JP6946830B2 - 水性ポリウレタン樹脂分散体、及びそれから誘導される複合樹脂分散体 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂分散体、及びそれから誘導される複合樹脂分散体 Download PDF

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Description

本発明は、水性ポリウレタン樹脂分散体、及びそれから誘導される複合樹脂分散体に関する。
従来、水性ポリウレタン樹脂分散体や複合樹脂分散体は、各種基材への密着性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐溶剤性等に優れていることから、例えば、塗料、インク、接着剤、各種コーティング剤として紙、プラスチックス、フィルム、金属、ゴム、エラストマー、繊維製品などに幅広く使用されている。
そのような、水性ポリウレタン樹脂分散体としては、例えば、水性ポリウレタン樹脂分散体(ポリウレタン樹脂と(メタ)アクリレート化合物とを含む)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(光重合開始剤)と界面活性剤とから合成された光重合開始剤分散体を混合して得られる、エネルギー線硬化型樹脂水性分散体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ポリウレタン樹脂とラジカル重合性化合物とを含む水性ポリウレタン樹脂分散体、及び重合開始剤を混合して得られる、コーティング剤(水性ポリウレタン樹脂)が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
一方で、複合樹脂分散体としては、例えば、ポリカーボネートジオール、カルボキシル基含有ジオール、重合安定剤、及びラジカル重合性単量体の混合液に、ポリイソシアネート及び重合触媒を添加して反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体を合成した後、これにt−ブチルハイドロパーオキサイド(重合開始剤)を添加して得られる、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2008−247923号公報 国際公開第2011/010719号公報 特開2005−281544号公報
特許文献1では、光重合開始剤を界面活性剤で保護した光重合性開始剤分散体と水性ポリウレタン樹脂分散体とを混合させ、それぞれが別個独立に分散したエネルギー線硬化型樹脂水性分散体を得る必要があった。
また、特許文献2では、ポリウレタン樹脂塗膜を製造する際に、水性ポリウレタン樹脂と重合開始剤とを混合させる必要があった。
即ち、上記いずれにおいても、水性ポリウレタン樹脂としての状態を保つために、ポリウレタン樹脂塗膜を製造前に、ラジカル重合性化合物が高分子量化しないように調整する必要があった。
特許文献3では、水系媒体中に分散したラジカル重合性単量体を、別途、水系媒体中で重合させてビニル重合体としておく必要があった。
以上のように、(メタ)アクリルモノマーなどのラジカル重合性化合物を含む水性ポリウレタン樹脂分散体においては、ポリウレタン樹脂塗膜を製造するために重合開始剤を不可欠としながらも、水性ポリウレタン樹脂分散体の状態を損なわないように、重合開始剤の取り扱いが煩雑となるといった問題があった。
また、複合樹脂分散体の場合には、別途、水系媒体中でビニル重合体を製造しておく必要があり、操作が煩雑となる蓋然性があった。
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、(メタ)アクリルモノマーなどのラジカル重合性化合物と重合開始剤とを同時に内包し、かつ水性ポリウレタン樹脂分散体の状態を損なわない安定でかつ複合樹脂分散体への誘導化が容易な水性ポリウレタン樹脂を提供するものである。
本発明の課題は、水性ポリウレタン樹脂(A)に、(メタ)アクリルモノマー(B)、及び脂溶性重合開始剤(C)が内包された、水性ポリウレタン樹脂分散体によって解決される。
本発明により、ラジカル重合性化合物と重合開始剤とを同時に内包していながらも安定で、かつ複合樹脂分散体への誘導化が容易な水性ポリウレタン樹脂分散体を提供することができる。
本発明は、水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。また、本発明は水性ポリウレタン樹脂分散体から誘導される複合樹脂分散体に関する。
[水性ポリウレタン樹脂分散体]
本発明の「水性ポリウレタン樹脂分散体」は、「水性ポリウレタン樹脂(A)」に、「(メタ)アクリルモノマー(B)」、及び「脂溶性重合開始剤(C)」が内包されたものである。
なお、後述するが、水性ポリウレタン樹脂分散体は、内包する「(メタ)アクリルモノマー(B)」を重合させることにより、「複合樹脂水性分散体」に誘導することができる。
ここで、「水性ポリウレタン樹脂(A)に〜内包された」の「内包」とは、水性ポリウレタン樹脂(A)と(メタ)アクリルモノマー(B)と脂溶性重合開始剤(C)とが完全に分離・独立して水性媒体に分散している状態以外を広く意味する。
具体的には、(メタ)アクリルモノマー(B)や脂溶性重合開始剤(C)の一部またはほとんどがポリウレタン樹脂に包含されている状態を意味し、より具体的には、水性ポリウレタン樹脂分散体(水系媒体に分散している粒子)の中に(メタ)アクリルモノマー(B)や脂溶性重合開始剤(C)が存在していることを意味する。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体では、当該分散体の機能や特性を損なわない範囲において、(メタ)アクリルモノマー(B)や脂溶性重合開始剤(C)の一部が部分的に水性ポリウレタン樹脂分散体の外(水系媒体中)に存在していても良い。
更に、水性ポリウレタン樹脂分散体中のメタ)アクリルモノマー(B)や脂溶性重合開始剤(C)の存在位置は、特に限定されず、中心付近または中心付近からずれた任意の位置に、単一または複数に分離して存在していても構わない。
[水性ポリウレタン樹脂(A)]
水性ポリウレタン樹脂(A)は、ポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネート、及び酸性基含有ポリオールを反応させて得られるものであり、ポリカーボネートポリオール由来の構造、ポリイソシアネート由来の構造、及び酸性基含有ポリオール由来の構造有するものである。
(ポリカーボネートポリオール)
前記ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオールと炭酸エステルとを反応させて得られるものであり、ポリオール由来の構造と、カーボネート結合を有するものである。
(ポリオール)
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールなどの炭素原子数2〜12の直鎖状の脂肪族ポリオール;
2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−又は3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオールなどの炭素原子数3〜18の分岐状の脂肪族ポリオール;
1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの炭素原子数6〜18の環状脂肪族ポリオール
が使用される。
なお、ポリカーボネートポリオールは、機能や特性を損なわない程度において、エステル結合やエーテル結合を有していても良い。エステル結合を有することにより、ポリウレタンとした際の相溶性が増すことが予想される。また、エーテル結合を有することによって、ポリウレタンとした際の柔軟性がより増すと予想される。
(ポリカーボネートポリオールの数平均分子量)
本発明のポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、目的に応じて適宜調整するが、好ましくは500〜10000、更に好ましくは500〜8000、より好ましくは500〜6000である。
なお、数平均分子量は、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
(炭酸エステル)
前記炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチルなどの炭酸ジアルキル;炭酸ジフェニルなどの炭酸ジアリール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、トリメチレンカーボネート)、ブチレンカーボネート(4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラメチレンカーボネート)、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどの環状カーボネートが挙げられるが、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートが使用される。
なお、これらの炭酸エステルは、二種以上を併用しても良い。
前記炭酸エステルの使用量は、脂肪族ポリオール1モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは0.9〜1.5モルである。
この範囲することで、十分な反応速度で、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
(反応温度、及び反応圧力)
本発明のカーボネート化反応における反応温度は、炭酸エステルの種類に応じて適宜調整するが、好ましくは50〜250℃、更に好ましくは70〜230℃である。
また、反応圧力は、低沸点成分を除去しながら反応させる態様となるような圧力ならば特に制限されず、好ましくは常圧又は減圧下で行われる。
この範囲とすることで、逐次反応や副反応が起こることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
(触媒)
本発明のカーボネート化反応においては、公知のエステル交換触媒を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、セリウムなどの金属、及びそれらの水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機金属などが挙げられるが、好ましくは水素化ナトリウム、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキサイドが使用される。
なお、これらの触媒は、二種以上を併用しても良い。
前記触媒の使用量は、ポリオール1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1ミリモル、更に好ましくは0.005〜0.05ミリモル、より好ましくは0.01〜0.03ミリモルである。
この範囲とすることで、後処理を煩雑とすることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
なお、当該触媒は、反応開始時に一括で使用しても、反応開始時、及び反応開始後に分割して使用(添加)しても良い。
(ポリイソシアネート)
前記ポリイソシアネートは、目的や用途に応じて適宜選択するが、例えば、
エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネートなどの炭素原子数2〜12の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート;
1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの炭素原子数3〜12の分岐状脂肪族ポリイソシアネート;
4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの炭素原子数6〜18の環状脂肪族ポリイソシアネート;
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの炭素原子数6〜18の芳香族ポリイソシアネート
が使用される。
なお、これらのポリイソシアネートは、二種以上を併用しても良く、その構造の一部又は全部がイソシアヌレート化、カルボジイミド化、又はビウレット化など誘導化されていても良い。
前記ポリイソシアネートの使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基とポリカーボネートポリオールの水酸基(脂肪族ポリオールが含まれている場合には、その水酸基も含む)との比(イソシアネート基/水酸基(モル比))が、好ましくは1.0〜8.0、更に好ましくは1.3〜5.0である。
(酸性基含有ポリオール)
前記酸性基含有ポリオールは、目的や用途に応じて適宜選択するが、例えば、
2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸などが使用される。
なお、これらの酸性基含有ポリオールは、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸も同様に使用できる。
なお、その使用量はポリウレタン樹脂が水系媒体にポリウレタン樹脂が分散できる量であれば特に制限されず、また、二種以上を併用しても良い。
(中和剤)
前記「中和剤」としては、ポリウレタン樹脂中の酸性基を中和できるものならば特に限定されないが、例えば、アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミンなどの一級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、モルホリンなどの二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの三級アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられるが、ポリウレタン樹脂の末端イソシアネート基との反応を抑止しつつ、ポリウレタン樹脂によるコーティングの容易さの観点から、好ましくは三級アミン、更に好ましくはトリアルキルアミンが使用される。
なお、これらの中和剤は、二種以上を併用しても良い。
(鎖延長剤)
本発明のウレタン化反応においては、分子量を増大させることを目的として、鎖延長剤を用いることができる。使用する鎖延長剤としては、目的や用途に応じて適宜選択できるが、例えば、
水;
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサンなどの低分子ポリオール;
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどの高分子ポリオール;
エチレンジアミン、イソホロンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン
が使用される。
なお、鎖延長剤については、例えば、「最新ポリウレタン応用技術」(株式会社CMC社、1985年に発行)を参照することができ、前記高分子ポリオールについては、例えば、「ポリウレタンフオーム」(高分子刊行会、1987年)を参照することができる。
また、これらの鎖延長剤は、二種以上を併用しても良い。
(ウレタン化触媒)
本発明のウレタン化反応においては、反応速度を向上させるために公知の重合触媒を用いることができ、例えば、第三級アミン、スズ又はチタンなどの有機金属塩が使用される。
なお、重合触媒については、吉田敬治著「ポリウレタン樹脂」(日本工業新聞社刊、1969年)の第23〜32頁を参照することができ、二種以上を併用しても良い。
(溶媒)
本発明のウレタン化反応は溶媒の存在下で行うことができ、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−カプロラクトンなどのエステル類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−エトキシエタノールなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;出光興産社製「エクアミド」に代表されるβ−アルコキシプロピオンアミドなどのアミド類が使用される。
なお、これらの溶媒は、二種以上を併用しても良い。
本発明のウレタン化反応は、分子量を調整するために末端停止剤を添加して行うことができる。
[(メタ)アクリルモノマー(B)]
(メタ)アクリルモノマーとしては、単官能(メタ)アクリルモノマーや、多官能(メタ)アクリルモノマーのいずれもが使用でき、例えば、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−212」)、2分子のエポキシ(メタ)アクリル酸と1分子のネオペンチルグリコールジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−250」)、2分子の(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジグリシジル体との反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のフタル酸ジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−721」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリエチレングリコールジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DM−811」、「DM−832」、「DM−851」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリプロピレングリコールジグリシジルとの反応生成物等の(メタ)アクリル酸とポリオールジグリシジルとの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の付加物などのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(6モル)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) LR8863)等のアルキレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) PO33F)などのトリ(メタ)アクリル酸エステル;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(4モル)変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(ダイセル・サイテック社、Ebecryl 40)等のアルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリル酸エステル;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのペンタ(メタ)アクリル酸エステル;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのヘキサ(メタ)アクリル酸エステル
が使用される。
なお、これらの(メタ)アクリルモノマーは、二種以上を併用しても良い。
また、(メタ)アクリルモノマーには、本発明の機能や特性を損なわない程度において、(メタ)アクリルモノマー以外の重合性モノマーが含有されていても良い。
前記重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、シクロペンタジエンなどの不飽和炭化水素化合物;スチレン、α−メチルスチレンなどの不飽和基を有する芳香族化合物;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化不飽和炭化水素化合物;酢酸ビニル、酢酸アリル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸不飽和エステル類;N−ビニルピロリドンなどの不飽和基を有するアミド類が挙げられる。
なお、これらの重合性モノマーは、二種以上を併用しても良い。
前記(メタ)アクリルモノマーの使用量は、水性ポリウレタン樹脂分散体に対して、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは15〜85質量%、より好ましくは20〜80質量%である。
この範囲とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体から誘導される複合樹脂水性分散体が良好な硬化膜を得ることができる。
[脂溶性重合開始剤(C)]
脂溶性重合開始剤としては、水系媒体に溶解しないか、溶解しにくい重合開始剤であれば特に限定されないが、有機溶媒に可溶なアゾ化合物が好適に使用される。
このようなアゾ化合物としては、例えば、
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾニトリル;
ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル 1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)などのアゾエステル;
2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオアミド)などのアゾアミド
が挙げられるが、好ましくはアゾニトリルが使用される。
なお、これらの脂溶性重合開始剤は、二種以上を併用できる。
前記脂溶性重合開始剤の使用量は、水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分((メタ)アクリルモノマーを含む)の全量に対して、好ましくは0.5〜5質量%である。
この範囲とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の状態を損なうことなく、また(メタ)アクリルモノマーを十分に重合させることができる。
また、前記脂溶性重合開始剤と、還元剤とを併用することでレドックス系開始剤として使用することもでき、還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、LまたはD−アスコルビン酸などが使用できる。
なお、これらの還元剤は、二種以上を併用することができる。
前記、脂溶性重合開始剤や還元剤の使用量は、必要な反応速度(重合速度)や重合時の発熱の状況に応じて適宜調整すれば良く、水性ポリウレタン樹脂分散体の機能や特性を損なわない程度において、脂溶性重合開始剤や還元剤、それらの分解物が存在していても良い。
また、急激な重合反応を抑制するために、適宜、乳化剤を存在させても良い。
[水性媒体]
前記水系媒体としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水などの水や、水と親水性有機溶媒との混合媒体などが挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類;ジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;出光興産社製「エクアミド」に代表されるβ−アルコキシプロピオンアミドなどのアミド類が挙げられる。
前記水系媒体中の前記親水性有機溶媒の量としては、好ましくは0〜20質量%である。
(水性ポリウレタン樹脂分散体の合成)
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、水性ポリウレタン樹脂(A)に、(メタ)アクリルモノマー(B)、及び脂溶性重合開始剤(C)が内包されたものであり、ポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネート、及び酸性基含有ポリオールを反応させた後、酸性基を中和剤により中和して水性ポリウレタン樹脂(A)を製造した後、(メタ)アクリルモノマー(B)、及び脂溶性重合開始剤(C)と混合することによって製造できる。
その反応形態は特に限定されず、公知のワンショット法やプレポリマー法を適宜選択できる。
具体的には、例えば、
ポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネート、及び酸性基含有ポリオールを、溶媒の存在下、または非存在下で反応させてウレタンプレポリマーとする工程;
前記プレポリマー中の酸性基を中和剤により中和する工程;
中和されたプレポリマーを水系媒体に分散させる工程;
(メタ)アクリルモノマー、及び脂溶性重合開始剤を加えて混合する工程;
水系媒体に分散されたプレポリマーと鎖延長剤とを反応させる工程;
を順次行うことによって製造することができる。
なお、各工程では、必要に応じて触媒を使用することで、反応を促進させたり、副生成物を制御することができる。
この製造方法を採用することにより、ポリウレタン樹脂の末端イソシアネート基を損なうことなく、塩基により酸性基を含有するポリウレタン樹脂の酸性基を十分に中和することができ、かつ分散性が良好な水性ポリウレタン樹脂分散体を得ることができる。
[複合樹脂水性分散体]
本発明の「複合樹脂水性分散体」は、前記「水性ポリウレタン樹脂分散体」から誘導されるものであり、(メタ)アクリルモノマー(B)由来の構造を有するアクリル系重合体がポリウレタン樹脂(A)に内包された複合樹脂分散体である。
本複合樹脂分散体は、ポリメタクリル酸メチル樹脂上に、乾燥した後の膜厚が10μmになるように塗布し、80℃で30分間加熱乾燥させて得られた厚さ約0.08mmのポリウレタンフィルムを、JIS K 7311に準拠する方法で測定したときの弾性率が400〜550MPaであるものが好ましい。
(アクリル系重合体の合成)
前記アクリル系重合体は、1または複数種の(メタ)アクリルモノマーを(必要ならば他の重合性ビニルモノマーを存在させる)、同時に内包されている重合開始剤により(メタ)アクリルモノマー(B)を重合させることによって製造することができる。
(アクリル系重合体のガラス転移温度)
アクリル系重合体の「ガラス転移温度(Tg)」は、下記のFoxの式に従い、アクリル系重合体の(メタ)アクリルモノマーの重量比率により算出することができる。
[Foxの式]
1/Tg=Σ(W/Tg
(式中、Wは各(メタ)アクリルモノマーの重量比率を、Tgは各(メタ)アクリルモノマーのガラス転移温度を、mは(メタ)アクリルモノマーの種類数を示す。)
[複合樹脂水性分散体の合成]
本発明の複合樹脂水性分散体は、脂溶性重合開始剤(C)が内包された水性ポリウレタン樹脂分散体を加熱することによって製造することができる。
その際の反応温度は、好ましくは30〜100℃である。
以上により、本発明の複合樹脂水性分散体が得られるが、目的に応じて、増粘剤、光増感剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤、熱安定剤、無機充填剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、難燃剤などを存在させることができる。
また、本発明の複合樹脂水性分散体は、人工皮革や合成皮革、断熱材、クッション材、接着剤、塗料、コーティング剤、フィルムなどの成形体などに加工することができる。
[複合樹脂水性分散体含有組成物]
本発明の複合樹脂水性分散体を用いて、例えば、塗料組成物やコーティング組成物などを製造することができる。
具体的には、本発明の複合樹脂水性分散体と各種添加剤、必要に応じて前記水系媒体や他の樹脂とを混合することによって製造できる。
(添加剤)
前記添加剤としては、
例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;
クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;
アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母などの光輝性顔料
を使用することができる。
また、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤などの通常の塗料用添加剤も使用できる。
なお、これらの添加剤は、二種以上を併用できる。
更に、添加剤として硬化剤を存在させることにより、前記組成物から得られる塗膜や複層塗膜、コーティング膜の耐水性を向上させることができる。
そのような硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、メラミン樹脂、カルボジイミドなどを使用することができる。
なお、これらの硬化剤は、二種以上を併用できる。
(他の樹脂)
前記他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂が挙げられるが、水系媒体への分散性の観点から、樹脂中に親水性基(例えば、酸性基)を有しているのが望ましい。
(被塗装基材)
本発明の複合樹脂水性分散体や、それを含有する塗料組成物やコーティング組成物などは、適当な「被塗装基材」(以下、単に基材と称することもある)に塗布し、乾燥させることにより、基材をコーティング(塗膜を生成させる)などすることができる。その際、複合樹脂水性分散体やその組成物の粘度を適宜調整することができる。
前記被塗装基材としては、例えば、
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム、エラストマーなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、合成樹脂及びその成形品;
鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛などの金属基材やこれらの金属を含む合金、更にメッキや化成処理が施された各種の表面処理された金属基材及びその成形品;
コンクリート、スレート、タイル、瓦、ガラス、木製建築資材などの建築部材及びその成形品;
合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、動物繊維、食物繊維などの繊維及びその成形品
が挙げられるが、密着性の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体(ABS)が好適に使用される。
なお、これらの樹脂は、二種以上を併用できる。
前記コーティング合法としては、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装などが採用される。
また、塗膜の厚さは、用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは3〜50μmである。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1A(水性ポリウレタン樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL(登録商標)UH−200、宇部興産(株)製;数平均分子量2011、水酸基価55.8mgKOH/g、1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール300g、2,2−ジメチロールプロピオン酸32.0g、及びN−エチルピロリドン166gを窒素雰囲気にて混合した。次いで、イソホロンジイソシアネートを121g、及びジブチルスズジラウリレートを0.2g加えて90℃まで加熱し、攪拌しながら5時間反応を行った。
反応終了後、トリエチルアミン24.2gを加えて中和した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)91.5g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)91.5g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6.52gを強攪拌のもと水1300gの中に加えた。更に、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液46.4を加えることで、水性ポリウレタン樹脂分散体1A(固形分30重量%)を得た。
実施例1B(複合樹脂水性分散体の合成)
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置に、実施例1で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を60℃で24時間反応させ、複合樹脂水性分散体1Bを得た。
実施例2A(水性ポリウレタン樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL(登録商標)UH−200、宇部興産(株)製;数平均分子量2011、水酸基価55.8mgKOH/g、1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール300g、2,2−ジメチロールプロピオン酸32.0g、及びN−エチルピロリドン166gを窒素雰囲気にて混合した。次いで、イソホロンジイソシアネートを121g、及びジブチルスズジラウリレートを0.2g加えて90℃まで加熱し、攪拌しながら5時間反応を行った。
反応終了後、トリエチルアミン24.2gを加えて中和した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)91.5g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)91.5g、及び2,2’−アゾビス−(4-メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)6.52gを強攪拌のもと水1300gの中に加えた。更に、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液46.4を加えることで、水性ポリウレタン樹脂分散体2A(固形分30重量%)を得た。
実施例2B(複合樹脂水性分散体の合成)
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置に、実施例1で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を60℃で24時間反応させ、複合樹脂水性分散体2Bを得た。
実施例3A(水性ポリウレタン樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL(登録商標)UH−200、宇部興産(株)製;数平均分子量2011、水酸基価55.8mgKOH/g、1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール300g、2,2−ジメチロールプロピオン酸32.0g、及びN−エチルピロリドン166gを窒素雰囲気にて混合した。次いで、イソホロンジイソシアネートを121g、及びジブチルスズジラウリレートを0.2g加えて90℃まで加熱し、攪拌しながら5時間反応を行った。
反応終了後、トリエチルアミン24.2gを加えて中和した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)91.5g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)91.5g、及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)6.52gを強攪拌のもと水1300gの中に加えた。更に、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液46.4を加えることで、水性ポリウレタン樹脂分散体3A(固形分30重量%)を得た。
実施例3B(複合樹脂水性分散体の合成)
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置に、実施例1で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を75℃で24時間反応させ、複合樹脂水性分散体3Bを得た。
実施例4A(水性ポリウレタン樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL(登録商標)UM−90(3/1)、宇部興産(株)製;数平均分子量916、水酸基価122mgKOH/g、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール:1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール=3/1(モル比))300g、2,2−ジメチロールプロピオン酸53.5g、及びN−エチルピロリドン272gを窒素雰囲気にて混合した。次いで、イソホロンジイソシアネートを284g、及びジブチルスズジラウリレートを0.5g加えて90℃まで加熱し、攪拌しながら2時間反応を行った。
反応終了後、トリエチルアミン40.4gを加えて中和した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)135g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)135g、及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)9.00gを強攪拌のもと水1622gの中に加えた。更に、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液165gを加えることで、水性ポリウレタン樹脂分散体4A(固形分30重量%)を得た。
実施例4B(複合樹脂水性分散体の合成)
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置に、実施例1で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を75℃で24時間反応させ、複合樹脂水性分散体4Bを得た。
実施例5A(水性ポリウレタン樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL(登録商標)UM−90(3/1)、宇部興産(株)製;数平均分子量916、水酸基価122mgKOH/g、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール:1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール=3/1(モル比))300g、2,2−ジメチロールプロピオン酸53.5g、及びN−エチルピロリドン272gを窒素雰囲気にて混合した。次いで、イソホロンジイソシアネートを284g、及びジブチルスズジラウリレートを0.5g加えて90℃まで加熱し、攪拌しながら2時間反応を行った。
反応終了後、トリエチルアミン40.4gを加えて中和した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)67.5g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)67.5g、及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)7.66gを強攪拌のもと水1300gの中に加えた。更に、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液165gを加えることで、水性ポリウレタン樹脂分散体5A(固形分30重量%)を得た。
実施例5B(複合樹脂水性分散体の合成)
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置に、実施例1で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を75℃で24時間反応させ、複合樹脂水性分散体5Bを得た。
(ウレタン積層体(ウレタンフィルム)の製造)
実施例1B〜5Bで得られた複合樹脂水性分散体を、ポリメタクリル酸メチル樹脂((株)エンジニアリングテストサービス製)上に、乾燥した後の膜厚が10μm(バーコーター#20)になるように塗布し、80℃で30分間加熱乾燥させた。
次いで、厚さ約0.08mmのポリウレタンフィルムを形成したものを評価サンプルとした。
(耐薬品性)
前記ポリウレタンフィルムに、メチルエチルケトンをしみこませた脱脂綿を置いて室温で24時間静置し、ウェスでふき取った後のフィルムの状態を、下記の基準で目視により評価した。
○;ほとんど変化なし
△;微小なしわや若干変色あり
×;しわ多数あり
(弾性率)
硬化物の弾性率は、JIS K 7311に準拠する方法で測定した。なお、測定条件は、測定温度23℃、湿度50%、引張速度100mm/分である。
Figure 0006946830
以上の結果より、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、紫外線の照射や高い温度で反応させることなく、容易に複合樹脂水性分散体に誘導できることが分かった。
また、得られた複合樹脂水性分散体から得られたウレタンフィルム(硬化膜)は、耐薬品性に優れ、低い弾性率を有することが分かった。
ラジカル重合性化合物と重合開始剤とを同時に内包していながらも安定で、かつ複合樹脂分散体への誘導化が容易な水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。複合樹脂分散体は、各種、塗料組成物やコーティング用組成物などの原料として有用である。

Claims (8)

  1. 水性ポリウレタン樹脂(A)に、(メタ)アクリルモノマー(B)、及び脂溶性重合開始剤(C)が内包された、水性ポリウレタン樹脂分散体であり、
    前記水性ポリウレタン樹脂(A)が、ポリカーボネートポリオール由来の構造、ポリイソシアネート由来の構造、及び酸性基含有ポリオール由来の構造を有し
    前記ポリカーボネートポリオール由来の構造が、ポリオールと炭酸エステルとを反応させて得られるものであって、前記ポリオールが炭素原子数2〜12の直鎖状の脂肪族ポリオールであり、
    水性ポリウレタン樹脂分散体に内包された(メタ)アクリルモノマー(B)が重合することで得られる複合樹脂水性分散体を、ポリメタクリル酸メチル樹脂上に、乾燥した後の膜厚が10μmになるように塗布し、80℃で30分間加熱乾燥させて得られた厚さ約0.08mmのポリウレタンフィルムを、JIS K 7311に準拠する方法で測定したときの弾性率が400〜470MPaである、水性ポリウレタン樹脂分散体。
  2. 脂溶性重合開始剤(C)が、アゾ系重合開始剤である、請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  3. アゾ系開始剤が、アゾニトリル、アゾエステル、及びアゾアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾ系開始剤である、請求項記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  4. アゾ系開始剤が、アゾニトリルである、請求項記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体に内包された(メタ)アクリルモノマー(B)が重合することで得られる、複合樹脂水性分散体。
  6. 請求項に記載の複合樹脂水性分散体を含有する塗料組成物。
  7. 請求項記載の複合樹脂水性分散体を含有するコーティング用組成物。
  8. 請求項に記載の複合樹脂水性分散体、または複合樹脂水性分散体を含む組成物を被塗装基材上で硬化させてなる積層体。
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