃液の処理方法及び装置によれば、炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液から炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去した後、オキソアニオン吸着処理するので、オキソアニオンが効率よく吸着剤に吸着されて除去される。
また、放射性廃液からの炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンの除去を、脱炭酸処理ではなく、炭酸塩沈殿物の析出、固液分離で行うため、トリチウムが放散されるおそれもない。
また、放射性廃液からの炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンの除去を、脱炭酸処理ではなく、炭酸塩沈殿物の析出、固液分離で行うため、トリチウムが放散されるおそれもない。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1は、本発明方法及び装置の一例を示すフロー図である。図1では、炭酸イオン及び/又は重炭酸イオン(以下、「(重)炭酸イオン」と称す場合がある。)とオキソアニオンが共存する放射性廃液を、炭酸塩沈殿物の析出手段である反応槽1に送給して、(重)炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成させる水溶性金属塩を添加し、撹拌下に、必要に応じてNaOH等のアルカリなどのpH調整剤を添加してpH8〜13、特に10〜12程度にpH調整して炭酸塩沈殿物を析出させる。
図1は、本発明方法及び装置の一例を示すフロー図である。図1では、炭酸イオン及び/又は重炭酸イオン(以下、「(重)炭酸イオン」と称す場合がある。)とオキソアニオンが共存する放射性廃液を、炭酸塩沈殿物の析出手段である反応槽1に送給して、(重)炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成させる水溶性金属塩を添加し、撹拌下に、必要に応じてNaOH等のアルカリなどのpH調整剤を添加してpH8〜13、特に10〜12程度にpH調整して炭酸塩沈殿物を析出させる。
本発明が処理対象とする放射性廃液は、オキソアニオンを含有する。オキソアニオンとしては、ヨウ素酸イオン(IO3 −)、アンチモン酸イオン、ルテニウム酸イオン等が例示される。放射性廃液中のオキソアニオン濃度は1.0×105Bq/L、例えば1.0×10−1〜1.0×104Bq/L、特に1.0×101〜1.0×103Bq/L程度が想定されるが、これに限定されない。
また、本発明が処理対象とする放射性廃液は、オキソアニオンと共に(重)炭酸イオンが共存する。放射性廃液中のCO3 2−及び/又はHCO3 −濃度は、通常10〜5000mg/L、特に50〜2000mg/L程度である。
また、本発明が処理対象とする放射性廃液は、オキソアニオンと共に(重)炭酸イオンが共存する。放射性廃液中のCO3 2−及び/又はHCO3 −濃度は、通常10〜5000mg/L、特に50〜2000mg/L程度である。
このような放射性廃液としては、原子力発電所で生じた放射性汚染水のほか、トレンチ水、サブドレン水、地下水、海水などが例示されるが、これに限定されない。これらの放射性廃液は、そのまま本発明方法及び装置によって処理されてもよく、前述のサリー(SARRY)などの処理設備にて処理された水や、サリー処理水をさらにRO装置で濃縮した水が本発明方法及び装置で処理されてもよい。また、一旦アルプス処理された処理水の再処理に適用されてもよい。
(重)炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成させる水溶性金属塩としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、マンガン及び鉄よりなる群から選ばれる金属の塩化物塩、水酸化物塩又は硫酸塩等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
これらの水溶性金属塩は通常水溶液として添加される。
これらの水溶性金属塩の添加量は、放射性廃液中の(重)炭酸イオンを十分に炭酸塩沈殿物として除去できるような量であればよく、通常、放射性廃液中の(重)炭酸イオンの反応当量の1.0〜10倍、特に1.0〜2.0倍程度が好適である。
これらの水溶性金属塩の添加量は、放射性廃液中の(重)炭酸イオンを十分に炭酸塩沈殿物として除去できるような量であればよく、通常、放射性廃液中の(重)炭酸イオンの反応当量の1.0〜10倍、特に1.0〜2.0倍程度が好適である。
反応槽1で炭酸塩沈殿物を析出させた廃液は、次いで固液分離器2に送給され、炭酸塩沈殿物が固液分離される。
炭酸塩沈殿物を固液分離する固液分離器2としては、沈殿槽、加圧浮上槽、砂ろ過又は膜分離装置などを用いることができる。反応槽1と固液分離器2との間に適宜中継槽を設けてもよい。
また図には示していないが、固液分離器2の代わりにRO装置を設け、或いは固液分離器3の後段にRO装置を設けて、RO装置の濃縮水を次の吸着塔で処理してもよい。その場合、RO装置の透過水は他の工程に利用される。
また図には示していないが、固液分離器2の代わりにRO装置を設け、或いは固液分離器3の後段にRO装置を設けて、RO装置の濃縮水を次の吸着塔で処理してもよい。その場合、RO装置の透過水は他の工程に利用される。
炭酸塩沈殿物を固液分離して得られる分離水は次いで吸着塔に送給されるが、この吸着塔に送給される分離水のCO3 2−及び/又はHCO3 −イオンに由来するIC(無機体炭素)濃度は10mg/L以下、特に0〜5mg/Lであることが、(重)炭酸イオンによる吸着阻害を十分に抑制する上で好ましい。
図1では、吸着塔として、第1吸着塔3Aと第2吸着塔3Bとが設けられており、固液分離器2で固形分が分離された分離水が第1吸着塔3Aに通水された後、オキソアニオン吸着剤が充填された第2吸着塔3Bに通水され、第2吸着塔3Bでオキソアニオン吸着剤と接触することにより、水中のオキソアニオンが該オキソアニオン吸着剤によって吸着除去された後、処理水として系外へ排出される。
第1吸着塔3Aは、2以上直列に設けられてもよい。複数の第1吸着塔3Aを直列に接続し、異なる吸着剤を充填してもよい。例えば、第1吸着塔として、コロイド吸着塔及びストロンチウム吸着塔を直列に設置してもよい。コロイド吸着塔の充填材としては、活性炭等が例示される。ストロンチウム吸着塔の充填材(吸着剤)としては、ゼオライト、チタン酸塩、結晶シリコチタネート等が例示される。
第2吸着塔3Bに充填されるオキソアニオン吸着剤としては、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、水酸化ランタン、水酸化ジルコニウム等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2吸着塔3Bは直列に多段に設けられてもよい。第2吸着塔3Bへの通水SVは3〜50h−1、特に5〜20h−1程度が好適であるが、これに限定されない。
第2吸着塔3Bの後段に、さらにセシウム吸着塔、ルテニウム吸着塔などの他の放射性物質吸着塔を設けてもよい。
図1では、放射性廃液中の(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、第1吸着塔3A、第2吸着塔3Bに通水して吸着処理しているが、第1吸着塔3Aと第2吸着塔3Bとの間に反応槽1と固液分離器2を設け、第1吸着塔3Aの処理水から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、第2吸着塔3Bでオキソアニオンの吸着除去を行うようにしてもよい。
図1では、放射性廃液中の(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、第1吸着塔3A、第2吸着塔3Bに通水して吸着処理しているが、第1吸着塔3Aと第2吸着塔3Bとの間に反応槽1と固液分離器2を設け、第1吸着塔3Aの処理水から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、第2吸着塔3Bでオキソアニオンの吸着除去を行うようにしてもよい。
このようにしてオキソアニオンを吸着除去して得られる第2吸着塔3Bの処理水のオキソアニオン濃度は、5Bq/L以下、特に0.5Bq/L以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実験方法]
(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液を模擬するものとして、ヨウ素酸ナトリウム、NaHCO3及びNaClを含む下記の模擬原水Aを調製した。また、NaClの吸着への影響を除外するため、ヨウ素酸ナトリウム及びNaHCO3を含む下記の模擬原水Cを調製した。さらに、(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として析出させ、これを固液分離した分離水を模擬するものとして、ヨウ素酸ナトリウムとNaClを含む下記模擬原水Bと、ヨウ素酸ナトリウムのみを含む下記の模擬原水Dを調製した。150mLの模擬原水A、B、C又はDをフラスコに採取し、ここへ下記ヨウ素酸吸着剤を十分に吸水させた後、添加し、下記条件で振盪した。72時間振盪した後、水中のヨウ素酸濃度をICP−MSで測定し、分配係数を下記のようにして算出した。結果を表1に示す。
(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液を模擬するものとして、ヨウ素酸ナトリウム、NaHCO3及びNaClを含む下記の模擬原水Aを調製した。また、NaClの吸着への影響を除外するため、ヨウ素酸ナトリウム及びNaHCO3を含む下記の模擬原水Cを調製した。さらに、(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として析出させ、これを固液分離した分離水を模擬するものとして、ヨウ素酸ナトリウムとNaClを含む下記模擬原水Bと、ヨウ素酸ナトリウムのみを含む下記の模擬原水Dを調製した。150mLの模擬原水A、B、C又はDをフラスコに採取し、ここへ下記ヨウ素酸吸着剤を十分に吸水させた後、添加し、下記条件で振盪した。72時間振盪した後、水中のヨウ素酸濃度をICP−MSで測定し、分配係数を下記のようにして算出した。結果を表1に示す。
<模擬原水A>
純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaHCO3を800mg/L、NaClを10g/L溶解させて調製した。
<模擬原水B>
NaHCO3を溶解させることなく、純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaClを10g/L溶解させて調製した。
<模擬原水C>
NaClを溶解させることなく、純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaHCO3を800mg/L溶解させて調製した。
<模擬原水D>
NaHCO3及びNaClを溶解させることなく、ヨウ素酸ナトリウムのみを溶解させたこと以外は模擬原水Aと同一条件にて調製した。すなわち、模擬原水DはI濃度100mg/LのNaIO3水溶液である。
純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaHCO3を800mg/L、NaClを10g/L溶解させて調製した。
<模擬原水B>
NaHCO3を溶解させることなく、純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaClを10g/L溶解させて調製した。
<模擬原水C>
NaClを溶解させることなく、純水中にヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)をIとして100mg/L、NaHCO3を800mg/L溶解させて調製した。
<模擬原水D>
NaHCO3及びNaClを溶解させることなく、ヨウ素酸ナトリウムのみを溶解させたこと以外は模擬原水Aと同一条件にて調製した。すなわち、模擬原水DはI濃度100mg/LのNaIO3水溶液である。
<ヨウ素酸吸着剤>
(i) 酸化セリウムの造粒体(栗田工業(株)商品名:合成B吸着剤BA−200)
(ii) 水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(水酸化ジルコニウム(IV)を70重量%含有する粉末状品)
(iii) 水酸化セリウム(IV)の粉末状品
(i) 酸化セリウムの造粒体(栗田工業(株)商品名:合成B吸着剤BA−200)
(ii) 水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(水酸化ジルコニウム(IV)を70重量%含有する粉末状品)
(iii) 水酸化セリウム(IV)の粉末状品
各ヨウ素酸吸着剤の模擬原水中への添加量は、表1中に示した液固比(mL/g)の通りである。この液固比の「g」はヨウ素酸吸着剤の乾燥質量を表わす。
<振盪条件>
振盪時間:72時間
振盪速度:120rpm
振幅:15mm
温度:室温
振盪時間:72時間
振盪速度:120rpm
振幅:15mm
温度:室温
<分配係数の算出方法>
72時間後、振盪を停止し、水中のI濃度を測定してCeq[μg−I/mL]とした。また、そのときのヨウ素酸吸着剤単位質量当たりのI吸着量(飽和吸着量)を算出してqeq[μg−I/g]とした。そして、以下の式から分配係数Kd[mL/g]を求めた。
Kd=qeq/Ceq
分配係数が大きいほど吸着性能に優れる。
72時間後、振盪を停止し、水中のI濃度を測定してCeq[μg−I/mL]とした。また、そのときのヨウ素酸吸着剤単位質量当たりのI吸着量(飽和吸着量)を算出してqeq[μg−I/g]とした。そして、以下の式から分配係数Kd[mL/g]を求めた。
Kd=qeq/Ceq
分配係数が大きいほど吸着性能に優れる。
<比較例1>
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
<実施例1−1>
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水B(NaIO3及びNaClを含有)に液固比1000mg/Lにて添加して振盪した。
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水B(NaIO3及びNaClを含有)に液固比1000mg/Lにて添加して振盪した。
<実施例1−2>
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に比較例1と同一液固比にて添加して振盪した。
合成B吸着剤BA−200(上記(i))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に比較例1と同一液固比にて添加して振盪した。
<比較例2>
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比50mL/gにて添加して振盪した。
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比50mL/gにて添加して振盪した。
<実施例2>
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
<比較例3>
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水C(NaIO3及びNaHCO3を含有)に液固比50mL/gにて添加して振盪した。
水酸化ジルコニウム(IV)の粉末状品(上記(ii))を模擬原水C(NaIO3及びNaHCO3を含有)に液固比50mL/gにて添加して振盪した。
<実施例3−1>
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水B(NaIO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水B(NaIO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
<実施例3−2>
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水D(NaIO3のみを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
<比較例4>
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
水酸化セリウム(IV)の粉末状品(上記(iii))を模擬原水A(NaIO3、NaHCO3及びNaClを含有)に液固比100mL/gにて添加して振盪した。
[考察]
表1の通り、模擬原水B又はDを処理した実施例1−1、1−2、2、3−1及び3−2は、模擬原水A又はCを処理した比較例1〜4に比べて分配係数が著しく高い。この結果より、(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液中から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、オキソアニオンの吸着処理することにより、オキソアニオン除去効率が顕著に向上することが認められた。
表1の通り、模擬原水B又はDを処理した実施例1−1、1−2、2、3−1及び3−2は、模擬原水A又はCを処理した比較例1〜4に比べて分配係数が著しく高い。この結果より、(重)炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液中から(重)炭酸イオンを炭酸塩沈殿物として固液分離除去した後、オキソアニオンの吸着処理することにより、オキソアニオン除去効率が顕著に向上することが認められた。
1 反応槽
2 固液分離器
3A 第1吸着塔
3B 第2吸着塔
2 固液分離器
3A 第1吸着塔
3B 第2吸着塔
Claims (5)
- 炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液からオキソアニオンを除去する放射性廃液の処理方法において、
該放射性廃液から炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンの除去した後、オキソアニオン吸着剤と接触させてオキソアニオンを該オキソアニオン吸着剤に吸着させる放射性廃液の処理方法であって、
該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成する水溶性金属塩を該放射性廃液に添加して炭酸塩沈殿物を析出させ、該炭酸塩沈殿物を固液分離することにより、該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去することを特徴とする放射性廃液の処理方法。 - 前記水溶性金属塩が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、マンガン及び鉄よりなる群から選ばれる金属の塩化物塩、水酸化物塩又は硫酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
- 前記放射性廃液は前記オキソアニオンとしてヨウ素酸を含んでおり、前記オキソアニオン吸着剤は、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、水酸化ランタン及び水酸化ジルコニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性廃液の処理方法。
- 前記炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液中のCO3 2−及び/又はHCO3 −イオンに由来するIC(無機体炭素)濃度が10〜5000mg/Lであり、該放射性廃液から炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンを除去した後のCO3 2−及び/又はHCO3 −イオンに由来するIC(無機体炭素)濃度が5mg/L以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放射性廃液の処理方法。
- 炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンとオキソアニオンが共存する放射性廃液からオキソアニオンを除去する放射性廃液の処理装置において、
該炭酸イオン及び/又は重炭酸イオンと反応して炭酸塩沈殿物を生成する水溶性金属塩を該放射性廃液に添加して炭酸塩沈殿物を析出させる析出手段と、
該炭酸塩沈殿物の固液分離手段と、
該固液分離手段からの分離水をオキソアニオン吸着剤と接触させる接触手段とを有する放射性廃液の処理装置。
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JP2020020686A JP2021127990A (ja) | 2020-02-10 | 2020-02-10 | 放射性廃液の処理方法及び装置 |
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JP2020020686A JP2021127990A (ja) | 2020-02-10 | 2020-02-10 | 放射性廃液の処理方法及び装置 |
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