JP2021127475A - 表面処理鋼板および表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

表面処理鋼板および表面処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性が良好であり、かつ防眩性も高い、表面処理されためっき鋼板を提供すること。【解決手段】本発明は、鋼板と、前記鋼板の表面に配置されたAl含有Zn系めっき層と、前記Al含有Zn系めっき層の表面を部分的に被覆する、Alを含有するリン酸塩化合物粒子と、を有し、表面の60°光沢値が80以下である、表面処理鋼板に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理鋼板および表面処理鋼板の製造方法に関する。
亜鉛(Zn)系めっき層の表面に無機系の化成処理皮膜を形成して、当該Zn系めっき層を有するめっき鋼板への白錆の発生を抑制する(耐食性を高める)方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
また、Zn系めっき層の表面に有機樹脂皮膜を形成して、当該Zn系めっき層を有するめっき鋼板の耐食性を高める方法も知られている。このとき、めっき層の表面にリン酸塩の結晶を析出させてリン酸塩皮膜を形成し、上記リン酸塩皮膜の表面に、有機樹脂を含む皮膜をさらに形成することがある(たとえば、特許文献2)。特許文献2には、上記リン酸塩皮膜は、白錆の発生を抑制し、有機樹脂皮膜の密着性を高め、かつ、リン酸塩の結晶粒子が光を散乱させることによりZn系めっき鋼板の光沢を低下させる(以下、めっき鋼板の光沢が低いことを単に「防眩性が高い」ともいう。)作用を有すると記載されている。
特開平11−61431号公報 特開2012−021207号公報
特許文献1に記載のように、化成処理皮膜の形成によりめっき鋼板の耐食性を高めることができる。しかし、当該めっき鋼板の用途によっては、同時に、当該めっき鋼板の防眩性を高めることも、要求されている。
また、特許文献2に記載のように、リン酸塩の結晶によりめっき鋼板の防眩性を高めることができる。しかし、この方法では、リン酸塩皮膜を形成した後に、耐食性向上のために有機樹脂皮膜を形成する必要がある。これに対し、工程数を減らしてめっき鋼板の生産性を向上させることへの要求が存在する。
これらの事情に鑑み、本発明は、生産性が良好であり、かつ防眩性も高い、表面処理されためっき鋼板(以下、単に「表面処理鋼板」ともいう。)、および当該表面処理鋼板の製造方法を提供することを、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、鋼板と、前記鋼板の表面に配置されたAl含有Zn系めっき層と、前記Al含有Zn系めっき層の表面を部分的に被覆する、Alを含有するリン酸塩化合物粒子と、を有し、表面の60°光沢値が80以下である、表面処理鋼板に関する。
また、上記課題を解決するための本発明の他の態様は、Al含有Zn系めっき層が鋼板の表面に配置されためっき鋼板を用意する工程と、前記Al含有Zn系めっき層の表面にリン酸塩を含有し、かつpHが1.5以上3.0以下である処理液を付与して、Alを含有するリン酸塩化合物粒子を前記表面に形成する工程と、を有する、表面処理鋼板の製造方法に関する。
本発明によれば、生産性が良好であり、かつ防眩性も高い表面処理鋼板、および当該表面処理鋼板の製造方法が提供される。
図1は、実施例における表面処理鋼板No.9のAl含有亜鉛系めっき層の表面に形成された粒状物(リン酸塩化合物粒子)の、AES測定結果である。 図2Aは、実施例における表面処理鋼板No.9の表面の拡大写真であり、図2Bは、表面処理鋼板No.24により形成された無機皮膜の表面の拡大写真である。
以下、本発明の一実施の形態を説明する。
1.表面処理鋼板
本実施の形態に係る表面処理鋼板は、めっき鋼板と、当該めっき鋼板の表面に配置されたリン酸塩化合物粒子と、を有する。以下、本実施の形態に係る化成処理鋼板の各構成要素について説明する。
[めっき鋼板]
上記めっき鋼板は、アルミニウム(Al)を含有する亜鉛(Zn)系めっき層(Al含有Zn系めっき層)を有する、Al含有Zn系めっき鋼板である。
上記めっき鋼板の下地となる上記鋼板(下地鋼板)の例には、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼および合金鋼が含まれる。当該下地鋼板が低炭素Ti添加鋼や低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板であることは、化成処理鋼板の加工性の向上の観点から好ましい。
上記Al含有Zn系めっき層は、0.05〜60質量%のアルミニウムを含有することにより耐食性を高められた、Zn系めっき鋼板である。上記Al含有Zn系めっき層は、耐食性をさらに高めるために、0.5〜4.0質量%のマグネシウム(Mg)や、ケイ素(Si)などを含有してもよい。
上記Al含有Zn系めっき層の例には、Alを5質量%程度含有するZn合金による溶融5%Al−Znめっき鋼板、AlおよびMgを含有するZn合金による溶融Al−Mg−Znめっき鋼板、Al、MgおよびSiを含有するZn合金による溶融Al−Mg−Si−Znめっき鋼板、Alを55質量%程度含有するZn合金による溶融55%Al−Znめっき鋼板などが含まれる。
上記めっき鋼板の下地となる上記鋼板(下地鋼板)の例には、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼および合金鋼が含まれる。当該下地鋼板が低炭素Ti添加鋼や低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板であることは、化成処理鋼板の加工性の向上の観点から好ましい。
上記めっき鋼板の厚さは、表面処理鋼板の用途に応じて適宜に決めることができ、例えば0.2mm以上6.0mm以下である。上記めっき鋼板は、例えば、平板でもよいし、波板でもよく、めっき鋼板の平面形状は、矩形でもよいし、矩形以外の形状であってもよい。
[リン酸塩化合物粒子]
上記リン酸塩化合物粒子は、上記Al含有Zn系めっき層の表面に分散して配置された、リン酸塩およびAlを含有する粒子である。本実施形態では、この分散されたリン酸塩化合物粒子が、光を散乱することにより、めっき鋼板の防眩性を高める。
上記リン酸塩は、リン酸アニオンを有する化合物であって、難水溶性の結晶を形成できるものであれば特に限定されない。上記リン酸塩の例には、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸亜鉛鉄、およびリン酸亜鉛カルシウムなどが含まれる。ただし、上記リン酸塩の一部は、リン酸アルミニウムである。
上記Alは、Al含有Zn系めっき層に由来するAl原子であり、リン酸塩化合物粒子を形成するための処理液中に含有されていたリン酸と塩(リン酸アルミニウム)を形成している。本実施形態では、後述するように、従来の化成処理液よりもリン酸塩の量を増量し、かつ従来のリン酸塩処理液よりも硝酸イオンの量を減らした処理液を用いて、リン酸塩化合物粒子を形成している。上記処理液において、Al含有Zn系めっき層から溶出したAlイオン(Al3+)は、従来のリン酸塩処理液のように硝酸イオン(NO )の還元反応に消費されることがなく、かわりにリン酸イオン(PO 4−)と塩を形成し、結晶化して析出する。このようにして、本実施形態では、従来の化成処理液による耐食性の向上と、リン酸塩化合物粒子の形成による防眩性の向上と、を単一の処理液により達成している。
上記リン酸塩化合物粒子中の上記Alの含有量は、上記リン酸塩化合物粒子の全質量に対して3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。上記Alの含有量は、オージェ電子分光(AES)分析装置を用いて測定することができる。
なお、上記処理液によるリン酸塩化合物粒子の形成時に、Al含有Zn系めっき層からはAlイオンのほかにZnイオン(Zn2+)も溶出する。この溶出したZnイオンも、Alイオンと同様にリン酸イオンと塩を形成し、結晶化して析出することがある。そのため、上記リン酸塩化合物粒子は、上記Alに加えて、微量のZnも含有することが好ましい。
上記リン酸塩化合物粒子は、平均粒径が0.5μm以上10.0μm以下であることが好ましい。上記平均粒径が0.5μm以上であると、リン酸塩化合物粒子による防眩性の向上効果をより十分に奏することができる。上記平均粒径が10.0μm以下であると、本実施形態に関する表面処理鋼板を成形加工した際のリン酸塩化合物粒子の凝集破壊が生じにくい。上記観点から、上記リン酸塩化合物粒子は、平均粒径が1.0μm以上6.0μm以下であることがより好ましい。
また、リン酸塩化合物粒子の密着性を向上させる観点から、リン酸塩化合物粒子は、その基部が上記Al含有Zn系めっき層に食い込んでいることが好ましい。めっき層に食い込むリン酸塩化合物粒子の結晶粒子の平均深さは、0.05μm以上であることが好ましい。リン酸塩化合物粒子の食い込み深さは、クロム酸二アンモニウム水溶液を用いてリン酸塩の結晶粒子を除去した後、リン酸塩の結晶粒子の痕跡を、走査型レーザ顕微鏡を用いて観察することで測定できる。
また、上記リン酸塩化合物粒子は、付着量がP原子換算で36mg/m以上210mg/m以下であることが好ましい。上記付着量が36mg/m以上であると、リン酸塩化合物粒子による防眩性の向上、および耐食性の向上効果をより十分に奏することができる。上記付着量が180mg/m以下であると、本実施形態に関する表面処理鋼板を成形加工した際のリン酸塩化合物粒子の凝集破壊が生じにくい。上記観点から、上記リン酸塩化合物粒子は、上記付着量が36mg/m以上180mg/m以下であることがより好ましく、60mg/m以上140mg/m以下であることがさらに好ましい。リン酸塩化合物粒子の付着量は、蛍光X線分析装置、ICP分析装置などの元素分析装置を用いて測定することが可能である。
また、上記リン酸塩化合物粒子は、上記リン酸塩化合物粒子が形成されている面において、Al含有Zn系めっき層の表面のうち11%以上を被覆していることが好ましい。めっき層表面の被覆率が11%以上であると、リン酸塩化合物粒子による防眩性の向上、および耐食性の向上効果をより十分に奏することができる。上記被覆率の上限は特に限定されないが、成形加工時のリン酸塩化合物粒子の凝集破壊を抑制する観点からは、98%とすることができる。上記観点から、上記被覆率は、11%以上60%以下であることがより好ましく、15%以上40%以下であることがさらに好ましく、15%以上25%以下であることが特に好ましい。リン酸塩化合物粒子によるAl含有Zn系めっき層表面の被覆率は、Al含有Zn系めっき層表面を撮像した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を画像解析することにより測定することができる。
[無機皮膜]
本実施形態に関する表面処理鋼板は、上記処理液により形成される無機皮膜が、Al含有Zn系めっき層の表面に配置されていてもよい。典型的には、本実施形態に関する表面処理鋼板は、Al含有Zn系めっき層の表面に、連続皮膜としての上記無機皮膜が配置されており、かつ、Al含有Zn系めっき層の表面に配置された上記リン酸塩化合物粒子が、上記無機皮膜の内部に、または上記無機皮膜の表面から突出して、形成されている。
上記無機皮膜は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)などのバルブメタルのうち、一以上の金属元素を含むことが好ましい。これらのバルブメタルは、酸化物、水酸化物またはフッ化物などの塩として、無機皮膜中に含有される。
本実施形態では、これらのうち、特に耐食性の向上効果が高いことから、上記無機皮膜はTiまたはZrを含むことが好ましい。
また、上記Al含有Zn系めっき層の表面における、上記無機皮膜によるTiおよびZrの付着量に対する上記リン酸塩化合物粒子によるPの付着量の比(P/(Ti+Zr))は、質量比で、1.2以上であることが好ましい。TiおよびZrに対するPの量が上記範囲であると、上記処理液の付与により、より十分な量の上記リン酸塩化合物粒子が形成されるため、リン酸塩化合物粒子による防眩性の向上効果が十分に奏される。上記観点から、上記比率(P/(Ti+Zr))は、1.2以上3.0以下であることがより好ましく、1.5以上2.5以下であることが特に好ましい。
上記無機皮膜によるTiおよびZrの付着量は、TiおよびZr原子換算で30mg/m以上であることが好ましい。上記付着量が30mg/m以上であると、TiまたはZrが電子移動に対する抵抗体として作用することによる耐食性の向上効果をより十分に奏することができる。上記観点から、上記Tiの付着量は、30mg/m以上70mg/m以下であることがより好ましく、30mg/m以上60mg/m以下であることがさらに好ましい。TiおよびZrの付着量は、蛍光X線分析装置、ICP分析装置などを用いて測定することが可能である。
[有機皮膜]
本実施形態に関する表面処理鋼板は、上記リン酸塩化合物粒子(および上記無機皮膜)を被覆する、有機樹脂を主成分とする有機皮膜を有してもよい。
上記有機樹脂は、亜鉛系めっき鋼板の表面処理に通常使用される有機樹脂であればよく、たとえば、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、およびポリエステル樹脂などから、適宜選択することができる。これらの有機樹脂を含む有機皮膜は、上記塗装鋼板の耐食性および加工性を高めることができる。
これらのうち、耐食性および加工性をより高める観点からは、上記有機樹脂はウレタン樹脂またはポリエステル樹脂であることが好ましく、ウレタン樹脂であることがより好ましい。
上記有機皮膜は、上記バルブメタルのうち、一以上の金属元素を含むことが好ましい。これらのバルブメタルは、酸化物、水酸化物またはフッ化物などの塩として、有機皮膜中に含有される。
上記有機皮膜の膜厚は、3.0μm以上であることが好ましい。上記膜厚が3.0μm以上であると、有機皮膜を浸透した腐食因子がめっき層へ到達しにくくなり、表面処理鋼板の耐食性を十分に高めることができる。上記有機皮膜の膜厚の上限値は特に限定されないものの、15μmとすることができる。
上記有機皮膜は、有機顔料などを含む着色された皮膜であってもよいが、クリア皮膜であるときに、上記リン酸塩化合物粒子による防眩性の向上効果が顕著である。
上記構成を有する表面処理鋼板は、Al含有Zn系めっき層の表面に分散されて配置され、上記表面を部分的に被覆するリン酸塩化合物粒子により、光沢度が低下されている。これにより、上記表面処理鋼板の60°光沢値は、80以下となっている。上記60°光沢値は、60以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、40以下であることがさらに好ましい。上記60°光沢値は、JIS K 5600−4−5(1999年)に準拠して測定された値とする。
2.表面処理鋼板の製造方法
上述した表面処理鋼板は、上記Al含有Zn系めっき層の表面に、リン酸塩を含有し、かつpHが1.5以上3.0以下である処理液を付与し、付与された処理液を乾燥させることによって製造することができる。
上記処理液の溶媒は、化成処理鋼板の製造時における防爆性の観点から、水性媒体であることが好ましい。上記水性媒体は、水を主成分とする液媒であり、例えば、水や水と水溶性有機溶剤との混合液などである。当該液媒の含有量は、化成処理液の塗布に適当な上述の固形分の濃度の範囲において、適宜に決めることが可能である。
上記処理液に含まれるリン酸塩のリン酸は、オルトリン酸などの通常のリン酸であってもよいし、ピロリン酸などの複合リン酸であってもよい。リン酸塩の陽イオンの例には、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、マンガンイオン、アルミニウムイオン、チタニウムイオン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオンおよび亜鉛イオンが含まれる。
上記処理液における上記リン酸塩の含有量は、P原子換算で12/L以上30g/L以下であることが好ましい。上記リン酸塩の含有量を12g/L以上とすることで、十分な量の上記リン酸塩化合物粒子を形成させ、作製される表面処理鋼板の防眩性をより十分に向上させることができる。上記観点から、上記リン酸塩の含有量は、15g/L以上25g/L以下であることがさらに好ましい。
また、上記処理液は、上述したバルブメタル、特にはTiまたはジルコニウム(Zr)を含有することが好ましい。上記バルブメタルは、酸化物、水酸化物またはフッ化物などの塩として添加すればよい。たとえば、Tiを含有させるとき、上記処理液には、KTiF(K:アルカリ金属またはアルカリ土類金属、n:1または2)、K[TiO(COO)]、(NHTiF、TiCl、TiOSO、Ti(SO、およびTi(OH)などのTi塩、または(NH)ZrFなどのZr塩を添加すればよい。
上記処理液における上記バルブメタル(特にはTiおよびZr)の含有量は、バルブメタルの原子換算で5.0g/L以上20.0g/L以下であることが好ましい。上記バルブメタルの含有量を5.0g/L以上とすることで、十分な量の上記無機皮膜を形成させ、作製される表面処理鋼板の耐食性をより十分に向上させることができる。上記観点から、上記バルブメタルの含有量は、7.0g/L以上15.0g/L以下であることがさらに好ましい。
上記処理液がフッ素化合物を含有すると、Al含有Zn系めっき層からAlイオンを溶出させやすくして、Alを含有するリン酸塩化合物粒子をより十分に生成させることができる。上記観点から、上記処理液におけるフッ素(F)の含有量は、5g/L以上であることが好ましく、5g/L以上50g/L以下であることがより好ましく、10g/L以上25g/L以下であることがさらに好ましい。上記フッ素は、バルブメタルのフッ化物の添加により処理液に含有させてもよいし、これらとは別のフッ化物の処理液に含有させてもよい。
上述したように、本実施形態では、硝酸イオンによるリン酸塩の結晶化を促進する従来のリン酸塩処理とは異なり、Al含有Zn系めっき層から溶出したAlイオンによりリン酸塩化合物粒子の形成を促進する。そのため、上記処理液は、硝酸イオンの含有量を低減させてもよく、たとえば硝酸イオンの含有量を1g/L以下とすることができ、0.1g/L以下とすることが好ましい。
また、上記処理液は、pHが1.5以上3.0以下であることが好ましい。硝酸などの有機酸を含有する従来の処理液は、通常、pHがこれよりも小さい値となる。これに対し、上記処理液では、Al含有Zn系めっき層に由来するAlと処理液中のリンとが反応して生成するAlを含有するリン酸塩化合物を沈殿させて、めっき層の表面に粒子状に付着させている。pHが1.5未満であると、上記Alを含有するリン酸塩化合物が処理液中に溶解して沈殿しないため、リン酸塩化合物粒子が生成しにくい。なお、上記処理液が上述した含有量のフッ素(F)を含んでいると、pHが1.5以上3.0以下であっても、Al含有Zn系めっき層からAlイオンを溶出させやすくなり、十分な量のリン酸塩化合物粒子を生成させることができる。
また、上記処理液は、表面処理鋼板の耐食性をより高めるため、タンニン酸、シランカップリング剤およびコロイダルシリカをさらに含有してもよい。また、上記処理液は、表面処理鋼板の外観を調整するため、顔料および金属フレークなどをさらに含有してもよい。
また、上記処理液は、レオロジーコントロール剤、エッチング剤、リン酸塩またはバルブメタル以外の無機化合物および潤滑剤などをさらに含有してもよい。
上記エッチング剤は、上記めっき鋼板の表面を活性化し、化成処理皮膜のめっき鋼板への密着性の向上に寄与する。エッチング剤の例には、フッ化物が含まれる。上記無機化合物は、化成処理皮膜を緻密化して化成処理皮膜の耐水性の向上に寄与する。無機化合物の例には、Mg、Ca、Sr、W、Mn、B、SiまたはSnの酸化物あるいはリン酸塩が含まれる。上記潤滑剤は、化成処理皮膜の潤滑性を高め、化成処理鋼板の加工性の向上に寄与する。潤滑剤の例には、二硫化モリブデンおよびタルクなどの無機潤滑剤が含まれる。
上記処理液は、ロールコート法、スピンコート法およびスプレー法などの方法により上記Al含有Zn系めっき層の表面に付与することが好ましい。上記処理液への上記めっき鋼板の浸漬は、めっき層の溶解量が多く、処理液中へのスラッジが多くなるため好ましくない。
上記めっき鋼板の表面に塗布された化成処理液の乾燥は、常温で行うことが可能であるが、生産性(連続操業)の観点から、50℃以上で行うことが好ましく、100℃以上で行うことがより好ましい。この乾燥温度は、上記化成処理液中の成分の熱分解を防止する観点から、300℃以下であることが好ましい。
その後、必要に応じて、形成された上記リン酸塩化合物粒子(および上記無機皮膜)を被覆する、上記有機皮膜をさらに形成してもよい。
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.実験1
[めっき鋼板A〜めっき鋼板Cの作製]
冷間圧延鋼板(SPCC)に溶融Znの溶融亜鉛めっきを施してなる溶融Znめっき鋼板(めっき鋼板A)を用意した。当該溶融Znめっき鋼板は、通常、0.1質量%程度のAlを含有している。また、溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金の溶融合金めっきをSPCCに施してなる溶融6%Al−3%Mg−Znめっき鋼板(めっき鋼板B)を用意した。また、溶融Zn−11質量%Al−3質量%Mg合金の溶融合金めっきをSPCCに施してなる溶融11%Al−3%Mg−Znめっき鋼板(めっき鋼板C)を用意した。めっき鋼板A〜めっき鋼板Cの板厚は、いずれも3.2mmであり、めっき鋼板A〜めっき鋼板Cにおける片面のめっき付着量は、いずれも60g/mとした。
[処理液の調製]
表1に記載のPソースおよびTiソース、ならびに他の添加剤を配合した処理液を調製した。
Figure 2021127475
めっき鋼板A〜めっき鋼板Cのいずれかのめっき層の表面に、処理液1〜処理液7のいずれかをロールコーターで付与した。その後、めっき鋼板を水洗せずに140℃で乾燥させて、リン酸塩化合物粒子を上記めっき層の表面に形成した。ロールコーターによる各処理液の付与量を変化させて、リン酸塩およびTiまたはZr化合物の付着量が異なる表面処理鋼板を作製した。
[評価]
(1)リン酸塩化合物粒子による表面の被覆率
それぞれの表面処理鋼板の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像し、画像解析ソフト(ImageJ)により得られた画像を解析して、めっき層の表面における粒状物の割合(被覆率)を求めた。
(2)外観
それぞれの表面処理鋼板の、表面処理を施した側の表面の60°鏡面光沢度G60を、JIS Z8741で規定されている「鏡面光沢度−測定方法」に準拠し、株式会社村上色彩技術研究所製の光沢計、GMX−203を用いて測定した。測定された光沢度をもとに、当該表面処理鋼板の外観を、以下の基準により評価した。
◎:G60が60以下である
○:G60が60超80以下である
△:G60が80超100以下である
×:G60が100超である
(3)耐食性
それぞれの表面処理鋼板の端面をシールして、JIS Z 2371(年)に準拠して、35℃の5%NaCl水溶液を、表面処理を施した表面に継続して噴霧した。塩水噴霧を120時間継続した後、当該噴霧された表面処理鋼板の表面を観察し、白錆が発生した面積の面積率を測定した。測定された面積率をもとに、当該表面処理鋼板の平坦部の耐食性を、以下の基準により評価した。
◎:白錆が発生した面積率は5%以下である
○:白錆が発生した面積率は5%超10%以下である
△:白錆が発生した面積率は10%超20%以下である
×:白錆が発生した面積率は20%超である
Figure 2021127475
図1は、表面処理鋼板No.9のAl含有亜鉛系めっき層の表面に形成された粒状物(リン酸塩化合物粒子)の、AES測定結果である。図1から明らかなように、この粒状物は、AlおよびZnを含有するリン酸塩であることがわかる。なお、今回の実験で形成された他の粒状物も、AES測定の結果、同様にAlおよびZnを含有するリン酸塩であることがわかった。
図2Aは、表面処理鋼板No.9の表面の拡大写真であり、図2Bは、面処理鋼板No.24により形成された無機皮膜の表面の拡大写真である。図2Aおよび図2Bから明らかなように、今回の実験で作製した表面処理鋼板は、Al含有亜鉛系めっき層の表面を部分的に被覆する粒状物を有し、これによりG60が低下したことがわかる。
また、表2から明らかなように、処理液の組成および付与量を調整することで、表面処理鋼板のG60を80以下にして、表面処理鋼板の防眩性を十分に向上させることができた。
上記化成処理鋼板は、防眩性が十分に向上されているため、外装用建材および内装用建材などの様々な用途において有用である。たとえば、上記化成処理鋼板は、建築物の屋根材や外装材など、ビニールハウスまたは農業ハウス用の鋼管や形鋼、支柱、梁など、搬送用部材、遮音壁、防音壁、吸音壁、防雪壁、ガードレール、高欄、防護柵、支柱、鉄道車両用部材、架線用部材、電気設備用部材、安全環境用部材、構造用部材、太陽光架台およびエアコン室外機などの様々な用途に好適に使用され得る。

Claims (9)

  1. 鋼板と、
    前記鋼板の表面に配置されたAl含有Zn系めっき層と、
    前記Al含有Zn系めっき層の表面を部分的に被覆する、Alを含有するリン酸塩化合物粒子と、を有し、
    表面の60°光沢値が80以下である、
    表面処理鋼板。
  2. 前記リン酸塩化合物粒子は、前記Al含有Zn系めっき層の表面のうち11%以上の面積を被覆する、請求項1に記載の表面処理鋼板。
  3. 前記リン酸塩化合物粒子は、Znを含有する、請求項1または2に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記Al含有Zn系めっき層の表面を被覆する、TiまたはZrを含む無機皮膜をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記Al含有Zn系めっき層の表面におけるチタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)の付着量に対するリン(P)の付着量の比率(P/(Ti+Zr))は、質量比で、1.2以上である、請求項4に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記Al含有Zn系めっき層の表面におけるチタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)の付着量は、30mg/m以上である、請求項4または5に記載の表面処理鋼板。
  7. Al含有Zn系めっき層が鋼板の表面に配置されためっき鋼板を用意する工程と、
    前記Al含有Zn系めっき層の表面に、リン酸塩を含有し、かつpHが1.5以上3.0以下である処理液を付与して、Alを含有するリン酸塩化合物粒子を前記表面に形成する工程と、
    を有する、表面処理鋼板の製造方法。
  8. 前記処理液は、TiまたはZrをさらに含有する、請求項7に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  9. 前記処理液におけるチタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)の質量に対するリン(P)の質量の比率(P/(Ti+Zr))は、1.2以上である、請求項8に記載の表面処理鋼板の製造方法。
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