JP2021127381A - ウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法、組成物及び硬化物 - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法、組成物及び硬化物 Download PDF

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公浩 松本
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Daisuke Noguchi
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Abstract

【課題】溶剤を用いなくても低粘度のコーティングを可能とするウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
【解決手段】炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)及びイソシアネート由来の構造(b)を有するウレタン(メタ)アクリレートであって、
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種の炭化水素基含有ポリオールから形成された構造であり、
イソシアネート由来の構造(b)が、下記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートによって形成された構造を含む、ウレタン(メタ)アクリレート。
Figure 2021127381

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレート化合物)、その製造方法、組成物(ウレタン(メタ)アクリレート組成物)、及び硬化物に関する。ウレタン(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線で硬化させるタイプの各種コーティング剤の主成分などとして有用な化合物である。
従来、ポリウレタンの末端に、イソシアナト基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記のものが知られている。
(1)ネオペンチルグリコール、イソフタル酸、無水フタル酸、及びセバシン酸を反応させて得られるポリエステルポリオールと、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させることにより得られたウレタン(メタ)アクリレート(例えば、特許文献1を参照)。
(2)ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタンと、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させることにより得られたウレタン(メタ)アクリレート(例えば、特許文献2を参照)。
(3)光学的立体造形用樹脂のウレタンが、ポリオール化合物と(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートを反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート(例えば、特許文献3を参照)。
(4)有機溶媒の存在下で、ポリカーボネートポリオール及びジイソシアネートを反応させ、次いでアクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート(特許文献4を参照)。
また、特許文献1には、ポリエステルポリオール由来の構造を含むウレタン(メタ)アクリレートが開示されており、そのウレタン(メタ)アクリレートは、粘着性に優れていると記載されている。
特開2013−249438号公報 特開2015−212325号公報 特開平8−183822号公報 特開2018−131521公報
特許文献1には、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度を塗工に適した粘度とするため、溶剤が加えられている。
また、同様に、特許文献2には、ポリエーテルポリオール由来の構造を含むウレタン(メタ)アクリレートが粘着強度が高いと記載されているが、実施例には、塗工に適した粘度とするため、溶剤が加えられている。
特許文献3のウレタン(メタ)アクリレートは、ビニル単量体として室温で液体であるアクリル酸モルホリド等に溶解させてから、硬化させている。また、ウレタン(メタ)アクリレートの原料のポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールから選ばれるポリオールである。
特許文献4において、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度を低下させるために、溶剤が使用されている。
溶剤を用いるとコストが向上し、製造時のプロセスが増加し、環境への負荷がかかる。それゆえ、溶剤の使用料を低減し、低粘度のコーティングを可能とするウレタン(メタ)アクリレートが求められている。さらに、伸びがあり加工しやすく、耐久性、耐熱性、及び耐塩水噴霧性が良い、ウレタン(メタ)アクリレートが求められている。
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、溶剤を用いない場合にも低粘度であるウレタン(メタ)アクリレートであって、低粘度のコーティングを可能とするウレタン(メタ)アクリレートを提供することである。
本発明の好ましい態様は次のとおりである。
態様1:
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)及びイソシアネート由来の構造(b)を有するウレタン(メタ)アクリレートであって、
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種の炭化水素基含有ポリオールから形成された構造であり、
イソシアネート由来の構造(b)が、下記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートによって形成された構造を含む、ウレタン(メタ)アクリレート。
Figure 2021127381
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
態様2:
ウレタン(メタ)アクリレートを形成するためのイソシアネート化合物の中で、前記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの含有量が、95質量%以上である、態様1に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様3:
ウレタン(メタ)アクリレートを形成するためのイソシアネート化合物が、前記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのみからなる、態様1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様4:
イソシアナト基含有(メタ)アクリレートにおいて、Rが、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基でありRが炭素数1〜6のアルキレン基である、態様1〜3のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様5:
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオールである態様1〜4のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様6:
前記ウレタン(メタ)アクリレートに含まれるポリカーボネートポリオール由来の構造(a)が、
下式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であるジオール及び下式(2)においてRが炭素原子数6〜18の二価の環状炭化水素基であるジオールを含む構造、又は
式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であるジオールを1種若しくは2種含む構造である、態様1〜5のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
HO−R−OH (2)
態様7:
有機溶剤の非存在下、25℃での粘度が90000mPa・s以下である、態様1〜6のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様8:
態様1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを硬化して得られる硬化物。
態様9:
態様1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤を含む、組成物。
態様10:
組成物全量に含まれる有機溶剤が5質量%以下である、態様9に記載の組成物。
態様11:
重合性化合物を更に含む、態様9又は10に記載の組成物。
態様12:
態様9〜11に記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
態様13:
コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成する態様1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
態様14:
コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成する態様9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
態様15:
炭化水素基含有ポリオールと、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとを反応させることによってウレタン(メタ)アクリレートを得る、態様1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
本発明により、低粘度の塗工(コーティング)を可能とするウレタン(メタ)アクリレートを提供することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートが低粘度であるので、塗工に適した粘度とするための溶剤の使用を低減または省略できる。したがって、使用時のコストの向上を抑制し、製造時のプロセスの増加を低減でき、環境への負荷を抑えられる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレートの取り扱いが容易である。塗工時に溶剤を使用しないことも可能である。
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)及びイソシアネート由来の構造(b)を有するウレタン(メタ)アクリレートであって、
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種の炭化水素基含有ポリオールから形成された構造であり、
イソシアネート由来の構造(b)が、下記式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレートによって形成されている。
Figure 2021127381
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの有機溶剤非存在下且つ25℃での粘度は、低粘度のコーティングを可能とする観点から、90000mPa・s以下であることが好ましく、30000mPa・s以下であることがより好ましく、10000mPa・s以下であることがさらに好ましい。粘度の下限は、例えば1mPa・s、特に10mPa・sであってよい。粘度は、E型回転式粘度計を用いて25℃で測定した値である。
粘度は、ウレタン(メタ)アクリレートそのものの粘度を示すため、有機溶剤非存在下での粘度であることが好ましいが、少量(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜20質量部)の溶媒が存在してもよい。
「ウレタン(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート、特に、分子末端に(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレートを意味する。
「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
[炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)]
炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)は、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種の炭化水素基含有ポリオールから形成された構造である。
炭化水素基含有ポリオールは、ポリカーボネートポリオール又はポリエーテルポリオールであることが好ましく、ポリカーボネートポリオールであることが特に好ましい。
ポリカーボネートポリオール由来の構造とは、ポリカーボネートポリオールの分子構造のうち、ウレタン化反応に関与する結合基以外の部分構造のことを示す。
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールは、ポリオール由来の構造と、場合によりラクトン由来の構造と、カーボネート結合とを有する。ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオールと、炭酸エステルとを、触媒の存在下で反応させることによって得られる。
(ポリオール)
ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールは、2つの分子が結合する反応(例えば、重縮合反応及びエステル化反応)を生じさせる反応基を有する化合物、例えば、ジオール及びラクトンを包含する。ラクトンは、ジオールと同様に、ポリカーボネートポリオールを生成する。ポリオールは、3つ以上の水酸基を有するポリオール(例えば、トリオール及びテトラオール)であってよいが、2つの水酸基を有するポリオール(ジオール)であることが好ましい。
(ジオール)
ジオールは、式:
HO−R−OH (2)
[式中、Rは、炭素数2〜22の二価の炭化水素基もしくはその一部にエーテル結合を含む]
で示される炭化水素基含有ジオールであることが好ましく、その一部にエーテル結合を有していても良い。
炭化水素基含有ジオールにおいて、二価の炭化水素基は、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であってよい。炭化水素基は、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族であってよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。炭化水素基の炭素数は、3〜16、好ましくは4〜12、特に4、5、6又は8であってよい。
直鎖状脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基(プロピレン基)、テトラメチレン基(ブチレン基)、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基などが挙げられるが、好ましくはテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基である。また、分岐状脂肪族炭化水素基としては、2−メチルトリメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、1−メチルオクタメチレン基が挙げられる。また、環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジメチレン基が挙げられる。
ジオールの具体例としては、直鎖状脂肪族炭化水素して、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールが挙げられるが、好ましくはブタンジオール、ペンタンジオール、n−ヘキサンジオールである。分岐状脂肪族炭化水素としては、2−メチルプロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールダイマージオールが挙げられる。
炭化水素基含有ジオールは、式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)である第1ジオール及び式(2)においてRが炭素原子数6〜18の二価の環状炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)である第2ジオールの組み合わせ、又は
式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)である第1ジオールを1種若しくは2種の組み合わせ
であることが好ましい。
第1ジオールと第2ジオールのモル比は、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜85/15、特に20/80〜80/20である。
炭素原子数2〜12の二価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基(特に脂肪族炭化水素基)は、例えば、エチレン基、トリメチレン基(プロピレン基)、テトラメチレン基(ブチレン基)、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,3−ブチレン、3−メチルペンテン、2−エチルヘキセン、2−メチル−1,3−ペンテン、2−メチル−1,3−プロペン、ネオペンテン、2−メチル−1,8−オクテン等などが挙げられるが、好ましくはテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチル−1,3−ペンテン基である。
炭素原子数6〜18の二価の環状脂肪族炭化水素基は、例えば、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基などが挙げられるが、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメチレン基である。
(第1ジオール)
炭素原子数2〜12の二価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を有するジオール(第1ジオール)としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,6−ジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが挙げられるが、好ましくはブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが使用される。
なお、第1ジオールを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの機能や特性などを損なわない程度に、第1ジオールの分子中にエーテル結合が少量(例えば、エーテル結合(酸素原子)の量が第1ジオールの全量に対して0.1〜10質量%、特に0.2〜5質量%である。)含まれていても良く、分岐状の炭化水素基を有するポリオールが少量(例えば、分岐状の炭化水素基を有するポリオールの量が直鎖状の炭化水素基を有するポリオール100質量部に対して0.1〜5質量部である。)含まれていても良い。
(第2ジオール)
第2ジオールは、炭素原子数6〜18の二価の環状炭化水素基を有するジオールであり、炭素原子数6〜10の二価の環状炭化水素基を有するジオールであることが好ましく、炭素原子数6〜8の二価の環状炭化水素基を有するジオールであることがより好ましい。第二ジオールとしては、例えば、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられるが、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノールが使用される。
なお、第2ジオールを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの機能や特性などを損なわない程度に、第2ジオールの分子中にエーテル結合が少量(例えば、エーテル結合(酸素原子)の量が第2ジオールの全量に対して0.1〜10質量%、特に0.2〜5質量%である。)含まれていても良く、芳香族炭化水素基を有するポリオールが少量(例えば、芳香族炭化水素基を有するポリオールの量が環状脂肪族炭化水素基を有するポリオール100質量部に対して0.1〜10質量部である。)含まれていても良い。
(ラクトン)
ラクトンとは、環状エステルであり、同分子内のヒドロキシル基とカルボキシル基が脱水縮合することにより生成される化合物である。
ラクトンの具体例としては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられる。
ラクトンの量は、ポリオール100質量部に対して、30質量部以下、例えば0.1〜10質量部であってよい。
(ポリカーボネートポリオールの態様)
ポリカーボネートポリオールは、より具体的には、ポリオール由来の構造、及びカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールであり、例えば、ポリオールと、炭酸エステルとを、触媒の存在下で反応させることによって得られる。
したがって、ポリカーボネートポリオール中に含まれるポリオールとしては、1種又は少なくとも2種のジオールであってよい。具体的には、式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基である第1ジオール及び式(2)においてRが炭素原子数6〜18の二価の環状脂肪族炭化水素基である第2ジオールの組み合わせ、又は
式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)である第1ジオールを1種若しくは2種の組み合わせ
が挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの機能や特性などを損なわない程度に、分子量の同一または異なる2種以上のポリカーボネートポリオールを併用しても良い。
(炭酸エステル)
前記炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチルなどの炭酸ジアルキル;炭酸ジフェニルなどの炭酸ジアリール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状の炭酸エステルが挙げるが、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートが使用される。
なお、これらの炭酸エステルを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
前記炭酸エステルの使用量は、ポリオール1モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは0.9〜1.5モルである。
炭酸エステルの使用量をこの範囲することで、十分に高い反応速度で、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
(反応温度、及び反応圧力)
ポリカーボネートポリオールを合成する際の反応温度は、ポリオールや炭酸エステルの種類に応じて適宜調整することができるが、好ましくは120〜180℃、更に好ましくは130〜170℃である。
(ポリカーボネートポリオールを合成する際に使用する触媒)
ポリカーボネートポリオールを合成する際に使用する触媒としては、公知のエステル交換触媒を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、セリウムなどの金属、及びそれらの水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機金属などが挙げられる。
なお、これらの触媒を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
前記触媒の使用量は、ポリオール1モルに対して、好ましくは0.1〜100ミリモル、更に好ましくは0.5〜50ミリモル、より好ましくは1〜20ミリモルである。
触媒の使用量をこの範囲とすることで、後処理が煩雑となることを抑制でき、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
なお、当該触媒は、反応開始時に一括で使用しても、反応開始時、及び反応開始後に分割して使用(添加)しても良い。
前記ポリカーボネートポリオールにおいて、前記第1ジオールと前記第2ジオールに由来する構造が含まれる場合、第1ジオールに由来する構造/第2ジオールに由来する構造のモル比率は、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜85/15、特に20/80〜80/20である。
モル比率(第1ジオールに由来する構造/第2ジオールに由来する構造のモル比率)をこの範囲とすることで、硬化した際の硬度が高いウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
このようなポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールとの混合物(1:3)を原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UM−90(1/3))、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールとの混合物(1:1)を原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UM−90(1/1))や、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールとの混合物(3:1)を原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UM−90(3/1))が好適に使用できる。
また、このようなポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの混合物を原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)PH−50等)、2−メチル−1,3−プロパンジオールを原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UP−50)、1,6−ヘキサンジオールを原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UH−50)、1,6−ヘキサンジオールとカプロラクトンとの混合物を原料として得られるポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UHC−50等)も好適に使用できる。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、アルキル側鎖を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリピロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれら2種以上の共重合体;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体又はエチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。ポリテトラメチレンエーテルグリコール、アルキル側鎖を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリピロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれら2種以上の共重合体等が好ましい。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。
[イソシアネート由来の構造(b)]
イソシアネート由来の構造(モノイソシアネート由来の構造)(b)とは、1つのイソシアナト基と1つの(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であり、具体的には下記式(1)で示される化合物に由来する基である。
Figure 2021127381
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の二価の炭化水素基を表す。
は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基であり、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜30の炭化水素基であり、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがより好ましい。
(イソシアナト基含有(メタ)アクリレート(前記式(1))
イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」など)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」など)、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」など)、5−メタクロイルオキシ−3−オキシペンチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI−EG(登録商標)」など)が好適に使用できる。
なお、これらのイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良く、また、本発明に係るウレタン(メタ)アクリレートは、イソシアナト基を含有しない(メタ)アクリレートをさらに含んでいても良い。
[ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造(c)]
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート及びポリオール由来の構造(c)を有していてもよい。このポリオールとは、前記炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)を構成するポリオールと同じでもよいし、前記炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)を構成するポリオールとは異なるポリオールでもよい。
ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造(c)とは、炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)及びイソシアネート由来の構造(b)以外に、ポリイソシアネート及びポリオールの分子構造のうち、(分子末端での)ウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。
ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造(c)はポリイソシアネート及びポリオールによってウレタン(メタ)アクリレートに導入される。
ポリイソシアネートは、2官能以上(例えば、3官能以上)のイソシアネートを使用することができるが、ジイソシアネートであることが好ましい。
ジイソシアネートは、式:
OCN−R−NCO (2)
[式中、Rは、炭素原子数2〜20の二価の炭化水素基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
二価の炭化水素基は、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であってよい。炭化水素基は、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族であってよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
は炭素原子数2〜12の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素原子数3〜12の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜18の二価の環状脂肪族炭化水素基、又は炭素原子数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
前記「炭素原子数2〜12の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基(プロピレン基)、テトラメチレン基(ブチレン基)、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基などが挙げられるが、好ましくはテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基である。
前記「炭素原子数3〜12の二価の分岐状脂肪族炭化水素基」としては、例えば、2−又は3−メチル−1,5−ペンチル基、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレン基などが挙げられる。
前記「炭素原子数6〜18の二価の環状脂肪族炭化水素基」としては、例えば、1,4−シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、1,3−ジメチレンシクロヘキシレン基、5−(1,3,3,−トリメチルシクロヘキシル)−1−メチレン基(イソホロンジイソシアネート由来の構造)、4,4’−ジシクロヘキシレンメチレン基(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート由来の構造)、ノルボルニレン基などが挙げられる。
前記「炭素原子数6〜18の二価の芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、テトラメチルキシリレン基、4,4’−ジフェニレンメチレン基などが挙げられる。
ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造を形成するポリオールについての説明及び具体例は、上記のポリカーボネートポリオールについて述べたポリオールの説明及び具体例と同様である。ポリオールは、2つの分子が結合する反応(例えば、重縮合反応及びエステル化反応)を生じさせる反応基を有する化合物、例えば、ジオール及びラクトンを包含する。
ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造の量は、ウレタン(メタ)アクリレートに対して、20質量%以下、例えば10質量%以下、特に5質量%以下、特別に3質量%以下であってよい。ウレタン(メタ)アクリレートの粘度が低くなるので、ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造が存在しないことが好ましい。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートは、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとともに、イソシアネート化合物に該当する。
ポリイソシアネートは、目的や用途に応じて適宜選択するが、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネートなどの直鎖状脂肪族ジイソシアネート;
2−又は3−メチル−1,5−ペンチルジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの分岐状脂肪族ジイソシアネート;
1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、ノルボルニルジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート;
フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネート;
が使用される。
なお、これらのポリイソシアネートを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良く、その構造の一部又は全部がイソシアヌレート化、カルボジイミド化、又はビウレット化など誘導化されていても良い。
ポリイソシアネートの量は、ウレタン(メタ)アクリレートに対して、20質量%以下、例えば10質量%以下、0.1〜5質量%であってよい。ウレタン(メタ)アクリレートの粘度が低くなるので、ウレタン(メタ)アクリレートの製造に際して、ポリイソシアネートを使用しないことが好ましい。すなわち、ウレタン(メタ)アクリレートを形成するためのイソシアネート化合物が、前記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのみからなり、ポリイソシアネートを含まないことが好ましい
(ポリオール)
ポリイソシアネート/ポリオール由来の構造を形成するためのポリオールの説明及び具体例は、ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールの説明及び具体例と同様である。
[ウレタン(メタ)アクリレートの製造]
以下では、炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)中のポリオールをポリカーボネートポリオールに限定して記載するが、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールにおいても同様である。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネートポリオールと、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとを、反応させることによって得ることができる(以下、「本発明の反応」と称することもある)。イソシアナト基含有(メタ)アクリレートに加えて、ポリイソシアネート及びポリオールを反応させてもよい。
その反応形態は特に限定されず、公知のワンショット法やプレポリマー法を適宜選択できる。炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)中のポリオールやイソシアナト基含有(メタ)アクリレート以外に、ポリオールやポリイソシアネートを使用する場合、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとポリオールとを必要により反応させてポリウレタンを製造した後に、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法が好適に採用される。
なお、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの機能や特性などを向上させるために、2種以上のポリカーボネートポリオールや、同一種であっても分子量が異なるポリカーボネートポリオールを併用しても良い。また、同一の理由により2種以上のポリイソシアネートを併用しても良く、2種以上のイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを併用しても良い。
イソシアナト基含有(メタ)アクリレート(前記式(1))及びポリイソシアネートを使用する場合、イソシアネート化合物(イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート)全量に対して、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートを90質量%以上使用することが好ましく、95質量%以上使用することがより好ましく、97質量%以上使用することがさらに好ましい。
本発明の反応において、ポリカーボネートポリオール及びポリオールの水酸基(OH基)と、ポリイソシアネート及びイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの合計イソシアナト基(NCO基)のモル比率(OH基/NCO基)が、好ましくは0.8/1〜1.4/1、更に好ましくは0.9/1〜1.3/1、より好ましくは1/1〜1.2/1である。
モル比率(OH基/NCO基)をこの範囲とすることにより、ポリウレタンの末端水酸基が、実質的にイソシアナト基含有(メタ)アクリレートに由来する構造に変換され、残存する未反応の水酸基を低減させることができる。
なお、ウレタン(メタ)アクリレートの末端に水酸基が残存する場合であっても、続く硬化物への変換を阻害しないのであればそのままでも良く、水酸基と反応性を有する化合物を更に反応させて不活性化させても良い。
(触媒)
本発明の反応においては、反応速度を向上させるために公知の重合触媒を用いることができる。
当該触媒については、吉田敬治著「ポリウレタン樹脂」(日本工業新聞社刊、1969年)の第23〜32頁を参照することができ、2種以上を併用しても良い。
前記触媒の使用量は、ポリカーボネートポリオール、ポリオール、ポリイソシアネート、及びイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの合計量に対して、好ましくは0.0005〜0.1質量%、更に好ましくは0.001〜0.05質量%である。
触媒の使用量をこの範囲とすることで、十分な反応速度を得ることができるとともに、触媒の残存量が少ないため後処理が煩雑とならない。
(溶媒)
本発明の反応においては、反応に関与しない溶媒を適宜使用することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類が使用できる。
なお、これらの溶媒は、2種以上を併用しても良い。また、溶媒を使用することで、ウレタン(メタ)アクリレートの溶媒溶液を得ることができる。
前記溶媒の使用量は、ポリカーボネートポリオール、ポリオール、ポリイソシアネート、及びイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの合計量に対して、好ましくは5〜200質量%、更に好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜80質量%である。
溶媒の使用量をこの範囲とすることで、反応液の均一性や攪拌性が向上する。
ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物の粘度を向上させ、溶剤の使用量を低減する観点からは、後述のウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物中に含まれる有機溶剤を10質量%以下(例えば、0.1〜10質量%)となるように溶媒を使用することが好ましく、有機溶剤を5質量%以下となるように溶媒を使用することがより好ましく、有機溶剤を全く使用しないことがさらに好ましい。
(重合禁止剤)
本発明の反応においては、原料のイソシアナト基含有(メタ)アクリレートや、生成したウレタン(メタ)アクリレートの重合や酸化を抑制するために、重合禁止剤や酸化防止剤を存在させることが望ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、p−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−p−ベンゾキノンなどが使用される。
なお、これらの重合禁止剤や酸化防止剤は、2種以上を併用しても良い。
前記重合防止剤や酸化防止剤の添加量は、ポリカーボネートポリオール、ポリオール、ポリイソシアネート、及びイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの合計量に対して、好ましくは0.00005〜0.01質量%、更に好ましくは0.0001〜0.005質量%、より好ましくは0.0003〜0.003質量%である。
重合防止剤や酸化防止剤の添加量をこの範囲とすることで、十分に重合や酸化を抑止でき、またこれらの後処理が煩雑とならない。
(鎖延長剤)
本発明の反応においては、分子量を増大させることを目的として、鎖延長剤を用いることができる。使用する鎖延長剤としては、目的や用途に応じて適宜選択できるが、例えば、
水;
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサンなどの低分子ポリオール;
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどの高分子ポリオール;
エチレンジアミン、イソホロンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン
が使用される。
鎖延長剤は、ウレタン(メタ)アクリレートの分子内に組み込まれている。鎖延長剤の量は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、50重量部以下、例えば、0.1〜30重量部であってよい。
なお、鎖延長剤については、例えば、「最新ポリウレタン応用技術」(株式会社CMC社、1985年に発行)を参照することができ、前記高分子ポリオールについては、例えば、「ポリウレタンフオーム」(高分子刊行会、1987年)を参照することができる。なお、鎖延長剤を1種のみ用いてもよいし、2種以上の鎖延長剤を併用しても良い。
本発明の反応は、ポリカーボネートポリオール、(ポリイソシアネート及びポリオール)、触媒、及び/又は溶媒を混合して、好ましくは30〜130℃、更に好ましくは50〜100℃で反応させた後、得られた反応液に、重合禁止剤、酸化防止剤、及びイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを加え、更に同温度で反応させて、ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法によって好適に行われる。
得られたウレタン(メタ)アクリレートは、光や大気中の酸素に必ずしも安定ではないため、特に単離・精製することなく、生成ウレタン(メタ)アクリレート液をそのままで(又は溶媒溶液として)必要な用途に使用するのが望ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネート骨格を有するため機械物性、耐加水分解性、耐熱性、耐薬品性、耐候性などに優れているが、炭化水素基含有ポリオール由来の構造を有することで、機械的特性などを損なうことなく、高い弾性率と高い耐薬品性を発現させることができる。
また、(メタ)アクリル基(イソシアナト基含有(メタ)アクリレート由来の構造)を有することにより、より架橋密度が向上し、高い硬度と、より高い弾性率を有する硬化物とすることができる。
(他のポリオール)
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、その機能を更に向上させるために、適宜、前記第1ジオール及び第2ジオール以外の他のポリオールを存在させて製造することもできる。
その他のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールなどの直鎖状のポリオール;
2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオールなどの分岐状のポリオール;
1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの環状のポリオール;
前記ポリオールを原料として得られるポリカーボネートポリオール(但し、前記第1ジオール由来の構造、及び前記第2ジオール由来の構造を有するポリカーボネートポリオールを除く)
などが挙げられるが、好ましくはウレタン(メタ)アクリレートを構成するポリカーボネートポリオールを製造する際の原料としたポリオール(前記第1ジオール及び第2ジオール)である。
なお、これらの低分子ポリオールを、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
一般に、他のポリオールは、ウレタン(メタ)アクリレートの分子内に組み込まれている。他のポリオールの量は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、20重量部以下、例えば、0.1〜10重量部であってよい。
また、これらの低分子ポリオールは、ウレタン(メタ)アクリレートの機能や特性を損なわない程度において、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルホン基、フェノール性水酸基などの酸性基を有していても良く、例えば、水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する際に一般的に使用する2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
(酸性基含有化合物)
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの機能を更に向上させるために、適宜、更に、酸性基含有化合物を存在させることもできる。
酸性基含有化合物の酸性基としては、例えば、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルホン基、フェノール性水酸基などが挙げられる。
酸性基含有化合物としては、例えば、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸などの有機カルボン酸類;前記有機カルボン酸の一部または全部の炭素が硫黄に置き換えられたチオカルボン酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸類;フェノール、クレゾール、カテコール、ハイドロキノンなどのフェノール類などが挙げられる。
なお、これらの酸性基含有化合物を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
一般に、酸性基含有化合物は、ウレタン(メタ)アクリレートの分子内に組み込まれている。酸性基含有化合物の量は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、20重量部以下、例えば、0.05〜10重量部であってよい。
[組成物]
本発明の組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレートを含む。本発明の組成物は必要に応じて重合性化合物及び重合開始剤を含んでいてもよい。さらに、種々の添加剤を含んでよい。
(重合開始剤)
前記重合開始剤として、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6,−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノンなどが挙げられるが、好ましくは1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが使用される。
なお、これらの重合開始剤を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
前記重合開始剤の使用量は、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは0.3〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部であってよい。
重合開始剤の使用量をこの範囲とすることで、十分な反応速度を得ることができるとともに、重合開始剤の残存量が少ないため後処理が煩雑とならない。
(重合性化合物)
前記重合性化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステルフェニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステルや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート化合物;
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート化合物、またはこれらの又は、これらのエチレンオキシ変性品やプロピレンオキシ変性品、ラクトン変性品が使用できる。
なお、これらの重合性化合物を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際に、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートを過剰に用いた場合には、残存するイソシアナト基含有(メタ)アクリレートで重合性化合物を代用することもできる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際に、イソシアナト基含有(メタ)アクリレート中に、他のアクリル化合物が含まれている場合には、これを重合性化合物として代用することもできる。
前記重合性化合物の使用量は、ウレタン(メタ)アクリレート1モルに対して、好ましくは1モル以下、例えば0.01〜0.5モルであってよい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、硬化助剤、硬化触媒、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、充填剤、粘着付与剤、有機溶剤、反応性希釈剤が挙げられる。
添加剤の使用量は、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部であってよい。
ウレタン(メタ)アクリレート組成物が有機溶剤を含む場合、当該組成物中に含まれる有機溶剤を10質量%以下(例えば、0.1〜10質量%)とし、5質量%以下とすることがより好ましく、有機溶剤を全く使用しないことがさらに好ましい。
[硬化物]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートや組成物は、必要に応じて有機溶媒を加えて適当な粘度に調整した後、基材の上に塗布し、例えば、紫外線、可視光、レーザー光、電子線、X線、γ線、プラズマ、マイクロウェーブなどの活性エネルギー線を照射することにより、重合・硬化させて硬化物とすることができる。
なお、活性エネルギー線を照射することなく、熱によって硬化物を製造することもでき、熱と活性エネルギー線とを併用しても良い。
前記有機溶媒は、ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際に用いた有機溶媒と同じものを使用しても良い。
なお、これらの溶媒を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
前記基材は、例えば、金属、プラスチック、無機物、木材、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂類などが使用できる。
なお、これらの基材を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
[用途]
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレートやその組成物は、インク、塗料、接着剤や粘着剤などの用途(コーティング材料)、金属腐食防止用コーティング用途(コーティング材)、高外観性と高耐久性が求められるような各種モバイル機器、フィルム、建築内外装、自動車内外装などの積層用途(積層材料)、紫外線硬化レンズのような硬化成型物などの成形用途(成形材料)に適用できる。
したがって、本発明に係るウレタン(メタ)アクリレートは、コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成するウレタン(メタ)アクリレートである。また、本発明に係るウレタン(メタ)アクリレートの組成物は、コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成する組成物である。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
以下において、部又は%又は比は、特記しない限り、質量部又は質量%又は質量比を表す。
試験及び評価方法は次のとおりである。
[測定、及び評価方法]
(粘度)
ウレタン(メタ)アクリレートの粘度は、E型粘度計(BROOKFIELD社製「BROOLFIELD粘度計LV DV−II+Pro」)を用いて、25℃にて測定した。
(液状確認試験)
ウレタン(メタ)アクリレートを内径30mm、高さ120mmの平底円筒型試験管に管底から55mmの高さまで注入し、20℃にて水平に倒し、ウレタン(メタ)アクリレートの先端が管底から85mmの高さに到達した時間が90秒以下であるものを液状と判断した。
(鉛筆硬度)
硬化物をJIS K 5600−5−4に準拠する方法で測定した。荷重750gをかけて引っかき、傷の付かない最も硬い鉛筆の硬さとした。
(耐日焼け止め性)
硬化物に日焼け止めクリーム[コパトーン(登録商標)Sport Lotion SPF50及びニュートロジーナ(登録商標)Ultra Sheer Dry Touch SPF45]2gを100mm×100mm程度で塗布し、80℃24時間放置して付着した日焼け止めクリームをガーゼで拭き取り、目視で塗布部の変化を確認した。
◎;変化が認められない
〇;微小な塗布跡が認められる
△;樹脂の劣化、変色が認められる
(密着性)
硬化物の密着性は、JIS K 5600−5−6:1999「クロスカット法」に準じて行った。各種金属板にウレタン(メタ)アクリレートを塗布した後、2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がすことにより行った。評価基準についても同規格に準じて評価を行った。
◎;剥離しなかったマスの数が100である場合
○;剥離しなかったマスの数が80以上99以下である場合
△;剥離しなかったマスの数が79以下である場合
実施例1(ウレタンアクリレートの合成)
攪拌装置、温度計及び冷却器を備えた内容積1Lの容器に、ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)PH−50;数平均分子量484;水酸基価231.82mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)653.4g(1.35mol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.53gを加え、液温を40℃にした後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製、カレンズAOI(登録商標))380.8g(2.70mol)を加え、攪拌しながら75〜80℃で3時間反応を行った。
次いで、イソシアナト基が消失したのを確認後にp−メトキシフェノール0.52gを加え冷却し、無溶剤の液状ウレタンアクリレートを得た。
実施例2(ウレタンアクリレートの合成)
攪拌装置、温度計及び冷却器を備えた内容積1Lの容器に、ポリエーテルポリオール(三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール;数平均分子量970;水酸基価115.67mgKOH/g)485.0g(0.50mol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.31gを加え、液温を40℃にした後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製、カレンズAOI(登録商標))141.3g(1.00mol)及びジブチル錫ジラウリレート0.18gを加え、攪拌しながら75〜80℃で3時間反応を行った。
次いで、イソシアナト基が消失したのを確認後に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.32gを加え冷却し、無溶剤の液状ウレタンアクリレートを得た。
実施例3(ウレタンアクリレートの合成)
攪拌装置、温度計及び冷却器を備えた内容積1Lの容器に、ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、UP−50;数平均分子量504;水酸基価222.75mgKOH/g;ポリオール成分が2−メチル−1,3−プロパンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)654.8g(1.30mol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.51gを加え、液温を40℃にした後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製、カレンズAOI(登録商標))366.6g(2.60mol)を加え、攪拌しながら75〜80℃で3時間反応を行った。
次いで、イソシアナト基が消失したのを確認後にp−メトキシフェノール0.51gを加え冷却し、無溶剤の液状ウレタンアクリレートを得た。
実施例4(ウレタンアクリレートの合成)
攪拌装置、温度計及び冷却器を備えた内容積1Lの容器に、ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UM90(1/3);数平均分子量894;水酸基価125.50mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)536.8g(0.60mol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.35gを加え、液温を40℃にした後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製、カレンズAOI(登録商標))171.2g(1.21mol)を加え、攪拌しながら75〜80℃で3時間反応を行った。
次いで、イソシアナト基が消失したのを確認後に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.36gを加え冷却し、無溶剤の液状ウレタンアクリレートを得た。
比較例1(ウレタンアクリレートの合成)
攪拌装置、温度計及び冷却器を備えた内容積1Lの容器に、ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)PH−50;数平均分子量484;水酸基価231.82mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)309.8g(0.64mol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.37g及びイソホロンジイソシアネート287.2g(1.29mol)及びジブチル錫ジラウリレート0.07gを加え、攪拌しながら75〜80℃で3時間反応を行った。その後、液温を60℃に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレート153.0g(1.32mol)及びジブチル錫ジラウリレート0.44gを加え、攪拌しながら80〜85℃で4時間反応を行った。
次いで、イソシアナト基が消失したのを確認後にp−メトキシフェノール0.37gを加え冷却したところ、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度が高くなり、液状ウレタンアクリレートを得ることができなかった。
(実施例の組成物、及び硬化物の製造)
実施例1〜4で得られた液状ウレタンアクリレート20gに1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(イルガキュア(登録商標)184、BASF社製)1.0gを混合し、硬化性樹脂組成物を製造した。
PET樹脂基材に前記硬化性樹脂組成物を塗布し、1000mJ/cmの紫外線を照射して硬化物を製造した。
試験及び評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2021127381
一般に、ウレタンアクリレートから硬化性樹脂組成物を製造する際は有機溶剤と混合させる。また、得られた硬化性樹脂組成物より硬化物を製造する際には、長時間の乾燥工程を要する。しかし、前記実施例の結果より、本願発明のウレタンアクリレートは、有機溶剤の使用及び乾燥工程を要することなく、硬化物を製造できることがわかる。
また、本発明によれば、溶剤を用いなくても低粘度のコーティングを可能とするウレタン(メタ)アクリレートを提供することができる。
また、溶剤使用時のコストが向上を抑制し、製造時のプロセスが増加を低減でき、環境への負荷を押さえられる。それゆえ、溶剤を用いなくても低粘度のコーティングを可能とするウレタン(メタ)アクリレートを提供することができる。
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレート化合物)やその組成物(ウレタン(メタ)アクリレート組成物)は、インク、塗料、接着剤や、粘着剤などのコーティング用途(コーティング材料)、金属腐食防止用コーティング用途(コーティング材)、高外観性と高耐久性が求められるような各種モバイル機器、フィルム、建築内外装、自動車内外装などの積層用途(積層材料)、紫外線硬化レンズのような硬化成型物などの成形用(成形材料)に適用できる。

Claims (15)

  1. 炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)及びイソシアネート由来の構造(b)を有するウレタン(メタ)アクリレートであって、
    炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種の炭化水素基含有ポリオールから形成された構造であり、
    イソシアネート由来の構造(b)が、下記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートによって形成された構造を含む、ウレタン(メタ)アクリレート。
    Figure 2021127381
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  2. ウレタン(メタ)アクリレートを形成するためのイソシアネート化合物の中で、前記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの含有量が、95質量%以上である、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  3. ウレタン(メタ)アクリレートを形成するためのイソシアネート化合物が、前記式(1)で示されるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのみからなる、請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  4. イソシアナト基含有(メタ)アクリレートにおいて、Rが、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが炭素数1〜6のアルキレン基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  5. 炭化水素基含有ポリオール由来の構造(a)が、ポリカーボネートポリオールである請求項1〜4のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  6. 前記ウレタン(メタ)アクリレートに含まれるポリカーボネートポリオール由来の構造(a)が、
    下式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であるジオール及び下式(2)においてRが炭素原子数6〜18の二価の環状炭化水素基であるジオールを含む構造、又は
    式(2)においてRが炭素原子数2〜12の二価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であるジオールを1種若しくは2種含む構造である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
    HO−R−OH (2)
  7. 有機溶剤の非存在下、25℃での粘度が90000mPa・s以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを硬化して得られる硬化物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤を含む、組成物。
  10. 組成物全量に含まれる有機溶剤が5質量%以下である、請求項9に記載の組成物。
  11. 重合性化合物を更に含む、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 請求項9〜11に記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
  13. コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成する請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  14. コーティング材料、積層材料、または成形材料を構成する請求項9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 炭化水素基含有ポリオールと、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとを反応させることによってウレタン(メタ)アクリレートを得る、請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
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